JP6975006B2 - ワークの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークの製造方法に関する。
従来、MPUやゲートアレー等に用いる多ピンのLSIパッケージをプリント配線基板に実装する場合には、半導体チップとして、その接続パッド部に共晶ハンダ、高温ハンダ、金等からなる凸状電極(バンプ)が形成されたものを用い、所謂フェースダウン方式により、それらのバンプをチップ搭載用基板上の相対応する端子部に対面、接触させ、溶融/拡散接合するフリップチップ実装方法が採用されてきた。
この実装方法で用いる半導体チップは、例えば、回路面にバンプが形成された半導体ウエハの、前記回路面とは反対側の面を研削し、ダイシングして個片化することにより得られる。このような半導体チップを得る過程においては、通常、半導体ウエハのバンプが形成されている面(本明細書においては、「バンプ形成面」と称することがある)にバックグラインドテープを貼付した状態で、前記バンプ形成面とは反対側の面を研削する。また、半導体ウエハの回路面及びバンプを保護する目的で、硬化性樹脂フィルムをバンプ形成面に貼付し、このフィルムを硬化させて、バンプ形成面に保護膜を形成する。すなわち、バンプ形成面を有する半導体チップを得る過程では、半導体ウエハのバンプ形成面に、バックグラインドテープが貼付されている段階と、硬化性樹脂フィルムが貼付されている段階と、の両方が存在する。
従来は、このような段階を経る方法での半導体チップの製造を容易とするために、バックグラインドテープ及び硬化性樹脂フィルムが積層され、一体化された構造を有する半導体ウエハ加工用シートが使用されている(特許文献1参照)。図9は、このような従来の半導体ウエハ加工用シートの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す半導体ウエハ加工用シート9は、バックグラインドテープ1上に硬化性樹脂層(硬化性樹脂フィルム)13を備え、硬化性樹脂層13上に剥離フィルム94を備えて、構成されている。そして、バックグラインドテープ1は、第1基材11上に第1粘着剤層12を備えて、構成されている。すなわち、半導体ウエハ加工用シート9は、第1基材11、第1粘着剤層12、硬化性樹脂層13及び剥離フィルム94がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
半導体ウエハ加工用シート9の使用方法の一例を、以下に示す。
まず、剥離フィルム94を取り除き、露出した硬化性樹脂層13を半導体ウエハのバンプ形成面に貼付することで、バックグラインドテープ1及び硬化性樹脂層13の積層構造を有する積層シートを半導体ウエハに貼り合わせる。
次いで、半導体ウエハのバンプ形成面とは反対側の面を研削する。
次いで、バックグラインドテープ1を硬化性樹脂層13から剥離して、バックグラインドテープ1のみを半導体ウエハから取り除く。ここまでの工程で、半導体ウエハ及び硬化性樹脂層13が積層された構造を有するワークが得られる。
次いで、得られたワークにおいて、硬化性樹脂層13を、バンプ形成面上で回路面と密着させるとともに、バンプの表面、特に前記回路面近傍部位の表面を覆うようにして、バンプを埋め込んだ状態とし、さらに、半導体ウエハのバンプ形成面とは反対側の研削面に、第2保護膜形成用フィルムを貼付する。第2保護膜形成用フィルムは、硬化によって第2保護膜を形成し、前記研削面を保護するためのものである。
次いで、第2保護膜形成用フィルムを硬化させて第2保護膜を形成し、さらに、第2保護膜にダイシングシートを貼付する。そして、半導体ウエハを硬化性樹脂層13ごとダイシングして個片化し、半導体チップを形成する。硬化性樹脂層13は、適切なタイミングで硬化させて第1保護膜を形成し、以降、第1保護膜及び第2保護膜を備えた半導体チップを用いて、半導体装置を作製する。
なお、第2保護膜形成用フィルムは、上記のように単独で用いずに、ダイシングシートと一体化されている、第2保護膜形成用複合シートとして、半導体ウエハに貼付して使用されることがある。
特開2005−028734号公報
しかし、このような従来の半導体ウエハ加工用シートを用いた場合には、目的とするワークの製造時において、以下のような問題点があった。
まず、従来の半導体ウエハ加工用シートは、通常、ロール状に巻き取られて冷蔵保管される。保管時に冷却が必要である理由は、硬化性樹脂層の柔軟性が比較的高いためであり、半導体ウエハ加工用シートをロールから繰り出して使用する際は、半導体ウエハ加工用シートの温度を常温に戻すことになる。一方、従来の半導体ウエハ加工用シートは、バックグラインドテープ及び硬化性樹脂層(硬化性樹脂フィルム)が積層された構造を有するために、比較的厚さが厚くなっている。このように、厚い半導体ウエハ加工用シートを、ロール状に巻き取って冷蔵保管した場合、剥離フィルムと硬化性樹脂層との間での層間剥離が、主としてシートの幅方向に延びて生じ易く(「トンネリング」ともいう)、さらにこの剥離箇所から周辺領域にも層間剥離が延びて出現し易い(「スジ」ともいう)。このような層間剥離が生じた半導体ウエハ加工用シートでは、ロールから繰り出した使用時において、硬化性樹脂層の表面が凹凸面となり、このような凹凸面を有するシートを用いると、その影響を受けて、半導体ウエハを上述のように研削したときに、研削面にも凹凸が生じてしまうことがある。
また、半導体ウエハ加工用シートは、上述のように、硬化性樹脂層によって半導体ウエハに貼り合わされ、この状態で半導体ウエハのバンプ形成面とは反対側の面を研削する。しかし、通常、硬化性樹脂層は、バンプ形成面に貼付した後、加熱によって流動性が増大し、バンプ間に広がって、回路面と密着するとともに、バンプの表面、特に前記回路面近傍部位の表面を覆って、バンプを埋め込むように設計されており、加熱時には柔軟性が高くなる。したがって、半導体ウエハの対象面を研削時に熱が発生して、この熱によって硬化性樹脂層の柔軟性が高くなり、半導体ウエハが動き易くなって、その結果、研削面が荒れて凹凸面となり易い。特に、バンプ形成部位に対応した部位で凹部が発生する(「ディンプル」ともいう)と、これを起点として割れが生じて(「クラック」ともいう)、半導体ウエハが破損してしまうことがある。
また、半導体ウエハ加工用シートの硬化性樹脂層は、上述のように半導体ウエハの研削時に熱が発生して柔軟性が高くなることで、半導体ウエハの端部と位置が一致する部位において、飴状となって垂れてはみ出してしまうことがある。このような硬化性樹脂層のはみ出しが生じると、以降のワークの製造時に、工程異常が発生してしまうことがある。
そこで本発明は、上記の問題点、すなわち、半導体ウエハを用いたワークの製造時において、半導体ウエハ加工用シートをロール状に巻き取って保管したことに起因する、前記シートでの層間剥離の影響を受けず、半導体ウエハの研削時において、ディンプル及びクラックの発生を抑制でき、硬化性樹脂層の端部におけるはみ出しを抑制できる、ワークの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、半導体ウエハのバンプを有する第1面に、バックグラインドテープを貼付する工程(P1)と、前記第1面に前記バックグラインドテープが貼付された半導体ウエハの、前記第1面とは反対側の第2面を研削する工程(P2)と、前記第2面を研削された半導体ウエハの前記第1面から、前記バックグラインドテープを剥離する工程(P3)と、前記バックグラインドテープが剥離された半導体ウエハの前記第1面側に、硬化性樹脂フィルムを貼付する工程(P4)と、を有する、ワークの製造方法を提供する。
本発明のワークの製造方法は、前記工程(P2)と前記工程(P3)との間に、さらに、研削された前記半導体ウエハの前記第2面に、第2保護膜形成用フィルムを貼付する工程(P5)を有することが好ましい。
また、本発明は、半導体ウエハのバンプを有する第1面に、バックグラインドテープを貼付する手段と、前記第1面に前記バックグラインドテープが貼付された半導体ウエハの、前記第1面とは反対側の第2面を研削する手段と、前記第2面を研削された半導体ウエハの前記第1面から、前記バックグラインドテープを剥離する手段と、前記バックグラインドテープが剥離された半導体ウエハの前記第1面側に、硬化性樹脂フィルムを貼付する手段と、を備えた、ワークの製造装置を提供する。
本発明によれば、半導体ウエハを用いたワークの製造時において、半導体ウエハ加工用シートをロール状に巻き取って保管したことに起因する、前記シートでの層間剥離の影響を受けず、半導体ウエハの研削時において、ディンブル及びクラックの発生を抑制でき、硬化性樹脂層の端部におけるはみ出しを抑制できる、ワークの製造方法が提供される。
本発明の製造方法で用いる半導体ウエハ加工用シートのうち、バックグラインドテープを備えたものの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の製造方法で用いる半導体ウエハ加工用シートのうち、硬化性樹脂フィルムを備えたものの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の製造方法で用いる半導体ウエハ加工用シートのうち、第2保護膜形成用フィルムを備えたものの一例を模式的に示す断面図である。 本発明のワークの製造方法の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。 本発明の製造方法で得られたワークの他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の製造方法で得られたワークのさらに他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の製造方法で得られたワークのさらに他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の製造方法で得られたワークのさらに他の例を模式的に示す断面図である。 従来の半導体ウエハ加工用シートの一例を模式的に示す断面図である。
<<ワークの製造方法>>
