JP5594585B2 - 圧延機の圧延荷重測定値補正方法及びその補正値を用いた板厚制御方法 - Google Patents

圧延機の圧延荷重測定値補正方法及びその補正値を用いた板厚制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧延機の圧延荷重測定器(ロードセル)による測定される測定値の誤差を修正する圧延機の圧延荷重測定値補正方法と、その補正された圧延荷重測定値を用いた圧延機の板厚制御方法に関するものである。
従来、板圧延における板厚制御方法としては、ロールバイト直下の板厚を推定して推定板厚と目標板厚の誤差に基づいて制御する方法と、圧延機出側に設置された板厚計の検出値と目標板厚の誤差に基づいて制御する方法が主に用いられている。前者は主にマスフロー方式とミルストレッチ方式が採用されている。後者は検出値をフィードバックする構成となっており、この制御ではロールバイト直下と板厚計の長さ分だけの無駄時間が大きくなる。
マスフロー方式とは、入側板厚計及び入側板速度計の出力と出側板速度計の出力からマスフロー一定則に従って出側板厚を推定する方法であり、ロールバイト直下の板厚を連続的に推定でき、かつ簡単な計算式で板厚を推定できることが特徴である。仕組みが簡単で適用しやすいため多くの板厚制御で使用されている。しかしながら、マスフロー方式の板厚制御方法を用いる場合に板厚計には、通常、高周波成分を取り除くフィルターが使用されているため、例えば板を溶接にて接合し、連続的に圧延する冷延における接合部近傍などは、マスフロー推定板厚が安定せず、板厚の推定精度が低下する場合がある。
一方のミルストレッチ方式とは、荷重測定器にて測定した圧延荷重やロールベンディング力による圧延機全体の弾性変形、即ちミルストレッチ(ロールギャップ量)を推定して、板厚変化をミルストレッチ変化分として捉える事により、板厚を制御する方法である。
ミルストレッチ方式の一つとして、低荷重域におけるミルの弾性変形を無視して、主に実圧延に使用される荷重域でのミルストレッチと荷重の関係をミル定数(tonf/mm、一定値やテーブル値)とし、荷重やベンディング力が変化したときの板厚変化をミル定数から推定して圧下変更量を算出して制御する方法がBISRA AGC(BISRA Auto Gauge Control)として知られている。ここで、ミルストレッチと圧延荷重との関係は低圧延荷重領域でロール接触面積が小さくそれに対するストレッチ量は大きいが、高圧延荷重になると、ロール接触面積が低圧延荷重領域より大きく且つ変形量が一定に近づく。よって、低圧延荷重領域と高圧延荷重領域では圧延荷重に対して、ミルストレッチ量の変化量が違う。しかしながら、BISRA AGCは、低圧延荷重域でのミルストレッチを無視し,且つ高圧延荷重域の変形を線形と仮定している。そのためミルストレッチを絶対値で求めることはできないが、ある基準点からの相対的変化を求めることにより板厚か板厚変化量を推定し制御できる。但し、高圧延荷重域も正確には線形の変形ではない分の誤差が生じるのは言うまでもない。
特許文献1には、ミルストレッチを推定する方法が開示されている。この方法の特徴は、ミルストレッチをロール変形とロール以外の変形に分離して取り扱うことにある。ロール変形はロール間接触荷重の幅分布を仮定して偏平とたわみを求めて重ね合わせることによる計算される。理論的な計算によって求めるので、正確な計算ができ、且つ汎用的である。収束計算でないため計算時間が短いという利点もある。
この特許文献1の発明では、ロール以外の変形はキスロール締め込み時の圧延機の変形からロールの変形を差し引くことで求めている。ロール以外の変形は主にハウジング・ライナー・圧下スクリュー・スクリューナット等の変形からなっており、これらは幾何形状を厳密に把握することが難しいので、理論的に推定することが難しく、従って上記のような取り扱いで求める。これらはバックアップロールチョックを介して伝わるトータル圧延荷重が同じであれば一義的に決まると考えられる。圧延時には上下ロール対の間に板が挟まっているので、キスロール時のロール変形とは変形量が異なる。そこで圧延時のミルストレッチは上記ロール以外の変形と圧延時のロール変形を重ね合わせることで求める。この場合のロール変形も理論的に求めることが可能である。