JP6699264B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層であって、電荷発生材料と下記一般式(1)で表される化合物と電子輸送材料とを含む感光層と、
を有する電子写真感光体である。
前記電子輸送材料は、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、及び下記一般式(5)で表される化合物の少なくとも1種を含む、<1>に記載の電子写真感光体である。
前記感光層は、前記一般式(1)で表される化合物以外の正孔輸送材料をさらに含む<1>又は<2>に記載の電子写真感光体である。
前記感光層は、前記一般式(1)で表される化合物以外の樹脂をさらに含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
<1>〜<4>のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジである。
<1>〜<4>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置である。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体を備え、導電性基体上に単層型の感光層を有する正帯電有機感光体(以下、単に「感光体」又は「単層型感光体」と称することがある)である。
そして単層型の感光層は、電荷発生材料と、一般式(1)で表される化合物(以下「式(1)の電荷輸送材料」ともいう)と、電子輸送材料と、を含む。
なお、単層型の感光層とは、電荷発生能と共に、正孔輸送性及び電子輸送性を持つ感光層である。
ここで、式(1)の電荷輸送材料は、正孔輸送能を有する高分子化合物(すなわち正孔輸送性樹脂)であり、結着樹脂としての機能と正孔輸送材料としての機能とを兼ね備えた化合物である。
すなわち、本実施形態では、結着樹脂の少なくとも一部として正孔輸送能を有する式(1)の電荷輸送材料を用いているため、正孔輸送能を有さない樹脂のみを用いた場合に比べ、電子輸送材料の樹脂への親和性が高い。そのため、感光層の内部において、電子輸送材料の分散性が高く、電子輸送材料の凝集及び結晶化が抑制され、これに起因した感光層の割れが生じにくくなると考えられる。
また、本実施形態では、高分子化合物である式(1)の電荷輸送材料が正孔輸送材料の少なくとも一部として用いられているため、正孔輸送材料として低分子化合物のみを用いた場合に比べて感光層の機械的耐久性が高くなると考えられる。そのため、感光層の割れが抑制されると考えられる。
また、式(1)の電荷輸送材料は嵩高い分子構造を有している。そのため、特に感光層が他の正孔輸送材料を含む場合、式(1)の電荷輸送材料が存在することで、他の正孔輸送材料と電子輸送材料との複合体(他の正孔輸送材料と電子輸送材料との錯体)が形成されにくくなる。正孔輸送材料と電子輸送材料との複合体が形成されると、局所的な通電による画像欠陥が生じる場合がある。しかし、本実施形態では、式(1)の電荷輸送材料を含むことにより、上記複合体の形成が抑制され、複合体に起因する画像欠陥も抑制されていると考えられる。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例として、電子写真感光体7Aの一部の断面を概略的に示す概略部分断面図である。
図1に示した電子写真感光体7Aは、例えば、導電性基体1を備え、導電性基体1上に単層型の感光層2が設けられて構成されている。
なお、電子写真感光体7Aは、必要に応じてその他の層を設けてもよい。必要に応じて設けられる層としては、例えば、導電性基体1と単層型の感光層2との間に設けられる下引層、単層型の感光層2上に更に設けられる保護層等が挙げられる。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
図示は省略するが、導電性基体と感光層との間に下引層をさらに設けてもよい。
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)がよい。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
図示は省略するが、下引層と感光層との間に中間層をさらに設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
単層型感光層は、電荷発生材料と、式(1)の電荷輸送材料(一般式(1)で表される化合物)と、電子輸送材料と、を含む。単層型感光層は、必要に応じて、式(1)の電荷輸送材料以外の正孔輸送材料(以下「他の正孔輸送材料」ともいう)を含んでもよく、式(1)の電荷輸送材料以外の樹脂(以下「他の樹脂」ともいう)を含んでもよく、その他添加剤を含んでもよい。すなわち、単層型感光層は、電荷発生材料、式(1)の電荷輸送材料、及び電子輸送材料に加えて、他の正孔輸送材料及び他の樹脂の少なくとも一方を含んでもよく、他の正孔輸送材料及び他の樹脂の両方を含んでもよい。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
電荷発生材料としては、これら顔料を単独で用いてもよいが、必要に応じて併用してもよい。そして、電荷発生材料としては、感光体の高感度化、及び画像の点欠陥抑制の観点から、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がよい。
特に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料としては、例えば、600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおいて、810nm以上839nm以下の範囲に最大ピーク波長を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料がより優れた分散性が得られる観点から好ましい。電子写真感光体の材料として用いた場合に、優れた分散性と、十分な感度、帯電性及び暗減衰特性とが得られ易くなる。
