以下に添付図面を参照して、本発明にかかる現金自動取引装置の実施の形態を詳細に説明する。以下では、現金自動取引装置が紙幣カセットを取り扱う場合について説明しているが、現金自動取引装置が硬貨カセットを取り扱う場合も同様に適用することができる。
図1は、本発明にかかる現金自動取引装置を適用した装置背面である係員操作面側からみた外観図である。図1に示すように、現金自動取引装置101(以降ATMとする)には、エンドユーザのキャッシュカードを受付けるためのカードリーダを有し、ATM101が発行する明細票を印字するカード明細票部102と、エンドユーザの通帳を受付印字する通帳部103と、紙幣収納庫(不図示)からエンドユーザに紙幣を入出金するための紙幣入出金部104と、紙幣入出金部104に運用紙幣を装填する為の紙幣カセット105と、予備紙幣カセット107をATM101内に保管する為の予備カセット収納部106と、ATM101全体の制御を行うATM制御部108と、筐体後扉109に実装され、主に係員が操作する為に必要な情報を表示し操作を受付けるための係員操作部110と、を有して構成される。
図2は、図1に示したATM101の制御ブロック図である。図2に示すように、ATM101の全体をATM制御部108で制御する為に、エンドユーザへの情報表示及び操作を受付ける顧客操作部201と、カード明細部102と、通帳部103と、紙幣入出金部104と、紙幣カセット105と、予備カセット収納部106と、予備紙幣カセット107と、係員操作部110とが、ATM101内部で接続されている。
さらに、ATM101は、その周辺システムとして、ルータ202等の通信機器を経由して、ATM101の稼動情報をリモートで監視するATM監視端末203やATM101内の現金の入出金を管理する現金出納機206に接続されている。また、上記ルータ202およびネットワーク網204を経由して、各店舗のATMを管理する銀行ホスト205に接続されている。紙幣入出金部104の紙幣収納庫に紙幣装填するための紙幣カセット105や、予備カセット収納部106に紙幣装填するための予備紙幣カセット107は、係員が着脱できる構造となっている。また、これらの収納部は、ATM101から現金の不用意な持ち出しを防止するために、現金装填もしくは回収を行うときしか着脱できないように、ATM制御部108が制御する物理的なロック機構を備え、係員による鍵操作も可能とするが鍵操作でロック解除したことをATM制御部108が検出可能である。なお、図中の点線は、紙幣カセット105、予備紙幣カセット107が取り外された状態を示し、図中の矢印は両者が交換可能であることを示している。
図3は、ATM101に固定された予備カセット収納部106の部分詳細図である。図3に示すように、予備カセット収納部106には、予備紙幣カセット107が係員操作により、矢印方向に引き上げまたは押し込むことにより収納できる構造となっている。また、予備カセット収納部106は、着脱用の物理的ロック機構301を備えており、ATM制御部108と接続され制御されるほか、係員による鍵操作も可能となっている。ATM制御部108は、鍵操作で物理的ロック機構301のロックを解除したことを検出可能である。
さらに、予備カセット収納部106は、予備紙幣カセット107と接続する為のコネクタ302を備えている。予備紙幣カセット107には、カセット内の紙幣の有無や、たとえば収納されている予備紙幣が、閾値として定められた枚数である100枚程度以下となった場合に残量少として反応するように設定された紙幣残量センサ303と、予備紙幣カセット107の固体識別をする為のID304を記憶するメモリとを有し、コネクタ302を介して接続されたATM制御部108は、予備カセット収納部106と通信してこれらの情報を読み取る。以下では、ATM制御部108がこれらの情報を読み取る場合について説明しているが、紙幣残量センサ303がこれらの情報を自律的にATM制御部108に送信してもよい。
紙幣カセット105と予備紙幣カセット107とは、同じ機能、同じ外観のカセットであり、上記ID304以外は完全に互換性があるため、お互いに入替えが可能である。
上記これらの構成でATMを運用する手順を説明する。
まず初めに、図4のフローチャートを用いてATM101に紙幣を装填する手順を説明する。ATM101に紙幣を装填する手順を開始する場合(ステップ401)、2つのカセットそれぞれに現金を詰め(ステップ402)、1つ目のカセットを紙幣入出金部104にセットする(ステップ403)。すなわち、紙幣入出金部104は、係員によって現金が詰められた紙幣カセット105が装填されると、紙幣残量センサ303がその枚数を検知し、ATM制御部108がその紙幣を読み取る。
