JP2004115286A - ガラス母材の延伸方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス母材21を加熱炉22に順次投入し、加熱炉22内のガラス母材21の加熱軟化部に引張力を作用させることで、ガラス母材21の外径を所定の値に延伸するガラス母材21の延伸方法であって、延伸を開始して所定時間経過後からは、加熱炉22の発熱体22aの温度を、ガラス母材21の加熱炉22への投入速度に基づいて所定の温度勾配で降下させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス母材を所定の外径に延伸するガラス母材の延伸方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ファイバは、VAD法やOVD法等で得られたガラス母材を、延伸装置によって線引きに適した外径に延伸した後、線引き装置によって更に所望外径に成形することで製造される。
ガラス母材を所定の外径に延伸するガラス母材の延伸方法は、基本的には、図4に示すように、ガラス母材5を加熱炉2内に順次投入し、ガラス母材5の加熱軟化部に引張力を作用させることで延伸させる。
【0003】
図示のように、加熱炉2内の発熱体2aによる加熱で軟化したガラス母材5の部位は、加熱炉の後段に配置された図示せぬ引取り機構等による引張力によって延びて、引取り機構側に向かって外径が徐々に縮径したテーパ状の引落部7となる。この引落部7の終端7aが延伸終端で、延伸終端の外径が、製造する延伸体6の仕上がり径となる。
【0004】
通常、仕上がり径を一定にするために、外径制御が実施される。
外径制御とは、引落部7における延伸途中の外径を外径測定器3によって測定し、この外径測定器によって測定した実測外径値と予め設定した目標外径値との差を、引張速度等の延伸条件を制御する制御機構にフィードバックすることで、延伸途中の外径を目標外径値に維持し、仕上がり径の変動を抑止するものである。
【0005】
ところで、加熱炉2内での熱の輻射やガラス母材5内での熱伝導のために、加熱炉2内での延伸処理時間(滞留時間)の経過に伴って、加熱炉2内でのガラス母材5の軟化部位は徐々に拡大して、延伸開始から所定時間経過すると、加熱炉への母材の投入速度や加熱炉における加熱温度等の延伸条件を一定に維持していても、延伸が起こり易くなるクリープ状態に陥る。従って、上記の外径制御を行っても、延伸体の有効部の外径は、図5に示すように、始端から終端に向かって外径が徐々に太くなって、外径精度の低下を招くという問題があった。
【0006】
この理由としては、引落部7に作用する引張力が、前述のクリープ状態に陥ることで変動して、外径測定位置による実測外径値と実際の仕上がり径との相関が、変動してしまうことが考えられる。
【0007】
このような考えから、引落部に作用する引張力を測定して、測定した実測引張力に基づいて加熱炉の投入電力を制御することで、引張力を一定値に維持して、仕上がり径の変動を防止する技術が提案された(特開平4−325428号公報参照)。
【0008】
なお、延伸体の有効部とは、延伸によって規定の仕上がり径に形成した延伸体の全長に対して、元のガラス母材の両端の非定径部の相当する部位を除いた範囲である。この範囲は、元のガラス母材の定径部(中心の円柱状のコアの周囲に一定厚でクラッドを形成した品質の安定した部位)に相当し、製品取りすることのできる部位である。
元のガラス母材の両端の非定径部は、コアの端部に接続されて引取り機構や供給機構に把持される把持部となるダミー棒や、定径部のクラッド層の厚みを端部に向かって徐々に低減させた縮径部等からなり、定径部とは組成が異なるため、規定の仕上がり径に延伸されても製品取りはできず、延伸後に切り落として、廃棄される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述の外径制御でガラス母材の投入速度や引張速度等の延伸条件が変更されると、通常、それに伴って、ガラス母材に作用する引張力(以下、延伸張力と呼ぶ)が変動する。
従って、上記公報に開示されたように、延伸張力を一定に維持する制御を実施すると、仕上がり径を安定させる上で有用な外径制御を併用することが難しくなり、仕上がり径を安定させることが困難になると同時に、制御処理が複雑化するという問題が生じた。