ここで、平均粒径が0.20μmより大きい場合、又は比表面積値が45m2/g未満である場合は、顔料粒子が粗大化しているか、又は顔料粒子の凝集体が形成される場合がある。そして、分散性や、感度、帯電性及び暗減衰特性といった特性に欠陥が生じやすい場合があり、それにより画質欠陥を生じ易くなることがある。
クロロガリウムフタロシアニン顔料の好適な分光吸収スペクトルの最大ピーク波長、平均粒径、最大粒径、及び比表面積値は、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と同様である。
下記式(1)の電荷輸送材料(下記一般式(1)で表される化合物)について、詳細に説明する。
前記一般式(1)中、A1は、各々独立に、一般式(1−1)又は一般式(1−2)で示される基を示す。
なお、一般式(1)で表される化合物1分子中に複数存在するA1は、同一であっても異なっていても構わないが、同一である方が製造容易である。
一般式(1−1)及び一般式(1−2)中、Arは、各々独立に、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換の1価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の縮合芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の1価の芳香族複素環基を示す。
なお、一般式(1−1)及び一般式(1−2)中に2つ存在するArは、同一であっても異なっていても構わないが、同一である方が製造容易である。
多核芳香族炭化水素としては、具体的には、例えば、ビフェニル、ターフェニル、スチルベン、トリフェニルエチレン等が挙げられる。そして、「多核芳香族炭化水素基」は、多核芳香族炭化水素を有する置換基(例えば、ビフェニル構造を有する置換基等)であり、具体的には、多核芳香族炭化水素からなる置換基(例えば、ビフェニルからなる置換基、すなわちビフェニレン基等)が挙げられる。
すなわち、「芳香族複素環」とは、炭素と水素以外の元素も含む芳香環を表し、例えば、その環骨格を構成する原子数(Nr)が、5及び6の少なくともいずれかであるものが挙げられる。また、環骨格を構成する炭素原子以外の原子(異種原子)の種類及び数は特に限定されない。異種原子の種類としては、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。また芳香族複素環は、環骨格中に2個以上の異種原子が含まれていてもよく、2種以上の異種原子が含まれていてもよい。
また、上述の多核芳香族炭化水素基において、1つ以上の芳香環が芳香族複素環に置き換えられた基としては、具体的には、例えば、チオフェニルフェニル基、フェニルピリジン基、フェニルピロール基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えば炭素数1以上10以下のものが挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
置換アミノ基を置換するアリール基としては、例えば、炭素数6以上20以下のものが挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
置換アミノ基を置換するアラルキル基としては、例えば、炭素数7以上20以下のものが挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
また置換アミノ基の具体例としては、例えば、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
また、上記一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のArとしては、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のビフェニレン基、置換若しくは未置換のナフチル基、又は置換若しくは未置換のフルオレニル基がより好ましく、未置換のフェニル基又は未置換のビフェニレン基がさらに好ましい。
なお、一般式(1−1)及び一般式(1−2)中に複数存在するArは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のXは、置換若しくは未置換のフェニレン基、置換若しくは未置換の2価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の2価の縮合芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の2価の芳香族複素環基を示す。
また、一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のXで示されるフェニレン基、多核芳香族炭化水素基、縮合芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基を更に置換する置換基については、上述した一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のArで示されるフェニル基、多核芳香族炭化水素基、縮合芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基を更に置換する置換基と同様である。
なお、一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のXで示される芳香族複素環基及び芳香族複素環基を有する多核芳香族炭化水素基の具体例として、例えば下記構造式(X−1)〜(X−5)が挙げられる。ただし下記構造式(X−4)中、aは1又は2を示す。
一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のTは、各々独立に、炭素数1以上6以下の2価の直鎖状炭化水素基又は炭素数2以上10以下の2価の分枝鎖状炭化水素基を示す。