ここで、係員操作部110が、係員から装填実行操作を受け付け、ATM制御部108がステップ403を実行すると(ステップ404)、ATM制御部108は、紙幣入出金部104に対して、装填された紙幣カセット105を取出し不可の状態にロックするロック指示を出力し、紙幣入出金部104の物理的ロック機構301が、その指示に従ってカセットをロックする(ステップ405)。
ATM制御部108は、装填された紙幣カセット105をロックすると、そのカセットに収納されている紙幣を計数し、紙幣入出金部104の紙幣収納庫への装填を開始する(ステップ406)。ATM制御部108は、紙幣カセット105内の紙幣がなくなったか否かを判定し(ステップ407)、その紙幣がなくなるまでステップ406、407を繰り返し実行する。
ATM制御部108は、紙幣カセット105内の紙幣をすべて装填したと判定した場合(ステップ407;Yes)、紙幣収納庫に装填した枚数を紙幣入出金部104内の現金在高としてメモリに記録するとともに、1つ目のカセットである紙幣カセット105はカセット内が空のため、0枚の情報をカセットのID304と合わせてATM制御部108に記録し、次のステップに進む(ステップ408、409)。すなわち、ATM制御部108は、紙幣入出金部104内の紙幣収納庫に装填した紙幣の枚数(例えば、100枚)と、紙幣装填元である紙幣カセット105に残っている紙幣の枚数(例えば、0枚)と、その紙幣カセット105のID304とを対応付けてメモリに記録するとともに、ホスト205や現金出納機206にこれらの情報を送信する。
続いて、もうひとつの予備紙幣カセット107の操作について図5のフローチャートに従って説明する。以下では、図4に示した処理に続けて実行される場合について説明しているが、必ずしも続けて実行されなくてもよい。
係員により予備紙幣カセット107が予備カセット収納部106にセットされると(ステップ501)、ATM制御部108は、係員操作部110に図6のようなガイダンス画面を表示し、係員による紙幣枚数の入力を促す(ステップ502)。この画面には、少なくとも、紙幣枚数の入力をキャンセルする為のキャンセルボタン601と紙幣枚数を入力する為の入力ボタン602と、その入力値を確定する為の確定ボタン603とが表示され、係員による入力操作を受け付けることが可能である。ATM制御部108は、このガイダンス画面でいずれかの入力があるまで表示して待機する(ステップ503)。入力がキャンセルされた場合は、ATM制御部108で管理できないため処理を終了する(ステップ504、508)。
図6に示す例では、予備紙幣カセット107が予備カセット収納部106にセットされ、そのカセットに収納されている紙幣の枚数(概算値)の入力を促すガイダンスが表示され、その入力をキャンセルするか確定させるためのボタンがガイダンス画面に表示されることを示している。
係員操作部110が紙幣枚数(0でも可)の入力を受け付けると(ステップ503;Yes、ステップ504;No)、ATM制御部108は、予備紙幣カセット107の紙幣残量センサ303をチェックする(ステップ505)。例えば、ATM制御部108は、少なくとも、紙幣残量センサ303が、予備紙幣カセット107に収納されている紙幣の枚数が100枚程度以下であり残量少を検知しているか否かと、上記係員操作部110から入力された紙幣枚数とを比較し、両者の差が一定の誤範囲内であるなど所定の関係にあるか否かを判定する。
ATM制御部108は、両者の差が一定の誤範囲内でないと判定した場合(ステップ505;No)、誤入力の可能性が高いと判断し、再度、上記ガイダンス画面にもどる(ステップ502)。一方、ATM制御部108は、両者の差が一定の誤範囲内であると判定した場合(ステップ505;Yes)、入力値に大きな誤りが無いと判断し、予備カセット収納部106に対して、装填された予備紙幣カセット107を取出し不可の状態にロックするロック指示を出力し、予備カセット収納部106の物理的ロック機構301が、その指示に従ってカセットをロックする(ステップ506)。上記ステップ505の処理を行うことにより、係員による入力値が適切か否かを判断することができ、より正確な紙幣枚数を管理することができる。