本発明のワークの製造方法は、半導体ウエハのバンプを有する第1面に、バックグラインドテープを貼付する工程(P1)と、前記第1面に前記バックグラインドテープが貼付された半導体ウエハの、前記第1面とは反対側の第2面を研削する工程(P2)と、前記第2面を研削された半導体ウエハの前記第1面から、前記バックグラインドテープを剥離する工程(P3)と、前記バックグラインドテープが剥離された半導体ウエハの前記第1面側に、硬化性樹脂フィルムを貼付する工程(P4)と、を有する。
本発明の前記製造方法においては、半導体ウエハ加工用シートとして、従来のバックグラインドテープ及び硬化性樹脂フィルムが積層され、一体化されたものを用いず、バックグラインドテープ及び硬化性樹脂フィルムが別々とされたものを用いる。このように、前記製造方法によれば、バックグラインドテープを備えた半導体ウエハ加工用シート(本明細書においては、「半導体ウエハ加工用シート(S1)」と称することがある)、硬化性樹脂フィルムを備えた半導体ウエハ加工用シート(本明細書においては、「半導体ウエハ加工用シート(S2)」と称することがある)を、別々に用いるが、これらシートは厚さが薄いため、これらシートをロール状に巻き取って保管しても、層間剥離(トンネリング、スジ)の発生が抑制される。その結果、これらバックグラインドテープ及び硬化性樹脂フィルムの表面が凹凸面となることも抑制され、例えば、半導体ウエハの研削面においても、凹凸の発生が抑制される。
また、本発明の前記製造方法においては、半導体ウエハのバンプ形成面(第1面)とは反対側の面(第2面)を研削するときに、前記バンプ形成面には硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)が存在せず、研削時での使用に適した特性を有するバックグラインドテープが直接貼付されている。したがって、前記製造方法によれば、半導体ウエハのバンプ形成面とは反対側の面を研削するときに、熱が発生しても、硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)が存在しないため、半導体ウエハの動きが抑制され、研削面の荒れが抑制されて、半導体ウエハでのディンプル及びクラックの発生が抑制される。
また、本発明の前記製造方法においては、上述のとおり、半導体ウエハを研削するときに、前記バンプ形成面(第1面)には硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)が存在しない。したがって、前記製造方法によれば、半導体ウエハの研削時に、半導体ウエハの端部と位置が一致する部位における、硬化性樹脂フィルムの垂れによるはみ出しが生じ得ない。
なお、本明細書において、「ワーク」とは、特に断りのない限り、「半導体ウエハと、硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)又は第1保護膜と、が積層された構造を有する積層体」を意味する。ここで、硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)とは、バンプ形成面で硬化により第1保護膜を形成するためのものである。
また、「半導体ウエハの研削」とは、特に断りのない限り、「半導体ウエハのバンプ形成面とは反対側の面の研削」を意味する。
また、「硬化性樹脂フィルム」は、これ以外の他の層と積層された状態にある場合には、「硬化性樹脂層」と称することがある。
まず、本発明の前記製造方法で用いる半導体ウエハ加工用シートについて、図面を参照しながら、詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
◎半導体ウエハ加工用シート(S1)
図1は、本発明の前記製造方法で用いる半導体ウエハ加工用シートのうち、バックグラインドテープを備えたもの(半導体ウエハ加工用シート(S1))の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す半導体ウエハ加工用シート8は、バックグラインドテープ1上に剥離フィルム94を備えて、構成されている。そして、バックグラインドテープ1は、第1基材11上に第1粘着剤層12を備えて、構成されている。すなわち、半導体ウエハ加工用シート8は、第1基材11、第1粘着剤層12及び剥離フィルム94がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
バックグラインドテープ1(すなわち、第1基材11及び第1粘着剤層12)は、公知のバックグラインドテープと同様のものであってもよい。
剥離フィルム94も、公知のものであってもよい。
例えば、第1基材11は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
第1粘着剤層12は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
第1基材11及び第1粘着剤層12は、いずれも1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、第1基材及び第1粘着剤層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
第1基材11の厚さは、5〜1000μmであることが好ましい。
ここで、「第1基材の厚さ」とは、第1基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1基材の厚さとは、第1基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第1粘着剤層12の厚さは1〜1000μmであることが好ましい。
ここで、「第1粘着剤層の厚さ」とは、第1粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1粘着剤層の厚さとは、第1粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
半導体ウエハ加工用シート8は、公知の方法で製造できる。
例えば、第1粘着剤層12を形成するための組成物を第1基材11上に塗工して、必要に応じて乾燥させることで、又は前記組成物を剥離フィルムの剥離処理面上に塗工し、必要に応じて乾燥させて、得られた塗工層を、第1基材11上に貼り合わせることで、第1基材11上に第1粘着剤層12を形成する。次いで、第1粘着剤層12の露出面(第1基材11を備えていない側の表面)を、剥離フィルム94の剥離処理面と貼り合わせることで、半導体ウエハ加工用シート8が得られる。
また、例えば、第1粘着剤層12を形成するための組成物を剥離フィルム94の剥離処理面上に塗工して、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム94上に第1粘着剤層12を形成する。次いで、第1粘着剤層12の露出面(剥離フィルム94を備えていない側の表面)を、第1基材11と貼り合わせることでも、半導体ウエハ加工用シート8が得られる。
第1基材が樹脂を含有するものである場合には、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで、第1基材を製造できる。
◎半導体ウエハ加工用シート(S2)
図2は、本発明の前記製造方法で用いる半導体ウエハ加工用シートのうち、硬化性樹脂フィルムを備えたもの(半導体ウエハ加工用シート(S2))の一例を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す半導体ウエハ加工用シート7は、硬化性樹脂フィルム13の両面に剥離フィルム94を備えて、構成されている。すなわち、半導体ウエハ加工用シート7は、剥離フィルム94、硬化性樹脂フィルム13及び剥離フィルム94がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
半導体ウエハ加工用シート7において、2枚の剥離フィルム94,94は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
硬化性樹脂フィルム13及び剥離フィルム94は、いずれも公知のものであってもよい。
硬化性樹脂フィルム13は、硬化によって第1保護膜を形成するように構成されている。
硬化性樹脂フィルム13は、熱硬化性樹脂フィルム(熱硬化性樹脂層)及びエネルギー線硬化性樹脂フィルム(エネルギー線硬化性樹脂層)のいずれであってもよい。
硬化性樹脂フィルム13は、その構成材料を含有する硬化性樹脂フィルム形成用組成物を用いて形成できる。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
硬化性樹脂フィルム13は、1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
硬化性樹脂フィルム13の厚さは、1〜100μmであることが好ましい。
ここで、「硬化性樹脂フィルムの厚さ」とは、硬化性樹脂フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる硬化性樹脂フィルムの厚さとは、硬化性樹脂フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
以下、熱硬化性樹脂フィルム及びエネルギー線硬化性樹脂フィルムについて、より具体的に説明する。
<熱硬化性樹脂フィルム>
好ましい熱硬化性樹脂フィルムとしては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられる。重合体成分(A)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。また、熱硬化性成分(B)は、熱を反応のトリガーとして、硬化(重合)反応し得る成分である。なお、本発明において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
[熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物]