【0010】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的に簡単な制御処理で、加熱炉に投入されたガラス母材が延伸を起こし易いクリープ状態に陥ることを抑止することができ、しかも、仕上がり径を安定させる上で有用な外径制御の効力を十分に発揮させることができ、延伸処理の安定化と仕上がり径の高精度化を実現することのできるガラス母材の延伸方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るガラス母材の延伸方法は、請求項1又は請求項2に記載したように、ガラス母材を加熱炉に順次投入し、加熱炉内のガラス母材の加熱軟化部に引張力を作用させることで、ガラス母材の外径を所定の目標外径値に延伸するガラス母材の延伸方法において、
延伸を開始して所定時間経過後からは前記加熱炉の炉心管又は発熱体の外表面温度を前記ガラス母材の加熱炉内への投入速度あるいは前記ガラス母材の加熱炉内での滞留時間に基づいて所定の温度勾配で降下させる加熱温度制御を行うことを特徴とする。
【0012】
このように構成されたガラス母材の延伸方法において、加熱温度制御は、加熱炉の炉心管又は発熱体の温度を所定の温度勾配で徐々に下げるもので、加熱温度を下げることで、加熱炉内でのガラス母材の軟化部位が徐々に拡大していくことを防止して、ガラス母材が延伸を起こし易くなるクリープ状態に陥ることを防止することができる。
つまり、この加熱温度制御は、例えば、加熱炉に発熱体の温度を検出する温度検出器を装備し、その温度検出器の検出する温度が、ガラス母材の投入速度に対して一定の温度勾配で低減するように、あるいは、ガラス母材の有効部における延伸始端から延伸終端までの加熱炉内での延伸処理に要する時間(滞留時間)に対して一定の温度勾配で低減するように、加熱炉への投入電力を制御する。
【0013】
また、請求項3に記載のガラス母材の延伸方法は、上記目的を達成するために、請求項1又は請求項2記載のガラス母材の延伸方法において、更に、前記ガラス母材の延伸途中の外径と前記目標外径値との差が規定値以内となる延伸終端付近に、ガラス母材の外径を測定する外径測定器を設けて、
前記外径測定器の測定値が前記目標外径値となるように、前記測定値と前記目標外径値との差を、延伸条件の制御系にフィードバックすることを特徴とするものである。
【0014】
このように構成されたガラス母材の延伸方法においては、外径制御に必要な外径測定器による外径測定位置が仕上がり径となる延伸終端付近となって、予め設定する目標外径値を仕上がり径に近い値とすることができる。その一方で、外径測定位置を延伸終端付近とした場合は、外径測定位置を延伸始端付近とする場合と比較して、加熱炉内の加熱部と外径測定位置との間の離間距離が増大する分、制御動作の応答遅れが発生して、ガラス母材がクリープ状態に陥り易くなる。しかし、加熱温度制御を行って加熱炉の炉心管又は発熱体の加熱温度を下げていることで、ガラス母材の加熱軟化部がクリープ状態に陥ることが抑止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガラス母材の延伸方法の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るガラス母材の延伸方法を実施するガラス母材の延伸装置の一実施の形態を示したものである。
このガラス母材の延伸装置30は、ガラス母材21を発熱体22aによって加熱軟化させる加熱炉22と、把持手段1aによってガラス母材21の一方の把持部21aを把持して吊り下げたガラス母材21を加熱炉22内に所定速度で投入する母材供給機構1と、加熱炉22から出たガラス母材21の他方の把持部21bを把持手段4aによって把持して把持部21bを所定速度で引張する引取り機構4と、延伸処理時に外径制御及び加熱温度制御を行う制御装置28とを備えている。
【0016】
図2に示すように、ガラス母材21の加熱炉22内の加熱で軟化した部位(加熱軟化部)は、この加熱軟化部に作用する引張力によって延びて、引取り機構4側に向かって外径が徐々に縮径したテーパ状の引落部7となる。この引落部7の終端7aが延伸終端で、延伸終端の外径が、製造する延伸体6の仕上がり径となる。
【0017】
本実施の形態の延伸装置30では、引落部7の範囲内で延伸終端付近、詳しくは、延伸途中の外径と予め設定した仕上がり径としての目標外径値との差が規定値(3mm)以内となる位置に、延伸途中のガラス母材21の外径を測定する外径測定器3が装備されている。なお、外径測定器3は、図2にも示すように、レーザ光3cを投光素子3aから受光素子3bに出射して、レーザ照射位置のガラス母材の外径を測定し、測定した外径に応じた電気信号を制御装置28に出力する。
