JP2009242540A - 組成物、光学フィルムとその製造方法、光学部材及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式(1)の化合物と式(2)の置換基を有する化合物とを含む組成物。
[式中、EWGは、ニトロ基等、p、q、s及びtは0〜4の整数、R’及びR”はC1〜4のアルキル基等、A3及びA11は、5〜20員環の2価の環状炭化水素基等、B1、B2、B3、B4、B11及びB12は、−O−、−S−、−C(=O)−等、nは1〜4の整数、E1及びE11は、炭素数1〜12のアルキレン基、E2は、水素、炭素数1〜12の鎖状又は環状アルキル基等、P及びP11は、水素原子又は式(P−1)〜(P−5)の基、mは1〜3の整数である。]
【選択図】なし
Description
このように用いられる重合性化合物としては、LC242(BASF社製)が市販されている(非特許文献1)。
式(1)で表される化合物と式(2)で表される置換基を有する化合物(ただし、式(1)で表される化合物とは異なる)とを含むことを特徴とする。
EWGは、それぞれ独立に、ニトロ基、ニトリル基又はトリフルオロメチル基を表す。
p及びqは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。但し、1≦p+q≦8である。
R’及びR”は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。s及びtが2〜4の場合には、R’及びR”は、互いに同一でも異なっていてもよい。
A3及びA11は、それぞれ独立に、5〜20員環の2価の環状炭化水素基又は5〜20員環の2価の複素環基を表す。該環状炭化水素基及び複素環基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ニトリル基、ニトロ基又はハロゲン原子が置換されていてもよい。
B1、B2及びB3は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NR1−、−NR1−C(=O)−、−OCH2−、−O−C(=O)−O−又は単結合を表す。ここで、R1は、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
B4は、−CR1R2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−C(=O)−NR1−、−NR1−C(=O)−、−OCH2−、−NR1−、−CH2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
nは1〜4いずれかの整数を表す。nが2〜4の場合には、A3及びB4からなる構造単位は、互いに同一でも異なっていてもよい。
E1は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子が置換されていてもよい。
E2は、水素原子、炭素数1〜12の鎖状又は環状アルキル基、炭素数2〜12の不飽和炭化水素基を表し、該アルキル基及び不飽和炭化水素基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子が置換されていてもよい。
Pは、水素原子又は式(P−1)〜(P−5)で表される基である。
B11及びB12は、それぞれ独立に、−CR11R12−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR11−、−NR11−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−NR11−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はR11とR12とが結合して炭素数5〜7のアルキレン基を表す。
E11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子が置換されていてもよく、−O−又は−C(=O)−を含んでいてもよい。
mは1〜3の整数を表す。mが2又は3の場合には、A11及びB11からなる構造単位は、互いに同一でも異なっていてもよい。
P11は、式(P−1)〜(P−5)で表される基を表す。]
P11−E11−(B11−A11)m−B12−E12−P12 (2A)
P11−E11−(B11−A11)m−B12−F11 (2B)
[式中、P11、E11、B11、A11、B12及びmは、上記と同じ意味を表す。
E12はE11と同じ意味を、P12はP11と同じ意味を表す。
F11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、水酸基、カルボン酸、カルボン酸エステル又はハロゲン原子を表す。]
このフィルムでは、フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が113〜163nmであるλ/4板として機能するか、フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであるλ/2板として機能するものが好ましい。
さらに、本発明のフラットパネル表示装置は、上記偏光板又は光学部材を搭載することを特徴とする。
さらに、本発明のフィルムの製造方法は、上記未重合フィルムを重合により硬化させることを特徴とする。
環状アルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が例示される。
2価の環状炭化水素基としては、下記式で表される基が例示される。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、3−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基等が挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、ビニル基、プロピニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、エチニル基、プロピニル基等が挙げられる。
なお、本明細書では、いずれの化学構造式においても、炭素数によって異なるが、特に断りのない限り、アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、2価の環状炭化水素基、2価の複素環基、ハロゲン原子、アルキレン基、不飽和炭化水素基等は、上記と同様のものが例示される。また、直鎖又は分岐の双方をとることができるものは、そのいずれをも含む。
