JP5531419B2 - 化合物および該化合物を含む光学フィルム - Google Patents
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Description
また、特許文献1に記載された上記化合物は、製造は容易であるが、Nd相を発現しなかった。
[式(1)中、Xは、−S−、−O−、−CH2−、−NH−、−CO−、−S(O)−または−CS−を表す。
Yは、−C(R)=または−N=を表す。Rは、水素原子、ニトリル基、水酸基、メルカプト基、メトキシ基、メルカプトメチル基、ハロゲン原子、−C≡CHまたは−C≡C−CH3を表す。
Zは、炭素数5〜15の芳香族炭化水素基または炭素数2〜15の芳香族複素環基を表す。該芳香族炭化水素基および該芳香族複素環基に含まれる水素原子は、ニトロ基、ニトリル基、水酸基、メルカプト基、メトキシ基、メルカプトメチル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。
A1およびA2は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH=CH−、−N=N−、−CO−O−、−O−CO−、−CS−O−、−O−CS−、−CH=N−、−N=CH−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−CO−O−または−O−CO−CH=CH−を表す。
B1、B2、E1およびE2は、それぞれ独立に、−CR1R2−、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CS−、−CS−O−、−O−CS−、−O−CS−O−、−CR1=N−、−N=CR1−、−CO−NR1−、−NR1−CO−、−S−CH2−、−O−CF2−、−O−CH2−、−NR1−、−CH2−O−、−CF2−O−、−CH2−S−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−、または単結合を表す。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
D1およびD2は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、D1およびD2に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、およびG10はそれぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、ニトリル基、水酸基、メルカプト基、メトキシ基、メルカプトメチル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはハロゲン原子を表す。
Q1およびQ2は、それぞれ独立に、水素原子または式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選ばれる基である。
(式(Q−1)〜式(Q−5)中、R3〜R7はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)]
[式(2)中、A11は、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は複素環基を表し、該芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、ニトリル基又はメルカプト基で置換されていてもよい。
B11及びB12は、それぞれ独立に、−CR14R15−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−NR14−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7のアルキレン基を構成してもよい。
E11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
P11は、重合性基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のアルキルアミノ基、ニトリル基、ニトロ基であるか、炭素数1〜12のアルキレン基を介して結合する重合性基を表し、該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
tは、1〜5の整数を表す。]
また本発明は、上記化合物の、光学フィルムを製造するための使用である。
Yは、−C(R)=または−N=を表す。Rは、水素原子、ニトリル基、水酸基、メルカプト基、メトキシ基、メルカプトメチル基、ハロゲン原子、−C≡CHまたは−C≡C−CH3を表す。
その中でも特に、Xが、−S−または−O−であり、Yが、−N=または−CH=であることが好ましく、Xが、−S−であり、Yが、−N=であることが特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
炭素数1〜12のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、デセン基等が挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
(式(Q−1)〜式(Q−5)中、R3〜R7はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
Q1およびQ2の少なくとも一方が、式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基からなる群から選ばれる基であると、得られる光学フィルムの膜硬度が優れる傾向があることから好ましい。Q1およびQ2がいずれも式(Q−1)〜式(Q−5)で表される基であると、さらに好ましい。
