JP2011159694A - 半導体装置の製造方法、それにより得られる半導体装置及びそれに用いるダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム - Google Patents

半導体装置の製造方法、それにより得られる半導体装置及びそれに用いるダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体チップの裏面を保護する機能に加え、ウエハの反りを矯正してウエハレベルでの半導体装置の反りを低減可能なダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを用いた半導体装置の製造方法と、それにより得られる半導体装置及び、それに用いるダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを提供する。
【解決手段】外部接続用端子を形成したウエハを準備する工程と、前記ウエハの外部接続用端子を形成した主面にバックグラインドテープを接着する工程と、前記ウエハの裏面を研磨する工程と、前記ウエハの研磨後の裏面にダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを接着する工程と、前記バックグラインドテープを剥離する工程と、前記工程を終えたウエハを個片化する工程とを備えた半導体装置の製造方法であって、前記ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムがチップ保護フィルムとダイシングフィルムとの積層体である、半導体装置の製造方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、WL−CSP技術を用いた半導体装置に適応されるダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム、およびこれを用いた半導体装置と半導体装置の製造方法に関する。
近年、集積回路等の半導体装置の実装技術として、ダイシング前のウエハ状態のままで再配線や樹脂層、はんだボールに代表される外部接続端子の形成を行い、最終段階でチップ単位に個片化されるWL−CSP(Wafer Level Chip Size Packageともいう)の実用化が進んでいる。WL−CSPにおいては、ベアチップとほぼ同サイズで配線長が短いことから、小型・薄型・高速という特徴を有しており、例えば携帯電話向けのCSPとして採用されている。
CSP型の半導体装置では、半導体チップと実装基板との熱膨張係数の差による熱応力を緩和することが重要な課題となっている。特に、多ピン化が進むと、電極パッドから外部接続端子までを接続する配線が必要になるので、熱応力によって配線が切断されないようにすることが要求される。また、チップサイズが大きくなると、外部接続端子にかかる熱応力が大きくなるため、外部接続端子が破壊しないように熱応力を緩和する機能が要求される。
このようなWL−CSP技術を用いた従来の半導体装置の例を以下に説明する。図1に示す半導体装置は樹脂封止型半導体装置とよばれ、次のような工程を経て製造される。(例えば、特許文献1参照)
(1)回路形成面に電極パッド12が形成され、電極パッド12にCu再配線13およびCuポスト14が設けられたウエハ1を準備する。
(2)Cuポスト14を覆うように樹脂15を充填し、熱硬化させることにより、ウエハ1の表面を樹脂封止する(樹脂15を、再配線保護用樹脂層ということもある)。
(3)樹脂層15の表面をCuポスト14の高さまで研磨し、Cuポスト14の先端を露出させる。
(4)露出したCuポスト14にはんだボール16を形成する。
(5)ウエハ1をダイシングしてチップ単位に分断する。
以上の工程により作製された半導体装置では、Cuポスト14および樹脂層15が熱応力を緩和し、外部接続端子であるはんだボール16が破壊するのを防いでいる。
また、図2に示す半導体装置は応力緩和型半導体装置とよばれ、次のような工程を経て製造される。(例えば、特許文献2参照)
(1)回路形成面に電極パッド12および電極パッド12が露呈するような開口部を有するパッシベーション膜17(再配線保護用樹脂層1)が形成されたウエハ1を準備する。
(2)パッシベーション膜17の表面に、電極パッド12が露呈するような開口部を有する樹脂層15(再配線保護用樹脂層2)を形成する。
(3)樹脂層15の表面に、電極パッド12に電気的に接続した再配線13を形成する。
(4)再配線13上に、再配線13の外部接続端子接合部を露出して再配線保護膜18(再配線保護用樹脂層3)を形成する。
(5)外部接続端子接合部にはんだボール16を形成する。
(6)ウエハ1をダイシングしてチップ単位に分断する。
以上の工程により作製された半導体装置では、樹脂層15が熱応力を緩和し、外部接続端子であるはんだボール16が破壊するのを防いでいる。
一般に、これらWL−CSP技術を用いて作製した半導体装置においては、樹脂層の硬化時及びその後の冷却時に、ウエハとその上に形成された樹脂層との熱膨張係数の差によって、ウエハ裏面側を凸にしてウエハの反りが発生するという問題がある。ウエハに反りが発生すると、外部接続端子の高さにウエハ面内で差が生じるため、実装基板に実装する際、接続不良が起こる。このウエハの反りは、ウエハの厚さが薄くなるほど大きくなるため、バックグラインドにより薄型化された半導体装置の反りの抑制は、重要な課題となっている。
特開2004−349611号公報 特開2005−217443号公報