p=q=1の場合、ベンゼン環におけるEWGの結合位置は、特に限定されず、左右異なっていてもよいが、双方とも、下記式のii位の炭素原子の位置に結合することが合成が容易な点で好ましい。
R’及びR”としては、メチル基、エチル基等が好ましい。
また、s及びtとして、s=t=0又は1が好ましい。特に、s=t=1の場合、ベンゼン環における置換基R’又はR”の結合位置は、特に限定されず、左右異なっていてもよいが、双方とも、下記式の3位の炭素原子の位置に結合することが合成が容易な点で好ましい。
E1のアルキレン基は、置換されていてもよいが、無置換のものが好ましい。
また、E11に置換基が置換されている場合には、置換基は、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子であることが好ましい。
Pとしては、式(2)の置換基を含む化合物と互いに共重合しやすく、得られる光学フィルム中に化合物(1)に由来する構造単位を固定化しやすい傾向があることから、式(P−1)〜(P−5)で表される基であることが好ましく、特に、容易に光重合させることができることから、式(P−1)で表される基が好ましい。
P11は、上述したPと同様に、かつ安定性の面から、式(P−1)で表される基が好ましい。
B1が、−OC(=O)−であれば、B1−(A3−B4)n−E1−B3−Pの構造を与える化合物として対応するカルボン酸、カルボン酸塩化物、カルボン酸無水物又はカルボン酸のメシチル化された化合物などを用いてモノフェノール中間体とエステル化すればよい。
B1が、−O−であれば、B1−(A3−B4)n−E1−B3−Pの構造を与える化合物として対応するハロゲン化物を用いてエーテル化すればよい。
なお、このような置換基を含む化合物の末端の置換基、つまりB12に結合される末端の置換基は、−E11−P11のように、式(2)を構成する置換基が対称に結合されるものであってもよいし、あるいは、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸、カルボン酸エステル、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基等であってもよい。
P11−E11−(B11−A11)m−B12−E12−P12 (2A)
P11−E11−(B11−A11)m−B12−F11 (2B)
[式中、P11、E11、B11、A11、B12及びmは、上記と同じ意味を表す。
E12はE11と同じ意味を、P12はP11と同じ意味を表す。
F11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、水酸基、カルボン酸、カルボン酸エステル又はハロゲン原子を表す。]
B12が、−OC(=O)−であれば、P11-E11-(B11-A11)m-B12-Hの構造を与える化合物として(6−A−1)〜(6−A−10)のようなフェノール誘導体などを用いて対応するジカルボン酸誘導体(2−A−13)〜(2−A−18)や(2−A−20)とエステル化すればよい。
B12が、−OC(=O)−であれば、P11-E11-(B11-A11)m-B12の構造を与える化合物(6−A−1)〜(6−A−10)のようなフェノール誘導体などを用いて対応するカルボン酸誘導体(3A−A−13)〜(3A−A−24)などとエステル化すればよい。
B12が、−OC(=O)−であれば、P11-E11-(B11-A11)m-B12の構造を与える化合物(6−A−1)〜(6−A−10)のようなフェノール誘導体などを用いて対応するカルボン酸誘導体(3−B−1)〜(3−B−8)などとエステル化すればよい。
本発明の組成物は、通常、重合させるための重合開始剤、特に光重合開始剤を加えることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられ、より具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、及びイルガキュア369(以上、全てチバスペシャルティケミカルズ社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て旭電化)などを挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、通常、本発明の組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、組成物の配向性を乱すことなく、組成物を重合させることができる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6、−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類又はβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を含有することにより、本発明の組成物の重合を制御することができ、得られる光学フィルムの安定性及び塗布前の組成物の保存安定性を向上させることができる。
重合禁止剤の使用量は、通常、本発明の組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、組成物の配向性を乱すことなく、本発明の組成物を重合させることができる。
光増感剤としては、例えば、キサントン又はチオキサントン等のキサントン類、アントラセン又はアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン、ルブレン等を挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、組成物の重合を高感度化することができる。
光増感剤の使用量は、本発明の組成物の合計100重量部に対して、通常、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、組成物の配向性を乱すことなく、組成物を重合させることができる。
ベリング剤としては、例えば、放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352、BYK−353、BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越シリコーン社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(大日本インキ化学工業製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。