−E1−Q1および−E2−Q2は、それぞれ独立に、化合物(1)を重合させることのできる置換基であり、具体的にはビニル基、ビニルオキシ基、p−スチルベン基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクロイル基、メタクリロイルオキシ基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、水酸基、アミド基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基またはチオイソシアネート基などが例示される。
中でも光重合させる際の取り扱いが容易な上、製造も容易であることからアクリロイルオキシ基またはメタクロイルオキシ基が好ましく、特にアクリロイルオキシ基が好ましい。
本発明の光学フィルムにおいて、異なる複数の種類の化合物(1)を用いてもよい。
化合物(1)は、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応など)を、その構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
で示される化合物とを反応させることにより製造することができる。
式(11−1)で示される化合物と式(11−2)で示される化合物との反応および式(11−3)で示される化合物と式(11−4)で示される化合物との反応は、エステル化剤の存在下に実施することが好ましい。
図1は、Nd相を説明するための概略図である。本発明の化合物(1)については、円盤面は芳香環と平行で、法線は円盤面と垂直方向である。
液晶化合物として、異なる複数の種類の化合物を併用してもよい。
[式(2)中、A11は、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は複素環基を表し、該芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、ニトリル基又はメルカプト基で置換されていてもよい。
B11及びB12は、それぞれ独立に、−CR14R15−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−NR14−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7のアルキレン基を構成してもよい。
E11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
P11は、重合性基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のアルキルアミノ基、ニトリル基、ニトロ基であるか、炭素数1〜12のアルキレン基を介して結合する重合性基を表し、該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
tは、1〜5の整数を表す。]
P11-E11-(B11-A11)t2-B12-F11 (2−2)
[式(2−1)及び式(2−2)中、P11、E11、B11、A11、B12は上記と同義である。
F11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のアルキルアミノ基、ニトリル基、ニトロ基を表す。
E12は、E11と同義である。
P12は、P11と同義である。
t1及びt2はtと同義である。]
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-A14-B15-E12-P12 (II)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-E12-P12 (III)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-A13-B14-F11 (IV)
P11-E11-B11-A11-B12-A12-B13-F11 (V)
[式(I)〜式(V)中、A12〜A15は、A11と同義であり、B13〜B16は、B11と同義である]。
この際、化合物(1)と化合物(2)とが共重合するように、化合物(1)に含まれる−E1−Q1または−E2−Q2の重合性基と、化合物(2)の重合性基とは互いに反応し得る重合性基で、特に互いにアクリロイルオキシ基であると、容易に光重合させることができることから好ましい。
また光学フィルムに含まれる化合物(1)に由来する構造単位の含有量と化合物(2)に由来する構造単位の含有量とを変えることにより、得られる光学フィルムの複屈折率Δnをコントロールすることができる。
これらの化合物であれば、合成が容易であり、市販されているなど、入手が容易であることから好ましい。
本発明の化合物(1)に由来する構造単位を含有する光学フィルムの製造方法について、以下説明する。
本発明の光学フィルムとは、光を透過し得るフィルムであって、光学的な機能を有するフィルムをいう。光学的な機能とは、屈折、複屈折などを意味する。光学フィルムの一種である位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光または楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。