【0018】
また、図2に示すように、本実施の形態の延伸装置30では、発熱体22aの外表面温度を検出する温度検出器31が、加熱炉22の炉体に埋設装備されている。この温度検出器31は、検出温度に応じた電気信号を制御装置28に出力する。なお、温度検出器31は、加熱炉22の炉心管の外表面温度を検出する構成であっても良い。
【0019】
母材供給機構1は、把持部21aを把持する把持手段(チャック)1aを上下動可能に支持する移動用ボールねじ1bと、移動用ボールねじ1bを回転駆動するモータ1cとを備えた構成で、モータ1cによる移動用ボール1bの回転速度を制御することで、ガラス母材21の投入速度を任意に設定可能である。
【0020】
引取り機構4は、把持部21bを把持する把持手段(チャック)4aと、この把持手段4aを上下動可能に支持する移動用ボールねじ4bと、移動用ボールねじ4bを回転駆動するモータ4cとを備えた構成で、モータ4cによる移動用ボールねじ4bの回転速度を制御することで、ガラス母材21の引張速度を任意に設定可能である。
母材供給機構1による投入速度、及び引取り機構4による引張速度、及び引落部7の軟化状態によって、引落部7に作用する延伸張力が決まり、延伸度合いが決まる。
【0021】
ガラス母材21は、詳細な構成は図示していないが、中心の円柱状のコアの周囲に一定厚でクラッドを形成した定径部の両端に、クラッド層の外径を徐々に縮径させた非定径部(減径部)を設けると共に、この非定径部の中心に前述の把持部21a,21bとして取り扱われるダミー棒を接続した構成である。
ガラス母材21の定径部の両端に位置する非定径部は、延伸処理によって外径が目標外径値に延伸されたとしても、コアとクラッドの半径比が定径部とは異なっていること、更に、把持部となるダミー棒とコアとの接合部には泡立ち等の変質層が生じていること等から、定径部と同一の伝送性能は得られない。
そこで、通常は、延伸処理後に、これらの両端部を不良部分として切断廃棄する。即ち、延伸によって規定の仕上がり径に形成した延伸体の全長に対して、元のガラス母材の両端の非定径部に相当する部位を除いた範囲が、製品取りすることのできる有効部となる。
【0022】
次に、本実施の形態の制御装置28が実施する外径制御と、加熱温度制御とを説明する。
外径制御は、引落部7における延伸途中の外径を外径測定器3によって測定し、この外径測定器によって測定した実測外径値と予め設定した目標外径値との差を、投入速度を制御する制御機構にフィードバックすることで、延伸途中の外径を目標外径値に維持し、仕上がり径の変動を抑止するものである。
【0023】
一方、加熱温度制御は、温度検出器31によって発熱体22aの表面温度を監視し、延伸開始から所定時間経過するまでは発熱体22aの温度を予め設定した一定値に維持し、所定時間経過後からは発熱体22aの温度を、ガラス母材21の加熱炉22内への投入速度、具体的には、加熱炉22内でのガラス母材21の送り長1cm当たり、0.5〜2.5℃の温度勾配で降下させる。
【0024】
加熱炉22内での一定温度による加熱を連続実施していると、加熱炉22内での熱の輻射やガラス母材21内での熱伝導のために、加熱炉22内での延伸処理時間(滞留時間)の経過に伴って、加熱炉22内でのガラス母材21の軟化部位は徐々に拡大して、延伸開始から所定時間を経過すると、加熱炉への母材の投入速度や加熱炉における加熱温度等の延伸条件を一定に維持していても、当初よりも延伸が起こり易くなるクリープ状態に陥る。
加熱温度制御は、このようなクリープ状態に陥ることを防止するために、延伸処理の途中から発熱体22aの温度を徐々に下げるように、加熱炉22への投入電力を制御するものである。
【0025】
本願発明者等による研究では、ガラス母材がクリープ状態に陥った場合には、引落部7に作用する延伸張力が減少するために引落部7のテーパ形状が変化し、テーパ部分が徐々に短くなって、外径制御を継続していても、実際の仕上がり径が徐々に増大する現象が発生することを突き止めた。
また、クリープ状態に陥る時期は、連続する加熱時間に密接していて、同一のガラス母材を同一の延伸条件で延伸する場合であれば、クリープ状態に陥る時期は延伸開始後の一定時間経過後で、経過時間によって検知可能である。
【0026】
