JP7523281B2 - 重合体、重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置 - Google Patents

重合体、重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、重合体、重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置に関する。
逆波長分散性を示す化合物は、広い波長範囲での正確な光線波長の変換が可能になること、および、高い屈折率を有するために位相差フィルムを薄膜化できること、などの特徴を有しているため、盛んに研究されている。
また、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物としては、一般にT型の分子設計指針が取られており、分子長軸の波長を短波長化し、分子中央に位置する短軸の波長を長波長化することが要求されている。
そのため、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物として、所定の繰り返し単位を有する重合体を利用することが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2009-102565号公報 特開2010-084032号公報
本発明者らは、特許文献1および2について検討したところ、形成される光学異方性膜が高温高湿下に晒された場合において複屈折率が変化してしまうという耐久性(以下、「湿熱耐久性」と略す。)の問題があることを明らかとした。
また、本発明者らは、特許文献1および2について検討したところ、形成される光学異方性膜が、塩基性の求核物質であるアンモニアによって複屈折率が変化してしまうという耐久性(以下、「アミン耐性」とも略す。)の問題があることを明らかとした。
そこで、本発明は、逆波長分散性、湿熱耐久性およびアミン耐性のいずれにも優れた光学異方性膜の形成に用いられる重合体、重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、後述する式(I-1)で表される繰り返し単位を含む重合体を用いると、形成される光学異方性膜の逆波長分散性、湿熱耐久性およびアミン耐性がいずれも良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 後述する式(I-1)で表される繰り返し単位を含む重合体。
[2] 後述する式(Ar-2)中のXが、置換基が結合していてもよい第14~16族の非金属原子を表し、
非金属原子に置換基が結合している場合、置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキル置換アルコキシ基、環状アルキル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、スルホ基、および、水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基である、[1]に記載の重合体。
[3] 後述する式(I-1)中のXおよびXが、-O-で表される連結基を表す、[1]または[2]に記載の重合体。
[4] 重合性液晶化合物と、[1]~[3]のいずれかに記載の重合体とを含有し、
重合性液晶化合物を用いて作製した光学異方性層が後述する式(A)を満たす、重合性液晶組成物。
[5] 重合性液晶化合物の透明点が160~350℃である、[4]に記載の重合性液晶組成物。
[6] 重合体の含有量が、重合性液晶化合物および重合体の合計質量に対して3~90質量%である、[4]または[5]に記載の重合性液晶組成物。
[7] 重合性液晶化合物が、後述する式(II)で表される化合物である、[4]~[6]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[8] 重合性液晶化合物が、環構造を4個以上有する化合物である、[4]~[7]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[9] [4]~[8]のいずれかに記載の重合性液晶組成物を重合して得られる光学異方性膜。
[10] 後述する式(III)を満たす、[9]に記載の光学異方性膜。
[11] [9]または[10]に記載の光学異方性膜を有する光学フィルム。
[12] [11]に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
[13] [11]に記載の光学フィルム、または、[12]に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
本発明によれば、逆波長分散性、湿熱耐久性およびアミン耐性のいずれにも優れた光学異方性膜の形成に用いられる重合体、重合性液晶組成物、光学異方性膜、光学フィルム、偏光板および画像表示装置を提供することができる。
図1Aは、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 図1Bは、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 図1Cは、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
また、本明細書において、表記される二価の基(例えば、-CO-NR-)の結合方向は、結合位置を明記している場合を除き、特に制限されず、例えば、後述する式(I-1)中のXが-CO-NR-である場合、L側に結合している位置を*1、Ar側に結合している位置を*2とすると、Xは、*1-CO-NR-*2であってもよく、*1-NR-CO-*2であってもよい。
[重合体]
本発明の重合体は、後述する式(I-1)で表される繰り返し単位を含む重合体(以下、「特定重合体」とも略す。)である。
本発明においては、上述した通り、特定重合体を用いると、形成される光学異方性膜の逆波長分散性、湿熱耐久性およびアミン耐性がいずれも良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、後述する式(I-1)中、芳香環(Ar)と結合する連結基(XおよびX)が、エステル結合を含まない強固な結合であるため、特定重合体の加水分解耐性が向上し、その結果、湿熱耐久性およびアミン耐性がいずれも向上したと考えられる。
また、特定重合体が、繰り返し単位を含む重合体であることにより、繰り返し単位を含まない化合物と比較して分子アスペクト比が向上し、その結果、特定重合体の構造に起因した逆波長分散性が発現したと考えられる。
以下、本発明の重合体について詳細に説明する。
〔特定重合体〕
特定重合体は、下記式(I-1)で表される繰り返し単位を含む重合体である。
上記式(I-1)中、Arは、下記式(Ar-1)~(Ar-7)で表される基からなる群から選択されるいずれかの芳香環を表す。
また、上記式(I-1)中、XおよびXは、それぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-、-CO-NR-、または、単結合を表し、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。
また、上記式(I-1)中、Lは、下記式(I-2)で表されるアルキレン基を表す。
また、上記式(I-1)中、Mesは、下記式(I-3)で表される基を表す。
上記式(I-1)中、XおよびXは、形成される光学異方性膜の湿熱耐久性がより良好となる理由から、-O-または-S-であることが好ましく、-O-であることがより好ましい。
上記式(I-1)中、Arは、上述した通り、それぞれ独立に、下記式(Ar-1)~(Ar-7)で表される基からなる群から選択されるいずれかの芳香環を表す。なお、下記式(Ar-1)~(Ar-7)中、*は、XまたはXとの結合位置を表す。
上記式(Ar-1)中、Qは、NまたはCHを表し、Qは、-S-、-O-、または、-N(R)-を表し、Rは、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、Yは、置換基を有してもよい、炭素数6~12の芳香族炭化水素基、または、炭素数3~12の芳香族複素環基を表す。
が示す炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、および、n-ヘキシル基などが挙げられる。
が示す炭素数6~12の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。
が示す炭素数3~12の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基などのヘテロアリール基が挙げられる。
また、Yが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキルチオール基、および、N-アルキルカルバメート基などが挙げられ、中でも、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、または、ハロゲン原子が好ましい。
アルキル基としては、炭素数1~18の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基およびシクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基が更に好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基およびメトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、上記で例示したアルキル基にオキシカルボニル基(-O-CO-基)が結合した基が挙げられ、中でも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基またはイソプロポキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基がより好ましい。