まず化合物(1)、必要に応じて、化合物(2)および有機溶媒に、重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤または架橋剤などの添加剤を加えて、混合溶液(以下「組成物」という場合がある)を調製する。とりわけ有機溶媒は、成膜時に含んでいる方が、成膜が容易となることから好ましく、重合開始剤は、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから好ましい。
本発明における配向状態を固定化する方法としては、本発明の組成物を、一度液晶相発現温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することにより、その液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化することで形成できる。また、本発明の組成物に重合開始剤を添加した組成物を液晶相発現温度まで加熱した後、重合させ冷却することにより液晶状態の配向状態を固定化することで形成できる。本発明における配向状態の固定化は、後者の重合反応により行うことが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と、光重合開始剤を用いる光重合反応と、電子線照射による重合反応が含まれるが、熱により支持体などが変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応または電子線照射による重合反応が好ましい。
光重合開始剤としては、たとえばベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、ヨードニウム塩またはスルホニウム塩等が挙げられ、より具体的にはイルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア819、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152またはアデカオプトマーSP−170(以上、全て株式会社ADEKA)などを挙げることができる。
また重合開始剤の使用量は、たとえば化合物(1)および化合物(2)の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、化合物(2)の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
本発明の光学フィルムを調製する際に、重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤としては、たとえばハイドロキノンまたはアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類、およびβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を用いることにより、化合物(1)および化合物(2)の重合を制御することができ、得られる光学フィルムの安定性を向上させることができる。また重合禁止剤の使用量は、たとえば化合物(1)および化合物(2)の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、化合物(2)の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
また本発明の光学フィルムを調製する際に、光増感剤を使用してもよい。光増感剤としては、たとえばキサントンまたはチオキサントン等のキサントン類、アントラセンまたはアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジンあるいはルブレンを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、化合物(1)および化合物(2)の重合を高感度化することができる。また光増感剤の使用量としては、化合物(1)および化合物(2)の合計100重量部に対して、たとえば0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、化合物(2)の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
さらに本発明の光学フィルムを調製する際に、レベリング剤を使用してもよい。レベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系、ポリエーテル系、アクリル酸共重合物系またはチタネート系等の種々の化合物を用いることができ、たとえば放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング株式会社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、または塗料添加剤(信越化学工業株式会社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)などを挙げることができる。
レベリング剤を用いることにより、光学フィルムを平滑化することができる。さらに光学フィルムの製造過程で、化合物(1)を含有する混合溶液の流動性を制御したり、化合物(1)および化合物(2)を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整することができる。またレベリング剤の使用量の具体的な数値は、たとえば化合物(1)および化合物(2)の合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、化合物(2)の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
