JP6696128B2 - 部品実装薄膜配線基材の製造方法 - Google Patents
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Description
また、はんだ組成物上に電子部品が載置された配線基板がリフロー炉内にて加熱される際に、配線基板が炉内の熱風に煽られて、撓みやばたつきが生じることで平面性が保持できなくなり、電子部品が配線基板から落下したり、上記接続パッドと上記電子部品の端子との接合および固定を精度よく行えないという問題がある。
このため、薄膜の配線基板上に部品を実装するためには、例えば自己支持性を有する支持基板上に薄膜の配線基板を貼り合せて、リフロー環境に耐え得る自己支持性を有しつつ、支持基板を含む部品実装基板全体で所望のフレキシブル性を確保する、あるいは、薄膜の配線基板を可撓性のない支持基板上にテープで仮固定する等の必要がある。
一方、支持基板上に配線基板をテープ等で仮固定する方法では、配線基板が支持基板上に全面貼りされなければ、配線基板と支持基板との隙間において搬送時の風圧や炉内の熱風の影響を受けて、平面性を十分に保持できないという問題がある。また、搬送時の風圧や炉内の熱風の影響を阻止するために、支持基板上に配線基板を強固に全面貼りすると、部品実装後に上記支持基板から部品実装基板を剥離する際に、上記部品実装基板側に糊残りが生じて汚染の原因となる。
このため、薄厚の部品実装薄膜配線基材を簡便に得ることが困難である。
このように、本発明によれば、リフロー方式を用いて薄膜基板上に部品を実装するに際し、粘着性基材を支持部材として用いることで、簡便な方法で薄厚の部品実装薄膜配線基材を得ることができる。
まず、図1(a)、(b)に示すように、薄膜配線基材10および粘着性基材20が積層されて成る積層体30を準備する。なお、図1(a)、(b)では、薄膜配線基材10および粘着性基材20をそれぞれ準備して、双方を貼り合せて積層体30を形成する場合を例示する。図1(a)で示すように、薄膜配線基材10は、薄膜絶縁層1と、薄膜絶縁層1の一方の面上に形成され、接続パッド2Aを含む配線層2と、を有する。薄膜配線基材10は、薄膜であり自己支持性がないため、製造ライン上で単体で搬送しようとすると、平面性を保持できない。一方、粘着性基材20は、基材11と、基材11の一方の面上に形成された粘着層12と、を有する。図1(b)に示すように、積層体30は、粘着性基材20の粘着層12と、薄膜配線基材10の薄膜絶縁層1とが接するように積層されたものである。
続いて、図1(c)に示すように、積層体30の接続パッド2A上に、はんだ組成物3を塗布する。次に、図1(d)に示すように、積層体30の薄膜配線基材10上に、はんだ組成物3を介して部品4Aおよび4Bを載置し、リフロー炉X内にてはんだ組成物3をリフローする。はんだ組成物3を介して部品4Aおよび4Bと接続パッド2Aとを接続して固定することで、薄膜配線基材10上に部品4Aおよび4Bを実装する。
その後、図1(e)に示すように、部品4Aおよび4Bが実装された積層体から粘着性基材20を剥離することで、薄膜配線基材10上に部品4Aおよび4Bが実装されてなる部品実装薄膜配線基材100が得られる。
なお、図1(a)および(b)が積層体準備工程、図1(c)が塗布工程、図1(d)が部品実装工程、図1(e)が剥離工程である。
このように、本発明によれば、リフロー方式を用いて薄膜基板上に部品を実装するに際し、粘着性基材を支持部材として用いることで、簡便な方法で薄厚の部品実装薄膜配線基材を得ることができる。
本発明における積層体準備工程は、基材と、上記基材の一方の面上に形成された粘着層と、を有する粘着性基材、および、薄膜絶縁層と、上記薄膜絶縁層の一方の面上にパターン状に形成され、接続パッドを含む配線層と、を有する薄膜配線基材、を有し、上記粘着性基材の上記粘着層と上記薄膜配線基材の上記薄膜絶縁層とが接するように積層された積層体を準備する工程である。
上記粘着性基材は、基材と、上記基材の一方の面上に形成された粘着層と、を有する。
上記粘着層は、再剥離性を示すことが好ましい。上記粘着層が再剥離性を示すとは、粘着層上の薄膜配線基材と十分に粘着および密着して固定することができ、且つ、剥離工程において部品実装薄膜配線基材を破壊せず、上記部品実装薄膜配線基材側への糊残りの発生を抑えて剥離可能であることをいう。
このような粘着層としては、部品実装までの一連の工程において薄膜配線基材の平面性を保持しながら十分に固定することができ、また剥離工程において実装薄膜配線基材側に糊残りが生じにくく、容易に剥離可能なものであればよい。例えば、微粘着性を示す粘着層(粘着層の第1態様)、エネルギー線照射により剥離する粘着層(粘着層の第2態様)が挙げられる。
さらに、上記粘着層が低アウトガス性を示さない場合、粘着層からのアウトガスがはんだ組成物に含まれることで、リフロー後の部品と接続パッドとの接続部分においてボイド(空隙)が発生し、接続信頼性が低下する場合があるからである。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
上記アウトガス発生量は、基材としてポリイミドフィルムを用いた本発明における粘着性基材を、幅10mm、長さ10mmのサイズに切断して測定サンプルとして以下の方法にて測定し、得られた測定値より算出することができる。なお、同条件下におけるポリイミドフィルム単体からのアウトガス発生量は0.3μg/cm2未満であり無視できる量であるため、上記測定サンプルでのアウトガス発生量を、粘着層のアウトガス発生量とすることができる。
パージ&トラップヘッドスペースサンプラーにより、上記測定サンプルを200℃で0.5時間加熱し、発生したガス(アウトガス)をトラップした後、このトラップされた成分についてガスクロマトグラフ質量分析計により分離測定を行った。