アルキルカルボニルオキシ基としては、上記で例示したアルキル基にカルボニルオキシ基(-CO-O-基)が結合した基が挙げられ、中でも、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基またはイソプロピルカルボニルオキシ基が好ましく、メチルカルボニルオキシ基がより好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられ、中でも、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
また、上記式(Ar-1)~(Ar-7)中、Z、ZおよびZは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-OR、-NR10、または、-SR11を表し、R~R11は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、ZおよびZは、互いに結合して芳香環を形成してもよい。
炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~15のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基がより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ペンチル基(1,1-ジメチルプロピル基)、tert-ブチル基、1,1-ジメチル-3,3-ジメチル-ブチル基が更に好ましく、メチル基、エチル基、tert-ブチル基が特に好ましい。
炭素数3~20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等の単環式飽和炭化水素基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デシル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル基、アダマンチル基等の多環式飽和炭化水素基;等が挙げられる。
炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基としては、具体的には、例えば、フェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられ、炭素数6~12のアリール基(特にフェニル基)が好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であるのが好ましい。
一方、R~R11が示す炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、および、n-ヘキシル基などが挙げられる。
また、上記式(Ar-2)および(Ar-3)中、AおよびAは、それぞれ独立に、-O-、-N(R12)-、-S-、および、-CO-からなる群から選択される基を表し、R12は、水素原子または置換基を表す。
12が示す置換基としては、上記式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar-2)中、Xは、水素原子または置換基が結合していてもよい、第14~16族の非金属原子を表す。
また、Xが示す第14~16族の非金属原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、水素原子または置換基が結合した窒素原子〔=N-RN1,RN1は水素原子または置換基を表す。〕、水素原子または置換基が結合した炭素原子〔=C-(RC1,RC1は水素原子または置換基を表す。〕が挙げられる。
置換基としては、具体的には、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アルキル置換アルコキシ基、環状アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、スルホ基、水酸基等が挙げられる。
本発明においては、上記式(Ar-2)中のXが、置換基が結合していてもよい第14~16族の非金属原子を表し、かつ、非金属原子が置換基を結合している場合、形成される光学異方性膜の湿熱耐久性がより良好となる理由から、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキル置換アルコキシ基、環状アルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、スルホ基、および、水酸基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基のみであることが好ましい。これは、特定化合物の対称性が上がることで、より架橋しやすくなったためであると考えられる。
また、上記式(Ar-3)中、DおよびDは、それぞれ独立に、単結合、または、-CO-、-O-、-S-、-C(=S)-、-CR-、-CR=CR-、-NR-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。
およびDの一態様が示す2価の連結基としては、例えば、-CO-、-O-、-CO-O-、-C(=S)O-、-CR-、-CR-CR-、-O-CR-、-CR-O-CR-、-CO-O-CR-、-O-CO-CR-、-CR-O-CO-CR-、-CR-CO-O-CR-、-NR-CR-、および、-CO-NR-などが挙げられる。R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。
これらのうち、-CO-、-O-、および、-CO-O-のいずれかであることが好ましい。
また、上記式(Ar-3)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-、-NH-、-N(Q)-、もしくは、-CO-に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。置換基としては、上記式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
ここで、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、メチルヘキシレン基、へプチレン基などが好適に挙げられる。
また、上記式(Ar-3)中、LおよびLは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。
1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを挙げることができる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~10が更に好ましい。
また、アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は、6~25が好ましく、6~10がより好ましい。
また、ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6~18が好ましく、6~12がより好ましい。
また、アルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記式(Ar-4)~(Ar-7)中、Axは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
また、上記式(Ar-4)~(Ar-7)中、Ayは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表す。
ここで、AxおよびAyにおける芳香環は、置換基を有していてもよく、AxとAyとが結合して環を形成していてもよい。
また、Qは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
AxおよびAyとしては、国際公開第2014/010325号の[0039]~[0095]段落に記載されたものが挙げられる。
また、Qが示す炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、および、n-ヘキシル基などが挙げられ、置換基としては、上記式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
一方、上記式(I-1)中、Lは、下記式(I-2)で表されるアルキレン基を表す。なお、下記式(I-2)中、*は、MesまたはXとの結合位置を表す。
上記式(I-2)中、mは、1以上の整数を表し、2~20の整数であることが好ましく、2~15の整数であることがより好ましく、2~10の整数であることが特に好ましい。
また、上記式(I-2)で表されるアルキレン基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、または、炭素数1~20のアルキル基で置換されていてもよい。
炭素数1~20のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、アミル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、および、シクロヘキシル基などが挙げられる。