レベリング剤を用いることにより、光学フィルムを平滑化することができる。さらに、光学フィルムの製造過程で、組成物溶液の流動性を制御したり、組成物を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整することができる。
レベリング剤の使用量は、通常、本発明の組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、組成物の配向性を乱すことなく、組成物を重合させることができる。
有機溶媒としては、本発明の組成物、任意に添加剤等を溶解し得る有機溶媒であればどのようなものを用いてもよい。具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ若しくはブチルセロソルブなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン若しくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン若しくはメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン若しくはヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル、クロロホルム又はフェノールなどが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。なかでも、本発明の組成物との相溶性に優れることから、アルコール、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、非塩素系脂肪族炭化水素溶媒及び非塩素系芳香族炭化水素溶媒等が好ましく、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素を用いなくても溶解して塗工させることができる。
架橋剤としては、特に限定されるものではなく、当該分野で公知のもの、例えば、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ウレタンアクリレート類、ポリイソシアネート類、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。より具体的には、トリアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:CBX−1N、CBX−0、A−TMPT−3EO、A−TMPT−6EO、A−TMPT−9EO、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMM−3LMN、A−GLY−3E、A−GLY−6E、A−GLY−9E、A−GLY−20E、TM−4EL、SARTOMER社製:SR499、SR502、SR9035、SR368)、テトラアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:ATM−4E,ATM−35E)、ペンタアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:A−9530、SARTOMER社製:SR399E)、ヘキサアクリレート類(新中村化学工業株式会社製:A−DPH−6E、A−DPH−12E、A−DPH−6P、共栄社化学株式会社製:UA−306H、UA−306I、日本化薬株式会社製:DPCA−60、DPCA−120)などを挙げることができる。
架橋剤を用いることにより、組成物を重合して得られるフィルムの架橋密度を調整することができる。そのため、架橋密度を向上させれば、フィルムの耐久性・信頼性を向上させることができる。
架橋剤の使用量は、通常、本発明の組成物の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、組成物の配向性を乱すことなく、組成物を重合させることができる
まず、本発明の組成物、任意に、上述した重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、有機溶媒、架橋剤等の添加剤の1種以上が混された組成物の溶液を調製する。ただし、組成物の溶液を成膜し、乾燥した後に、液晶性を損なわないものを用いることが必要である。特に、有機溶媒は、成膜が容易となることから、重合開始剤は、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから、含有されていることが好ましい。
また、組成物溶液における固形分の濃度は、通常、5〜50重量%とすることが適している。固形分の濃度をこの程度の範囲とすることにより、光学フィルムの膜厚にムラが生じにくく、適切な膜厚に調整することが容易となり、液晶パネルの光学補償に必要な光学異方性を与えることができる。
組成物から得られるフィルムは、貼合、運搬、保管等、強度が必要な場合があるため、支持基材を用いることにより、フィルムが破れず、取り扱いが容易となる。
配向膜は、本発明の組成物を含有する溶液の塗工等により溶解しない溶剤耐性を有し、溶媒の除去、液晶の配向の加熱処理による耐熱性を有し、ラビングによる摩擦などによる剥がれ等が起きないこと等が必要であり、ポリマーと、任意に溶媒とを含有する組成物によって形成することができる。
配向膜を形成するポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーが挙げられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合又は開環重合等で容易に得ることができる。
また、配向膜を形成するために、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学社製)、オプトマー(登録商標、JSR製)などが挙げられる。
得られる配向膜の厚さは、通常、10nm〜10000nm程度が適しており、10nm〜1000nm程度が好ましい。上記範囲とすれば、後述する未重合フィルム調製工程において、本発明の組成物から形成されるフィルムを配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
また、これら配向膜は、必要に応じてラビング又は偏光紫外線照射を行うことができる。これにより、本発明の組成物から形成されるフィルムを所望の方向に配向させることができる。