発生したガスの量を、n−ヘキサデカン標準による換算値として粘着層の単位面積当たりの値に換算し、粘着層のアウトガス発生量(200℃にて0.5時間加熱した際に発生するアウトガス発生量、単位:μg/cm2)として算出した。
粘着層の第1態様(以下、本項目内においては、「本態様の粘着層」と称する場合がある。)は、微粘着性を示す粘着層である。
本態様の粘着層は、その初期粘着力が低いため、薄膜配線基材の平面性を保持しながら十分に密着固定することが可能であり、また、剥離工程において、本態様の粘着層が微粘着性を示すことで、部品実装基板に対する剥離性が良好であり、部品実装基板側への糊残りの発生を抑え、容易に剥離することが可能となる。
具体的には、本態様の粘着層の初期粘着力が、6N/25mm以下、好ましくは3N/25mm以下、より好ましくは2N/25mm以下である。また、本態様の粘着層の初期粘着力は、0.05N/25mm以上であることが好ましい。
上記粘着力は、基材としてポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン製、製品名:100H)を用い、上記基材の片面に本態様の粘着層を後述する厚さの範囲内となるように形成した粘着性基材を用い、巾25mm×長さ150mmの大きさの短冊状の試験片をカットし、次にJIS Z0237の規格に準拠した条件でステンレス板にラミネートし、最後に、試験片を剥離角180°、剥離速度300mm/分、室温下の条件で、試験片の長さ方向に剥がすことにより測定することができる。また、このような180°剥離強度測定には、例えば、インストロン社製の万能試験機5565を用いることができる。
ここで、本態様の粘着層がアクリル系樹脂を含むとは、層内において、アクリル系樹脂が架橋を形成せずに単体で存在していてもよく、アクリル系樹脂間もしくはアクリル系樹脂と他の樹脂との間で架橋形成されてなる架橋体として存在していてもよく、上記単体および上記架橋体の両方が存在していてもよい。
また、本態様の粘着層に含まれる硬化樹脂とは、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が熱や光照射を受けて硬化されたものをいう。
すなわち、上記粘着剤組成物の第1態様は、アクリル系樹脂、エポキシ熱硬化性樹脂、および硬化剤を含み、上記エポキシ熱硬化性樹脂が、上記アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれているものである。また、上記粘着剤組成物の第2態様は、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含むものである。
さらに、上述の粘着剤組成物により形成される本態様の粘着層は、エポキシ熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が硬化した硬化樹脂を含むことから、アクリル系樹脂単独よりも高耐熱性を示すことができ、且つ、アウトガスの発生が少ないため、上述したような効果を奏することができる。
粘着剤組成物の第1態様(以下、本項目内においては、「本態様の粘着剤組成物」と称する。)は、アクリル系樹脂、エポキシ熱硬化性樹脂、および硬化剤を含み、上記エポキシ熱硬化性樹脂が、上記アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれている。
上述の組成からなる粘着剤組成物により形成される本態様の粘着層は、アクリル系樹脂の単体およびエポキシ硬化樹脂を含む。また、アクリル系樹脂の架橋体や、アクリル系樹脂とエポキシ熱硬化性樹脂とが反応した架橋体を含む場合もある。
上記アクリル系樹脂は、特に限定されず、例えば(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させた(メタ)アクリル酸エステル重合体、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。中でも(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル共重合体において(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするとは、共重合体において、他の単量体よりも(メタ)アクリル酸エステルの割合が30質量%よりも多いことをいい、具体的には、共重合割合が51質量%以上であることをいう。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方をいうものとする。
中でも炭素数1〜18、特に炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。アクリル系樹脂のガラス転移点(℃)を後述する範囲内とすることができ、本態様の粘着層の粘着性および耐熱性が向上するからである。
また、共重合成分として、シアノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー等の窒素含有モノマーを用いてもよい。
上記共重合成分は、アクリル酸エステル重合体に共重合成分として含まれてもよい。
なお、本明細書内において、質量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際のポリスチレン換算値であり、例えば、測定装置に東ソー株式会社製のHLC−8220GPCを、カラムに東ソー株式会社製のTSKGEL−SUPERMULTIPORE−HZ−Mを、溶媒にTHFを、標準品として分子量が1050、5970、18100、37900、96400、706000の標準ポリスチレンを用いることで測定することができる。
