JP6701696B2 - 組成物、及び光学フィルム、並びに組成物、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

組成物、及び光学フィルム、並びに組成物、及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、組成物、及び光学フィルム、並びに組成物、及び光学フィルムの製造方法に関する。
表示装置には、偏光板、位相差板などの光学フィルムを使用した部材が含まれている。
光学フィルムには、たとえば、下記式で表される重合性化合物(商品名;LC242、BASF社製)を溶剤に溶かして得られる溶液を、基材に塗布した後、重合して得られる光学フィルムが知られている。

Figure 0006701696
Cordula Mock-Knoblauch, Olivier S. Enger, Ulrich D. Schalkowsky、"L-7 Novel Polymerisable Liquid Crystalline Acrylates for the Manufacturing of Ultrathin Optical Films"、SID Symposium Digest of Technical Papers、2006年、37巻、p. 1673
特開2011−207765号公報
偏光板、位相差板等に含まれる光学フィルムの製造に使用される重合性液晶化合物を溶剤に溶かして得られる従来の組成物(塗工液)では、塗工液中に重合性液晶化合物の沈殿が発生するという問題があった。重合性液晶化合物の溶剤に対する溶解性を改善させることが望まれていた。
本発明は、以下の[1]〜[16]を提供するものである。
[1] 式(2−1)で表される重合性液晶化合物、式(2−2)で表される重合性液晶化合物、及び溶剤を含む組成物。
Figure 0006701696

Figure 0006701696
[式(2−1)及び(2−2)中、
m11、m12、m21、m22、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
11、B12、B21、及びB22は、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11、E12、E21、及びE22は、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。
11、G12、G21、及びG22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
11、A12、A21、及びA22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
11、F12、F21、及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、−OR又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
11、P12、P21、及びP22は、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す。ただしP11およびP12のうち少なくとも1つは重合性基であり、P21及びP22のうちの少なくとも1つは重合性基である。
Wは、それぞれ独立に、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、もしくは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表すか、または炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも2つの基が連結基で連結された基を表し、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基、又はニトロ基で置換されていてもよい。
11、X21、及びX22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。]
[2] X11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、π電子を10〜30個有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である[1]に記載の液晶組成物。
[3] X11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの原子を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] X11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、置換基として芳香族複素環基を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] X11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基である[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 芳香族複素環基がベンゾチアゾール基である[4]に記載の組成物。
[7] 芳香族複素環基がベンゾチアゾール基である[5]に記載の組成物。
[8] G11、G12、G21、及びG22が、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基である[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] Wが、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基あるいは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基であるか、または、1〜5個の炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、1〜5個の炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、および1〜5個の2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも2つの基が、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−またはイミド結合を介して連結した基であり、前記脂肪族炭化水素基、前記脂環式炭化水素基、及び前期芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された式(2−2)で表される化合物の面積値が、式(2−1)で表される化合物、及び式(2−2)で表される化合物の面積値の総和に対して0.01〜50%である[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] さらに重合開始剤を含有する[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の組成物から形成される光学フィルム。
[13] 式(2−1)で表される重合性液晶化合物の重合物と、式(2−2)で表される重合性液晶化合物の重合物を含む光学フィルム。
Figure 0006701696

Figure 0006701696
[式(2−1)及び(2−2)中、
m11、m12、m21、m22、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
11、B12、B21、及びB22は、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11、E12、E21、及びE22は、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。
11、G12、G21、及びG22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
11、A12、A21、及びA22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
11、F12、F21、及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、−OR又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
11、P12、P21、及びP22は、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す。ただしP11およびP12のうち少なくとも1つは重合性基であり、P21及びP22のうちの少なくとも1つは重合性基である。
Wは、それぞれ独立に、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、もしくは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表すか、または炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも2つの基が連結基で連結された基を表し、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基、又はニトロ基で置換されていてもよい。
11、X21、及びX22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。]
[14] [12]又は[13]に記載の光学フィルムを含むカラーフィルタ。
[15] [12]又は[13]に記載の光学フィルムを含む偏光板。
[16] [14]に記載のカラーフィルタまたは[15]に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
本発明の組成物によれば、重合性液晶化合物の溶剤に対する溶解性が向上した組成物を得ることができる。また、組成物が含む重合性液晶化合物の含有量を制御することで、該組成物を重合させ得られる光学フィルムの波長分散特性を任意に調整することができる。
カラーフィルタの一例を示す概略図である。 本発明にかかる液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明にかかる偏光板の一例を示す概略図である。
本発明の組成物(以下、組成物(1)という場合がある)は、式(2−1)で表される化合物、式(2−2)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(2−1)、化合物(2−2)という場合がある)及び溶剤を含む。本発明の組成物は、式(2−1)で表される重合性液晶化合物に加え、式(2−2)で表される重合性液晶化合物を含有しているので、溶剤に対する式(2−1)で表される重合性液晶化合物の溶解度を高めることが可能となる。
Figure 0006701696

Figure 0006701696
[式(2−1)及び(2−2)中、
m11、m12、m21、m22、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
11、B12、B21、及びB22は、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11、E12、E21、及びE22は、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。
11、G12、G21、及びG22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
11、A12、A21、及びA22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
11、F12、F21、及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、−OR又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
11、P12、P21、及びP22は、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す。ただしP11及びP12のうち少なくとも1つは重合性基であり、P21及びP22のうちの少なくとも1つは重合性基である。
Wは、それぞれ独立に、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、もしくは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表すか、または炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも2つの基が連結基で連結された基を表し、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基、又はニトロ基で置換されていてもよい。
11、X21、及びX22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。]
化合物(2−1)の合成が容易であるという点で、m11とm12とは同じ数であることが好ましく、化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、m21とm22とは同じ数であることが好ましい。より少ない工程により組成物(1)を製造できるという点で、m11、m12、m21、及びm22は、すべて同じ数であることがより好ましい。
さらに化合物(2−1)及び化合物(2−2)の液晶性が優れるという点で、m11、m12、m21、及びm22は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
化合物(2−2)の液晶性が優れるという点で、nは1〜2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
また、m11とm12との和は1〜6であることが好ましく、m21とm22とnの和は1〜6であることが好ましい。
11、B12、B21、及びB22は、それぞれ独立に、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−CH−O−、−O−CH−、−CH−S−、−S−CH−又は単結合であることが好ましく、−O−CO−又は−CO−O−であることがより好ましい。
化合物(2−1)の合成が容易であるという点で、B11、及びB12が複数存在する場合、複数のB11は同一の基であることが好ましく、複数のB12は同一の基であることが好ましい。同様に、化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、B21、及びB22が複数存在する場合、複数のB21は同一の基であることが好ましく、複数のB22は同一の基であることが好ましい。さらにB11及びB12は同一の基であることがより好ましく、B21及びB22は同一の基であることがより好ましい。より少ない工程により組成物(1)を製造できるという点で、B11、B12、B21、及びB22は、全て同一の基であることが特に好ましい。
、R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
11、E12、E21、及びE22は、それぞれ独立に、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−CH−O−、−O−CH−、−CH−S−、−S−CH−又は単結合であることが好ましく、−O−CO−又は−CO−O−であることがより好ましい。
化合物(2−1)の合成が容易であるという点で、E11及びE12は同一の基であることが好ましい。化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、E21及びE22は同一の基であることが好ましい。より少ない工程により組成物(1)を製造できるという点で、E11、E12、E21、及びE22は、すべて同一の基であることがより好ましい。
11、G12、G21、及びG22で表される炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基は、それぞれ独立に式(g−1)〜(g−10)のいずれかで示されるヘテロ原子を含んでもよい2価の脂環式炭化水素基が好ましく、式(g−1)〜(g−4)のいずれかで示される5員環、又は6員環を有する脂環式炭化水素基であることがより好ましく、式(g−1)で示される基がさらに好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが特に好ましく、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが中でも好ましい。
Figure 0006701696
[上記式(g−1)〜式(g−10)で示される基中の水素原子は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基;トリフルオロメトキシ基等の炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。]化合物(2−1)の合成が容易であるという点で、G11及びG12は同一の基であることが好ましい。化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、G21及びG22は同一の基であることが好ましい。より少ない工程により組成物(1)を製造できるという点で、G11、G12、G21、及びG22は、すべて同一の基であることがより好ましい。
11、A12、A21、及びA22で表される炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基は、それぞれ独立に上記式(g−1)〜(g−10)のいずれかで示される基が好ましく、式(g−1)〜(g−4)のいずれかで示される5員環、又は6員環を有する脂環式炭化水素基であることがより好ましく、式(g−1)で表される基がさらに好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましく、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基が中でも好ましい。
11、A12、A21、及びA22で表される炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基は、それぞれ独立に下記式(a−1)〜(a−8)のいずれかで表される基が好ましく、式(a−1)で表される基が好ましく、p−フェニレン基がより好ましい。
Figure 0006701696

