JP6696527B2 - 鋼板の板厚制御方法、板厚制御装置、及び製造方法 - Google Patents

鋼板の板厚制御方法、板厚制御装置、及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板の板厚制御方法、板厚制御装置、及び製造方法に関する。
鋼板の圧延工程では、熱間圧延や冷間圧延に関わらず目標板厚に対する高い制御精度が求められる。鋼板の板厚の自動制御方法(AGC:Automatic Gauge Control)としては、圧延中の板厚の実績値をフィードバックして目標板厚との偏差を解消するように圧延機のロールギャップ(ワークロール間のギャップ)を調整するモニターAGCや、圧延荷重の基準値からの偏差をフィードバックして板厚の変動を低減するように圧延機のロールギャップを調整するMMC(Mill Modulus Control)やゲージメータAGCと呼ばれる制御方式があり、広く活用されている。
他方、圧延ロール(ワークロールやバックアップロール)の断面形状はその加工精度の限界から真円ではないために、圧延ロールの回転軸と実際の回転軸との間にズレが生じることがある。このズレは、ロール偏芯と呼ばれ、圧延中のロールギャップの周期変動となり、圧延荷重の周期変動と鋼板の板厚の周期変動として観測される。また、一般に知られているように、ロール偏芯は、MMCと干渉することによって、ロールギャップ変動、さらには鋼板の板厚変動を増大させる。このような背景から、鋼板の板厚に対するロール偏心の影響を打ち消すようにロールギャップを制御する方法が提案されている。
具体的には、特許文献1には、ロール偏芯を圧下制御系に印加される周期性外乱と見なしてモデル化し、圧延荷重の実績値と条件入力部に入力された情報(被圧延材の寸法情報や圧延速度等)とに基づいてロール偏芯の変動成分を抽出し、抽出されたロール偏芯の変動成分を打ち消すようにロールギャップを制御する方法が記載されている。また、特許文献2には、圧延前にキスロール状態で圧延荷重を観測し、上下ロール毎の偏芯量を同定し、同定された偏芯量に基づいてロールギャップをフィードフォワード制御することによって板厚変動を低減する方法が記載されている。また、特許文献3には、圧延荷重からロール偏芯による圧延荷重の変動成分を差し引いた値に基づいてロールギャップを操作することによってロール偏芯による板厚変動を助長させない方法が記載されている。また、特許文献4には、バックアップロールの回転角及び角速度に基づいてバックアップロールの回転周期を算出し、算出された回転周期の整数倍の期間において操業実績データ(圧延荷重、回転角、角速度)を定周期で収集し、収集された操業実績データを用いてバックアップロール偏芯の大きさ及び位相を算出する方法が記載されている。
特開2015−112615号公報 特許第5071376号公報 特開2015−213940号公報 特開昭61−82918号公報
特許文献1に記載の方法では、ロールギャップの変動量から周期性のロール偏芯を抽出する外乱オブザーバを用いているが、当然ながらロール偏芯の周期は圧延速度に依存する。しかしながら、特許文献1には、外乱オブザーバに与える圧延速度は入力キーやマウス入力等のインターフェースを介して与えると記載されており、外乱オブザーバに与える圧延速度として被圧延材の代表的な圧延速度を想定している。このため、特許文献1記載の方法によれば、加減速時のような圧延速度の非定常時には、圧延速度の実績値と設定値との間に乖離が生じる。また、圧延速度の実績値と設定値とがオペレータの手介入等の要因で異なった場合にも乖離が生じる。結果、ロール偏芯の推定精度が劣化し、これを用いた制御精度も低下する。
一方、特許文献2に記載の方法では、ロール偏芯量を同定するために圧延前にキスロール作業が必要となる。また、ロール偏芯量が経時変化する場合には、定期的な作業が発生するため、能率が低下する。また、特許文献3に記載の方法は、ロール偏芯を板厚制御で助長させないようにするための方法であり、鋼板の板厚に対するロール偏芯の影響を積極的に除去しようとするものではない。このため、特許文献3に記載の方法では、板厚変動はロール偏芯の大きさに応じて残存したままになる。
また、特許文献4に記載の方法によれば、バックアップロールが数回転するまでの期間内では、ロールキステストにて実施するか圧延中に実施するかに拘わらず、バックアップロール偏芯の大きさ及び位相を推定できない。結果、冷間圧延のように圧延長が長い場合は特許文献4に記載の方法を適用してもロール偏芯の大きさ及び位相を算出できない期間が相対的に短いので問題にはならないと考えられるが、厚板圧延のように圧延長が短い場合には、バックアップロールが数回転するまでの間に圧延が完了してしまうために、特許文献4に記載の方法を適用することは困難である。このため、特許文献4に記載の方法では、ロール偏芯に起因する板厚変動を低減することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、作業負荷を増やすことなく、圧延速度に変化がある場合におけるロール偏芯に起因する板厚変動を低減可能な鋼板の板厚制御方法、板厚制御装置、及び製造方法を提供することにある。