なお、一般式(1−1)及び一般式(1−2)中に複数存在するTは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のTとしては、これらの中でもより具体的には、例えば以下に示す2価の炭化水素基が特に挙げられる。
一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のnは、各々独立に、0以上3以下の整数を示し、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
なお、一般式(1−1)及び一般式(1−2)中に複数存在するnは、同一でも異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(1−1)及び一般式(1−2)中のkは、各々独立に、0又は1を示し、1が好ましい。
前記一般式(1)中、R1は、各々独立に、水素原子、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を示す。
なお、一般式(1)中に複数存在するR1は、同一であっても異なっていても構わないが、同一である方が製造容易である。
前記置換若しくは未置換のアリール基としては、例えば、炭素数6以上20以下のものが挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、トルイル基等が挙げられる。
前記置換若しくは未置換のアラルキル基としては、例えば、炭素数7以上20以下のものが挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
前記一般式(1)中、Y1は、各々独立に、置換又は未置換の2価の炭化水素基を示す。
なお、一般式(1)で表される化合物1分子中に複数存在するY1は、同一であっても異なっていても構わないが、同一である方が製造容易である。
またY1で示される2価の炭化水素基は、電荷輸送性の観点から双極子モーメントの小さな連結基が好ましい。具体的には、炭素原子及び水素原子以外の原子(例えば、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子等)を含まない連結基が好ましい。
すなわち、Y1で示される2価の炭化水素基としては、炭素数1以上10以下のアルキレン基、又は炭素数6以上18以下のアリーレン基が好ましく、炭素数1以上6以下のアルキレン基がより好ましい。
またY1で示される2価の炭化水素基は、感光層が他の樹脂を含む場合、前記他の樹脂との相溶性の観点から、立体的な嵩高さが小さい基がより好ましい。立体的な嵩高さが小さい2価の炭化水素基としては、例えば環構造を有さない基が挙げられ、具体的には、例えば、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられ、炭素数1以上5以下のアルキレン基がさらに好ましい。また前記他の樹脂との相溶性に加えて、分子量の大きな高分子化合物を合成しやすい観点から、炭素数2のアルキレン基が最も好ましい。
式(Y−5)及び(Y−6)中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上4以下のアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数1以上4以下のアルコキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のアラルキル基、又はハロゲン原子を示す。
式(Y−5)及び(Y−6)中、eは、各々独立に0以上2以下の整数を示し、d及びfは、各々独立に0又は1を示し、Vは、下記式(V−1)から(V−12)より選択される基を示す。
式(V−10)、(V−11)、及び(V−12)中、hは0以上10以下の整数を示す。
一般式(1)中のmは、各々独立に1以上5以下の整数である。一般式(1)で表される化合物1分子中に複数存在するmは、同一であってもよく、異なっていてもよいが、製造上の観点から同一であることが好ましい。
一般式(1)中のmは、電気特性、相容性の観点から1以上5以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。
一般式(1)中のpは、5以上5000以下の整数を示し、10以上1000以下の整数が好ましい。
また、一般式(1)中のpは、式(1)の電荷輸送材料全体の重量平均分子量Mwが5000以上300000以下となる範囲がより好ましく、10000以上100000以下となる範囲がさらに好ましい。
なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計によりα−Al2O3をリファレンスとし、サンプルをゴム状態になるまで昇温し、液体窒素に浸し急冷した後、再度昇温速度10℃/分の条件で昇温して測定する。
以下、前記一般式(6−1)又は(6−2)で表される電荷輸送性モノマーの具体例を、表1に示す。
なお、下記表において、「一般式」の欄における番号は、前記一般式(6−1)で表される電荷輸送性モノマー又は一般式(6−2)で表される電荷輸送性モノマーのいずれであるかを示す。また、「配置」の欄における番号は、一般式(6−1)又は一般式(6−2)におけるT又はフェニレン基が、ベンゼン環のどの位置に結合するかを示す。
また、下記表において、化合物番号を付した電荷輸送性モノマーの各具体例に関し、例えば、5の番号を付した具体例については「モノマー化合物(5)」という。
具体的には、例えば、前記一般式(6−1)又は(6−2)で表される電荷輸送性モノマーの末端(A’で示される基)に、後述する置換基を導入する方法が挙げられ、具体的には以下の合成方法が挙げられる。
A’が水酸基の場合、前記一般式(6−1)又は(6−2)で表される電荷輸送性モノマーに、HO−(Y1−O)m−Hで示される2価アルコール類を例えば当量(質量比)混合し、酸触媒を用いて重合する。
なお、上記Y1及びmは、前記一般式(1)におけるY1及びmと同義である。
重合における反応温度は条件に応じて設定されるが、重合中に生成する水を除去するために、溶剤の沸点で反応させることが好ましい。