[上記式(a−1)〜(a−8)で表される基の水素原子の一部は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチルオキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。]
化合物(2−1)の合成が容易であるという点で、A11、及びA12が複数存在する場合、複数のA11は同一の基であることが好ましく、複数のA12は同一の基であることが好ましい。同様に、化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、A21、及びA22が複数存在する場合、複数のA21は同一の基であることが好ましく、複数のA22は同一の基であることが好ましい。さらにA11及びA12は同一の基であることがより好ましく、A21及びA22は同一の基であることがより好ましい。より少ない工程により組成物(1)を製造できるという点で、A11、A12、A21、及びA22は、全て同一の基であることが特に好ましい。
11、F12、F21、及びF22で表される炭素数1〜12のアルカンジイル基は、それぞれ独立に−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−(CF−、−(CF−、−(CF−が好ましく、−(CH−、または−(CH−がより好ましい。
化合物(2−1)の合成が容易であるという点で、F11及びF12は同一の基であることが好ましい。化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、F21及びF22は同一の基であることが好ましい。より少ない工程により組成物(1)を製造できるという点で、F11、F12、F21、及びF22は、すべて同一の基であることがより好ましい。
11、P12、P21、及びP22は、それぞれ独立に水素原子又は重合性基を表し、P11及びP12のうち少なくとも1つは重合性基であり、P21及びP22のうち少なくとも1つは重合性基であるが、組成物(1)から得られる光学フィルムの膜硬度に優れるという点で、P11、P12、P21、及びP22がすべて重合性基であることが好ましい。さらにP11、P12、P21、及びP22はすべて同一の重合性基であることがより好ましい。
重合性基とは、本発明の組成物(1)に含まれる重合性液晶化合物の重合反応に関与し得る基であればよく、ビニル基、ビニルオキシ基、スチリル基、p−(2−フェニルエテニル)フェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシ基、アセチル基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基、アミノ基、オキシラニル基、オキセタニル基、ホルミル基、イソシアナト基、イソチオシアナト基等が挙げられる。P11、P12、P21、及びP22は、F11、F12、F21、及びF22とそれぞれエーテル結合又はエステル結合を介して結合している基が好ましい。さらに光重合に適するという点で、ラジカル重合性基又はカチオン重合性基が好ましい。中でも取り扱いが容易で、化合物(2−1)及び化合物(2−2)の製造が容易であるという点で、P11、P12、P21、及びP22は、それぞれ独立にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であることが好ましく、アクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
Wは、Wが複数存在する場合はそれぞれ独立に、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基、あるいは1〜5個の炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、1〜5個の炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、1〜5個の2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる2個以上の基が連結基を介して連結した基が好ましい。連結基は、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−、またはイミド結合が好ましく、−O−、−CO−O−、または−O−CO−がより好ましい。炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OR、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
1〜5個の炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、1〜5個の炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、1〜5個の2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる2つ以上の基が連結基を介して連結した基に含まれる、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基の数は、あわせて2以上10以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましい。
Wが有する炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基及び、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基は、式(W−1)〜(W−19)のいずれかで表される基が好ましい。さらに、Wが有する炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基は、式(W−20)〜(W−27)のいずれかで表される基が好ましい。
中でもWは、式(W−4)または式(W−20)で表される基を有することが好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基を有することがより好ましく、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基を有することがさらに好ましい。化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、Wが複数存在する場合、複数のWは同一の基であることが好ましい。

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11、X21及びX22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。化合物(2−2)の合成が容易であるという点で、X21が複数ある場合、複数のX21は同一の基であることが好ましく、X21とX22は同一の基であることがより好ましい。
化合物(2−1)及び化合物(2−2)の液晶性が優れるという点で、X11、X21、及びX22は、それぞれ独立に、π電子を10個〜30個有する芳香族基であることが好ましい。X11、X21、及びX22は、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を有することができる。ヘテロ原子の数は、1つ以上であるのが好ましく、2つ以上であるのがより好ましい。通常、ヘテロ原子の数は4つ以下である。X11、X21、及びX22がヘテロ原子を有する場合、X11、X21、及びX22は、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基または芳香族複素環基を有する2価の芳香族基であることができる。当該芳香族複素環基は、ベンゾチアゾール基であることが好ましい。
ここで、芳香族基とは、芳香族複素環化合物から誘導される2価の基であり、1,4−フェニレン基に、芳香環が縮合した構造を有する基であることができ、該芳香環は5員環または6員環であることができる。
11、X21、及びX22が、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基である場合、X11、X21、及びX22に含まれるπ電子の数はそれぞれ8以上であることが好ましく、それぞれ16以上であることがより好ましく、通常それぞれ22以下である。X11、X21、及びX22は、式(X−1)で表される2価の基であることができる。
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[式(X−1)中、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、−CR−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
は、−CR=または−N=を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基又は1価の芳香族複素環基を表す。
*は、結合手を表す。]
化合物(2−1)及び化合物(2−2)の液晶性が優れるという点で、Z、及びZが表す炭素数1〜6のアルキル基の少なくとも一方は、炭素数3〜6の分枝鎖状アルキル基が好ましく、tert−ブチル基がより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。中でもZが炭素数3〜6の分枝鎖状アルキル基であり、かつZが水素原子であるか、又はZが炭素数3〜6の分枝鎖状アルキル基であり、かつZが水素原子であることがさらに好ましい。
化合物(2−1)及び化合物(2−2)の液晶性に優れるという点で、Qは、それぞれ独立に、−S−、−NH−、−N(CH)−又は−O−であることが好ましい。Qは、−N=であることが好ましい。Q、Q中のR、Rが表す炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
組成物(1)から形成される光学フィルムの光学特性が優れるという点で、Yは下記の式(Y−1)〜(Y−3)で表される基のいずれかであることが好ましく、式(Y−3)で表される基がより好ましい。