本発明に係る鋼板の板厚制御方法は、鋼板の圧延中に所定周期で圧延ロールの角周波数及び圧延荷重を計測する計測ステップと、前記計測ステップにおいて計測された圧延ロールの角周波数及び圧延荷重と、現時刻における圧下制御系への指令値と、圧下制御系のモデル式と、ミル定数と、前記鋼板の塑性係数とを用いて、前記所定周期毎に前記圧延ロールの偏芯量を推定するロール偏芯量推定ステップと、前記ロール偏芯量推定ステップにおいて推定された圧延ロールの偏芯量が前記鋼板の板厚に与える影響を打ち消す前記圧延ロールのギャップ操作量を算出し、算出されたギャップ操作量に従って前記圧延ロールのギャップを制御することによって前記鋼板の板厚を制御する板厚制御ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る鋼板の板厚制御方法は、上記発明において、前記板厚制御ステップは、前記圧延ロールの偏芯量を比例・微分処理することによって前記圧延ロールのギャップ操作量を算出するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る鋼板の板厚制御装置は、鋼板の圧延中に所定周期で圧延ロールの角周波数及び圧延荷重を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された圧延ロールの角周波数及び圧延荷重と、現時刻における圧下制御系への指令値と、圧下制御系のモデル式と、ミル定数と、前記鋼板の塑性係数とを用いて、前記所定周期毎に前記圧延ロールの偏芯量を推定するロール偏芯量推定手段と、前記ロール偏芯量推定手段によって推定された圧延ロールの偏芯量が前記鋼板の板厚に与える影響を打ち消す前記圧延ロールのギャップ操作量を算出し、算出されたギャップ操作量に従って前記圧延ロールのギャップを制御することによって前記鋼板の板厚を制御する板厚制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る鋼板の製造方法は、本発明に係る鋼板の板厚制御方法を用いて鋼板の板厚を目標板厚に制御することにより鋼板を製造するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る鋼板の板厚制御方法、板厚制御装置、及び製造方法によれば、作業負荷を増やすことなく、圧延速度に変化がある場合におけるロール偏芯に起因する板厚変動を低減することができる。
図1は、圧下制御系のモデルの構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の一実施形態である鋼板の板厚制御装置の構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の一実施形態であるロール偏芯量推定処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、比較例として用いた鋼板の板厚制御装置の構成を示すブロック図である。 図5は、圧延速度パターンの一例を示す図である。 図6は、比較例におけるロール偏芯量の推定値及び設定値の時間変化を示す図である。 図7は、比較例における鋼板の板厚の時間変化を示す図である。 図8は、本発明例におけるロール偏芯量の推定値及び設定値の時間変化を示す図である。 図9は、本発明例における鋼板の板厚の時間変化を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である鋼板の板厚制御装置の構成及び動作について説明する。
〔圧下制御系及びロール偏芯のモデル式〕
まず、図1を参照して、本発明において用いる圧下制御系及びロール偏芯のモデル式について説明する。
図1は、圧下制御系のモデルの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明において用いる圧下制御系のモデル1では、指令値(目標ロールギャップ)から出力値(ロールギャップ)までは3次の伝達関数でモデル化されているが、本発明は任意の次数の伝達関数でモデル化可能である。ここで、図1において、gはAGCゲイン、ωは固有振動数、ζは減衰振動、sはラプラス演算子、Kはミル定数、Mは鋼板の塑性係数を示している。