更に、必要であれば、分離したポリマーを有機溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下し、ポリマーを析出させる再沈殿処理を繰り返してもよい。再沈殿処理の際には、メカニカルスターラー等で、効率よく攪拌しながら行うことが好ましい。再沈殿処理の際にポリマーを溶解させる溶剤は、ポリマー1質量部に対して、例えば1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられる。また、貧溶剤は、ポリマー1質量部に対して、例えば1質量部以上1,000質量部以下、好適には10質量部以上500質量部以下の範囲で用いられる。
A’がハロゲンの場合には、前記一般式(6−1)又は(6−2)で表される電荷輸送性モノマーに、HO−(Y1−O)m−Hで示される2価アルコール類を例えば当量(質量比)混合し、ピリジンやトリエチルアミン等の有機塩基性触媒を用いて重合する。
なお、上記Y1及びmは、前記一般式(1)におけるY1及びmと同義である。
溶剤としては、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、クロロベンゼン、1−クロロナフタレン等が挙げられる。溶剤の使用量としては、電荷輸送性モノマー1質量部に対して、例えば1質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上50質量部以下の範囲で用いられる。
重合における反応温度は条件に応じて設定される。
重合反応終了後、前記[1]の場合に準じて再沈殿処理し、精製する。
反応温度は条件に応じて設定され、反応を促進するために、アンモニウム塩、スルホニウム塩等の相間移動触媒を用いてもよい。相間移動触媒は、電荷輸送性モノマー1質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下、好ましくは0.2質量部以上5質量部以下の範囲で用いられる。
A’が−O−R5の場合には、前記一般式(6−1)又は(6−2)で表される電荷輸送性モノマーに、HO−(Y1−O)m−Hで示される2価アルコール類を過剰に加え、触媒として、硫酸、リン酸等の無機酸;チタンアルコキシド、カルシウム、コバルト等の酢酸塩又は炭酸塩;亜鉛等の酸化物;等を添加して加熱し、エステル交換により合成する。尚、上記Y1及びmは、前記一般式(1)におけるY1及びmと同義である。
触媒は、前記一般式(6−1)又は(6−2)で表される電荷輸送性モノマー1質量部に対して、1/1,000質量部以上1質量部以下、好適には1/100質量部以上1/2質量部以下の範囲で用いられる。
なお、下記表において、「A1の構造」の欄における番号は、前記一般式(6−1)又は(6−2)で表される電荷輸送性モノマーの具体例の化合物番号に対応している。例えば、15の番号を付したA1の構造は、モノマー化合物(15)に由来する構造を意味する。
以下、下記表において化合物番号を付したポリマーの各具体例に関し、例えば、25の番号を付した具体例については「例示化合物(1−25)」という。また、ポリマーにおけるY1、m、R1、及びpは、それぞれ一般式(1)におけるY1、m、R1、及びpを示す。
なお、前述の通り、感光層は必要に応じて、他の樹脂を含んでもよく、他の正孔輸送材料を含んでもよい。
感光層が他の樹脂を含む場合、感光層の全固形分に対する、式(1)の電荷輸送材料と他の樹脂との合計の含有量は、35質量%以上95質量%以下がよく、好ましくは50質量%以上90質量%以下である。ただし、感光層に含まれる式(1)の電荷輸送材料と他の樹脂との合計の含有量に対する、式(1)の電荷輸送材料の割合としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が挙げられ、10質量%以上30質量%以下が好ましい。
また、感光層が他の正孔輸送材料を含む場合は、感光層の全固形分に対する、式(1)の電荷輸送材料と正孔輸送材料との合計の含有量が、10質量%以上80質量%以下がよく、好ましくは15質量%以上45質量%以下である。ただし、感光層に含まれる式(1)の電荷輸送材料と他の正孔輸送材料との合計の含有量に対する、式(1)の電荷輸送材料の割合としては、例えば、10質量%以上80質量%以下が挙げられ、20質量%以上70質量%以下が好ましい。
電子輸送材料としては、例えば、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;ジシアノメチレンフルオレン等のフルオレン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。これらの電子輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
感光層に含まれる電子輸送材料全体に対する、式(2)の電子輸送材料、式(3)の電子輸送材料、式(4)の電子輸送材料、及び式(5)の電子輸送材料の含有量の合計としては、例えば80質量%以上100質量%以下が挙げられ、90質量%以上100質量%以下が好ましい。
一般式(2)中、R11〜R17が示すアラルキル基としては、例えば後述するR18が示すアラルキル基と同様の基が挙げられ、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。
炭素数1以上12以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、sec−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基等が挙げられる。
L41が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
R42が示すアルキル基としては、上記R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
なお、R18が示すアリール基は、アルキル基で置換されたアルキル置換アリール基であることが、溶解性の観点で好ましい。アルキル置換アリール基のアルキル基としては、R11〜R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
