JP7291651B2 - 順波長分散性液晶化合物、重合性液晶組成物、硬化物、光学フィルム、偏光板および画像表示装置 - Google Patents
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光学フィルムとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、液晶化合物からなる光学異方性層(位相差層)を有する光学フィルムを使用することが提案されている。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[2] 後述する式(I)中、nが1であり、A2およびA4がシクロヘキサン環であり、D4が単結合である、[1]に記載の順波長分散性液晶化合物。
[3] 後述する式(I)中、mが1であり、A1およびA3がシクロヘキサン環であり、D3が単結合である、[2]に記載の順波長分散性液晶化合物。
[4] 後述する式(X-1)~(X-5)中、Q4、Q5、Q9、Q10、Q15、Q16、Q21、Q22、Q27およびQ28が、=C(R)-を表し、かつ、Rが水素原子を表す、[1]~[3]のいずれかに記載の順波長分散性液晶化合物。
[5] 後述する上記式(X-1)~(X-5)中、Q1~Q3のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子であり、Q6~Q8のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子であり、Q11~Q14のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、窒素原子であり、Q17~Q20のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子であり、Q23~Q26のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子である、[1]~[4]のいずれかに記載の順波長分散性液晶化合物。
[6] 後述する式(X-1)~(X-5)中、Q2およびQ24が、-C(R)(R)-を表す場合、Rが水素原子を表し、Q7、Q12、Q13、Q18、Q19およびQ25が、=C(R)-を表す場合、Rが水素原子を表す、[1]~[5]のいずれかに記載の順波長分散性液晶化合物。
[8] [7]に記載の重合性液晶組成物を硬化してなる、硬化物。
[9] [8]に記載の硬化物を有する、光学フィルム。
[10] [9]に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
[11] [9]に記載の光学フィルム、または、[10]に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
また、本明細書において、表記される二価の基(例えば、-CO-NR-)の結合方向は、結合位置を明記している場合を除き、特に制限されず、例えば、後述する式(I)中のD1が-CO-NR-である場合、X側に結合している位置を*1、A1側に結合している位置を*2とすると、D1は、*1-CO-NR-*2であってもよく、*1-NR-CO-*2であってもよい。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、上記式(I)中のXが、所定のヘテロ環であることにより、コアの相互作用が強くなり、分子間のスタッキング性が向上するため、液晶相を示す上限温度が高くなり、温度領域が広くなったと考えられる。
また、上記式(I)中のD3およびD4の少なくとも一方が、単結合であるか、アルキレン基などを含まない直線性の高い所定の2価の連結基であることにより、分子の運動性が抑制され、スメクチック相の液晶状態を示すことができたと考えられる。
本発明の順波長分散性液晶化合物(以下、単に「本発明の液晶化合物」とも略す。)は、下記式(I)で表される順波長分散性化合物である。
ここで、本明細書において「順波長分散性」の液晶化合物とは、これを用いて作製された位相差フィルムの特定波長(可視光範囲)における面内のレターデーション(Re)値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が同等または小さくなるものをいう。
また、上記式(I)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環、または、置換基を有していてもよい脂環を表す。ただし、mが2である場合、複数のA1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、nが2である場合、複数のA2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(I)中、D1~D6は、それぞれ独立に、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR1R2-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~12のアルキル基を表す。ただし、D3およびD4の少なくとも一方は、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、mが2である場合、複数のD3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、nが2である場合、複数のD4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(I)中、SP1およびSP2は、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する1個以上の-CH2-が、それぞれ独立に、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR1R2-、-CR3=CR4-、もしくは、-NR5-で置換された2価の連結基を表し、R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~12のアルキル基を表す。
また、上記式(I)中、L1およびL2は、それぞれ独立に1価の有機基を表し、L1およびL2の少なくとも一方は重合性基を表す。
