JP6696464B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサは、酸化チタンやチタン酸バリウム等の誘電体層と内部電極層とを多数積み重ねたチップタイプのセラミックコンデンサである。積層セラミックコンデンサは、セラミックが持つ優れた高周波特性等のメリットを活かしながら、小型で大容量を実現できるため、電子回路の広い範囲で用いられている。
積層セラミックコンデンサは、例えば、次のような方法で製造される。まず、セラミックグリーンシートの表面に内部電極となる導電性ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層シートを形成する。次に、該積層シートを裁断し、チップ化された積層体を形成する。該積層体を焼成した後、端子電極を形成することにより、積層セラミックコンデンサが得られる。
しかしながら、内部電極が印刷されたセラミックグリーンシートを加熱圧着する際、積層方向における内部電極の密度によって厚さが異なるために、積層シートの表面に凹凸(段差)が生じるという問題があった。
なお、上記の問題は、積層セラミックコンデンサを製造する場合に限らず、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品を製造する場合に共通する問題である。
そこで、特許文献1には、セラミックグリーンシートと所定パターンの電極層とを交互に複数重ねてグリーンセラミック積層体を形成する工程と、上記積層体を焼成する工程と、を有する積層セラミック電子部品の製造方法であって、上記積層体を形成する前に、所定パターンの上記電極層の隙間部分に、上記電極層と実質的に同じ厚みの余白パターン層を所定の印刷ペーストを用いて形成することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法が開示されている。
特許第5221059号公報
特許文献1に記載の方法では、内部電極パターンの形成に引き続き、内部電極が形成されていない隙間部分に余白パターン層を形成することにより、形成面を平坦化しつつ積層していくことができる。内部電極パターンと余白パターン層は、写真フィルムのネガティブとポジティブの関係になる。
しかしながら、内部電極が形成されていない隙間部分に余白パターン層を精密に印刷することは困難であるため、印刷のずれ等に起因する構造欠陥が発生するおそれがある。また、積層するセラミックグリーンシートの各層において、内部電極と余白パターン層との位置を制御した印刷を実施する必要があるため、印刷工程にかかる時間が長くなり、製造効率が低下するおそれもある。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、構造欠陥の少ない積層セラミック電子部品を効率良く製造することができる積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法は、積層された複数のセラミックグリーンシートと、上記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含み、積層方向に相対する第1の主面及び第2の主面を有する、積層シートを作製する工程と、上記積層シートの上記第1の主面及び上記第2の主面の少なくとも一方に、樹脂組成物を配置して加熱圧着することにより、未焼成の保護層が形成されたマザーブロックを得る工程と、上記マザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有する、複数のグリーンチップを得る工程と、を備え、上記樹脂組成物は、融点又はガラス転移温度が100℃未満の樹脂成分と、無機化合物粒子と、を含有し、上記樹脂組成物中の上記無機化合物粒子の含有量が、40体積%以上、70体積%以下であり、上記樹脂組成物は、振動周波数10Hzで測定した動的粘弾性測定において、80℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であることを特徴とする。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法においては、上記樹脂成分が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のエチレン系共重合体を含むことが好ましい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法においては、上記無機化合物粒子が、Ba、Ca、Sr及びPbのうち少なくとも1種と、Ti、Zr及びHfのうち少なくとも1種とを含有するペロブスカイト型磁器組成物を含むことが好ましい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法においては、上記未焼成の保護層の厚さが、1μm以上、10000μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、構造欠陥の少ない積層セラミック電子部品を効率良く製造することができる。
図1は、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサのII−II線断面図である。 図3は、図1に示す積層セラミックコンデンサのIII−III線断面図である。 図4は、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの一例を模式的に示す平面図である。 図5(a)は、セラミックグリーンシートを積層する方法の一例を模式的に示す斜視図である。図5(b)及び図5(c)は、セラミックグリーンシートを積層する方法の一例を模式的に示す平面図である。 図6は、積層シートの一例を模式的に示す斜視図である。 図7は、マザーブロックの一例を模式的に示す斜視図である。 図8は、切断された後のマザーブロックの一例を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの製造方法を例にとって説明する。なお、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品にも適用することができる。
まず、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサについて説明する。
図1は、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサのII−II線断面図である。図3は、図1に示す積層セラミックコンデンサのIII−III線断面図である。
本明細書においては、積層セラミックコンデンサの積層方向、幅方向、長さ方向を、図1、図2及び図3に示す積層セラミックコンデンサ11においてそれぞれ矢印T、W、Lで定める方向とする。ここで、積層方向と幅方向と長さ方向とは互いに直交する。積層方向は、複数のセラミック層21と複数対の内部電極22及び23とが積み上げられていく方向である。
図1に示す積層セラミックコンデンサ11は、部品本体12を備えている。図1、図2及び図3に示すように、部品本体12は、直方体状又は略直方体状をなしており、積層方向Tに相対する第1の主面13及び第2の主面14と、積層方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面15及び第2の側面16と、積層方向T及び幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面17及び第2の端面18とを有している。