化合物(1)および化合物(2)などを含有する混合溶液の調製に用いる有機溶媒としては、化合物(1)および化合物(2)などを溶解し得る有機溶媒であり、具体的にはメタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートまたは乳酸エチルなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンまたはメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサンまたはヘプタンなどの非塩素系脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンまたはフェノールなどの非塩素系芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンまたはジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒;アセトニトリルまたはブチロニトリルなどのニトリル系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒;あるいはクロロホルムまたはクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。中でも本発明の組成物は相溶性に優れ、アルコール、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、非塩素系脂肪族炭化水素溶媒および非塩素系芳香族溶媒などにも溶解し得ることから、クロロホルムなどの塩素系溶媒を用いなくとも、溶解して塗工させることができる。
また上記混合溶液における固形分の濃度は、たとえば5〜50重量%である。固形分の濃度が5%以上であると、光学フィルムが薄くなりすぎず、液晶パネルの光学補償に必要な光学異方性が与えられる傾向がある。また50%以下であると、上記混合溶液の粘度が低いことから、光学フィルムの膜厚にムラが生じにくくなる傾向があることから好ましい。
支持基材は、該支持基材上に配向膜を形成できるものであればよい。たとえばガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルムまたは透光性フィルムを挙げることができる。なお上記透光性フィルムとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムまたはポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。
一般に化合物(1)および化合物(2)から得られる光学フィルムは、薄膜であり、たとえば本発明のフィルムを用いる貼合工程、フィルムを運搬、保管などを実施する工程など、フィルムの強度が必要な工程でも、支持基材を用いることにより、破れなどなく容易に取り扱うことができる。
上記ポリマーとしては、たとえば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜて用いてもよいし、共重合して用いてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等で容易に得ることができる。
このような配向膜を用いれば、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなる。それゆえ支持基材上にFPDの大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを提供できるという効果を奏する。
またこれら配向膜は、必要に応じてラビングもしくは偏光UV照射を行なうことができる。これらにより化合物(1)および化合物(2)等を所望の方向に配向させることができる。
配向膜をラビングする方法としては、たとえばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。
支持基材の上に配向膜が形成されていれば、化合物(1)および化合物(2)を含有する混合溶液を配向膜上に塗工し、乾燥すると、未重合フィルムが得られる。支持基材への塗布方法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法などが挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーターなどのコーターを用いて塗布する方法などが挙げられる。この未重合フィルムにネマチック相などの液晶相を示した場合、モノドメイン配向による複屈折性を有する。この未重合フィルムは0〜120℃程度、好ましくは25〜80℃の低温で配向することから、配向膜として上記に例示したような耐熱性に関して必ずしも十分ではない支持基材を用いることができ、配向後、さらに30〜10℃程度に冷却しても結晶化することがない。
光重合の場合には、成膜性を向上させるために、光重合前に溶媒を乾燥させて、未重合フィルムを得ることが好ましい。また熱重合の場合には、乾燥とともに重合を進行させてもよいが、重合前に溶媒を乾燥させて、未重合フィルムを得る方法が、成膜性に優れる傾向があることから好ましい。
溶媒の乾燥方法としては、たとえば自然乾燥、通風乾燥または減圧乾燥などの方法が挙げられる。具体的な加熱温度としては、10〜120℃であることが好ましく、25〜80℃であることがさらに好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。加熱温度および加熱時間が、上記範囲内であれば、上記支持基材として、耐熱性が必ずしも十分ではない支持基材を用いることができる。
未重合フィルム重合工程では、上記未重合フィルム調製工程で得られた未重合フィルムを重合し、硬化させる。これにより化合物(1)および化合物(2)の配向性が固定化されたフィルム、すなわち重合フィルムとなる。