アルキル基としては、炭素数1~18の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基およびシクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基が更に好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基およびメトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。
アルコキシカルボニル基としては、上記で例示したアルキル基にオキシカルボニル基(-O-CO-基)が結合した基が挙げられ、中でも、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基またはイソプロポキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基がより好ましい。
アルキルカルボニルオキシ基としては、上記で例示したアルキル基にカルボニルオキシ基(-CO-O-基)が結合した基が挙げられ、中でも、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基またはイソプロピルカルボニルオキシ基が好ましく、メチルカルボニルオキシ基がより好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられ、中でも、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
ただし、D3およびD4の少なくとも一方は、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、D3およびD4のいずれもが、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表すことが好ましい。
また、D1およびD2の少なくとも一方が、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表すことが好ましく、D1およびD2のいずれもが、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表すことがより好ましい。
特に、mが1である場合、D3は、単結合であることが好ましい。
また、mが2である場合、2個のA1の間に存在するD3は、単結合であることが好ましい。
また、nが1である場合、D4は、単結合であることが好ましい。
また、nが2である場合、2個のA2の間に存在するD4は、単結合であることが好ましい。
また、SP1およびSP2は、上述した通り、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する1個以上の-CH2-が、それぞれ独立に、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR1R2-、-CR3=CR4-、もしくは、-NR5-で置換された2価の連結基であってもよく、R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~12のアルキル基を表す。ただし、置換される対象の-CH2-は、アルキレン基を構成する全ての-CH2-ではない。また、-CH2-が-O-で置換される場合、連続する2個の-CH2-が-O-で置換されることはない。
ラジカル重合性基としては、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができ、好適なものとして、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を挙げることができる。この場合、重合速度はアクリロイルオキシ基が一般的に速いことが知られており、生産性向上の観点からアクリロイルオキシ基が好ましいが、メタクリロイルオキシ基も重合性基として同様に使用することができる。
カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、および、ビニルオキシ基などを挙げることができる。中でも、脂環式エーテル基、または、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、または、ビニルオキシ基が特に好ましい。
特に好ましい重合性基の例としては、下記式(P-1)~(P-20)のいずれかで表される重合性基が挙げられる。
ここで、Rの一態様が示す置換基としては、上記式(I)中のA1~A4において説明した置換基と同様のものが挙げられる。
また、上記式(X-2)で表される基を構成する環構造としては、具体的には、例えば、インドール環、イソインドール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソキサゾール環、インダゾール環、ベンゾイソチアゾール環、1H-ベンゾトリアゾール環、2H-ベンゾトリアゾール環などが挙げられる。
また、上記式(X-3)で表される基を構成する環構造としては、具体的には、例えば、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環などが挙げられる。
また、上記式(X-4)で表される基を構成する環構造としては、具体的には、例えば、クロモン環などが挙げられる。
また、上記式(X-5)で表される基を構成する環構造としては、具体的には、例えば、クマリン環などが挙げられる。
なお、下記表1~表3中、Kの側鎖構造に示される「*」は、芳香環との結合位置を表す。
また、下記表2中の2-2および下記表3中の3-2で表される側鎖構造において、それぞれアクリロイルオキシ基およびメタクリロイル基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
本発明の重合性液晶組成物は、上述した本発明の液晶化合物を含有する重合性液晶組成物である。
本発明の重合性液晶組成物は、上述した本発明の液晶化合物とは異なる重合性液晶化合物を含有していることが好ましい。
ここで、重合性液晶化合物とは、重合性基を有する液晶化合物をいう。
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。更にそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。
本発明においては、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物を用いるのが好ましく、棒状液晶性化合物を用いるのがより好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが好ましく挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。
