JP6550894B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材レスの積層体の製造方法に関する。
有機薄膜太陽電池、有機半導体素子、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略する。)素子等の有機デバイスとして用いられる積層体の製造方法としては、例えば、基材上に蒸着法やスパッタリング法等の乾式法を用いて電極層を形成し、上記電極層上に有機半導体層等の機能層を積層させて積層体とする方法が用いられる。
また、近年では、乾式法に比べて設備的に簡素なもので済み、また工程時間の短縮が可能になる等の利点があることから、有機デバイスの製造方法として、湿式法の採用が進められている。湿式法による有機デバイスの形成方法としては、例えば、基板(または基材)上に、有機半導体材料を溶媒に溶解もしくは分散させた塗工液を塗布して有機半導体層を形成し、上記有機半導体層上に他の機能層や電極層を積層させて形成する方法が用いられる(例えば特許文献1〜3参照。)。
特許第5504633号 特開2008−135731号公報 特開2008−258211号公報
ところで近年では、電子機器の小型化や薄膜化、高性能化の要求が高まっており、それに伴い、上記電子機器に使用される有機デバイスに対しても、薄膜化やフレキシブル性が要求されている。
しかし、乾式法や湿式法を用いて積層体の形成を行う場合、上述したように基板上に直接、乾式法や湿式法による層形成が行われるため、得られる積層体には基板が含まれることとなる。このため、有機デバイスの厚さに上記基板分の厚さが含まれ、有機デバイスの薄膜化および小型化の要求に対応できないという問題がある。
このため、基板レスの積層体が求められるところ、基板上に積層体を形成後、上記基板を剥離しようとすると、積層体を構成する機能層のうち、基板と接する機能層(最下層)が破損する場合がある。また、積層体を破損させずに容易に剥離可能とするために基板上に剥離層等を設けると、剥離層に含まれる剥離剤により積層体が汚染される場合がある。
このように、基板レスの積層体を容易に形成することが困難であるという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基板レスの積層体を簡便に製造可能な積層体の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、基材および上記基材の一方の面上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する準備工程と、上記粘着性基材の上記粘着層上に複数の機能層を積層して、上記粘着性基材上に積層体を形成する積層工程と、上記積層体から上記粘着性基材を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
なお、本明細書内において、積層工程にて形成される複数の機能層のうち、粘着層と直接接する機能層を「第1機能層」、上記第1機能層以外の機能層を「他の機能層」と称して説明する場合がある。
上記発明によれば、粘着性基材の粘着層上に、目的とする積層体において最下層となる第1機能層が形成され、上記第1機能層が平面性を保持して固定されることで、上記第1機能層上への他の機能層の積層や位置決めを精度よく行うことができる。そして、剥離工程において積層体側に糊残りが生じることなく、粘着性基材を剥離することができる。これにより、基材レスの積層体を簡便に製造することができる。
上記発明においては、上記粘着層が、微粘着性を示す粘着層であることが好ましい。また、上記発明においては、上記粘着層が、外部刺激を受けることで剥離する粘着層であることが好ましい。粘着層をこれらの種類のものとすることで、機能層の積層に際し第1機能層を十分に固定することが可能であり、剥離工程において、粘着層が微粘着性を示す、または、外部刺激を受けて粘着層の粘着力が低下することで、積層体に対する粘着層の剥離性が向上し、剥離の際の積層体側への糊残りの発生を抑え、密着性や変形等による積層体への負担を低減することができるからである。
上記発明においては、上記粘着層が、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。粘着層の耐熱性および低アウトガス性が向上し、複数の機能層を積層する際に高温に曝される場合であっても、上記粘着層の劣化および粘着性の低下、ならびにアウトガスの発生による成膜環境の悪化や機能層の劣化を防止することができるからである。
本発明の積層体の製造方法は、基板レスの積層体を簡便に製造することができるという作用効果を奏する。
本発明の積層体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の積層体の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の積層体の製造方法の他の例を示す工程図である。
以下、本発明の積層体の製造方法について詳細に説明する。
I.積層体の製造方法
本発明の積層体の製造方法は、基材および上記基材の一方の面上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する準備工程と、上記粘着性基材の上記粘着層上に複数の機能層を積層して、上記粘着性基材上に積層体を形成する積層工程と、上記積層体から上記粘着性基材を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
本発明の積層体の製造方法について、図を参照して説明する。図1は本発明の積層体の製造方法の一例を示す工程図である。
本発明の積層体の製造方法は、まず、基材11および基材11の一方の面上に形成された粘着層12を有する粘着性基材20を準備する(図1(a)、準備工程)。
次に、粘着性基材20の粘着層12上に複数の機能層を積層する。粘着層12上に第1機能層1を形成し、続いて、第1機能層1上に第2機能層2および第3機能層3を積層して、粘着性基材20上に積層体10を形成する(図1(b)および(c)、積層工程)。第1機能層1、第2機能層2および第3機能層3は、湿式法で形成してもよく乾式法で形成してもよい。
続いて積層体10から粘着性基材20を剥離することで、基材レスの積層体10を得ることができる(図1(d)、剥離工程)。
なお、本発明において、積層体が基材レスであるとは、得られる積層体の最表層のうち、粘着層と貼り合されていた機能層の表面側に、積層体を支持する基材を有さないことをいう。
本発明によれば、粘着性基材の粘着層上に、目的とする積層体において最下層となる第1機能層が形成され、上記第1機能層が平面性を保持して固定されることで、上記第1機能層上への他の機能層の積層や位置決めを精度よく行うことができる。そして、剥離工程において積層体側に糊残りが生じることなく、粘着性基材を剥離することができる。これにより、基材レスの積層体を簡便に製造することができる。
中でも、本発明の製造方法は、第1機能層を湿式法または乾式法により形成する場合に、より高い効果を発揮することができる。通常、積層体の製造に際し、基材上に直接、湿式法または乾式法により第1機能層を形成する場合、積層体の形成後に基材と第1機能層との界面を剥離させて基材レスの積層体を得ることは困難であり、上記積層体には基材が必然的に含まれてしまう。また、基材と第1機能層との界面から積層体を剥離しようとすると、積層体が破損してしまう。このため、第1機能層を湿式法または乾式法により形成することができない。
これに対し、本発明によれば、粘着性基材上に直接、湿式法または乾式法を用いて第1機能層を形成する場合であっても、粘着層の再剥離性により上述の課題を生じることなく容易に積層体の剥離が可能となる。このように、湿式法または乾式法を用いて粘着層上に第1機能層を形成する場合に、本発明による効果が発揮されやすくなる。
以下、本発明の積層体の製造方法について、工程ごとに説明する。
A.準備工程
本発明における準備工程は、基材および上記基材の一方の面上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する工程である。
1.粘着層
上記粘着層は、再剥離性を示すことが好ましい。上記粘着層が再剥離性を示すとは、粘着層上に直接形成される第1機能層を粘着または密着させることができ、且つ、剥離工程において積層体を破壊せず、且つ積層体側に糊残りが生じることなく剥離可能であることをいう。
このような粘着層としては、微粘着性を示す粘着層(粘着層の第1態様)、外部刺激を受けることで剥離する粘着層(粘着層の第2態様)が挙げられる。
以下、粘着層について態様ごとに説明する。
(1)粘着層の第1態様
粘着層の第1態様は、微粘着性を示す粘着層である。
本態様の粘着層は、その初期粘着力により機能層の積層に際し最下層となる第1機能層を十分に固定することが可能であり、また、剥離工程において、上記粘着層が微粘着性を示すことで、積層体に対する粘着層の剥離性が高く、剥離の際の積層体側への糊残りの発生を抑え、密着性や変形等による積層体への負担を低減することができる。
なお、本態様の粘着層のことを、「微粘着層」と称する場合がある。
ここで、本態様の粘着層が示す微粘着性とは、粘着層上に直接形成される第1機能層、中でも粘着層上に湿式法または乾式法により直接形成される第1機能層を、平面性を担保した状態で固定することが可能であり、且つ、剥離工程において積層体から粘着層を剥離するに際し、積層体側に糊残りが生じない粘着力を示すことをいう。具体的には、粘着層の初期粘着力が6N/25mm以下、好ましくは3N/25mm以下、より好ましくは2N/25mm以下であることをいう。また、粘着層の初期粘着力は、0.05N/25mm以上であることが好ましい。
上記粘着力は、基材としてポリイミドフィルム(厚さ25μm、東レ・デュポン製、製品名:100H)を用い、上記基材の片面に本態様の粘着層を後述する厚さの範囲内となるように形成した粘着性基材を用い、巾25mm×長さ150mmの大きさの短冊状の試験片をカットし、次にJIS Z0237の規格に準拠した条件でステンレス板にラミネートし、最後に、試験片を剥離角180°、剥離速度300mm/分、室温下の条件で、試験片の長さ方向に剥がすことにより測定することができる。また、このような180°剥離強度測定には、例えば、インストロン社製の万能試験機5565を用いることができる。
本態様の粘着層は、所望の粘着力を示すことが可能なものであればよいが、中でもアクリル系樹脂を少なくとも含むことが好ましく、アクリル系樹脂および硬化樹脂を含むことがより好ましい。本態様の粘着層がアクリル系樹脂および硬化樹脂を含むことで、初期粘着力を所望の範囲内に抑えつつ粘着層の耐熱性および低アウトガス性を向上させることができ、複数の機能層を積層する際に高温に曝される場合であっても、上記粘着層の劣化および粘着性の低下、ならびにアウトガスの発生による成膜環境の悪化や機能層の劣化を防止することができるからである。
ここで、本態様の粘着層がアクリル系樹脂を含むとは、上記粘着層内において、アクリル系樹脂が架橋を形成せずに単体で存在していてもよく、アクリル系樹脂間もしくはアクリル系樹脂と他の樹脂との間で架橋形成されてなる架橋体として存在していてもよく、上記単体および上記架橋体の両方が存在していてもよい。
また、本態様の粘着層に含まれる硬化樹脂とは、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が熱や光照射を受けて硬化されたものをいう。
なお、粘着層の耐熱性および低アウトガス性については、後述する。
アクリル系樹脂および硬化樹脂を含む本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物としては、アクリル系樹脂および硬化性樹脂を含むものであればよく、中でも以下に述べる2種類の態様のうち一方を好適に用いることができる。
すなわち、本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物の第1態様は、アクリル系樹脂、エポキシ熱硬化性樹脂、および硬化剤を含み、上記エポキシ熱硬化性樹脂が、上記アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれているものである。
また、本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物の第2態様は、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含むものである。