アクリル系樹脂のガラス転移点は、使用するモノマー単位の種類や、組み合わせるモノマー単位の比率等を変更することにより、適宜調整することができる。アクリル系樹脂は、モノマーを単独重合した重合体(ホモポリマー)の場合であってもガラス転移点が上記した範囲となるものもあるが、ホモポリマーのガラス転移点が上記した範囲にないようなモノマー単位の使用が制限されるわけではなく、種々のモノマー単位を組み合わせて共重合した共重合体のガラス転移点が上記の範囲内にあればよい。
なお、本明細書内において、ガラス転移点は、損失正接(tanδ)のピークトップの値に基づく方法(DMA法)により測定された値を意味する。また、損失正接は、損失弾性率/貯蔵弾性率の値により決定される。これら弾性率は、重合体または共重合体に対して一定の周波数で力を付与したときの応力を動的粘弾性測定装置を用いて測定される。
エポキシ熱硬化性樹脂は、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有する。エポキシ熱硬化性樹脂は、後述する硬化剤との併用により架橋重合反応により硬化して、エポキシ硬化樹脂となる。
なお、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
常温で液体である主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂、および常温で固体である主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば特開2011−202045号公報に開示されるものが挙げられる。
エポキシ熱硬化性樹脂の配合量が上記範囲よりも少ないと、本態様の粘着層の初期粘着力が増加したり、リフロー環境下において粘着力が増加する傾向にある。一方、エポキシ熱硬化性樹脂の配合量が上記範囲を超えると、初期粘着力が低下して、常温において薄膜配線基材と粘着性基材との密着性が十分に得られない場合がある。
上記エポキシ熱硬化性樹脂は、加熱等により反応が進行して硬化するが、通常は、硬化反応を促進するための硬化剤が粘着剤組成物中に含まれる。
上記硬化剤は、エポキシ熱硬化性樹脂と当量で反応可能なものであればよく、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤を好適に使用することができる。また、エポキシ熱硬化性樹脂を単独で硬化(重合)させることが可能な硬化剤としては、例えばイミダゾール系硬化剤やカチオン系硬化剤等が挙げられる。中でも、エポキシ熱硬化性樹脂の骨格由来の性能を期待でき、添加量が少なくてもエポキシ熱硬化性樹脂を単独で硬化させ得るイミダゾール系硬化剤やカチオン系硬化剤を使用することが好ましい。
エポキシ熱硬化性樹脂に対する硬化剤の配合量が少ないと、粘着剤組成物を硬化させる際にエポキシ熱硬化性樹脂の硬化時間が長くなる等の硬化不足が生じ、本態様の粘着層が所望の粘着力を示さない場合がある。一方、硬化剤の配合量が過剰になると、粘着剤組成物の保存安定性が低下したり、エポキシ熱硬化性樹脂の硬化密度が高くなり過ぎて、本態様の粘着層が所望の粘着力を示さない場合がある。
本態様の粘着剤組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。本態様の粘着剤組成物により形成される粘着層内において、アクリル系樹脂は、通常、架橋を形成せずに単体として存在するが、上記粘着剤組成物に架橋剤を添加することにより、得られる本態様の粘着層は、アクリル系樹脂間で架橋形成された架橋体を一部に含むものとなる。これにより、本態様の粘着層を、粘着力を維持しながらベタつきが改善されたものとすることができる。架橋剤は、従来公知のものを使用することができ、例えば、多官能エポキシ化合物やイソシアネート化合物が挙げられる。
粘着剤組成物の第2態様(以下、本項目内においては、「本態様の粘着剤組成物」と称する。)は、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含むものである。
上述の組成からなる粘着剤組成物により形成される本態様の粘着層は、アクリル系樹脂の架橋体および光硬化性樹脂が硬化してなる硬化樹脂を少なくとも含むが、アクリル系樹脂の架橋体と共にアクリル系樹脂の単体を含んでいてもよい。
なお、光硬化性樹脂の硬化の際に用いられるエネルギー線の種類については、後述する「(2)粘着層の第2態様」の項で説明するものと同様とすることができる。
アクリル系樹脂は、特に限定されず、「(a)粘着剤組成物の第1態様」におけるアクリル系樹脂と同様に、アクリル酸エステル重合体や(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体が用いられる。中でも(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、粘着性および塗工性の観点から5万〜100万の範囲内が好ましく、より好ましくは10万〜80万の範囲内である。
アクリル系樹脂における(メタ)アクリル酸エステル、モノマー、およびオリゴマー、ならびにこれらの重合方法等については「(a)粘着剤組成物の第1態様」で説明した内容と同様とすることができる。
光硬化性樹脂は、エネルギー線照射により重合可能なラジカル重合性の化合物であれば特に制限なく使用することができ、例えば、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー等が挙げられる。このような化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系の光硬化性化合物を好ましく使用することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも2官能性のモノマーまたはオリゴマーを好適に使用することができる。