ここで、本明細書において「逆波長分散性」の液晶化合物とは、これを用いて作製された位相差フィルムの特定波長(可視光範囲)における面内のレターデーション(Re)値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が高くなるものをいう。
また、逆波長分散性の液晶化合物は、上記のように逆波長分散性のフィルムを形成できるものであれば特に限定されず、例えば、特開2010-084032号公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落番号[0067]~[0073]に記載の化合物)、特開2016-053709号公報に記載の一般式(II)で表される化合物(特に、段落番号[0036]~[0043]に記載の化合物)、および、特開2016-081035公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落番号[0043]~[0055]に記載の化合物)等を用いることができる。
本発明の重合性液晶組成物は、重合開始剤を含有していることが好ましい。
使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報、特開平10-29997号公報記載)等が挙げられる。
また、本発明においては、重合開始剤がオキシム型の重合開始剤であることも好ましく、その具体例としては、国際公開第2017/170443号の[0049]~[0052]段落に記載された開始剤が挙げられる。
本発明の重合性液晶組成物は、後述する本発明の硬化物(例えば、光学異方性層)を形成する作業性等の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。
溶媒としては、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合性液晶組成物は、後述する本発明の硬化物の表面を平滑に保ち、配向制御を容易にする観点から、レベリング剤を含有することが好ましい。
このようなレベリング剤としては、添加量に対するレベリング効果が高い理由から、フッ素系レベリング剤またはケイ素系レベリング剤であることが好ましく、泣き出し(ブルーム、ブリード)を起こしにくい観点から、フッ素系レベリング剤であることがより好ましい。
レベリング剤としては、具体的には、例えば、特開2007-069471号公報の[0079]~[0102]段落の記載に記載された化合物、特開2013-047204号公報に記載された一般式(I)で表される化合物(特に[0020]~[0032]段落に記載された化合物)、特開2012-211306号公報に記載された一般式(I)で表される化合物(特に[0022]~[0029]段落に記載された化合物)、特開2002-129162号公報に記載された一般式(I)で表される液晶配向促進剤(特に[0076]~[0078]および[0082]~[0084]段落に記載された化合物)、特開2005-099248号公報に記載された一般式(I)、(II)および(III)で表される化合物(特に[0092]~[0096]段落に記載された化合物)などが挙げられる。なお、後述する配向制御剤としての機能を兼ね備えてもよい。
本発明の重合性液晶組成物は、必要に応じて、配向制御剤を含有することができる。
配向制御剤により、ホモジニアス配向の他、ホメオトロピック配向(垂直配向)、傾斜配向、ハイブリッド配向、コレステリック配向等の種々の配向状態を形成することができ、また、特定の配向状態をより均一かつより精密に制御して実現することができる。
低分子の配向制御剤としては、例えば、特開2002-20363号公報の[0009]~[0083]段落、特開2006-106662号公報の[0111]~[0120]段落、および、特開2012-211306公報の[0021]~[0029]段落の記載を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、高分子の配向制御剤としては、例えば、特開2004-198511号公報の[0021]~[0057]段落、および、特開2006-106662号公報の[0121]~[0167]段落を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
なお、キラル剤の配向規制力に応じてコレステリック配向のピッチを制御することができる。
本発明の重合性液晶組成物は、上述した成分以外の成分を含有してもよく、例えば、界面活性剤、チルト角制御剤、配向助剤、可塑剤、および、架橋剤などが挙げられる。
本発明の硬化物は、上述した本発明の重合性液晶組成物を硬化してなる硬化物であり、上述した本発明の重合性液晶組成物をスメクチック相の液晶状態で固定化した硬化物であることが好ましい。
硬化物の形成方法としては、例えば、上述した本発明の重合性液晶組成物を用いて、所望の配向状態とした後に、重合により固定化する方法などが挙げられる。
ここで、重合条件は特に限定されないが、光照射による重合においては、紫外線を用いることが好ましい。照射量は、10mJ/cm2~50J/cm2であることが好ましく、20mJ/cm2~5J/cm2であることがより好ましく、30mJ/cm2~3J/cm2であることが更に好ましく、50~1000mJ/cm2であることが特に好ましい。また、重合反応を促進するため、加熱条件下で実施してもよい。
なお、本発明においては、硬化物は、後述する本発明の光学フィルムにおける任意の支持体上や、後述する本発明の偏光板における偏光子上に形成することができる。
0.50<Re(450)/Re(550)<1.5 ・・・(II)
ここで、上記式(II)中、Re(450)は、光学異方性層の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。なお、本明細書において、レターデーションの測定波長を明記していない場合は、測定波長は550nmとする。
また、面内レターデーションおよび厚み方向のレターデーションの値は、AxoScan OPMF-1(オプトサイエンス社製)を用い、測定波長の光を用いて測定した値をいう。
具体的には、AxoScan OPMF-1にて、平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((nx+ny)/2-nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScan OPMF-1で算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