図2及び図3に示すように、部品本体12は、第1の主面13及び第2の主面14の方向に延びかつ第1の主面13及び第2の主面14に直交する方向に積層された複数のセラミック層21と、セラミック層21間の界面に沿って形成された複数対の内部電極22及び23とをもって構成された積層構造を有している。
部品本体12は、後述するように、マザーブロックを作製した後、該マザーブロックを切断することにより、複数のグリーンチップに個片化することによって得られる。マザーブロックを作製するためには、まず、表面に導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを所定枚数積層することにより積層シートを作製する。該積層シートの少なくとも一方の主面に、樹脂組成物を配置して加熱圧着することにより、未焼成の保護層が形成されたマザーブロックを作製することができる。
図2及び図3に示すように、内部電極22と内部電極23とは、セラミック層21を介して互いに対向する。内部電極22と内部電極23とが対向することによって、電気的特性が発現する。すなわち、図1に示す積層セラミックコンデンサ11においては、静電容量が形成される。
内部電極22は、部品本体12の第1の端面17に露出する露出端を持ち、内部電極23は、部品本体12の第2の端面18に露出する露出端を持っている。一方、内部電極22及び23は、部品本体12の第1の側面15及び第2の側面16には露出していない。
図1、図2及び図3に示すように、積層セラミックコンデンサ11は、さらに、内部電極22及び23の各々の露出端にそれぞれ電気的に接続されるように、部品本体12の第1の端面17に設けられた第1の外部電極24、及び、部品本体12の第2の端面18に設けられた第2の外部電極25を備えている。
第1の外部電極24及び第2の外部電極25は、部品本体12の第1の端面17及び第2の端面18上にそれぞれ形成されており、図1では、第1の主面13及び第2の主面14並びに第1の側面15及び第2の側面16の各一部にまで回り込んだ部分を有している。
部品本体の外形及び寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができる。部品本体の外形が直方体状又は略直方体状である場合、通常、部品本体の端面方向の寸法である長さ寸法(図1中、L方向の長さ)は、0.4mm以上、5.6mm以下であり、部品本体の側面方向の寸法である幅寸法(図1中、W方向の長さ)は、0.2mm以上、5.0mm以下であり、部品本体の積層方向の寸法である厚み寸法(図1中、T方向の長さ)は、0.2mm以上、1.9mm以下である。
セラミック層を構成するセラミック材料としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム等を主成分とする誘電体セラミックを用いることができる。
上述のとおり、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品にも適用することができる。例えば、積層セラミック電子部品が圧電部品の場合には、PZT系セラミック等の圧電体セラミック、サーミスタの場合には、スピネル系セラミック等の半導体セラミックが用いられる。
セラミック層の厚さは特に限定されないが、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。
内部電極を構成する導電材料としては、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等の金属材料を用いることができる。
内部電極の厚さは特に限定されないが、通常は2μm以下、好ましくは0.5μm以上、1.5μm以下である。
外部電極は、下地層と下地層上に形成されるめっき層とで構成されることが好ましい。下地層を構成する導電材料としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等を用いることができる。下地層は、導電性ペーストを未焼成の部品本体上に塗布して部品本体と同時焼成するコファイア法を適用することによって形成されてもよく、導電性ペーストを焼成後の部品本体上に塗布して焼き付けるポストファイア法を適用することによって形成されてもよい。あるいは、下地層は、直接めっきにより形成されてもよく、熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂を硬化させることにより形成されてもよい。
下地層上に形成されるめっき層は、Niめっき、及び、その上のSnめっきの2層構造であることが好ましい。
外部電極の厚さも特に限定されないが、通常、10μm以上、50μm以下である。
次に、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法の一例として、図1に示す積層セラミックコンデンサ11の製造方法について説明する。
まず、セラミック層となるべきセラミックグリーンシートを準備する。セラミックグリーンシートは、例えば、誘電体ペーストを用いて、ワイヤーバーコータ、ドクターブレード法等により、支持体としてのキャリアシート上に成形される。
誘電体ペーストは、セラミック粉末(誘電体原料)と、有機バインダ及び有機溶剤を含有する有機ビヒクルと、を混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、帯電除剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体等の添加物が含有されていてもよい。誘電体ペーストは、上記各成分を、ボールミル等で混練し、スラリー化することにより得ることができる。
セラミックグリーンシートの厚みは、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
次に、セラミックグリーンシート上に、内部電極となるべき所定パターンの電極層(内部電極パターン)を形成する。内部電極パターンの形成方法は、電極層を均一に形成できる方法であれば特に限定されないが、例えば、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法等が用いられる。
図4は、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートの一例を模式的に示す平面図である。
図4に示すように、セラミック層21となるべきセラミックグリーンシート31上に、所定のパターンをもって導電性ペーストが印刷されることによって、内部電極22及び23の各々となるべき内部電極パターン32が形成される。具体的には、セラミックグリーンシート31上に、マトリクス状の内部電極パターン32が形成される。
導電性ペーストは、各種導電性金属若しくは合金からなる導電体材料、焼成後に上記した導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物又はレジネート等と、有機バインダ及び有機溶剤を含む有機ビヒクルと、を混練して調製される。接着性の改善のために、導電性ペーストには、可塑剤が含まれることが好ましい。導電性ペーストは、上記各成分を、ボールミル等で混練し、スラリー化することにより得ることができる。
