JP6701626B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

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本発明は、食品の包装材、医薬品やインクジェットタンク部材の外装材、樹脂等の輸出用包材、太陽電池バックシートといった産業資材向け外装材として用いられるガスバリアフィルムに関するものである。
食品や医薬品類の包装、ハードディスクや半導体モジュールに用いられる包装材料においては、内容物を保護することが必要である。特に、食品包装においては蛋白質や油脂などの酸化や変質を抑制し、味や鮮度を保持することが必要である。また無菌状態での取り扱いが必要とされる医薬品類においては有効成分の変質を抑制し、効能を維持することが求められる。これらの内容物の品質を保護するために、酸素や水蒸気、その他内容物を変質させる気体を遮断するガスバリア性を備える包装体が求められている。
医薬品やインクジェットタンク部材の外装材や、樹脂等の輸出用包材には、高温多湿化における加速試験や、船便による輸送(特に赤道直下)において安定して優れた高い酸素バリア性、水蒸気バリア性を発揮できる包装体が求められている。
太陽電池保護シートは、太陽電池モジュールの起電部分であるパターニングされたシリコン薄膜の湿度による劣化を防止するために、太陽電池の裏側に設けられる。太陽電池保護シートには、酸素や水蒸気といったガスを遮断できると同時に、屋外などの過酷な状況下で使用されてもガスバリア性能が劣化しない耐久性能が求められる。
プラスチックフィルムからなる包装体としては、従来、高分子の中では比較的ガスバリア性能に優れるポリビニルアルコール(PVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの樹脂フィルム、或いは、これらの樹脂をラミネートしたプラスチックフィルム、または、これらの樹脂フィルムにコーティングを施したプラスチックフィルムなどが用いられてきた。しかしながら、これらのフィルムは、温度依存性が高く、高温または高湿度下においてガスバリア性能に劣化が見られる。また、食品包装用途においてはボイル処理や高温高圧力条件下でのレトルト処理を行うとガスバリア性能が著しく劣化する場合が多い。また、PVDC系の高分子樹脂組成物を用いたガスバリア性積層体は、湿度依存性は低いものの、温度依存性があり、高温下で高いガスバリア性能(例えば、1cc/m・day・atm以下)を得ることができない。
また、PVDCやPANなどは廃棄・焼却の際に有害物質が発生する危険性が高いため、ガスバリア性フィルムへの使用は困難であり、高防湿性を有し、かつ高度のガスバリア性能を要求される包装体については、アルミニウムなどの金属箔などを用いてガスバリア性能を担保せざるを得なかった。しかしながら、金属箔は不透明であるため、包装材料を透過して内容物を識別することが難しく、金属探知機による内容物検査や、電子レンジでの加熱処理が出来ない。
これらの問題を解決するべく、プラスチックフィルム上に、酸化ケイ素等からなる金属酸化膜を形成したガスバリア性フィルムが実用化されている。
金属酸化膜の形成に、ドライコーティング法、中でも真空蒸着法を用いることで、ガスバリア性フィルムの生産性を向上させることができる。真空蒸着法以外のドライコーティング法として、スパッタリング法や化学気相蒸着法(ChemicalVaporDeposition:CVD)が挙げられるが、スパッタリング法では、ガスバリア性能には優れるものの、生産速度が大幅に遅くなってしまう。化学気相蒸着法(ChemicalVaporDeposition:CVD)の場合においても、ガスバリア層形成方法として選択した場合、真空蒸着法と比較して生産速度が遅くなってしまうというデメリットが生じてしまう。
真空蒸着法を用いての金属酸化膜の形成方法としては、成膜材料に金属材料を用い、空間中に酸素等の反応性ガスを導入し反応させることで、金属酸化膜を得る方法が挙げられる。この方法で金属酸化膜を得る場合、金属酸化膜の透明性は、金属材料が蒸発することでできる蒸着粒子が、空間中に導入された反応性ガスと衝突し、金属酸化物粒子となることで付与されるが、蒸着粒子がより多くの反応性ガスと衝突することで、透明性は高くなっていく。