配向膜をラビングする方法としては、例えば、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。
このように、配向膜を用いることにより、容易に液晶の配向をホモジニアス配向、ホメオトロピック配向、ハイブリッド配向など、所望の配向を得ることができるため、延伸による屈折率制御を行う必要がない。そのため、複屈折の面内ばらつきが小さい均一性に優れた光学フィルムが得られる。その結果、支持基材上に、FPDの大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを形成することが可能となる。
溶媒の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などが挙げられる。具体的な加熱温度は、10〜120℃程度が適しており、25〜80℃程度が好ましい。加熱時間は、10秒間〜60分間程度が適しており、30秒間〜30分間程度が好ましい。加熱温度及び加熱時間が、上記範囲内であれば、上記支持基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。
成膜性の観点から、光重合が好ましく、取り扱い性の観点から、紫外光による重合がより好ましい。
このような方法としては、例えば、配向膜が形成された支持基材の配向膜上に、本発明の組成物の溶液を塗工し、乾燥する方法、液晶セルを作製し、この液晶セルに組成物を注入して、液晶層として形成する方法等が挙げられる。特に、支持基材の上に形成した配向膜上に未重合フィルムを得る方法は、生産コストを低減することができ、ロールフィルムでのフィルムの生産が可能となり、製造効率が良好であることから好ましい。
得られた未重合のフィルムにおいて、本発明の組成物はネマチック相などの液晶相を示し、モノドメイン配向による複屈折性を有する。この未重合フィルムは0〜120℃程度、好ましくは、25〜100℃の低温で配向することから、耐熱性に関して必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。また、配向後、さらに30〜10℃程度に冷却しても結晶化することがない。
未重合フィルムを重合させる方法は、組成物に含まれる化合物の種類に応じて、適宜調整することができる。例えば、光重合、熱重合が挙げられる。なかでも、光重合が好ましい。これにより、低温で、未重合フィルムを重合させることができるので、支持基材の耐熱性の選択幅が広がる。また、工業的にも製造が容易となる。
未重合フィルムを光重合させる方法は、例えば、未重合フィルムに紫外線を照射することにより、未重合フィルムを重合させる方法などが挙げられる。未重合フィルムの重合工程において、組成物を光重合によって架橋させることにより、その後の工程等における熱による複屈折の変化の影響を受けにくくなる。
このような光学フィルムとしては、優れた波長分散特性を有する光学フィルムが挙げられ、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、視野角拡大フィルム及び透過型液晶ディスプレイの視野角補償用光学補償フィルムなどが例示される。
例えば、偏光フィルムに本発明のフィルムを貼合して楕円偏光板として用いることができる。また、この楕円偏光板にさらに本発明のフィルムを広帯域λ/4板として貼合して広帯域円偏光板として利用することができる。
特に、本発明のフィルムを、広帯域λ/4板又はλ/2板として使用するためには、本発明の組成物に含まれる化合物(1)及び式(2)の置換基を含む化合物に由来する構造単位の含有量を適宜調整し、フィルムの膜厚を調整し、位相差値を調整すればよい。
具体的には、λ/4板の場合には、得られるフィルムのRe(550)を113〜163nm、好ましくは135〜140nm、より好ましくは約137.5nm程度に調整すればよい。λ/2板の場合には、得られるフィルムのRe(550)を250〜300nm、好ましくは273〜277nm、より好ましくは約275nm程度となるように調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (6)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける屈折率異方性を表す。)
従って、位相差値を大きくするためには膜厚を大きくし、位相差値を小さくするためには、膜厚を小さくすればよい。
配向膜を用いて複屈折性を有する場合には、通常、位相差値としては、50〜500nm程度であり、好ましくは100〜300nmである。
このように、本発明のフィルムは、延伸フィルムで同等の位相差値を有するフィルムと比較して、薄膜とすることができる。また、位相差値の波長依存性を低減することができる。
偏光板は、本発明のフィルム1と、偏光機能を有するフィルム、すなわち偏光フィルム2とを直接張り合わせたもの(図1(a))、フィルム1と偏光フィルム2とを、接着剤3を介して貼り合わされたもの(図1(b))、フィルム1とフィルム1’と偏光フィルム2とをこの順で直接貼り合わせたもの(図1(c))、フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’上に偏光フィルム2を直接貼り合わせたもの(図1(d))、光学フィルム1と光学フィルム1’と偏光フィルム2とを、この順に、それぞれ接着剤3、3’を介して貼り合せたもの(図1(e))等が挙げられる。
また、光学フィルム1として、支持基材13と、支持基材13の表面上に形成された配向膜12と、配向膜12の表面上に形成された液晶層11とからなるフィルムが用いられてもよい。具体的には、このようなフィルムにおける支持基材13に、接着剤層3’を介して偏光フィルム層2が貼り合わせているもの(図2(h))が挙げられる。
図2(j)では、光学フィルム1’として液晶層11’からなるフィルムを用い、光学フィルム1として液晶層11、配向膜12及び支持基材13からなるフィルムを用いており、図2(k)では、光学フィルム1’として液晶層11’、配向膜12及び支持基材13からなるフィルムを用い、光学フィルム1として液晶層11からなるフィルムを用いている以外、図2(g)と同様の構造である。
接着剤層3及び接着剤層3’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系あるいはウレタン系接着剤などが用いられる。