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[式(Y−1)〜(Y−3)中、
は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、シアノ基、ニトロ基、−SO、−SOR、−SR、−OR、カルボキシ基又は−NRを表す。
それぞれのZは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
は、−CR−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
、R及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。
*は、結合手を表す。]
が表す炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。Rが表す炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。Rが表す炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、−R、シアノ基、ニトロ基、−SO、−SOR、−SR、−OR、カルボキシ基又は−NRが挙げられる。
11、X21、及びX22が、置換基として芳香族複素環基を有する2価の芳香族基である場合、当該芳香族基は、上記した芳香族基又はヘテロ原子を含む芳香族複素環化合物から誘導される2価の基であることができる。この場合、芳香族複素環基は、2価の芳香族基の置換基となる。当該芳香族複素環基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を1以上有することがより好ましく、2以上有することがさらに好ましい。通常、ヘテロ原子の数は7以下である。当該芳香族複素環基は、下記の式(X−2)で表される基であることが好ましく、ベンゾチアゾール基であることが好ましい。
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[式(X−2)中、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
は、−CR−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
は、−CR=または−N=を表す。
は、−S−、−NR−、−NR−N=CR−又は−O−を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。該アルキル基を構成する炭素原子は第二級アミノ基、酸素原子、硫黄原子に置換されても良く、該アルキル基を構成する水素原子は、−O−(CO)−Rで置換されていても良い。nは0〜4の整数を表し、R は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
*は、結合手を表す。]
組成物(1)において、溶剤への化合物(2−1)の溶解性がより向上するという点で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された化合物(2−2)の面積値が、化合物(2−1)、及び化合物式(2−2)の面積値の総和に対して0.01%以上50%以下であることが好ましく、0.01%以上30%以下であることがより好ましく、0.01%以上20%以下であることがさらに好ましい。本明細書において、HPLCの方法としては、後述する実施例に記載の方法が挙げられる。
本発明によれば、例えば25℃にけるN-メチルピロリドンに、化合物(2−1)と化合物(2−2)を溶解させたとき、化合物(2−1)のみを溶解させた場合に比べて、化合物(2−1)は1.05倍以上溶解する。
式(2−1)、及び式(2−2)中の、*−O−CO−G11−E11−(A11−B11m11−F11−P11、*−O−CO−G12−E12−(A12−B12m12−F12−P12、*−O−CO−G21−E21−(A21−B21m21−F21−P21、*−O−CO−G22−E22−(A22−B22m22−F22−P22の具体例としては、式(R−1)〜(R−104)で表される基が挙げられる。*(アスタリスク)はX11、X21、またはX22への結合手を表す。式(R−1)〜(R−104)におけるnは2〜12の整数を表す。なお、シクロヘキサン環はトランス体であっても、シス体であってもよいが、トランス体であることが好ましい。
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上記具体例のうち、化合物(2−1)及び化合物(2−2)の合成の工程数が少なく、組成物(1)から得られる光学フィルムの光学特性に優れるという点で、式(R−1)〜式(R−40)のいずれかで表される基が好ましく、式(R−1)〜式(R−36)のいずれかで表される基がより好ましい。
11が−O−CO−であり、E12が−CO−O−である場合、化合物(2−1)は、下記式(2−1)’で表すこともできる。すなわち、B’は、*−O−(A11−B11m11−F11−P11、及び*−O−(A12−B12m12−F12−P12を表し、C’は、*−CO−G11−CO−O−X11−O−CO−G12−CO−*を表す。B’、C’はそれぞれ、後述の式(B−1)〜(B−8)、及び式(C−1)〜(C−439)のいずれかで表される構造が挙げられる。*は連結部を表し、例えば式(B−1)と式(C−1)の組み合わせで表される化合物(2−1)’は、下記式(2−1−1)で表される化合物である。
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以下に、式(B−1)〜(B−8)の構造を示す。
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以下に、式(C−1)〜(C−439)の構造を示す。
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組成物(1)の製造方法について説明する。
組成物(1)に含まれる化合物(2−1)及び化合物(2−2)は、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応等)を、化合物(2−1)及び化合物(2−2)の構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
特にP11、P12、P21、及びP22が同一の基(P)であり、F11、F12、F21、及びF22が同一の基(F)であり、B11、B12、B21、及びB22が同一の基(B)であり、A11、A12、A21、及びA22が同一の基(A)であり、E11、E12、E21、及びE22が同一の基(E)であり、G11、G12、G21、及びG22が同一の基(G)であり、X11、X21、及びX22が同一の基(X)であり、m11、m12、m21、及びm22が同じ数字(m)である場合、組成物(1)に含まれる化合物(2−1)、化合物(2−2)は、下記式(1−1)で表される化合物(以下、化合物(1−1)ということがある)、及び式(1−2)で表される化合物(以下、化合物(1−2)ということがある)と、式(1−3)で表される化合物(以下、化合物(1−3)ということがある)とを反応させることで容易に得ることができる。