本態様の粘着層が上述の各態様の粘着剤組成物により形成されることで、粘着層の凝集力が向上し、複数の機能層の積層に際し高温に曝される場合であっても、上記粘着層の粘着力の昂進が抑制されて、優れた剥離性を示すことができる。このため、剥離工程において、積層体側への糊残りの発生や、密着性、変形等による積層体への負担を低減することができ、粘着性基材を容易に剥離することが可能となる。
また、上述の各態様の粘着剤組成物により形成される上記粘着層は、エポキシ熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が硬化した硬化樹脂を含むことから、アクリル系樹脂単独よりも高耐熱性を示すことができ、且つ、より高い低アウトガス性を発揮することができる。このため、高温下で機能層を蒸着法等の乾式法により形成する際に、アウトガスの発生により成膜環境が悪化して均質な層形成が阻害されるのを防ぎ、また、アウトガスによる機能層の劣化を防止することが可能となる。
加えて、上記粘着層の耐薬品性が向上するという利点も有する。これにより各機能層の形成に際し薬品等を用いてパターニング等を行う場合であっても、薬品による粘着力の低下や、剥離工程前に粘着性基材から積層体が剥離するのを防ぐことができる。
以下、本態様の粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物について、態様ごとに説明する。
(a)粘着剤組成物の第1態様
本態様の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂、エポキシ熱硬化性樹脂、および硬化剤を含み、上記エポキシ熱硬化性樹脂が、上記アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれている。
本態様の粘着剤組成物により形成される粘着層は、アクリル系樹脂の単体およびエポキシ硬化樹脂を少なくとも含む。また、アクリル系樹脂の架橋体や、アクリル系樹脂とエポキシ熱硬化性樹脂とが反応した架橋体を含む場合もある。
(i)アクリル系樹脂
上記アクリル系樹脂については、特に限定されず、例えば(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させた(メタ)アクリル酸エステル重合体、または、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられるが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方をいうものとする。ここで、主成分とは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体において、他の単量体よりも(メタ)アクリル酸エステルの割合が30質量%よりも多いことをいい、具体的には、共重合割合が51質量%以上であることをいう。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜30の直鎖状または分岐状のアルキルエステル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル等を使用することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば特開2014−101457号公報で開示されるものが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは1種または2種以上を含んでいてもよい。
中でも炭素数1〜18、特に炭素数1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。アクリル系樹脂のガラス転移点(℃)を後述する範囲内とすることができ、粘着層の粘着性および耐熱性が向上するからである。
上記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルとモノマーまたはオリゴマーとの共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルの他に必要に応じて他のモノマーまたはオリゴマーを共重合成分として含むことで、凝集力、耐熱性等の改質を図ることができる。上記共重合成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な官能基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
また、共重合成分として、シアノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー等の窒素含有モノマーを用いてもよい。
上記共重合成分は、アクリル酸エステル重合体に共重合成分として含まれてもよい。
アクリル系樹脂の質量平均分子量としては、10万〜200万の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20万〜100万の範囲内である。質量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、粘着層の粘着性が劣る場合があり、一方、上記範囲よりも大きいと、粘着剤組成物の塗工性が悪化したり、エポキシ熱硬化性樹脂との相溶性が低下して、粘着層において所望の粘着性を得ることが困難となる場合がある。
なお、本明細書内において、質量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際のポリスチレン換算値であり、例えば、測定装置に東ソー株式会社製のHLC−8220GPCを、カラムに東ソー株式会社製のTSKGEL−SUPERMULTIPORE−HZ−Mを、溶媒にTHFを、標準品として分子量が1050、5970、18100、37900、96400、706000の標準ポリスチレンを用いることで測定することができる。
アクリル系樹脂は、ガラス転移点が−20℃以上30℃以下であることが好ましく、中でも−15℃〜20℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移点が上記範囲にあるアクリル系樹脂を粘着剤組成物の主剤として用いることにより、凝集力を維持しながら、アクリル系樹脂と他の成分との相溶性を向上させることができるからである。
アクリル系樹脂のガラス転移点は、使用するモノマー単位の種類や、組み合わせるモノマー単位の比率等を変更することにより、適宜調整することができる。アクリル系樹脂は、モノマーを単独重合した重合体(ホモポリマー)の場合であってもガラス転移点が上記した範囲となるものもあるが、ホモポリマーのガラス転移点が上記した範囲にないようなモノマー単位の使用が制限されるわけではなく、種々のモノマー単位を組み合わせて共重合した共重合体のガラス転移点が上記の範囲内にあればよい。
なお、本明細書内においてガラス転移点は、損失正接(tanδ)のピークトップの値に基づく方法(DMA法)により測定された値を意味する。また、損失正接は、損失弾性率/貯蔵弾性率の値により決定される。これら弾性率は、重合体または共重合体に対して一定の周波数で力を付与したときの応力を動的粘弾性測定装置を用いて測定される。
アクリル系樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸エステル、モノマー、オリゴマー等の単量体を、通常の溶液重合、塊状重合、乳化重合または懸濁重合等の方法により重合させることにより得ることができる。
(ii)エポキシ熱硬化性樹脂
エポキシ熱硬化性樹脂は、少なくとも1つ以上のエポキシ基またはグリシジル基を有する。エポキシ熱硬化性樹脂は、後述する硬化剤との併用により架橋重合反応により硬化して、エポキシ硬化樹脂として粘着層内に含まれる。
エポキシ熱硬化性樹脂としては、エポキシ当量が100g/eq.〜2000g/eq.の範囲内であることが好ましい。エポキシ当量が上記範囲に満たないエポキシ熱硬化性樹脂では、架橋密度が高くなりすぎて粘着層の粘着性が所望の範囲から低下してしまう場合があり、一方、上記範囲を超えるエポキシ熱硬化性樹脂では、本態様の粘着剤組成物を硬化させて粘着層を形成した際に、粘着層の耐熱性および低アウトガス性が十分に得られない場合がある。
なお、エポキシ当量は、JIS K7236に準拠した方法により測定した1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数である。
エポキシ熱硬化性樹脂の質量平均分子量は、特に制限はないが、アクリル系樹脂との相溶性の観点から、一般的には300〜5000の範囲内であることが好ましく、粘着層の耐久性等の観点からは、上記範囲内において高分子量のものを使用することがより好ましい。
エポキシ熱硬化性樹脂としては、例えば特開2011−202045号公報に開示されるエポキシ系樹脂が挙げられる。中でも、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格などの剛直構造を主鎖に持つエポキシ系樹脂が好ましく、より好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、特に好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
エポキシ熱硬化性樹脂脂のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格の繰り返し単位の数によって、常温で液体のものと常温で固体のものとが存在する。主鎖の炭素数が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂は常温で液体であり、主鎖の炭素数が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂は常温で固体である。このような比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂は結晶性があり、常温で結晶化して固体のものであっても融点以上の温度になると、急速に融解して低粘度の液状に変化する。このような比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、硬化の際に架橋密度が高くなるため、硬化性が高く、吸湿性(自由体積が小さくなるため)が小さくなる特徴もある。
常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、機械的強度および耐熱性の観点から、ガラス転移点が50℃〜150℃の範囲内にあるものが好ましい。
常温で液体である主鎖が1〜3のビスフェノールA型エポキシ樹脂、および常温で固体である主鎖が2〜10のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば特開2011−202045号公報に開示される市販品が挙げられる。
初期粘着力が低く糊残りの少ない粘着層を形成するためには、エポキシ熱硬化性樹脂は、アクリル系樹脂100重量部に対して20重量部〜60重量部の範囲内で含まれることが好ましく、中でも30重量部〜50重量部の範囲内で含まれていることが好ましい。エポキシ熱硬化性樹脂の配合量が上記範囲よりも少ないと、粘着層の初期粘着力が増加したり、各機能層の成膜条件によって粘着力が増加する傾向にあるからである。一方、エポキシ熱硬化性樹脂の配合量が上記範囲を超えると、初期粘着力が低下して、粘着層から第1機能層が剥離する場合があるからである。
(iii)硬化剤
上記エポキシ熱硬化性樹脂は、加熱等により反応が進行して硬化するが、通常は、硬化反応を促進するための硬化剤が粘着剤組成物中に含まれる。
上記硬化剤としては、エポキシ熱硬化性樹脂と当量で反応可能なものであればよく、例えば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤を好適に使用することができる。また、エポキシ熱硬化性樹脂を単独で硬化(重合)させることが可能な硬化剤としては、例えばイミダゾール系硬化剤やカチオン系硬化剤等が挙げられる。中でも、エポキシ熱硬化性樹脂の骨格由来の性能を期待でき、添加量が少なくてもエポキシ熱硬化性樹脂を単独で硬化させ得るイミダゾール系硬化剤やカチオン系硬化剤を使用することが好ましい。