光開始剤は、光照射によりリビングラジカル重合開始能を発揮することができ、光硬化性樹脂を硬化させることが可能なものであれば特に限定されず、公知の光開始剤から光硬化性樹脂の種類に応じて、1種または2種以上を適宜選択することができる。具体的には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、ベンジルメチルケタール類、α−アミノケトン類、ビスアシルフォスフィンオキサイド類が挙げられる。
光硬化性樹脂としてウレタンアクリレートを使用する場合には、光開始剤がビスアシルフォスフィン系光開始剤であることが好ましい。上記光開始剤は耐熱性を有し、基材に粘着剤組成物を塗布して光照射を行う際に、基材を介して光照射を行う場合であっても確実に光硬化性樹脂を硬化させることができるからである。
架橋剤は、アクリル系樹脂を架橋させることが可能なものであればよく、多官能エポキシ系化合物やイソシアネート系化合物等の従来公知の架橋剤を用いることができる。具体的には、例えば特開2012−177084号公報に開示される多官能エポキシ系化合物やイソシアネート系化合物が挙げられる。
各態様の粘着剤組成物は、上記した各成分を混合し、必要に応じて混練ないし分散して調製することができる。混練ないし分散方法は、特に限定されるものではなく、例えば特開2014−234460号公報で開示される従来公知の混練分散機などが適用できる。
また、各態様の粘着剤組成物は、粘度調整のため希釈溶剤を加えて各成分を混合してもよい。
本態様の粘着層は、所望の粘着力を示すことが可能な厚さであればよく、例えば3μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
粘着層の第2態様(以下、本項目内においては、「本態様の粘着層」と称する場合がある。)は、エネルギー線照射により剥離する粘着層である。
本態様の粘着層は、その初期粘着力により薄膜配線基材の平面性を保持しながら十分に密着固定することが可能であり、また、剥離工程においてエネルギー線を照射することで、粘着力が低下して剥離性が向上するため、部品実装基板側への糊残りの発生を抑え、容易に剥離することが可能となる。
上記粘着力は、ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を基材とし、上記基材の片面に本態様の粘着層を後述する厚さの範囲内となるように形成した粘着性基材を用い、「(1)粘着層の第1態様」の項で説明した粘着力の測定方法と同様の方法で測定される。
また、本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含むものが挙げられる。
以下、上記粘着剤組成物に含まれる各組成について説明する。
アクリル系樹脂については、特に限定されず、例えば(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させた(メタ)アクリル酸エステル重合体、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられるが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルおよび他の単量体の具体例としては、例えば特開2012−31316号公報に開示されるものが挙げられる。他の単量体は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ここでの主成分とは、共重合割合が51質量%以上であることを意味し、好ましくは65質量%以上である。
エネルギー線重合性オリゴマーは、エネルギー線の照射を受けて重合するものであれば特に限定されず、例えば、光ラジカル重合性、光カチオン重合性、光アニオン重合性等のオリゴマーが挙げられる。中でも、光ラジカル重合性オリゴマーが好ましい。硬化速度が速く、また、多種多様な化合物から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に制御することができるからである。
光ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば特開2012−31316号公報に開示されるものが挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合開始剤は、一般的な光重合開始剤を用いることができるが、中でも、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下、特に20%以下である光重合開始剤が好ましい。このような光重合開始剤を選択することで、本態様の粘着層がリフロー環境下に曝されても粘着力の低下を防ぐことができる。なお、上記重量減少率は、市販の熱重量測定装置、例えば、島津製作所社製のDTG−60Aを用いて重量を測定することで求めることができる。具体的には、上記重合開始剤を分析(雰囲気ガス:窒素、ガス流量:50ml/min、温度範囲:30℃〜190℃、昇温条件:10℃/min)し、30℃における上記重合開始剤の重量(W1)と、190℃に到達して30分経過後における上記重合開始剤の重量(W2)とを測定し、下記式から算出することができる。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
なお、粘着剤組成物に、エネルギー線重合性オリゴマーと後述するエネルギー線重合性モノマーとを含有する場合には、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、およびエネルギー線重合性モノマーの合計100重量部に対して、重合開始剤の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
上記架橋剤は、少なくともアクリル系樹脂間を架橋するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤の具体例としては、特開2012−31316号公報に開示されるものが挙げられる。