本発明は、フェースダウン方式で実装される半導体チップの裏面を保護する機能に加え、ウエハの反りを矯正してウエハレベルでの半導体装置の反りを低減可能なダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを用いた半導体装置の製造方法と、それにより得られる半導体装置及び、それに用いるダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、[1]外部接続用端子を形成したウエハを準備する工程と、前記ウエハの外部接続用端子を形成した主面にバックグラインドテープを接着する工程と、前記ウエハの裏面を研磨する工程と、前記ウエハの研磨後の裏面にダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを接着する工程と、前記バックグラインドテープを剥離する工程と、前記工程を終えたウエハを個片化する工程とを備えた半導体装置の製造方法であって、前記ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムがチップ保護フィルムとダイシングフィルムとの積層体である、半導体装置の製造方法に関する。
また、本発明は、[2] 上記[1]に記載の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置であって、フェースダウン方式で実装される半導体装置に関する。
また、本発明は、[3] 上記[2]に記載の半導体装置であって、ウエハ研磨工程後のウエハの厚さが300μm以下であり、かつ、ウエハの主面に形成した再配線保護用樹脂層の厚さの和が10μm以上であることを特徴とする半導体装置に関する。
また、本発明は、[4] 上記[2]に記載の半導体装置であって、ウエハ研磨工程後のウエハ中のシリコンの厚さ(S)とウエハの主面に形成した再配線保護用樹脂層の厚さの和(P)との商(P/S)が0.03以上であることを特徴とする半導体装置に関する。
また、本発明は、[5] 上記[1]に記載の半導体装置の製造方法で用いられるダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムであって、ダイシングフィルム上にチップ保護フィルムが積層された構造で一体化していることを特徴とするダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムに関する。
本発明は、WL−CSP技術を用いた半導体装置であって、フェースダウン方式で実装される半導体チップに、反りの低減を目的として、半導体チップ裏面にチップ保護フィルムを接着したものである。半導体チップ裏面又はウエハ裏面は、外部接続用端子を形成した主面の反対側の面とする。
本発明は、ウエハ裏面側を凸にして反りが発生したウエハに対し、ウエハ裏面にチップ保護フィルムを貼り付け、熱硬化させることで、チップ保護フィルムの硬化収縮によって、ウエハに逆反り方向の力を加えることで、ウエハの反りを矯正することができる。
本発明は、ウエハ主面の樹脂層の厚さ及び熱膨張係数に対して、チップ保護フィルムの熱膨張係数を適切な範囲に設定することにより、ウエハ主面と裏面の反りのバランスを取ることができ、広い温度範囲においてウエハの反りを低減することができる。
本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムは、チップ保護フィルムがダイシングフィルムに積層され一体化しているため、チップ保護フィルムを貼り付ける工程とダイシングフィルムを貼り付ける工程を一括で行うことができる。
本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを予めウエハ裏面に接着して設けて、ウエハを個片化して半導体装置を製造することで、ウエハ主面上に形成された再配線保護用樹脂層との熱膨張係数の差によって生じたウエハの反りを低減することができ、半導体装置を実装基板に実装する際の接続不良を防ぐことができる。また、ダイシング時のチップクラックを防ぐことができる。
樹脂封止型半導体装置の構造を示す断面図である。 応力緩和型半導体装置の構造を示す断面図である。 本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムの構造を示す断面図である。 本発明の半導体装置の製造方法を示す図である。
本発明は、外部接続用端子の形成まで完了したウエハを準備する工程と、前記ウエハの主面にバックグラインドテープを接着する工程と、前記ウエハの裏面を研磨する工程と、前記ウエハの研磨後の裏面にダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを接着する工程と、前記バックグラインドテープを剥離する工程と、前記工程を終えたウエハを個片化する工程とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法であって、前記ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムがチップ保護フィルムとダイシングフィルムとの積層体である、半導体装置の製造方法に関する。
また、本発明は、上記の製造方法によって製造される半導体装置であって、フェースダウン方式で実装される半導体装置に関する。
また、本発明は、上記の半導体装置であって、シリコンの厚さが300μm以下であり、かつ、ウエハの主面に形成した樹脂層の厚さの和が10μm以上であることを特徴とする半導体装置に関する。
また、本発明は、上記の半導体装置であって、シリコンの厚さ(S)とウエハの主面に形成した再配線保護用樹脂層の厚さの和(P)との商(P/S)が0.3以上であることを特徴とする半導体装置に関する。
本発明を、以下に図面を用いて説明する。