硬化剤の配合量としては、エポキシ熱硬化性樹脂の重合態様に応じて適宜設定することができる。例えば、エポキシ熱硬化性樹脂を単独で重合させ硬化させる場合、硬化剤の配合量としては、エポキシ熱硬化性樹脂100重量部に対して1重量部〜20重量部の範囲内であることが好ましい。一方、エポキシ熱硬化性樹脂と硬化剤とを当量で重合反応させて硬化させる場合、硬化剤の配合量としては、エポキシ熱硬化性樹脂のエポキシ当量に対して0.7〜1.2の割合となることが好ましい。
エポキシ熱硬化性樹脂に対しての硬化剤の配合量が少ないと、粘着剤組成物を硬化させて粘着層を形成する際に、エポキシ熱硬化性樹脂の硬化時間が長くなる等の硬化不足が生じ、所望の粘着性を得ることが困難となる場合がある。一方、硬化剤の配合量が過剰になると、粘着剤組成物の保存安定性が低下したり、エポキシ熱硬化性樹脂の硬化密度が高くなり過ぎて、粘着層が所望の粘着性を示さない場合がある。
(iv)その他の材料
本態様の粘着剤組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。本態様の粘着剤組成物により形成される粘着層内において、アクリル系樹脂は、通常、架橋を形成せずに単体として存在するが、上記粘着剤組成物に架橋剤を添加することにより、得られる上記粘着層は、アクリル系樹脂間で架橋形成された架橋体を一部に含むものとなる。これにより、粘着力を維持しながらベタつきが改善された粘着層とすることができる。架橋剤としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、多官能エポキシ化合物やイソシアネート化合物が挙げられる。
さらに、本態様の粘着剤組成物は、必要に応じて、例えば、滑剤、可塑剤、充填剤、フィラー、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、光安定剤、染料、顔料等の着色剤等の任意の添加剤を含んでいてもよい。また、必要に応じて、シラン系、チタン系、アルミニウム系などのカップリング剤を含むことができる。
(b)粘着剤組成物の第2態様
本態様の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂、架橋剤、光硬化性樹脂、および光開始剤を含むものである。
本態様の粘着剤組成物により形成される粘着層は、アクリル系樹脂の架橋体および光硬化性樹脂が硬化してなる硬化樹脂を少なくとも含む。上記粘着層は、アクリル系樹脂の架橋体と共にアクリル系樹脂の単体を含んでいてもよい。
本態様の粘着剤組成物は、光硬化性樹脂が含まれることにより、粘着層の形成に際し、エネルギー線の照射によって粘着剤組成物の塗布層中で光硬化性樹脂が硬化して硬化樹脂となるため、上記塗布層が適度に硬くなり、アクリル樹脂の架橋反応が進行しても、糊残り等がない剥離性に優れる粘着層になると考えられる。
なお、光硬化性樹脂の硬化の際に用いられるエネルギー線の種類については、後述する「(2)粘着層の第2態様」の項で説明するものと同様とすることができる。
(i)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂については、特に限定されず、「(a)粘着剤組成物の第1態様」の項で説明したアクリル系樹脂と同様に、アクリル酸エステル重合体や(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステル共重合体が用いられる。中でも(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、粘着性および塗工性の観点から5万〜100万の範囲内が好ましく、より好ましくは10万〜80万の範囲内である。
アクリル系樹脂における(メタ)アクリル酸エステル、モノマー、およびオリゴマー、ならびにこれらの重合方法等については「(a)粘着剤組成物の第1態様」の項で説明した内容と同様とすることができる。
アクリル系樹脂のガラス転移点、および上記ガラス転移点を示すことによる効果については、「(a)粘着剤組成物の第1態様」の項で説明したアクリル系樹脂のガラス転移点およびそれによる効果と同様とすることができる。
(ii)光硬化性樹脂
光硬化性樹脂としては、エネルギー線照射により重合可能なラジカル重合性の化合物であれば特に制限なく使用することができ、例えば、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー等が挙げられる。このような化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系の光硬化性化合物を好ましく使用することができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも2官能性のモノマーまたはオリゴマーを好適に使用することができる。
また、アクリル系樹脂との相溶性の観点から、例えば、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類や、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレートを好適に使用することができる。
光硬化性樹脂は、アクリル系樹脂100重量部に対して5重量部〜60重量部の範囲内、中でも5重量部〜40重量部の範囲内で含まれることが好ましい。光硬化性樹脂を上記の範囲で含むことにより、得られる粘着層の初期粘着力、凝集力、および高温環境下に置かれた場合の粘着力の変化を、より向上させることができるからである。
(iii)光開始剤
光開始剤としては、光照射によりリビングラジカル重合開始能を発揮することができ、光硬化性樹脂を硬化させることが可能なものであれば特に限定されず、公知の光開始剤から光硬化性樹脂の種類に応じて、1種または2種以上を適宜選択することができる。具体的には、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、ベンジルメチルケタール類、α−アミノケトン類、ビスアシルフォスフィンオキサイド類が挙げられる。
光硬化性樹脂としてウレタンアクリレートを使用する場合には、光開始剤がビスアシルフォスフィン系光開始剤であることが好ましい。上記光開始剤は耐熱性を有し、基材に粘着剤組成物を塗布して光照射を行う際に、基材を介して光照射を行う場合であっても確実に光硬化性樹脂を硬化させることができるからである。
(iv)架橋剤
架橋剤としては、アクリル系樹脂を架橋させることが可能なものであればよく、多官能エポキシ系化合物やイソシアネート系化合物等の従来公知の架橋剤を用いることができる。具体的には、例えば特開2012−177084号公報に開示される多官能エポキシ系化合物やイソシアネート系化合物が挙げられる。
架橋剤は、アクリル系樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の範囲内、中でも0.5重量部〜10重量部の範囲内で含まれることが好ましい。得られる粘着層の初期粘着力を抑えながら、凝集性を高めることができ、容易に貼り直しが可能であり、第1機能層を積層する際に浮きや剥がれの発生を防ぐことができるからである。
さらに、本態様の粘着剤組成物は、必要に応じて、「(a)粘着剤組成物の第1態様」の項で説明した任意の添加剤やカップリング剤を含むことができる。
(c)粘着剤組成物の調製方法
各態様の粘着剤組成物は、上記した各成分を混合し、必要に応じて混合ないし分散して調製することができる。混合ないし分散方法は、特に限定されるものではなく、例えば特開2014−234460号公報等で開示される従来公知の混練分散機などが適用できる。
また、粘着剤組成物は、粘度調整のために、希釈溶媒を加えて各成分を混合してもよい。
(d)その他
本態様の粘着層は、上述した粘着剤組成物により形成されることで、高耐熱性を示すことができる。本態様の粘着層が高耐熱性を示すとは、具体的には、本態様の粘着層の重量減少率が1%〜10%の範囲内、好ましくは2.5%未満であることをいう。
上記重量減少率は、粘着層の単体について熱重量−示差熱装置(TG−DTA)を用いて測定し算出される値であり、具体的には、窒素雰囲気下(ガス流量:150ml/min)で、昇温速度10℃/minで30℃から250℃まで昇温させた時点での重量変化量を測定し、下記式から重量減少率を算出した。30℃での粘着層の重量(W1)と、250℃での粘着層の重量(W2)とを測定し、下記式から算出される。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
また、本態様の粘着層は、上述した各粘着剤組成物により形成されることで、低アウトガス性を示すことができる。本態様の粘着層が低アウトガス性を示すとは、粘着層を200℃で0.5時間加熱したときのアウトガス発生量が15μg/cm以下、好ましくは10μg/cm以下、さらに好ましくは5μg/cm以下であることをいう。
上記アウトガス発生量は、基材としてポリイミドフィルムを用いた本発明における粘着性基材を、幅10mm、長さ10mmのサイズに切断して測定サンプルとして以下の方法にて測定および算出した値である。なお、同条件下におけるポリイミドフィルム単体からのアウトガス発生量は0.3μg/cm未満であり無視できる量であるため、上記測定サンプルでのアウトガス発生量を、粘着層のアウトガス発生量とする。
(測定方法および算出方法)
パージ&トラップヘッドスペースサンプラーにより、上記測定サンプルを200℃で0.5時間加熱し、発生したガス(アウトガス)をトラップした後、このトラップされた成分についてガスクロマトグラフ質量分析計により分離測定を行った。
発生したガスの量を、n−ヘキサデカン標準による換算値として粘着層の単位面積当たりの値に換算し、粘着層のアウトガス発生量(200℃にて0.5時間加熱した際に発生するアウトガス発生量、単位:μg/cm)として算出した。
本態様の粘着層の厚さとしては、所望の粘着力を示すことが可能な大きさであればよく、例えば3μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜30μmの範囲内が好ましい。
(2)粘着層の第2態様
粘着層の第2態様は、外部刺激を受けることで剥離する粘着層である。本態様の粘着層は、その粘着力により機能層の積層に際し最下層となる第1機能層を十分に固定することが可能である。また、本態様の粘着層は、剥離工程において外部刺激を与えることで、粘着力が低下して剥離性が向上するため、積層体側に糊残りが生じることなく粘着性基材を容易に剥離可能となり、密着性や変形等による積層体への負担を低減することができる。
なお、本態様の粘着層のことを、「刺激応答型剥離性粘着層」と称する場合がある。
ここで、本態様の粘着層が外部刺激を受けることで剥離するとは、外部刺激を受ける前は、強粘着性を示して積層体を固定することができるが、外部刺激を与えると、粘着力が著しく低下して上記積層体から容易に剥離可能となることをいう。具体的には、外部刺激付与前の粘着層の粘着力が0.5N/25mm以上20N/25mm以下であり、外部刺激付与後の粘着層の粘着力が2.0N/25mm以下であることが好ましい。
上記粘着力は、ポリエステルフィルム(厚さ50μm)を基材とし、上記基材の片面に本態様の粘着層を後述する厚さの範囲内となるように形成した粘着性基材を用い、「(1)粘着層の第1態様」の項で説明した粘着力の測定方法と同様の方法で測定される。
本発明において外部刺激とは、例えば、加熱、エネルギー線の照射をいう。また、本態様の粘着層のうち、エネルギー線照射により剥離性が発現するものを「刺激応答型剥離性粘着層の第1態様」、加熱により剥離性が発現するものを「刺激応答型剥離性粘着層の第2態様」と称する。
以下、刺激応答型剥離性粘着層について、態様ごとに説明する。
(a)刺激応答型剥離性粘着層の第1態様
刺激応答型剥離性粘着層の第1態様は、エネルギー線照射により剥離する粘着層である。
上記粘着層は、エネルギー線の照射を受けることで粘着力が低下し、剥離性が発現する。このような粘着層を、「エネルギー線応答型剥離性粘着層」と称する場合がある。
エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波のほか、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられる。中でも汎用性等の観点から、紫外線が好ましい。