上記架橋剤は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができ、アクリル系樹脂の種類等に応じて、適宜選択することができる。
架橋剤の含有量が上記範囲に満たないと、本態様の粘着層と薄膜配線基材との密着性が劣る場合や、部品実装薄膜配線基材を剥離する際に、本態様の粘着層が凝集破壊を起こして部品実装薄膜配線基材側へ糊残りが生じる場合がある。一方、架橋剤の含有量が上記範囲を超えると、エネルギー線照射後の本態様の粘着層中に上記架橋剤が未反応モノマーとして残留することで、凝集力の低下により糊残りの発生の原因となる場合がある。
上記粘着剤組成物は、上述のエネルギー線重合性オリゴマーに加えてエネルギー線重合性モノマーを含有してもよい。エネルギー線を照射した際に、粘着剤組成物を3次元架橋により硬化させて粘着力を低下させるとともに、粘着剤組成物の凝集力を高めて部品実装薄膜配線基材側へ転着させないようにすることができるからである。
エネルギー線重合性モノマーとしては、光ラジカル重合性モノマーが好ましく、中でも一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能性アクリレートや多官能性メタクリレートが好ましい。具体的には、特開2010−173091号公報に記載のエネルギー線重合性モノマーが挙げられる。
また、本態様の粘着層の再剥離性を向上させるために、フッ素系樹脂等の樹脂を含んでいてもよい。
本態様の粘着層を形成する粘着剤組成物は、例えば、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含むことが好ましいが、中でも、以下に示す第1の粘着剤組成物または第2の粘着剤組成物であることが好ましい。
粘着剤組成物の調製方法は、上述の「(1)粘着層の第1態様」の項で説明した粘着剤組成物の調製方法と同様とすることができる。
本態様の粘着層の厚さとしては、十分な粘着力が得られ、且つ、エネルギー線が内部まで透過することが可能な大きさであればよく、具体的には3μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
上記基材は、粘着層および薄膜配線基材を支持できるものであれば特に限定されないが、後述する部品実装工程においてリフロー環境に耐え得る高耐熱性および低アウトガス性を示すものが好ましい。
基材の耐熱性は、例えば基材材料の150℃〜250℃の範囲内における熱膨張係数が5ppm/℃〜50ppm/℃の範囲内、中でも10ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましい。
また、基材の低アウトガス性については、粘着性基材全体で、「1.粘着層」の項で説明した低アウトガス性を示すことが可能であればよい。
可撓性を有する基材を用いる場合は、例えば、基材に対して面方向に張力を掛けることで、薄膜配線基材の平面性を保持することが可能となり、接続パッド上へのはんだ組成物の塗布および部品の固定を精度よく行うことができる。
樹脂基材は、1種の樹脂により構成された単層であってもよく、2種以上の樹脂基材が積層された多層体であってもよい。
粘着性基材の形成方法としては、基材の一方の面上に所望の粘着剤組成物を塗布し乾燥させて形成することができる。粘着剤組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、例えば特開2014−234460号公報で開示される塗布方法を適用することができる。
第1態様の粘着剤組成物を用いて形成する場合、上記粘着剤組成物を塗布し、加熱により塗布層内のエポキシ熱硬化性樹脂を硬化させる。加熱温度は、例えば50℃〜150℃程度、好ましくは90℃〜120℃程度である。また、加熱時間は、加熱温度により適宜調整することができる。例えば、加熱温度が90℃〜150℃の範囲内であれば、加熱時間は1分〜240分の範囲内、好ましくは数分〜60分の範囲内とすることができる。また、加熱温度が50℃〜90℃の範囲内であれば、加熱時間は24時間〜168時間の範囲内、好ましくは48時間〜120時間の範囲内とすることができる。
また、第2態様の粘着剤組成物を用いて形成する場合、粘着剤組成物の塗布後、上記塗布層に光を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。光照射の条件については、光硬化性樹脂の種類に応じて適宜設定される。第2態様の粘着剤組成物は架橋剤を含むことから、塗布層の乾燥に際し、層内にてアクリル系樹脂間で架橋が形成される。上記塗布層は加熱してもよい。アクリル系樹脂の架橋反応を促進させることができるからである。加熱温度については適宜設定することができる。
薄膜絶縁層と、上記薄膜絶縁層の一方の面上にパターン状に形成され、接続パッドを含む配線層と、を有するものである。
中でも上記薄膜配線基材は、自己支持性がないことが好ましい。通常、自己支持性のない薄膜配線基材上にリフロー方式を用いて部品を実装させることは困難であるところ、本発明の製造方法によれば、自己支持性のない薄膜配線基材であっても部品の実装を簡便に行うことができ、本発明による効果をより発揮することができるからである。
薄膜配線基材が「自己支持性がない」とは、具体的には、図2(a)、(b)で示すように、2箇所で支持された薄膜配線基材(支持間長さL、厚さT、幅W)の支持間長さL(mm)と、上記薄膜配線基材の中央部に自重により生じた撓みh(mm)との比n(=h/L)が、n>0.05であることが好ましい。薄膜配線基材が「自己支持性がある」とは、n≦0.01であることをいう。
後述するように、薄膜配線基材が、複数の薄膜絶縁層および配線層を含む場合は、その総膜厚が上述の方法により決定される。