フィルム面内の遅相軸方向(面内での屈折率が最大となる方向)の屈折率をnx、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、ポジティブAプレートは式(A1)の関係を満たすものであり、ポジティブCプレートは式(C1)の関係を満たすものである。なお、ポジティブAプレートはRthが正の値を示し、ポジティブCプレートはRthが負の値を示す。
式(A1) nx>ny≒nz
式(C1) nz>nx≒ny
なお、上記「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。
「実質的に同一」とは、ポジティブAプレートでは、例えば、(ny-nz)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、-10~10nm、好ましくは-5~5nmの場合も「ny≒nz」に含まれ、(nx-nz)×dが、-10~10nm、好ましくは-5~5nmの場合も「nx≒nz」に含まれる。また、ポジティブCプレートでは、例えば、(nx-ny)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、0~10nm、好ましくは0~5nmの場合も「nx≒ny」に含まれる。
ここで、「λ/4板」とは、λ/4機能を有する板であり、具体的には、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。
本発明の光学フィルムは、本発明の硬化物を有する光学フィルムである。
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
なお、図1は模式図であり、各層の厚みの関係や位置関係などは必ずしも実際のものとは一致せず、図1に示す支持体および配向膜は、いずれも任意の構成部材である。
図1に示す光学フィルム10は、支持体16と、配向膜14と、硬化物としての光学異方性層12とをこの順で有する。
また、光学異方性層12は、異なる2層以上の光学異方性層の積層体であってもよい。例えば、後述する本発明の偏光板を円偏光板として用いる場合、または、本発明の光学フィルムをIPS方式またはFFS方式の液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合には、ポジティブAプレートとポジティブCプレートの積層体であることが好ましい。
また、光学異方性層を支持体から剥離して、光学異方性層単独で光学フィルムとして用いてもよい。
以下、本発明の光学フィルムに用いられる種々の部材について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムが有する硬化物は、上述した本発明の硬化物である。
本発明の光学フィルムにおいては、上記硬化物の厚みについては特に限定されないが、光学異方性層として用いる場合には、0.1~10μmであるのが好ましく、0.5~5μmであるのがより好ましい。
本発明の光学フィルムは、上述したように、硬化物を形成するための基材として支持体を有していてもよい。
このような支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。
また、後述する偏光子がこのような支持体を兼ねる態様であってもよい。
本発明の光学フィルムは、上述した任意の支持体を有する場合、支持体と硬化物との間に、配向膜を有しているのが好ましい。なお、上述した支持体が配向膜を兼ねる態様であってもよい。
本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコール又はポリイミド、及びその誘導体が好ましい。特に変性又は未変性のポリビニルアルコールが好ましい。
本発明に使用可能な配向膜については、例えば、国際公開第01/88574号の43頁24行~49頁8行に記載された配向膜;特許第3907735号公報の段落[0071]~[0095]に記載の変性ポリビニルアルコール;特開2012-155308号公報に記載された液晶配向剤により形成される液晶配向膜;等が挙げられる。
光配向膜としては特に限定はされないが、国際公開第2005/096041号の段落[0024]~[0043]に記載されたポリアミド化合物やポリイミド化合物などのポリマー材料;特開2012-155308号公報に記載された光配向性基を有する液晶配向剤により形成される液晶配向膜;Rolic Technologies社製の商品名LPP-JP265CPなどを用いることができる。
本発明の光学フィルムは、外光(特に紫外線)の影響を考慮して、紫外線(UV)吸収剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤は、本発明の硬化物に含有されてしてもよいし、本発明の光学フィルムを構成する硬化物以外の部材に含有されていてもよい。硬化物以外の部材としては、例えば、支持体が好適に挙げられる。
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収性を発現できる従来公知のものがいずれも使用できる。このような紫外線吸収剤のうち、紫外線吸収性が高く、画像表示装置で用いられる紫外線吸収能(紫外線カット能)を得る観点から、ベンゾトリアゾール系またはヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、紫外線の吸収幅を広くするために、最大吸収波長の異なる紫外線吸収剤を2種以上併用することができる。
紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、特開2012-18395公報の[0258]~[0259]段落に記載された化合物、特開2007-72163号公報の[0055]~[0105]段落に記載された化合物などが挙げられる。
また、市販品として、Tinuvin400、Tinuvin405、Tinuvin460、Tinuvin477、Tinuvin479、および、Tinuvin1577(いずれもBASF社製)等を用いることができる。
本発明の偏光板は、上述した本発明の光学フィルムと、偏光子とを有するものである。
また、本発明の偏光板は、上述した本発明の光学異方性層がλ/4板(ポジティブAプレート)である場合、円偏光板として用いることができる。
本発明の偏光板を円偏光板として用いる場合は、上述した本発明の光学異方性層をλ/4板(ポジティブAプレート)とし、λ/4板の遅相軸と後述する偏光子の吸収軸とのなす角が30~60°であることが好ましく、40~50°であることがより好ましく、42~48°であることが更に好ましく、45°であることが特に好ましい。
