JP6057774B2 - 圧延機におけるミル伸び式の同定方法 - Google Patents
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Description
これらの板厚制御技術においては、ゲージメータ式を用いて圧延ロールのロールギャップを予測しており、予測されたロールギャップを満たすように圧延機の圧延ロールがセットアップされるとともに、圧延中における圧延ロールへの荷重が変更されて、圧延材の板厚が制御される。
特開平6−254613号公報(特許文献1)は、任意の寸法の圧延材に対し圧延機の正確な変形量を予測できるゲージメータを用いることによって、高精度な圧下位置制御を可能にする圧延機の板厚制御方法を開示する。この特許文献1に開示された板厚制御方法は、圧延荷重に対するロール変形量をロール寸法、ロールクラウン、板幅、板厚に基づいて算出し、キスロール状態でロールを回転させながら締め込むことにより計測した全ミル伸び量から、キスロール状態のワークロール同志の非接触長、ロール寸法、ロールクラウンに基づいて演算されたロール変形量を差し引くことにより、圧延荷重に対するロール以外の変形量を算出し、算出されたロール変形量とロール以外の変形量とからなるゲージメータ式を用いて圧下位置制御を行なう。
本発明に係るミル伸び式の同定方法は、ワークロールおよびバックアップロールを備えた圧延機の圧下位置制御に用いるミル伸び式の同定方法において、前記ワークロールをキス接触させた上で圧延荷重を付与することにより、前記圧延機のミル伸び量を計測する計測ステップと、ワークロールおよびバックアップロールのキス接触の状態に基づいて、圧延荷重に対するミル伸び量の関係式を同定する同定ステップと、を含み、前記同定ステップは、ワークロールとワークロールが部分的に接触し且つワークロールとバックアップロールが部分的に接触する圧延荷重領域、ワークロールとワークロールが部分的に接触し且つワークロールとバックアップロールが全面的に接触する圧延荷重領域、及びワークロールとワークロールが全面的に接触し且つワークロールとバックアップロールが全面的に接触する圧延荷重領域、の3つの圧延荷重領域に区分して、前記3つの圧延荷重領域ごとに圧延荷重に対するミル伸び量の関係式を同定する算出ステップを有することを特徴とする。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、第1の実施の形態に係るミル伸び式の同定方法が適用可能な圧延装置1について説明する。
図1に示すように、圧延装置1は、厚鋼板または薄鋼板を圧延するものであり、圧延機4と、圧延機4を制御する制御部9とを含んで構成されている。
圧延機4は、圧延ロールすなわち上下一対に配置されたワークロール2,2と、ワークロール2,2を支持する一対のバックアップロール3,3と、上方側のバックアップロール3を介してワークロール2のロールギャップを可変とするギャップ変更手段と、圧延荷重を計測し出力する荷重計測手段とを有している。なお、略号「WR」はワークロールを、略号「BUR」はバックアップロールを、それぞれ示すものとする。
ギャップ変更手段は、ワークロール2の両端を支持するチョック部11をそれぞれ独立して駆動可能としている。ワークロール2の一方端側は、当該ワークロール2を駆動する駆動モータに連結されるものとなっており、ドライブサイドとされている。ワークロール2の他方端側は、駆動モータに連結されておらず、オペレータなどが作業する空間が確保されたワークサイドとされている。
さらに、圧延装置1には、圧延機4の圧延荷重Pやロールギャップ量sを制御する制御部9が設けられている。
制御部9は、圧延材5の出側板厚hを所定の範囲内に収めるように、または、一定にするように、圧延機4を制御する板厚制御の機能を有している。制御部9で行われる制御手法としては、公知の板厚制御方法が採用される。たとえば、フィードフォワードAGC、BISRA AGC、モニタAGC、マスフローAGC、張力AGC等が適用可能である。制御部9には、圧延機4の入側板厚Hや、圧延荷重Pや、圧延材張力等の情報が入力され、入力された情報を基にして圧延機4のロールギャップ量sやロール速度が算出され出力される。
以下、図2〜図7を参照しつつ、本実施の形態の制御部9で行われる圧延機4におけるミル伸び式の同定方法について説明する。
[計測ステップ]
まず、圧延装置1に圧延材5を導入することなく、ワークロール2,2をキス接触させた上で圧延荷重Pを付与する。これにより、キスロール状態での締め込みにより実測される圧延機4のミル伸び量(全伸び量)を計測する。なお、このときのミル伸び量には、ワークロール2,2およびバックアップロール3,3の変形量と、ワークロール2およびバックアップロール3を支持する部位(ハウジング)の変形量とが含まれることになる。
このような計測ステップにて計測された、圧延荷重Pとミル伸び量(全伸び量、圧下位置)との関係を図2に示す。
[同定ステップ]
ワークロール2,2およびバックアップロール3,3にはイニシャルプロファイルが付与されており、これらのロール間における接触状態が変化することにより、見かけのミル定数(言い換えれば、圧延荷重とミル伸びとの関係)が圧延荷重Pの領域により変化すると考えられる。
図3(a)は、ワークロール2とワークロール2とが部分的に接触しており、ワークロール2とバックアップロール3とが部分的に接触している状態を示す。この状態においては、圧延荷重Pに対するミル伸び量の変位が大きく現れるので、見かけのミル定数は小さくなる。