なお、図2は薄膜配線基材の自己支持性の規定方法を説明する説明図であり、図2(a)は試験方法を示す概略斜視図、図2(b)は自重により撓みが生じた薄膜配線基材の概略断面図に相当する。図2において、配線層および接続パッドの図示は省略する。
薄膜絶縁層は、配線層を支持することができればよいが、中でも自己支持性がないことが好ましい。薄膜絶縁層が「自己支持性がない」とは、薄膜絶縁層単体で平面性および形状を保持できないこと、中でも搬送時およびリフロー環境下において、薄膜絶縁層単体で平面性および形状を保持できないことをいう。具体的には、2箇所で支持された薄膜絶縁層(支持間長さL、厚さT、幅W)の支持間長さL(mm)と、上記薄膜絶縁層の中央部に自重により生じた撓みh(mm)との比n(=h/L)が、薄膜配線基材で規定される上述の範囲内であることが好ましい。
また、薄膜絶縁層は透明性を有していてもよく有していなくてもよい。
上記配線層は、上記薄膜絶縁層の一方の面上にパターン状に形成され、接続パッドを含むものである。ここで、配線層が接続パッドを含むとは、配線層の配線パターンの一部に接続パッドとなる領域を含むことをいう。
また、接続パッドとなる領域以外の配線層の表面は、金等によりめっきされていてもよく、フラックスが塗布されていてもよい。
また、接続パッド表面にはフラックスが塗布されていてもよい。
上記薄膜配線基材は、単層であってもよく、図3で例示するように、複数の薄膜絶縁層1および複数の配線層2から構成されており、各配線層2が、薄膜絶縁層1内を貫通する層間接続体5によって電気的に接続された多層体であってもよい。
また、上記薄膜配線基材が多層体である場合、予め別の部品が薄膜配線基材の内部に実装されていてもよい。
積層体の形成方法は、上記粘着性基材の上記粘着層と上記薄膜配線基材の上記薄膜絶縁層とが接するように積層可能な方法であれば特に限定されない。
例えば、粘着性基材と薄膜配線基材とをそれぞれ準備して、粘着性基材の粘着層と薄膜配線基材の薄膜絶縁層とを貼り合せる方法、先に薄膜配線基材を準備し、上記薄膜配線基材の薄膜絶縁層上に粘着剤組成物を塗布して粘着層を形成し、粘着層の上に基材を配置する方法、先に粘着性基材を準備し、上記粘着性基材の粘着層上に薄膜絶縁層を形成し、上記薄膜絶縁層上に配線層を形成する方法等を用いることができる。
各層の形成方法については、既に説明した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における塗布工程は、上記積層体の上記接続パッド上に、はんだ組成物を塗布する工程である。
はんだ組成物は、通常、フラックス中に、微粒子状や粉末状のはんだを分散させたペースト状である。
はんだとしては、例えばSn−Pb系の合金、Sn−Ag−Cu系等のスズを主成分として銀、銅、ビスマス、インジウムおよび亜鉛の何れか一つ以上を含む合金等が挙げられる。上記合金の組成比は適宜設定することができる。上記はんだとして、これらの合金の他、スズ単体からなるものも挙げられる。
また、フラックスは、特に限定されず、従来公知のフラックスから、はんだの種類に応じて適宜選択される。
本発明における部品実装工程は、上記はんだ組成物を介して上記薄膜配線基材上に部品を載置し、上記はんだ組成物をリフローして上記部品と上記接続パッドとを接続し、上記薄膜配線基材上に上記部品を実装する工程である。
本工程において、上記部品は、はんだ組成物を介して上記接続パッドを含む配線層と電気的にまたは非電気的に接続させることができる。
また、リフロー時間等のその他リフロー条件は、はんだ組成物を十分に溶融可能な条件であればよく、はんだ組成物の種類や薄膜配線基材の種類に応じて適宜設定が可能である。
本発明における剥離工程は、上記部品が実装された上記積層体から上記粘着性基材を剥離して、部品実装薄膜配線基材とする工程である。
粘着層が第1態様であれば、上記粘着層と薄膜絶縁層との層間に力を加える方法が挙げられる。具体的には、粘着性基材を手や機械で剥離する方法、粘着性基材をエア等で吸着して剥離する方法等を用いることができる。
また、粘着層が第2態様であれば、エネルギー線を照射することで、粘着性基材を容易に剥離することが可能となる。エネルギー線の照射条件については、粘着層の粘着力を低下させるのに十分なエネルギー線の照射が可能な条件であれば特に限定されず、例えば特開2012−031316号公報に記載の照射条件を適用することができる。
本発明は、上述の工程の他に、部品実装工程と剥離工程との間に、上記部品が実装された上記積層体上に複数の薄膜配線基材を積層する積層工程を有していてもよい。本工程を有することで、剥離工程により得られる部品実装薄膜配線基材を、部品が内蔵された部品内蔵薄膜配線基材とすることができ、部品の高密度実装を可能とすることができるからである。
部品が実装された積層体上に複数の薄膜配線基材を積層する方法については、従来公知の部品内蔵配線板の製造方法と同様とすることができ、例えば、特開2014−146842号公報に開示される方法等を用いることができる。
本発明の部品実装薄膜配線基材の製造方法は、部品実装を含む各種の層間接続方法に適応可能であり、特に厚さが1mm以下の薄膜配線基材を用いる場合に好適に用いることができる。
また、本発明により得られる部品実装薄膜配線基材は、各種の電子機器等に用いることができる。
以下の方法により、部品実装薄膜配線基材を得た。
なお、粘着剤組成物の各組成の物性、および粘着層の物性等の測定方法については、「A.積層体準備工程」で説明した方法を用いた。