また、本発明の偏光板は、IPS方式またはFFS方式の液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いることもできる。
本発明の偏光板をIPS方式またはFFS方式の液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合は、上述した本発明の光学異方性層を、ポジティブAプレートとポジティブCプレートとの積層体の少なくとも一方のプレートとし、ポジティブAプレート層の遅相軸と、後述する偏光子の吸収軸とのなす角が直交または平行であることが好ましく、具体的には、ポジティブAプレート層の遅相軸と、後述する偏光子の吸収軸とのなす角が0~5°または85~95°であることがより好ましい。
ここで、λ/4板またはポジティブAプレート層の「遅相軸」は、λ/4板またはポジティブAプレート層の面内において屈折率が最大となる方向を意味し、偏光子の「吸収軸」は、吸光度の最も高い方向を意味する。
本発明の偏光板が有する偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用することができる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できるが、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子などが用いられる。
なかでも、密着性がより優れる点で、ポリビニルアルコール系樹脂(-CH2-CHOH-を繰り返し単位として含むポリマー、特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つ)を含む偏光子であることが好ましい。
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムにおける硬化物と、偏光子との間に、粘着剤層が配置されていてもよい。
硬化物と偏光子との積層のために用いられる粘着剤層としては、例えば、動的粘弾性測定装置で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(tanδ=G”/G’)が0.001~1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。本発明に用いることのできる粘着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系粘着剤が挙げられるが、これに限定されない。
本発明の偏光板は、本発明の光学フィルムにおける光学異方性層と、偏光子との間に、接着剤層が配置されていてもよい。
硬化物と偏光子との積層のために用いられる接着剤層としては、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化する硬化性接着剤組成物が好ましい。
硬化性接着剤組成物としては、カチオン重合性化合物を含有する硬化性接着剤組成物、および、ラジカル重合性化合物を含有する硬化性接着剤組成物などが挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.01~20μmが好ましく、0.01~10μmがより好ましく、0.05~5μmが更に好ましい。接着剤層の厚さがこの範囲にあれば、積層される保護層または光学異方性層と偏光子との間に浮きや剥がれを生じず、実用上問題のない接着力が得られる。
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルムまたは本発明の偏光板を有する、画像表示装置である。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セル、有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、液晶表示装置であるのがより好ましい。
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置は、上述した本発明の偏光板と、液晶セルとを有する液晶表示装置である。
なお、本発明においては、液晶セルの両側に設けられる偏光板のうち、フロント側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのが好ましく、フロント側およびリア側の偏光板として本発明の偏光板を用いるのがより好ましい。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、FFS(Fringe-Field-Switching)モード、又はTN(Twisted Nematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60~120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58~59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006-215326号公報、及び特表2008-538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10-54982号公報、特開平11-202323号公報、特開平9-292522号公報、特開平11-133408号公報、特開平11-305217号公報、特開平10-307291号公報などに開示されている。
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、偏光子と、本発明の光学異方性層からなるλ/4板(ポジティブAプレート)と、有機EL表示パネルとをこの順で有する態様が好適に挙げられる。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
次いで、上記式(A-1)で表される8-キノリノール(A-1)2.5gをメタノール175mLに溶解し、先に調製した溶液に室温で滴下した。
次いで、室温で2時間撹拌した後、クロロホルムで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。その後、シリカゲルカラム(クロロホルム/ヘキサン)で精製し、上記式(B-1)で表される黄色の化合物(B-1)を1.0g得た。
次いで、得られた化合物(B-1)1.0gをクロロホルム15mLに溶解し、そこへ、ハイドロサルファイトナトリウム(2.2g)を予め水15mLに溶解した溶液を添加した。添加後、室温で10分間撹拌し、析出した固体をろ取した。その後、クロロホルムと水で洗浄し、上記式(C-1)で表される淡黄色の固体である化合物(C-1)を0.9g得た。