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式(1−1)、式(1−2)、及び式(1−3)中、B、E、G、A、F、m、P、W、Xはそれぞれ上記の添え字を付した、B、E、G、A、F、m、P、Xと同じ意味を表す。
組成物(1)に含まれる化合物(2−1)及び化合物(2−2)を得るために反応に供する化合物(1−2)の使用量は、化合物(1−1)100質量部に対して0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。組成物(1)を得るために反応に供する化合物(1−3)の使用量は、化合物(1−1)100質量部に対して1質量部以上70質量部以下であることが好ましく、10質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。
化合物(1−1)〜(1−3)の反応は、縮合剤の存在下に実施することが好ましい。
縮合剤としては、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−パラ−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(一部水溶性カルボジイミド:WSCとして市販されている)、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、等のカルボジイミド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、1,1’−オキサリルジイミダゾール、ジフェニルホスフォリルアジド、1(4−ニトロベンゼンスルフォニル)−1H−1、2、4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド、N−カルボベンゾキシスクシンイミド、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロホスフェート、2−クロロ−1−メチルピリジニウムアイオダイド、2−クロロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、2−フルオロ−1−メチルピリジニウム パラートルエンスルホネート、トリクロロ酢酸ペンタクロロフェニルエステル等が挙げられる。
反応性、コスト、使用できる溶媒の選択肢が多いという点で、縮合剤としてはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、2,2’−カルボニルビス−1H−イミダゾールが好ましい。
[溶剤]
組成物(1)は溶剤を含む。溶剤としては、組成物(1)中の固形分を溶解し得る溶剤であって、重合反応に不活性な溶剤であればよく、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非塩素化脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン、フェノール等の非塩素化芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤;フェノール;N−メチルピロリドン等のアミド溶剤等が挙げられる。溶剤は、単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。組成物(1)は、相溶性に優れ、アルコール溶剤、エステル溶剤、ケトン溶剤、非塩素化脂肪族炭化水素溶剤、及び非塩素化芳香族炭化水素溶剤に溶解し得るため、クロロホルム等の塩素化炭化水素溶剤を使用することなく、製膜することができる。
溶剤の含有量は、組成物(1)の全量に対して、好ましくは50〜98質量部であり、より好ましくは50〜95質量部である。
逆に、本発明の組成物中の固形分の濃度は、組成物(1)の全量に対して、好ましくは2〜50質量部であり、より好ましくは5〜50質量部である。組成物(1)から得られる光学フィルムが薄くなりすぎず、液晶パネルの光学補償のために必要な複屈折率を有する光学フィルムが得られやすいという点で、固形分の濃度が2質量部以上であることが好ましい。また、組成物の粘度が小さくなりすぎず、光学フィルムの膜厚のムラが生じにくくなるという点で、固形分の濃度が50質量部以下であることが好ましい。なお固形分とは、組成物(1)から溶剤を除いた量を意味する。
光学フィルムの膜厚のムラが生じにくくなるという点で、組成物(1)の粘度は、0.1〜10mPa・sが好ましく、0.1〜7mPa・sがより好ましい。このような範囲になるように溶剤の種類と量を選択することが好ましい。
〔液晶化合物(A)〕
組成物(1)は、組成物(1)から得られる光学フィルムの光学特性を調節しやすいという点で、化合物(1−1)及び化合物(1−2)以外の液晶化合物(以下「液晶化合物(A)」という場合がある。)を含有することが好ましい。
このような液晶化合物(A)の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性の、3.2 ノンキラル棒状液晶分子、3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物、特開2010−31223号公報に記載された化合物等が挙げられる。なかでも、重合性基を有している液晶化合物が好ましい。前記液晶化合物(A)は、単独で又は2種類以上を組み合わせてもよい。
化合物(A)は、以下の化合物が好ましい。
Figure 0006701696
組成物(1)が液晶化合物(A)を含む場合、液晶化合物(A)の含有量は、例えば組成物(1)中の固形分100質量部に対して、0.01〜90質量部であり、好ましくは0.01〜70質量部であり、さらに好ましくは0.01〜40質量部である。
本明細書において、化合物(2−1)、化合物(2−2)、及び液晶化合物(A)をまとめて液晶化合物成分と呼ぶことがある。
〔重合開始剤〕
組成物(1)は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、光重合開始剤を含むことが好ましく、光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられる。
ベンゾイン化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、α,α−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシ−1−エタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
トリアジン化合物としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、イルガキュア(登録商標)184、イルガキュア(登録商標)651、イルガキュア(登録商標)819、イルガキュア(登録商標)250、イルガキュア(登録商標)369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオール(登録商標)BZ、セイクオール(登録商標)Z、セイクオール(登録商標)BEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアー(登録商標)UVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマー(登録商標)SP−152又はアデカオプトマー(登録商標)SP−170(以上、全て株式会社ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)、TAZ−104(三和ケミカル社製)等の市販の光重合開始剤も使用することができる。
得られる光学フィルムの耐熱性及び耐湿熱性が高くなるという点で、光重合開始剤としては、アルキルフェノン化合物が好ましい。中でも2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オンがより好ましい。
組成物(1)が重合開始剤を含む場合、組成物(1)における重合開始剤の含有量は、固形分100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、好ましくは、0.5〜10質量部である。
〔光増感剤〕
組成物(1)は、光増感剤を含有してもよい。光増感剤としては、キサントン及びチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等)、アントラセン又はアルコキシ基等の置換基を有するアントラセン系化合物(例えば、ジブトキシアントラセン等)、フェノチアジン或いはルブレン等を挙げることができる。
組成物(1)が光増感剤を含む場合、組成物(1)に含まれる重合性液晶化合物成分の重合反応を高感度でおこなったり、重合して得られる光学フィルムの経時安定性を向上させたりすることができる。また組成物(1)が光増感剤を含む場合、光増感剤の含有量としては、固形分100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。
〔重合禁止剤〕
組成物(1)は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン又はアルコキシ基等の置換基を有するハイドロキノン化合物、ブチルカテコール等のアルキル基等の置換基を有するカテコール化合物、ピロガロール化合物、2,2、6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール化合物、β−ナフチルアミン化合物、β−ナフトール化合物等を挙げることができる。
重合禁止剤を含む場合、組成物(1)に含まれる重合性液晶化合物成分の重合を容易に制御することができる。組成物(1)が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、固形分100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。
〔レベリング剤〕
組成物(1)は、レベリング剤を含有してもよい。レベリング剤としては、放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング株式会社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越化学工業株式会社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)、フッ素系添加剤(DIC株式会社製:F−445、F−470、F−479)等を挙げることができる。
レベリング剤を含む場合、より平滑な光学フィルムを得ることができる。さらに光学フィルムの製造過程で、組成物(1)の流動性を制御したり、得られる光学フィルム中の架橋密度を調整したりすることができる。組成物(1)が、レベリング剤を含む場合、レベリング剤の含有量は、例えば固形分100質量部に対して、0.01〜30質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部であり、より好ましくは0.05〜1質量部である。
本発明の光学フィルムとは、組成物(1)から形成されるフィルム、すなわち化合物(2−1)の重合物及び化合物(2−2)重合物を含むフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムをいう。光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。例えば光学的な機能を有するフィルムの一種である位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために使用される。
本発明の光学フィルムは、化合物(2−1)及び化合物(2−2)に由来する構造単位を有する。該構造単位の割合を適宜変更することにより、光学フィルムの波長分散特性を調整することができる。光学フィルムに含まれる全構造単位中、化合物(2−1)及び化合物(2−2)に由来する構造単位の割合が多くなれば、長波長になるほど複屈折が大きくなる性質(いわゆる逆波長分散特性)を示しやすくなる傾向がある。
光学フィルムに所期の逆波長分散特性を付与する場合、以下の(a)〜(e)に示す手順により、組成物(1)における化合物(2−1)及び化合物(2−2)の含有量を決定すればよい。本発明の組成物(1)は、溶剤に対する溶解性が向上しているので、選択可能な逆波長分散特性の幅が広がった。
(a)化合物(2−1)及び化合物(2−2)の含有量が異なる組成物(1)を2〜5種類程度調製する、
(b)調製したそれぞれの組成物(1)について、同じ膜厚で光学フィルムを製造する、(c)(b)で得られた光学フィルムの位相差値を求める、
(d)(c)で得られた位相差値に基づいて、化合物(2−1)及び化合物(2−2)に由来する構造単位の含有量と光学フィルムの位相差値との相関を求める、
(e)(d)で得られた相関関係から、上記膜厚における光学フィルムに所望の位相差値を与えるために必要な化合物(2−1)、及び化合物(2−2)に由来する構造単位の含有量を決定する。
ある波長λにおける位相差値Re(λ)を550nmにおける位相差値Re(550)で除した値(Re(λ)/Re(550))が1に近い波長域や、[Re(450)/Re(550)]<1かつ[Re(650)/Re(550)]>1の逆波長分散性を示す波長域では、一様の偏光変換が可能である。
本発明の光学フィルムは、組成物(1)を基材に塗布し、乾燥し、光照射、及び/又は加熱することで、組成物(1)に含まれる液晶化合物成分を重合させることにより得られる。組成物(1)を塗布し、乾燥したフィルムがネマチック相等の液晶相を示す場合、得られる光学フィルムは、モノドメイン配向による複屈折性を示す。
組成物(1)に含まれる化合物(2−1)及び化合物(2−2)の含有量や基材上への組成物(1)の塗布量を適宜調整することにより、光学フィルムの膜厚を調製することができる。化合物(2−1)及び化合物(2−2)の比率が一定である場合、得られる光学フィルムの位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(7)
Re(λ)=d×Δn(λ) (7)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表わす。)
によって決定されるため、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚d、及びΔn(λ)を調整すればよい。
基材への組成物(1)の塗布方法としては、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。またディップコーター、バーコーター、スピンコーター等のコーターにより塗布する方法等が挙げられる。