また、成膜材料に酸化ケイ素等のセラミック材料を用いることで、金属酸化膜を得る方法も挙げられる。この方法の場合でも、酸素等の反応性ガスを導入し反応させることで、更なる透明性の向上を図ることができる。
透明性を向上させる方法として、成膜速度を短くして膜厚を減少させる方法が挙げられるが、その場合、膜厚の減少により、従来得られていたガスバリア性能が大幅に劣化してしまうことがあり、透明性を向上させつつ、更なるガスバリア性能向上を達成するには、鋭意工夫が求められる。
生産性、ガスバリア性に優れた、ガスバリア膜のひとつとして、蒸着法により成膜された、アルミニウム膜が挙げられるが、アルミニウム膜を用いた場合、透明性に乏しい、食品包装材料用途に用いる場合金属探知機による検査を行うことができない、スチーム処理やレトルト処理等の熱水処理によりアルミナ膜がベーマイト化してしまうことに起因してガスバリア性能の劣化が生じてしまう、といった問題点が存在している。
それらの、アルミニウム膜が持つ問題を解決する方法として、成膜材料にアルミニウム材料を用い、空間中に酸素等の反応性ガスを導入し反応させることで、アルミナからなるガスバリア膜を得る方法が挙げられる。この方法を用いれば、アルミニウム膜が持つ、透明性に乏しい、金属探知機による検査を行うことができないといった問題は解決することが可能となるが、スチーム処理やレトルト処理等の熱水処理により、アルミナ膜がベーマイト化してしまうことに起因してガスバリア性能の劣化が生じてしまう問題点は解決できない。
アルミニウム膜やアルミナ膜が持つ問題を解決する方法として、成膜材料に酸化ケイ素を用いて、酸化ケイ素膜からなるガスバリア膜を得る方法が挙げられる。耐久性に優れる酸化ケイ素膜を用いれば、アルミニウム膜やアルミナ膜が持つ、スチーム処理やレトルト処理等の熱水処理により、アルミナ膜がベーマイト化してしまうことに起因してガスバリア性能の劣化が生じてしまう問題点を解決することができる。酸素等の反応性ガスを導入し反応させることで、更なる透明性の向上を図ることもできる。しかし、反応性ガス導入により発生する成膜圧力の上昇に伴い、平均自由行程が短くなり衝突回数が多くなることで、蒸着粒子の持つ運動エネルギーが多く失われてしまうため、従来得られていたガスバリア性能が大幅に劣化してしまう問題点が存在している。
酸化ケイ素膜の場合、O/Si比が高くなるほど透明性は向上するが、ガスバリア性能は劣化してしまうという問題点も存在している。
すなわち、酸化ケイ素膜を用いた場合、透明性とガスバリア性能を両立させることは困難であり、それらの解決には更なる鋭意解決が求められている。
国際公開第2012/091097号
本発明は、透明性およびガスバリア性能に優れたガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
本発明に係るガスバリアフィルムは、基材となるプラスチックフィルムの少なくとも片面に、珪素、酸素、水素からなるガスバリア層SiOが真空蒸着法にて形成され、ガスバリア層の酸素Oが1.6≦X≦1.95、水素Hが0.10≦Y≦0.79であり、ガスバリア層に含まれる水素量が30at%以下であることを特徴とするガスバリアフィルム。
真空蒸着法は、電子ビーム蒸着法、抵抗加熱法および高周波誘導加熱法のいずれかであってもよい。
本発明によれば、透明性およびガスバリア性能に優れたガスバリアフィルムを提供できる。
実施形態に係るガスバリアフィルムの概略断面図 実施形態に係るガスバリアフィルムの製造装置を示す模式図
図1は、実施形態に係るガスバリアフィルムの概略断面図である。ガスバリアフィルム1は、プラスチックフィルム10上に、ガスバリア層11が成膜された構成となっている。
ガスバリアフィルム1の層構成は、上記の例に制限されるものではなく、更なるガスバリア性能や密着性の向上を目的に、樹脂材料をベースにしたアンカーコート層の挿入や、プラズマを用いた表面処理を行ってもよい。
また、ガスバリア層11の上に、保護層等を設けても問題ない。保護層としては、金属アルコキシドを用いる塗布膜を設けることが望ましい。具体的には一般式R M(OR4−n(ただしR、Rは炭素数1〜8のアルキル基、Mは金属原子、nは、0〜3の整数)で表されるものであり、金属原子としてはSi、Ti、Al、Zr等を挙げることができる。また、その上にナイロンフィルムやポリプロピレンフィルム等をラミネートしても問題ない。