R18Aが示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基等が挙げられる。
Arが示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基エチルフェニル基等が挙げられる。
・Cl:塩素原子
・CH3O:メトキシ基
・Ph:フェニル基
・Cl:塩素原子
・CH3O:メトキシ基
・Ph:フェニル基
一般式(4)中、R29、R30、R31、及びR32が示すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、メチルフェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等が挙げられる。
・Cl:塩素原子
・CH3O:メトキシ基
なお、上記電子輸送材料の含有量は、2種以上の電子輸送材料を併用した場合、それらの電子輸送材料全体の含有量である。
また、感光層が他の正孔輸送材料を含む場合、感光層に含まれる式(1)の電荷輸送材料と他の正孔輸送材料との合計100質量部に対する電子輸送材料の含有量は、例えば10質量部以上80質量部以下が挙げられ、15質量部以上60質量部以下が好ましい。
電子輸送材料の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも多い場合に比べて、電子輸送材料の凝集や結晶化に起因する感光層の割れが抑制される。さらに、電子輸送材料の含有量が上記範囲であることにより、上記範囲よりも少ない場合に比べて、良好な電気特性が得られる。
他の樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上混合して用いてもよい。
これらの樹脂の中でも、特に、感光層の成膜性の観点から、例えば、粘度平均分子量30000以上80000以下のポリカーボネート樹脂がよい。
また、式(1)の電荷輸送材料との相溶性の観点から、他の樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
他の正孔輸送材料としては、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の化合物が挙げられる。
単層型の感光層には、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の周知のその他添加剤を含んでいてもよい。また、単層型の感光層が表面層となる場合、フッ素樹脂粒子、シリコーンオイル等を含んでいてもよい。
単層型の感光層は、上記成分を溶剤に加えた感光層形成用塗布液を用いて形成される。
溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は単独又は2種以上混合して用いる。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
−下引層の形成−
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBE502:信越化学工業製)1.2質量部を添加し、2時間攪拌した。その後テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
電荷発生材料としての下記表1に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料2質量部と、他の樹脂としてのポリカーボネートZ樹脂(三菱ガス化学製、粘度平均分子量:4万)49質量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン300質量部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて6時間分散し、分散液を得た。
以上の工程を経て、電子写真感光体(感光体1)を作製した。
表1及び表2に従って、下引層の有無、感光層形成用塗布液に用いる電荷発生材料の種類、他の正孔輸送材料の種類及び添加量、式(1)の電荷輸送材料の種類及び添加量、並びに電子輸送材料(式(2)の電子輸送材料、式(3)の電子輸送材料、式(4)の電子輸送材料、式(5)の電子輸送材料、及び他の電子輸送材料)の種類及び添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ電子写真感光体(感光体2〜感光体10、比較感光体11〜比較感光体12、感光体13〜感光体16、比較感光体17、感光体18〜感光体19、比較感光体20、及び感光体22)を作製した。なお表1及び表2中の「量」は添加量(質量部)を表し、「−」は添加していないことを表す。
−感光層の形成−
電荷発生材料としての下記表1に示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料2質量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン300質量部と、からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて6時間分散し、分散液を得た。
以上の工程を経て、電子写真感光体(感光体21)を作製した。
得られた各電子写真感光体について、以下の評価を行った。その結果を表3に示す。
感光体の外周面に、オレイン酸1質量%ヘキサン溶液を0.5ml噴霧し、室温(25℃)で2週間放置し、感光層の表面における割れ(クラック)を以下の基準で評価した。なお、用いた顕微鏡はデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、型番:VHX−700)であり、700倍に拡大して観察した。
A:顕微鏡で観察して問題なし(クラックが観察されない)
B:顕微鏡観察で微細なクラック発生するが実用上問題なし(目視でクラックが観察されない)
C:目視で1個以上3個未満のクラックが確認される
D:目視で3個以上のクラックが観測される