上記基材としては、ガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム透光性フィルム等を挙げることができる。なお上記透光性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリフェニレンオキシドフィルム等が挙げられる。
光学フィルムの貼合工程、運搬工程、保管工程等、光学フィルムの強度が要求される工程においても、基材を使用することにより、破れ等がなく容易に本発明の光学フィルムを取り扱うことができる。
本発明の光学フィルムを製造する際には、基材上に配向膜を形成した後、該配向膜上に組成物(1)を塗布することが好ましい。配向膜は、組成物(1)の塗布時に、組成物(1)に溶解しない溶剤耐性を持つ配向膜であることが好ましい。さらに、配向膜は、溶剤の除去や液晶の配向の加熱処理における耐熱性をもつ配向膜であることがより好ましい。
ラビング時に、摩擦等による剥がれが起きない配向膜であることがさらに好ましい。かかる配向膜としては、配向性ポリマー又は配向性ポリマーを含有する組成物からなることが好ましい。
上記配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン、分子内にイミド結合を有するポリイミド、及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で使用してもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミン等による重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等で容易に得ることができる。
また、これらの配向性ポリマーは、通常溶剤に溶解して、溶液として使用する。溶剤としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非塩素化脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の非塩素化芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤;等が挙げられる。溶剤は、1種類を単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
配向膜は、市販の配向膜材料をそのまま使用して形成してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業株式会社製)、オプトマー(登録商標、JSR株式会社製)等が挙げられる。上記市販の配向膜を使用すると、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。それゆえ、基材上に表示装置の大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを提供することが可能である。
基材上に配向膜を形成する方法としては、例えば基材上に、市販の配向膜材料や配向膜の材料となる化合物を溶液にして塗布し、その後、アニールする等の方法が挙げられる。
配向膜の厚さは、通常10〜10000nmであり、好ましくは10〜1000nmである。上記範囲とすれば、重合性液晶化合物成分を該配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
必要に応じて、配向膜をラビング処理してもよいし、配向膜に偏光UV照射を行ってもよく、かかる処理により液晶化合物成分を所望の方向に配向させることができる。すなわち、製造した光学フィルムの複屈折状態を示す屈折率楕円体の形状や傾きを調整することができる。配向膜をラビングする方法としては、例えばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ搬送されている配向膜に接触させる方法が挙げられる。
溶剤の除去方法としては、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥等の方法が挙げられる。乾燥温度は、0〜250℃が好ましく、0〜200℃がより好ましく、30〜190℃がさらに好ましい。また乾燥時間としては、10秒間〜60分間が好ましく、30秒間〜30分間がより好ましい。乾燥温度、及び乾燥時間が上記範囲内であれば、上記基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない基材を使用できる。
乾燥後、組成物(1)に含まれる化合物(2−1)及び化合物(2−2)を重合させることにより、重合性液晶化合物の配向が固定された光学フィルムが得られる。本発明の光学フィルムは配向が固定されているため、熱による複屈折への影響を受けにくい。
組成物(1)に含まれる化合物(2−1)及び化合物(2−2)を重合させる方法は、化合物(2−1)及び化合物(2−2)の種類に応じて、適宜決定すればよい。化合物(2−1)及び化合物(2−2)が有する重合性基が光重合性であれば光重合法が適用され、該重合性基が熱重合性であれば熱重合法が適用される。低温で未重合フィルムを重合させることができ、基材の耐熱性の選択幅が広がるという点、工業的に製造が容易であるという点で、光重合法が好ましい。光重合は、未重合フィルムに可視光、紫外光等を照射することにより行われる。取り扱いやすいという点で、紫外光が好ましい。光照射は、化合物(2−1)及び化合物(2−2)が液晶相をとる温度で行うことが好ましい。マスキングして光照射を行う等によってパターニングされた光学フィルムを得ることもできる。
複屈折率Δn(λ)は、重合時の露光量、加熱温度、加熱時間適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように調製することができる。
配向膜を有する基材の配向膜上に光学フィルムを形成した場合、基材を剥離することにより、配向膜と本発明の光学フィルムとが積層されたフィルムが得られる。さらに、配向膜を剥離して、本発明の光学フィルムのみからなるフィルムを得ることもできる。
かくして得られた光学フィルムは、透明性に優れ、様々な表示装置用フィルムとして好適に使用できる。光学フィルムの厚みは、上記のとおり、光学フィルムの位相差値によって、異なるものであるが、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.2〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることが特に好ましい。このように本発明の光学フィルムは、ポリマーを延伸することによって位相差を与える延伸フィルムと比較して、より膜厚を薄くすることができる。
複屈折性を示す光学フィルムの位相差値としては、50〜500nmであり、好ましくは100〜300nmである。
このように、薄膜でより広い波長域において一様の偏光変換が可能な本発明の光学フィルムは、液晶パネルや有機ELパネル等の表示装置において、光学補償フィルムとして使用することができる。
本発明の光学フィルムは、広帯域λ/4板又はλ/2板として使用することができる。
広帯域λ/4板又はλ/2板として使用する場合には、光学フィルム中の化合物(2−1)、及び化合物(2−2)に由来する構造単位の含有量を上記方法により調節し、膜厚を調節すればよい。λ/4板に使用する場合、光学フィルムのRe(550)は、通常113〜163nmであり、好ましくは135〜140nmであり、特に好ましくは137.5nmである。λ/2板に使用する場合、光学フィルムのRe(550)は、通常250〜300nmであり、好ましくは273〜277nmであり、特に好ましくは275nmである。
本発明の光学フィルムは、VA(Vertical Alingment)モード用光学フィルムとして使用することもできる。VAモード用光学フィルムとして使用する場合には、本発明の化合物に由来する構造単位の含有量を適宜選択すればよい。得られる光学フィルムのRe(550)が、好ましくは40〜100nm、より好ましくは60〜80nmとなるように膜厚を調整すればよい。
本発明の光学フィルムは、アンチリフレクション(AR)フィルム等の反射防止フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、広帯域円偏光フィルム、視野角拡大フィルム、透過型液晶ディスプレイの視野角補償用光学補償フィルム等にも使用することができる。
本発明の光学フィルムは1枚でも優れた光学特性を示すが、複数枚を積層して使用してもよし、他のフィルムと組み合わせて使用してもよい。他のフィルムと組み合わせた具体例としては、偏光フィルムに本発明の光学フィルムを貼合させた楕円偏光板、偏光フィルムに本発明の光学フィルムを広帯域λ/4板として貼合させた広帯域円偏光板等が挙げられる。
本発明の光学フィルムは、基材又は配向膜上に塗布し、重合させることによって形成することができるため、図1に示すように従来よりも簡便にカラーフィルタ上に広帯域のλ/4、λ/2等の光学フィルムを形成することができる。
図1は、本発明にかかるカラーフィルタ1を示す概略図である。
カラーフィルタ1は、本発明の光学フィルム2が、配向膜3を介して該カラーフィルタ層4上に形成されてなるカラーフィルタである。
かかるカラーフィルタ1の製造方法の一例を説明する。まず、カラーフィルタ層4の上に配向性ポリマーを積層し、ラビング処理を施して、配向膜3を形成する。続いて、得られた配向膜3上に、組成物(1)を塗布して、光学フィルム2を形成する。
特に、光学フィルムの光学測定正面位相差値の比[Re(450)/Re(550)]であるαは、化合物(2−1)のみを用いた場合、すなわち化合物(2−2)を含まない場合に比べ、組成物(1)を用いた場合の方が0.001以上低くなる。
かかるカラーフィルタ1を使用することにより、より薄型の液晶表示装置を製造することが可能となる。その一例として、本発明に係る液晶表示装置5を示す概略図を図2に示す。
図2は、本発明にかかる液晶表示装置を示す概略図である。
図2に示す液晶表示装置5では、偏光板6上に、例えばバックライトと対向するガラス基板等の基板7が接着剤を介して固定されている。基板7上に作成されたカラーフィルタ層4’上に配向膜3’を介して光学フィルム2’が形成されている。さらに光学フィルム2’上に対向電極8が形成され、対向電極8上に液晶層9が形成されている。バックライト側の構成においては、偏光板10にガラス基板等の基板11が接着剤を介して固定されており、さらに基板11には液晶層9をアクティブ駆動させるための薄膜トランジスタ(TFT)、及び絶縁層12が形成され、さらにTFT上にAg、Al又はITO(Indium Tin Oxide)による透明電極、及び/又は反射電極13が形成されている。図2に示す液晶表示装置5の構成は、従来の液晶表示装置と比較して、光学フィルムの枚数が少ない構成であり、より薄型の液晶表示装置の製造が可能となる。
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルム、及び偏光機能を有するフィルム(偏光フィルム)を積層することにより得られる。具体的には、偏光フィルムの片面もしくは両面に直接、又は接着剤を用いて、本発明の光学フィルムを貼り合わせることにより得られる。
かかる偏光板も液晶表示装置に好適に組み込むことができる。本明細書において、粘接着剤層とは、接着剤層と粘着剤層との両方を意味し、適宜好ましい方を選択すればよい。以下、図3を参照して、本発明の偏光板について説明する。
図3(a)〜図3(e)は、本発明にかかる偏光板の一例を示す概略図である。
図3(a)に示す本発明の偏光板30aは、積層体14と、偏光フィルム15とが直接貼り合わされており、積層体14は、基材16、配向膜17、及び本発明の光学フィルム18からなる。偏光板30aは、基材16、配向膜17、本発明の光学フィルム18、偏光フィルム15の順に積層されている。
図3(b)に示す本発明の偏光板30bは、積層体14と偏光フィルム15とが、粘接着剤層19を介して貼り合わされている。
図3(c)に示す本発明の偏光板30cは、積層体14と積層体14’とが直接貼り合わされ、さらに積層体14’と偏光フィルム15とが直接貼り合わされている。積層体14’は、基材16’、配向膜17’、本発明の光学フィルム18’からなる。
図3(d)に示す本発明の偏光板30dは、積層体14と積層体14’とが粘接着剤層19を介して貼り合わされ、さらに積層体14’上に偏光フィルム15が直接貼り合わされている。
図3(e)に示す本発明の偏光板30eは、積層体14と積層体14’とを粘接着剤層19を介して貼り合わせ、さらに積層体14’と偏光フィルム15とを粘接着剤層19’を介して貼り合せた構成を示す。
偏光フィルム15は、偏光機能を有するフィルムであればよく、例えばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性色素を吸着させて延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸してヨウ素や二色性色素を吸着させたフィルム等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明について、より詳細に説明する。
例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
<HPLC測定>
HPLC測定は、化合物(2−1)、及び化合物(2−2)に由来するピークを分離できればいずれの条件でもよい。HPLC測定条件の一例を下記に示す。
カラム(L−Column ODS、内径3.0mm、長さ150mm、粒径3μm)を備えた島津製作所製HPLC LC−10ATにより、以下の測定条件でHPLC分析を行った。
(測定条件)
温度:40℃
移動相A:0.1%(v/v)−TFA/水
移動相B:0.1%(v/v)−TFA/アセトニトリル
グラジエント:0min 70%−B
30min 100%−B
60min 100%−B
60.01min 70%−B
75min 70%−B
流速:0.5mL/min
注入量:5μL
検出波長:254nm
<組成物(1)の合成例>
(実施例1)
下記のスキームにしたがって組成物(1)を製造した。なお式(1−1−1)で表される化合物(以下、化合物(1−1−1)という場合がある。)は化合物(1−1)の一例であり、式(1−2−1)で表される化合物(以下、化合物(1−2−1)という場合がある。)は化合物(1−2)の一例であり、式(1−3−1)で表される化合物(以下、化合物(1−3−1)という場合がある。)は化合物(1−3)の一例であり、式(2−1−2)で表される化合物(以下、化合物(2−1−2)という場合がある。)は化合物(2−1)の一例であり、式(2−2−1)で表される化合物(以下、化合物(2−2−1)という場合がある。)は化合物(2−2)の一例である。