エネルギー線応答型剥離性粘着層の組成としては、エネルギー線照射前後で上述の粘着力を示すものであればよく、例えば樹脂(粘着主剤)、エネルギー線重合性オリゴマー、および重合開始剤を少なくとも含む組成とすることができる。このような組成とすることでエネルギー線の照射によりエネルギー線応答型剥離性粘着層に含まれるエネルギー線重合性オリゴマーが硬化して、粘着力を低下させることができるからである。また、このとき凝集力が高まるため、積層体への転着が生じにくくなり、エネルギー線応答型剥離性粘着層の剥離が容易になるからである。
上記樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等、一般に粘着剤の主剤として用いられる樹脂が挙げられるが、中でもアクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂の耐熱性により、エネルギー線応答型剥離性粘着層の耐熱性および低アウトガス性が向上し、複数の機能層の積層の際に高温に曝される場合であっても、上記エネルギー線応答型剥離性粘着層の劣化および粘着性の低下、ならびにアウトガスの発生による成膜環境の悪化や機能層の劣化を防止することができるからである。
したがって、エネルギー線応答型剥離性粘着層の好適な組成としては、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤および架橋剤を含むものとすることができる。
なお、上記エネルギー線応答型剥離性粘着層において、上記アクリル系樹脂は、通常、上記架橋剤によりアクリル系樹脂間が架橋されてなる架橋体として存在するが、上記架橋体と共にアクリル系樹脂の単体が含まれていてもよい。
また、このようなエネルギー線応答型剥離性粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含むものが挙げられる。
以下、上記粘着剤組成物に含まれる各組成について説明する。
(i)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂については、特に限定されず、例えば(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させた(メタ)アクリル酸エステル重合体、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させた(メタ)アクリル酸エステル共重合体が挙げられるが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルおよび他の単量体の具体例としては、例えば特開2012−31316号公報に開示されるものが挙げられる。他の単量体は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ここでの主成分とは、共重合割合が51質量%以上であることを意味し、好ましくは65質量%以上である。
中でも上記アクリル系樹脂として、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、上記(メタ)アクリル酸エステルと、共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合により得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体、または(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、上記(メタ)アクリル酸エステルと、共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体を好適に用いることができる。
共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとしては、特に限定されず、例えば特開2012−31316号公報等に開示される水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーが用いられる。
上記アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、20万〜100万の範囲内であることが好ましく、中でも20万〜80万の範囲内であることが好ましい。アクリル系樹脂の質量平均分子量を上記範囲内とすることで、十分な粘着力を発揮可能なエネルギー線応答型剥離性粘着層とすることができるからである。
上記アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとの(メタ)アクリル酸エステル共重合体である場合、上記水酸基含有モノマーと上記カルボキシル基含有モノマーとの質量比としては、51:49〜100:0の範囲内であることが好ましく、中でも75:25〜100:0であることが好ましい。各モノマーの重量比が上記範囲内であれば、剥離工程において積層体側への糊残りの発生を防ぐことができ、また、エネルギー線照射による効果的な粘着力の低下が期待できる。
なお、主成分とは、共重合割合が51質量%以上であることを意味し、好ましくは65質量%以上である。
(ii)エネルギー線重合性オリゴマー
エネルギー線重合性オリゴマーは、エネルギー線の照射を受けて重合し得るものであれば特に限定されず、例えば、光ラジカル重合性、光カチオン重合性、光アニオン重合性等のオリゴマーが挙げられる。中でも、光ラジカル重合性オリゴマーが好ましい。硬化速度が速く、また、多種多様な化合物から選択することができ、更には、硬化前の粘着性や硬化後の剥離性等の物性を容易に制御することができるからである。
光ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば特開2012−31316号公報に開示されるものが挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エネルギー線重合性オリゴマーの質量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、例えば250〜8000の範囲内、中でも250〜5000の範囲内であることがより好ましい。質量平均分子量が上記範囲内であれば、エネルギー線応答型剥離性粘着層がエネルギー線照射前には所望の粘着力を示し、エネルギー線照射後には、積層体側に糊残りが生じることなく、容易に剥離可能となるからである。
粘着剤組成物は、エネルギー線重合性オリゴマーの量を調整することにより、エネルギー線照射後のエネルギー線応答型剥離性粘着層の粘着力の制御が可能となる。
粘着剤組成物中のエネルギー線重合性オリゴマーの含有量としては、アクリル系樹脂100重量部に対して、10重量部〜60重量部であることが好ましく、中でも20重量部〜50重量部であることが好ましい。上記含有量が上記範囲内であれば、エネルギー線照射後のエネルギー線応答型剥離性粘着層の架橋密度が十分となるので、所望の剥離性を実現することができる。また、凝集力の低下により積層体側へ糊残りが生じるのを防止することができる。
(iii)重合開始剤
上記重合開始剤としては、一般的な光重合開始剤を用いることができるが、中でも、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下、特に20%以下である光重合開始剤が好ましい。このような光重合開始剤を選択することで、粘着性基材上に複数の機能層を形成する際に高温に曝される場合であっても、エネルギー線応答型剥離性粘着層の粘着力の低下を防ぐことができる。
なお、上記重量減少率は、市販の熱重量測定装置、例えば、島津製作所社製のDTG−60Aを用いて重量を測定することにより求めることができる。具体的には、上記重合開始剤を分析(雰囲気ガス:窒素、ガス流量:50ml/min、温度範囲:30℃〜190℃、昇温条件:10℃/min)し、30℃における上記重合開始剤の重量(W1)と、190℃に到達して30分経過後における上記重合開始剤の重量(W2)とを測定し、下記式から算出される。
重量減少率(%)=[(W1(g)−W2(g))/W1(g)]×100
このような重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE754(BASF ジャパン社製)、IRGACURE2959(BASF ジャパン社製)等が挙げられる。
粘着剤組成物中の重合開始剤の含有量としては、エネルギー線重合性オリゴマーを十分に硬化させることが可能な量であればよく、アクリル系樹脂およびエネルギー線重合性オリゴマーの合計100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲内、中でも0.5重量部〜3重量部の範囲内であることが好ましい。重合開始剤の含有量が上記範囲に満たないと、エネルギー線重合性オリゴマーの重合が十分起こらず、エネルギー線照射後のエネルギー線応答型剥離性粘着層の粘着力が過剰に高くなり、剥離性を実現することができない場合があり、一方、上記範囲を越えると、エネルギー線照射面の近傍にしかエネルギー線が届かず、エネルギー線応答型剥離性粘着層の硬化が不十分となる場合がある。また、凝集力が低下し、剥離工程において積層体側へ糊残りが発生する原因となる場合もある。
なお、粘着剤組成物に、エネルギー線重合性オリゴマーと後述するエネルギー線重合性モノマーとを含有する場合には、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、およびエネルギー線重合性モノマーの合計100重量部に対して、重合開始剤の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
(iv)架橋剤
上記架橋剤は、少なくともアクリル系樹脂間を架橋するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤の具体例としては、例えば特開2012−31316号公報に開示されるものが挙げられる。
上記架橋剤は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができ、アクリル系樹脂の種類等に応じて、適宜選択することができる。
粘着剤組成物中の架橋剤の含有量としては、架橋剤の種類に応じて適宜設定することができるが、例えばアクリル系樹脂100重量部に対して0.01重量部〜15重量部の範囲内、中でも0.01重量部〜10重量部の範囲内が好ましい。
架橋剤の含有量が上記範囲に満たないと、エネルギー線応答型剥離性粘着層と第1機能層および基材との密着性が劣る場合や、剥離工程において積層体を剥離する際にエネルギー線応答型剥離性粘着層が凝集破壊を起こし、積層体側へ糊残りが生じる場合がある。一方、架橋剤の含有量が上記範囲を超えると、エネルギー線照射後のエネルギー線応答型剥離性粘着層中に上記架橋剤が未反応モノマーとして残留することで、凝集力の低下により糊残りの発生の原因となる場合がある。
(v)任意の組成
上記粘着剤組成物は、上述のエネルギー線重合性オリゴマー以外にエネルギー線重合性モノマーを含有してもよい。エネルギー線を照射した際に、粘着剤組成物を3次元架橋により硬化させて粘着力を低下させるとともに、凝集力を高めて積層体側に転着させないようにすることができるからである。
エネルギー線重合性モノマーとしては、光ラジカル重合性モノマーが好ましく、中でも一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能性アクリレートや多官能性メタクリレートが好ましい。具体的には、特開2012−31316号公報に開示されるエネルギー線重合性モノマーが挙げられる。
粘着剤組成物中に、上記エネルギー線重合性オリゴマーと上記エネルギー線重合性モノマーとが含有される場合には、その合計含有量としては、アクリル系樹脂100重量部に対して、10重量部〜60重量部の範囲内、中でも20重量部〜50重量部の範囲内であることがより好ましい。エネルギー線照射後の架橋密度が十分になり、エネルギー線応答型剥離性粘着層が適正な剥離性を実現することができ、また、凝集力の低下により、粘着性基材の剥離の際に積層体側への糊残りを生じにくくすることができるからである。
粘着剤組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、粘着付与剤、金属キレート剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、着色剤、耐電防止剤、防腐剤、消泡剤、ぬれ性調整剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、エネルギー線応答型剥離性粘着層の再剥離性を向上させるために、フッ素系樹脂等の樹脂を含んでいてもよい。