未重合フィルムを重合させる方法は、化合物(1)および化合物(2)に含まれる重合性基が光重合性であれば、可視光、紫外光またはレーザー光などの光を照射して硬化させ、該重合性基が熱重合性であれば、加熱によって重合させる。本発明では、特に光重合により未重合フィルムを重合させることが好ましい。これによれば低温で未重合フィルムを重合させることができるので、支持基材の耐熱性の選択幅が広がる。また工業的にも製造が容易となる。取り扱い性の観点から、紫外光による重合が特に好ましい。
かくして得られた光学フィルムは、液晶ポリマーを用いることなく製造することができる。
また得られる光学フィルムに、界面活性剤などの表面処理剤を用いなくてよい。つまり本発明の光学フィルムに用いる配向膜は、支持基材と配向膜との密着性および配向膜と光学フィルムとの密着性が良好であるから、光学フィルムの製造が容易である。
さらに本発明の光学フィルムは、延伸フィルムで同等の位相差値を有するフィルムと比較して、薄膜である。
Re(λ)=d×Δn(λ) (3)
(式(3)中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける屈折率異方性を表す。)
上記の通り、未重合フィルム調製工程では、任意の支持基材の上に積層した配向膜上に未重合フィルム(液晶層)を積層する。それゆえ液晶セルを作製し、当該液晶セルに液晶化合物を注入する方法に比べて、生産コストを低減することができる。さらにロールフィルムでのフィルムの生産が可能である。
このような光学特性を有するフィルムを用いることにより、すべての液晶パネルや有機ELなどのFPDを薄膜にて光学補償をすることができる。
具体的には、位相差フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内の遅相軸と直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzと定義した場合、nx≒ny≒nzの位相差のないフィルム、nx≒nz>nyのネガティブAプレート、nx≒ny>nzのネガティブCプレート、nx≒ny<nzのポジティブCプレート、nx≠ny≠nzのポジティブOプレートおよびネガティブOプレートが作成できる。
R0=(nx−ny)×d (4)
R40=(nx−ny')×d/cos(φ) (5)
(nx+ny+nz)/3=n0 (6)
(φ=sin-1〔sin(40°)/n0〕
ny'=ny×nz/〔ny 2×sin2(φ)+nz 2×cos2(φ)〕1/2)
また他のフィルムと組み合わせてもよい。具体的には偏光フィルムに本発明の光学フィルムを貼合させた楕円偏光板、該楕円偏光板にさらに本発明の光学フィルムを広帯域λ/4板として貼合させた広帯域円偏光板などが挙げられる。
さらに本発明にかかるフィルムは、反射型液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイの位相差板ならびに当該位相差板や上記光学フィルムを備えるFPDにも利用することができる。上記FPDは、特に限定されるものではなく、たとえば液晶表示装置(LCD)や有機ELを挙げることができる。
本発明に係る偏光板は、偏光機能を有するフィルム、すなわち偏光フィルムの片面もしくは両面に直接、または接着剤もしくは粘着剤を用いて前記光学フィルムを張り合わせることにより得られるものである。なお以下の図2〜図4の説明では、接着剤および粘着剤を総称して接着剤と呼ぶ場合がある。
図2(a)に示す偏光板1aは、積層体2と、偏光フィルム3とが直接貼り合わされており、積層体2は、支持基材4、配向膜5及び光学フィルム6からなる。偏光板1aは、支持基材4、配向膜5、光学フィルム6、偏光フィルム3の順に積層されている。
図3は、本発明に係る液晶表示装置の液晶パネル11と偏光板1との貼合品10を示す概略図である。
図4は、本発明に係る有機EL表示装置の有機ELパネル13を示す概略図である。
(実施例1)
<化合物(X−01)の合成>
下記スキームに従って合成した。化合物(T−01)の原料である4,7−ジメトキシ−2−フェニルベンゾチアゾールは、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1誌、205−210頁(2000年)に記載の方法に準じて得た。
4−ヒドロキシ安息香酸エチル150g(0.90mol)、炭酸カリウム186g(1.35mol)、N,N−ジメチルアセトアミド750gを加え、80℃に昇温した。続いて6−ブロモヘキサノール244g(1.24mol)を滴下し、その後80℃で攪拌した。冷却後、酢酸エチルを加え、水洗、溶媒を留去することにより、化合物(MG−a)を主成分とする固体312gを得た。
前項で得られた化合物(MG−a)を主成分とする固体312gをメタノールに溶解させた。次いで水酸化カリウムを含有するメタノール溶液(水酸化カリウム328g(5.85mol))を滴下し、約70℃で攪拌した。冷却後、塩酸を加え、析出した固体を水洗、濾別して、50℃減圧下、乾燥させることにより化合物(MG−b)を主成分とする固体195g(0.82mol)を得た。収率は化合物(MG−a)基準で91%であった。
前項で得られた化合物(MG−b)を主成分とする固体195g(化合物(MG−b)として0.82mol)とN,N−ジメチルアニリン208gとを格納した容器内を窒素置換した後、1,4−ジオキサンで溶解させた。反応溶液を70℃に昇温し、アクリル酸クロリド148g(1.64mol)を滴下し、攪拌した。冷却後、酢酸エチルを加え、水洗、溶媒を留去させることにより、化合物(MG−c)を主成分とする固体120g(0.41mol)を得た。収率は化合物(MG−b)基準で50%であった。