図1に示す圧下制御系のモデル1では、ロールギャップ偏差(ラプラス変換後)Uから圧延荷重(ラプラス変換後)Yへの開ループ伝達関数は、以下に示す数式(1)のように表される。そして、数式(1)を連続時間の状態空間表現とした後、入力を0次ホールドとしてサンプル周期Tで離散化すると、以下の数式(2)に示す圧下制御系のモデル式が得られる。ここで、数式(2)において、Aは3行3列の行列、Bは3行1列の行列、Cは1行3列の行列、uはロールギャップ偏差、xは状態量(3行1列の行列)、yは圧延荷重、kは時刻を示している。また、サンプル周期Tは、ロール偏芯周期の少なくとも1/2倍より短い時間である。詳しくは、ロール偏芯周期は、圧延速度の予定値とロール径とから求まるロール1回転の時間の1/n(nは自然数)の値となる。ロール偏芯を推定するためには、元の信号の2倍以上の周波数でサンプルする必要があるというサンプリング定理に基づき、サンプル周期Tはこのロール偏芯周期の1/2以下とする必要がある。想定するnの値によって以降のロール偏芯の角周波数ωも設定する。
Figure 0006696527
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次に、角周波数ωのロール偏芯のモデル式について説明する。角周波数ωのロール偏心のモデル式を作成する際には、ロール偏芯量の状態量をd=Dsin(ωt+φ)とし、モデル化のための状態量d=Dcos(ωt+φ)を導入する。ここで、Dはロール偏芯の振幅であり、φは位相である。また、ロール偏芯は圧延荷重として観測されることから、状態量d,dから圧延荷重yへのダイナミクスは以下の数式(3)に示すような連続時間の状態空間表現となる。これにより、サンプル周期Tで数式(3)を離散化すると、以下の数式(4)に示す角周波数ωのロール偏心のモデル式が得られる。
Figure 0006696527
Figure 0006696527
〔構成〕
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態である鋼板の板厚制御装置の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態である鋼板の板厚制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の一実施形態である鋼板の板厚制御装置10は、プロセスコンピュータ11、角周波数計測部12、ロール偏芯量推定部13、及び板厚制御部14を主な構成要素として備えている。
プロセスコンピュータ11は、数式(2)に含まれる圧下制御系のモデル行列(A,B,C)、ミル定数(K)、及び鋼板の塑性係数(M)に関する情報をロール偏芯量推定部13に出力する。
角周波数計測部12は、サンプル周期Tで圧延ロールの角周波数を検出し、検出された角周波数を示す電気信号をロール偏芯量推定部13に出力する。
ロール偏芯量推定部13は、サンプル周期Tで圧下制御系から圧延ロールの圧延荷重及びゲージメータ板厚偏差(u)に関する情報を取得し、取得した情報とプロセスコンピュータ11及び角周波数計測部12から出力された情報とを用いて以下に示すロール偏芯量推定処理を実行することによりロール偏芯量の推定値を算出する。そして、ロール偏芯量推定部13は、算出されたロール偏芯量の推定値を板厚制御部14に出力する。ロール偏芯量推定処理の詳細については後述する。
板厚制御部14は、ロール偏芯量推定部13から出力されたロール偏芯量の推定値を比例・微分処理することによりロール偏芯量の板厚への影響を打ち消すロールギャップ操作量を制御入力として算出し、算出された制御入力を圧下制御系に出力する。制御入力の算出方法については後述する。
〔ロール偏芯量推定処理〕
次に、図3を参照して、本発明の一実施形態であるロール偏芯量推定処理の流れについて説明する。
図3は、本発明の一実施形態であるロール偏芯量推定処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、圧延処理が開始されたタイミングで開始となり、ロール偏芯量推定処理はステップS1の処理に進む。ロール偏芯量推定処理は、圧延処理が実行されている間、サンプル周期T毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、ロール偏芯量推定部13が、拡大系の行列(A,B,C)を計算する。具体的には、まず、圧下制御系及びロール偏芯を一つのシステムとみなし、以下の数式(5)に示すように、数式(2)に示す圧下制御系のモデル式と数式(4)に示すロール偏芯のモデル式とを合併した拡大系として表現する。ここで、数式(5)は、簡略的に表すと以下の数式(6)に示すようになる。そして、ロール偏芯量推定部13は、角周波数計測部12から出力された角周波数ω及びそのサンプル周期Tを数式(6)に代入することにより、行列(A)を算出する。なお、行列(B,C)は圧延中は不変である。また、本実施形態では、圧延ロールの角周波数が1つである場合を示すが、上下ワークロール及び上下バックアップロールに対応した複数の角周波数を設定することも可能である。その場合は、モデル式の次数が増える。これにより、ステップS1の処理は完了し、ロール偏芯量推定処理はステップS2の処理に進む。