内部電極パターンの厚みは、通常2μm以下であり、0.5μm以上、1.5μm以下であることが好ましい。
その後、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートをずらしながら所定枚数積層し、その上下に内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層することにより、積層シートを作製する。
図5(a)は、セラミックグリーンシートを積層する方法の一例を模式的に示す斜視図である。
図5(a)に示すように、内部電極パターン32が形成されたセラミックグリーンシート31を、x方向に沿って所定間隔、すなわち内部電極パターン32のピッチがx方向に1/2ずつずれるように所定枚数積層する。さらに、その上下に内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層する。
図5(b)及び図5(c)は、セラミックグリーンシートを積層する方法の一例を模式的に示す平面図である。図5(b)及び図5(c)は、それぞれ1層目及び2層目のセラミックグリーンシートが拡大して示されている。
図5(b)及び図5(c)には、第1方向(図5(b)及び図5(c)におけるx方向)の切断線33、及び、これに対して直交する第2方向(図5(b)及び図5(c)におけるy方向)の切断線34の各一部が示されている。マトリクス状の内部電極パターン32は、2つ分の内部電極22及び23が各々の引出し部同士で連結されたものが、第1方向(x方向)に沿って連なった形状を有している。図5(b)及び図5(c)では、切断線33及び34が共通して示されている。
図6は、積層シートの一例を模式的に示す斜視図である。
図6に示す積層シート35は、積層された複数のセラミックグリーンシート31と、セラミックグリーンシート31間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターン32とを含み、積層方向に相対する第1の主面35a及び第2の主面35bを有している。
続いて、積層シートの少なくとも一方の主面に、樹脂成分と無機化合物粒子とを含有する樹脂組成物を配置し、その後、これらを加熱圧着する。加熱圧着の方法としては、例えば、剛体プレスや静水圧プレス等の手段により積層方向にプレスする方法等が挙げられる。これにより、未焼成の保護層が形成されたマザーブロックが得られる。
図7は、マザーブロックの一例を模式的に示す斜視図である。
図7に示すマザーブロック36では、積層シート35の第1の主面35aに未焼成の保護層41が形成されており、第2の主面35bに未焼成の保護層42が形成されている。
上述のとおり、未焼成の保護層は、積層シートの少なくとも一方の主面に形成されていればよい。すなわち、積層シートのいずれか一方の主面に未焼成の保護層が形成されていてもよいし、積層シートの両方の主面に未焼成の保護層が形成されていてもよい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法においては、以下に詳述する樹脂組成物を用いて未焼成の保護層を形成することを特徴としている。下記樹脂組成物は無機化合物粒子を含有しているため、焼成後、セラミック層として機能する。さらに、下記樹脂組成物は凹凸への追従性及び表面の平滑性に優れるため、積層シートの少なくとも一方の主面に配置して未焼成の保護層を形成することにより、積層シート表面の凹凸に追従して段差を埋め込むとともに、該積層シートの表面を平滑化することができる。また、構造欠陥の少ない積層セラミック電子部品を製造することができる。
また、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、特許文献1に記載されているような余白パターン層を形成しなくても段差を埋め込むことができるため、印刷工程にかかる時間が短くなり、構造欠陥の少ない積層セラミック電子部品を効率良く製造することができる。
積層シートの少なくとも一方の主面に樹脂組成物を配置する方法としては、未焼成の保護層を形成できる方法であれば特に限定されず、例えば、樹脂組成物をシート状あるいはフィルム状に成形することにより得られる樹脂シートを積層シートに積層する方法、溶融状態あるいはゴム状態の樹脂組成物を積層シートに塗布する方法等が挙げられる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法において、未焼成の保護層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。また、未焼成の保護層の厚さは、10000μm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがより好ましい。
<樹脂組成物>
以下、本発明に用いる樹脂組成物の一実施形態について説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、融点又はガラス転移温度が100℃未満の樹脂成分と、無機化合物粒子とを含有して、概略構成されている。
(樹脂成分)
樹脂組成物に含有される樹脂成分は、融点又はガラス転移温度が100℃未満である。樹脂成分の融点又はガラス転移温度の下限は特に制限はないが、樹脂成分の融点又はガラス転移温度は40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。樹脂成分の融点又はガラス転移温度が40℃以上であれば、積層時の変形を防止することができる。
なお、樹脂成分の融点又はガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)装置によって測定される。ガラス転移温度の測定は、JIS K 7121−1987に準じる。
樹脂成分としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体からなる群のうち、少なくとも1種のエチレン系共重合体等が挙げられる。これらの中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)がより好ましく、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)及びエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)がさらに好ましい。樹脂成分が、金属親和性の高いエチレン系共重合体(エチレン系エラストマー)を含むことで、樹脂組成物中の無機化合物粒子を高分散することができ、フィルムにした際の強度を向上させることができる。
上記のエチレン系共重合体は、エチレンと、極性基を有するビニル基とを単量体単位としている。エチレン系共重合体中の極性基を有するビニル基の割合は、該エチレン系共重合体の総質量中、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、45質量%以下であることがより好ましい。極性基を有するビニル基の割合が5質量%以上であると、無機化合物粒子を充分量含有することができる。一方、極性基を有するビニル基の割合が50質量%以下であると、ブロッキングの発生を抑制することができる。