熱硬化性樹脂フィルムは、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物を用いて形成できる。
熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物(III−1)(本明細書においては、単に「組成物(III−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂フィルムに造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物であり、後述するエポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)に該当しない成分でもある。
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂フィルムの重合体成分(A)の含有量)は、5〜85質量%であることが好ましい。
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂フィルムを硬化させて、硬質の第1保護膜を形成するための成分である。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましい。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、50〜1000質量部であることが好ましい。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムは、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、組成物(III−1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムは、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂フィルムが充填材(D)を含有することにより、熱硬化性樹脂フィルムを硬化して得られた第1保護膜は、熱膨張係数の調整が容易となり、この熱膨張係数を第1保護膜の形成対象物に対して最適化することで、第1保護膜を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂フィルムが充填材(D)を含有することにより、第1保護膜の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
充填材(D)を用いる場合、組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(すなわち、熱硬化性樹脂フィルムの充填材(D)の含有量)は、5〜80質量%であることが好ましい。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムは、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)を用いることにより、熱硬化性樹脂フィルムの被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂フィルムを硬化して得られた第1保護膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
カップリング剤(E)を用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムにおいて、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましい。
重合体成分(A)として、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムは、前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)を用いて架橋することにより、熱硬化性樹脂フィルムの初期接着力及び凝集力を調節できる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。(メタ)アクリロイル基と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
架橋剤(F)を用いる場合、組成物(III−1)において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましい。
組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂フィルムは、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
エネルギー線硬化性樹脂(G)は、エネルギー線硬化性化合物を重合(硬化)して得られたものである。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
エネルギー線硬化性樹脂(G)を用いる場合、組成物(III−1)において、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量は、1〜95質量%であることが好ましい。
組成物(III−1)は、エネルギー線硬化性樹脂(G)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(G)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(H)を含有していてもよい。
組成物(III−1)における光重合開始剤(H)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
光重合開始剤(H)を用いる場合、組成物(III−1)において、光重合開始剤(H)の含有量は、エネルギー線硬化性樹脂(G)の含有量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(I)を含有していてもよい。
汎用添加剤(I)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。好ましい汎用添加剤(I)としては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、ゲッタリング剤等が挙げられる。
組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルムの汎用添加剤(I)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
組成物(III−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する組成物(III−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
これらの中でも、前記溶媒は、組成物(III−1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
組成物(III−1)が含有する重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)(エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2))、硬化促進剤(C)、充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、エネルギー線硬化性樹脂(G)、光重合開始剤(H)、汎用添加剤(I)及び溶媒は、それぞれ1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
<エネルギー線硬化性樹脂フィルム>
前記エネルギー線硬化性樹脂フィルムは、エネルギー線硬化性成分(a)を含有する。
エネルギー線硬化性成分(a)は、未硬化であることが好ましく、粘着性を有することが好ましく、未硬化でかつ粘着性を有することがより好ましい。
[エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物]
エネルギー線硬化性樹脂フィルムは、その構成材料を含有するエネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物を用いて形成できる。
エネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物としては、例えば、前記エネルギー線硬化性成分(a)を含有するエネルギー線硬化性樹脂フィルム形成用組成物(IV−1)(本明細書においては、単に「組成物(IV−1)」と略記することがある)等が挙げられる。
エネルギー線硬化性成分(a)は、エネルギー線の照射によって硬化する成分であり、エネルギー線硬化性樹脂フィルムに造膜性や、可撓性等を付与するための成分でもある。
エネルギー線硬化性成分(a)としては、例えば、エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が挙げられる。前記重合体(a1)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
なお、本明細書において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
エネルギー線硬化性基を有する、重量平均分子量が80000〜2000000の重合体(a1)としては、例えば、他の化合物が有する基と反応可能な官能基を有するアクリル系重合体(a11)と、前記官能基と反応する基、及びエネルギー線硬化性二重結合等のエネルギー線硬化性基を有するエネルギー線硬化性化合物(a12)と、が重合してなるアクリル系樹脂(a1−1)が挙げられる。
他の化合物が有する基と反応可能な前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基(アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基)、エポキシ基等が挙げられる。ただし、半導体ウエハや半導体チップ等の回路の腐食を防止するという点では、前記官能基はカルボキシ基以外の基であることが好ましい。