ATM制御部108は、予備紙幣カセット107に収納されている紙幣の枚数(概算値)を予備カセット収納部106内の現金在高として、カセットのID304と合わせてATM制御部108のメモリに記録する(ステップ507)。すなわち、ATM制御部108は、予備カセット収納部106内の紙幣の枚数(例えば、200枚)、その予備紙幣カセット107のID304を対応付けてメモリに記録するとともに、ホスト205や現金出納機206にこれらの情報を送信する。
図7は、紙幣が装填され、運用状態にあるATMのフローチャートである。
係員の操作もしくはオンラインでホスト205からの指示により、ATM101の取扱を開始する開局処理が行われ、ATM制御部108がATM101を開局すると(ステップ701、702)、エンドユーザの取引が可能となり、ATM101は利用者との間で取引を実行する(ステップ703)。
取引ごとに現金在高は変化する為、ATM制御部108は、ATM在高(紙幣入出金部104内の紙幣収納庫)の紙幣の残量が予め設定した量より過多であるか否かを判定し(ステップ704)、過多であると判定した場合(ステップ704;Yes)、図8に進む(ステップ709)。一方、ATM制御部108は、過多でないと判定した場合(ステップ704;No)、さらに、紙幣の残量が予め設定した量より過少であるか否かを判定する(ステップ705)。
ATM制御部108は、過少であると判定した場合(ステップ705;Yes)、図9に進む(ステップ710)。一方、ATM制御部108は、過少でないと判定した場合(ステップ705;No)、係員もしくはオンラインによる指示で運用中止指示があるまで開局状態を継続する(ステップ706)。ATM制御部108は、運用中止指示を受けると(ステップ706;No)、ATM101の取扱を終了する閉局処理を実行し、本処理を終了する(ステップ707、708)。
開局中に在高過多になった場合(ステップ704;Yes)、抜き取り処理が必要になる(ステップ709)。また、ATM在高が過少になった(ステップ705;Yes)場合は、補充処理が必要になる(ステップ710)。以下、これらの場合の処理について説明する。
図8は、ATM運用中に紙幣在高過多になった場合のフローチャートである。
図7のステップ709から処理が進むと(ステップ801)、まず、ATM制御部108は、係員操作部110もしくはATM監視端末203に、ATM内の紙幣在高が過多である旨の通知を行う(ステップ802)。この時、ATM取引は、ATM制御部108が、紙幣入出金部104内の紙幣収納庫にある紙幣在高の推移をチェックし、可能な限り継続して行われている。
ATM制御部108は、上記通知後に係員操作部110から紙幣在高過多に対する対応指示を受け付けたもしくはATM監視端末203から上記対応指示を受信したか否かを判定する(ステップ803)。ATM制御部108は、上記指示を受け付けまたは受信したと判定した場合(ステップ803;Yes)、係員操作部110にガイダンス画面を表示する(ステップ804)。上記指示とは、例えば、係員が所定の操作でATM101への通知を解除する指示である。また、ガイダンス画面には、例えば、「紙幣入出金部104内の紙幣収納庫にある紙幣在高がいっぱいです。抜き取りますか?」等のATM101内の紙幣の装填状況と、紙幣の抜き取りを促すメッセージとが表示される。
ATM制御部108は、係員操作部110が上記メッセージに対する応答として抜き取りが選択され抜き取り操作が行われたか否かを判定し(ステップ805)、上記ガイダンス画面で抜き取り操作が行われたと判定した場合(ステップ805;Yes)、紙幣入出金部104の紙幣収納庫に収納されている紙幣を紙幣カセット105に回収する処理を実行する(ステップ806)。ATM制御部108は、この時の回収枚数を、紙幣カセット105のIDとあわせてATM制御部108に記録し(ステップ807)、運用に戻る(ステップ808)。このように、上記ステップ801からステップ808までの各処理は、紙幣カセット105のロックを解除することなく、紙幣入出金部104から紙幣カセット105に自動的に紙幣を回収することができる。したがって、係員による操作が不要となり、効率的に紙幣を回収することができる。
図9、図10は、ATM運用中に紙幣在高過少になった場合のフローチャートである。