次いで、得られた化合物(C-1)0.9gを、ジメチルアセトアミド(DMAc)1mLに溶解し、そこへ、上記式(D-1)で表される化合物(D-1)5.3g、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)68mg、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)61mg、テトラヒドロフラン(THF)15mL、および、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDCI)塩酸塩2.9gを添加した。室温で2時間攪拌し、反応液を水400mLにあけ、析出した固体をろ取した。固体をクロロホルムとメタノールで晶析して、淡褐色の固体として液晶化合物(I-1)を1.2g得た。
得られた液晶化合物(I-1)の1H-NMR(Nuclear Magnetic Resonance)を以下に示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):8.91(t,1H),8.16(d,1H),7.39(d,2H),7.29(d,1H),6.41(dd,2H),6.17-6.08(m,2H),5.84(dd,2H),4.15(d,8H),2.76-2.60(m,2H),2.31-2.23(m,6H),2.04-1.59(m,24H),1.44-1.40(m,4H),1.17-1.03(m,12H)
次いで、化合物(C-1)に代えて、化合物(C-2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、淡褐色の固体として液晶化合物(I-2)を0.9g得た。
得られた液晶化合物(I-2)の1H-NMRを以下に示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3)δ(ppm):9.33(s,1H),8.59(d,1H),7.44(d,1H),7.34(d,1H),6.42(dd,2H),6.18-6.08(m,2H),5.86(dd、2H),4.15(d,8H),2.72-2.60(m,2H),2.28-2.24(m,6H),2.04-1.68(m,24H),1.65-1.45(m,4H),1.40-1.04(m,12H)
次いで、化合物(C-1)に代えて、化合物(C-3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、淡褐色の固体として液晶化合物(I-3)を0.5g得た。
次いで、化合物(C-1)に代えて、化合物(C-4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、淡褐色の固体として液晶化合物(I-4)を0.8g得た。
次いで、化合物(C-1)に代えて、化合物(C-5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、淡褐色の固体として液晶化合物(I-5)を0.6g得た。
実施例および比較例で合成した各化合物について、以下の示す方法で、液晶性および波長分散を評価した。
光学顕微鏡(Nikon社製 ECLIPSE E600 POL)の二枚の偏光子を互いに直交するように配置し、二枚の偏光子の間にサンプル台をセットした。
そして、合成した各液晶化合物をスライドガラスに少量乗せ、サンプル台上に置いたホットステージ上にスライドガラスをセットした。サンプルの状態を顕微鏡で観察しながら、ホットステージの温度を5℃/分で上げ、サンプルの状態から液晶相の種類と、相転移する温度を記録した。
結果を下記表4に示す。なお、下記表4中、Crは結晶を表し、Smはスメクチック相を表し、Nはネマチック相を表し、Isは等方相を表す。
以下の手順で作製した光学フィルムについて、Axo Scan(OPMF-1、オプトサイエンス社製)を用いて、波長450nmのレターデーション値(Re(450))と、波長550nmのレターデーション値(Re(550))と、波長650nmのレターデーション値(Re(550))とを測定し、Re(450)/Re(550)、および、Re(650)/Re(550)を算出した。これらの結果を下記表4に示す。
下記の組成を有する重合性液晶組成物を調製し、ラビング処理されたPVA配向膜(クラレ製 PVA-103)付石英基板にスピンコートにより塗布した。
塗膜を145℃で配向処理し、液晶層を形成した。
その後、露光時温度である100℃まで冷却して500mJ/cm2の紫外線照射による配向固定化を行い、光学異方性層を形成し、光学フィルムを作製した。
光学異方性層膜塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・合成した各液晶化合物 33.0質量部
・下記化合物A 5.9質量部
・光重合開始剤
(イルガキュアOXE-01、BASF社製) 0.4質量部
・下記含フッ素化合物B 0.04質量部
・クロロホルム 60.7質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
これに対し、上記式(I)に含まれる液晶化合物(I-1)~(I-5)は、液晶相を示す温度領域が100℃以上と広くなり、また、スメクチック相の液晶状態を示すことが分かった(実施例1~5)。
12 光学異方性層
14 配向膜
16 支持体
18 ハードコート層
Claims (8)
- 下記式(I)で表される、順波長分散性液晶化合物。
mおよびnは、それぞれ独立に、0~2の整数を表し、mおよびnの少なくとも一方は1または2を表す。
A1~A4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環、または、置換基を有していてもよい脂環を表す。ただし、mが2である場合、複数のA1は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、nが2である場合、複数のA2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
D1~D6は、それぞれ独立に、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR1R2-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~12のアルキル基を表す。ただし、D3およびD4の少なくとも一方は、単結合、または、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR3=CR4-、-NR5-、もしくは、これらの2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基を表し、mが2である場合、複数のD3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、nが2である場合、複数のD4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