Figure 0006701696

化合物(1−1−1)79.6g(190mmol)、化合物(1−2−1)0.41g(2.38mmol)及びクロロホルム429gを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気下で、60℃で1時間撹拌して、化合物(1−2−1)を溶解させた。その後該混合液を0℃に冷却した。
化合物(1−3−1)30.0g(96.4mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.12g(0.96mmol)、及びジブチルヒドロキシトルエン1.49g(6.74mmol)を前記混合液に加えた。該混合液にジイソプロピルカルボジイミド30.4g(241mmol)を0℃で攪拌しながら滴下し、0℃で3時間保温した。
前記混合液を25℃に加熱し、化合物(1−1−1)2.02g(4.82mmol)を加えた。
濾過器上にシルカゲル5.34gを敷いた後、混合液の濾過を行い、不溶成分を除去した。得られた混合液を、混合液が含有するクロロホルムの重量に対して6倍の重量のノルマルヘプタンに滴下し25℃で1時間以上保温した。続いて、濾過を実施して析出した固体を取り出した後、45℃で乾燥を行い、組成物(1−1)104.1gを得た。HPLC測定の結果、化合物(2−1−2)と化合物(2−2−1)との面積値の総和に対して、得られた組成物(1−1)には化合物(2−2−1)が3.45%含まれることが分かった。
(実施例2)
化合物(1−1−1)79.6g(190mmol)、化合物(1−2−1)0.65g(3.78mmol)、及びクロロホルム643gを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気下で、60℃で撹拌して、化合物(1−2−1)を溶解させた。その後混合液を30℃に冷却した。前記混合液の減圧濃縮を行い、溶媒214gを留去した。得られた混合液を0℃に冷却した。
化合物(1−3−1)30.0g(96.4mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.12g(0.96mmol)、及びジブチルヒドロキシトルエン1.49g(6.74mmol)を前記混合液に加え、混合した。ジイソプロピルカルボジイミド30.4g(241mmol)を混合液に0℃で攪拌させながら滴下し、0℃で3時間保温した。前記混合液を25℃に加熱し、化合物(1−1−1)2.02g(4.82mmol)を加えた。
濾過器上にシルカゲル5.34gを敷いた後、前記混合液の濾過を行い、不溶成分を除去した。得られた混合液を、混合液が含有するクロロホルムの重量に対して6倍の重量のノルマルヘプタンに滴下し25℃で1時間以上保温した。続いて、濾過を実施して析出した固体を取り出した後、45℃で乾燥を行い、組成物(1−2)104.3gを得た。HPLC測定の結果、化合物(2−1−2)と化合物(2−2−1)との面積値の総和に対して、得られた組成物(1−2)には化合物(2−2−1)が6.48%含まれることが分かった。
(実施例3)
下記のスキームにしたがって組成物(1)を製造した。なお式(1−2−2)で表される化合物(以下、化合物(1−2−2)という場合がある。)は化合物(1−2)の一例であり、式(2−2−2)で表される化合物(以下、化合物(2−2−2)という場合がある。)は化合物(2−2)の一例である。
Figure 0006701696