光学部材は、図3に示すように、本発明のフィルムと、カラーフィルタとを含んで構成することができる。
支持基材13上にカラーフィルタ8と、本発明のフィルム1とをこの順に積層したもの(図3(a))、支持基材13上に本発明のフィルム1とカラーフィルタ8とをこの順に積層したもの(図3(b))が挙げられる。
また、カラーフィルタ8と液晶層11との間、支持基材13と液晶層11との間に、それぞれ配向膜12を積層したもの(図3(c)及び図3(d)参照)が挙げられる。これにより、液晶層11は良好な配向が得られる。
例えば、上述した偏光板と、液晶パネルとが貼り合わされた液晶パネルを備える液晶表示装置(LCD)、上述した偏光板と、発光層とが貼り合わされた有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)、さらにカラーフィルタを備えるLCD及びEL等が挙げられる。
LCDとしては、例えば、図4に示すように、本発明の偏光板4と液晶パネル6とを、接着層5を介して貼り合わせて構成されるものが挙げられる。
この構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子を駆動させ、光シャッター効果を発揮させることができる。
ELとしては、例えば、図5に示すように、本発明の偏光板4と、発光層7とを、接着剤層5を介して貼り合わせて構成されるものが挙げられる。有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、偏光板4は、広帯域円偏光板として機能する。また、発光層7は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層により構成される。
<式(1)の化合物(J−1)の製造例>
化合物(J−1)は以下の構造である。
4−ヒドロキシ安息香酸エチル169g(1.02mol)、炭酸カリウム211g(1.53mol)、N,N−ジメチルアセトアミド847gを加え、80℃に昇温した。続いて、6−ブロモヘキサノール277g(1.53mol)を2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間攪拌した。冷却後、反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗した後、溶媒を留去することにより4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチル(PG−a)を主成分とする無色透明な液体377gを得た。
前項で得られた(PG−a)を主成分とする無色透明な液体377gにメタノール905gと水181gを添加し攪拌した。次いで、水酸化カリウムを飽和状態で含有するメタノール溶液2092g(溶液中水酸化カリウム397g(7.08mol))を滴下し、約70℃で5時間攪拌した。冷却後、35%塩酸を718gゆっくりと加えた。析出した白色固体を水洗しながら濾別し、50℃の減圧下で乾燥させることにより4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸(PG−b)の白色固体228gを得た。収率は4−ヒドロキシ安息香酸エチル基準で94%であった。
前項で得られた(PG−b)の白色固体228g(0.96mol)とN,N−ジメチルアニリン244g(2.01mol)を格納した容器内を窒素置換した後、1,4−ジオキサン2282gで溶解させた。反応溶液を70℃に昇温し、アクリル酸クロリド173g(1.92mol)を30分かけて滴下し、さらに2時間攪拌させた。冷却後、反応溶液を氷水に注いだ後、酢酸エチルを加えて分液抽出して有機層を取り出した。得られた有機層を水洗した後、減圧下、溶媒を留去させることにより4−(6−アクリロイルヘキシルオキシ)安息香酸(PG−c)の白色固体109g(0.37mol)を得た。収率は(PG−b)基準で39%であった。
4−ヒドロキシ安息香酸166g(1.2mol)とトリエチルアミン121g(1.2mol)とクロロホルム1193gを容器内に入れ攪拌した。室温で、クロロメチルエチルエーテル113g(1.2mol)とクロロホルム298gの混合溶液を30分かけて滴下し、さらに2時間攪拌させた。冷却後、反応溶液を水、塩酸水溶液、炭酸ナトリウム水溶液の順に分液洗浄し、有機層を取り出した。有機層を減圧下、溶媒を留去させることにより4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体を251g得た。
前項で得られた4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体124gに、前項で得られた(PG−c)の白色固体147g(0.50mol)、4−ジメチルアミノピリジン7.7(63mmol)、クロロホルム824gを加えた。続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)123g(0.60mol)をクロロホルム165gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、濾過して固形物を取り除いて得られた有機層を、2N塩酸989gで2回分液洗浄した。洗浄した有機層は、溶媒を留去し、237gの淡黄色液体を得た。
得られた液体にエタノール474gとパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩12.7g(50mmol)を加え、60℃で3時間攪拌した。その反応溶液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出するため、濾過をして、固形物を取り出した。得られた固形物をエタノールで入念に洗浄した後、乾燥すると、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)が180g得られた。収率は(PG−c)基準で86%であった。
容器に、2,7−ジニトロ−9−フルオレノン25.0g(93mmol)、フェノール87g(925mmol)、3−メルカプトプロピオン酸0.49g(5mmol)、硫酸4.5gを混合し、90℃にて3時間攪拌した。その反応溶液を、メタノール35gと水70gが入った容器に添加したところ、結晶が析出した。その結晶を濾別すると、黄色結晶である2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが24.1g(55mmol)収率は2,7−ジニトロ−9−フルオレノン基準で59%であった。