Figure 0006696527
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ステップS2の処理では、ロール偏芯量推定部13が、ステップS1の処理によって算出された拡大系の行列(A,B)を用いて、以下に示す数式(7)により事前推定値(時刻k−1における拡大系の状態量の推定値)X’を算出する。ここで、数式(7)において、X’は状態推定値(推定開始時は0ベクトル)、u:前時刻(m=k−1)におけるゲージメータ板厚偏差を示している。これにより、ステップS2の処理は完了し、ロール偏芯量推定処理はステップS3の処理に進む。
Figure 0006696527
ステップS3の処理では、ロール偏芯量推定部13が、ステップS1の処理によって算出された拡大系の行列(A)を用いて、以下に示す数式(8)により事前誤差共分散Pを算出する。ここで、数式(8)において、Poldは事後誤差共分散行列(初期値は適当な正定行列で与える。以降はステップS6の処理の計算値)、A は行列Aの転置行列、Qはシステムノイズ行列(数式(6)の上式の右辺に印加されるノイズ成分の共分散行列:定数(調整可))を示している。これにより、ステップS3の処理は完了し、ロール偏芯量推定処理はステップS4の処理に進む。
Figure 0006696527
ステップS4の処理では、ロール偏芯量推定部13が、ステップS3の処理によって算出された事前誤差共分散P及び拡大系の行列(C)を用いて、以下に示す数式(9)によりカルマンゲインGを算出する。ここで、数式(9)において、Rは観測ノイズ(数式(6)の下式の右辺に印加されるノイズの分散:定数(調整可))、C は行列Cの転置行列を示している。これにより、ステップS4の処理は完了し、ロール偏芯量推定処理はステップS5の処理に進む。
Figure 0006696527
ステップS5の処理では、ロール偏芯量推定部13が、ステップS2の処理によって算出された事前推定値X’、ステップS4の処理によって算出されたカルマンゲインG、及び拡大系の行列(C)を用いて、以下に示す数式(10)により事後推定値X’(時刻kにおける拡大系の状態量の推定値)を算出する。そして、ロール偏芯量推定部13は、事後推定値X’からロール偏芯量の推定値d’を抽出する。これにより、ステップS5の処理は完了し、ロール偏芯量推定処理はステップS6の処理に進む。
Figure 0006696527
ステップS6の処理では、ロール偏芯量推定部13が、ステップS3の処理によって算出された事前誤差共分散P、ステップS4の処理によって算出されたカルマンゲインG、及び拡大系の行列(C)を用いて、以下に示す数式(11)により事後誤差共分散Poldを算出する。ここで、数式(11)において、I3×3は3行3列の単位行列を示している。これにより、ステップS6の処理は完了し、一連のロール偏芯量推定処理は終了する。
Figure 0006696527
〔制御入力の算出方法〕
本実施形態の圧下制御系には、MMCと呼ばれるAGCが実装されている。このため、MMCとロール偏芯制御との非干渉化を実現するためには、ロール偏芯の影響をMMCから除去する必要がある。そこで、まず、ロール偏心量の逆位相となるロールギャップを実現する制御入力としては、ロール偏心量の微分値が必要となる。これは、圧下制御系に積分要素(1/s)が含まれているためである。また、制御ゲインgがあるため、制御入力としては、以下の数式(12)に示す制御入力uが必要である。
Figure 0006696527
ここで、圧下制御系の伝達関数の一部である項ω /(s+2ζωs+ω )を無視した理由は、ロール偏心周波数ωの近傍ではゲイン及び位相が変化しないためである。但し、制御入力uだけではロール偏芯の逆位相にロールギャップが動作してそれをフィードバックするループが系にあるため変動が残存する。このため、その影響を除去するために、以下の数式(13)に示す制御入力uが必要となる。ここで、制御入力uにマイナスがついている理由は、制御入力uによるロール偏心と逆位相のロールギャップをフィードバックする際、元の位相のロール偏心量がフィードバックされているためである。最終的に、以下の数式(14)に示す制御入力uがロール偏心制御に必要となる。この制御入力uに従ってロールギャップを制御することによって、作業負荷を増やすことなく、圧延速度に変化がある場合におけるロール偏芯に起因する板厚変動を低減することができる。
Figure 0006696527