エチレン系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単量体単位を含んでいてもよい。他の単量体単位としては、例えば、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステルまたはその無水物;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。他の単量体単位の含有量は、10質量%以下が好ましく、0質量%であってもよい。
エチレン系共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、分子鎖中又は分子鎖末端に、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基などの官能基を有していてもよい。
エチレン系共重合体の分子量は、特に制限されないが、フィルムにする際の成形性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、1×10以上、2×10以下が好ましい。
エチレン系共重合体の分子量分布として、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値は特に限定されないが、フィルムにした際のべたつき及び外観の観点から、1.0以上、3.5以下が好ましく、1.1以上、3.0以下がより好ましい。
エチレン系共重合体の含有量は、樹脂成分の総質量中において、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。エチレン系共重合体の含有量が20質量%以上であると、フィルムにした際の取扱時に必要な強度を保持することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、バインダとなる樹脂成分中にエチレン系共重合体以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。他の樹脂成分としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を備える変性ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。また、オレフィン系モノマーと、オレフィン系モノマーおよび上記官能基を備えるビニル系モノマー以外のその他のビニル系モノマー(以下、「その他のビニル系モノマー」という)との共重合体およびその水素化共重合体、ならびにこれらの共重合体に上記官能基を付加したもの等も変性ポリオレフィン系重合体として使用することが可能である。これらの共重合体の構造としては特に限定されず、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられるが、ブロック共重合体、グラフト共重合体がより好ましい。上記変性ポリオレフィン系重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。樹脂成分の総質量中、他の樹脂成分の含有量は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。
(無機化合物粒子)
本実施形態の樹脂組成物に適用可能な無機化合物粒子としては、絶縁体セラミックが挙げられる。絶縁体セラミックとしては、例えば、Ba、Ca、Sr及びPbのうち少なくとも1種と、Ti、Zr及びHfのうち少なくとも1種とを含有するペロブスカイト型磁器組成物等が挙げられる。具体的には、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸チタン酸鉛等が挙げられる。これらの無機化合物粒子を含有させることにより、樹脂組成物の誘電率を向上させる効果が得られる。無機化合物粒子としては、これらの中から1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機化合物粒子の形状は、特に限定されず、樹脂組成物の用途に応じて適宜選択が可能である。具体的には、バインダ樹脂への分散性の観点から、球状、粒子状の無機化合物粒子を用いてもよい。また、フィルムにした際の強度の観点から、板状、鱗片状等の無機化合物粒子を用いてもよい。
無機化合物粒子の粒子径は、特に限定されないが、無機化合物粒子の加重平均粒子径が、0.05μm以上、1.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、1.0μm以下であることがより好ましい。無機化合物粒子の加重平均粒子径が0.05μm未満であると、比表面積が大きくなって分散性が悪化する傾向にあり、無機化合物粒子の加重平均粒子径が1.2μmを超えると、粒子間の空隙が大きくなり防湿性が悪化する傾向にある。
なお、無機化合物粒子の加重平均粒子径は、100個の無機化合物粒子の粒子径を顕微鏡観察により測定し、算出する。無機化合物粒子が板状や鱗片状等の場合、粒子径は、短径と長径を測定して断面積を算出し、当該断面積に相当する円の直径を粒子径とする。
本実施形態の樹脂組成物は、加重平均粒子径が異なる2以上の無機化合物粒子を混合して用いてもよい。加重平均粒子径が異なる2以上の無機化合物粒子を用いることで、樹脂組成物中の無機化合物粒子の含有量を多くすることが可能となる。例えば、加重平均粒子径が異なる2つの無機化合物粒子を用いる場合、一方の加重平均粒子径を0.05μm以上、0.3μm以下とし、他方の加重平均粒子径を0.3μm以上、1.0μm以下とすることが好ましい。
無機化合物粒子の含有量は、該樹脂組成物の総量中において、40体積%以上、70体積%以下であることが好ましく、45体積%以上、65体積%以下であることがより好ましい。無機化合物粒子の含有量が40体積%未満であると、焼結工程後の体積変化が大きく寸法変化が大きくなる傾向にあり、無機化合物粒子の含有量が70体積%を超えると、得られた樹脂組成物が脆弱になる傾向にある。
(その他の成分)
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した樹脂成分、及び、無機化合物粒子以外に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、塩化銅、ヨウ化第一銅、酢酸銅、ステアリン酸セリウムなどの金属塩安定剤、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、アクリレート系、リン系有機化合物などの酸化防止剤や耐熱安定剤、ベンゾフェノン系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤や耐候剤、光安定剤、離型剤、滑剤、結晶核剤、粘度調節剤、着色剤、シランカップリング剤などの表面処理剤、顔料、蛍光顔料、染料、蛍光染料、着色防止剤、難燃剤(赤燐、金属水酸化物系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、およびこれらのハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなど)、木材粉、もみがら粉、くるみ粉、古紙、蓄光顔料、ホウ酸ガラスや銀系抗菌剤などの抗菌剤や抗カビ剤、マグネシウム−アルミニウムヒドロキシハイドレートに代表されるハイドロタルサイトなどの金型腐食防止剤、結晶核剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、染料、消臭剤、可塑剤、離形剤、分散剤等の添加剤が挙げられる。