図3は、本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2の断面図である。ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2は、ダイシングフィルム層21及びこのダイシングフィルム層21に積層されたチップ保護フィルム層22からなる。そして、チップ保護フィルム層22の面をウエハ面側に貼り付ける。
ダイシングフィルム層21は粘着層を有していることが好ましい。例えば、アクリル系樹脂が挙げられる。
本発明に使用するダイシングフィルム層としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等に粘着層を形成したものが挙げられる。プラスチックフィルムは、必要に応じてプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理を行っても良い。プラスチックフィルムの厚みは、25〜200μmであることが好ましいが、厚すぎると巻き取り時に原反が分厚くなりすぎてしまう点と、薄すぎるとダイシングソウが突き抜けてしまう可能性がある点から、50〜150μmがより好ましく、70〜120μmが特に好ましい。
ダイシングフィルム層は、粘着性を有することが必要であり、ダイシングテープの片面に粘着層を設けても良い。これは、粘着層の樹脂組成物において、特に液状成分の比率、高分子量成分のTgを調整することによって得られる適度なタック強度を有する樹脂組成物を塗布乾燥することで形成可能である。粘着層には、放射線重合性化合物、又は熱硬化性化合物を含有してなることがより好ましい。このような粘着層としては主にアクリル系樹脂が使われ、放射線重合性化合物としてはアクリル酸、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレートの共重合体や、アクリレート系オリゴマーなどが挙げられ、熱硬化性化合物としてはグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートなどが挙げられる。
ダイシングフィルム層には、市販のダイシングテープを用いてもよく、例えば、ダイシングテープ(古河電気工業(株)製商品名、UC−3010M)を用いることができる。
本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2は、ダイシング時にはダイシングフィルム層21とチップ保護フィルム層22との接着力が強く、一方、ダイシング後には容易にピックアップができるように、接着力が弱くなることが望ましい。また、チップ保護フィルム層22とウエハ1との接着力は、常にチップ保護フィルム層22とダイシングフィルム層21との接着力より強いことが望ましい。
また本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2は、チップ保護フィルム層22が薄いことが望ましい。具体的には厚さが100μm以下であることが望ましい。
また本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2は、チップ保護フィルム層22に耐熱性がある必要がある。具体的には、チップ保護フィルム層22の5%質量減少温度が、半導体装置実装時のリフロー実装温度である260℃以上であることが望ましい。
チップ保護フィルム層22に用いられる樹脂として、例えばポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。また、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、シリカから構成される樹脂は、好適な例として挙げられる。
チップ保護フィルム層としては、樹脂100質量部とフィラー40〜180質量部とを含む樹脂組成物を含有し、前記樹脂が分子量800以上のエポキシ樹脂を含む熱硬化性成分60〜85質量%と、重量平均分子量が10万〜100万で、かつTgが−50〜50℃である架橋性官能基を含む高分子量成分15〜40質量%とを含むようにすればよい。所望のタック強度を有しシート状での取扱い性が良好であることから、高分子量成分、熱硬化性成分及びフィラーの他に、硬化促進剤、触媒、添加剤、カップリング剤等を含んでも良い。なお、フィラーは無機フィラーが好ましい。
樹脂100質量部に対して、フィラーを好ましくは40〜180質量部、より好ましくは60〜120質量部配合する。フィラーの配合量が180質量部を超える場合は、流動性が極端に低下する傾向にある。
前記熱硬化性成分と高分子量成分の含有量は、熱硬化性成分が60〜85質量%、高分子量成分15〜40質量%であることが好ましい。熱硬化性成分が60質量%未満である場合は粘度が高く、流動性に劣る傾向にあり、逆に85質量%を超えると流動性が高すぎる傾向にある。
本発明において用いられる高分子量成分としては、エポキシ基、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基などの架橋性官能基を有するポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
高分子量成分として、例えば、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートなどの官能性モノマと(メタ)アクリル酸モノマを含有するモノマを重合して得た、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体などが好ましい。エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エポキシ基含有アクリルゴムなどを使用することができ、エポキシ基含有アクリルゴムがより好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリルなどの共重合体などからなるゴムである。なお、(メタ)アクリル酸は、メタアクリル酸又はアクリル酸を意味する。