更に、発熱体又は炉心管の温度を徐々に一定の温度勾配で減少させるだけで、クリープ状態に陥る要因となっている加熱炉内での熱輻射や直接的な熱伝導を抑止して、ガラス母材21上の加熱軟化部の拡大を抑えることができ、クリープ状態に陥ることを未然に防止することができることも突き止めた。
また、クリープ状態に陥ることを防止するために加熱温度を減少させる場合に、加熱温度の減少度が不足の場合にはクリープ状態に陥ることを完全には防止できずに、徐々に仕上がり径の増大する不都合が発生する。また、加熱温度の減少度が過剰の場合には、本来の加熱軟化を行うことができなくなって、延伸不良が生じる。クリープ状態に陥ることを防止するために加熱温度を減少させる際の温度勾配は、ガラス母材の組成や引張速度等の他の延伸条件に応じて変わるものの、適正範囲があり、本願発明者等の研究によれば、基本的には、上記のように、加熱炉22内でのガラス母材21の送り長1cm当たり、0.5〜2.5℃の温度勾配で降下させることが、好ましい。
【0027】
以上に説明した延伸装置30では、ガラス母材を加熱炉22に順次投入し、加熱炉22内のガラス母材21の加熱軟化部に引張力を作用させることで、ガラス母材21の外径を予め設定した目標外径値に縮径させた延伸体6を製造するもので、延伸処理時には、ガラス母材21の延伸途中の外径と予定の仕上がり径との差が規定値3mm以内となる延伸終端付近に装備した外径測定器3により、延伸途中のガラス母材21の外径を監視し、外径測定器3の測定値が予め定めた目標外径値となるように、外径測定器3の測定値と目標外径値との差を、投入速度の制御系にフィードバックする外径制御を実施する。
【0028】
更に、延伸処理時には、延伸開始から所定時間経過するまでは加熱炉22の発熱体22aの温度を予め設定した一定値に維持して基準の形態の引落部7を形成し、引落部7となる加熱軟化が進む所定時間経過後からは発熱体22aの温度を加熱炉22内でのガラス母材21の送り長1cm当たり、0.5〜2.5℃の温度勾配で降下させる加熱温度制御を行う。
【0029】
このようなガラス母材の延伸方法によれば、延伸開始時から所定時間経過したら、加熱炉22内での加熱温度を予め設定した所定の温度勾配で下げることで、加熱炉22内でのガラス母材21の軟化部位が徐々に拡大していくことを防止して、ガラス母材21が延伸を起こし易くなるクリープ状態に陥ることを防止することができる。
【0030】
しかも、この加熱温度制御は、例えば、延伸装置30の加熱炉22に発熱体22aの外表面温度を検出する温度検出器31を装備して、その温度検出器31の検出する温度が、ガラス母材21の投入速度に対して一定の温度勾配で低減するように、加熱炉22への投入電力を比例制御するもので、比較的簡単な電力制御法で実現できる。
従って、比較的に簡単な制御処理で、加熱炉22に投入されたガラス母材21が延伸を起こし易いクリープ状態に陥ることを抑止することができ、クリープ状態に陥ることに起因した仕上がり径の増大を防止して、仕上がり径の安定化を図ることができる。
【0031】
しかも、この加熱温度制御は、延伸張力を一定値に規制するものではないため、延伸張力の変動をもたらす可能性を持つ外径制御と併用することが、容易にできる。
外径制御は、延伸途中の外径を目標外径値に維持するもので、仕上がり径を安定させる上で有用な制御方法である。この外径制御と上記の加熱温度制御とを組み合わせた制御を行うことで、延伸途中でガラス母材21がクリープ状態に陥ることに起因した仕上がり外径の変動を防止すると共に、外径制御による仕上がり径の安定化を十分に発揮させて、延伸処理の安定化と仕上がり径の高精度化を実現することができる。
【0032】
また、本実施の形態では、外径制御に必要な外径測定器3による外径測定位置が仕上がり径となる延伸終端付近となって、予め設定する目標外径値を仕上がり径に近い値とすることができるため、仕上がり径の異常の有無をより正確に検出することができ、外径制御による仕上がり径の誤差を小さくして、外径制御による信頼性を向上させることができる。
【0033】