化合物(1−1−1)13.0g(31.2mmol)、化合物(1−2−2)0.39g(0.63mmol)及びクロロホルム64.3gを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気下で、60℃で1時間撹拌した。その後混合液を0℃に冷却した。
化合物(1−3−1)5.00g(16.1mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.020g(0.16mmol)、及びジブチルヒドロキシトルエン0.25g(1.12mmol)を前記混合液に加えた。ジイソプロピルカルボジイミド5.07g(40.1mmol)を混合液に0℃で攪拌させながら滴下し、0℃で3時間保温した。混合液を25℃に加熱し、化合物(1−1−1)1.01g(2.41mmol)を混合液に加えた。
濾過器上にシルカゲル0.80gを敷いた後、前記混合液の濾過を行い、不溶成分を除去した。得られた混合液を、含有するクロロホルムの重量に対して6倍の重量のノルマルヘプタンに滴下し25℃で1時間以上保温した。続いて、濾過を実施して析出した固体を取り出した後、45℃で乾燥を行い、組成物(1−3)17.1gを得た。HPLC測定の結果、化合物(2−1−2)と化合物(2−2−2)との面積値の総和に対して、得られた組成物(1−3)には化合物(2−2−2)が1.26%含まれることが分かった。
(実施例4)
下記のスキームにしたがって組成物(1)を製造した。式(1−2−3)で表される化合物(以下、化合物(1−2−3)という場合がある。)は化合物(1−2)の一例であり、式(2−2−3)で表される化合物(以下、化合物(2−2−3)という場合がある。)は化合物(2−2)の一例である。
Figure 0006701696

化合物(1−1−1)13.0g(31.2mmol)、化合物(1−2−3)0.32g(0.63mmol)、及びクロロホルム64.3gを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気下で、60℃で撹拌して、化合物(1−2−3)を溶解させた。その後混合液を0℃に冷却した。
化合物(1−3−1)5.00g(16.1mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.020g(0.16mmol)及びジブチルヒドロキシトルエン0.25g(1.12mmol)を前記混合液に加え、混合した。さらに、ジイソプロピルカルボジイミド5.07g(40.1mmol)を混合液に0℃で攪拌させながら滴下し、0℃で3時間保温した。混合液を25℃に加熱し、化合物(1−1−1)1.01g(2.41mmol)を混合液に加えた。
濾過器上にシルカゲル0.80gを敷いた後、混合液の濾過を行い、不溶成分を除去した。得られた混合液を、混合液が含有するクロロホルムの重量に対して6倍の重量のノルマルヘプタンに滴下し25℃で1時間以上保温した。続いて、濾過を実施して析出した固体を取り出した後、45℃で乾燥を行い、組成物(1−4)17.3gを得た。HPLC測定の結果、化合物(2−1−2)と化合物(2−2−3)との面積値の総和に対して、得られた組成物(1−4)には化合物(2−2−3)が5.93%含まれることが分かった。
(実施例5)
化合物(1−1−1)13.0g(31.2mmol)、化合物(1−2−3)0.83g(1.60mmol)、及びクロロホルム64.3gを混合した。得られた混合液を窒素雰囲気下で、60℃で撹拌して、化合物(1−2−3)で表される化合物を溶解させた。その後混合液を0℃に冷却した。
化合物(1−3−1)5.00g(16.1mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.020g(0.16mmol)及びジブチルヒドロキシトルエン0.25g(1.12mmol)を前記混合液に加え、混合した。さらに、ジイソプロピルカルボジイミド5.07g(40.1mmol)を混合液に0℃で攪拌させながら滴下し、0℃で3時間保温した。混合液を25℃に加熱し、化合物(1−1−1)1.01g(2.41mmol)を混合液に加えた。
濾過器上にシルカゲル0.80gを敷いた後、混合液の濾過を行い、不溶成分を除去した。得られた混合液を、混合液が含有するクロロホルムの重量に対して6倍の重量のノルマルヘプタンに滴下し25℃で1時間以上保温した。続いて、濾過を実施して析出した固体を取り出した後、45℃で乾燥を行い、組成物(1−5)17.2gを得た。HPLC測定の結果、化合物(2−1−2)と化合物(2−2−3)との面積値の総和に対して、得られた組成物(1−5)には化合物(2−2−3)で表される化合物が17.0%含まれることが分かった。
<化合物(2−1−2の溶解度測定)>
0℃に冷却したN-メチルピロリドンに組成物(1−1)を懸濁するまで加え、1時間撹拌した。その後、該懸濁液を25℃まで加温し、1時間以上保温した。
該懸濁液の上澄み液のHPLC測定を行い、上澄み液中の化合物(2−1−2)の含量を算出し、N-メチルピロリドンへの化合物(2−1−2)の溶解度を計算した。N-メチルピロリドンへの化合物(2−1−2)の溶解度と組成物(1−1)に含まれる化合物(2−1−2)、化合物(2−2−1)、化合物(2−2−2)、及び化合物(2−2−3)の含有割合との関係を表1に示す。
組成物(1−2)〜組成物(1−5)、化合物(2−1−2)の割合が100%である組成物(1−0)に対しても同様に、N-メチルピロリドンへの化合物(2−1−2)の溶解度を計算した。N-メチルピロリドンへの化合物(2−1−2)の溶解度と各組成物に含まれる化合物(2−1−2)、化合物(2−2−1)、化合物(2−2−2)、及び化合物(2−2−3)の含有割合との関係を表1に示す。
Figure 0006701696
N-メチルピロリドンへの化合物(2−1−2)の溶解度は、化合物(2−2−1)、化合物(2−2−2)、または化合物(2−2−3)を含む組成物の方が高い。化合物(2−2−1)、化合物(2−2−2)、及び化合物(2−2−3)中のWで表される基は、それぞれ構造が大きく異なるにもかかわらず、いずれの場合においても化合物(2−1−2)の溶解度が向上した。さらに、化合物(2−2−1)、化合物(2−2−3)の含有割合が多い組成物ほど、化合物(2−1−2)の溶解度が多い。
(実施例6)
[配向膜形成用組成物の調製]
下記成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、配向膜形成用組成物(1)を得た。下記光配向性材料は、特開2013−33248号公報記載の方法で合成した。
光配向性材料(5部):
Figure 0006701696
溶剤(95部):シクロペンタノン
<光学フィルムの製造例>
シクロオレフィンポリマーフィルム(COP)(ZF−14、日本ゼオン株式会社製)を、コロナ処理装置(AGF−B10、春日電機株式会社製)により出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回処理した。コロナ処理を施した表面に、配向膜形成用組成物(1)をバーコーターにより塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)により、100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を実施した。得られた配向膜の膜厚をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、100nmであった。続いて、配向膜上に表2に示す成分を混合した組成物(1−1−1)を、バーコーターをにより塗布し、120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュア(登録商標)VB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)をにより、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより光学フィルムを作製した。
(実施例7)
配向膜上に塗布する組成物を、表2に示す組成物(1−2−1)としたこと以外は、実施例6と同じようにして光学フィルムを作製した。
(比較例2)
配向膜上に塗布する組成物を、表2に示す組成物(1−0−1)としたこと以外は、実施例6と同じようにして光学フィルムを作製した。
Figure 0006701696
・LC242:下記式で示されるBASF社製の重合性液晶
Figure 0006701696
・重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369;BASFジャパン社製)
・レベリング剤:ポリアクリレート化合物(BYK−361N;ビックケミージャパン製)
・添加剤:多官能イソシアネート化合物(Laromer LR9000;BASF社製)
・溶剤:N-メチルピロリドン(NMP)
<光学特性の測定>
光学フィルムの正面位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)により測定した。尚、基材に使用したガラス基板には、複屈折性が無いため、ガラス基板付きフィルムを測定機で計測することにより、ガラス基板上に作製した光学フィルムの正面位相差値を得ることができる。得られた光学測定正面位相差値は、波長450nm、550nm、及び627nmにおいて、それぞれ測定し、[Re(450)/Re(550)](αとする)及び[Re(627)/Re(550)](βとする)を算出した。また、光学フィルムの膜厚d(μm)をレーザー顕微鏡(LEXT(登録商標)、オリンパス社製)により測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006701696
得られた光学フィルムのαが1以下であり、βの値が1以上であったことから、その屈折率は逆波長分散性を示すことが確認された。このことから、本発明の組成物から形成される光学フィルムは、広い波長域において一様の偏光変換が可能であることがわかる。さらに、得られた光学フィルムのαは、化合物(2−2−1)を含む組成物の方が低く、化合物(2−2−1)の含有割合が多い組成物ほど、光学フィルムのαが低い。
本発明の組成物によれば、重合性液晶化合物の溶剤に対する溶解性が向上した組成物を得ることができる。また、組成物が含む重合性液晶化合物の含有量を制御することで、該組成物を重合させ得られる光学フィルムの波長分散特性を任意に調整することができる。
1、1’ カラーフィルタ
2、2’、18、18’ 光学フィルム
3、3’、17、17’ 配向膜
4、4’ カラーフィルタ層
5 液晶表示装置
6、10 偏光板
7、11 基板
8 対向電極
9 液晶相
12 絶縁層
13 透明電極、及び/又は反射電極
14、14’ 積層体
15 偏光フィルム
16、16’ 基材
19、19’ 粘接着剤層
30a、30b、30c、30d、30e 偏光板