金属MがSiである金属アルコキシドの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
金属MがZrである金属アルコキシドの例としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等を挙げることができる。
金属MがTiである金属アルコキシドの例としては、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウム等を挙げることができる。
金属MがAlである金属アルコキシドの例としては、テトラメトキシアルミニウム、テトラエトキシアルミニウム、テトライソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
上記金属アルコキシドは1種類のみ用いても2種以上混合して用いても差し支えない。また、アクリル酸やポリビニルアルコール、ウレタン化合物、ポリエステル化合物を混合してもよいが、膨潤性の材料を混合することが望ましい。
ラミネーションを行なう場合、接着剤としてウレタン系の接着剤を用いることが好ましく、またラミネートする方法として、ドライラミネーション法、ノンソルベントラミネーション法、押出しラミネーション法、ニーラムラミネーション法などによりラミネーションすることが好ましい。
プラスチックフィルム10の材質は特に制限を受けるものではなく、公知のものを使用することが出来る。プラスチックフィルム10の材質として、例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド系(ナイロン―6、ナイロン―66等)、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等)などが挙げられるが、これらに限定されない。外観の観点や、中身が確認できると言った利点から、プラスチックフィルム10として透明フィルムを用いることが好ましい。また、プラスチックフィルム10の厚さに関しても特に制限を受けるものではないが、ガスバリア層蒸着フィルムを形成する場合の加工性を考慮すると、12〜100μmの範囲が好ましい。
ガスバリア層11としては、ケイ素膜、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸窒化ケイ素膜といったものが挙げられる。さらに炭素、窒素が加わっていても構わない。
ケイ素膜や酸化ケイ素膜を蒸着する際に用いる成膜材料(蒸着材料)としては、特に限定されるものではなく公知のものを使用することができる。ただし、成膜材料のO/Si比(元素比)と成膜された膜のO/Si比とを比較すると、成膜された膜のO/Si比>成膜材料のO/Si比という関係があるため、成膜材料のO/Si比が高すぎる場合、成膜された膜に十分なガスバリア性が発現しない可能性がある。逆に、成膜材料のO/Siが低過ぎる場合、スプラッシュが発生しやすくなる可能性がある。そこで、成膜材料のO/Si比は、1.00<O/Si<2.00とすることが好ましく、1.50≦O/Si≦1.85とすることがより好ましい。
ガスバリア層11の組成としては、SiO(X、Yは、珪素元素に対する元素比を表す実数)で記されるガスバリア層の場合、膜中に含まれるHの含有量を30at%以下に抑えること、また1.50≦X≦2.20、0.10≦Y≦1.20とすることで、延伸・熱水等に対する耐久性、透明性、ガスバリア性能に優れたガスバリア層11を形成することができる。透明性とガスバリア性能を確保するために、
Xの値を、1.6≦X≦1.95とすることがよりこのましい。Xの値を制御する手法としては、酸素のような酸化剤を導入する手法や、成膜材料のO/Si比を高くする方法挙げられる。酸化剤の導入量またはO/Si比を大きくすることで、Xの値は大きくなっていく。X<1.50の場合、透明性が不十分となってしまう可能性があり、2.20<Xの場合、透明性は十分確保できても、ガスバリア性能が発揮されない可能性がある。延伸・熱水等に対する耐久性、透明性、ガスバリア性能を確保するために、Yの値は、0.1≦Y≦1.20とすることがより好ましい。Yの値を制御する手法としては、成膜中の成膜空間における残留水分量を少なく押える方法が有効である。例えば、成膜前の真空引きにおいて、ターボ分子ポンプや油拡散ポンプだけでなく、コールドトラップなどの水分除去を得意とする機構を組み合わせることや、成膜空間にコールドトラップなどを設置して、水分をトラップしながら成膜を実施することが有効な手段となる。1.20<Yの場合、膜中に含まれるHの量が多くなり、ガスバリア性能が発揮されない可能性がある。また、SiOの密度低下要因となり、ガスバリア性低下を招く可能性があり好ましくない。