圧延荷重とミルストレッチとの関係およびベンディング力とミルストレッチとの関係が得られるので、任意の圧延荷重やベンディング力の時の圧延荷重・ベンディング力の影響係数はその傾きから求めることができる。ミルストレッチを高精度に推定することができれば無駄時間の少ない高精度板厚制御が可能である。特許文献1の特徴は低圧延荷重域からの正確なミルストレッチが求められるので、ミルストレッチを絶対値で求められることにある。BISRA AGCを相対値ゲージメータAGC、特許文献1を絶対値ゲージメータAGCと区別して呼ぶこともある。しかしながら特許文献1では圧延荷重測定値は真値として使用しており、圧延荷重測定値がずれている場合はミルストレッチの見積もりはずれることとなる。
特許文献2には、上記のミルストレッチ計算方法を基にし、サーマルクラウンを考慮して推定板厚を高精度化した技術が開示されている。が、これも制御に使用される圧延荷重は測定圧延荷重をそのまま使用しているので、真の圧延荷重値との差が発生した場合はロールの熱膨張を加味しても更なる板厚精度の向上は困難と言える。
特許文献3には、ミルストレッチ推定方法は上記2つの特許とは異なるものの、サーマルクラウンの影響も考慮した上でミルストレッチを推定し、ロールバイト直下の板厚を推定して板厚を制御する方法が開示されている。しかしこれも圧延荷重測定値を使用している限り、問題は同様である。
上記のミルストレッチを用いる板厚制御では、圧延荷重測定器(ロードセル)の圧延荷重測定値が用いられる。しかし、圧延のような場合、圧延荷重測定値は1000tonf以上となり、ミルによっては10000tonfなどの大きな圧延荷重がかかる場合もある。圧延荷重測定器は圧延機に数個が取り付けられ、数個でこの合計値を測定することになるが、いずれにしろ数千tonfの圧延荷重を測定することになる。大きな圧延荷重がかかる測定器の測定誤差はそれを見積もること自体が難しいが、特許文献4のように圧延荷重測定器メーカーが複数のひずみゲージによる測定方法についての補正方法を開発している。しかし、圧延機に使用している圧延荷重測定器には実際に誤差が生じており、補正が十分とは言えない状況にある。高圧延荷重域までの負荷をかけて測定すること自体が技術的に難しいことが原因であると思われる。
板厚制御において、要求板厚に対して現在の板厚がずれており、その時の圧延荷重を測定し、要求板厚にするための圧延荷重補正値を求めて補正することによって要求板厚にする方法は、特許文献5で例示されているように多数ある。しかし、圧延荷重測定値自身が怪しいとみて、圧延荷重補正値を補正する方法については開示されていない。
特許文献6にはロールシフトをして締め込み試験を行い、ロールプロフィールを推定する方法が開示されている。シフト位置を2水準以上設定して締め込み試験を行う点については同様であるが、本技術ではロードセル圧延荷重は真値として使用されており、本発明のようにロードセル圧延荷重そのものを補正することは考えられていない。
特開昭60-30508号公報 特開2003-164904号公報 特開平5-212421号公報 特開2005-61890号公報 特開昭61-88910号公報 特開昭63-295009号公報
これまでに圧延荷重を用いて特定のものを推定し、制御する方法においては、圧延荷重測定器にて測定した圧延荷重測定値を真値として推定をしていた。しかしながら、圧延荷重測定器で測定した圧延荷重測定値は、ずれが生じていることがあり、その場合にはそのずれを補正しなければ、その板厚推定精度は低下してしまう。ベンディング力がロードセルに伝わるような状況で、ベンディング力を真値としてロードセル圧延荷重を補正する方法もあるが、ベンダーの能力では高圧延荷重までは測定できないために正確な見積もりは難しいという問題があった。
よって本発明の目的はこれらの問題点を解決し、高圧延荷重までの測定圧延荷重データを用いて圧延荷重測定器の測定した圧延荷重を補正し、板厚推定精度を高め、板厚精度を高めることができる技術を提供することである。