SP1およびSP2は、それぞれ独立に、単結合、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1~12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する1個以上の-CH2-が、それぞれ独立に、-O-、-CO-、-S-、-C(=S)-、-CR1R2-、-CR3=CR4-、もしくは、-NR5-で置換された2価の連結基を表し、R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、または、炭素数1~12のアルキル基を表す。
L1およびL2は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、または、重合性基を表し、L1およびL2の少なくとも一方は重合性基を表す。
Xは、下記式(X-1)~(X-5)のいずれかで表される基を表す。
*は、D1またはD2との結合位置を表す。
Q1~Q3は、それぞれ独立に、-C(R)(R)-、-O-、-N(R)-、-S-、-P(R)-、または、-P(=O)(R)-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q 2 が-C(R)(R)-を表す場合、Rが水素原子を表す。Q4およびQ5は、=C(R)-を表し、Rは、水素原子を表す。ただし、Q1~Q 3 のうち、環を構成する原子の少なくとも1つは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子である。
Q6 およびQ 7 は、それぞれ独立に、=C(R)-、または、=N-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q 7 が=C(R)-を表す場合、Rが水素原子を表す。Q8は、-C(R)(R)-、-O-、-N(R)-、-S-、-P(R)-、または、-P(=O)(R)-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q 9 およびQ 10 は、=C(R)-を表し、Rは、水素原子を表す。ただし、Q6~Q 8 のうち、環を構成する原子の少なくとも1つは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子である。
Q11~Q14 は、それぞれ独立に、=C(R)-、または、=N-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q 15 およびQ 16 は、=C(R)-を表し、Rは、水素原子を表す。ただし、Q11~Q14 のうち、環を構成する原子の少なくとも1つは、窒素原子である。
Q17およびQ20は、それぞれ独立に、-C(R)(R)-、-C(=O)-、-O-、-N(R)-、-S-、-P(R)-、または、-P(=O)(R)-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q18 およびQ19 は、それぞれ独立に、=C(R)-、または、=N-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q 21 およびQ 22 は、=C(R)-を表し、Rは、水素原子を表す。ただし、Q17~Q20 のうち、環を構成する原子の少なくとも1つは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子である。
Q23およびQ24は、それぞれ独立に、-C(R)(R)-、-C(=O)-、-O-、-N(R)-、-S-、-P(R)-、または、-P(=O)(R)-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q 24 が-C(R)(R)-を表す場合、Rが水素原子を表す。Q25 およびQ26 は、それぞれ独立に、=C(R)-、または、=N-を表し、Rは、水素原子または置換基を表す。Q 27 およびQ 28 は、=C(R)-を表し、Rは、水素原子を表す。ただし、Q23~Q26 のうち、環を構成する原子の少なくとも1つは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子である。
ただし、前記式(I)中、nが1であり、A 2 およびA 4 がシクロヘキサン環であり、D 4 が単結合であるか、及び、mが1であり、A 1 およびA 3 がシクロヘキサン環であり、D 3 が単結合であるかの少なくとも一方である。 - 前記式(X-1)~(X-5)中、
Q1~Q3のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子であり、
Q6~Q8のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子であり、
Q 17~Q20のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子であり、
Q23~Q26のうち、環を構成する原子の少なくとも1つが、酸素原子または窒素原子である、請求項1に記載の順波長分散性液晶化合物。 - 前記式(X-1)~(X-5)中、
Q 12、Q13、Q18、Q19およびQ25が、=C(R)-を表す場合、Rが水素原子を表す、請求項1又は2に記載の順波長分散性液晶化合物。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の順波長分散性液晶化合物を含有する、重合性液晶組成物。
- 請求項4に記載の重合性液晶組成物を硬化してなる、硬化物。
- 請求項5に記載の硬化物を有する、光学フィルム。
- 請求項6に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
- 請求項6に記載の光学フィルム、または、請求項7に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
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