図3(c)は、ワークロール2とワークロール2とが全面的に接触しており、ワークロール2とバックアップロール3とは全面的に接触している状態を示す。この状態においては、圧延荷重Pに対するミル伸び量の変位が小さく現れるので、見かけのミル定数は大きくなる。
さらに、圧延荷重Pとして2620[tonf]を付与した場合のワークロール2とワークロール2との接触面圧を図5(a)に、ワークロール2とバックアップロール3との接触面圧を図5(b)にそれぞれ示す。
図5(a)に示すように、この2620[tonf]ではワークロール2とワークロール2との間には非接触領域が存在せず、全面接触状態であることがわかる。図5(b)に示すように、この2620[tonf]ではワークロール2とバックアップロール3との間には非接触領域が存在せず、全面接触状態であることがわかる。
なお、分割する圧延荷重領域の数は3に限定されるものではない。また、その境界の圧延荷重も上述した1420[tonf]および2620[tonf]に限定されるものではない。領域の数および/または境界の圧延荷重は、ワークロール2とワークロール2との接触状態およびワークロール2とバックアップロール3との接触状態を考慮して適宜設定されるものである。
以下、本発明の第2の実施の形態に係るミル伸び式の同定方法について説明する。なお、この同定方法が好適に適用される圧延装置1は図1の通りであるので、ここでの詳細な説明は繰り返さない。また、計測ステップの全ておよび同定ステップにおけるロールの接触状態に応じて区別された3つの圧延荷重領域に分ける点については、上述した第1の実施の形態と同じであるので、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
すなわち、図8に示すように、領域(I)と領域(II)との圧延荷重境界P1および
領域(II)と領域(III)との圧延荷重境界P2においてミル伸び式が連続となるように2次近似されたミル伸び式を同定する。このためには、以下の式(1)〜式(3)を用いてミル伸び式を同定する。これにより、ミル伸び式が圧延荷重境界において連続となるように2次近似されたミル伸び式を同定することができる。
なお、実際の圧延領域を含む圧延荷重Pが大きい領域からミル伸び式を同定することが好ましい。
以下、本発明の実施の形態における変形例について説明する。この変形例は、同定対象の式が異なる。上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、同定対象はミル伸び式(全伸び式)であるが、本変形例においては、同定対象が、圧延荷重Pに対するハウジング変形量(ロール変形量以外の変形量)の近似式または圧延荷重Pに対するロール変形量の近似式である。なお、同定対象をハウジング変形量(ロール変形量以外の変形量)の近似式、および、ロール変形量の近似式の両方とすることもできるが、近似精度の点では、いずれか一方を同定対象とするだけで好ましい近似結果となることが多い。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施の形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積
などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 ワークロール
3 バックアップロール
4 圧延機
5 圧延材
6 油圧シリンダ
7 入側板厚計
8 出側板厚計
9 制御部
10 ロードセル
11 チョック部
Claims (3)
- ワークロールおよびバックアップロールを備えた圧延機の圧下位置制御に用いるミル伸び式の同定方法において、
前記ワークロールをキス接触させた上で圧延荷重を付与することにより、前記圧延機のミル伸び量を計測する計測ステップと、
ワークロールおよびバックアップロールのキス接触の状態に基づいて、圧延荷重に対するミル伸び量の関係式を同定する同定ステップと、
を含み、
前記同定ステップは、ワークロールとワークロールが部分的に接触し且つワークロールとバックアップロールが部分的に接触する圧延荷重領域、ワークロールとワークロールが部分的に接触し且つワークロールとバックアップロールが全面的に接触する圧延荷重領域、及びワークロールとワークロールが全面的に接触し且つワークロールとバックアップロールが全面的に接触する圧延荷重領域、の3つの圧延荷重領域に区分して、前記3つの圧延荷重領域ごとに圧延荷重に対するミル伸び量の関係式を同定する算出ステップを有する
ことを特徴とする、ミル伸び式の同定方法。 - 前記算出ステップは、前記圧延荷重領域の境界において、ミル伸び量の関係式が連続となるように当該関係式を同定するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のミル伸び式の同定方法。
- 前記ミル伸び量は、前記ワークロールおよび前記バックアップロールの変形量と、前記ワークロールおよびバックアップロールを支持する部位の変形量とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のミル伸び式の同定方法。
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JP2013034595A JP6057774B2 (ja) | 2013-02-25 | 2013-02-25 | 圧延機におけるミル伸び式の同定方法 |
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