また、上記式(I-2)で表されるアルキレン基を構成し、かつ、上記式(I-1)中のXに直接結合していない-CH-のうち、1個または隣接していない2個以上の-CH-は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、または、-C≡C-で置換されていてもよい。
一方、上記式(I-1)中、Mesは、下記式(I-3)で表されるメソゲン基含有基を表す。なお、下記式(I-3)中、*は、Lとの結合位置を表す。
上記式(I-3)中、Mは、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、または、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表す。
ただし、これらの基に含まれる水素原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、または、炭素数1~20のアルキル基で置換されていてもよい。
また、上記式(I-3)中、DおよびDは、それぞれ独立に、-O-、-S-、-OCH-、-CHCH-、-CO-、-COO-、-CO-S-、-OCO-O-、-CO-NH-、-SCH-、-CFO-、-CFS-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-COO-CH-、-OCO-CH-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、または、単結合を表す。
また、上記式(I-3)中、SPは、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-、-NH-、-N(Q)-、もしくは、-CO-に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。置換基としては、上記式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
ここで、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、メチルヘキシレン基、へプチレン基などが好適に挙げられる。
また、上記式(I-3)中、nは、2以上の整数を表し、2~5の整数であることが好ましく、2~4の整数であることがより好ましく、2または3であることが更に好ましい。
なお、複数のMは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のSPは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
特定重合体は、形成される光学異方性膜の耐傷性などの観点から、重合性基を有していることが好ましく、上記式(I-1)中のMesが、下記式(I-3p)で表されるメソゲン基含有基を表すことがより好ましい。なお、下記式(I-3p)中、*は、Lとの結合位置を表し、M、D、DおよびSPは、それぞれ、上記式(I-3)中において説明したものと同様である。
上記式(I-3p)中、Pは、重合性基を表す。
重合性基としては、ラジカル重合またはカチオン重合可能な重合性基が好ましい。
ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、好適なものとして、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を挙げることができる。この場合、重合速度はアクリロイルオキシ基が一般的に速いことが知られており、生産性向上の観点からアクリロイルオキシ基が好ましいが、メタクリロイルオキシ基も重合性基として同様に使用することができる。
カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、および、ビニルオキシ基などを挙げることができる。中でも、脂環式エーテル基、または、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、または、ビニルオキシ基が特に好ましい。
特に好ましい重合性基の例としては、下記式(P-1)~(P-20)で表される基からなる群から選択されるいずれかの重合性基が挙げられる。なかでも、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることがより好ましい。なお、下記式(P-1)~(P-20)中、*は、SPとの結合位置を表す。
特定重合体の重合度は、繰り返し単位の分子量にもよるため特に限定されないが、2~1000量体の範囲が好ましい。
また、特定重合体とともに他の化合物を併用する場合は、相溶性等の観点から、特定重合体の重合度は高すぎない方が好ましく、具体的には、2~100量体がより好ましく、2~30量体が更に好ましく、2~10量体が特に好ましい。
特定重合体としては、具体的には、例えば、下記式(1)~(48)で表される重合体が好適に挙げられる。
具体的には、下記式(1)~(40)中のRとして、下記表1に示す構造を有する重合体がそれぞれ挙げられ、下記式(41)~(48)中のXとして、下記表2に示す構造を有する重合体がそれぞれ挙げられる。
なお、下記式(1)~(48)中、nは、2~10の整数を表す。
また、下記表1および表2に示す構造中、*は、結合位置を表す。














































[重合性液晶組成物]
本発明の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物と、上述した特定重合体とを含有する、重合性液晶組成物である。
また、本発明の重合性液晶組成物が含有する重合性液晶化合物は、それを用いて作製した光学異方性層が下記式(A)を満たす重合性液晶化合物(以下、「低波長分散性液晶化合物」とも略す。)であり、下記式(B)を満たす重合性液晶化合物であることが好ましく、下記式(C)を満たす重合性液晶化合物であることがより好ましい。
1.00≦Re(450)/Re(550)≦1.10 ・・・(A)
1.00≦Re(450)/Re(550)≦1.08 ・・・(B)
1.00≦Re(450)/Re(550)≦1.05 ・・・(C)
ここで、上記式(A)~(C)中、Re(450)は、光学異方性層の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。
また、面内レターデーションおよび厚み方向のレターデーションの値は、AxoScan OPMF-1(オプトサイエンス社製)を用い、測定波長の光を用いて測定した値をいう。
具体的には、AxoScan OPMF-1にて、平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((nx+ny)/2-nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScan OPMF-1で算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
また、面内レターデーションの測定対象となる光学異方性層、すなわち、重合性液晶化合物を用いて作製した光学異方性層は、以下の手順で作製した光学異方性層を用いる。
すなわち、下記組成を有する重合性液晶組成物を、ラビング処理されたポリイミド配向膜(日産化学工業(株))製SE-150)付ガラス基板に、スピンコートにより塗布する。
次いで、塗膜を加熱し、液晶性を示す温度で配向処理し、液晶層を形成する。
次いで、液晶性を示す温度から40℃低い温度まで冷却して1000mJ/cmの紫外線照射による配向固定化を行い、光学異方性膜を作製する。
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重合性液晶組成物
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・重合性液晶化合物 15.00質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819、BASF社製) 0.45質量部
・下記含フッ素化合物A 0.12質量部
・クロロホルム 35.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
含フッ素化合物A
本発明においては、形成される光学異方性膜の逆波長分散性がより良好となり、湿熱耐久性、アミン耐性、および、耐光性もより良好となる理由から、低波長分散性液晶化合物の透明点が160~350℃であることが好ましく、170~320℃であることがより好ましく、180~310℃であることが更に好ましく、190~300℃であることが特に好ましい。
ここで、「透明点」とは、「液晶相が等方性液体(Iso)に変化する温度」のことをいい、具体的には、ネマチック相と等方相との相違転移温度、または、スメクチック相と等方相との相転移温度のことをいう。
また、透明点が160~350℃であると、Isoに相転移する温度が十分に高くなり、その結果、配向秩序度(オーダーパラメータ)も高くなるため、逆波長分散性などがより良好となると考えられる。
本発明においては、形成される光学異方性膜に逆波長分散性がより発現され易くなる理由から、上述した特定重合体の含有量が、低波長分散性液晶化合物および特定化合物の合計質量に対して3~90質量%であることが好ましく、30~85質量%であることがより好ましく、35~80質量%であることが更に好ましく、40~70質量%であることが特に好ましい。
本発明の重合性液晶組成物においては、液晶性に優れるという理由から、上記低波長分散性液晶化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
-SP-D10-(Aa1-D-(Gg1-D-〔Ar-D-(Gg2-D-(Aa2-D11-SP-L ・・・(II)