2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン15.0g(34mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド75g、炭酸カリウム7.1g(51mmol)、沃化エチル5.3g(34mmol)が格納された容器を70℃に加熱し、3時間熟成させた。冷却後、その反応溶液に、メチルイソブチルケトン75gと1N塩酸105gを加え攪拌し、分液を行なった。得られた有機層を1N塩酸105gで2回分液洗浄を行ない、有機層を取り出した。得られた有機層を濃縮し、ノルマルヘプタンを加え晶析させ、黄色結晶を15.7g得た。得られた結晶からをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにて精製すると、黄色結晶である(J−1A)が、6.5g得られた。収率は2,7−ジニトロ−9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン基準で41%であった。
容器に、(J−1A)5.6g(12mmol)、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)5.9g(14mmol)4−ジメチルアミノピリジン0.2g(1mmol)及びクロロホルム48gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)3.3g(16mmol)をクロロホルム12gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、2N塩酸を59g添加した後に、濾過して固形物を取り除き、濾液を分液し、有機層を取り出した。得られた有機層に2N塩酸を59g添加し分液洗浄した後に、溶媒を留去し、メタノールに添加し、固形物を取得した。取得した固形物は、メタノールで入念に洗浄した。淡黄色固体である本化合物(J−1)4.6gを得た。収率は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン基準で44%であった。
容器に、4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル6.8g(35mmol)、(4−(6−アクリルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(PG−c)12.3g(42mmol)4−ジメチルアミノピリジン0.5g(4mmol)及びクロロホルム98gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)10.4g(50mmol)をクロロホルム25gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、2N塩酸を123g添加した後に、濾過して固形物を取り除き、濾液を分液し、有機層を取り出した。得られた有機層に2N塩酸を123g添加し分液洗浄した後に、溶媒を留去し、メタノールに添加し、固形物を取得した。取得した固形物は、メタノールで入念に洗浄した。白色固体である化合物(J−3−1)14.7gを得た。収率は4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル基準で91%であった。
なお、(J−3−1)は、昇温時、113℃〜210℃の温度で液晶相を示した。
(J−3−1の合成例)に用いた、4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニルを4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニルに変えた以外は同様の方法で(J−3−2)を合成した。得られた白色固体である化合物(J−3−2)の収率は4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル基準で76%であった。
なお、(J−3−2)は、昇温時、103℃〜187℃の温度で液晶相を示した。
モノテトラヒドロピラニル保護ヒドロキノン(PG−i)は特許文献(特開2004−262884)に記載されている方法により合成した。
4−ヒドロキシ安息香酸エチル150g(0.90mol)、炭酸カリウム187g(1.35mol)、酢酸−4−クロロブチル150g(0.99mol)N,N−ジメチルアセトアミド450gを加え、100℃で14時間攪拌した。冷却後、反応溶液にメチルイソブチルケトン450gを注ぎ、濾過を行なった。得られたろ液に水に注ぎ、分液水洗を行い、有機層を取り出した。その後数回、有機層を水洗したのち、溶媒を留去することにより(PG−f)を主成分とする無色透明な液体257gを得た。
前項で得られた(PG−f)を主成分とする無色透明な液体257gにメタノール770gと水513gを添加し攪拌した。次いで、水酸化ナトリウムを110g(2.75mol))を滴下し、約65℃で2時間攪拌した。冷却後、35%塩酸をpHが2以下になるまでゆっくりと加えた。析出した白色固体を水洗しながら濾別し、50℃の減圧下で、乾燥させることにより(PG−g)の白色固体181gを得た。収率は4−ヒドロキシ安息香酸エチル基準で94%であった。
前項で得られた(PG−g)の白色固体 181g(0.86mol)とN,N−ジメチルアニリン157g(1.29mol)を格納した容器内を窒素置換した後、N,N−ジメチルアセトアミド1450gで溶解させた。反応溶液を0℃に冷却し、アクリル酸クロリド117g(1.29mol)をゆっくり滴下し、さらに2時間攪拌させた。反応終了後、反応溶液に1N塩酸を加えると結晶が析出するため、濾過により、結晶を取り出した。結晶は、酢酸エチルを加えて溶解し、2回水洗した後、減圧下、溶媒を留去させることにより(PG−h)の白色固体175g(0.66mol)を得た。収率は(PG−g)基準で77%であった。
特許文献(特開2004−262884)の合成法により得られたモノテトラヒドロピラニル保護ヒドロキノン(PG−i)25.3g(130mmol)に、前項で得られた(PG−g)の白色固体 31.4g(124mmol)、4−ジメチルアミノピリジン1.5(12mmol)、クロロホルム251gを加えた。続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)30.6g(148mmol)をクロロホルム63gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、2N塩酸314gを加えた後、濾過して固形物を取り除いて得られた液体を、分液して有機層を得た。洗浄した有機層から、溶媒を少し留去し、100gの淡黄色液体を得た。