上記の課題を解決するためになされた本発明の圧延機の圧延荷重測定値補正方法は、圧延荷重測定器を有する圧延機を、ロール対ロール若しくはロール対ストリップで少なくとも圧延荷重を除く任意の2水準以上の圧延条件で締め込みを行い、ミルストレッチ量と圧延荷重の関係をそれぞれ測定し、該ミルストレッチ量からロール変形の寄与分を差し引くことでロール以外の寄与分を分離し、圧延荷重測定値を含む多項式または指数関数によって圧延荷重測定値を真圧延荷重に補正し、ロール変形以外の変形特性を求め、これらの複数水準で測定したロール以外の変形特性が一致する補正条件を求めて圧延荷重測定値の補正を行うことを特徴とするものである。また請求項2のように、圧延荷重領域を少なくとも2つ以上の領域に分け、それぞれの領域ごとに多項式または指数関数によって圧延荷重を補正してロール以外の変形特性が一致する条件を求めることができる。
また、請求項3の圧延機の板厚制御方法は、請求項1または2記載の方法により補正された圧延荷重測定値を用いてミルストレッチに及ぼす圧延荷重とベンドの影響を算出し、これらの影響を加味して推定した板厚を用いて板厚制御を行うことを特徴とするものである。また、請求項4の圧延機の板厚制御方法は、請求項1または2記載の方法により補正された圧延荷重測定値を用いてミル定数を計算し、セットアップ圧下位置を設定することを特徴とするものである。また、請求項5の圧延機の板厚制御方法は、請求項1または2記載の方法により補正された圧延荷重測定値を用いてセットアップ圧延荷重に用いるミル定数を計算してセットアップ圧下位置を設定し,ミルストレッチに及ぼす圧延荷重とベンドの影響を算出してこれらの影響を加味して推定した板厚を用いて板厚制御を行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、高圧延荷重までの測定荷重データを用いて圧延荷重測定器の圧延荷重測定値を補正することができ、真の圧延荷重を求めることができる。また、求められた真の圧延荷重を用いて板厚を推定することにより、板厚推定精度を向上させることができ、その推定板厚に基づいて板厚制御を行うことにより板厚精度を従来よりも更に向上させることができる。
6Hi圧延機の説明図である。 キスロール締め込み時の荷重とミルストレッチ量の関係およびロール以外の変形量と圧延荷重の関係を示すグラフである。 図2の拡大図である。 実施例1において補正したロール以外の変形の結果を示すグラフである。
板厚制御にとって、圧延荷重値は非常に重要な測定値である。圧延荷重が大きくなればミルストレッチが大きくなり、板厚も大きくなる。圧延荷重を予測する技術も開発されてはいるが、正確な圧延荷重を予測することは難しく、予測圧延荷重から推定したミルストレッチは測定圧延荷重と予測圧延荷重の差によって補正するということが行われている。ミルストレッチは測定圧延荷重自身が合っているものとして計算されるが、その測定圧延荷重自身がずれている場合は当然ミルストレッチがずれてしまう。板厚は数十μmの誤差でも数%から数十%の誤差になってしまうことになるので、圧延荷重測定値に真値を用いることは重要である。
以下、本発明の望ましい実施形態について図1から図4を参照し説明する。
図1は、圧延荷重測定器1を有する6Hiのミルである。6Hi圧延機は上下ワークロール2、中間ロール3およびバックアップロール4の6本のロールで構成され、通常圧延材(ストリップ)Wの板幅に応じて中間ロール3をシフトして使用する。圧延荷重測定器1はロードセルであり、図1では簡略化のために2個のみがバックアップロールチョック上に図示されている。また5は油圧圧下装置である。
本発明では、ロール対ロール若しくはロール対ストリップで少なくとも2水準以上(二条件以上)の締め込みを行い、ミルストレッチ量と圧延荷重との関係を求める。2水準の締め込み試験を行う方法としては様々な方法が考えられるが、単純な操作で条件を大きく変化させることが可能であるので、この実施形態では中間ロールシフトを2水準設定することを例に挙げて説明する。中間ロールシフトができないミルであっても、ワークロール2をシフトしてロール間接触長を変化させたり、ロール径を変化させたりして同じ圧延荷重がかかった時のロールの変形量が異なる条件で試験をすればよい。
中間ロールシフトを変更すると、ワークロール2と中間ロール3、中間ロール3とバックアップロール4の接触長が変化するので、ミルストレッチと圧延荷重の関係が変化する。一般的にワークロール2との接触長を短くするように中間ロールシフトを動かした場合、ある任意の荷重をかけた場合の変形量が大きくなる。