(vi)好適な粘着剤組成物
エネルギー線応答型剥離性粘着層を形成する粘着剤組成物は、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤および架橋剤を含むことが好ましいが、中でも、以下に示す特定の粘着剤組成物であることが好ましい。
すなわち、好適な粘着剤組成物の第1態様としては、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含み、上記アクリル系樹脂が、質量平均分子量が20万〜100万の範囲内であり、且つ、アクリル酸エステルを主成分とし、上記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合により得られるものであり、上記重合開始剤は、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であることが好ましい。
また、好適な粘着剤組成物の第2態様としては、アクリル系樹脂、エネルギー線重合性オリゴマー、重合開始剤、および架橋剤を含み、上記アクリル系樹脂が、質量平均分子量が20万〜100万の範囲内であり、且つ、アクリル酸エステルを主成分とし、上記アクリル酸エステルと共重合可能な水酸基含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるものであり、上記水酸基含有モノマーと上記カルボキシル基含有モノマーとの質量比が51:49〜100:0の範囲内であり、上記重合開始剤は、昇温速度10℃/minで30℃から190℃まで昇温させ、190℃にて30分間維持した際の熱重量測定による重量減少率が50%以下であることが好ましい。
上述の粘着剤組成物を用いることで、エネルギー線応答型剥離性粘着層の耐熱性および低アウトガス性がさらに向上し、複数の機能層の積層の際に高温に曝される場合であっても、上記エネルギー線応答型剥離性粘着層の劣化および粘着性の低下、ならびにアウトガスの発生による成膜環境の悪化や機能層の劣化を防止することができるからである。
(vii)調製方法
粘着剤組成物の調製方法としては、上述の微粘着性を示す粘着層を形成する粘着剤組成物の調製方法と同様とすることができる。
(b)刺激応答型剥離性粘着層の第2態様
刺激応答型剥離性粘着層の第2態様は、加熱により剥離する粘着層である。
上記粘着層は、加熱により粘着力が低下し、剥離性が発現する。このような粘着層を、「熱応答型剥離性粘着層」と称する場合がある。
熱応答型剥離性粘着層の形成に用いられる粘着剤組成物としては、加熱前後で上述の粘着力を示すものであればよいが、例えば、アクリル系樹脂等の粘着主剤となる樹脂に、マイクロカプセルや発泡剤等の熱膨張剤が含有された公知の組成物、粘着主剤として熱溶融アクリル系樹脂や熱溶融エポキシ樹脂等の熱溶融型樹脂を含む組成物等が挙げられる。
(c)その他
本態様の粘着層は、所望の組成を含む粘着剤組成物により形成されることで高耐熱性および低アウトガス性を示すことが好ましい。本態様の粘着層の高耐熱性および低アウトガス性については、上述の「(1)粘着層の第1態様」の項で説明した第1態様の粘着層の高耐熱性および低アウトガス性の定義と同様とすることができる。
本態様の粘着層の厚さとしては、十分な粘着力が得られ、且つ、外部刺激を十分に受けることが可能な大きさであればよい。すなわち、本態様の粘着層がエネルギー線応答型剥離性粘着層であれば、エネルギー線が内部まで透過することが可能な大きさであればよく、また、本態様の粘着層が熱応答型剥離性粘着層であれば、内部まで伝熱が可能な大きさであればよい。具体的には、本態様の粘着層がエネルギー線応答型剥離性粘着層であれば、上記厚さとしては、3μm〜50μmの範囲内、中でも5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
2.基材
基材としては、粘着層および後述する工程により形成される積層体を支持することが可能であれば、特に限定されない。上記基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよい。この様な基材としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の無機基材、樹脂フィルム、光学用樹脂板、エポキシガラス(ガラエポ)等の樹脂基材等を挙げることができる。
可撓性を有する基材を用いる場合は、例えば、基材に対して面方向に張力を掛けることで、粘着性基材の平面性を保持することが可能となり、第1機能層を均質に成膜することができる。また、上記粘着性基材上に形成される積層体全体の平面性を保持することも可能となる。
上記基材は、透明性を有していてもよく有していなくてもよい。粘着層がエネルギー線応答型剥離性粘着層である場合は、基材側からエネルギー線応答型剥離性粘着層の粘着力を低下させるのに十分なエネルギー線を照射可能とするために、上記基材は透明性を有することが好ましい。このときの基材の透過率については、エネルギー線が透過可能であればよく、適宜設定することができる。
上記基材は、粘着層との密着性を高めるため、粘着層が形成される面にコロナ処理やプライマー処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記基材の厚さについては、特に限定されず、材質、可撓性の有無、粘着層の種類等に応じて適宜選択することができる。
基材の形態としては特に限定されず、可撓性の有無に応じて、例えば板状、シート状、フィルム状、テープ状等が挙げられる。また、上記基材は、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。
上記基材は必要に応じて耐熱性を有していてもよい。基材の耐熱性としては、基材材料の150℃から250℃の範囲内における熱膨張係数が5ppm/℃〜50ppm/℃の範囲内、中でも10ppm/℃〜30ppm/℃の範囲内であることが好ましい。
3.粘着性基材の形成方法
本工程における粘着性基材は、粘着層の種類にもよるが、通常、基材の一方の面上に粘着剤組成物を塗布して形成することができる。粘着剤組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば特開2014−234460号公報で開示される塗布方法を適用することができる。
基材上に第1態様の粘着層を形成する場合であれば、粘着剤組成物の種類に応じて粘着剤組成物の塗布後、加熱や光照射により硬化させる方法が用いられる。
第1態様の粘着剤組成物を用いて微粘着層を形成する場合、上記粘着剤組成物を塗布し、加熱により塗布層内のエポキシ熱硬化性樹脂を硬化させる。加熱温度としては、例えば50℃〜150℃程度、好ましくは90℃〜120℃程度である。また、加熱時間は、加熱温度により適宜調整することができる。例えば、加熱温度が90℃〜150℃の範囲内であれば、加熱時間は1分〜240分の範囲内、好ましくは数分〜60分の範囲内である。また、加熱温度が50℃〜90℃の範囲内であれば、加熱時間は24時間〜168時間、好ましくは48時間〜120時間である。
また、第2態様の粘着剤組成物を用いて微粘着層を形成する場合、粘着剤組成物の塗布後、上記塗布層に光を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。光照射の条件については、光硬化性樹脂の種類に応じて適宜設定される。第2態様の粘着剤組成物は架橋剤を含むことから、塗布層の乾燥に際し、層内にてアクリル系樹脂間で架橋が形成される。上記塗布層は加熱してもよい。アクリル系樹脂の架橋反応を促進させることができるからである。加熱温度については適宜設定することができる。
一方、基材上に第2態様の粘着層を形成する場合は、粘着剤組成物を塗布後、乾燥させる。塗布層の乾燥に際し、層内にてアクリル系樹脂間で架橋が形成される。乾燥条件等については特に限定されない。
B.積層工程
本発明における積層工程は、上記粘着性基材の上記粘着層上に複数の機能層を積層して、上記粘着性基材上に積層体を形成する工程である。
以下、本工程における機能層について、粘着層上と直に接する「第1機能層」と、第1機能層以外の「他の機能層」とに分けて説明する。
1.第1機能層
本工程において形成される第1機能層は、粘着性基材上に形成される積層体を構成する複数の機能層のうち、上記粘着層上と直に接する層である。
上記第1機能層は、本発明により製造される積層体の用途に応じて選択される。また、第1機能層の形成に用いられる機能層形成用組成物(以下、第1機能層形成用組成物と称する場合がある。)については、第1機能層の種類や成膜方法に応じて適宜選択することができる。
例えば、本発明により製造される積層体を有機デバイスとして用いる場合は、上記第1機能層としては、ソース電極およびドレイン電極、またはゲート電極等の電極層、有機半導体層、ゲート絶縁層等が挙げられる。有機半導体層が複数の有機層から構成される場合は、上記複数の有機層のうち、粘着性基材側に位置する最外の有機層が第1機能層となる。
本発明により製造される積層体を有機デバイスとして用いる場合の、第1機能層、第1機能層形成用組成物、および第1機能層の形成方法に関する詳細については、「II.有機デバイスの製造方法」の項で説明するため、ここでの説明は省略する。
また、本発明により製造される積層体を、例えば、熱転写フィルムや加飾フィルムとして用いる場合は、積層体のうち積層方向の一方の最外層となる層を第1機能層とすることができる。
例えば、本発明の製造方法を用いて、表面保護層、プライマー層、および接着層がこの順で積層されてなる熱転写フィルムを製造する場合、上記第1機能層としては、表面保護層が挙げられる。このとき、本発明における粘着性基材を熱転写フィルムにおける基材フィルムとして用いることができ、得られた熱転写フィルムを被転写体に転写する際に、容易に剥離が可能となる。
また、本発明の製造方法を用いて、加飾層および接着層が積層されてなる加飾フィルムや、上記加飾層上に更に表面保護層を有する加飾フィルムを製造する場合、上記第1機能層としては、加飾層や表面保護層が挙げられる。
上記第1機能層が表面保護層の場合、その形成に用いられる第1機能層形成用組成物としては、例えば、特開2014−208493号公報や特許第5578030号公報等に開示される表面保護層の形成用組成物が挙げられる。また、上記第1機能層が加飾層である場合、その形成に用いられる第1機能層形成用組成物としては、例えば、特許第5578030号公報等に開示される金属薄膜層や印刷層等の形成用組成物が挙げられる。
2.他の機能層
本工程により形成される他の機能層は、得られる積層体の用途に応じて適宜選択される。また、他の機能層の形成に用いられる機能層形成用組成物については、他の機能層の種類や、成膜方法に応じて適宜選択することができる。
例えば、本発明により製造される積層体を有機デバイスとして用いる場合、上記他の機能層としては、粘着性基材上に形成された第1機能層の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、有機半導体層、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極、またはゲート電極等の電極層等が挙げられる。有機半導体層が複数の有機層から構成される場合は、上記複数の有機層のうち、粘着性基材側に位置する最外の有機層以外の層が他の機能層となる。
本発明により製造される積層体を有機デバイスとして用いる場合の、他の機能層およびその形成方法に関する詳細については、「II.有機デバイスの製造方法」の項で説明するため、ここでの説明は省略する。
また、本発明により製造される積層体を、例えば、熱転写フィルムや加飾フィルムとして用いる場合、他の機能層としては、積層体の種類や層構成に応じて適宜とすることができる。例えば、本発明の製造方法を用いて、表面保護層、プライマー層、および接着層がこの順で積層されてなる熱転写フィルムを製造する場合、他の機能層としては、プライマー層、接着層が挙げられる。また、本発明の製造方法を用いて、加飾層および接着層が積層されてなる加飾フィルムや、上記加飾層上に更に表面保護層を有する加飾フィルムを製造する場合、他の機能層としては、接着層や加飾層が挙げられる。
これらの各種機能層の形成に用いられる機能層形成用組成物としては、例えば、特開2014−208493号公報や特許第5578030号公報等に開示される各層の形成用組成物が挙げられる。