モノマー単位として、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを、それぞれ質量基準で50:40:0.5:9.5の割合で含むアクリル共重合体樹脂(質量平均分子量:20万、ガラス転移温度:6℃)を用いた。このアクリル共重合体樹脂の酢酸エチル溶液(固形分35質量%)を100重量部と、固体状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:480g/eq.、質量平均分子量:900、商品名:jER1001、三菱化学社製)を14重量部と、硬化剤として2−メチル−4−エチルイミダゾール(商品名:キャアゾール2E4MZ、四国化成社製)を0.35重量部と、を、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT−11、質量比1:1、DICグラフィクス社製)に溶解させ、ディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
上記の得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより110℃で2分間乾燥させ、厚さ10μmの微粘着性を示す粘着層を形成した。形成した粘着層の面に、厚さ25μmのポリイミドフィルム基材(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)をラミネートし、60℃で120時間養生後、ポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が2.2μg/cm2、初期粘着力が0.30N/25mmである粘着性基材を得た。
次に、上記積層体における薄板プリント配線基板の部品実装面に対して、印刷装置を用いてクリームハンダを所望のパターンで印刷した(塗布工程)。
続いて、電子部品自動搭載機(マウンタ装置)を用いて、上記積層体に印刷されたクリームハンダ上に各種の電子部品を自動的に搭載(マウント)した。各電子部品がマウントされた状態の積層体を、リフロー炉内で所定温度(220〜280℃)まで加熱し、溶融したクリームハンダを介して各電子部品を導通、固定させた(部品実装工程)。上記各工程における加工の終了後、粘着性基材を剥離して、部品実装電子回路基板(部品実装薄膜配線基材)を得た(剥離工程)。
下記の方法で粘着性基材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で部品実装薄膜配線基材を得た。
モノマー単位として、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを、それぞれ質量基準で50:40:0.5:9.5の割合で含むアクリル共重合体樹脂(質量平均分子量:20万、ガラス転移温度:6℃)を用いた。このアクリル系共重合体樹脂の酢酸エチル溶液(固形分35質量%)を100重量部と、架橋剤としてイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)を2.4重量部と、光硬化性樹脂として10官能ウレタンアクリレート(商品名:U−10PA、新中村化学工業社製)を7重量部と、光開始剤(商品名:Irgcure819、BASF社製)を0.21重量部とを、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT−11、質量比1:1、DICグラフィクス社製)に溶解させ、固形分が25%となるようにディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥し、次いで、波長365nmの紫外線を300mJ/cm2で照射することにより光硬化性樹脂を硬化させて、厚さ10μmの微粘着性を示す粘着層を形成した。形成した粘着層の面に、厚さ25μmのポリイミドフィルム基材(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)をラミネートし、ポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が2.8μg/cm2、初期粘着力が0.40N/25mmである粘着性基材を得た。
下記の方法で粘着性基材を作製し、粘着性基材を剥離したこと以外は、実施例1と同様の方法で部品実装薄膜配線基材を得た。
アクリル系粘着剤(商品名:N−4498、アクリル系ポリマー+エネルギー線重合性オリゴマー、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万、エネルギー線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:30/1、固形分:40%、日本合成化学社製)100重量部に対して、重合開始剤(商品名:IRGACURE754、光ラジカル発生剤、固形分:100%,BASFジャパン社製)を1.4重量部、および架橋剤(商品名:コロネートL、イソシアネート系架橋剤、固形分:75%、日本ポリウレタン社製)を1.5重量部配合し、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT11、質量比1:1、DICグラフィックス株式会社製)180重量部で希釈し、ディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥し、厚さ10μmの粘着層を形成した。上記粘着層は、エネルギー線照射により剥離する粘着層であった。形成した粘着層の面に、厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム基材(商品名:ルミラーS56、加熱収縮率(JIS C2151準拠,150℃×30min):MDが0.5%、TDが0.3%、膜厚:50μm、東レ社製)をラミネートし、40℃で72時間養生し、易剥離処理が施されたポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が10μg/cm2、初期粘着力が0.40N/25mm、重合開始剤の重量減少率が12%である粘着性基材を得た。