これらの中で、樹脂組成物の柔軟性向上の観点から、可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪族トリカルボン酸エステル、リン酸トリエステルおよび石油樹脂等、ポリアルキレングリコール系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ヒマシ油系可塑剤、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ポリオキシエチレンジアセテート、ポリオキシエチレンジ(2−エチルヘキサノエート)、ポリオキシプロピレンモノラウレート、ポリオキシプロピレンモノステアレート、ポリオキシエチレンジベンゾエート、ポリオキシプロピレンジベンゾエートなどのポリオールエステル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸エトキシカルボニルメチルジブチル、クエン酸ジ−2−エチルヘキシル、アセチルリシノール酸メチルまたはアセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、大豆油、大豆油脂肪酸、大豆油脂肪酸エステル、エポキシ化大豆油、菜種油、菜種油脂肪酸、菜種油脂肪酸エステル、エポキシ化菜種油、亜麻仁油、亜麻仁油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸エステル、エポキシ化亜麻仁油、ヤシ油またはヤシ油脂肪酸などの植物油系化合物、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルまたはパラフィン類などが挙げられる。可塑剤の含有量は、該樹脂組成物の総質量中、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。可塑剤の含有量が70質量%以下であれば、樹脂組成物の強度を損なうことなく、該樹脂組成物の柔軟性を向上することが可能である。
なお、他の成分を含む場合には、樹脂組成物中の樹脂成分及び無機化合物粒子の各含有量が、すでに上述した範囲内となるように、その使用量を調整することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、振動周波数10Hzで測定した動的粘弾性(DMA)測定において、80℃における貯蔵弾性率(E’)が1.0×10Pa以下であり、好ましくは0.9×10Pa以下である。樹脂組成物の貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であると、プレス工程時に凹凸を平滑化することができる。また、樹脂組成物の貯蔵弾性率の下限値は特に限定されないが、上記貯蔵弾性率(E’)が1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10Pa以上であることがより好ましい。樹脂組成物の貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満であると、フィルムにした際の強度が不足する。
なお、樹脂組成物の動的粘弾性(DMA)測定は、市販の動的粘弾性測定装置(例えば、SII社製、「DMS6100」等)を用い、下記の測定条件を用いて測定することができる。
(弾性率測定)
・振動周波数:10Hz
・温度範囲:20〜200℃
・昇温速度:5℃/min
・試験片:約10mm幅
・試験モード:引張
(樹脂組成物の製造方法)
次に、本実施形態の樹脂組成物の製造方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂組成物は、上述した樹脂成分を融点又はガラス転移温度以上に加熱して溶融状態(液体状態)あるいはゴム状態とし、これに無機化合物粒子を添加して混練することで得られる。
樹脂成分を融点又はガラス転移温度以上に加熱する方法は特に限定されないが、密閉式混練機、いわゆるインターナルミキサーを用いることが好ましい。また、溶融状態あるいはゴム状態の樹脂成分に無機化合物粒子を添加して混練する方法は特に限定されないが、オープンロール、単軸押出機、二軸混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いることが好ましい。
混練後に造粒、冷却処理等をすることにより、ペレット、タブレット等の樹脂組成物として得られる。
<樹脂シート>
次に、上記樹脂組成物を用いた樹脂シートの一実施形態について説明する。
本実施形態の樹脂シートは、上述した樹脂組成物をシート状に成形したものである。シート状に成形する際に追加の成分を添加しない限りにおいて、その成分は該樹脂組成物と実質的に同一である。
本実施形態の樹脂シートの厚さは、1μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、樹脂シートの厚さは、10000μm以下であることが好ましく、3000μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。樹脂シートの厚さが1μm未満であると、取扱時にフィルムが破断する場合がある。
(樹脂シートの製造方法)
次に、本実施形態の樹脂シートの製造方法の一例について説明する。本実施形態の樹脂シートは、上述した樹脂組成物の製造方法において、溶融状態あるいはゴム状態の樹脂成分に無機化合物粒子を添加して混練した後、シート状あるいはフィルム状に成形することで得られる。
樹脂組成物をシート状あるいはフィルム状に成形する方法は特に制限されないが、Tダイを用いた押出装置を用いることが好ましい。
また、溶剤に樹脂成分を溶解させて樹脂溶液とし、該樹脂溶液に無機化合物粒子を添加して撹拌して塗工溶液を得た後、得られた塗工溶液をPETフィルム等の基材に塗布することにより、樹脂シートとしてもよい。
以上のように作製したマザーブロックを、互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、複数のグリーンチップを得る。マザーブロックの切断には、例えば、ブレードを用いた押切り、ダイサーを用いたダイシング、ギロチンカット、レーザを用いたレーザカット等の方法が適用される。
図8は、切断された後のマザーブロックの一例を模式的に示す斜視図である。
図8において、マザーブロック36は、互いに直交する第1方向の切断線33及び第2方向の切断線34に沿って切断され、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップ19が得られる。なお、図8では、1個のマザーブロック36から6個のグリーンチップ19が取り出されているが、実際には、より多数のグリーンチップ19が取り出される。
個々のグリーンチップ19の間には、切断によって生じた隙間が存在している。隙間の大きさ、すなわち、グリーンチップ19間の距離は、ブレードの刃の厚み等に対応した大きさであり、特に限定されないが、例えば200μm以下程度である。
マザーブロック36から個片化されたグリーンチップ19は、後述する焼成を経て、最終的に、図1、図2及び図3に示す積層セラミックコンデンサ11を構成する部品本体12となる。各グリーンチップ19は、未焼成の状態にある複数のセラミック層(セラミック層21となるべきセラミックグリーンシート31)と複数の内部電極(内部電極22及び23の各々となるべき内部電極パターン32)とをもって構成された積層構造を有している。