本工程により形成される他の機能層は、1種であってもよく、複数であってもよい。
3.積層体の形成方法
本工程における積層体の形成方法としては、複数の機能層を積層させることが可能な方法であればよい。例えば、機能層形成用組成物を用いて上記粘着性基材上に湿式法や乾式法により機能層を順に形成することで、複数の機能層を積層させて積層体を形成することができる。また、機能層形成用組成物により別途、シートやフィルム状の機能層を形成し、それを上記粘着性基材上に積層させることで積層体を形成してもよい。
各機能層の形成方法として湿式法、乾式法の何れかを用いる場合は、各機能層の形成に用いられる機能層形成用組成物の組成に応じて、形成方法を適宜選択することができる。例えば、機能層形成用組成物が有機物であれば、湿式法を好適に用いることができ、機能層形成用組成物が無機物であれば、乾式法を好適に用いることができる。
乾式法としては、例えば、プラズマCVD法、熱CVD法、レーザーCVD法等のCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、電解メッキ法、浸漬メッキ法、無電解メッキ法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法等を挙げることができる。
乾式法により機能層を形成する場合、機能層形成用組成物を粘着層、第1機能層、または他の機能層等の対象層上の全面に塗布後、従来公知の方法でパターニングして、パターン状の機能層を形成してもよい。
一方、湿式法としては、例えば、ナイフコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、キャスト法、スクリーン印刷等の公知の塗布法が挙げられる。
塗布法により機能層を形成する場合、機能層形成用組成物は、粘着層、第1機能層、または他の機能層等の対象層上の全面に塗布してもよく、パターン状に塗布してもよい。
本工程において、少なくとも第1機能層が湿式法または乾式法で形成されることが好ましい。粘着性基材上に湿式法または乾式法で第1機能層を形成する場合であっても、粘着層の再剥離性により、積層体を破損することなく粘着性基材から容易に剥離することが可能となり、本発明による効果をより奏しやすくなるからである。中でも少なくとも第1機能層が湿式法により形成されることが好ましい。
第1機能層以外の他の機能層については、湿式法で形成されてもよく、乾式法で形成されてもよく、シートやフィルム状の機能層を貼り付けてもよいが、第1機能層を含む全ての機能層が湿式法により形成されることがより好ましい。乾式法に比べて設備的に簡素なもので済み、また工程時間の短縮が可能になるからである。
C.剥離工程
本発明における剥離工程は、上記積層体から上記粘着性基材を剥離する工程である。本工程により、粘着性基材が剥離されることで、基材レスの積層体を得ることができる。
上記粘着性基材の剥離方法については、積層体と粘着性基材の粘着層との界面で剥離可能な方法であればよく、粘着層の組成等に応じて適宜選択することができる。
第1態様の粘着層であれば、粘着性基材の粘着層と積層体との層間に力を加える方法が挙げられる。具体的には、粘着性基材を手や機械で剥離する方法、積層体の上記粘着性基材側と反対側の表面に被転写体を貼合し、粘着性基材をエア等で吸着して剥離する方法、積層体の上記粘着性基材側と反対側の表面に、粘着層よりも粘着力の強い強粘着層を有する被転写体を貼合し、粘着層と強粘着層との粘着力の差を利用して、粘着性基材を剥離する方法等を用いることができる。
一方、第2態様の粘着層であれば、上記粘着層に所望の外部刺激を与え、粘着力が低下した上記粘着層を所望の方法で剥離する方法が挙げられる。
外部刺激の付与条件については、外部刺激の付与条件については、外部刺激により上記粘着層の粘着力が低下し、剥離性を発現可能な条件であればよく、上記粘着層の種類や厚さ等に応じて、適宜設定することができる。例えば、エネルギー線応答型剥離性粘着層であれば、特開2012−031316号公報に記載の照射条件を適用することができる。
D.その他の工程
本発明の積層体の製造方法は、上述した各工程の他に、積層体を封止部材で封止する封止工程等を有していてもよい。積層体の表面を封止部材で封止することで、上記積層体を外部からの応力や、湿気や汚染物質から守るという利点を有する。
封止工程は、剥離工程の前後を問わず実施することが可能であるが、生産及び作業性の観点から剥離工程前に実施することが好ましい。
封止工程にて形成される封止部材としては、従来公知の積層体の封止部材と同様とすることができる。
また、本発明においては、剥離工程後に、上記積層体の上記粘着層と接していた面上に、配線を形成する配線形成工程を有していてもよい。積層体の用途や使用態様等に応じて、所望の位置に後から配線を形成することが可能となる。
配線の形成に用いられる材料については、一般的な配線材料と同様とすることができる。また、配線の形成方法については、スクリーン印刷等の従来公知の配線形成方法を用いることができる。
E.用途
本発明により製造される積層体は、有機薄膜太陽電池、有機EL素子、有機半導体素子、発光ダイオード、光センサー、有機EL照明等の有機デバイス、熱転写フィルムや加飾フィルム等として用いることができる。
すなわち、本発明の積層体の製造方法は、これら有機デバイスやフィルム等の製造方法として好適に用いることができる。
II.有機デバイスの製造方法
本発明の有機デバイスの製造方法は、上述の「I.積層体の製造方法」を用いる製造方法であって、上記積層体が有機デバイスであることを特徴とする製造方法である。
本発明により製造される有機デバイスは、複数の機能層の種類に応じて適宜選択することができ、具体的な有機デバイスについては上述の「I.積層体の製造方法 E.用途」の項で説明したものが挙げられる。
以下、本発明の有機デバイスの製造方法について、有機デバイスが有機半導体素子である場合(第1態様)、および有機デバイスが有機EL素子である場合(第2態様)を説明する。
A.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機デバイスの製造方法の第1態様(以下、本項内において本態様(の製造方法)とする場合がある。)は、有機半導体素子の製造方法であって、基材および上記基材の一方の面上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する準備工程と、上記粘着性基材の上記粘着層上にソース電極およびドレイン電極を形成し、上記ソース電極および上記ドレイン電極上に、有機半導体層、ゲート絶縁層、およびゲート電極をこの順で積層して、上記粘着性基材上に有機半導体素子を形成する積層工程と、上記有機半導体素子から上記粘着性基材を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
本態様の製造方法について、図を参照して説明する。図2は、本態様の製造方法の一例を示す工程図であり、有機デバイスが有機半導体素子である例を示すものである。
本態様の製造方法は、まず、基材11および基材11の一方の面上に形成された粘着層12を有する粘着性基材20を準備する(図2(a)、準備工程)。次に、粘着性基材20の粘着層12上に、第1機能層としてソース電極21Aおよびドレイン電極21Bを形成する。続いて、ソース電極21Aおよびドレイン電極21B上に、他の機能層として、有機半導体層22、ゲート絶縁層23、およびゲート電極24をこの順で積層して、粘着性基材20上に有機半導体素子30を形成する(図2(b)〜(e)、積層工程)。ソース電極21Aおよびドレイン電極21B、ならびに有機半導体層22、ゲート絶縁層23、およびゲート電極24は、湿式法で形成してもよく乾式法で形成してもよい。
続いて、有機半導体素子30Aから粘着性基材20を剥離することで、基材レスのトップゲート型有機半導体素子30を得ることができる(図2(f)、剥離工程)。
本態様によれば、粘着性基材の粘着層上に形成されるソース電極およびドレイン電極が、平面性を保持して固定されることで、上記ソース電極および上記ドレイン電極上に、有機半導体層等の他の機能層を精度よく位置決めして積層することができる。そして、剥離工程において有機半導体素子側に糊残りが生じることなく、粘着性基材を剥離することができる。これによりに、基材レスの有機半導体素子を簡便に製造することができる。
以下、本態様の製造方法について、工程ごとに説明する。なお、準備工程および剥離工程については、上述の「I.積層体の製造方法」で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.積層工程
本態様における積層工程は、上記粘着性基材の上記粘着層上にソース電極およびドレイン電極を形成し、上記ソース電極および上記ドレイン電極上に、有機半導体層、ゲート絶縁層、およびゲート電極をこの順で積層して、上記粘着性基材上に有機半導体素子を形成する工程である。
(1)ソース電極およびドレイン電極
本工程において、ソース電極およびドレイン電極は、上記粘着性基材の上記粘着層上に形成される。ソース電極およびドレイン電極は、「I.積層体の製造方法」における第1機能層に相当する。
ソース電極およびドレイン電極の形成に用いられる材料としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、湿式法または乾式法が適用可能な材料が好ましく、例えば、特開2012−216683号公報に開示される金属やそれら金属を含む合金、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛(IZO)等の金属酸化物、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料などが挙げられる。
本工程におけるソース電極およびドレイン電極の形成方法としては、使用する材料に応じて適宜選択することができ、湿式法または乾式法といった一般的な電極の形成方法を用いることができる。乾式法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法、CVD法等、具体的には、蒸着法等を用いて導電層を形成してエッチングする方法や、マスクを用いてパターン状に蒸着する方法等が挙げられる。湿式法としては、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
本工程において形成されるソース電極およびドレイン電極の厚さとしては、電極として機能可能な厚さであれば特に限定されず、例えば0.01μm〜1μmの範囲内とすることができる。ソース電極の厚さおよびドレイン電極の厚さは同一であってもよく異なっていてもよい。
ソース電極およびドレイン電極は、通常、ソース電極およびドレイン電極間に所望のチャネル領域を有するように形成される。上記チャネル領域の大きさとしては、得られる有機半導体素子の用途等に応じて適宜選択される、特に限定されるものではない。また、上記チャネル領域の幅としては、チャネル領域内に有機半導体層を形成可能な程度であれば特に限定されず、例えば1μm〜100μmの範囲内とすることができる。
(2)有機半導体層
本工程において、有機半導体層は、上記ソース電極および上記ドレイン電極と接するようにして粘着性基材の粘着層上に形成される。有機半導体層は、「I.積層体の製造方法」における他の機能層に相当する。
上記有機半導体層は、有機半導体材料を用いて形成される。上記有機半導体材料としては、所望の半導体特性を発現し得る材料であれば特に限定されるものではなく、一般的な有機半導体素子に用いられる有機半導体材料を用いることができる。例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、特開2012−234923号公報、特開2009−87996号公報等に開示される低分子系または高分子系有機半導体材料が挙げられる。中でも、高分子系有機半導体材料であることが好ましい。高分子系有機半導体材料は、湿式法による成膜を容易に行うことができるからである。
本工程における上記有機半導体層の形成方法としては、真空蒸着法、CVD法、PVD法等の乾式法であってもよく、上記有機半導体材料を溶媒に分散もしくは溶解させて、有機半導体層形成用塗工液を調製し、これを塗布する湿式法であってもよい。塗布方法としては、一般的な有機半導体素子における有機半導体層の形成に用いられる従来公知の塗布方法を適用することができ、例えば、特開2012−234923号公報で開示される方法が挙げられる。