図7のステップ710から処理が進むと(ステップ901)、まず、ATM制御部108は、係員操作部110もしくはATM監視端末203に、ATM内の紙幣在高が過少である旨の通知を行う(ステップ902)。この時、ATM取引は、ATM制御部108が、紙幣入出金部104内の紙幣収納庫にある紙幣在高の推移をチェックし、可能な限り継続して行われている。
ATM制御部108は、上記通知後に係員操作部110から紙幣在高過少に対する対応指示を受け付けたもしくはATM監視端末203から上記対応指示を受信したか否かを判定する(ステップ903)。ATM制御部108は、上記指示を受け付けまたは受信したと判定した場合(ステップ903;Yes)、係員操作部110にガイダンス画面を表示する(ステップ904)。上記指示とは、例えば、係員が所定の操作でATM101への通知を解除する指示である。また、ガイダンス画面には、例えば、「紙幣入出金部104内の紙幣収納庫にある紙幣在高がありません。補充しますか?」等のATM101内の紙幣の装填状況と、紙幣の補充を促すメッセージとが表示される。
ATM制御部108は、係員操作部110が上記メッセージに対する応答として補充が選択され補充操作が行われたか否かを判定し(ステップ905)、上記ガイダンス画面で補充操作が行われたと判定した場合(ステップ905;Yes)、ATM制御部108は、紙幣入出金部104および予備カセット収納部106のカセットロック機構を解除する(ステップ906)。ATM制御部108は、係員により、紙幣カセット105が紙幣入出金部104から抜き取られたこと、および予備紙幣カセット107が予備カセット収納部106から抜き取られたことを検知する(ステップ907)。この時、紙幣入出金機構104の紙幣カセット105が抜き取られても、予備カセット収納部106の予備紙幣カセット107が抜き取られてもどちらを先に抜かれてもよい。
ATM制御部108は、いずれかのカセットが抜き取られた時から、不図示のタイマによるカウントをスタートさせる(ステップ908)。ATM制御部108は、いずれかのカセットが抜き取られたことを検知した後、さらにもうひとつのカセットが抜き取られたことを検知し、その後、紙幣入出金機構104および予備カセット収納部106の2つのカセットがATM101に収まったことを検知した場合、カセットが入れ替えられたと判断し、その時点でタイマのカウントを停止させる(ステップ909)。
ATM制御部108は、カウントしたタイマの値が、予め設定した時間を超えたか否かを判定する(ステップ910)。このような判定をする理由は、不正な操作が行われず、通常の保守操作により正しくカセットが入れ替えられているかどうかを判断するためであり、例えば、30秒が規定されている。
ATM制御部108は、カウントしたタイマの値が、予め設定した時間を超えたと判定した場合(ステップ910;Yes)、本来のカセット入れ替えの操作がなされていないと判断し、異常処理とみなしてカセットを2つともロックし、処理を中止する(ステップ910、913)。一方、ATM制御部108は、規定時間内でカセットの入替えが済んだと判定した場合(ステップ910;No)、本来のカセット入れ替えの操作がなされたと判断し、次に、カセットIDが、直前までATMにセットされていたものと同一であるかをチェックするため、入れ替え後のカセットと、入れ替え前に直前までセットされていたカセットのIDとが同じでないか否かを判定する(ステップ911)。
ATM制御部108は、入れ替え後のカセットと、入れ替え前に直前までセットされていたカセットのIDとが同じでないと判定した場合(ステップ911;Yes)、正しくカセットが入れ替えられたと判断し、図10に進む(ステップ912)。このような判定をする理由は、例えば、予備カセット収納部106にセットされたカセットのIDが同じであった場合には、ステップ909でカセットの入れ替えが完了していない状態となるためである。また、ATM制御部108は、入れ替え後のカセットのIDまたは入れ替え前に直前までセットされていたカセットのIDのいずれでもないIDのカセットがセットされたと判定した場合、通常運用されているカセット以外のカセットがセットされたと判断し、エラーとしてもよい。
ATM制御部108は、上記のようにカセットIDを判定した場合において、上記のように入れ替え後のIDが正しく読み取れなかったり、ATM制御部108で記録されていないカセットIDであると判定した場合(ステップ911;No)、異常処理とみなしてカセットをロックし、処理を中止する(ステップ913)。