その一方で、外径測定位置を延伸終端付近とした状況では、外径測定位置を延伸終端付近とする場合と比較して、加熱炉22内の加熱部と外径測定位置との間の離間距離が増大する分、制御動作の応答遅れが発生し易くなり、その結果、もしもガラス母材がクリープ状態に陥った時には、クリープ状態に陥ることに起因した仕上がり径の増大という問題が応答遅れによってより顕著に出やすくなる。しかし、加熱温度制御を行っていることで、ガラス母材21の加熱軟化部がクリープ状態に陥ることが抑止されるため、外径制御において外径測定位置を仕上がり径に近づけた場合の利点(即ち、仕上がり径の異常の有無をより正確に検出することができるという特徴)を最大限に活かして、高精度の延伸を実現することができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態では、延伸処理時には、ガラス母材21の加熱炉22内への投入速度に基づいて一定の温度勾配で加熱温度を低減するようにしたが、本発明は、外径測定器3の測定値と目標外径値との差を、ガラス母材21の投入速度と引張速度との速度差によって規定される、ガラス母材21(有効部における延伸始端から延伸終端まで)の加熱炉22内での延伸処理時間(滞留時間)を制御する系にフィードバックして、この滞留時間に基づいて加熱温度を低減するように構成することもできる。
【0035】
以上の作用効果を確認するため、上記の実施の形態の延伸方法に従って、延伸の際に外径制御と加熱温度制御とを実施した実施例と、延伸の際に外径制御のみを行って加熱温度制御を行わない比較例とで、製造した延伸体の有効部の外径を比較した。
【0036】
実施例の場合は、定径部の外径が70mm、定径部の長さが400mmのガラス母材を、当初、発熱体22aの表面温度が2000℃に昇温された加熱炉22に投入し、30mmの延伸体を得るように、外径制御を行った。また、同時に、延伸開始から所定時間経過するまでは、発熱体22aの表面温度を、予め設定した2000℃に維持し、引落部7となる加熱軟化が進む所定時間経過後からは、発熱体22aの温度を加熱炉22内でのガラス母材21の送り長1cm当たり、1.5℃の温度勾配で降下させる加熱温度制御を行った。発熱体22aの温度は、延伸終了時に、1940℃となった。
この実施例では、図3に示すように、製造した延伸体の有効部の仕上がり径が、全長に渡って30±0.2mm程度に維持され、高精度の延伸体を得ることができた。
【0037】
比較例の場合は、実施例と同一のガラス母材を、発熱体22aの表面温度を最後まで2000℃に維持した状態で、外径制御のみで30mmの延伸体を得るようにした。その結果、比較例の場合は、延伸処理の前半では、延伸体の仕上がり径が約30mmに維持されたが、途中から仕上がり径が徐々に増大して、有効部の終端付近では仕上がり径が32mmとなって、実施例と比較すると、仕上がり径が大きく変動したことが確認できた。
【0038】
なお、上記の実施の形態では、ガラス母材がクリープ状態に陥ることを防止するために発熱体の温度を徐々に低減させる加熱温度制御では、温度勾配を一定にした。
しかし、発熱体の温度を低減させる際に、温度勾配を経過時間の関数として、経過時間に応じて温度の低減率を変えたり、あるいは、延伸張力や引張速度等のその他の延伸条件の変動に応じて、低減させる温度幅を変えるようにすることも可能である。
以下に、ガラス母材がクリープ状態に陥ることを防止するために発熱体の温度を低減させる際に、温度勾配を経過時間(滞留時間)に応じて変化させる加熱温度制御について、補足説明する。
【0039】
経過時間に応じて温度勾配を変える場合は、時間の経過に応じて勾配を大きくした方が良い。以下、経過時間に応じて下降温度の勾配を変える方法の実施例を記載する。
定径部の外径が70mm、定径部の長さが400mmのガラス母材を、当初、発熱体22aの表面温度が2000℃に昇温された加熱炉22に投入し、30mmの延伸体を得るように、外径制御を行った。また同時に、延伸開始から所定時間経過するまでは、発熱体22aの表面温度を、予め設定した2000℃に維持し、引落部7となる加熱軟化が進む所定時間経過後からは、発熱体22aの温度を加熱炉22内でのガラス母材21の送り長1cm当たり、1℃の勾配で降下させる加熱温度制御を行い、延伸終了手前150mmの範囲では送り長1cm当たり、2℃の勾配で温度降下させた。延伸終了時の発熱体22aの表面温度は1935℃となった。その結果得られた延伸体の有効部の仕上がり径は、全長に渡って30±0.1mm程度となり、高精度の延伸体を得ることができた。
【0040】
温度勾配を経過時間に応じて変化させる方法は、一定勾配の方法と比較すると、より高精度の延伸体外径を得ることができる。すなわち、母材の未延伸部が多い状態と、延伸終了付近の未延伸部分が少ない状態では、加熱炉の表面温度と母材の温度の関係は異なっており、母材の温度を一定に保つには加熱炉の下降温度勾配を経過時間に応じて増やした方が有利となる。