ガスバリア層11の膜厚は、生産性とガスバリア性を考慮すると、5〜30nmが好ましい。ガスバリア層11の膜厚が5nm未満の場合、安定したガスバリア性能を得ることが困難であり、30nmを超える場合、生産速度が遅くなり、コストが高くなってしまう恐れがある。
ガスバリア層11の透過率は、包装材料に用いた際の視認性や、外観向上を考慮すると、80%以上が好ましく、特に85%以上であることが望ましい。ガスバリア層11の透過が80%未満の場合透明性を確保できず、外観を損ねてしまう。
ガスバリア層11を成膜する際、従来の真空蒸着による成膜方式では、透過率を向上させるために、酸素等の反応性ガスを従来よりも多く導入すると、反応ガス導入により発生する成膜圧力の上昇に伴い、平均自由行程が短くなり衝突回数が多くなることで、蒸着粒子の持つ運動エネルギーが多く失われてしまうため、または、成膜された膜のO/Siが大きくなることにより、従来得られていたガスバリア性能が大幅に劣化してしまうことがあった。この対策として、蒸発粒子に新たに運動エネルギーを付与することで、失われる運動エネルギーを補い補足することが有効であり、中でもプラズマを用いた手法が有効である。速い成膜速度により成膜する場合は、蒸着粒子の数が非常に多いため、高いプラズマ密度を発現できる方式を採用することが必要となる。高いプラズマ密度を発現できる方式でない場合、蒸着粒子に比してプラズマ化している粒子数が少なく、膜質を向上させる変化を発現させることが困難である。高いプラズマ密度を発現させる手段として、ICPプラズマ法、ヘリコン波プラズマ法、マイクロ波プラズマ法、ホロカソード放電法の何れかを用いることが最適である。また、これらの手法を用いた場合、プラズマにより蒸着粒子が分解されるため、プラズマを用いない場合と比較してO/Si比が低くなる傾向にあり、ガスバリア性能は向上するが、透明性は低下してしまう。プラズマを用いることで、膜厚変動に対するガスバリア性能の変動を小さく抑えるため、生産速度向上に伴う膜厚減少に起因するガスバリア性能の劣化に関しても、その影響を小さくすることができる。
図2は、実施形態に係るガスバリアフィルムの製造装置を示す模式図である。真空チャンバー20において、プラスチックフィルム21を巻き出しローラー22にセットし、巻き出しローラー22より引き出されたプラスチックフィルム21が成膜ロール23を通過し、巻取りローラー24に巻き取られる。この際、成膜ロール23において、ガスバリア層11をプラスチックフィルム21上に形成する。ガスバリア層11を成膜するための材料25は、真空チャンバー20内の成膜空間にセットする。また、蒸着手段として、直進電子ビーム銃26が設置されている。電子ビームにより加熱された材料25は、蒸気の蒸着粒子27となりプラスチックフィルムに蒸着される。また、成膜空間には、コールドトラップ28が設置される。
図2において、蒸着材料25を過熱する方法として、直進電子ビーム銃26を用いた電子ビーム蒸着法を示したが、抵抗加熱法または高周波誘導加熱法などを用いて加熱し、材料25を蒸発させてもよい。電子ビーム蒸着法で用いる蒸着手段は、直進電子ビーム銃であってもよいし、偏向電子ビーム銃であってもよい。高い成膜速度を発現させるためには大電力の投入が可能なピアース式平面陰極形電子銃などを好適に利用できるが、これに限られるものではない。また抵抗加熱法は、材料を詰めた坩堝を直接抵抗加熱する方式であってもよいし、別の方式であっても問題ない。いずれの方式も高い成膜速度を発現できる装置の構成になっていることが必要である。
ガスバリア層蒸着フィルムの製造装置は、この形に制限されるわけではなく、必要に応じて、プラズマ処理装置や反応ガスの導入装置を設置しても問題はない。ロールの配置に関しても、特に制限されるものではない。
(実施例1)
図2の製造装置を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 P60)の片面にSiOからなる酸化ケイ素層を形成した。その際、蒸着用の材料としてO/Si比=1.65の酸化ケイ素材料を用いた。また、ガスバリア層に含まれる水素量を30at%以下とするために、真空引きだけでなく成膜中においても、成膜空間に設置されているコールドトラップを使用した。