従来技術で紹介した特許文献1に記載されているように、圧延機のロール変形を梁のたわみの考え方で理論的に計算することは可能である。ミルストレッチと圧延荷重の関係をキスロール締め込み試験で例えば50tonf間隔で任意の圧延荷重まで試験し、ロール変形量とロール以外の変形量を分離することも当然可能である。もちろんその計算する圧延荷重間隔は狭いほど正確な関係が得られることは言うまでもない。必要な精度とその計算や測定にかけ得る時間で決定すればよい。
図2にキスロール締め込み時の圧延荷重とミルストレッチ量の関係(シフト0mm:○、シフト300mm:□で示す)、および、ミルストレッチからロール系の変形量を差し引いて抽出したロール以外の変形量と圧延荷重の関係(シフト0mm:△、シフト300mm:◇)を示す。ロール系の変形量を計算する時にはロールのたわみ量と偏平量を計算するためにロールにかかる荷重が必要であるが、ここでは圧延測定荷重を使用した。中間ロールシフト量は0mm(上下中間ロール胴長が上下ワークロールと全長にわたって接触)と300mm(ミル中心から中間ロールの胴長中心が300mmずれた状態で接触し、上下中間ロール接触長はシフト0mmと比較して600mm短い)とした。図2を見るとロール以外の変形はほぼ一致しているように見えるが、図2を拡大した図3を見るとずれていることが分かる。
上記したように、ロール以外の変形は同じ圧延荷重がかかった時には同じ変形量になると考えられるが、なぜ理論的に計算したロール変形を用いたのにロール以外の変形がこのようなずれが生じたのかを考察する。まず、ロール変形を計算するモデルについてであるが、ロール変形は上記したように梁のたわみとその補正から計算される(特許文献1)が、μmレベルでは正確な計算ができることが確認されている。
そこで測定値について検討すると、ずれが発生する可能性のあるパラメータである各ロールのロール径、胴長及びロールクラウンにおいては、圧延機からロールを抜き出し、ロール総合測定器にて各項目を測定し、測定値に誤差がほぼない事を確認した。同様に、中間ロールシフト量、ワークロールベンディング力、などを詳細に測定したが、いずれも測定値に誤差はほとんどなく、精度的に最も問題がある可能性があるものは圧延荷重測定値であることが確認された。一方、ロードセルは通常歪を電気信号に変換して、その電気的変化から圧延荷重値を推定するものであるが、圧延荷重自体が大きいためにその校正は現実的には困難である。これより、今回測定した中で最も精度的に問題があると想定されるのは、圧延荷重であると判明した。
圧延荷重の補正方法として最も簡単な方法としては、測定圧延荷重に対して係数をかけて補正する方法がある。圧延測定荷重を例えば0.9倍した圧延荷重を用いてロール変形を理論的に計算し、キスロール時のミルストレッチ量からロール変形を引けば、補正荷重でのロール以外の変形量が計算できる。測定圧延荷重の補正係数は中間ロールシフト条件によって変化するとは考えにくいことから、測定した2水準のミルストレッチ量から計算したロール以外の変形量が一致すれば、それが真圧延荷重であると考えるのが妥当である。
その一致したときの補正係数によって算出される圧延荷重が真の圧延荷重である。補正の方法としては単純に数倍するだけでなく、切片が必要な場合(y=ax+bの形)や多項式(例えばy=ax^2+bx+c (y:補正圧延荷重、x:測定圧延荷重)の形、3次式等でも当然よい)で近似した方が一致する場合もあると考えられる。圧延荷重測定器にはその測定器特有のずれがあると思われるので、その測定器に応じた式を用いることで真の圧延荷重に近い値が導き出され、真の圧延荷重への補正方法が確定すると、圧延荷重を使って計算していたもの全てが補正できることになる。
背景技術で紹介したミルストレッチ方式による板厚制御では、圧延荷重測定器にて測定した圧延荷重やロールベンディング力によるミルストレッチ(ロールギャップ)を推定して板厚を制御していたが、本発明ではこの制御に使用されている測定圧延荷重を補正することで、より高精度な制御が可能となる。
ミルストレッチを用いた板厚制御では通常、ミルストレッチに及ぼす圧延荷重の影響係数、ベンディング力の影響係数を用いる。これらはミルストレッチ量と圧延荷重の関係から、ある任意の圧延荷重やベンディング力における接線の傾きとして求め、その値を基準としてそこからの圧延荷重差やベンディング力差を基にミルストレッチ変化を計算する。ここでも補正圧延荷重を用いた値の方が、精度が高いのは言うまでもない。