ステップ911において、ATM制御部108は、入れ替え後のカセットと、入れ替え前に直前までセットされていたカセットのIDとが同じであると判定した場合(ステップ911;No)、図10に進む(ステップ912)。
ここまでの処理で異常が検出されない場合(ステップ912)、ATM制御部108は、さらに、入れ替え前に紙幣入出金機構104にセットされていたカセットのIDおよび紙幣枚数と、入れ替え後に予備カセット収納部106にセットされたカセットのIDおよび紙幣枚数を比較する。同様に、ATM制御部108は、入れ替え前に予備カセット収納部106にセットされていたカセットのIDおよび紙幣枚数と、入れ替え後に紙幣入出金部104にセットされたカセットのIDおよび紙幣枚数を比較する。これらの比較の結果、入れ替え前のカセットに収納されていた紙幣枚数と、入れ替え後のカセットに収納されている紙幣枚数とが一致しているか否かを判定し、カセットIDに紐付けされた紙幣枚数情報とセットされたカセットの残量センサの結果に矛盾がないかチェックする(ステップ1001)。このようなチェックをすることにより、例えば、カセットの入れ替え時に、カセットから紙幣が中抜きされた場合でも、その中抜きを検知することができる。
ATM制御部108は、上記チェックの結果、カセットIDに紐付けされた紙幣枚数情報とセットされたカセットの残量センサの結果に矛盾があると判定した場合(ステップ1001;No)、ステップ913の場合と同様にカセットをロックし、処理を中止する(ステップ1007)。一方、ATM制御部108は、上記チェックの結果、カセットIDに紐付けされた紙幣枚数情報とセットされたカセットの残量センサの結果に矛盾がなく、カセット残量に異常がないと判定した場合(ステップ1001;Yes)、紙幣入出金部104と予備カセット収納部106をロックし(ステップ1002)、入れ替え後のカセット107から紙幣入出金部104に紙幣を装填する(ステップ1003)。紙幣の装填は、カセットが空になるまで実行される(ステップ1004)。
ATM制御部108は、すべての紙幣が入れ替え後のカセット107から紙幣入出金部104に紙幣を装填されたと判定した場合(ステップ1004;Yes)、紙幣入出金部104の紙幣収納庫に収納されている紙幣の在高を更新し、さらに、予備紙幣カセット107のIDと共にカセット内枚数0をATM制御部108に記録し、運用に戻る(ステップ1005、1006)。すなわち、ステップ1005の処理では、ATM制御部108は、入れ替え後の予備紙幣カセット107とその紙幣枚数を紙幣カセット105およびそのカセットに収納されている紙幣枚数としてメモリに記憶する。
これまで説明してきたように、本実施例によれば、これらの制御操作により係員は現金に触れずに装填や回収作業が実施出来、さらにカセットごとすりかえるなどの不正を防ぐことが出来る。また、ATM制御部108が異常処理とみなした場合は、ATM制御部108は、手動で鍵による物理的ロック機構301のロックを解除してカセットを取出し、所定の操作を実施してもよい。この場合、ATM101に異常が生じた場合であっても、運用を再開することが可能である。さらに、全体の運用中を通して、上記鍵による物理的ロック機構301のロックが解除された場合は、ATM制御部108がその操作に関する情報をメモリに記録しておく。例えば、ATM制御部108は、手動で鍵によるロックが解除されたことを示す検知信号を物理的ロック機構301から受け取ると、現時点では在高管理が不可能であると判断し、メモリに、その日時と、カセットIDとをログ等の履歴情報に記録する。係員操作部110が、係員から上記履歴情報を呼び出す操作を受け付けると、ATM制御部101は、上記履歴情報をメモリから呼び出して係員操作部110に表示し、手動で鍵が解除された日時やカセットIDを係員に知らせることができる。 なお、上記実施例では、ATM101の本体筐体に予備カセット収納部106が設けられている場合について説明した。しかし、ATM101の本体筐体に予備カセット収納部106を設けた場合、例えば、カセットを入れ替える際、係員は筐体後扉109を開けなければならず手間がかかるとともに、ATM101の後方に扉を開閉するための空間を確保する必要がある。したがって、より利便性が高まるように、予備カセット収納部106を、紙幣入出金部104が設けられているATM101の本体筐体の外に設けられていてもよい。