(比較例1)
図2の製造装置を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 P60)の片面にSiOからなる酸化ケイ素層を形成した。その際、蒸着用の材料としてO/Si比=1.65の酸化ケイ素材料を用いたが、真空引き並びに成膜中においても、コールドトラップを使用しなかった。
(比較例2)
図2の製造装置を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 P60)の片面にSiOからなる酸化ケイ素層を形成した。その際、蒸着用の材料としてO/Si比=1.2の酸化ケイ素材料を用いた。また、ガスバリア層に含まれる水素量を30at%以下とするために、真空引きだけでなく成膜中においても、成膜空間に設置されているコールドトラップを使用した。
(比較例3)
図2の製造装置を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製 P60)の片面にSiOからなる酸化ケイ素層を形成した。その際、蒸着用の材料としてO/Si比=1.95の酸化ケイ素材料を用いた。また、ガスバリア層に含まれる水素量を30at%以下とするために、真空引きだけでなく成膜中においても、成膜空間に設置されているコールドトラップを使用した。
(水蒸気透過率の測定)
水蒸気透過率(WVTR)は、水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON PERMATRAN 3/21)により、40℃90%RH雰囲気にて測定した。
(光透過率の測定)
透過率を分光光度計(SHIMADZU社製 UV−2450)により、ベースラインを大気として測定した。なお、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製 P60)の透過率は85.82%Tであった。
(膜組成の測定)
膜組成を、高分解能RBS(High Resolution Rutherford Backscattering Spectrometry;HR−RBS)及び高分解能ERDA(High Resolution Elastic Recoil Detection Analysis;HR−ERDA)により測定した。
水蒸気透過率(WVTR)、光透過率、膜組成の測定評価結果を表1に示す。
Figure 0006701626
表1に示すように、実施例1のガスバリアフィルムでは、O/Si比、H/Si比及び水素原子量の値がいずれも上述した好ましい条件を満足するため、ガスバリア性の指標となる水蒸気透過率及び光透過率のいずれも良好であった。これに対して、比較例1では、ガスバリア層を構成する水素原子のH/Si比が1.20を超えたことにより、水蒸気透過率が低下した。比較例2では、O/Si比が1.50を下回ったことにより、透明性の指標となる光透過率が低下した。比較例3では、O/Si比が2.20を超えたことにより、水蒸気透過率が大きく低下した。表1の結果から、本発明によれば、透明性およびガスバリア性能の両方に優れたガスバリアフィルムを実現できることが確認できた。
本発明おけるガスバリア層蒸着フィルムの産業上の利用可能性としては、食品や飲料品の包装材、医薬品やインクジェットタンク部材の外装材、樹脂等の輸出用包材、太陽電池バックシートといった産業資材向け外装材が挙げられる。
1…ガスバリアフィルム
10…プラスチックフィルム
11…ガスバリア層
20…真空チャンバー
21…プラスチックフィルム
22…巻き出しローラー
23…成膜ロール
24…巻取りローラー
25…材料
26…直進電子ビーム銃
27…蒸着粒子
28…コールドトラップ

Claims (1)

  1. 基材となるプラスチックフィルムの少なくとも片面に、珪素、酸素、水素からなるガスバリア層SiOが真空蒸着法にて形成され、前記ガスバリア層の酸素Oが1.6≦X≦1.95、水素Hが0.10≦Y≦0.79であり、前記ガスバリア層に含まれる水素量が30at%以下であることを特徴とするガスバリアフィルム。
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