図2と同様、第1方向の切断線33に沿う切断によって現れるグリーンチップ19の両方の側面には、内部電極22及び23となるべき内部電極パターン32は露出していない。また、第2方向の切断線34に沿う切断によって現れるグリーンチップ19の一方の端面には、内部電極22となるべき内部電極パターン32のみが露出し、他方の端面には、内部電極23となるべき内部電極パターン32のみが露出している。
なお、図8に示すように、グリーンチップ19が行及び列方向に配列されるように、マザーブロック36が粘着シート38上に貼り付けられた状態で切断されることが好ましい。粘着シートとしては、例えば、一般的なダイシングシートやダイシングテープ、加熱により伸長するエキスパンドシート等を用いることができる。
その後、各グリーンチップに対して、脱バインダ処理を行う。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、昇温速度:5℃/時間以上、300℃/時間以下(特に5℃/時間以上、50℃/時間以下)、保持温度:200℃以上、700℃以下(特に300℃以上、650℃以下)、保持時間:0.5時間以上、20時間以下(特に1時間以上、10時間以下)、雰囲気:加湿したNとHとの混合ガスとすることが好ましい。
脱バインダ処理を行ったグリーンチップを焼成する。焼成後、熱処理(アニール)を行ってもよい。
例えば、図8に示すグリーンチップ19は、焼成されることによって、図1、図2及び図3に示す積層セラミックコンデンサ11を構成する部品本体12となる。なお、グリーンチップ19に形成されていた未焼成の保護層41及び42は、セラミックグリーンシート31とともにセラミック層21の一部となる。したがって、焼成により得られる部品本体12においては、未焼成の保護層41及び42に由来する部分とセラミックグリーン31に由来する部分との境界が明瞭に現れなくてもよい。
焼成は、昇温速度:50℃/時間以上、500℃/時間以下(特に200℃/時間以上、300℃/時間以下)、保持温度:1100℃以上、1300℃以下(特に1150℃以上、1250℃以下)、保持時間:0.5時間以上、8時間以下(特に1時間以上、3時間以下)、冷却速度:50℃/時間以上、500℃/時間以下(特に200℃/時間以上、300℃/時間以下)、雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等の条件とすることが好ましい。
焼成時の雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下とすることが好ましく、特に10−2Pa以下、10−8Pa以上とすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲を超えると、内部電極が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
焼成を行った後の熱処理(アニール)は、保持温度又は最高温度を、好ましくは900℃以上、さらに好ましくは1000℃以上、1100℃以下として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度又は最高温度が、上記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、上記範囲を超えると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理時の雰囲気中の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa以上、1Pa以下、より好ましくは10−2Pa以上、1Pa以下である。酸素分圧が上記範囲未満では、誘電体層の再酸化が困難であり、上記範囲を超えると内部電極が酸化する傾向にある。
その他の熱処理条件としては、保持時間:6時間以下(特に2時間以上、5時間以下)、冷却速度:50℃/時間以上、500℃/時間以下(特に100℃/時間以上、300℃/時間以下)、雰囲気用ガス:加湿したNガス等とすることが好ましい。
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えば加温した水にガスを通し、バブリングする装置等を使用すればよい。この場合、水温は0℃以上、75℃以下程度が好ましい。また、脱バインダ処理、焼成及び熱処理は、それぞれの処理を連続して行ってもよいし、独立に行ってもよい。
焼成により得られる部品本体12に対しては、例えばバレル研磨、サンドブラスト等にて端面研磨を施した後、外部電極用ペーストを塗布、焼き付けることにより、第1の外部電極24及び第2の外部電極25が形成される。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で、温度:600℃以上800℃以下、時間:10分間以上1時間以下とすることが好ましい。なお、外部電極用ペーストの塗布は、未焼成の部品本体(グリーンチップ)に対して実施されてもよく、未焼成の部品本体の焼成時に、外部電極用ペーストの焼き付けを同時に行うようにしてもよい。さらに、必要に応じて、第1の外部電極24及び第2の外部電極25上にめっき等を行ってもよい。
以上より、図1に示す積層セラミックコンデンサ11が製造される。
このようにして製造された積層セラミックコンデンサは、はんだ付け等によりプリント基板上等に実装され、各種電子機器等に使用される。
上述のとおり、本発明の製造方法は、積層セラミックコンデンサを製造する方法に限定されず、積層セラミックコンデンサ以外の積層セラミック電子部品を製造する方法にも適用することができる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、積層シートの少なくとも一方の主面に未焼成の保護層が形成される。未焼成の保護層を形成するための樹脂組成物に含まれるセラミックは、未焼成の保護層以外のセラミック層を形成するためのセラミックグリーンシートに含まれるセラミックと同じ組成であってもよいが、異なる組成であってもよい。例えば、上記樹脂組成物に含まれるセラミックとして、セラミックグリーンシートに含まれるセラミックよりも粒径の大きいセラミック粉末を用いることができる。
また、上記樹脂組成物に含まれるセラミックをセラミックグリーンシートに含まれるセラミックと異なる組成にすることにより、例えば、未焼成の保護層に由来する部分を他のセラミック層と異なる色にすることができる。この場合、色の違いによって他の面と区別することができるため、積層セラミック電子部品の方向を外観から識別することができる。
したがって、下記の特徴を有する積層セラミック電子部品もまた、本発明の1つである。
本発明の積層セラミック電子部品は、積層方向に配置された複数のセラミック層と複数の内部電極とを含み、上記積層方向に相対する第1の主面及び第2の主面と、上記積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面及び第2の側面と、上記積層方向及び上記幅方向に直交する長手方向に相対する第1の端面及び第2の端面とを有する部品本体と、上記部品本体の上記第1の端面に設けられた第1の外部電極と、上記部品本体の上記第2の端面に設けられた第2の外部電極と、を備えた積層セラミック電子部品であって、上記部品本体の上記第1の主面及び上記第2の主面の少なくとも一方を構成するセラミックは、上記部品本体の上記第1の主面及び上記第2の主面よりも内側のセラミック層を構成するセラミックと異なる組成であることを特徴とする。