【0041】
なお、以上の実施の形態では、外径制御で母材供給機構1によるガラス母材21の投入速度を制御するようにしたが、投入速度の代わりに、引取り機構4による引張速度を制御することも可能であり、更には、既述したとおり、投入速度と引張速度の双方を制御してより緻密に延伸張力を制御するようにしてもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1又は請求項2に記載した本発明のガラス母材の延伸方法によれば、延伸開始時から所定時間経過したら、加熱炉内での加熱温度を予め設定した所定の温度勾配で下げることで、加熱炉に投入されたガラス母材が延伸を起こし易いクリープ状態に陥ることを抑止することができ、クリープ状態に陥ることに起因した仕上がり径の増大を防止して、仕上がり径の安定化を図ることができる。
しかも、この加熱温度制御は、延伸張力を一定値に規制するものではないため、延伸張力の変動をもたらす可能性を持つ外径制御と併用することが、容易にできる。
したがって、この外径制御と加熱温度制御とを組み合わせた制御を行うことで、延伸途中でガラス母材がクリープ状態に陥ることに起因した仕上がり外径の変動を防止すると共に、外径制御による仕上がり径の安定化を十分に発揮させて、延伸処理の安定化と仕上がり径の高精度化を実現することができる。
【0043】
また、請求項3に記載のガラス母材の延伸方法では、外径制御に必要な外径測定器による外径測定位置が仕上がり径となる延伸終端付近となって、予め設定する目標外径値を仕上がり径に近い値とすることができるため、仕上がり径の異常の有無をより正確に検出することができ、外径制御による仕上がり径の誤差を小さくして、外径制御による信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラス母材の延伸方法を実施する延伸装置の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】図1に示した延伸装置の加熱炉内のガラス母材の加熱軟化部の説明図である。
【図3】本発明のガラス母材の延伸方法で形成した延伸体の有効部の外径測定図である。
【図4】従来のガラス母材の延伸方法におけるガラス母材の加熱軟化部の説明図である。
【図5】従来のガラス母材の延伸方法で形成した延伸体の有効部の外径測定図である。
【符号の説明】
1 母材供給機構
3 外径測定器
4 引取り機構
6 延伸体
7 引落部
7a 終端
21 ガラス母材
22 加熱炉
22a 発熱体
28 制御装置
30 延伸装置
31 温度検出器
Claims (3)
- ガラス母材を加熱炉に順次投入し、加熱炉内のガラス母材の加熱軟化部に引張力を作用させることで、ガラス母材の外径を所定の目標外径値に延伸するガラス母材の延伸方法において、
延伸を開始して所定時間経過後からは前記加熱炉の炉心管又は発熱体の外表面温度を前記ガラス母材の加熱炉内への投入速度に基づいて所定の温度勾配で降下させる加熱温度制御を行うことを特徴とするガラス母材の延伸方法。 - ガラス母材を加熱炉に順次投入し、加熱炉内のガラス母材の加熱軟化部に引張力を作用させることで、ガラス母材の外径を予め設定した目標外径値に延伸するガラス母材の延伸方法において、
延伸を開始して所定時間経過後からは前記加熱炉の炉心管又は発熱体の外表面温度を前記ガラス母材の加熱炉内での滞留時間に基づいて所定の温度勾配で降下させる加熱温度制御を行うことを特徴とするガラス母材の延伸方法。 - 前記ガラス母材の延伸途中の外径と前記目標外径値との差が規定値以内となる延伸終端付近に、前記ガラス母材の外径を測定する外径測定器を設けて、
前記外径測定器の測定値が前記目標外径値となるように、前記測定値と前記目標外径値との差を、延伸条件の制御系にフィードバックすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のガラス母材の延伸方法。
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JP2002276859A JP4325165B2 (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | ガラス母材の延伸方法 |
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