初期画質評価は、室温28℃、湿度85%の環境下で、Brother社製HL5340Dを用い、50%ハーフトーン画像を形成し、画像の黒点発生の有無を以下の基準で評価した。
A:黒点発生なし(目視で黒点が確認されない)
B:目視で1個以上3個未満の黒点が確認されるが、画質上問題なし
C:目視で3個以上10個未満の黒点が確認され、実用上問題となる
D:目視で10個以上の黒点が観測され、問題となる
上記初期画質評価と同じ条件で1万枚の画像形成を行った後、上記初期画質評価と同様にして50%ハーフトーン画像を形成し、画像の黒点発生の有無を以下の基準で評価した。
A:黒点発生なし(目視で黒点が確認されない)
B:目視で1個以上3個未満の黒点が確認されるが、画質上問題なし
C:目視で3個以上10個未満の黒点が確認され、実用上問題となる
D:目視で10個以上の黒点が観測され、問題となる
上記初期画質評価と同じ条件で1万枚の画像形成を行った後、感光体の表面を顕微鏡(デジタルマイクロスコープ、キーエンス社製、型番:VHX−700)で500倍に拡大して観察し、以下の基準で評価した。
A:感光体表面の傷は観察されないか、又は微小な傷がわずかに観察されるレベル
B:感光体表面に明らかな傷が発生しているものの、許容レベル
C:感光体表面に傷も多く、目視で変色している所が1箇所以上10箇所未満見られ、問題となるレベル
D:感光体表面に傷も多く、目視で変色している所が10箇所以上見られ、問題となるレベル
上記画像形成装置を電位測定用に改造した。具体的には、現像装置の代わりに電子写真感光体と正対するように表面電位測定プローブ(トレック社、Model 555P−1)を設置し、表面電位計(トレック社製、トレック334)と接続し電位測定を行った。次に、室温28℃湿度85%の環境下で、ベタ濃度出力時の感光体表面電位(露光装置によってベタ濃度の潜像が形成された感光体の表面電位)を測定し、これを露光後電位VLとした。
A:ΔVL≦15V
B:15V<ΔVL≦20V
C:20V<ΔVL≦25V
D:25V<ΔVL
−電荷発生材料−
・ヒドロキシガリウムフタロシアニン:HOGaPC(V型):Cukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するV型のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(600nm以上900nm以下の波長域での分光吸収スペクトルにおける最大ピーク波長=820nm、平均粒径=0.12μm、最大粒径=0.2μm、比表面積値=60m2/g)
・X型無金属フタロシアニン:H2PC:無金属フタロシアニン顔料(フタロシアニン骨格の中心に2個の水素原子が配位したフタロシアニン)
・HT−1:一般式(B−2)で表される化合物の例示化合物(HT−1)
・HT−4:一般式(B−1)で表される化合物の例示化合物(HT−4)
・HT−7:一般式(B−1)で表される化合物の例示化合物(HT−7)
・1−2:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−2)
・1−5:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−5)
・1−14:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−14)
・1−15:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−15)
・1−22:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−22)
・1−24:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−24)
・1−28:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−28)
・1−38:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−38)
・1−39:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−39)
・1−45:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−45)
・1−58:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−58)
・1−62:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−62)
・1−72:式(1)の電荷輸送材料の例示化合物(1−72)
・2−2:式(2)の電子輸送材料の例示化合物(2−2)
・2−3:式(2)の電子輸送材料の例示化合物(2−3)
・2−6:式(2)の電子輸送材料の例示化合物(2−6)
・2−10:式(2)の電子輸送材料の例示化合物(2−10)
・3−2:式(3)の電子輸送材料の例示化合物(3−2)
・3−3:式(3)の電子輸送材料の例示化合物(3−3)
・3−8:式(3)の電子輸送材料の例示化合物(3−8)
・4−3:式(4)の電子輸送材料の例示化合物(4−3)
・4−4:式(4)の電子輸送材料の例示化合物(4−4)
・4−5:式(4)の電子輸送材料の例示化合物(4−5)
・4−8:式(4)の電子輸送材料の例示化合物(4−8)
・5−2:式(5)の電子輸送材料の例示化合物(5−2)
・5−3:式(5)の電子輸送材料の例示化合物(5−3)
・5−8:式(5)の電子輸送材料の例示化合物(5−8)
・6−1:下記構造式(6−1)で表される電子輸送材料
Claims (4)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた単層型の感光層であって、電荷発生材料と下記一般式(1)で表される化合物と電子輸送材料と下記一般式(1)で表される化合物以外の正孔輸送材料とを含む感光層と、を有し、
前記電子輸送材料が、下記一般式(2)で表される化合物、下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、及び下記一般式(5)で表される化合物の少なくとも1種であり、
