JP2007320803A - ガラスパイプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のガラスパイプの製造方法は、ガラスパイプGを一端側から他端側へ向かって加熱して軟化させつつ両端を相対的に移動させて延伸成形する方法であって、ガラスパイプGの両端の相対的な移動速度を、ガラスパイプGの外径及び内径から計算される初期の断面積と延伸目標の外径及び内径から計算される延伸後の断面積から算出される所定の送り込み速度V1及び引き取り速度V2まで上昇させる定圧延伸工程と、ガラスパイプGの内圧を上昇させて延伸外径値Dpvを目標外径値Dsp以上とする加圧延伸工程と、延伸外径値Dpvが目標外径値Dsp以上となった後に、延伸外径値Dpvを目標外径値Dspにすべく延伸外径値Dpvに基づいて内圧を制御する内圧制御延伸工程とを含む。
【選択図】図2
Description
ガラスパイプを延伸する際には、ガラスパイプの一端を送り側把持治具で把持し、他端を引き取り側把持治具で把持する。そして、送り側把持治具と引き取り側把持治具との間で加熱源によりガラスパイプを加熱しながら、送り側把持治具と引き取り側把持治具をガラスパイプの長手方向に沿って送り側把持治具で把持した端から引き取り側把持治具で把持した端へ向かう方向へ移動させつつ、送り側把持治具と引き取り側把持治具の間隔を広げていき、ガラスパイプを引き伸ばしていく。すなわち、ガラスパイプは送り側把持治具により加熱源に向けて送り込まれ、軟化して延伸された部分は加熱源から引き取り側把持治具により引き取られる。
図1は本発明の実施形態に係るガラスパイプの製造方法を適用する加工装置の模式図である。
図1に示すように、この加工装置10は、上部移動機構11及び下部移動機構12を備えており、これら上部移動機構11及び下部移動機構12は、それぞれ鉛直方向へ相対的に移動可能とされている。これら上部移動機構11及び下部移動機構12は、それぞれガラスパイプGを把持するチャック(図示省略)を備えており、このチャックにガラスパイプGの端部を把持させることにより、ガラスパイプGが鉛直に支持される。
さらに、加工装置10は、ガラスパイプGの上端側からガラスパイプG内に不活性ガスを送り込む内圧調整器21を備えている。不活性ガスとしてはN2を使用した。また、加工装置10は、ヒータ13の下方側に設置された非接触式の光学センサ22からの検出結果に基づいて、ガラスパイプGの外径を測定する外径測定器23を備えている。
なお、本実施形態はガラスパイプGに内圧を印加しながらガラスパイプGを加熱して軟化させ、その長手方向に引き伸ばして所定の外径及び内径のガラスパイプとするガラスパイプの製造方法であり、延伸して得られるガラスパイプGは、延伸前のガラスパイプGの外径/内径比以下の、任意の外径/内径比を有するガラスパイプである。
まず、上部移動機構11の把持部に、ガラスパイプGの上端を把持させる。そして、このガラスパイプGの延伸開始位置である下端側をヒータ13による加熱領域HAへ配置させ、ガラスパイプGの下端に予め溶着した中実なガラスロッドを下部移動機構12の把持部に把持させ、ヒータ13によってガラスパイプGの下端側を加熱する。ここで、ガラスパイプGの下端に予め溶着したガラスロッドは、延伸開始後にガラスパイプに内圧を印加する際の栓となる。
一定時間が経過してガラスパイプGの下端側が軟化したら、上部移動機構11によってガラスパイプGの上端側を下降させてガラスパイプGを加熱領域HAへ送り込むとともに、下部移動機構12によってガラスパイプGの下端側を引き下げる(図2における記号Aの領域参照)。送り込み速度より引き出し速度が速い状態としてそれぞれの移動速度を徐々に上昇させることで、上部移動機構11及び下部移動機構12による下端と上端との相対移動の速度差が生じ、この速度差によってガラスパイプGは、ヒータ13の加熱領域HAで軟化された部分が延伸され、徐々に縮径が進む。
ここで、送り込み速度V1とガラスパイプGを加熱領域HAから引き取る下部移動機構12における引き取り速度V2とは、ガラスパイプGの延伸前の初期外径値および内径値から求められる断面積S1と、目標とする外径値および内径値に延伸した際の断面積S2から、次式(1)の関係が成立する。
ヒータ13の加熱領域HAにおけるガラスパイプGが延伸され、その延伸外径値Dpvが安定し始めたら、内圧調整器21を手動によって操作し、ガラスパイプG内へN2ガスを導入することにより、ガラスパイプGへの内圧の上昇を開始させる(図2における記号Bの領域参照)。
このようにすると、制御部24は、ガラスパイプGの内圧を操作変数としてガラスパイプGの延伸外径値DpvのPID(Proportional Integral Difference)制御を開始する。
この所定の内圧は、ガラスパイプGの延伸外径値Dpvを目標外径値Dsp以上とする内圧であると更に好ましい。
したがって、ガラスパイプGの延伸外径値Dpvが目標外径値Dspより小さい領域で内圧制御を開始すると、ガラスパイプGの外径を拡径する方向に差圧制御量が蓄積される。