4,7−ジメトキシ−2−フェニルベンゾチアゾール10.8g(39.8mmol)と塩化ピリジニウム54.0g(5倍質量)とを容器に入れ、220℃に昇温して固体を溶融させ攪拌した。冷却後、水を216g加え、得られた沈殿を濾別し、水およびヘキサンでよく洗浄して、化合物(T−01)を主成分とする固体8.7gを得た。収率は4,7−ジメトキシ−2−フェニルベンゾチアゾール基準で89%であった。
容器に、化合物(T−01)を5.4g(22.0mmol)、化合物(MG−c)を13.2g(45.1mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.55g(4.5mmol)、およびクロロホルム105gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)10.2g(49.6mmol)をクロロホルム26gに溶解させ、滴下し、室温で攪拌した。析出した固体を濾別した後、クロロホルム溶液を2N塩酸132gで2回分液洗浄し、有機層を取り出した。有機層を減圧下、溶媒を留去し、メタノールを添加し、固形物を取得した。取得した固形物は、メタノールで洗浄し、化合物(X−01)12.4gを得た。収率は化合物(T−01)基準で71%であった。
容器に、2,5−ジメトキシアニリン43.0g(281mmol)、トリエチルアミン59.7g(590mmol)、脱水クロロホルム499.7gを入れ、室温で良く攪拌した。この容器へ、イソニコチノイル クロリド塩酸塩50.0g(281mmol)を15分以上かけて少量ずつ加えた。その後、60℃に昇温して攪拌した。反応溶液を室温まで冷却し、500gの水中に投入した。分液して有機層を取り、水層にクロロホルムを333g加え、分液洗浄して有機層を取った。これら2つの有機層を合わせ、さらに水で洗浄した。得られた有機層を、減圧下、溶媒を留去し、化合物(T−02a)を主成分とする固体71.5gを得た。収率は2,5−ジメトキシアニリン基準で99%であった。
容器に、化合物(T−02a)を70.0g(272.0mmol)、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチアー2,4−ジホスフェタンー2,4−ジスルフィド(ローソン試薬)65.8g(162.0mmol)、トルエン2436gを加え、80℃に昇温して攪拌した。反応溶液を、冷却後、濃縮し、化合物(T−02b)を主成分とする固体を得た。化合物(T−02b)は精製せずに、そのまま全量を次工程へ用いた。
容器に、化合物(T−02b)を主成分とする固体、水酸化ナトリウム333g(8325mmol)、水5550gを混合し、氷冷下で良く攪拌した。続いてフェリシアン化カリウム184.3g(560mmol)を水888gに溶解させた溶液を、氷冷下で加え、攪拌した。析出した固体を濾別した後、冷水とヘキサンで良く洗浄し、化合物(T−02c)を主成分とする固体25.9gを得た。前工程と合わせた2工程分の収率は化合物(T−02a)基準で35%であった。
化合物(T−02c)を5.6g(21.0mmol)と塩化ピリジニウム28.0g(5倍質量)を容器に入れ、180℃に昇温して固体を溶融させ攪拌した。冷却後、水を224g加え、得られた沈殿を濾別し、水およびクロロホルムでよく洗浄して、化合物(T−02)を主成分とする固体3.4gを得た。収率は化合物(T−02c)基準で68%であった。
化合物(X−01)の合成例における、原料の化合物(T−01)を化合物(T−02)に変える以外は同様の方法にて、化合物(X−02)を得た。収率は化合物(T−02)基準で7%であった。
化合物(T−02a)の合成例における、原料のイソニコチノイル クロリド塩酸塩を4−ニトロベンゾイル クロリドに変える以外は同様の方法にて化合物(T−03a)を主成分とする固体を得た。収率は2,5−ジメトキシアニリン基準で98%であった。
化合物(T−02b)の合成例における、原料の化合物(T−02a)を化合物(T−03a)に変える以外は同様の方法にて化合物(T−03b)を主成分とする固体を得た。収率は化合物(T−03a)基準で89%であった。
化合物(T−02c)の合成例における、原料の化合物(T−02b)を化合物(T−03b)に変える以外は同様の方法にて化合物(T−03c)を主成分とする固体を得た。収率は化合物(T−03b)基準で52%であった。
化合物(T−03c)を21.0g(66.0mmol)と脱水トルエン441gを容器に入れ、よく攪拌した。容器を氷冷し、三臭化ホウ素100g(398mmol)をゆっくりと加えた。70℃まで昇温し、攪拌した。室温まで冷却した後、さらに氷冷し、水をゆっくり1588g加え、得られた沈殿を濾別し、水、およびクロロホルムでよく洗浄して、化合物(T−03)を主成分とする固体16.5gを得た。収率は化合物(T−03c)基準で86%であった。
化合物(X−01)の合成例における、原料の化合物(T−01)を化合物(T−03)に変える以外は同様の方法にて、化合物(X−03)を得た。収率は化合物(T−03)基準で55%であった。
<化合物(Y−02)の合成>
下記スキームに従って合成した。
4−ヒドロキシ安息香酸エチル84.5g(509mmol)、酢酸4−クロロブチル84.2g(559mmol)、炭酸カリウム105g(763mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド254gを加え、100℃に昇温し、攪拌した。冷却後、メチルイソブチルケトンを加え、水洗、溶媒を留去することにより、化合物(MG−d)を主成分とする油状物質126gを得た。収率は4−ヒドロキシ安息香酸エチル基準で88%であった。