本明細書において、「異なる組成」とは、セラミックが含有する元素の種類が異なる場合はもちろんのこと、セラミックが含有する元素の種類が同一であったとしても、その含有量が異なる場合も含まれる。ただし、製造工程上のばらつき程度の差異は含まないものとする。
以下、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1)樹脂組成物の作製
(実施例1)
エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、EB440H、融点:77℃、MFR:18g/10min)25.6gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)125.4gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例2)
エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、EB440H、融点:77℃、MFR:18g/10min)22.6gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)144.6gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例3)
エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、EB440H、融点:77℃、MFR:18g/10min)20.4gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)158.8gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例4)
エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、EB440H、融点:77℃、MFR:18g/10min)18.1gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)173.5gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例5)
エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、EB440H、融点:77℃、MFR:18g/10min)15.0gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)193.6gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例6)
エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(住友化学製、WK402、融点:79℃、MFR:20g/10min)22.6gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)144.6gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例7)
エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂(NUC製、NUC−6570、融点:91℃、MFR:20g/10min)22.6gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)144.6gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例8)
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(NUC製、DQDJ−3269、融点:69℃、MFR:20g/10min)22.9gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)145.2gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(実施例9)
エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(住友化学製、CM5022、融点:63℃、MFR:450g/10min)22.8gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)144.5gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(比較例1)
エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(住友化学製、WD106、融点:101℃、MFR:0.32g/10min)22.0gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)144.5gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(比較例2)
低密度ポリエチレン樹脂(東ソー製、203、融点:105℃、MFR:8.0g/10min)22.0gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)144.5gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(比較例3)
エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、EB440H、融点:77℃、MFR:18g/10min)27.1gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)115.6gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
(比較例4)
エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂(日本ポリエチレン株式会社製、EB440H、融点:77℃、MFR:18g/10min)13.2gと、チタン酸バリウム(日本化学工業製、BTC−4FA)204.9gとを、ミキサー(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて100℃で15分間混練し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をプレスすることで、厚み:0.05〜1.0mmの樹脂シートを作製した。
2)積層ブロックの作製
セラミック原料としてのBaTiOに、ポリビニルブチラール系バインダ、可塑剤及び有機溶剤としてのエタノールを加え、これらをボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを作製した。次いで、このセラミックスラリーをリップ方式によりシート成形し、厚み1μmの矩形のセラミックシートを得た。次に、上記セラミックシート上に、Niを含有する導電性ペーストをスクリーン印刷し、Niを主成分とする内部電極となるべき厚み0.5μmの導電膜を形成した。