つまり、ガラスパイプGの外径制御の安定性を向上させて短時間で高精度な外径寸法を有するガラスパイプGを高い歩留まりで製造することができる。
そして、このガラスパイプの製造方法によれば、極めて高精度な仕上がり外径のガラスパイプGを得ることができるので、このガラスパイプGを仕上がり外径に精度が要求される各種の用途に用いることができる。
試験ガラスパイプ:外径65mm、内径45mmの純シリカガラス製
延伸目標形状:外径(Dsp)40.0mm、内径36.0mm、肉厚2.0mm
設定加熱温度:2000℃
送り込み速度V1:17.8mm/分
延伸速度(V2−V1):129mm/分
内圧PID制御の定数は、延伸の動特性に基づいて決定した値を用い、全ての試験で一定とした。
例1:延伸外径値Dpv=35mm(Dpv<Dsp)
例2:延伸外径値Dpv=39mm(Dpv<Dsp)
例3:延伸外径値Dpv=42mm(Dpv≧Dsp)
例4:延伸外径値Dpv=43mm(Dpv≧Dsp)
例5:延伸外径値Dpv=44mm(Dpv≧Dsp)
例6:延伸外径値Dpv=45mm(Dpv≧Dsp)
いずれの場合も、フィードバック制御開始時の内圧は400〜500Pa程度であった。
内圧を印加しないで延伸を開始すると、定常延伸速度に到達した状態では延伸外径値が17mm程度となる。延伸目標値との乖離が大きいため試験は実施していない。
例1〜例6の試験結果を表1及び図3〜図5に示す。なお、製品取りの基準としては、ガラスパイプの外径変動幅で目標値±0.5mm(変動全幅で1.0mm)とした。
また、例1及び例6におけるガラスパイプの延伸外径値Dpvの目標外径値Dspへの整定状況を図6及び図7に示す。
例えば、図6に示すように、延伸外径値Dpvが目標外径値Dsp(40.0mm)より小さい35mmの時に自動内圧制御を開始させた例1では、自動内圧制御開始後、延伸外径値Dpvが目標外径値Dspを大きく上回ったオーバーシュート(3.3mm)が生じた後、不安定な状態が持続し、かなりの時間を要して目標外径値Dspに近似した。
例えば、図7に示すように、延伸外径値Dpvが目標外径値Dsp(40.0mm)以上である45mmの時に自動内圧制御を開始させた例6では、自動内圧制御開始後、延伸外径値Dpvが目標外径値Dspを一旦下回って小さなオーバーシュートが生じた後、比較的短時間で目標外径値Dspに近似した。
また、内圧自動制御開始から10分の時点で残留するガラスパイプの外径変動幅に注目すると、例1(Dpv−Dsp=−5)では±0.5mmであり、まだ完全に安定していない状態であることがわかるのに対して、例6(Dpv−Dsv=5)では±0.3mmまで収束している。さらに、(Dpv−Dsp)/Dspが10%以下の領域では、±0.15mm以下と、極めて安定していた。なお、例2(Dpv−Dsv=−1)でも±0.3mmまで収束しているが、例3〜6と比較して、自動内圧制御開始直後のオーバーシュートが2.0mmと大きくなってしまい、制御開始後の不良長も3.3mと長くなっており、好ましくない。
11 上部移動機構
12 下部移動機構
13 ヒータ
21 内圧調整器
23 外径測定器
24 制御部
Dsp 目標外径値
Dpv 延伸外径値
G ガラスパイプ
HA 加熱領域
V1 送り込み速度(移動速度)
V2 引き取り速度(移動速度)
Claims (4)
- ガラスパイプを一端側から他端側へ向かって加熱して軟化させつつ前記ガラスパイプの両端をそれぞれ把持する把持部を相対的に移動させて延伸成形するガラスパイプの製造方法であって、
前記把持部の移動速度が延伸速度設定値に到達し、かつ、前記ガラスパイプに所定の内圧を印加した後に、
当該ガラスパイプの内圧を操作変数とした前記ガラスパイプの延伸外径値のフィードバック制御を開始することを特徴とするガラスパイプの製造方法。 - 前記所定の内圧が、当該ガラスパイプの延伸外径値を目標外径値以上とする内圧であることを特徴とする請求項1に記載のガラスパイプの製造方法。
- 延伸外径値のフィードバック制御を開始する際の延伸外径値Dpvと目標外径値Dspとの関係が、
Dsp≦Dpv≦1.1Dsp
であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスパイプの製造方法。 - 延伸前のガラスパイプの外径又は断面積の変動に基づいて、前記把持部の相対速度を制御することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のガラスパイプの製造方法。
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2006
- 2006-05-31 JP JP2006152417A patent/JP2007320803A/ja active Pending
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