例えば、ATM101を、図11に示すような紙幣入出金装置とした場合について考える。紙幣入出金装置は、紙幣の入出金口などがある上部紙幣処理機構1Uと、紙幣が収納されるリサイクル庫などがある下部紙幣収納機構1Lと、下部紙幣収納機構1Lを収納する金庫筐体1Sと、上部紙幣処理機構1Uと下部紙幣収納機構1Lの間に連結されて紙幣の搬送を行う連結搬送機構1Tuと、リサイクル庫から回収される紙幣やリサイクル庫へ装填する紙幣を収納する装填回収庫を有する前部紙幣収納機構1Fと、紙幣処理の制御を行う端末制御部1Cと、紙幣入出金装置全体の制御指令信号を発信する上位制御部100と、係員に対して必要な情報を表示する情報表示部1Dと、係員が操作に必要な入力を行う情報入力部1Iと、情報送信を行う通信網111、112などから構成されている。
下部紙幣収納機構1Lは、上部紙幣処理機構1Uの下方に、前部紙幣収納機構1Fは、下部紙幣収納機構1Lの前部に取り付けられる構造となっており、このために上部紙幣処理機構1Uは、このような取り付け構成を可能とするレイアウト構成となっている。ここで、紙幣の入出金口が配置されて係員がこれらにアクセスする方向を操作側、つまり前方としている。上部紙幣処理機構1U、下部紙幣収納機構1Lおよび前部紙幣収納機構1Fは、分割可能となるようにユニット化されており、それらの機構は、紙幣を搬送可能である搬送機構を介して連結されている。本実施例では、上部紙幣処理機構1Uと下部紙幣処理機構1Lとの間には、下部紙幣処理機構1Lが金庫筐体1S内部に内蔵されているため連結搬送機構1Tuが、また上部紙幣処理機構1Uと前部紙幣処理機構1Fとの間にも連結搬送機構1Tfが設けられている。
すなわち、予備カセット収納部106を、下部紙幣収納機構1Lを収納する金庫筐体1Sの外部である前部紙幣収納機構1Fのように構成してもよい。また、予備カセット収納部106を、下部紙幣収納機構1Lを収納する金庫筐体1Sの外部に構成した場合、その予備カセット収納部106に収納されている予備紙幣カセット107は、上記下部紙幣収納機構1Lと接続されている紙幣搬送路に接続されていない未接続の構成であってもよい。つまり、予備カセット収納部106に収納されている予備紙幣カセット107の機能(例えば、紙幣残量センサ303による検知やロック制御)を実現するために電気的にATM101に接続される一方、通常取引で用いられる紙幣搬送路とは物理的に接続されていなくともよい。このような構成とすることにより、予備紙幣カセット107に収納されている紙幣枚数を管理しつつ、紙幣カセット105から繰り出されたり紙幣カセット105に収納される紙幣の運用を妨げることなく、予備紙幣カセット107の着脱が可能となる。なお、図11に示した例では、金庫筐体1Sの外部に前部紙幣収納機構1Fを設けたが、前部紙幣収納機構1Fのような予備カセット収納部106の予備紙幣カセット107と複数のリサイクル庫40のような紙幣入出金部104の紙幣収納庫とを物理的に分離した状態で金庫筐体1Sの内部に設けられていてもよい。
さらに、TCR(Teller Cash Recycler)のように、予備紙幣カセット107と交換される紙幣カセット105が上記のように金庫筐体1Sの外部に設けられ、紙幣入出金部104の紙幣収納庫が金庫筐体1Sに設けられていてもよい。図11の例では、下部紙幣収納機構1Lは、金庫筐体1Sに内蔵され、連結搬送機構1Tuを介して上部紙幣処理機構1Uに接続されており、上部紙幣処理機構1Uとの間で紙幣を双方向に搬送するとともに紙幣を収納している。また、装填回収庫を備えた前部紙幣収納機構1Fは、上述した連結搬送機構1Tuと同様の連結搬送機構1Tfを介して上部紙幣処理機構1Uに接続されている。装填回収庫は、上述したリサイクル庫40Aと同様な構成であり、昇降板や集積分離機構を備えている。連結搬送機構1Tuは、上部紙幣処理機構1Uと前部紙幣収納機構1Fとの間で紙幣を双方向に搬送する。このため、予備紙幣カセット107と交換される紙幣カセット105が上記装填回収庫のように配置され、紙幣入出金部104の紙幣収納庫が金庫筐体1Sに内蔵されていてもよい。このような配置とすることで、上記紙幣入出金部104の紙幣収納庫のセキュリティを担保することができる。