これらの中でも、前記官能基は、水酸基であることが好ましい。
前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、前記アクリル系重合体(a11)が有する官能基と反応可能な基として、イソシアネート基、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群より選択される1種又は2種以上を有するものが好ましく、前記基としてイソシアネート基を有するものがより好ましい。前記エネルギー線硬化性化合物(a12)は、例えば、前記基としてイソシアネート基を有する場合、このイソシアネート基が、前記官能基として水酸基を有するアクリル系重合体(a11)のこの水酸基と容易に反応する。
エネルギー線硬化性基を有する、分子量が100〜80000の化合物(a2)が有するエネルギー線硬化性基としては、エネルギー線硬化性二重結合を含む基が挙げられ、好ましいものとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
組成物(IV−1)及びエネルギー線硬化性樹脂フィルムは、前記エネルギー線硬化性成分(a)として前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましい。
前記重合体(b)は、その少なくとも一部が架橋剤によって架橋されたものであってもよいし、架橋されていないものであってもよい。
エネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)としては、例えば、アクリル系重合体、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ゴム系樹脂、アクリルウレタン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記重合体(b)は、アクリル系重合体(以下、「アクリル系重合体(b−1)」と略記することがある)であることが好ましい。
組成物(IV−1)としては、前記重合体(a1)及び前記化合物(a2)のいずれか一方又は両方を含有するものが挙げられる。そして、組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有する場合、さらにエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)も含有することが好ましく、この場合、さらに前記(a1)を含有することも好ましい。また、組成物(IV−1)は、前記化合物(a2)を含有せず、前記重合体(a1)、及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)をともに含有していてもよい。
組成物(IV−1)が、前記重合体(a1)、前記化合物(a2)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)を含有する場合、組成物(IV−1)において、前記化合物(a2)の含有量は、前記重合体(a1)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の総含有量100質量部に対して、10〜400質量部であることが好ましい。
組成物(IV−1)において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量の割合(すなわち、エネルギー線硬化性樹脂フィルムの前記エネルギー線硬化性成分(a)及びエネルギー線硬化性基を有しない重合体(b)の合計含有量)は、5〜90質量%であることが好ましい。
組成物(IV−1)は、前記エネルギー線硬化性成分以外に、目的に応じて、熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、汎用添加剤及び溶媒からなる群より選択される1種又は2種以上を含有していてもよい。例えば、前記エネルギー線硬化性成分及び熱硬化性成分を含有する組成物(IV−1)を用いることにより、形成されるエネルギー線硬化性樹脂フィルムは、加熱によって被着体に対する接着力が向上し、このエネルギー線硬化性樹脂フィルムから形成された第1保護膜の強度も向上する。
組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、汎用添加剤及び溶媒としては、それぞれ、組成物(III−1)における熱硬化性成分(B)、光重合開始剤(H)、充填材(D)、カップリング剤(E)、架橋剤(F)、汎用添加剤(I)及び溶媒と同じものが挙げられる。
組成物(IV−1)において、前記熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、汎用添加剤及び溶媒は、それぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
組成物(IV−1)における前記熱硬化性成分、光重合開始剤、充填材、カップリング剤、架橋剤、汎用添加剤及び溶媒の含有量は、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
<硬化性樹脂フィルム形成用組成物の製造方法>
前記硬化性樹脂フィルム形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
半導体ウエハ加工用シート7は、公知の方法で製造できる。
例えば、組成物(III−1)、組成物(IV−1)等の前記硬化性樹脂フィルム形成用組成物を、剥離フィルム94の剥離処理面上に塗工し、必要に応じて乾燥させて、得られた塗工層の露出面(剥離フィルム94を備えていない側の表面)を、さらに別の剥離フィルム94の剥離処理面と貼り合わせることで、半導体ウエハ加工用シート7が得られる。
なお、本明細書に記載の、前記硬化性樹脂フィルム形成用組成物等の各組成物は、その種類によらず、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる公知の方法で、目的とする箇所に塗工できる。
また、前記硬化性樹脂フィルム形成用組成物等の各組成物は、その塗工後、例えば、その種類に応じて、70〜130℃で10秒〜5分の条件で、乾燥させることが好ましい。
◎半導体ウエハ加工用シート(S3)
本発明で用いる半導体ウエハは、第2面が剥き出しとなることがある。この剥き出しとなった半導体チップの第2面には、第2保護膜として、有機材料を含有する樹脂膜が形成され、第2保護膜付き半導体チップとして半導体装置に取り込まれることがある。第2保護膜は、ダイシング工程やパッケージングの後に、半導体チップにおいてクラックが発生するのを防止するために利用される。
このような第2保護膜を形成するためには、例えば、硬化によって第2保護膜を形成するように構成された第2保護膜形成用フィルムが使用される。本発明の前記製造方法では、半導体ウエハ加工用シートとして、さらに、このような第2保護膜形成用フィルムを備えたもの(本明細書においては、「半導体ウエハ加工用シート(S3)」と称することがある)を用いることができる。
図3は、半導体ウエハ加工用シート(S3)の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す半導体ウエハ加工用シート6は、第2保護膜形成用複合シート2上に剥離フィルム94を備えて、構成されている。そして、第2保護膜形成用複合シート2は、第2支持シート21上に第2保護膜形成用フィルム22を備えて、構成されている。すなわち、半導体ウエハ加工用シート6は、支持シート21、第2保護膜形成用フィルム22を及び剥離フィルム94がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
第2保護膜形成用複合シート2(すなわち、第2支持シート21及び第2保護膜形成用フィルム22)は、公知の第2保護膜形成用複合シートと同様のものであってもよい。
剥離フィルム94も、公知のものであってもよい。
第2保護膜形成用フィルム22は、硬化によって、第2保護膜を形成可能である。
第2保護膜形成用フィルム22は、熱硬化性第2保護膜形成用フィルム及びエネルギー線硬化性第2保護膜形成用フィルムのいずれであってもよい。
第2保護膜形成用フィルム22は、その構成材料を含有する第2保護膜形成用組成物を用いて形成できる。
第2支持シート21は、例えば、ダイシングシートとして利用可能なもの(図示略)であってもよいし、上述の剥離フィルム94と同様の剥離フィルムであってもよい。
ダイシングシートである第2支持シート21としては、例えば、第2基材上に第2粘着剤層が設けられてなるものが挙げられ、この場合、第2保護膜形成用フィルム22は、第2支持シート21の第2粘着剤層側に設けられる。
第2基材は、上述の第1基材11と同様のものである。
第2粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
第2粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成された、エネルギー線硬化性粘着剤層であってもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成された、非エネルギー線硬化性粘着剤層であってもよい。エネルギー線硬化性の第2粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を、容易に調節できる。
第2粘着剤層は、その構成材料を含有する第2粘着剤組成物を用いて形成できる。
第2基材及び第2粘着剤層は、いずれも1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
第2支持シート21及び第2保護膜形成用フィルム22は、いずれも1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよく、複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