上記式(II)中、a1、a2、g1およびg2は、それぞれ独立に、0または1を表す。ただし、a1およびg1の少なくとも一方は1を表し、a2およびg2の少なくとも一方は1を表す。
また、上記式(II)中、qは、1または2を表す。
また、上記式(II)中、D、D、D、D、D10およびD11は、それぞれ独立に、単結合、または、-CO-、-O-、-S-、-C(=S)-、-CR-、-CR=CR-、-NR-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。ただし、qが2である場合、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(II)中、GおよびGは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5~8の2価の脂環式炭化水素基を表し、脂環式炭化水素基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-または-NH-で置換されていてもよい。
また、上記式(II)中、AおよびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6以上の芳香環、または、置換基を有していてもよい炭素数6以上のシクロアルカン環を表す。
また、上記式(II)中、SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-、-NH-、-N(Q)-、もしくは、-CO-に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。
また、上記式(II)中、LおよびLは、それぞれ独立に1価の有機基を表し、LおよびLの少なくとも一方は重合性基を表す。
上記式(II)中、a1、a2、g1およびg2は、いずれも1であることが好ましい。
また、上記式(II)中、qは、1であることが好ましい。
上記式(II)中、D、D、D、D、D10およびD11の一態様が示す2価の連結基としては、上述した式(Ar-3)中のDおよびDにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、GおよびGが示す炭素数5~8の2価の脂環式炭化水素基としては、5員環又は6員環であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよいが飽和脂環式炭化水素基が好ましい。GおよびGで表される2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、特開2012-21068号公報の[0078]段落の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、上記式(II)中、GおよびGについて、炭素数5~8の2価の脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、上述した式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、AおよびAが示す炭素数6以上の芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環などの芳香族炭化水素環;フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環などの芳香族複素環;が挙げられる。なかでも、ベンゼン環(例えば、1,4-フェニル基など)が好ましい。
また、上記式(II)中、AおよびAが示す炭素数6以上のシクロアルカン環としては、例えば、シクロヘキサン環、シクロペプタン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環、シクロドコサン環などが挙げられる。なかでも、シクロヘキサン環(例えば、1,4-シクロヘキシレン基など)が好ましく、トランス-1,4-シクロヘキシレン基であることがより好ましい。
なお、AおよびAについて、炭素数6以上の芳香環または炭素数6以上のシクロアルカン環が有していてもよい置換基としては、上述した式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、SPおよびSPが示す炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基としては、上述した式(Ar-3)中のSPおよびSPにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。なお、SPおよびSPは、上述した通り、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-、-NH-、-N(Q)-、もしくは、-CO-に置換された2価の連結基であってもよく、Qで表される置換基としては、上述した式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、LおよびLが示す1価の有機基としては、上述した式(Ar-3)中のLおよびLにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、LおよびLの少なくとも一方が示す重合性基としては、上述した式(I-3p)中のPにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
上記式(II)中、耐久性が良好となる理由から、上記式(II)中のLおよびLが、いずれも重合性基であることが好ましく、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることがより好ましい。
一方、上記式(II)中、Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表す。ただし、qが2である場合、複数のArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環などの芳香族炭化水素環;フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環などの芳香族複素環;が挙げられる。なかでも、ベンゼン環(例えば、1,4-フェニル基など)が好ましい。
芳香環が有していてもよい置換基としては、上述した式(Ar-1)中のYが有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
本発明においては、液晶性が発現しやすいという理由から、低波長分散性液晶化合物が環構造を4個以上有していることが好ましく、5個有していることがより好ましい。
低波長分散性液晶化合物としては、具体的には、例えば、下記式(15)~(30)で表される化合物が好適に挙げられ、具体的には、下記式(15)~(30)中のK(側鎖構造)として、下記表3および表4に示す側鎖構造を有する化合物がそれぞれ挙げられる。


本発明においては、形成される光学異方性膜に逆波長分散性がより発現され易くなる理由から、低波長分散性液晶化合物の含有量が、上述した特定重合体および低波長分散性液晶化合物の合計質量に対して70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。なお、下限値は、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。
〔他の重合性化合物〕
本発明の重合性液晶組成物は、上述した低波長分散性液晶化合物以外に、重合性基を1個以上有する他の重合性化合物を含んでいてもよい。
ここで、他の重合性化合物が有する重合性基は特に限定されず、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基を有しているのが好ましい。
他の重合性化合物としては、特開2016-053709号公報の[0073]~[0074]段落に記載された化合物が挙げられる。
また、他の重合性化合物としては、特開2014-077068号公報の[0030]~[0033]段落に記載された式(M1)、(M2)、(M3)で表される化合物が挙げられ、より具体的には、同公報の[0046]~[0055]段落に記載された具体例が挙げられる。
また、他の重合性化合物としては、特開2014-198814号公報に記載の式(1)~(3)の構造のものも好ましく用いることができ、より具体的には、同公報の[0020]~[0035]、[0042]~[0050]、[0056]~[0057]段落に記載された具体例が挙げられる。
このような他の重合性化合物を含有する場合の含有量は、上述した低波長分散性液晶化合物の質量に対して、50質量%未満であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、2~30質量%であることが更に好ましい。
〔重合開始剤〕
本発明の重合性液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。
使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報、特開平10-29997号公報記載)等が挙げられる。
また、本発明においては、重合開始剤がオキシム型の重合開始剤であることも好ましく、その具体例としては、国際公開第2017/170443号の[0049]~[0052]段落に記載された開始剤が挙げられる。
〔溶媒〕
本発明の重合性液晶組成物は、光学異方性膜を形成する作業性等の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。