また、圧延の板厚制御において圧延荷重を用いて算出する項目、例えば、セットアップ圧下位置においてミル定数が使用されているが、測定圧延荷重から算出した補正圧延荷重を用いれば、より精度の高いミル剛性となり当然セットアップ圧下位置の精度も向上するのは言うまでもない。
ここで、今回はキスロールにて中間ロールシフトを変更して試験したものであるが、例えば板を挟んだ状態(板あり)でのロール締込、ワークロールクラウンの形状を変更してのロール締込でも同様の効果が得られる。但し、板ありでのロール締込ではキスロールと圧延荷重分布が異なるのでそれを考慮してロール系の変形量を推定しなければならない。以下に本発明の実施例を示す。
(実施例1)
中間ロールシフト機能を有す圧延機にて、中間ロールシフトを0mmと300mm動かした状態の2水準で、キスロール締込みテストを行い、ミルストレッチ量と圧延荷重の関係を得て、それぞれにおいて、該ミルストレッチ量からロール変形の寄与分を差し引くことでロール変形以外の寄与分を算出した結果、ロール変形以外の寄与分が両者で合致しなかった。実際にテストした結果は、発明を実施する最良の形態で紹介した図2である。圧延荷重測定器で測定した値が真の値よりずれていたと考え、式(1)の様に測定圧延荷重に0.95の係数を掛けて補正をした。
式(1) y = 0.95x
(y:補正後の圧延荷重、x:測定圧延荷重)
補正したロール以外の変形の結果を図4に示す(シフト0mm:△、シフト300mm:◇)。補正前に比べてロール変形以外が一致しており、正しく補正できていることが分かる。
これより圧延荷重から板厚を推定し、その推定板厚に基づいて板厚をミルストレッチ方式で制御する方法で板厚精度を検証した。使用した圧延機は単スタンドの6Hiミルで、テスト条件は、上下ワークロール径は434mm、434mm、上下中間ロール径は459mm、464mm、上下バックアップロール径は1256mm、1256mmである。入側板厚は2mm〜4mmの範囲、出側板厚は1.6mm〜3.2mmの範囲、板幅は900mm〜1200mmの範囲、ロール速度を30mpm固定とし、測定圧延荷重領域を150tonf(1.470MN)〜1600tonf(15.680MN)の範囲で、今回は4鋼種10コイルずつ実施し、全40コイルで評価した。各鋼種最初の5コイルに対しては圧延荷重を補正しないままの推定板厚で制御を行った。残りの5コイルに対しては補正圧延荷重によりセットアップを行い推定板厚を用いて制御した。評価方法としては板中央の板厚偏差のばらつきを標準偏差で比較した。制御を入切りでの板厚偏差のばらつきを比較すると、現状が1であるときに約0.9となり、ロードセル圧延荷重補正の効果が確認された。
同様のデータを用いてy=ax+b(式2)と二次式(式3)で圧延荷重補正をした。
式(2) y = 0.95x -0.5
式(3) y=0.0002x2+0.4x+300
(y:補正後の圧延荷重、x:測定圧延荷重)
この結果、式(2)では板中央の板厚偏差のばらつきを示す標準偏差(以下、各実施例において同一)が、約0.85の向上、式(3)では約0.8の向上が確認された。
(実施例2)
実施例1の結果では、低圧延荷重領域ではシフト有無のロール以外の変形が合致しているが、高圧延荷重領域では合致しない傾向にあった。そこで、圧延荷重領域を高圧延荷重領域と低圧延荷重領域に分割してそれぞれに異なる補正係数を使用する方法を考案した。0tから800tまでを実施例1と同様に係数を0.95とし、測定圧延荷重が800t超については係数を0.9として、式(4)の様な補正をした。
式(4) :y = 0.95x (0≦x≦800)、y=0.90x(800<x)
(y:補正後の圧延荷重、x:測定圧延荷重)
今回も実施例1と同様に4鋼種10コイルずつ実施し、全40コイルで評価した。各鋼種最初の5コイルに対しては荷重を補正しないままの推定板厚で制御を行った。残りの5コイルに対しては補正圧延荷重を用いてミルストレッチ方式により推定した板厚で制御した。
板中央の板厚偏差のばらつきを比較したところ、制御を入切りでの板厚偏差のばらつきを比較すると、約0.75の改善となり効果が確認された。今回は800tonfで高圧延荷重領域と低圧延荷重領域を分割したが、800tonf以外で分割してもよい。
同様のデータを用いてy=ax+b(式5)と二次式(式6)で荷重を補正した。