第2支持シート21の厚さは、10〜500μmであることが好ましい。
ここで、「第2支持シートの厚さ」とは、第2支持シート全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第2支持シートの厚さとは、第2支持シートを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第2保護膜形成用フィルム22の厚さは1〜50μmであることが好ましい。
ここで、「第2保護膜形成用フィルムの厚さ」とは、第2保護膜形成用フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第2保護膜形成用フィルムの厚さとは、第2保護膜形成用フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
半導体ウエハ加工用シート6は、公知の方法で製造できる。
例えば、前記第2保護膜形成用組成物を第2支持シート21上に塗工して、必要に応じて乾燥させることで、又は前記組成物を剥離フィルムの剥離処理面上に塗工し、必要に応じて乾燥させて、得られた塗工層を、第2支持シート21上に貼り合わせることで、第2支持シート21上に第2保護膜形成用フィルムを形成する。次いで、第2保護膜形成用フィルムの露出面(第2支持シート21を備えていない側の表面)を、剥離フィルム94の剥離処理面と貼り合わせることで、半導体ウエハ加工用シート6が得られる。
また、例えば、前記第2保護膜形成用組成物を剥離フィルム94の剥離処理面上に塗工して、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム94上に第2保護膜形成用フィルムを形成し、次いで、第2保護膜形成用フィルムの露出面(剥離フィルム94を備えていない側の表面)を、第2支持シート21と貼り合わせることでも、半導体ウエハ加工用シート6が得られる。
以下、本発明のワークの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。図4は、本発明のワークの製造方法の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。ここでは、図1〜図3で示す半導体ウエハ加工用シートを用いた場合の製造方法について、説明する。
<工程(P1)>
本発明の製造方法においては、まず、前記工程(P1)を行う。
工程(P1)においては、図4(a)に示すように、半導体ウエハ50’のバンプ51を有する第1面50aに、バックグラインドテープ1を貼付する。
ここに示す半導体ウエハ50’の第1面50aには、複数個のバンプ51が設けられている。バンプ51は、球の一部が平面によって切り取られた形状を有しており、その切り取られて露出した部位に相当する平面が、半導体ウエハ50’の第1面50aに接触している。
なお、本発明の適用対象である半導体ウエハは、図4に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。例えば、図4では、バンプとして上記のようなほぼ球状の形状(球の一部が平面によって切り取られた形状)のものを示しているが、このようなほぼ球状の形状を、高さ方向(図4においては、半導体ウエハ50’の第1面50aに対して直交する方向)に引き伸ばしてなる形状、すなわち、ほぼ長球である回転楕円体の形状(長球である回転楕円体の長軸方向の一端を含む部位が平面によって切り取られた形状)のバンプや、上記のようなほぼ球状の形状を、高さ方向に押し潰してなる形状、すなわち、ほぼ扁球である回転楕円体の形状(扁球である回転楕円体の短軸方向の一端を含む部位が平面によって切り取られた形状)のバンプも、好ましい形状のバンプとして挙げられる。
なお、ここまでで説明したバンプの形状は、本発明の使用対象である半導体ウエハが備える好ましいものの一例に過ぎず、本発明において、バンプの形状はこれらに限定されない。
バックグラインドテープ1は、先に説明した半導体ウエハ加工用シート8から剥離フィルム94を取り除いたものである。
前記第1面50aへのバックグラインドテープ1の貼付は、公知の方法で行うことができる。
半導体ウエハ加工用シート8は、厚さが薄いため、ロール状に巻き取って保管しても、剥離フィルム94とこれに隣接するバックグラインドテープ1(第1粘着剤層12)との間等で、層間剥離(トンネリング、スジ)の発生が抑制される。その結果、使用時のバックグラインドテープ1の表面が凹凸面となることも抑制され、半導体ウエハ50’の第2面50b’を研削した後の研削面においても、凹凸の発生が抑制される。なお、このような層間剥離の抑制効果は、半導体ウエハ加工用シート8を、剥離フィルム94を内側及び外側のどちら側に向けてロール状に巻き取っても(半導体ウエハ加工用シート8をロール状に巻き取るときの方向がいずれであっても)得られ、冷蔵保管した場合であっても得られる。
<工程(P2)>
本発明の製造方法においては、工程(P1)の後、前記工程(P2)を行う。
工程(P2)においては、図4(b)に示すように、第1面50aにバックグラインドテープ1が貼付された半導体ウエハ50’の、第1面50aとは反対側の第2面50b’を研削する。本明細書及び図面においては、研削前の半導体ウエハには符号50’を、研削後の半導体ウエハには符号50を、それぞれ付して、これら半導体ウエハを区別して示している。また、同様に、研削前の半導体ウエハの第2面には符号50b’を、研削後の半導体ウエハの第2面には符号50bを、それぞれ付して、これら第2面を区別して示している。
研削前の半導体ウエハの第2面50b’は、グラインダーを用いる方法等、公知の方法で研削できる。
工程(P2)においては、半導体ウエハ50’の第1面50aには、第2面50b’の研削時での使用に適した特性を有するバックグラインドテープ1が直接貼付されている。したがって、従来の製造方法のように、前記第1面50aに柔軟性が高い硬化性樹脂フィルムが直接貼付されている場合とは異なり、前記第2面50b’を研削するときに熱が発生して、バックグラインドテープ1の温度が上昇しても、研削中の半導体ウエハ50’の動きが抑制される。その結果、研削面(すなわち研削後の半導体ウエハ50の第2面50b)の荒れが抑制されて、半導体ウエハ50でのディンプル及びクラックの発生が抑制される。
また、工程(P2)においては、上述のとおり、半導体ウエハ50’の第1面50aには、バックグラインドテープ1が直接貼付されている。したがって、従来の製造方法のように、前記第1面50aに柔軟性が高い硬化性樹脂フィルムが直接貼付されている場合とは異なり、前記第2面50b’を研削するときに熱が発生して、バックグラインドテープ1の温度が上昇しても、半導体ウエハ50及び半導体ウエ50’の端部と位置が一致する部位において、バックグラインドテープ1中の第1粘着剤層12等の垂れによるはみ出しが生じない。従来の製造方法では、前記第1面50aに直接貼付されている柔軟性が高い硬化性樹脂フィルムは、その温度の上昇によって、前記部位において、垂れによるはみ出しが生じてしまう。
<工程(P5)>
本発明の製造方法は、前記工程(P2)と後述する工程(P3)との間に、さらに、研削された前記半導体ウエハの前記第2面に、第2保護膜形成用フィルムを貼付する工程(P5)を有することが好ましい。
すなわち、本発明の製造方法においては、工程(P2)の後、後述する工程(P3)の前に、さらに、図4(c)に示すように、研削された半導体ウエハ50の第2面50bに、第2保護膜形成用フィルム22を貼付する工程(P5)を行うことが好ましい。
ここでは、第2保護膜形成用フィルム22を、第2支持シート21とともに、第2保護膜形成用複合シート2の状態で、半導体ウエハ50に貼付した場合について示している。
第2保護膜形成用フィルム22は、先に説明した半導体ウエハ加工用シート6から剥離フィルム94を取り除いたものである。
前記第2面50bへの第2保護膜形成用フィルム22の貼付は、公知の方法で行うことができる。
半導体ウエハ加工用シート6は、厚さが薄いため、上述の半導体ウエハ加工用シート8の場合と同様に、ロール状に巻き取って保管しても、剥離フィルム94とこれに隣接する第2保護膜形成用複合シート2(第2保護膜形成用フィルム22)との間等で、層間剥離(トンネリング、スジ)の発生が抑制される。その結果、このような層間剥離が原因となる不具合の発生も抑制される。なお、このような層間剥離の抑制効果は、半導体ウエハ加工用シート6を、剥離フィルム94を内側及び外側のどちら側に向けてロール状に巻き取っても(半導体ウエハ加工用シート6をロール状に巻き取るときの方向がいずれであっても)得られ、冷蔵保管した場合であっても得られる。
本発明の製造方法において、工程(P5)は任意の工程である。ただし、例えば、半導体ウエハ50の第2面50bに相当する、半導体チップの裏面に、第2保護膜を形成する場合には、あらかじめ工程(P5)を行うことで、後述する工程(P3)を容易に行うことができる。例えば、工程(P5)を行い、半導体ウエハ50の第2面50bに、第2保護膜形成用フィルム22を貼付しておくことで、第2保護膜形成用フィルム22によって、半導体ウエハ50を安定して保持できるため、工程(P3)において、半導体ウエハ50の第1面50aから、バックグラインドテープ1をより容易に剥離できる。また、第2保護膜形成用複合シート2として、第2支持シート21がダイシングシートであるものを用いる場合には、工程(P5)を行うことで、本発明の製造方法の終了後、直ちに半導体ウエハ50のダイシングを行うことができる。このように、工程(P5)を行うことで、目的とする半導体装置の製造を効率的に行うことができる。
<工程(P3)>
本発明の製造方法においては、工程(P2)の後、前記工程(P3)を行う。
前記工程(P5)を行う場合には、工程(P5)の後、前記工程(P3)を行えばよい。
工程(P3)においては、図4(d)に示すように、第2面50b’を研削された(研削後の第2面50bを有する)半導体ウエハ50の第1面50aから、バックグラインドテープ1を剥離する。