次に、導電膜が形成されていないセラミックシートを2枚積層し、その上に導電膜が形成されたセラミックシートを、導電膜の引き出されている側が互い違いになるように80枚積層し、その上に導電膜が形成されていないセラミックシートを3枚積層し、コンデンサの部品本体となるべき未焼成の積層シートを得た。また、この未焼成の積層シートの上下にはそれぞれ第1保護部及び第2保護部となるべき厚み50μmの樹脂シートを設置し、剛体板の温度80℃及び圧力1.0トン/cmの条件の剛体プレスにより加熱・加圧して、積層ブロック(マザーブロック)を得た。
3)積層ブロックの切断及びチップの焼成
積層ブロックをダイシングにより切断し、グリーンチップを得た。得られたグリーンチップをN雰囲気中にて250℃で加熱して、バインダを燃焼させた後、H、N及びHOガスを含む還元性雰囲気中において1200℃で焼成し、焼結した部品本体を得た。得られた部品本体の寸法は、長さ方向(D)が1.0mm、幅方向(D)が0.5mm、高さ方向(D)が0.20mmである。
4)外部電極の形成
焼成後の部品本体に対して、下地電極層(焼付け層)とめっき層とを含む構造の外部電極を形成した。下地電極層(焼き付け層)を形成するための材料はCuとガラスとを含み、850℃で焼付けを行った。また、めっき層を形成するためにCuめっきを行った。
<動的粘弾性(DMA)の測定方法>
実施例及び比較例で得られた樹脂シートについて、7cm×1cmのシート片を切り出し、測定長:2cm×フィルム幅:1cmのサンプルとして、サンプルホルダーに設置した。次に、動的粘弾性測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、DMS6100)を用い、引っ張りモードで室温20℃から130℃の温度範囲、変位:5μm、振動周波数:10Hz、昇温速度:5℃/minの条件を用いて、貯蔵弾性率E’及び損失係数tanδを測定した。なお、tanδは、損失弾性率E’’と貯蔵弾性率E’との比で求めた。また、得られたグラフより、80℃における貯蔵弾性率E’を読み取った。
<平滑性の評価>
各種条件につき焼成した部品本体を3つ用意し、第1主面につき、それぞれ表面凹凸を測定した。表面凹凸は、各本体のW方向1/2の位置におけるLT断面を光学顕微鏡で観察した際に測定した、第1主面における最高点と最低点の差として算出し、以下の判定基準で平滑性を評価した。
○判定:3つ全てにおいて、表面凹凸が±3μmにおさまるもの
×判定:3つのうち1つでも表面凹凸が±3μmを超えるもの
<外層剥がれの評価>
焼成した部品本体に対して、各20個について外観検査を実施し、保護部に相当する外層部分の剥がれを確認し、以下の判定基準で外層剥がれを評価した。
○判定:外層剥がれなし
×判定:外層剥がれが1個以上
Figure 0006696464
表1中、EMAはエチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂、EMMAはエチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、EEAはエチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、EVAはエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、LDPEは低密度ポリエチレン樹脂を表している。
また、貯蔵弾性率の表記について、例えば、実施例1の「1.0E+06」は「1.0×10」を意味している。
表1に示すように、実施例1〜9では、融点が100℃未満の樹脂成分と無機化合物粒子とを含有し、無機化合物粒子の含有量が40体積%以上、70体積%以下であり、かつ、80℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下である樹脂組成物が用いられているため、第1主面の平滑性に優れ、また、外層に剥がれが発生していない。
これに対し、比較例1及び2では、融点が100℃以上の樹脂成分を含有し、80℃における貯蔵弾性率が1.0×10Paを超える樹脂組成物が用いられているため、流動性が低く、第1主面の平滑性が充分に得られていない。
比較例3では、無機化合物粒子の含有量が40体積%未満である樹脂組成物が用いられており、焼成時に保護部の収縮量が大きくなるため、外層に剥がれが発生している。
比較例4では、無機化合物粒子の含有量が70体積%を超えており、80℃における貯蔵弾性率が1.0×10Paを超える樹脂組成物が用いられているため、流動性が低く、第1主面の平滑性が充分に得られていない。さらに、焼成時に保護部がほとんど収縮せず、一方で内部は収縮するため、外層に剥がれが発生している。
11 積層セラミックコンデンサ(積層セラミック電子部品)
12 部品本体
13 第1の主面
14 第2の主面
15 第1の側面
16 第2の側面
17 第1の端面
18 第2の端面
19 グリーンチップ
21 セラミック層
22,23 内部電極
24 第1の外部電極
25 第2の外部電極
31 セラミックグリーンシート
32 内部電極パターン
33 第1方向の切断線
34 第2方向の切断線
35 積層シート
35a 積層シートの第1の主面
35b 積層シートの第2の主面
36 マザーブロック
41,42 未焼成の保護層

Claims (3)

  1. 積層された複数のセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含み、積層方向に相対する第1の主面及び第2の主面を有する、積層シートを作製する工程と、
    前記積層シートの前記第1の主面及び前記第2の主面の少なくとも一方に、樹脂組成物を配置して加熱圧着することにより、未焼成の保護層が形成されたマザーブロックを得る工程と、
    前記マザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有する、複数のグリーンチップを得る工程と、を備え、
    前記樹脂組成物は、融点又はガラス転移温度が40℃以上、100℃未満の樹脂成分と、無機化合物粒子と、を含有し、
    前記樹脂成分が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のエチレン系共重合体を含み、
    前記樹脂組成物中の前記無機化合物粒子の含有量が、40体積%以上、70体積%以下であり、
    前記樹脂組成物は、振動周波数10Hzで測定した動的粘弾性測定において、80℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記無機化合物粒子が、Ba、Ca、Sr及びPbのうち少なくとも1種と、Ti、Zr及びHfのうち少なくとも1種とを含有するペロブスカイト型磁器組成物を含む請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記未焼成の保護層の厚さが、1μm以上、10000μm以下である請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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