式(5) :y = 0.95x -0.5 (0≦x≦800)、y=0.90x-0.5 (800<x)
式(6) :y=0.0002x2+0.40x+320 (0≦x≦800)
y=0.0002x2+0.42x+340 (800<x)
(y:補正後の圧延荷重、x:測定圧延荷重)
この結果、式(5)では約0.70、式(6)では約0.65の改善が確認された。
(実施例3)
実施例1、2と同等の圧延機及びテスト条件にて、ロール変形以外の変形を測定し、中間ロールシフトを0mmと300mm動かした状態の2水準で、上下ワークロールとの間に板を挟んだ(板あり)状態にて締込みテストを行い、ミルストレッチと圧延荷重の関係を得てそれぞれにおいて、該ミルストレッチ量から理論的な方法でロール変形の寄与分を差し引くことでロール変形以外の寄与分を算出した。使用した板については、入側板幅900mm、入側板厚3mm、入側引張強度270Mpaとした。ここで、キスロールと板ありでのロールに掛かる圧延荷重分布が異なることから、理論的にロール変形を求める際はそれを考慮している。
実際にテストした結果、これまでと同様にロール系以外の変形にずれが生じていた。補正方法として(実施例1)で使用した(式1)、y=ax+b(式2)、二次式(式3)を適用した。
式(1) y = 0.95x
式(2) y = 0.95x -0.5
式(3) y=0.0002x2+0.4x+300
(y:補正圧延荷重、x:測定圧延荷重)
今回も実施例1、2と同等の評価を行い、4鋼種10コイルずつとし合計40コイルをテストし、各鋼種最初の5コイルに対しては圧延荷重を補正しないままの推定板厚で制御を行った。残りの5コイルに対しては補正圧延荷重を用いてミルストレッチ方式により推定した板厚で制御した。結果、式(7)では、約0.9、式(8)は約0.85、式(9)で約0.80の改善が確認された。
(実施例4)
ワークロールベンド機能を有す実施例1と同様の圧延機にて、ワークロールベンドを0tonと50tonの圧延荷重を加えた場合の2水準で、キスロール締め込みテストを行い、ミルストレッチ量と圧延荷重の関係を得てそれぞれにおいて、上記実施例と同様にロール変形以外の寄与分を算出した。前実施例と同様の圧延機でテストを実施しているため、ロール変形以外の寄与分が両者で一致しなかった。そこで、実施例1で行った簡単な補正方法である式(1)と実施例2で行い単純ながら大きな効果が確認された式(4)補正方法を用いて補正し、板厚の評価テストを実施した。
テストに使用した各ロールは、全て実施例1と同様である。今回も実施例1と同様の板厚、板幅で4鋼種10コイルずつ実施し、全40コイルで評価した。最初の5コイルは何もせず、残りの5コイルに対し補正圧延荷重を用いてミルストレッチ方式により推定した板厚で制御した。評価は前実施例と同様に板中央の板厚偏差のばらつきを比較した。結果、式(1)では何も補正しない場合の板厚のばらつきを1とした場合、約0.9の改善となり、式(4)では約0.75の改善が確認された。
(実施例5)
実施例1と同様の圧延機にて、ワークロール径を挿入上限径である新ワークロール(上下ロールは440.01と440.08)と、挿入下限径である廃棄ワークロール(上下ロール径は425.20、425.14)を使用した。その2水準のワークロールにてキスロール締め込みテストを実施し、ロール変形以外の寄与分を算出した結果、前実施例と同様にロール変形以外の寄与分が両者で合致しなかった。そこで、実施例4と同様に式(1)、(4)で補正し板厚の評価を実施した。
今回も実施例1と同様の板厚、板幅で4鋼種10コイルずつ実施した。また、最初の5コイルは何もせず、残りの5コイルに対して補正圧延荷重を用いてミルストレッチ方式により推定した板厚で制御した。評価内容も前実施例と同様に板中央の板厚偏差のばらつきを比較した。結果、式(1)では約0.9の改善となり、式(4)では約0.75の改善が確認された。
(実施例6)
実施例1と同様の圧延機にてワークロールクラウン有無での2水準にてキスロール締め込みテストを実施し、ロール変形以外の寄与分を算出した。このときに使用したワークロールは上下ロール径を中央測定にて435.20mm、434.68mmとし、エッジから15mm点の直径をそれぞれ50μm差し引いた径とし、上下ワークロールのエッジから15mm点の直径がそれぞれ435.15mm、434.63mmとした。前実施例と同様にロール変形以外の寄与分を算出した結果、前実施例と同様にロール変形以外の寄与分が両者で合致しなかった。そこで、実施例4と同様に式(1)、(4)で補正し板厚の評価を実施した。