前記正孔輸送材料が、下記一般式(B−1)で表される化合物、下記一般式(B−2)で表される化合物、及び下記一般式(B−3)で表される化合物の少なくとも1種の化合物であり、
前記感光層全体に占める、電子輸送材料の含有量が、感光層中の固形分比で1質量%以上30質量%以下であり、
前記感光層に含まれる下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(1)で表される化合物以外の正孔輸送材料との合計100質量部に対する電子輸送材料の含有量が20.51質量部以上35.29質量部以下である、
電子写真感光体。
(前記一般式(1)中、A1は、各々独立に、下記一般式(1−1)又は下記一般式(1−2)で示される基を示し、R1は、各々独立に、水素原子、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は置換若しくは未置換のアラルキル基を示し、Y1は、各々独立に、置換又は未置換の2価の炭化水素基を示し、mは、各々独立に、1以上5以下の整数を示し、pは、5以上5000以下の整数を示す。)
(前記一般式(1−1)及び前記一般式(1−2)中、Arは、各々独立に、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換の1価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の1価の縮合芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の1価の芳香族複素環基を示し、Xは、置換若しくは未置換のフェニレン基、置換若しくは未置換の2価の多核芳香族炭化水素基、置換若しくは未置換の2価の縮合芳香族炭化水素基、又は置換若しくは未置換の2価の芳香族複素環基を示し、Tは、各々独立に、炭素数1以上6以下の2価の直鎖状炭化水素基又は炭素数2以上10以下の2価の分枝鎖状炭化水素基を示し、nは、各々独立に、0以上3以下の整数を示し、kは、0又は1を示す。)
(前記一般式(2)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、−L41−O−R42、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L41はアルキレン基を示し、R42はアルキル基を示す。)
(前記一般式(3)中、R21、R22、R23、R24、R25、R26、及びR27は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R28は、アルキル基、−L51−O−R52、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L51はアルキレン基を示し、R52はアルキル基を示す。)
(前記一般式(4)中、R29、R30、R31、及びR32は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)
(前記一般式(5)中、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、及びR40は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。)
(一般式(B−1)中、RB1は、水素原子またはメチル基を示す。n11は1または2を示す。ArB1およびArB2は各々独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C6H4−C(RB3)=C(RB4)(RB5)、または−C6H4−CH=CH−CH=C(RB6)(RB7)を示し、RB3乃至RB7はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を示す。置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、または炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基を示す。)
(一般式(B−2)中、RB8およびRB8’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を示す。RB9、RB9’、RB10、およびRB10’は同一でも異なってもよく、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(RB11)=C(RB12)(RB13)、または−CH=CH−CH=C(RB14)(RB15)を示し、RB11乃至RB15は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を示す。m12、m13、n12およびn13は各々独立に0以上2以下の整数を示す。)
(一般式(B−3)中、RB16およびRB16’は同一でも異なってもよく、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、を示す。RB17、RB17’、RB18、およびRB18’は同一でも異なってもよく、各々独立にハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(RB19)=C(RB20)(RB21)、または−CH=CH−CH=C(RB22)(RB23)を示し、RB19乃至RB23は各々独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、または置換若しくは未置換のアリール基を示す。m14、m15、n14およびn15は各々独立に0以上2以下の整数を示す。) - 前記感光層は、前記一般式(1)で表される化合物以外の樹脂をさらに含む請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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