また、紙幣カセット105や予備紙幣カセット107の枚数を、紙幣入出金部104の判別処理や、銀行内のホスト205や現金出納機206で特定していた場合には、その枚数を係員操作部110に表示させてもよい。例えば、係員操作部110が、係員から、ボタンの押下等により、紙幣カセット105および予備紙幣カセット107の在高情報を取得する指示を受け付けると、ATM制御部108は、上記判別処理を実行して予備紙幣カセット107の枚数を計数したり、ホスト205や現金出納機206にアクセスして予備紙幣カセット107の枚数を計数し、係員操作部110に図12のようなガイダンス画面を表示する。
図12に示すガイダンス画面では、収納状況の確認操作をキャンセルする為のキャンセルボタン1201と、予備紙幣カセット107の現在の紙幣収納枚数を表示するための予備紙幣カセット収納枚数表示欄1202と、紙幣カセット105の現在の紙幣収納枚数を表示するための紙幣カセット収納枚数表示欄1203と、表示された紙幣収納枚数を確認したことを確定する為の確認ボタン1204とが表示されていることがわかる。図12では、カセットIDが「1234」の予備紙幣カセット107に収納されている紙幣枚数は、1万円紙幣が100枚、千円紙幣が0枚であり、カセットIDが「2345」の紙幣カセット105に収納されている紙幣枚数は、1万円紙幣が200枚、千円紙幣が0枚であることを示している。
なお、図12では特に示していないが、予備紙幣カセット107に収納されている紙幣枚数と紙幣カセット105に収納されている紙幣枚数との合計枚数を、ATM101全体の紙幣収納枚数として表示してもよい。ATM制御部108が、予備紙幣カセット107、紙幣カセット105、ATM101全体のそれぞれの紙幣枚数を係員操作部110に表示させることにより、係員はこれらの現在の有高の状況を一目で把握し、管理することができる。したがって、金庫を開閉して予備紙幣カセット107の交換をする必要があるのか否かを容易に判断することができ、例えば、コンビニエンスストア等のATM設置店舗の店員が金庫を開閉せずに対応可能であるか否か、あるいは今弧を開閉するために係員や管理会社などに連絡して人員を派遣すべきか否かを容易に判断することができる。
さらに、図8に示した紙幣在高過多になった場合のフローチャートでは、紙幣カセット105に一度で回収できる場合について説明したが、紙幣の取扱枚数によっては一度に回収できない場合も考えられる。この場合には、例えば、図13に示すように、ステップ806を実行した後、ATM制御部108は、紙幣カセット105が満杯になったか否かを判定する(ステップ1301)。ATM制御部108は、紙幣カセット105が満杯になったと判定した場合(ステップ1301;Yes)、メモリにそのカセットのIDとそのIDの紙幣カセット105が満杯であること記録する(ステップ1302)。ATM制御部108は、上記IDと満杯であることおよび予備紙幣カセット107への入れ替えを促すメッセージ(例えば、紙幣カセット105が間杯のため予備紙幣カセット107に入れ替えてください。)を上記ガイダンス画面に表示し(ステップ1303)、紙幣入出金部104および予備カセット収納部106のカセットロック機構を解除する(ステップ1304)。その後、ATM制御部108は、図9のステップ907〜図10の1002までの処理を実行し(ステップ1305)、ステップ805に戻る。以降、ステップ806に進んで紙幣の回収が完了するまで上記ステップを繰り返す。このような処理を実行することにより、紙幣の取扱枚数が紙幣カセット105の収納可能枚数を超えた場合であっても、効率的に紙幣を回収することができる。
このように、本実施例によれば、紙幣入出金部内現金在高に応じて、カセットの着脱制御を行い係員に操作を促すことで、係員が現金に触れずに紙幣カセットを入れ替えるだけで、紙幣の追加装填、回収などの操作を容易に行うことができる。さらに、紙幣カセット105単位で任意のタイミングにATM101内の予備紙幣カセット107を入れ替えておくことにより、紙幣の不足もしくは過多を防ぐことが出来る為ATMおよび現金紙幣の効率的な運用を可能にする。上記方法により、ATM筐体内に紙幣入出金部の紙幣カセットとさらに1つ以上予備カセットを収納し、ATM内現金の大容量化を実現しつつ、ATM制御部108が現金容量を把握し、それらの着脱許可制御を行うことで、予備カセット現金の安全性を確保し、係員によるカセット単位の着脱操作で現金装填や回収を容易に行えるようにする。このため、ATM筐体内に1つ以上の予備現金カセットを安全に収納し、ATM機内の現金容量を増やす事を可能にすると共に、その現金容量をATMが把握し係員に操作を促すことで容易に係員が現金を直接触らずに操作し、運用を継続することができる。