今回も実施例1と同様の板厚、板幅で4鋼種10コイルずつ実施した。また、最初の5コイルは何もせず、残りの5コイルに対して補正圧延荷重を用いてミルストレッチ方式により推定した板厚で制御した。評価内容も前実施例と同様に板中央の板厚偏差のばらつきを比較した。結果、式(1)では約0.9の改善となり、式(4)では約0.75の改善が確認された。
(実施例7)
実施例1と同様の圧延機にて、キスロール締め込みとワークロールに板を挟んだ状態で締め込みをした2水準にてテストを実施し、ロール変形以外の寄与分を算出した。このときに使用したロールは実施例1と同様であり、挟む板については実施例3と同様である。前実施例と同様にロール変形以外の寄与分を算出した結果、前実施例と同様にロール変形以外の寄与分が両者で合致しなかった。そこで、実施例4と同様に式(1)、(4)で補正し板厚の評価を実施した。
今回も実施例1と同様の板厚、板幅で4鋼種10コイルずつ実施した。また、最初の5コイルは何もせず、残りの5コイルに対して補正圧延荷重を用いてミルストレッチ方式により推定した板厚で制御した。評価内容も前実施例と同様に板中央の板厚偏差のばらつきを比較した。結果、式(1)では約0.9の改善となり、式(4)では約0.75の改善が確認された。
(実施例8)
実施例1と同様の圧延機及びキスロールテストにて、実施例2と同様な方法で式(1)、式(4)を用い、ロードセルの圧延荷重補正を実施した。更に、その補正圧延荷重を用いてミル定数を求め、それを用いて計算されるセットアップ圧下位置へ反映させ、上記実施例と同様に板厚の評価を実施した。
今回も実施例1と同様の板厚、板幅で4鋼種10コイルずつ実施した。また、最初の5コイルは何もせず、残りの5コイルに対して補正圧延荷重を用いてミルストレッチ方式により推定した板厚及び補正した圧延荷重を用いて算出したセットアップ圧下位置を使用して板厚を制御した。
評価内容も実施例と同様に板中央の板厚偏差のばらつきを比較した。結果、式(1)では約0.75の改善となり、式(4)では0.55の改善が確認された。
1 圧延荷重測定器
2 ワークロール
3 中間ロール
4 バックアップロール
5 油圧圧下装置

Claims (5)

  1. 圧延荷重測定器を有する圧延機を、ロール対ロール若しくはロール対ストリップで少なくとも圧延荷重を除く任意の2水準以上の圧延条件で締め込みを行い、ミルストレッチ量と圧延荷重の関係をそれぞれ測定し、該ミルストレッチ量からロール変形の寄与分を差し引くことでロール以外の寄与分を分離し、圧延荷重測定値を含む多項式または指数関数によって圧延荷重測定値を真圧延荷重に補正し、ロール変形以外の変形特性を求め、これらの複数水準で測定したロール以外の変形特性が一致する補正条件を求めて圧延荷重測定値の補正を行うことを特徴とする圧延機の圧延荷重測定値補正方法。
  2. 圧延荷重領域を少なくとも2つ以上の領域に分け、それぞれの領域ごとに多項式または指数関数によって圧延荷重を補正してロール以外の変形特性が一致する条件を求めることを特徴とする請求項1記載の圧延機の圧延荷重測定値補正方法。
  3. 請求項1または2記載の方法により補正された圧延荷重測定値を用いてミルストレッチに及ぼす荷重とベンドの影響を算出し、これらの影響を加味して推定した板厚を用いて板厚制御を行うことを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
  4. 請求項1または2記載の方法により補正された圧延荷重測定値を用いてミル定数を計算し、セットアップ圧下位置を設定することを特徴とする圧延機の板厚制御方法。
  5. 請求項1または2記載の方法により補正された圧延荷重測定値を用いてセットアップ圧延荷重に用いるミル定数を計算してセットアップ圧下位置を設定し,ミルストレッチに及ぼす圧延荷重とベンドの影響を算出してこれらの影響を加味して推定した板厚を用いて板厚制御を行うことを特徴とする板厚制御方法。
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