前記第1面50aからのバックグラインドテープ1の剥離は、公知の方法で行うことができる。
<工程(P4)>
本発明の製造方法においては、工程(P3)の後、前記工程(P4)を行う。
工程(P4)においては、図4(e)に示すように、バックグラインドテープ1が剥離された半導体ウエハ50の第1面50a側に、硬化性樹脂フィルム13を貼付する。
硬化性樹脂フィルム13は、先に説明した半導体ウエハ加工用シート7から、一方の剥離フィルム94を取り除いて、半導体ウエハ50に貼付することができる。ここでは、両面に貼付されていた剥離フィルム94が取り除かれた状態の硬化性樹脂フィルム13を示している。
前記第1面50a側への硬化性樹脂フィルム13の貼付は、公知の方法で行うことができる。
半導体ウエハ加工用シート7は、厚さが薄いため、上述の半導体ウエハ加工用シート8の場合と同様に、ロール状に巻き取って保管しても、両方の剥離フィルム94,94とこれに隣接する硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)13との間で、層間剥離(トンネリング、スジ)の発生が抑制される。その結果、このような層間剥離が原因となる不具合の発生も抑制される。なお、このような層間剥離の抑制効果は、半導体ウエハ加工用シート7を、一対の剥離フィルム94のどちらを内側(又は外側)に向けてロール状に巻き取っても(半導体ウエハ加工用シート7をロール状に巻き取るときの方向がいずれであっても)得られ、冷蔵保管した場合であっても得られる。
工程(P4)において、貼付された硬化性樹脂フィルム13は、加熱等によって十分に柔軟性を高くしない限り、ここに示すように、半導体ウエハ50の第1面50aには接触せず、バンプ51の表面51aに接触した状態で保持される。
以上により、半導体ウエハ50及び硬化性樹脂フィルム13が積層された構造を有するワーク501が得られる。
半導体ウエハ50の第1面50a側に貼付された硬化性樹脂フィルム13は、加熱によって流動性が増大し、バンプ間に広がって、前記第1面50aと密着するとともに、バンプ51の表面51a、特に前記第1面50aの近傍部位の表面51aを覆って、バンプ51を埋め込む。このように、硬化性樹脂フィルム13が半導体ウエハ50の第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着した状態のワーク501’を、図5に示す。
すなわち、本発明の前記製造方法においては、工程(P4)で、半導体ウエハ50の第1面50a側に、硬化性樹脂フィルム13を貼付するときに、半導体ウエハ50の第1面50a側に、硬化性樹脂フィルム13を加熱してその流動性を増大させながら貼付するか、又は流動性を増大させる加熱を行わずに硬化性樹脂フィルム13を貼付した後、硬化性樹脂フィルム13を加熱してその流動性を増大させることにより、硬化性樹脂フィルム13を半導体ウエハ50の第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着させてもよい。
図5では、ワーク501’として、バンプ51の頂部が硬化性樹脂フィルム13を貫通して露出した状態のものを示しており、これは、半導体ウエハ50から作製された半導体チップ(図示略)をフリップチップ実装することを考慮した場合、好ましい状態である。ただし、バンプ51の頂部は、半導体チップをフリップチップ実装するときに露出していればよく、ここに示すように、硬化性樹脂フィルム13を前記第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着させた直後の段階では、必ずしもバンプ51の頂部は露出していなくてもよい。このように、バンプ51の頂部が当初は露出していない場合には、別の公知の手法により、フリップチップ実装する前、好ましくは硬化性樹脂フィルム13を硬化させて第1保護膜(図示略)を形成する前のいずれかの段階で、前記頂部を露出させればよい。
ここまでは、ワーク501及びワーク501’として、硬化性樹脂フィルム13が未硬化のものについて説明した。ただし、本発明においては、硬化性樹脂フィルム13を硬化させて第1保護膜を形成したものをワークとしてもよい。このように、第1保護膜を形成した状態のワーク502’を、図6に示す。図6中、硬化性樹脂フィルム13を硬化させて形成した第1保護膜を、符号13’を付して示している。
そして、第1保護膜を形成してワークとする場合、上述のように硬化性樹脂フィルム13を加熱して半導体ウエハ50の第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着させた後、そのまま引き続き硬化性樹脂フィルム13の加熱を継続するか、又はそのまま引き続き硬化性樹脂フィルム13にエネルギー線を照射して、第1保護膜13’を形成してもよい。
硬化性樹脂フィルム13を硬化させて、第1保護膜を形成するときの硬化条件は、第1保護膜が十分にその機能を発揮する程度の硬化度となる限り特に限定されず、硬化性樹脂フィルム13の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、硬化性樹脂フィルム13が熱硬化性である場合、硬化時の加熱温度は、100〜200℃であることが好ましい。そして、硬化時の加熱時間は、0.5〜5時間であることが好ましい。
一方、硬化性樹脂フィルム13がエネルギー線硬化性である場合、硬化時のエネルギー線の照度は、180〜280mW/cmであることが好ましい。そして、硬化時のエネルギー線の光量は、450〜1000mJ/cmであることが好ましい。
すなわち、本発明の前記製造方法においては、工程(P4)で、硬化性樹脂フィルム13を半導体ウエハ50の第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着させた後、さらに硬化性樹脂フィルム13を硬化させて、第1保護膜13’を形成してもよい。
そして、本発明の前記製造方法においては、工程(P4)で、半導体ウエハ50の第1面50a側に、硬化性樹脂フィルム13を加熱してその流動性を増大させながら貼付するか、又は流動性を増大させる加熱を行わずに硬化性樹脂フィルム13を貼付した後、硬化性樹脂フィルム13を加熱してその流動性を増大させることにより、硬化性樹脂フィルム13を半導体ウエハ50の第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着させた後、そのまま引き続き硬化性樹脂フィルム13の加熱を継続するか、又はそのまま引き続き硬化性樹脂フィルム13にエネルギー線を照射して、硬化性樹脂フィルム13を硬化させて、第1保護膜13’を形成してもよい。
このように、工程(P4)においては、硬化性樹脂フィルム13を半導体ウエハ50の第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着させた後、そのまま引き続き硬化性樹脂フィルム13を硬化させて、第1保護膜13’を形成してもよいが、硬化性樹脂フィルム13を前記第1面50aと前記表面51aとに密着させた後、一度冷却した後、硬化性樹脂フィルム13を硬化させて、第1保護膜13’を形成してもよい。
ここまでは、半導体ウエハ50上の第2保護膜形成用フィルム22を硬化させて第2保護膜(図示略)を形成する前の段階で、半導体ウエハ50に硬化性樹脂フィルム13を貼付する場合について説明した。ただし、本発明においては、半導体ウエハ50上の第2保護膜形成用フィルム22を硬化させて第2保護膜を形成した後の段階で、半導体ウエハ50に硬化性樹脂フィルム13を貼付してもよい。このように、第2保護膜を形成した状態のワーク503を、図7に示す。図7中、第2保護膜形成用フィルム22を硬化させて形成した第2保護膜を、符号22’を付して示している。
なお、本明細書においては、第2保護膜形成用フィルムを硬化させて第2保護膜を形成した後の第2保護膜形成用複合シートも、第2支持シート及び第2保護膜の積層構造を有している限り、第2保護膜形成用複合シートと称する。
すなわち、本発明の前記製造方法が前記工程(P5)を有する場合、前記工程(P4)は、半導体ウエハ50の前記第2面50bに貼付された第2保護膜形成用フィルム22を硬化させて第2保護膜22’を形成した後に行ってもよいし、前記第2保護膜形成用フィルム22を硬化させる前に行ってもよい。
また、上述のように、半導体ウエハ50の前記第2面50bに貼付された第2保護膜形成用フィルム22を硬化させて第2保護膜22’を形成した後に、工程(P4)を行う場合には、さらに硬化性樹脂フィルム13を硬化させて第1保護膜を形成したものをワークとしてもよい。このように、第1保護膜及び第2保護膜を形成した状態のワーク503’を、図8に示す。
すなわち、本発明の前記製造方法においては、工程(P4)で、半導体ウエハ50の第2面50bに貼付された第2保護膜形成用フィルム22を硬化させて第2保護膜22’を形成し、かつ硬化性樹脂フィルム13を半導体ウエハ50の第1面50aとバンプ51の表面51aとに密着させた後、さらに硬化性樹脂フィルム13を硬化させて、第1保護膜13’を形成してもよい。この場合、第2保護膜を形成してから、上記のように硬化性樹脂フィルム13を半導体ウエハ50に密着させてもよいし、上記のように硬化性樹脂フィルム13を半導体ウエハ50に密着させてから、第2保護膜を形成してもよい。そして、第2保護膜を形成してから第1保護膜を形成してもよいし、第1保護膜を形成してから第2保護膜を形成してもよい。
例えば、第2保護膜形成用フィルム22が熱硬化性である場合、硬化時の加熱温度は、100〜200℃であることが好ましい。そして、硬化時の加熱時間は、0.5〜5時間であることが好ましい。
一方、第2保護膜形成用フィルム22がエネルギー線硬化性である場合、硬化時のエネルギー線の照度は、4〜280mW/cmであることが好ましい。そして、硬化時のエネルギー線の光量は3〜1000mJ/cmであることが好ましい。
<<半導体装置の製造方法>>
本発明の前記製造方法でワークを得た後、以降、このワークを用いて、従来法と同様の方法で、半導体装置を製造できる。