化合物(MG−d)を主成分とする油状物質126g、メタノール378g、水252g、水酸化ナトリウム54g(1348mmol)を混合し、約65℃で攪拌した。冷却後、反応溶液を氷756gに注ぎ込み、塩酸を加え、析出した固体を濾別して、水およびヘプタンで洗浄し、乾燥させることにより化合物(MG−e)を主成分とする固体91gを得た。収率は化合物(MG−d)基準で97%であった。
化合物(MG−e)を主成分とする固体90.0g(428mmol)とN,N−ジメチルアニリン77.8g(642mmol)を格納した容器内を窒素置換した後、N,N−ジメチルアセトアミド720gで溶解させた。反応溶液を0℃に氷冷し、アクリル酸クロリド58.1g(642mmol)を滴下し、室温で攪拌した。1N塩酸を加え、析出した固体を濾別した。得られた固体を酢酸エチルに溶解させ、水洗、溶媒を留去させることにより、化合物(MG−f)を主成分とする固体102gを得た。収率は化合物(MG−e)基準で90%であった。
化合物(X−01)の合成例における、原料の化合物(T−01)を1,4−ジヒドロキシナフタレンに、化合物(MG−c)を化合物(MG−f)に変える以外は同様の方法にて、化合物(Y−02)を得た。収率は1,4−ジヒドロキシナフタレン基準で66%であった。
<光学フィルムの製造例>
ガラス基板にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布したのち、加熱乾燥後、厚さ89nm膜を得た。続いて、表面にラビング処理を施したのち、ラビング処理を施した面に、表1に示す組成の塗布液(混合溶液)をスピンコート法により塗布した。続いて、100℃ホットプレート上で1分乾燥した後、室温下で1200mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚1.00μmの光学フィルムを作成した。
表1中、光重合開始剤は、イルガキュア907(チバ・ジャパン株式会社製)、レベリング剤には、BYK361N(ビックケミージャパン株式会社製)、溶媒はシクロペンタノンを用いた。また、溶媒以外の表中の重量%は、塗布液を100重量%とした固形分の重量%を意味する。
作成した光学フィルムの正面位相差値およびチルト角を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。また、光学フィルムの化合物に由来する膜厚をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス社製)を用いて測定した。以上の測定を行ったところ、正面位相差値は107.8nm、チルト角は2.9度、Δnは0.109であることがわかった。結果を表2に示す。
<ネガティブAプレートの製造例>
実施例4と同様にして、膜厚0.81μmの光学フィルムを作成した。
<光学特性の測定>
作製した光学フィルムのフィルム面の法線方向を0°とし、測定機(エリプソメーター、M−220、日本分光社製)を用いて、550nmの光を0°から入射して、入射光の相差値を測定した。その後、進相軸および遅相軸を中心にして、5°刻みでサンプルを傾斜させて、−60°から60°の範囲で位相差値を測定した。得られた面内の位相差値R0、遅相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定した位相差値R40、フィルムの厚みd、及びフィルムの平均屈折率n0を1.6と仮定した値を用い、前述の式(4)、(5)および(6)から数値計算によりnx、ny及びnzを求めた。結果を表3に示す。nx、ny及びnzの値がnx≒nz>nyを満たしていることから、実施例5の光学フィルムはネガティブAプレートとなっていることがわかった。
<ネガティブCプレートの製造例>
ガラス基板にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布したのち、加熱乾燥後、厚さ89nm膜を2枚作成した。続いて、一方の基板にアクリル樹脂微粒子(早川ゴム製ハヤビーズL−11R、径4.0μm)をスピンコーターで塗布した。これらの2枚の基板を、配向膜を塗工した面が向かい合うように重ね合わせ、この基板間に、100℃ホットプレート上で表1の組成の塗布液(混合溶液)を流し込んだ。続いて、50℃で2400mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚4μmの光学フィルムを作成した。
<光学特性の測定>
作製した光学フィルムの光学特性を、実施例5と同様に測定した。結果を表3に示す。nx、ny及びnzの値がnx≒ny>nz満たしていることから、実施例6の光学フィルムはネガティブCプレートとなっていることがわかった。
<ポジティブCプレートの製造例>
ガラス基板にサンエバー5291(日産化学工業株式会社製)を塗布したのち、加熱乾燥後、厚さ130nm膜を得た。続いて、塗布した膜上に、表1の組成の塗布液(混合溶液)をスピンコート法により塗布した。続いて、100℃ホットプレート上で1分乾燥した後、50℃で2400mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚0.94μmの光学フィルムを作成した。
<光学特性の測定>
作製した光学フィルムの光学特性を、実施例5と同様に測定した。結果を表3に示す。nx、ny及びnzの値がnx≒ny<nz満たしていることから、実施例7の光学フィルムはポジティブCプレートとなっていることがわかった。
<ネガティブOプレートの製造例>