溶媒としては、具体的には、例えば、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなど)、エーテル系溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、環状アミド系溶媒(例えば、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N、N’-ジメチルイミダゾリジノンなど)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素系溶媒(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素系溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル系溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール系溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ系溶媒(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート系溶媒、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、鎖状アミド系溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、上述した溶媒のうち、ろ過圧の上昇を抑制する本発明の効果が顕在化する理由から、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒および環状アミド系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。
〔レベリング剤〕
本発明の重合性液晶組成物は、光学異方性膜の表面を平滑に保ち、配向制御を容易にする観点から、レベリング剤を含有することが好ましい。
このようなレベリング剤としては、添加量に対するレベリング効果が高い理由から、フッ素系レベリング剤またはケイ素系レベリング剤であることが好ましく、泣き出し(ブルーム、ブリード)を起こしにくい観点から、フッ素系レベリング剤であることがより好ましい。
レベリング剤としては、具体的には、例えば、特開2007-069471号公報の[0079]~[0102]段落の記載に記載された化合物、特開2013-047204号公報に記載された一般式(I)で表される化合物(特に[0020]~[0032]段落に記載された化合物)、特開2012-211306号公報に記載された一般式(I)で表される化合物(特に[0022]~[0029]段落に記載された化合物)、特開2002-129162号公報に記載された一般式(I)で表される液晶配向促進剤(特に[0076]~[0078]および[0082]~[0084]段落に記載された化合物)、特開2005-099248号公報に記載された一般式(I)、(II)および(III)で表される化合物(特に[0092]~[0096]段落に記載された化合物)などが挙げられる。なお、後述する配向制御剤としての機能を兼ね備えてもよい。
〔配向制御剤〕
本発明の重合性液晶組成物は、必要に応じて、配向制御剤を含有することができる。
配向制御剤により、ホモジニアス配向の他、ホメオトロピック配向(垂直配向)、傾斜配向、ハイブリッド配向、コレステリック配向等の種々の配向状態を形成することができ、また、特定の配向状態をより均一かつより精密に制御して実現することができる。
ホモジニアス配向を促進する配向制御剤としては、例えば、低分子の配向制御剤や、高分子の配向制御剤を用いることができる。
低分子の配向制御剤としては、例えば、特開2002-20363号公報の[0009]~[0083]段落、特開2006-106662号公報の[0111]~[0120]段落、および、特開2012-211306公報の[0021]~[0029]段落の記載を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、高分子の配向制御剤としては、例えば、特開2004-198511号公報の[0021]~[0057]段落、および、特開2006-106662号公報の[0121]~[0167]段落を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、ホメオトロピック配向を形成または促進する配向制御剤としては、例えば、ボロン酸化合物、オニウム塩化合物が挙げられ、具体的には、特開2008-225281号公報の[0023]~[0032]段落、特開2012-208397号公報の[0052]~[0058]段落、特開2008-026730号公報の[0024]~[0055]段落、特開2016-193869号公報の[0043]~[0055]段落などに記載された化合物を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
一方、コレステリック配向は、本発明の重合性液晶組成物にキラル剤を加えることにより実現することができ、そのキラル性の向きによりコレステリック配向の旋回方向を制御できる。なお、キラル剤の配向規制力に応じてコレステリック配向のピッチを制御することができる。
配向制御剤の含有する場合の含有量は、重合性液晶組成物中の全固形分質量に対して0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~5質量%であることがより好ましい。含有量がこの範囲であると、望む配向状態を実現しつつ、析出や相分離、配向欠陥等が無く、均一で透明性の高い光学異方性膜を得ることができる。
これらの配向制御剤は、さらに重合性官能基、特に、本発明の重合性液晶組成物を構成する重合性液晶化合物と重合可能な重合性官能基を付与することができる。
〔その他の成分〕
本発明の重合性液晶組成物は、上述した成分以外の成分を含有してもよく、例えば、上述した重合性液晶化合物以外の液晶化合物、界面活性剤、チルト角制御剤、配向助剤、可塑剤、および、架橋剤などが挙げられる。
[光学異方性膜]
本発明の光学異方性膜は、上述した本発明の重合性液晶組成物を重合して得られる光学異方性膜である。
光学異方性膜の形成方法としては、例えば、上述した本発明の重合性液晶組成物を用いて、所望の配向状態とした後に、重合により固定化する方法などが挙げられる。特に、本発明においては、上述した本発明の重合性液晶組成物を調製した後に、保管する工程を経た後に、光学異方性膜を形成する態様が好ましい。
ここで、重合条件は特に限定されないが、光照射による重合においては、紫外線を用いることが好ましい。照射量は、10mJ/cm~50J/cmであることが好ましく、20mJ/cm~5J/cmであることがより好ましく、30mJ/cm~3J/cmであることが更に好ましく、50~1000mJ/cmであることが特に好ましい。また、重合反応を促進するため、加熱条件下で実施してもよい。
なお、本発明においては、光学異方性膜は、後述する本発明の光学フィルムにおける任意の支持体上や、後述する本発明の偏光板における偏光子上に形成することができる。
本発明の光学異方性膜は、下記式(III)を満たしていることが好ましい。
0.50<Re(450)/Re(550)<1.00 ・・・(III)
ここで、上記式(III)中、Re(450)は、光学異方性膜の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、光学異方性膜の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。なお、本明細書において、レターデーションの測定波長を明記していない場合は、測定波長は550nmとする。
本発明の光学異方性膜は、ポジティブAプレートまたはポジティブCプレートであることが好ましく、ポジティブAプレートであることがより好ましい。
ここで、ポジティブAプレート(正のAプレート)とポジティブCプレート(正のCプレート)は以下のように定義される。
フィルム面内の遅相軸方向(面内での屈折率が最大となる方向)の屈折率をnx、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、ポジティブAプレートは式(A1)の関係を満たすものであり、ポジティブCプレートは式(C1)の関係を満たすものである。なお、ポジティブAプレートはRthが正の値を示し、ポジティブCプレートはRthが負の値を示す。
式(A1) nx>ny≒nz
式(C1) nz>nx≒ny
なお、上記「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。
「実質的に同一」とは、ポジティブAプレートでは、例えば、(ny-nz)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、-10~10nm、好ましくは-5~5nmの場合も「ny≒nz」に含まれ、(nx-nz)×dが、-10~10nm、好ましくは-5~5nmの場合も「nx≒nz」に含まれる。また、ポジティブCプレートでは、例えば、(nx-ny)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、0~10nm、好ましくは0~5nmの場合も「nx≒ny」に含まれる。
本発明の光学異方性膜がポジティブAプレートである場合、λ/4板として機能する観点から、Re(550)が100~180nmであることが好ましく、120~160nmであることがより好ましく、130~150nmであることが更に好ましく、130~140nmであること特に好ましい。
ここで、「λ/4板」とは、λ/4機能を有する板であり、具体的には、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、本発明の光学異方性膜を有する光学フィルムである。