例えば、上述の第1保護膜及び第2保護膜を備えた半導体ウエハを、ダイシングシートを貼付した状態とし、ダイシングして、半導体ウエハを第1保護膜及び第2保護膜ごと分割して半導体チップとすることができる。又は、例えば、硬化性樹脂フィルム及び第2保護膜形成用フィルムのいずれか一方又は両方を硬化させていない(第1保護膜及び第2保護膜のいずれか一方又は両方を形成していない)半導体ウエハを、ダイシングシートを貼付した状態とし、ダイシングして、半導体ウエハを分割して半導体チップとし、未硬化の上記のいずれかのフィルムを硬化させて、第1保護膜及び第2保護膜を備えた半導体チップとすることができる。
半導体ウエハのダイシングは、公知の方法で行うことができ、特に限定されない。
例えば、半導体ウエハのダイシングは、ブレードを用いる方法(すなわち、ブレードダイシング)、レーザー照射により行う方法(すなわち、レーザーダイシング)、研磨剤を含む水の吹き付けにより行う方法(すなわち、ウオーターダイシング)等の、半導体ウエハを切り込む方法で行うことができる。また、半導体ウエハのダイシングは、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、レーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成した後、半導体ウエハに対して力を加えることによって、前記改質層の形成部位において半導体ウエハを分割する方法でも、行うことができる。
そして、この第1保護膜及び第2保護膜を備えた半導体チップを、これら保護膜を備えた状態のまま(すなわち、保護膜付き半導体チップとして)ピックアップする。次いで、ピックアップしたこの半導体チップを、基板の回路面にフリップチップ接続した後、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いることで、目的とする半導体装置を得る。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
下記実施例及び比較例において、熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
・重合体成分
重合体成分(A)−1:アクリル酸ブチル(以下、「BA」と略記する)(55質量部)、アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(10質量部)、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と略記する)(20質量部)及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量800000、ガラス転移温度−28℃)。
・エポキシ樹脂
エポキシ樹脂(B1)−1:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL983U」)
エポキシ樹脂(B1)−2:多官能芳香族型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EPPN−502H」)
エポキシ樹脂(B1)−3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON HP−7200」)
・熱硬化剤
熱硬化剤(B2)−1:ノボラック型フェノール樹脂(昭和電工社製「BRG−556」)
・硬化促進剤
硬化促進剤(C)−1:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ−PW」)
・充填材
充填材(D)−1:エポキシ基で修飾された球状シリカ(アドマテックス社製「アドマナノ YA050C−MKK」)
下記実施例及び比較例において用いた、市販品の半導体ウエハ加工用シートを以下に示す。
・半導体ウエハ加工用シート
(S1)−1:剥離フィルムを備えたバックグラインドテープ(リンテック社製「E−8510HR」、バックグラインドテープの厚さ510μm)
(S3)−1:第2保護膜形成用フィルム(厚さ20μm)の一方の表面に、第2支持シートとして重剥離タイプの剥離フィルム(厚さ38μm)を備え、他方の表面に軽剥離タイプの剥離フィルム(厚さ38μm)を備えたシート(リンテック社製「LC2850」)
上記の半導体ウエハ加工用シート(半導体ウエハ加工用シート(S1)−1、半導体ウエハ加工用シート(S3)−1)は、いずれも、幅330mm、長さ30mの大きさに裁断した後、3インチの巻き芯を用いて、常温下でロール状に巻き取った。このとき、剥離フィルムが巻き芯側を向くように、これらシートを巻き取った。そして、これらロールを、5℃の冷蔵庫内で1日冷蔵保管した後、冷蔵庫から取り出して温度を常温に戻し、ロールから半導体ウエハ加工用シートを繰り出して、下記実施例又は比較例で用いた。
<半導体ウエハ加工用シート(S2)の製造>
[製造例1]
(熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物の製造)
重合体成分(A)−1、エポキシ樹脂(B1)−1、エポキシ樹脂(B1)−2、エポキシ樹脂(B1)−3、熱硬化剤(B2)−1、硬化促進剤(C)−1、及び充填材(D)−1を、これらの含有量の割合が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物として、固形分濃度が55質量%である組成物(III−1)を得た。なお、表1中の含有成分の欄の「−」との記載は、熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物がその成分を含有していないことを意味する。
(半導体ウエハ加工用シート(S2)の製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された軽剥離タイプの剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物を塗工し、100℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmの熱硬化性樹脂フィルムを作製した。
次いで、得られた熱硬化性樹脂フィルムの露出面に、重剥離タイプの剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET3811」、厚さ38μm)の剥離処理面を貼り合わせて、軽剥離タイプの剥離フィルム、熱硬化性樹脂フィルム、及び重剥離タイプの剥離フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる半導体ウエハ加工用シート(S2)−1を得た。
[製造例2]
熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物のエポキシ樹脂(B1)−1、エポキシ樹脂(B1)−2、及びエポキシ樹脂(B1)−3の含有量を、表1に示すとおりとした点以外は、製造例1と同じ方法で、熱硬化性樹脂フィルム形成用組成物及び半導体ウエハ加工用シート(S2)−2を製造した。
上記で得られた半導体ウエハ加工用シート(S2)は、いずれも、上述の半導体ウエハ加工用シート(S1)−1及び半導体ウエハ加工用シート(S3)−1の場合と同じ方法で、ロールとして冷蔵保管した後、ロールから繰り出して、下記実施例で用いた。なお、これらシートは、軽剥離タイプの剥離フィルムが巻き芯側を向くように、ロール状に巻き取った。
<比較用の半導体ウエハ加工用シート(SR)の製造>
[製造例3]
半導体ウエハ加工用シート(S1)−1から剥離フィルムを取り除いて、バックグラインドテープの露出面(粘着面)を生じさせた。また、製造例1で得られた半導体ウエハ加工用シート(S2)−1から軽剥離タイプの剥離フィルムを取り除いて、硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)の露出面を生じさせた。そして、これら露出面同士を貼り合わせることにより、バックグラインドテープ、熱硬化性樹脂フィルム及び剥離フィルム(重剥離タイプ)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる、比較用の半導体ウエハ加工用シート(SR)−1を得た。
[製造例4]
半導体ウエハ加工用シート(S1)−1から剥離フィルムを取り除いて、バックグラインドテープの露出面(粘着面)を生じさせた。また、製造例2で得られた半導体ウエハ加工用シート(S2)−2から軽剥離タイプの剥離フィルムを取り除いて、硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)の露出面を生じさせた。そして、これら露出面同士を貼り合わせることにより、バックグラインドテープ、熱硬化性樹脂フィルム及び剥離フィルム(重剥離タイプ)がこの順に、これらの厚さ方向において積層されてなる、比較用の半導体ウエハ加工用シート(SR)−2を得た。
上記で得られた比較用の半導体ウエハ加工用シート(SR)は、いずれも、上述の半導体ウエハ加工用シート(S1)−1及び半導体ウエハ加工用シート(S3)−1の場合と同じ方法で、ロールとして冷蔵保管した後、ロールから繰り出して、下記比較例で用いた。なお、これらシートは、剥離フィルムが巻き芯側を向くように、ロール状に巻き取った。
Figure 0006975006
<ワークの製造>
[実施例1]
半導体ウエハとして、縦10mm×横10mmのチップが多数整列している8インチシリコンウエハの第1面に、図4に示すものと同様の形状で、且つ高さが250μmであるバンプを500μmのピッチで多数有するソルダーバンプ付きウエハ(厚さ720μm)を用い、以下に示す工程を行った。
すなわち、まず、半導体ウエハ加工用シート(S1)−1から剥離フィルムを取り除き、これにより生じたバックグラインドテープの露出面(粘着面)を、半導体ウエハの第1面に貼付した(工程(P1))。
次いで、グラインダー(ディスコ社製「グラインダーDGP8760」)を用いて、半導体ウエハの厚さが250μmとなるまで、半導体ウエハの第2面を研削した(工程(P2))。