本工程においては、上記ソース電極および上記ドレイン電極と接するようにして上記有機半導体層を形成すればよいが、中でも、ソース電極およびドレイン電極の上面および側面を覆うように上記有機半導体層を形成することが好ましい。ソース電極およびドレイン電極の酸化を抑制することができるからである。
また、有機半導体層の形成領域としては特に限定されるものではなく、例えば、図2(c)に示すように、ソース領域25Aおよびドレイン領域25Bならびにチャネル領域26にわたって有機半導体層6を形成してもよく、図示しないがチャネル領域のみに有機半導体層を形成してもよい。
本工程において形成される有機半導体層は、p型半導体層であってもよくn型半導体層であってもよい。また、上記有機半導体層の厚さとしては、所望の半導体特性を発現できる範囲であればよく、例えば1nm〜1000nの範囲内とすることが好ましい。
(3)ゲート絶縁層
本工程において、ゲート絶縁層は、上記有機半導体層上に形成される。ゲート絶縁層は、「I.積層体の製造方法」における他の機能層に相当する。
ゲート絶縁層を形成する材料としては、一般的な有機半導体素子におけるゲート絶縁層の形成に用いられる材料と同様のものを用いることができ、例えば特開2012−234923号公報等で開示される絶縁性無機材料や絶縁性有機材料等を用いることができる。中でも、湿式法による成膜を容易に行うことができるという観点から、絶縁性有機材料が好適である。
上記ゲート絶縁層の形成方法としては、ゲート絶縁層を形成する材料に応じて適宜選択することができる。例えば、絶縁性無機材料を用いる場合は、CVD法、PVD法等の乾式法を好適に用いることができる。また、絶縁性有機材料を用いる場合は、上記絶縁性有機材料を所望の溶媒に分散または溶解させてゲート絶縁層形成用塗工液を調製し、所望の方法で塗布する湿式法を用いてもよい。塗布方法については、例えば特開2012−234923号公報で開示されるゲート絶縁層形成用塗工液の塗布方法を用いることができる。
上記ゲート絶縁層の形成位置としては、有機半導体層上であり、上記有機半導体層と後述するゲート電極との間を絶縁可能な位置であれば特に限定されない。
本工程において形成されるゲート絶縁層の厚みとしては、特に限定されないが、例えば10nm〜3000nmの範囲内で設定することができる。
(4)ゲート電極
本工程において、ゲート電極は、上記ゲート絶縁層上に形成される。ゲート電極は、「I.積層体の製造方法」における他の機能層に相当する。
ゲート電極を形成する材料としては、一般的な有機半導体素子におけるゲート電極の形成に用いられる導電性材料と同様のものを用いることができる。具体的には、特開2012−216683号公報に開示される金属やそれら金属を含む合金、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛(IZO)等の金属酸化物、グラフェン、カーボンナノチューブ等の炭素材料、PEDOT/PSS等の導電性高分子材料などが挙げられる。
上記ゲート電極の形成方法としては、ゲート電極の形成に用いられる材料の種類に応じて上述の「(1)ソース電極およびドレイン電極」の項で説明した乾式法や湿式法から適宜選択することができる。
本工程により形成されるゲート電極の厚みとしては、30nm〜500nm程度で設定することができる。
(5)その他
本工程においては、上述した機能層の他、パッシベーション層等の、一般に有機半導体素子に用いられる任意の機能層を形成してもよい。これらの機能層は、一般的に有機半導体素子に用いられる機能層と同様の方法で形成することができる。
本工程においては、少なくともソース電極およびドレイン電極を湿式法または乾式法で形成することが好ましく、中でも少なくともソース電極およびドレイン電極を湿式法で形成することが好ましく、さらにはソース電極およびドレイン電極、ならびに有機半導体層、ゲート絶縁層、およびゲート電極を湿式法で形成することが好ましい。粘着性基材の粘着層上にソース電極およびドレイン電極を湿式法または乾式法で形成することで、有機半導体素子を破損することなく粘着性基材から容易に剥離することができるからである。また、各層を湿式法で形成することで、真空装置等の大型かつ高価な設備を必要とせず、乾式法を用いる場合よりも低コストで製造できるからである。
3.有機半導体素子の製造方法の他の例
本態様の製造方法により得られる有機半導体素子は、トップゲート型構造を有するものであるが、以下の方法によりボトムゲート型の有機半導体素子を形成することも可能である。すなわち、ボトムゲート型の有機半導体素子の製造方法としては、基材および上記基材の一方の面上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する準備工程と、上記粘着性基材の上記粘着層上にゲート電極を形成し、上記ゲート電極上に、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極、ならびに有機半導体層をこの順で積層して、上記粘着性基材上に有機半導体素子を形成する積層工程と、上記有機半導体素子から上記粘着性基材を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
B.有機EL素子の製造方法
本発明の有機デバイスの製造方法の第2態様(以下、本項内において本態様(の製造方法)とする場合がある。)は、有機EL素子の製造方法であって、基材および上記基材の一方の面上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する準備工程と、上記粘着性基材の上記粘着層上に第1電極層を形成し、上記第1電極層上に、少なくとも発光層を含む有機EL層および第2電極層をこの順で積層して、上記粘着性基材上に有機EL素子を形成する積層工程と、上記有機EL素子から上記粘着性基材を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする製造方法である。
本態様の製造方法について、図を参照して説明する。図3は本態様の製造方法の一例を示す工程図であり、有機デバイスが有機EL素子である例を示すものである。
本態様の製造方法は、まず、基材11および基材11の一方の面上に形成された粘着層12を有する粘着性基材20を準備する(図3(a)、準備工程)。次に、粘着性基材20の粘着層12上に、第1機能層として第1電極層31を形成する。続いて第1電極層31上に、他の機能層として、少なくとも発光層を含む有機EL層32、および第2電極33をこの順で積層して、粘着性基材20上に有機EL素子40を形成する(図3(b)〜(c)、積層工程)。第1電極層31、有機EL層32、および第2電極33は、湿式法で形成してもよく乾式法で形成してもよい。
続いて有機EL素子40から粘着性基材20を剥離することで、基材レスの有機EL素子40を得ることができる(図3(d)、剥離工程)。
本態様によれば、粘着性基材の粘着層上に形成される第1電極層が、平面性を保持して固定されることで、上記第1電極層上に有機EL層等の他の機能層を位置決めの精度よく積層することができる。そして、剥離工程において有機EL素子側に糊残りが生じることなく、粘着性基材を剥離することができる。これにより、基材レスの有機EL素子を容易に製造することができる。
以下、本態様の製造方法について、工程ごとに説明する。なお、準備工程および剥離工程については、上述の「I.積層体の製造方法」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
1.積層工程
本態様における積層工程は、上記粘着性基材の上記粘着層上に第1電極層を形成し、上記第1電極層上に、少なくとも発光層を含む有機EL層および第2電極層をこの順で積層して、上記粘着性基材上に有機EL素子を形成する工程である。
(1)第1電極層
本工程において、第1電極層は、上記粘着性基材の上記粘着層上に形成される。第1電極層は、「I.積層体の製造方法」の項における第1機能層に相当する。
第1電極層の形成に用いられる材料としては特に限定されないが、湿式法または乾式法により第1電極の形成が可能な材料が好ましく、第1電極層が陽極であるか陰極であるかに応じて好適な材料が選択される。さらに第1電極層が光の取り出し側であるか否かによっても、好適な材料が選択される。
第1電極層が有機EL層に正孔を供給する陽極である場合、第1電極層の形成に用いられる材料としては、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀または金、およびそれらを含む合金、導電性金属酸化物(透明導電膜)、導電性無機化合物、導電性高分子等を挙げることができる。これらの材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、第1電極層側から光を取り出す場合、第1電極層は光透過性(透明性)を有する必要があることから、第1電極層の形成に用いられる材料としては、ITO、IZO等の金属酸化物が好ましい。
一方、第1電極層が陰極である場合、電子を注入しやすく、かつ光透過性の良好な材料が好ましく、例えば酸化リチウム、炭酸セシウム等が用いられる。
第1電極層の形成方法としては、使用する材料に応じて適宜選択することができ、湿式法または乾式法を用いる方法が挙げられる。乾式法としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。一方、湿式法としては、例えば塗布法やディップ法等が挙げられる。中でも湿式法で形成することが好ましい。その理由については、上述の「A.有機半導体素子の製造方法」の項で説明した理由と同様である。
本工程において形成される第1電極層は単層であってもよく、2層以上の層を積層させて形成してもよい。
また、第1電極層はパターン状に形成してもよい。第1電極層をパターン状に形成する方法としては、粘着性基材の粘着層上の全面に上述の成膜手段で第1電極層を形成し、その後にフォトリソグラフィでパターニングする方法、あるいは、粘着性基材の粘着層上にレジストパターンを形成し、その後にレジストパターンを含む全面に上記の成膜手段で第1電極層を形成し、リフトオフさせてパターニングする方法等を用いることができる。
ストライプ状の第1電極層のパターンのピッチは、等間隔であることが好ましい。また、パターン幅は、得られる有機EL素子の用途に応じて任意の値に設定することができる。
形成される第1電極層の厚さとしては、各々の電極に要求される透明性等により異なる。透明性が必要な場合には、第1電極層の可視光波長領域の光透過率が60%以上、好ましくは80%以上となることが望ましく、この場合の厚さは、通常10nm〜1000nm、好ましくは20nm〜500nm程度である。
(2)有機EL層
本工程により形成される有機EL層は、上記第1電極層上に形成され、少なくとも発光層を含む層であり、1層もしくは複数層の有機層から構成される。有機EL層は、「I.積層体の製造方法」における他の機能層に相当する。
有機EL層は少なくとも発光層を有するものであればよい。発光層以外の有機EL層を構成する有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等を挙げることができる。正孔輸送層は、正孔注入層に正孔輸送の機能を付与することにより、正孔注入層と一体化することもできる。
また、有機EL層を構成する有機層としては、正孔ブロック層や電子ブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
有機EL層の構成としては、一般的な構成であればよく、発光層のみ、正孔注入層/発光層、正孔注入層/発光層/電子注入層、正孔注入層/正孔ブロック層/発光層/電子注入層、正孔注入層/発光層/電子輸送層などを例示することができる。
有機EL層を構成する各有機層の形成に用いられる材料および形成方法については、一般的に有機EL素子の製造において用いられる方法と同様とすることができる。
各有機層の形成方法としては、その材料に応じて湿式法を用いてもよく乾式法を用いてよいが、中でも湿式法で形成することが好ましい。真空装置等の大型かつ高価な設備を必要とせず、乾式法を用いる場合よりも低コストで製造できるからである。
(3)第2電極層
本工程により形成される第2電極層は、上記有機EL層上に形成される。第2電極層は、「I.積層体の製造方法」の項における他の機能層に相当する。