高分子量成分の重量平均分子量は、好ましくは10万〜100万であり、より好ましくは20万〜90万である。高分子量成分の重量平均分子量が10万未満である場合は、チップ保護フィルム層の耐熱性が低下する傾向にあり、逆に100万を超えるとチップ保護フィルム層のフローが低下する傾向にある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
高分子量成分のTgは、好ましくは−50〜50℃、より好ましくは−30〜20℃である。高分子量成分のTgが−50℃未満である場合は、タックが大きすぎるためハンドリングがし難い傾向にあり、逆に50℃を超える場合は、タックが小さすぎるため仮接着などがし難くなる傾向にある。
本発明において、ウエハを個片化する工程のウエハダイシング時にチップ保護フィルム層が切断しやすく樹脂くずが発生し難い点、また耐熱性が高い点で、Tgが−20℃〜40℃で重量平均分子量が10万〜90万の高分子量成分が好ましく、Tgが−10℃〜40℃で分子量が20万〜85万の高分子量成分がより好ましい。
熱硬化性成分としては、半導体チップを実装する場合に要求される耐熱性および耐湿性を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に制限されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
特にBステージ状態でのチップ保護フィルム層の可撓性が高い点で、エポキシ樹脂の分子量は1000以下であることが好ましく、さらに好ましくは500以下である。また、可撓性に優れる分子量500以下のビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂50〜90質量%と、硬化物の耐熱性に優れる分子量が800〜3000の多官能エポキシ樹脂10〜50質量%とを併用することが好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。
フィラーとしては無機フィラーが好ましく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物などが挙げられる。熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。溶融粘度の調整やチクソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、ダイシング性を向上させるためにはアルミナ、シリカが好ましい。フィラーの平均粒径は、0.01μm未満であると樹脂組成物の粘度が大幅に上昇する傾向があり、また平均粒径が5μmを超えるとチップ保護フィルム層の薄膜化が困難となり、チップ保護フィルム層表面の平滑性を保つことが難しくなる傾向がある。したがって、チップ保護フィルム層の流動性と表面平滑性の点から、フィラーの平均粒径は、0.01〜5μmが好ましい。さらに、チップ保護フィルム層の流動性が優れる点で、フィラーの平均粒径の下限としては、0.1μmがより好ましく、0.3μmが特に好ましい。また表面平滑性の点で、フィラーの平均粒径の上限としては、3μmがより好ましく、1μmが特に好ましい。
なお、フィラーの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。具体的には、フィラー0.1〜1.0gを秤取り、超音波により分散した後、粒度分布を測定し、その分布での累積質量が50%となる粒子径を平均粒径とする。
本発明で用いるチップ保護フィルム層は、例えば、前記高分子量成分、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性成分、フィラー、及び他の成分を有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製した後、基材フィルム上に上記ワニスの層を形成させ、加熱乾燥した後、基材フィルムを除去して得ることができる。上記の混合、混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。上記の加熱乾燥の条件は、使用した有機溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常60℃〜200℃で、0.1〜90分間加熱して行う。
上記チップ保護フィルム層の製造における上記ワニスの調製に用いる有機溶媒は、チップ保護フィルム層を構成する成分を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレン等が挙げられる。乾燥速度が速く、価格が安い点でメチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどを使用することが好ましい。
有機溶媒の使用量は、チップ保護フィルム層調製後の残存揮発分が全質量基準で0.01〜3質量%であれば特に制限はないが、耐熱信頼性の観点からは全質量基準で0.01〜2質量%が好ましく、全質量基準で0.01〜1.5質量%がさらに好ましい。
チップ保護フィルム層の膜厚は、前記のように100μm以下であることが望ましい。