次いで、半導体ウエハ加工用シート(S3)−1から軽剥離タイプの剥離フィルムを取り除き、これにより生じた第2保護膜形成用フィルムの露出面を、第2面を研削された半導体ウエハの第2面に貼付した(工程(P5))。
次いで、第2保護膜形成用フィルムを貼付した半導体ウエハの第1面から、バックグラインドテープを剥離した(工程(P3))。
次いで、製造例1で得られた半導体ウエハ加工用シート(S2)−1から軽剥離タイプの剥離フィルムを取り除き、これにより生じた硬化性樹脂フィルムの露出面を、バックグラインドテープが剥離された半導体ウエハの第1面側に貼付した(工程(P4))。
以上により、ワークとして、半導体ウエハの研削された第2面に第2保護膜形成用フィルムを備え、第1面側に硬化性樹脂フィルムを備えた、フィルム付き半導体ウエハを得た。
<ワークの製造適性の評価>
(半導体ウエハ加工用シートのロール保管適性)
上述のように、冷蔵保管後、温度を常温に戻し、ロールから繰り出した直後の半導体ウエハ加工用シート(S1)−1、(S2)−1及び(S3)−1を目視観察した。そして、剥離フィルムとこれに隣接する層との間での層間剥離(トンネリング、スジ)の有無の観点から、下記基準に従って、半導体ウエハ加工用シートのロール保管適性を評価した。結果を表2に示す。
なお、表2中、評価結果が「×」である場合には、層間剥離があった半導体ウエハ加工用シートをカッコ付きで記載している。
○:保管したすべての半導体ウエハ加工用シートにおいて、層間剥離がない。
×:保管したいずれか一以上の半導体ウエハ加工用シートにおいて、層間剥離がある。
(ディンプル及びクラックの発生抑制適性)
上述のフィルム付き半導体ウエハの製造中、工程(P2)の終了直後に、半導体ウエハの研削後の第2面を目視観察した。そして、この第2面のバンプに対応する部分におけるディンプル、クラックの発生の有無の観点から、下記基準に従って、半導体ウエハにおけるディンプル及びクラックの発生抑制適性を評価した。結果を表2に示す。
○:ディンプル及びクラックがない。
×:ディンプル又はクラックがある。
(硬化性樹脂フィルムのはみ出し抑制適性)
上述のフィルム付き半導体ウエハの製造中、工程(P2)の終了直後においては、半導体ウエハは硬化性樹脂フィルムを備えていないため、本項目は未評価とし、表2中の評価結果の欄には「−」と記載した。
<ワークの製造、ワークの製造適性の評価>
[実施例2]
工程(P4)において、半導体ウエハ加工用シート(S2)−1に代えて半導体ウエハ加工用シート(S2)−2を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、フィルム付き半導体ウエハを製造し、その製造適性を評価した。結果を表2に示す。
<ワークの製造>
[比較例1]
実施例1で用いたものと同じ半導体ウエハを用いて、以下に示す工程を行った。
すなわち、まず、半導体ウエハ加工用シート(SR)−1から剥離フィルムを取り除き、これにより生じた硬化性樹脂フィルム(硬化性樹脂層)の露出面を、半導体ウエハの第1面に貼付した。
次いで、グラインダー(ディスコ社製「グラインダーDGP8760」)を用いて、半導体ウエハの厚さが250μmとなるまで、半導体ウエハの第2面を研削した。
次いで、半導体ウエハの第1面側からバックグラインドテープのみを剥離し、前記第1面には硬化性樹脂フィルムを貼付したままとした。
次いで、前記第1面上の硬化性樹脂フィルムを加熱することで、このフィルムがバンプ形成面上で回路面と密着するとともに、バンプの表面、特に前記回路面近傍部位の表面を覆って、バンプを埋め込んだ状態とし、さらに、加熱によってこのフィルムを硬化させて、第1保護膜を形成した。
次いで、半導体ウエハ加工用シート(S3)−1から軽剥離タイプの剥離フィルムを取り除き、これにより生じた第2保護膜形成用フィルムの露出面を、第1保護膜を形成した後の半導体ウエハの第2面に貼付した。
以上により、ワークとして、半導体ウエハの研削された第2面に第2保護膜形成用フィルムを備え、第1面に第1保護膜を備えた、フィルム付き半導体ウエハを得た。
<ワークの製造適性の評価>
(半導体ウエハ加工用シートのロール保管適性)
上述のように、冷蔵保管後、温度を常温に戻し、ロールから繰り出した直後の半導体ウエハ加工用シート(SR)−1及び(S3)−1を目視観察した。そして、実施例1の場合と同じ方法で、これらシートのロール保管適性を評価した。結果を表2に示す。
(ディンプル及びクラックの発生抑制適性)
上述のフィルム付き半導体ウエハの製造中、半導体ウエハの第2面の研削終了直後に、半導体ウエハの研削後の第2面を目視観察した。そして、実施例1の場合と同じ方法で、半導体ウエハにおけるディンプル及びクラックの発生抑制適性を評価した。結果を表2に示す。
(硬化性樹脂フィルムのはみ出し抑制適性)
上述のフィルム付き半導体ウエハの製造中、半導体ウエハの第2面の研削終了直後に、半導体ウエハの端部近傍部位を目視観察した。そして、この端部と位置が一致する部位における、硬化性樹脂フィルムのはみ出しの有無の観点から、下記基準に従って、硬化性樹脂フィルムのはみ出し抑制適性を評価した。結果を表2に示す。
○:硬化性樹脂フィルムのはみ出しがない。
×:硬化性樹脂フィルムのはみ出しがある。
<ワークの製造、ワークの製造適性の評価>
[比較例2]
半導体ウエハ加工用シート(SR)−1に代えて半導体ウエハ加工用シート(SR)−2を用いた点以外は、比較例1の場合と同じ方法で、フィルム付き半導体ウエハを製造し、その製造適性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006975006
上記結果から明らかなように、実施例1〜2においては、半導体ウエハ加工用シート(S1)〜(S3)の厚さがいずれも薄いため、これらシートのロール保管適性が良好であった。
また、実施例1〜2においては、半導体ウエハ加工用シート(S1)を用い、半導体ウエハの第2面の研削時の使用に適したバックグラインドテープを、半導体ウエハの第1面に直接貼付して、前記第2面を研削しているため、ディンプル及びクラックの発生抑制適性も良好であった。
一方、実施例1〜2においては、半導体ウエハの第2面の研削時に、前記第1面には硬化性樹脂フィルムが存在しない。したがって、実施例1〜2の製造方法は、硬化性樹脂フィルムのはみ出しが生じ得ないものである。
これに対して、比較例1〜2においては、半導体ウエハ加工用シート(SR)を用い、半導体ウエハの第2面の研削時の使用に適していない硬化性樹脂フィルムを、半導体ウエハの第1面に直接貼付して、前記第2面を研削しているため、ディンプル及びクラックの発生抑制適性が劣っていた。
また、比較例1においては、半導体ウエハ加工用シート(SR)の厚さが厚いため、このシートのロール保管適性が劣っていた。一方、比較例2においては、半導体ウエハ加工用シート(SR)の厚さが厚いものの、硬化性樹脂フィルムの柔軟性が高いために、硬化性樹脂フィルムと剥離フィルムとの間の層間剥離が抑制され、このシートのロール保管適性は良好であった。
ただし、比較例2においては、このように硬化性樹脂フィルムの柔軟性が高いために、硬化性樹脂フィルムのはみ出し抑制適性が劣っていた。これに対し、比較例1においては、硬化性樹脂フィルムの柔軟性が低いために、硬化性樹脂フィルムのはみ出し抑制適性が良好であった。
なお、比較例1〜2における半導体ウエハ加工用シート(S3)は、実施例1〜2における半導体ウエハ加工用シート(S3)と同じであり、実施例1〜2の場合と同様に、このシートのロール保管適性は良好であった。
本発明は、フリップチップ実装方法で使用される、接続パッド部にバンプを有する半導体チップ等の製造に利用可能である。
1・・・バックグラインドテープ、11・・・第1基材、12・・・第1粘着剤層、13・・・硬化性樹脂フィルム、2・・・第2保護膜形成用複合シート、21・・・・第2支持シート、22・・・第2保護膜形成用フィルム、50,50’・・・半導体ウエハ、50a・・・半導体ウエハの第1面、50b,50b’・・・半導体ウエハの第2面、51・・・バンプ、51a・・・バンプの表面、501,501’,502’,503,503’・・・ワーク、6,7,8・・・半導体ウエハ加工用シート、94・・・剥離フィルム

Claims (5)

  1. 半導体ウエハのバンプを有する第1面に、バックグラインドテープを貼付する工程(P1)と、
    前記第1面に前記バックグラインドテープが貼付された半導体ウエハの、前記第1面とは反対側の第2面を研削する工程(P2)と、
    前記第2面を研削された半導体ウエハの前記第1面から、前記バックグラインドテープを剥離する工程(P3)と、
    前記バックグラインドテープが剥離された半導体ウエハの前記第1面側に、硬化性樹脂フィルムを貼付する工程(P4)と、を有し、
    前記硬化性樹脂フィルムが、前記第1面で硬化により第1保護膜を形成するためのものである、ワークの製造方法。
  2. 前記工程(P4)において、又は、前記工程(P4)後に、前記バンプの頂部を、前記硬化性樹脂フィルムを貫通させて露出させる、請求項1に記載のワークの製造方法。
  3. 前記工程(P2)と前記工程(P3)との間に、さらに、研削された前記半導体ウエハの前記第2面に、第2保護膜形成用フィルムを貼付する工程(P5)を有する、請求項1又は2に記載のワークの製造方法。
  4. 半導体ウエハのバンプを有する第1面に、バックグラインドテープを貼付する手段と、
    前記第1面に前記バックグラインドテープが貼付された半導体ウエハの、前記第1面とは反対側の第2面を研削する手段と、
    前記第2面を研削された半導体ウエハの前記第1面から、前記バックグラインドテープを剥離する手段と、
    前記バックグラインドテープが剥離された半導体ウエハの前記第1面側に、硬化性樹脂フィルムを貼付する手段と、を備え
    前記硬化性樹脂フィルムが、前記第1面で硬化により第1保護膜を形成するためのものである、ワークの製造装置。
  5. 前記バンプの頂部を、前記半導体ウエハの前記第1面側に貼付後の前記硬化性樹脂フィルムを貫通させて露出させる手段を備えた、請求項4に記載のワークの製造装置。
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