ガラス基板にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布したのち、加熱乾燥後、厚さ89nm膜を2枚作成した。続いて、一方の基板にアクリル樹脂微粒子(早川ゴム製ハヤビーズL−11R、径4.0μm)をスピンコーターで塗布した。また、他方の基板は、配向膜表面にラビング処理を施した。これらの2枚の基板を、配向膜を塗工した面が向かい合うように重ね合わせ、この基板間に、100℃ホットプレート上で表1の組成の塗布液(混合溶液)を流し込んだ。続いて、50℃で2400mJ/cm2の紫外線を照射して、膜厚4μmの光学フィルムを作成した。
<光学特性の測定>
作製した光学フィルムの光学特性を、実施例5と同様に測定した。結果を表3に示す。nx、ny及びnzの値がnx>ny>nzを満たしていることから、実施例8の光学フィルムはネガティブOプレートとなっていることがわかった。
2,2’ 積層体
3 偏光フィルム
4,4’ 支持基材
5,5’ 配向膜
6,6’ 光学フィルム
7,7’,12,15 接着剤層
10 貼合品
11 液晶パネル
13 有機ELパネル
14 発光層
Claims (14)
- 式(1)で表される化合物。
[式(1)中、Xは、−S−を表す。
Yは、−N=を表す。
Zは、炭素数5〜15の芳香族炭化水素基または炭素数2〜15の芳香族複素環基を表す。該芳香族炭化水素基および該芳香族複素環基に含まれる水素原子は、ニトロ基、ニトリル基、水酸基、メルカプト基、メトキシ基、メルカプトメチル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。
A 1 は、−O−CO−を表す。A 2 は、−CO−O−を表す。
B1 およびB 2 は、それぞれ独立に、−O−を表す。E 1 は、−O−CO−を表す。E 2 は、−CO−O−を表す。
D1およびD2は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を表し、D1およびD2に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9、およびG10はそれぞれ独立に、水素原子、ニトロ基、ニトリル基、水酸基、メルカプト基、メトキシ基、メルカプトメチル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはハロゲン原子を表す。
Q1およびQ2は、それぞれ独立に、式(Q−1)〜式(Q−4)で表される基からなる群から選ばれる基である。
(式(Q−1)〜式(Q−4)中、R3〜R7はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)] - −E1−Q1および−E2−Q2が、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である請求項1記載の化合物。
- 請求項1又は2記載の化合物と、該化合物とは異なる式(2)で表される化合物(2)とを含む組成物。
P11−E11−(B11−A11)t−B12−G (2)
[式(2)中、A11は、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は複素環基を表し、該芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、ニトリル基又はメルカプト基で置換されていてもよい。
B11及びB12は、それぞれ独立に、−CR14R15−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−NR14−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7のアルキレン基を構成してもよい。
E11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
P11は、重合性基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のアルキルアミノ基、ニトリル基、ニトロ基であるか、炭素数1〜12のアルキレン基を介して結合する重合性基を表し、該アルキレン基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
tは、1〜5の整数を表す。] - 請求項1又は2記載の化合物に由来する構造単位を含む光学フィルム。
- 請求項3記載の組成物を重合してなる光学フィルム。
- 波長550nmにおける位相差値(Re(550))が113〜163nmであり、λ/4板として用いられる請求項4または5記載の光学フィルム。
- 波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであり、λ/2板として用いられる請求項4または5記載の光学フィルム。
- 請求項4〜7のいずれか記載の光学フィルムおよび偏光フィルムを含む偏光板。
- 請求項8記載の偏光板と液晶パネルとを備える液晶表示装置。
- 請求項8記載の偏光板を含む有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
- 請求項1又は2記載の化合物を含む溶液を支持基材に塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
- 請求項1又は2記載の化合物を含む溶液を、支持基材上に形成された配向膜上に塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
- 請求項11または12記載の未重合フィルムの製造方法で得られた未重合フィルムを、重合により硬化させる光学フィルムの製造方法。
- 請求項1又は2記載の化合物の、光学フィルムを製造するための使用。
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