本発明は、ウエハ裏面側を凸にして反りが発生したウエハに対し、ウエハ裏面にチップ保護フィルムを貼り付け、熱硬化させることで、チップ保護フィルムの硬化収縮によって、ウエハに逆反り方向の力を加えることで、ウエハの反りを矯正することができるものであり、用いるフィラーの配合量を調整することで熱膨張係数を変化させたり、厚み、熱硬化性成分と、高分子量成分の比率や種類を変えることで調整することができる。例えば、反りが大きい場合には、硬化収縮が大きくなるようにフィラーの配合量を少なくしたり、熱硬化性成分の配合量を増やしたりするなどで調整できる。また、厚みを厚くすることで収縮を大きくすることができる。
ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムは、ダイシングフィルム上にチップ保護フィルムが積層された構造で一体化しており、チップ保護フィルムとダイシングテープを張り合わせた一体型シートとしたものである。
バックグラインドテープは、基材フィルムに粘着層を形成した感圧タイプが一般的に使用され、市販されているものを使用することができる。また、バックグラインドテープには、ダイシングテープを代用してもよい。
本発明では、ウエハ研磨工程後のウエハの厚さが300μm以下であり、かつ、ウエハの主面の外部接続用端子側に形成したバックグラインドテープの厚さが10μm以上、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは、100μm以上であることが好ましく、300μm以下が好ましい。
また、ウエハ研磨工程後のウエハ中のシリコンの厚さ(S)とウエハの主面に形成された再配線保護用樹脂層の厚さ(P)との商(P/S)が0.3以上であることが好ましい。
バックグラインドテープは、はんだボールのように外部接続用端子を形成した主面に接着するため、この凹凸を吸収する厚みが必要で、ウエハの裏面を研磨した後の剥離が容易であることが好ましい。このため厚みの厚い軟質の塩化ビニルシート、エチレン酢酸ビニル(EVA)シートに粘着層を形成した厚めのバックグラインドテープが好ましい。
また、バックグラインドテープは、感光性樹脂組成物からなる感光性フィルムであってもよく、この場合、外部接続用端子を形成した主面の凹凸に沿って、樹脂が流動するため外表面が平滑になり、研磨工程でのウエハ研磨が精密に行われるので好ましい。
以下に本発明の半導体装置の製造方法を、図4を用いて具体的に説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。
図4は本発明の半導体装置の製造方法を示す図で、それぞれ各製造工程を断面図で示している。
(チップ保護フィルム層)
チップ保護フィルム層に、エポキシ樹脂としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量160、分子量320、東都化成株式会社製、商品名YD−8170Cを使用)29質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量210、分子量800〜1500、東都化成株式会社製、商品名YDCN−703を使用)9.7質量部;エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名プライオーフェンLF2882を使用)27.4質量部;エポキシ基含有アクリル系共重合体としてエポキシ基含有アクリルゴム(ゲル パーミエーション クロマトグラフィーによる重量平均分子量80万、グリシジルメタクリレート3質量%、Tgは−7℃、ナガセケムテックス株式会社製、商品名HTR−860P−3DRを使用)28.3質量部;硬化促進剤としてイミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PZ−CNを使用)0.1質量部;シリカフィラー(アドマファイン株式会社製、S0−C2(比重:2.2g/cm、モース硬度7、平均粒径0.5μm、比表面積6.0m/g))を使用)94.4質量部;シランカップリング剤として(日本ユニカー株式会社製、商品名A−189を使用)0.25質量部および(日本ユニカー株式会社製、商品名A−1160を使用)0.5質量部;からなる組成物に、シクロヘキサノンを加えて撹拌混合し、真空脱気してチップ保護フィルム層用ワニスを得た。
このチップ保護フィルム層用ワニスを、厚さ35μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、90℃で10分間、120℃で5分間加熱乾燥して膜厚が60μmの塗膜とし、Bステージ状態のチップ保護フィルム層シートを作製した。
(ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムの作製)
上記で得たチップ保護フィルム層シートとダイシングテープ(古河電工株式会社製、商品名UC3004M−80、膜厚100μm)をホットロールラミネータ(Du Pont製、Riston)を用いて、25℃でラミネートしダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを作製した。
裏面を研磨したウエハに、前記のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムのチップ保護フィルム面を60℃でラミネートし、Bステージ状態のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムのタック強度を、レスカ株式会社製プローブタッキング試験機を用いて、JIS Z0237−1991に記載の方法(プローブ直径5.1mm、引き剥がし速度10mm/s、接触荷重100gf/cm、接触時間1s)により測定した。その結果、25℃で7g、40℃で34gの値を示した。
バックグラインドテープとして株式会社トーヨーアドテックのバンプ付ウエハ研削用であるBGE−1600(EVAフィルム厚み205μm、粘着層厚み40μm)を用いた。