部品実装後、粘着性基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量500mJ/cm2)して上記粘着性基材を剥離して部品実装薄膜配線基材を得た。
実装ラインでは、通常、リフローは高温下で行われるのに対し、クリームハンダの印刷および電子部品のマウントは室温程度の常温下で行われる。しかし、従来の工法においては、自己支持性を持たない薄板プリント配線基板は、搬送不具合、およびクリームハンダ印刷の不良等の不具合が発生していた。具体的には、薄板プリント配線基板がたわむことにより、印刷時に用いるメタルマスクと薄板プリント配線基板との間にギャップが発生し、スクリーン印刷時にクリームハンダが薄板プリント配線基板とメタルマスクの間に回り込む不具合や、マウント時におけるマウント精度の不良や、リフロー内の循環風によって搬送不具合等が発生していた。
2 … 配線層
2A … 接続パッド
3 … はんだ組成物
4A、4B … 部品
10 … 薄膜配線基材
11 … 基材
12 … 粘着層
20 … 粘着性基材
30 … 積層体
X … リフロー炉
Claims (6)
- 基材と、前記基材の一方の面上に形成された粘着層と、を有する粘着性基材、および、
薄膜絶縁層と、前記薄膜絶縁層の一方の面上にパターン状に形成され、接続パッドを含む配線層と、を有する薄膜配線基材、
を有し、前記粘着性基材の前記粘着層と前記薄膜配線基材の前記薄膜絶縁層とが接するように積層された積層体を準備する積層体準備工程と、
前記積層体の前記接続パッド上に、はんだ組成物を塗布する塗布工程と、
前記はんだ組成物を介して前記薄膜配線基材上に部品を載置し、前記はんだ組成物をリフローして前記部品と前記接続パッドとを接続し、前記薄膜配線基材上に前記部品を実装する部品実装工程と、
前記部品が実装された前記積層体から前記粘着性基材を剥離して、部品実装薄膜配線基材とする剥離工程と、
を有し、
前記粘着層が、微粘着性を示す粘着層であり、アクリル系樹脂、エポキシ熱硬化性樹脂、および硬化剤を含む粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする部品実装薄膜配線基材の製造方法。 - 前記エポキシ熱硬化性樹脂が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装薄膜配線基材の製造方法。
- 基材と、前記基材の一方の面上に形成された粘着層と、を有する粘着性基材、および、
薄膜絶縁層と、前記薄膜絶縁層の一方の面上にパターン状に形成され、接続パッドを含む配線層と、を有する薄膜配線基材、
を有し、前記粘着性基材の前記粘着層と前記薄膜配線基材の前記薄膜絶縁層とが接するように積層された積層体を準備する積層体準備工程と、
前記積層体の前記接続パッド上に、はんだ組成物を塗布する塗布工程と、
前記はんだ組成物を介して前記薄膜配線基材上に部品を載置し、前記はんだ組成物をリフローして前記部品と前記接続パッドとを接続し、前記薄膜配線基材上に前記部品を実装する部品実装工程と、
前記部品が実装された前記積層体から前記粘着性基材を剥離して、部品実装薄膜配線基材とする剥離工程と、
を有し、
前記粘着層が、エネルギー線照射により剥離する粘着層であり、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤および架橋剤を含む粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする部品実装薄膜配線基材の製造方法。 - 前記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合により得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体、および、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体の少なくとも一種であることを特徴とする請求項3に記載の部品実装薄膜配線基材の製造方法。
- 基材と、前記基材の一方の面上に形成された粘着層と、を有する粘着性基材、および、
薄膜絶縁層と、前記薄膜絶縁層の一方の面上にパターン状に形成され、接続パッドを含む配線層と、を有する薄膜配線基材、
を有し、前記粘着性基材の前記粘着層と前記薄膜配線基材の前記薄膜絶縁層とが接するように積層された積層体を準備する積層体準備工程と、
前記積層体の前記接続パッド上に、はんだ組成物を塗布する塗布工程と、
前記はんだ組成物を介して前記薄膜配線基材上に部品を載置し、前記はんだ組成物をリフローして前記部品と前記接続パッドとを接続し、前記薄膜配線基材上に前記部品を実装する部品実装工程と、
前記部品が実装された前記積層体から前記粘着性基材を剥離して、部品実装薄膜配線基材とする剥離工程と、
を有し、
前記粘着層が、微粘着性を示す粘着層であり、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含む粘着剤組成物により形成されていることを特徴とする部品実装薄膜配線基材の製造方法。 - 前記光硬化性樹脂が、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートおよびポリエステル(メタ)アクリレートの少なくとも一種であり、
前記光硬化性樹脂が、前記アクリル系樹脂100重量部に対して5重量部〜60重量部の範囲内で含まれ、
前記アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、ガラス転移点が−15℃〜20℃の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の部品実装薄膜配線基材の製造方法。
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