図1A、図1Bおよび図1C(以下、これらの図面を特に区別を要しない場合は「図1」と略す。)は、それぞれ本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
なお、図1は模式図であり、各層の厚みの関係や位置関係などは必ずしも実際のものとは一致せず、図1に示す支持体、配向膜およびハードコート層は、いずれも任意の構成部材である。
図1に示す光学フィルム10は、支持体16と、配向膜14と、光学異方性膜12とをこの順で有する。
また、光学フィルム10は、図1Bに示すように、支持体16の配向膜14が設けられた側とは反対側にハードコート層18を有していてもよく、図1Cに示すように、光学異方性膜12の配向膜14が設けられた側とは反対側にハードコート層18を有していてもよい。
以下、本発明の光学フィルムに用いられる種々の部材について詳細に説明する。
〔光学異方性膜〕
本発明の光学フィルムが有する光学異方性膜は、上述した本発明の光学異方性膜である。
本発明の光学フィルムにおいては、上記光学異方性膜の厚みについては特に限定されないが、0.1~10μmであるのが好ましく、0.5~5μmであるのがより好ましい。
〔支持体〕
本発明の光学フィルムは、上述したように、光学異方性膜を形成するための基材として支持体を有していてもよい。
このような支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。
このような支持体としては、例えば、ガラス基板やポリマーフィルムが挙げられ、ポリマーフィルムの材料としては、セルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ラクトン環含有重合体等のアクリル酸エステル重合体を有するアクリル系ポリマー;熱可塑性ノルボルネン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー;、塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;またはこれらのポリマーを混合したポリマーが挙げられる。
また、後述する偏光子がこのような支持体を兼ねる態様であってもよい。
本発明においては、上記支持体の厚みについては特に限定されないが、5~60μmであるのが好ましく、5~30μmであるのがより好ましい。
〔配向膜〕
本発明の光学フィルムは、上述した任意の支持体を有する場合、支持体と光学異方性膜との間に、配向膜を有しているのが好ましい。なお、上述した支持体が配向膜を兼ねる態様であってもよい。
配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。
本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特に変性又は未変性のポリビニルアルコールが好ましい。
本発明に使用可能な配向膜については、例えば、国際公開第01/88574号の43頁24行~49頁8行に記載された配向膜;特許第3907735号公報の段落[0071]~[0095]に記載の変性ポリビニルアルコール;特開2012-155308号公報に記載された液晶配向剤により形成される液晶配向膜;等が挙げられる。
本発明においては、配向膜の形成時に配向膜表面に接触しないことで面状悪化を防ぐことが可能となる理由から、配向膜としては光配向膜を利用することも好ましい。
光配向膜としては特に限定はされないが、国際公開第2005/096041号の段落[0024]~[0043]に記載されたポリアミド化合物やポリイミド化合物などのポリマー材料;特開2012-155308号公報に記載された光配向性基を有する液晶配向剤により形成される液晶配向膜;Rolic Technologies社製の商品名LPP-JP265CPなどを用いることができる。
また、本発明においては、上記配向膜の厚さは特に限定されないが、支持体に存在しうる表面凹凸を緩和して均一な膜厚の光学異方性膜を形成するという観点から、0.01~10μmであることが好ましく、0.01~1μmであることがより好ましく、0.01~0.5μmであることがさらに好ましい。
〔ハードコート層〕
本発明の光学フィルムは、フィルムの物理的強度を付与するために、ハードコート層を有しているのが好ましい。具体的には、支持体の配向膜が設けられた側とは反対側にハードコート層を有していてもよく(図1B参照)、光学異方性膜の配向膜が設けられた側とは反対側にハードコート層を有していてもよい(図1C参照)。
ハードコート層としては特開2009-98658号公報の段落[0190]~[0196]に記載のものを使用することができる。
〔他の光学異方性膜〕
本発明の光学フィルムは、本発明の光学異方性膜とは別に、他の光学異方性膜を有していてもよい。
すなわち、本発明の光学フィルムは、本発明の光学異方性膜と他の光学異方性膜との積層構造を有していてもよい。
このような他の光学異方性膜は、上述した特定化合物を配合せず、上述した逆波長分散性液晶化合物または他の重合性化合物(特に、液晶化合物)を用いて得られる光学異方性膜であれば特に限定されない。
ここで、一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物またはディスコティック液晶化合物(円盤状液晶化合物)を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、または棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。上述の液晶化合物の固定化のために、重合性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いて形成することがより好ましく、液晶化合物が1分子中に重合性基を2以上有することがさらに好ましい。液晶化合物が二種類以上の混合物の場合には、少なくとも1種類の液晶化合物が1分子中に2以上の重合性基を有していることが好ましい。
棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1や特開2005-289980号公報の段落[0026]~[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]や特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の光学フィルムは、外光(特に紫外線)の影響を考慮して、紫外線(UV)吸収剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤は、本発明の光学異方性膜に含有されてしてもよいし、本発明の光学フィルムを構成する光学異方性膜以外の部材に含有されていてもよい。光学異方性膜以外の部材としては、例えば、支持体が好適に挙げられる。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収性を発現できる従来公知のものがいずれも使用できる。このような紫外線吸収剤のうち、紫外線吸収性が高く、画像表示装置で用いられる紫外線吸収能(紫外線カット能)を得る観点から、ベンゾトリアゾール系またはヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、紫外線の吸収幅を広くするために、最大吸収波長の異なる紫外線吸収剤を2種以上併用することができる。
紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、特開2012-18395公報の[0258]~[0259]段落に記載された化合物、特開2007-72163号公報の[0055]~[0105]段落に記載された化合物などが挙げられる。
また、市販品として、Tinuvin400、Tinuvin405、Tinuvin460、Tinuvin477、Tinuvin479、および、Tinuvin1577(いずれもBASF社製)等を用いることができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、上述した本発明の光学フィルムと、偏光子とを有するものである。
また、本発明の偏光板は、上述した本発明の光学異方性膜がλ/4板(ポジティブAプレート)である場合、円偏光板として用いることができる。
また、本発明の偏光板は、上述した本発明の光学異方性膜がλ/4板(ポジティブAプレート)である場合、λ/4板の遅相軸と後述する偏光子の吸収軸とのなす角が30~60°であることが好ましく、40~50°であることがより好ましく、42~48°であることが更に好ましく、45°であることが特に好ましい。
ここで、λ/4板の「遅相軸」は、λ/4板の面内において屈折率が最大となる方向を意味し、偏光子の「吸収軸」は、吸光度の最も高い方向を意味する。
〔偏光子〕
本発明の偏光板が有する偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用することができる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できるが、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子などが用いられる。
なかでも、密着性がより優れる点で、ポリビニルアルコール系樹脂(-CH-CHOH-を繰り返し単位として含むポリマー、特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つ)を含む偏光子であることが好ましい。
本発明においては、偏光子の厚みは特に限定されないが、3μm~60μmであるのが好ましく、5μm~30μmであるのがより好ましく、5μm~15μmであるのが更に好ましい。