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本発明例の実施にあたり、比較例のシステム構成を図4に示す。図2と図4との比較から明らかなように、本発明例と比較例とでは、圧延ロールの角周波数が実績値又は代表的な設定値である点において異なっている。比較例で使用する角周波数は、圧延速度の最大値に対応した値とする。また、本発明例では、固有振動数ωの値は502[rad/s]、減衰振動ζの値は0.35[−]、ミル定数Kの値は800[tonf/mm]、鋼板の塑性係数Mの値は1000[tonf/mm]、AGCゲインの値は0.2[−]、制御ゲインαの値は0.99[−]、サンプル周期Ts[ms]の値は10、正規化後の偏芯振幅の値は1[−]、圧延速度パターンは図5に示す圧延速度パターンとした。なお、本実施例では、6.5回のロール回転数で圧延が完了する。
ロール偏芯量については、図6に示すように、比較例では、圧延速度が最大となる時間帯では精度良く推定できているが、その他の時間帯では推定精度が低下した。これに対して、図8に示すように、本発明例では、加減速があり圧延速度が変化する場合(図5参照)でもロール偏芯量の推定精度の低下は見られなかった。これは、比較例では代表的な圧延速度に対応するロールの角周波数を用いてロール偏芯量を推定しているのに対して、本発明例では一定周期で取り込んだ圧延ロールの角周波数の実績値を使用してロール偏芯量を推定しているためである。また、板厚に関しても、図7に示すように、比較例ではロール偏芯量の推定精度が低下する時間帯で鋼板の板厚精度の低下が見られる。これに対して、図9に示すように、本発明例では、先端から尾端にかけて良好な板厚精度が得られた。また、本発明例では、図8に示すように約1.5周期以後でロール偏芯量を完全に推定できており、板厚制御精度は良好となる。また、0.5周期から1周期未満の期間においてもロール偏芯量をある程度推定できており、板厚変動を抑制できていることがわかる。仮に特許文献4に記載の方法を用いて圧延中にロール偏芯量を推定する場合には、回転周期の整数倍の期間でのデータ収集が必要となる。このため、特許文献4に記載の方法を用いた場合、仮に回転周期の1周期だけをデータ収集期間としたとしても、最短で1周期以後にロール偏芯量を推定できるようになるため、推定時間の短さという点でも本発明例は優れている。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 圧下制御系のモデル
10 鋼板の板厚制御装置
11 プロセスコンピュータ
12 角周波数計測部
13 ロール偏芯量推定部
14 板厚制御部

Claims (4)

  1. 鋼板の圧延中に所定周期で圧延ロールの角周波数及び圧延荷重を計測する計測ステップと、
    前記計測ステップにおいて計測された圧延ロールの角周波数及び圧延荷重と、現時刻における圧下制御系への指令値と、圧下制御系のモデル式と、ミル定数と、前記鋼板の塑性係数と、前記圧延ロールのロール偏芯のモデル式とから、前記圧下制御系のモデル式と前記ロール偏芯のモデル式とを合併した拡大系モデルを構築し、該拡大系モデルを用いて、前記所定周期毎に前記圧延ロールの偏芯量を推定するロール偏芯量推定ステップと、
    前記ロール偏芯量推定ステップにおいて推定された圧延ロールの偏芯量が前記鋼板の板厚に与える影響を打ち消す前記圧延ロールのギャップ操作量を算出し、算出されたギャップ操作量に従って前記圧延ロールのギャップを制御することによって前記鋼板の板厚を制御する板厚制御ステップと、
    を含むことを特徴とする鋼板の板厚制御方法。
  2. 前記板厚制御ステップは、前記圧延ロールの偏芯量を比例・微分処理することによって前記圧延ロールのギャップ操作量を算出するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼板の板厚制御方法。
  3. 鋼板の圧延中に所定周期で圧延ロールの角周波数及び圧延荷重を計測する計測手段と、
    前記計測手段によって計測された圧延ロールの角周波数及び圧延荷重と、現時刻における圧下制御系への指令値と、圧下制御系のモデル式と、ミル定数と、前記鋼板の塑性係数と、前記圧延ロールのロール偏芯のモデル式とから、前記圧下制御系のモデル式と前記ロール偏芯のモデル式とを合併した拡大系モデルを構築し、該拡大系モデルを用いて、前記所定周期毎に前記圧延ロールの偏芯量を推定するロール偏芯量推定手段と、
    前記ロール偏芯量推定手段によって推定された圧延ロールの偏芯量が前記鋼板の板厚に与える影響を打ち消す前記圧延ロールのギャップ操作量を算出し、算出されたギャップ操作量に従って前記圧延ロールのギャップを制御することによって前記鋼板の板厚を制御する板厚制御手段と、
    を備えることを特徴とする鋼板の板厚制御装置。
  4. 請求項1又は2に記載の鋼板の板厚制御方法を用いて鋼板の板厚を目標板厚に制御することにより鋼板を製造するステップを含むことを特徴とする鋼板の製造方法。
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