第2電極層の形成に用いられる材料としては特に限定されないが、第2電極層が陽極であるか陰極であるかに応じて好適な材料が選択される。さらに第2電極層が光の取り出し側であるか否かによっても、好適な材料が選択される。具体的な材料については、「(1)第1電極層」の項で説明した材料と同様とすることができる。
なお、第2電極層の形成に用いられる材料は、第1電極層の形成に用いられる材料と仕事関数が異なる材料であることが好ましい。
第2電極層の形成方法、および得られる第2電極層の厚さ等については、適宜設計することができる。また、第2電極層をパターン状に形成してもよい。
(4)その他
本工程においては、上述した機能層の他、絶縁層等の一般的に有機EL素子に用いられる任意の機能層を形成してもよい。これらの機能層は、一般的に有機EL素子に用いられる機能層と同様の方法で形成することができる。
本工程においては、少なくとも第1電極層を湿式法または乾式法で形成することが好ましく、中でも少なくとも第1電極層を湿式法で形成することが好ましく、さらに第1電極層、有機EL層、および第2電極層を湿式法で形成することが好ましい。粘着性基材の粘着層上に第1電極層を湿式法または乾式法で形成することで、有機EL素子を破損することなく粘着性基材から容易に剥離することができるからである。また、各層を湿式法で形成することで、真空装置等の大型かつ高価な設備を必要とせず、乾式法を用いる場合よりも低コストで製造できるからである。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
以下の方法により、積層体を作製した。
なお、粘着剤組成物の各組成の物性、および粘着層の物性等の測定方法については、「A.準備工程」の項で説明した方法を用いた。
(粘着剤組成物の調製)
モノマー単位として、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを、それぞれ質量基準で50:40:0.5:9.5の割合で含むアクリル共重合体樹脂(質量平均分子量:20万、ガラス転移温度:6℃)を用いた。このアクリル共重合体樹脂の酢酸エチル溶液(固形分35質量%)を100重量部と、固体状エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:480g/eq.、質量平均分子量:900、商品名:jER1001、三菱化学社製)を14重量部と、硬化剤として2−メチル−4−エチルイミダゾール(商品名:キャアゾール2E4MZ、四国化成社製)を0.35重量部と、を、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT−11、質量比1:1、DICグラフィクス社製)に溶解させ、ディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
(粘着性基材の作製)
上記の得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより110℃で2分間乾燥させ、厚さ10μmの微粘着性を示す粘着層を形成した。形成した粘着層の面に、厚さ25μmのポリイミドフィルム基材(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)をラミネートし、60℃で120時間養生後、ポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が2.2μg/cm、初期粘着力が0.30N/25mmである粘着性基材を得た。
(積層工程および剥離工程)
次に、メッシュ数が325メッシュ/インチであり、線径が25μmのスクリーンを用いて、50mm×50mmの画線部が形成されたスクリーン版を作製した。
また、PEDOT(ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン)/PSS(ポリスチレンスルフォネート)(混合比:PEDOT/PSS=1/20、バイエル社製 Baytron PCH8000)3重量部と、水:イソプロピルアルコールからなる混合溶媒97重量部と、からなる正孔注入層用インキを調製した。
上記のスクリーン版をスクリーン印刷機に装着し、正孔注入層用インキを用いて粘着性基材の粘着層上にスクリーン印刷により50mm×50mmの正孔注入層(第1機能層)を形成した。
次に、グラビア版として、50mm×50mmの正方形のセル(セルの深さ25μm、L/Sが1)が周方向(印刷方向)に沿って形成されたグラビア版を作製した。
また、ポリフルオレン誘導体系の赤色発光材2.5重量部、メシチレン48.75重量部、およびテトラリン48.75 重量部からなる赤色発光層用インキを調製した。
上記のグラビア版と赤色発光層用インキを用いて、グラビアオフセット印刷により50mm×50mmの赤色発光層を正孔注入層上に形成した。
さらに、上記赤色発光層を形成した面側に、2.2mm幅のストライプ状の開口部を4mmピッチで備えたメタルマスクを介して真空蒸着法によりカルシウムを蒸着(蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜して、電子注入層を4mmピッチで10本形成した。
次に、上記電子注入層の形成に用いたメタルマスクをそのまま使用して、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着(蒸着速度=0.4nm/秒)して成膜し、上記電子注入層上に、アルミニウムからなる幅2.2mmのストライプ形状の電極層を形成した。
最後に、上記電極層を形成した面側に、紫外線硬化型接着剤を介して封止板を貼り合わせた後、上記粘着性基材を剥離することで、積層体を得た。
[実施例2]
下記の方法で粘着性基材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(粘着剤組成物の調製)
モノマー単位として、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、および2−ヒドロキシエチルアクリレートを、それぞれ質量基準で50:40:0.5:9.5の割合で含むアクリル共重合体樹脂(質量平均分子量:20万、ガラス転移温度:6℃)を用いた。このアクリル系共重合体樹脂の酢酸エチル溶液(固形分35質量%)を100重量部と、架橋剤としてイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)を2.4重量部と、光硬化性樹脂として10官能ウレタンアクリレート(商品名:U−10PA、新中村化学工業社製)を7重量部と、光開始剤(商品名:Irgcure819、BASF社製)を0.21重量部とを、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT−11、質量比1:1、DICグラフィクス社製)に溶解させ、固形分が25%となるようにディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
(粘着性基材の作製)
得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥し、次いで、波長365nmの紫外線を300mJ/cmで照射することにより光硬化性樹脂を硬化させて、厚さ10μmの微粘着性を示す粘着層を形成した。形成した粘着層の面に、厚さ25μmのポリイミドフィルム基材(商品名:カプトン100H、東レ・デュポン社製)をラミネートし、ポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が2.8μg/cm、初期粘着力が0.40N/25mmである粘着性基材を得た。
[実施例3]
下記の方法で、粘着性基材を作製および積層体から剥離したこと以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(粘着剤組成物の調製)
アクリル系粘着剤(商品名:N−4498、アクリル系ポリマー+エネルギー線重合性オリゴマー、アクリル系ポリマーの質量平均分子量:約40万、エネルギー線重合性オリゴマー:ポリウレタンアクリレートオリゴマー、アクリル系ポリマーにおける水酸基含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとの質量比:30/1、固形分:40%、日本合成化学社製)100重量部に対して、重合開始剤(商品名:IRGACURE754、光ラジカル発生剤、固形分:100%、BASFジャパン社製)を1.4重量部、および架橋剤(商品名:コロネートL、イソシアネート系架橋剤、固形分:75%、日本ポリウレタン社製)を1.5重量部配合し、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶媒(商品名:KT11、質量比1:1、DICグラフィックス株式会社製)180重量部で希釈し、ディスパーにて回転数500rpmで30分間撹拌した後、常温で気泡がなくなるまで放置することにより粘着剤組成物を得た。
(粘着性基材の作製)
得られた粘着剤組成物を、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施された厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名:SP−PET−01、三井化学東セロ社製)の易剥離処理面上にアプリケータを用いて全面塗工した後、乾燥オーブンにより100℃で2分間乾燥し、厚さ10μmの粘着層を形成した。上記粘着層は、エネルギー線照射により剥離する粘着層であった。形成した粘着層の面に、厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム基材(商品名:ルミラーS56、加熱収縮率(JIS C2151準拠,150℃×30min):MDが0.5%、TDが0.3%、膜厚:50μm、東レ社製)をラミネートし、40℃で72時間養生し、易剥離処理が施されたポリエステルフィルムを剥離することにより、アウトガス発生量が10μg/cm、初期粘着力が0.40N/25mm、重合開始剤の重量減少率が12%である粘着性基材を得た。
(剥離工程)
封止板を貼り合わせた後、粘着性基材側からフュージョン社製のH・バルブランプを光源とする紫外線を照射(積算光量500mJ/cm)して上記粘着性基材を剥離して、積層体を得た。
[評価]
実施例1〜3における粘着性基材上の粘着層は、一連の工程において、第1機能層を十分に固定することが可能な初期粘着力を示した。また、剥離工程において、積層体を破損することなく、粘着性基材を容易に剥離することができた。
さらに、実施例1〜3により得られた積層体について、第1機能層である正孔注入層の粘着性基材の粘着層と接触していた面上の糊残り(幅1mm以上)の有無を、光学顕微鏡(VHX−600、キーエンス社製、倍率200)にて確認したところ、積層体側への糊残りは発生していなかった。この結果から、上記粘着性基材は、一連の工程後に粘着層の凝集破壊を生じることなく剥離可能であり、基材レスの積層体を簡便に製造可能であることが示唆された。
1 … 機能層(第1機能層)
2、3 … 機能層(その他の機能層)
10 … 積層体
11 … 基材
12 … 粘着層
20 … 粘着性基材

Claims (4)

  1. 基材および前記基材の一方の面上に形成された粘着層を有する粘着性基材を準備する準備工程と、
    前記粘着性基材の前記粘着層上に複数の機能層を積層して、前記粘着性基材上に積層体を形成する積層工程と、
    前記積層体から前記粘着性基材を剥離する剥離工程と、
    を有する積層体の製造方法であり、
    前記積層工程において形成する複数の機能層のうち、前記粘着層と直接接する第1機能層を、前記粘着層上に湿式法または乾式法を用いて形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記粘着層が、微粘着性を示す粘着層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記粘着層が、外部刺激を受けることで剥離する粘着層であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記粘着層が、アクリル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の積層体の製造方法。
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