〔粘着剤層〕
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムにおける光学異方性膜と、偏光子との間に、粘着剤層が配置されていてもよい。
光学異方性膜と偏光子との積層のために用いられる粘着剤層としては、例えば、動的粘弾性測定装置で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(tanδ=G”/G’)が0.001~1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。本発明に用いることのできる粘着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系粘着剤が挙げられるが、これに限定されない。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルムまたは本発明の偏光板を有する、画像表示装置である。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セル、有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、液晶表示装置であるのがより好ましい。
〔液晶表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置は、上述した本発明の偏光板と、液晶セルとを有する液晶表示装置である。
なお、本発明においては、液晶セルの両側に設けられる偏光板のうち、フロント側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのが好ましく、フロント側およびリア側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのがより好ましい。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
<液晶セル>
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe-Field-Switching)モード、又はTN(Twisted Nematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60~120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58~59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006-215326号公報、及び特表2008-538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10-54982号公報、特開平11-202323号公報、特開平9-292522号公報、特開平11-133408号公報、特開平11-305217号公報、特開平10-307291号公報などに開示されている。
〔有機EL表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、偏光子と、本発明の光学異方性膜からなるλ/4板(ポジティブAプレート)と、有機EL表示パネルとをこの順で有する態様が好適に挙げられる。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔特定重合体(I-1-1)の合成〕
下記スキームに従い、下記式(I-1-1)で表される特定重合体(I-1-1)を合成した。
まず、上記スキームに示す通り、上記式(I-1-1a)で表される化合物(I-1-1a)5.00gおよび5-ブロモ-1-ペンタノール9.99gを、THF(テトラヒドロフラン)50mLに混合した。
次いで、内温5℃に冷却し、トリエチルアミン7.11gをゆっくり滴下した。
滴下終了後、室温(23℃)に戻し、1時間撹拌した後、酢酸エチル50mlを添加し、希塩酸50mlで一回、炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで一回、飽和食塩水50mlで一回分液を実施した。得られた溶液をエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、上記式(I-1-1b)で表される化合物(I-1-1b)を得た。
次いで、化合物(I-1-1b)6.46gおよび上記式(I-1-1c)で表される化合物(I-1-1c)1.60gを、DMAc(ジメチルアセトアミド)32mlに混合した。
次いで、内温75℃に加熱し、炭酸カリウム2.67gおよびヨウ化カリウム0.11gを添加した後、2時間撹拌した。その後、水を添加し、析出した固体を濾過で取り出した。取り出した固体をTHFに溶解し、ヘキサンで晶析、ろ別することで、上記式(I-1-1d)で表される化合物(I-1-1d)を得た。
次いで、化合物(I-1-1d)1.00g、アクリル酸0.28g、ジブチルヒドロキシトルエン0.021g、炭酸カリウム0.67gおよびヨウ化カリウム0.016gを、DMAc5mlに混合した。
次いで、内温75℃に加熱し、2時間撹拌した。その後、水を添加し、析出した固体を濾過で取り出した。取り出した固体をTHFに溶解し、ヘキサンで晶析、ろ別することで、上記式(I-1-1)で表される特定重合体(I-1-1)を得た。ポリスチレンを標準物質に用いてGPCで確認したところ、nは2~5のものであった。
〔特定重合体(I-1-2)および(I-1-3)の合成〕
原料を変更した以外は、特定重合体(I-1-1)と同様の合成方法で、実施例7および8で用いた特定重合体(I-1-2)および(I-1-3)を合成した。
[実施例1]
〔光学フィルムの作製〕
下記の組成を有する重合性液晶組成物を調製し、ラビング処理されたポリイミド配向膜(日産化学工業(株))製SE-150)付ガラス基板にスピンコートにより塗布した。
塗膜を下記表5に示す温度で配向処理し、液晶層を形成した。
その後、下記表5に記載されている露光時温度まで冷却して1000mJ/cmの紫外線照射による配向固定化を行い、光学異方性膜を形成し、光学フィルムを作製した。
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重合性液晶組成物
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・下記重合性液晶化合物(II-1) 12.00質量部
・下記特定重合体(I-1-1) 12.00質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819、BASF社製) 0.45質量部
・下記含フッ素化合物A 0.02質量部
・クロロホルム 120.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
重合性液晶化合物(II-1)
特定重合体(I-1-1)
含フッ素化合物A
[実施例2~10]
重合性液晶化合物の種類および配合量、特定重合体の種類および配合量、配向処理温度、ならびに、露光温度を下記表5に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
[比較例1~3]
重合性液晶化合物の種類および配合量、特定重合体の種類および配合量、配向処理温度、ならびに、露光温度を下記表5に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
なお、比較例3で調製した重合性液晶組成物は、液晶性を示さなかったため、後述する評価は行えなかった。
<レターデーション>
作製した光学フィルムについて、Axo Scan(OPMF-1、オプトサイエンス社製)を用いて、波長450nmのレターデーション値(Re(450))と、波長550nmのレターデーション値(Re(550))とを測定し、Re(450)/Re(550)を算出した。これらの結果を下記表5に示す。
また、実施例および比較例で用いた重合性液晶化合物を用いて上述した方法で作製した光学異方性層についても、波長450nmのレターデーション値(Re(450))と、波長550nmのレターデーション値(Re(550))とを測定し、Re(450)/Re(550)を算出した。これらの結果を下記表5に示す。
<湿熱耐久性>
湿熱耐久性の試験条件は、85℃相対湿度85%の環境下で500時間放置する試験を行った。
試験前の光学フィルムのRe(550)と、試験後の光学フィルムのRe(550)を測定し、以下の基準で湿熱耐久性を評価した。結果を下記表5に示す。
A:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の10%未満
B:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の10%以上30%未満
C:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の30%以上
<アミン耐性>
アミン耐性の試験条件は、NH/MeOHの2mol%溶液をバイアルに入れ、その出口部分に光学フィルムを置き、10時間放置する試験を行った。
試験前の光学フィルムのRe(550)と、試験後の光学フィルムのRe(550)を測定し、以下の基準でアミン耐性を評価した。結果を下記表5に示す。
A:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の10%未満
B:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の10%以上30%未満
C:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の30%以上