Claims (14)

  1. 式(2−1)で表される重合性液晶化合物、式(2−2)で表される重合性液晶化合物、及び溶剤を含み、
    高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された式(2−2)で表される化合物の面積値が、式(2−1)で表される化合物、及び式(2−2)で表される化合物の面積値の総和に対して0.01%以上、20%以下である
    組成物。
    Figure 0006701696

    Figure 0006701696
    [式(2−1)及び(2−2)中、
    m11、m12、m21、m22、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
    11、B12、B21、及びB22は、それぞれ独立に、−CR12−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR1−、−NR2−CO−、−O−CH2−、−CH2−O−、−S−CH2−、−CH2−S−又は単結合を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    11、E12、E21、及びE22は、それぞれ独立に、−CR12−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR1−、−NR2−CO−、−O−CH2−、−CH2−O−、−S−CH2−、−CH2−S−又は単結合を表す。
    11、G12、G21、及びG22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R3、−OR3、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよい。R3は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
    11、A12、A21、及びA22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R3、−OR3、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
    11、F12、F21、及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、−OR3又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH2−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
    11、P12、P21、及びP22は、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す。ただしP11およびP12のうち少なくとも1つは重合性基であり、P21及びP22のうちの少なくとも1つは重合性基である。
    Wは、それぞれ独立に、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、もしくは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表すか、または炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも2つの基が連結基で連結された基を表し、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R3、−OR3、シアノ基、又はニトロ基で置換されていてもよい。
    11、X21、及びX22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。]
  2. 11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、π電子を10〜30個有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも一つの原子を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、置換基として芳香族複素環基を有する、置換基を有していてもよい2価の芳香族基である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 11、X21、及びX22が、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 芳香族複素環基がベンゾチアゾール基である請求項4に記載の組成物。
  7. 芳香族複素環基がベンゾチアゾール基である請求項5に記載の組成物。
  8. 11、G12、G21、及びG22が、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイル基である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  9. Wが、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基あるいは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基であるか、または、1〜5個の炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、1〜5個の炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、および1〜5個の2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも2つの基が、−CR12−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR1−、−NR1−CO−、−O−CH2−、−CH2−O−、−S−CH2−、−CH2−S−またはイミド結合を介して連結した基であり、前記脂肪族炭化水素基、前記脂環式炭化水素基、及び前期芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R3、−OR3、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい請求項1〜8の何れかに記載の組成物。
  10. さらに重合開始剤を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
  11. 式(2−1)で表される重合性液晶化合物の重合物と、式(2−2)で表される重合性液晶化合物の重合物を含み、
    高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された式(2−2)で表される化合物の面積値が、式(2−1)で表される化合物、及び式(2−2)で表される化合物の面積値の総和に対して0.01%以上、20%以下である
    光学フィルム。
    Figure 0006701696

    Figure 0006701696
    [式(2−1)、(2−2)中、
    m11、m12、m21、m22、及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
    11、B12、B21、及びB22は、それぞれ独立に、−CR12−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR1−、−NR2−CO−、−O−CH2−、−CH2−O−、−S−CH2−、−CH2−S−又は単結合を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
    11、E12、E21、及びE22は、それぞれ独立に、−CR12−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR1−、−NR2−CO−、−O−CH2−、−CH2−O−、−S−CH2−、−CH2−S−又は単結合を表す。
    11、G12、G21、及びG22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R3、−OR3、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−、−S−又は−NH−で置換されていてもよい。R3は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
    11、A12、A21、及びA22は、それぞれ独立に、炭素数3〜16の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R3、−OR3、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよい。
    11、F12、F21、及びF22は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、−OR3又はハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH2−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
    11、P12、P21、及びP22は、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基を表す。ただしP11およびP12のうち少なくとも1つは重合性基であり、P21及びP22のうちの少なくとも1つは重合性基である。
    Wは、それぞれ独立に、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、もしくは炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基を表すか、または炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜13の2価の脂環式炭化水素基、及び炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも2つの基が連結基で連結された基を表し、該脂肪族炭化水素基、該脂環式炭化水素基及び該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R3、−OR3、シアノ基、又はニトロ基で置換されていてもよい。
    11、X21、及びX22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。]
  12. 請求項11に記載の光学フィルムを含むカラーフィルタ。
  13. 請求項11に記載の光学フィルムを含む偏光板。
  14. 請求項12に記載のカラーフィルタまたは請求項13に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
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