得られた液体にテトラヒドロフラン229gと2N塩酸229gを加え、60℃で3時間攪拌した。その反応溶液を室温まで冷却し、分液をして、有機層を取り出した。取り出した有機層は、ノルマルヘプタンにチャージしたところ、白色固体が析出したため、固形物を取り出した。得られた固形物をエタノールで入念に洗浄した後、乾燥すると、(PG−j)が45.7g得られた。収率は(PG−i)基準で80%であった。
容器に、(PG−j)10.7g(30mmol)、トランス−4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸4.4g(24mmol)4−ジメチルアミノピリジン0.3g(2mmol)及びクロロホルム35gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)5.9g(29mmol)をクロロホルム9gに溶解させ、室温で滴下し、48時間攪拌した。その後、2N塩酸を44g添加した後に、濾過して固形物を取り除き、濾液を分液し、有機層を取り出した。得られた有機層の溶媒を留去し、メタノールに添加したところ、白色固体が析出したため、濾別して固形物を取得した。取得した固形物は、メタノールで入念に洗浄した。その後、乾燥して白色固体である化合物(J−3−3)3.3gを得た。収率は(PG−j)基準で21%であった。
なお、(J−3−3)は、昇温時、76℃〜237℃の温度で液晶相を示した。
容器に、4−ヒドロキシアニソール1.5g(12mmol)、4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)5.0g(12mmol)4−ジメチルアミノピリジン0.1g(1mmol)及びクロロホルム40gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)3.0g(14mmol)をクロロホルム10gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、2N塩酸を49g添加した後に、濾過して固形物を取り除き、濾液を分液し、有機層を取り出した。得られた有機層に2N塩酸を49g添加し分液洗浄した後に、溶媒を留去し、メタノールに添加し、固形物を取得した。取得した固形物は、メタノールで入念に洗浄した。白色固体である化合物(J−3−1)4.5gを得た。収率は4−ヒドロキシアニソール基準で72%であった。
尚、(J−3−4)は、昇温時、78℃〜244℃の温度で液晶相を示した。
<光学フィルムの製造例>
ガラス基板にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布した後、加熱乾燥後、厚さ89nmの膜を形成した。
続いて、表面にラビング処理を施したのち、ラビング処理を施した面に、表1の組成の塗布液(混合溶液)をスピンコート法により塗布し、135℃で1分間乾燥した。
続いて、50℃で1分間放置後、50℃にホールドした状態で1200mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚1.16μmの光学フィルムを作製した。
LC242(BASF社製、上記(III-6)におけるm=m’=4の化合物))。なお、LC242は、昇温時、65℃〜125℃の温度で液晶相を示した。
光重合開始剤:イルガキュア907(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、
レベリング剤:BYK361N(ビックケミージャパン製)
溶剤:シクロペンタノン
を用いた。
<液晶性の測定>
化合物を表1から光重合開始剤、レベリング剤および溶剤を抜いた、表3に示す割合で化合物を採取し、乳鉢でよくすりつぶし均一に混合した。その固体を、ホットステージ付きの偏光顕微鏡にて加熱して液体とした。その液体を冷却していき、70℃での液晶性を確認した。それぞれの組成物は、70℃にて液晶状態をとることが確認できた。
作製した光学フィルムの正面位相差値およびチルト角を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。なお、基材に使用したガラス基板には、複屈折性が無いため、基材付きフィルムを測定機で計測することにより、作製した光学フィルムの正面位相差値およびチルト角を得ることができる。得られた光学測定正面位相差値は波長447.3nm、546.9nm、及び627.8nmにおいて、それぞれ測定し、[Re(447.3)/Re(546.9)]を算出した。また、光学フィルムの液晶層に由来する膜厚をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス社製)を用いて測定した。以上の測定を行ったところ、作製した光学フィルムの正面位相差値は119.1nm、チルト角は8.7degを示した。また、液晶層の膜厚は、1.16μmを示したことから、式(6)より、波長546.9nmにおける屈折率異方性Δnは0.103を示し、[Re(447.3)/Re(546.9)]=1.060であることがわかった。その結果を表2に示す。
これらから、透明で均一に低チルト配向した低波長分散光学フィルムが得られたことがわかった。
表1の塗布液を用い、実施例1と同様にして、光学フィルムを作成し、膜厚1.09μmの光学フィルムを作製した。
得られた光学フィルムについて実施例1と同様に光学特性を測定した。その結果を表3に示す。
これらから、透明で均一に低チルト配向した低波長分散光学フィルムが得られたことがわかった。
表1の塗布液を用い、実施例1と同様にして、光学フィルムを作成し、膜厚0.92μmの光学フィルムを作成した。
得られた光学フィルムについて実施例1と同様に光学特性を測定した。その結果を表3に示す。
これらから、透明で均一に低チルト配向した低波長分散光学フィルムが得られたことがわかった。
表1の塗布液を用い、実施例1と同様にして、光学フィルムを作成し、膜厚1.03μmの光学フィルムを作成した。
得られた光学フィルムについて実施例1と同様に光学特性を測定した。その結果を表3に示す。
これらから、透明で均一に低チルト配向した低波長分散光学フィルムが得られたことがわかった。
表1の塗布液を用い、実施例1と同様にして、光学フィルムを作成し、膜厚1.00μmの光学フィルムを作成した。