<耐光性>
作製した光学フィルムについて、重合性液晶組成物の塗布膜が照射面となるように、ガラス基板をキセノン照射機(スガ試験機株式会社製 SX75)にセットして、#275フィルターを用いて200時間照射する試験を行った。
試験前の光学フィルムのRe(550)と、試験後の光学フィルムのRe(550)を測定し、以下の基準で耐光性を評価した。結果を下記表5に示す。
A:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の5%未満
B:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の5%以上15%未満
C:試験前のRe(550)に対する試験後のRe(550)の変化量が試験前のRe(550)の15%以上
Figure 0007523281000067
上記表5中の低波長分散性液晶化合物などの構造は、以下に示す通りである。
重合性液晶化合物(II-1)
重合性液晶化合物(II-2)
重合性液晶化合物(II-3)
重合性液晶化合物(II-4)
重合性液晶化合物(II-5)〔比較化合物〕
特定重合体(I-1-1)
特定重合体(I-1-2)
特定重合体(I-1-3)
特定重合体(I-1-4:特開2010-84032号公報に記載の重合体)〔比較化合物〕
上記表5に示す結果から、特定重合体、および、低波長分散性液晶化合物をいずれも配合しない場合は、形成される光学異方性膜は逆波長分散性を発現せず、さらに、湿熱耐久性、アミン耐性、および、耐光性のいずれも劣ることが分かった(比較例1)。
また、上記表5に示す結果から、特定重合体のみを配合しない場合は、形成される光学異方性膜は逆波長分散性を発現するものの、湿熱耐久性、アミン耐性、および、耐光性はいずれも劣ることが分かった(比較例2)。
さらに、低波長分散性液晶化合物のみを配合しない場合は、液晶性が発現しないため光学異方性が形成できず、光学フィルムとして評価できないことが分かった(比較例3)。
これに対し、特定重合体および低波長分散性液晶化合物をいずれも配合した場合は、逆波長分散性、湿熱耐久性およびアミン耐性のいずれにも優れた光学異方性膜を形成できることが分かった(実施例1~10)。
特に、実施例1、5および6と実施例9との対比から、特定化合物および、透明点が190~300℃である低波長分散性液晶化合物を組み合わせて用いると、形成される光学異方性膜の逆波長分散性がより良好となり、湿熱耐久性、アミン耐性、および、耐光性も良好となることが分かった。
また、実施例1~4および10の対比から、特定重合体の含有量が、低波長分散性液晶化合物および特定重合体の合計質量に対して30~70質量%であると、形成される光学異方性膜の逆波長分散性がより良好となることが分かった。

Claims (10)

  1. 下記式(II)で表される重合性液晶化合物と、下記式(I-1)で表される繰り返し単位を含む重合体とを含有する、重合性液晶組成物。
    -SP-D10-(Aa1-D-(Gg1-D-〔Ar-D-(Gg2-D-(Aa2-D11-SP-L ・・・(II)
    ここで、前記式(II)中、
    a1、a2、g1およびg2は、それぞれ独立に、1を表す。
    qは、1または2を表す。
    、D、D、D、D10およびD11は、それぞれ独立に、単結合、または、-CO-、-O-、-S-、-C(=S)-、-CR-、-CR=CR-、-NR-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。ただし、qが2である場合、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    およびGは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数5~8の2価の脂環式炭化水素基を表し、脂環式炭化水素基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-または-NH-で置換されていてもよい。
    およびAは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6以上の芳香環、または、置換基を有していてもよい炭素数6以上のシクロアルカン環を表す。
    SPおよびSPは、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する-CH-の1個以上が-O-、-S-、-NH-、-N(Q)-、もしくは、-CO-に置換された2価の連結基を表し、Qは、置換基を表す。
    およびLは、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、または、ビニルオキシ基を表す。
    Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表す。ただし、qが2である場合、複数のArは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    ここで、前記式(I-1)中、
    Arは、下記式(Ar-2)で表される芳香環を表す。
    およびXは、それぞれ独立に、-O-を表す。
    は、下記式(I-2)で表されるアルキレン基を表す。
    Mesは、下記式(I-3)で表される基を表す。
    ただし、前記式(I-1)で表される繰り返し単位を含む重合体は、主鎖の両末端にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、または、ビニルオキシ基を有する。
    ここで、前記式(Ar-2)中、
    *は、XまたはXとの結合位置を表す。
    およびZは、それぞれ独立に、水素原子、または、炭素数1~20の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
    およびAは、それぞれ独立に、-S-を表す。
    Xは、C-(RC1を表し、RC1はシアノ基を表す。
    ここで、前記式(I-2)中、
    *は、MesまたはXとの結合位置を表す。
    mは、2~20の整数を表す。
    また、前記式(I-2)で表されるアルキレン基を構成し、かつ、Xに直接結合していない-CH-のうち、1個または隣接していない2個以上の-CH-は、-O-で置換されていてもよい。
    ここで、前記式(I-3)中、
    *は、Lとの結合位置を表す。
    Mは、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、または、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を表す。
    およびDは、それぞれ独立に、-O-、-CO-、-COO-、または、単結合を表す。
    SPは、単結合、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表す。
    nは、2~5の整数を表し、複数のMは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のDは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、複数のSPは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  2. 前記重合性液晶化合物を用いて作製した光学異方性層が下記式(A)を満たす、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
    1.00≦Re(450)/Re(550)≦1.10 ・・・(A)
    ここで、前記式(A)中、Re(450)は、前記光学異方性層の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、前記光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。
  3. 前記重合性液晶化合物の透明点が160~350℃である、請求項1又は2に記載の重合性液晶組成物。
  4. 前記重合体の含有量が、前記重合性液晶化合物および前記重合体の合計質量に対して3~90質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
  5. 前記重合性液晶化合物が、環構造を4個以上有する化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の重合性液晶組成物を重合して得られる光学異方性膜。
  7. 下記式(III)を満たす、請求項6に記載の光学異方性膜。
    0.50<Re(450)/Re(550)<1.00 ・・・(III)
    ここで、式(III)中、Re(450)は、前記光学異方性膜の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、前記光学異方性膜の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。
  8. 請求項6または7に記載の光学異方性膜を有する光学フィルム。
  9. 請求項8に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
  10. 請求項8に記載の光学フィルム、または、請求項9に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
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