上記の材料を用いて、図4に示した製造方法で半導体装置を製造した。
図4(a)は外部接続端子であるはんだボール16の形成プロセスまで完了したウエハ1を示している(厚み650μm)。具体的には、図1に示した封止樹脂型の半導体装置や図2に示した応力緩和型の半導体装置があげられる。フェースダウン方式で実装される半導体装置であれば、すべてに適応することができる。
図4(b)はウエハ1の主面にバックグラインドテープ3を貼り付けた工程を示している。この段階では、ウエハ1のシリコン11が、主面の再配線保護用樹脂層15(厚さの総和10μm)に比べて厚いため、ウエハの反りは小さい。
図4(c)はウエハ1の外部接続用端子を形成した主面とは反対側の裏面のバックグラインド工程を示している。ウエハ1の裏面を研磨することで(250μm)、ウエハ1のシリコン11の厚さが薄くなるためウエハの反りが生じてくるが、バックグラインドテープ3が貼り付けてあるため、反りは抑制されている。
図4(d)はウエハ1の裏面に、ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2を貼り付ける工程を示している。ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2を貼り付ける方法は、通常のダイシングフィルムの場合と同様で、例えばラミネートすることで行われる。
図4(e)はバックグラインドテープ3を剥がす工程を示している。ウエハの反りを抑制していたバックグラインドテープ3は無くなるが、ウエハの裏面にダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2が貼り付けてあるため、反りは抑制されている。
図4(f)はダイシングにより、ウエハ1を個片化する工程を示している。ウエハ1とダイシングフィルム層21の間に、チップ保護フィルム層22が形成してあるため、ダイシング時のチップクラックを抑制することができる。
個片化したウエハ1は、半導体装置ごとにピックアップされる。このピックアップ工程の時点で、チップ保護フィルム層22を硬化させる必要がある。チップ保護フィルム層22を硬化させる方法は、チップ保護フィルムの樹脂や構成に合わせて適切なものを選択する。例えば、感光性樹脂であれば、光照射によって樹脂を硬化させる。本発明では、130℃のオーブン中に30秒間保持させ硬化させた。
チップ保護フィルム層22の硬化を行った後、ピックアップを行う。図4(g)はピックアップ時の剥離界面を示している。ウエハ裏面に形成したダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム2の、チップ保護フィルム層22とダイシングフィルム層21の界面で剥がれ、チップ裏面に保護フィルム層22が形成された半導体装置を得ることができる。
図4(h)は上記の方法で作製された半導体装置を示している。この半導体装置は、そのまま実装基板にフェースダウン方式で実装することができる。チップ裏面にチップ保護フィルム層22が形成してあるため、半導体装置の反りが低減されており、接続不良が発生することなく実装することが可能であった。これに対し、本発明のダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを用いないで同様に作製した場合では、反りが生じた。
1 ウエハ
2 ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム
3 バックグラインドテープ
11 シリコン
12 電極パッド
13 Cu再配線(再配線)
14 Cuポスト
15 樹脂(再配線保護用樹脂層)
16 はんだボール
17 パッシベーション膜
18 再配線保護膜(再配線保護用樹脂層)
21 ダイシングフィルム層
22 チップ保護フィルム層

Claims (5)

  1. 外部接続用端子を形成したウエハを準備する工程と、前記ウエハの外部接続用端子を形成した主面にバックグラインドテープを接着する工程と、前記ウエハの裏面を研磨する工程と、前記ウエハの研磨後の裏面にダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムを接着する工程と、前記バックグラインドテープを剥離する工程と、前記工程を終えたウエハを個片化する工程とを備えた半導体装置の製造方法であって、前記ダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムがチップ保護フィルムとダイシングフィルムとの積層体である、半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置であって、フェースダウン方式で実装される半導体装置。
  3. 請求項2に記載の半導体装置であって、ウエハ研磨工程後のウエハの厚さが300μm以下であり、かつ、ウエハの主面に形成した再配線保護用樹脂層の厚さの和が10μm以上であることを特徴とする半導体装置。
  4. 請求項2に記載の半導体装置であって、ウエハ研磨工程後のウエハ中のシリコンの厚さ(S)とウエハの主面に形成した再配線保護用樹脂層の厚さの総和(P)との商(P/S)が0.03以上であることを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法で用いられるダイシングフィルム一体型チップ保護フィルムであって、ダイシングフィルム上にチップ保護フィルムが積層された構造で一体化していることを特徴とするダイシングフィルム一体型チップ保護フィルム。
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