得られた光学フィルムについて実施例1と同様に光学特性を測定した。その結果を表3に示す。
これらから、透明で均一に低チルト配向した光学フィルムが得られたが、実施例1〜4と比較して[Re(447.3)/Re(546.9)]は大きいことから、その波長分散特性が大きく、性能が劣ることがわかった。
2、2’ 偏光フィルム
3、3’、5 接着剤
4 偏光板
6 液晶パネル
7 発光層
8 カラーフィルタ
11、11’ 液晶層
12、12’ 配向膜
13、13’ 支持基材
Claims (14)
- 式(1)で表される化合物と式(2)で表される置換基を有する化合物(ただし、式(1)で表される化合物とは異なる)とを含むことを特徴とする組成物。
EWGは、それぞれ独立に、ニトロ基、ニトリル基又はトリフルオロメチル基を表す。
p及びqは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。但し、1≦p+q≦8である。
R’及びR”は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。
s及びtは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。s及びtが2〜4の場合には、R’及びR”は、互いに同一でも異なっていてもよい。
A3及びA11は、それぞれ独立に、5〜20員環の2価の環状炭化水素基又は5〜20員環の2価の複素環基を表す。該環状炭化水素基及び複素環基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、ニトリル基、ニトロ基又はハロゲン原子が置換されていてもよい。
B1、B2及びB3は、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NR1−、−NR1−C(=O)−、−OCH2−、−O−C(=O)−O−又は単結合を表す。ここで、R1は、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
B4は、−CR1R2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−C(=O)−NR1−、−NR1−C(=O)−、−OCH2−、−NR1−、−CH2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を表す。
nは1〜4いずれかの整数を表す。nが2〜4の場合には、A3及びB4からなる構造単位は、互いに同一でも異なっていてもよい。
E1は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子が置換されていてもよい。
E2は、水素原子、炭素数1〜12の鎖状又は環状アルキル基、炭素数2〜12の不飽和炭化水素基を表し、該アルキル基及び不飽和炭化水素基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子が置換されていてもよい。
Pは、水素原子又は式(P−1)〜(P−5)で表される基である。
B11及びB12は、それぞれ独立に、−CR11R12−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR11−、−NR11−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−NR11−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はR11とR12とが結合して炭素数5〜7のアルキレン基を表す。
E11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子が置換されていてもよく、−O−又は−C(=O)−を含んでいてもよい。
mは1〜3の整数を表す。mが2又は3の場合には、A11及びB11からなる構造単位は、互いに同一でも異なっていてもよい。
P11は、式(P−1)〜(P−5)で表される基を表す。] - 式(2)で表される置換基を有する化合物(ただし、式(1)で表される化合物とは異なる)が、式(2A)で表される化合物及び式(2B)で表される化合物を含む化合物である請求項1に記載の組成物。
P11−E11−(B11−A11)m−B12−E12−P12 (2A)
P11−E11−(B11−A11)m−B12−F11 (2B)
[式中、P11、E11、B11、A11、B12及びmは、上記と同じ意味を表す。
E12はE11と同じ意味を、P12はP11と同じ意味を表す。
F11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、水酸基、カルボン酸、カルボン酸エステル又はハロゲン原子を表す。] - 式(1)及び式(2)で表される化合物のPが、式(P−1)で表される基である請求項1〜3のいずれk1つに記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物から形成されることを特徴とするフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物を重合して得られるフィルム。
- フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が113〜163nmであるλ/4板として機能する請求項5又は6に記載のフィルム。
- フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであるλ/2板として機能する請求項5又は6に記載のフィルム。
- 請求項4〜8のいずれか1つに記載のフィルムを含む偏光板。
- 請求項4〜8のいずれか1つに記載のフィルムを含む光学部材。
- 請求項9の偏光板又は請求項10に記載の光学部材を搭載したフラットパネル表示装置。
- 支持基材に、請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
- 支持基材上に形成された配向膜上に、請求項1〜4のいずれか1つに記載の組成物を含む溶液を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
- 請求項12又は13に記載の製造方法で得られた未重合フィルムを、重合により硬化させるフィルムの製造方法。
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