以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<粘着剤組成物>
本発明の粘着シートの形成に用いられる粘着剤組成物は、原料モノマーとして、少なくとも、炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーから構成される(メタ)アクリル系ポリマーを含有することを特徴とする。前記炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、被着体(被保護体)に対する粘着力を低く制御することが容易となり、軽剥離性や再剥離性に優れ、また、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、架橋の制御を容易に行うことができ、好ましい態様となる。なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含有し、原料モノマーの主成分として、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いるものであり、好ましくは、炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いるものである。前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種または2種以上を主成分として使用することができる。
前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
なかでも、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合には、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好適なものとしてあげられる。炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
特に、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量100重量%に対して、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは、60重量%以上、更に好ましくは、70重量%以上、最も好ましくは80〜93重量%である。50重量%未満になると、粘着剤組成物の適度な濡れ性や凝集力が劣ることになり、好ましくない。
また、本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含有し、原料モノマーとして、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いるものである。前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種または2種以上を主成分として使用することができる。
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、粘着剤組成物の架橋などを制御しやすくなり、ひいては流動による濡れ性の改善と剥離における粘着(接着)力の低減とのバランスを制御しやすくなる。さらに、一般に架橋部位として作用しうるカルボキシル基やスルホネート基などとは異なり、ヒドロキシル基は帯電防止剤であるイオン性化合物、およびオキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンと適度な相互作用を有するため、帯電防止性の面においても、好適に用いることができる。
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。特にアルキル基の炭素数が4以上のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることで高速剥離時の軽剥離化が容易となり好ましい。
前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、7重量部以上含有し、好ましくは、7〜15重量部、より好ましくは、7〜12重量部である。7重量部未満になると、詳細な理由は明らかではないが、前記(メタ)アクリル系ポリマーと共に、鉄を活性中心とする触媒や、イオン性化合物を使用する場合、架橋反応の進行が悪くなり、高速剥離時における粘着力が高くなり、軽剥離化が実現できなくなる傾向にあり、好ましくない。また、特にクリープ特性を向上させる場合には、11〜15重量部含有することが好ましい。
また、その他の重合性モノマー成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、カルボキシルペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などがあげられる。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーは、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、2重量部以下であることが好ましく、1重量部以下であることがより好ましく、0.9重量部未満がさらに好ましく、最も好ましくは、0.01重量部以上0.6重量部未満である。2重量部を超えると、極性作用が大きいカルボキシル基のような酸官能基が多数存在し、帯電防止剤としてイオン性化合物を配合する場合、前記イオン性化合物に、カルボキシル基等の酸官能基が相互作用することにより、イオン伝導が妨げられ、導電効率が低下し、十分な帯電防止性が得られなくなる恐れがあり、好ましくない。
更に、前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、本発明の特性を損なわない範囲内であれば、特に限定することなく用いることができる。たとえば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの粘着(接着)力向上や架橋化基点として働く官能基を有する成分を適宜用いることができる。これら重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
本発明において、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーは、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100重量部に対して、0〜40重量部であることが好ましく、0〜30重量部であることがより好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、帯電防止剤としてイオン性化合物する場合、前記イオン性化合物との良好な相互作用、および良好な再剥離性を適宜調節することができる。
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、更に、モノマー成分としてアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを含有してもよい。
また、前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位の平均付加モル数としては、イオン性化合物との相溶性の観点から1〜40であることが好ましく、3〜40であることがより好ましく、4〜35であることがさらに好ましく、5〜30であることが特に好ましい。上記平均付加モル数が1以上の場合、被保護体の汚染低減効果が効率よく得られる傾向がある。また、上記平均付加モル数が40より大きい場合、イオン性化合物との相互作用が大きく、粘着剤組成物の粘度が上昇して塗工が困難となる傾向があるため好ましくない。なお、オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままや、他の官能基などで置換されていてもよい。
前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることがより一層好ましく、4重量%以下であることがさらに好ましく、3重量%以下であることが特に好ましく、1重量%以下であることがなお好ましい。アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量が10重量%超えると、イオン性化合物との相互作用が大きくなり、イオン伝導が妨げられ、帯電防止性が低下することとなり、好ましくない。
本発明におけるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位としては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するものがあげられ、たとえば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられる。オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
また、さらに、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーがエチレンオキシド基を有する反応性モノマーであることがより好ましい。エチレンオキシド基を有する反応性モノマーを有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、ベースポリマーとイオン性化合物との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
本発明におけるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物や、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有する反応性界面活性剤などがあげられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物の具体例としては、たとえば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。
また、前記反応性界面活性剤の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリロイル基またはアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤などがあげられる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万〜500万、好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万である。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。特にガラス転移温度を−61℃以下にすることで偏光板への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤組成物が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、特に作業性の観点や、被着体(被保護体)への低汚染性など特性面から、溶液重合がより好ましい態様である。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
<イオン性化合物>
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、イオン性化合物を含有することが好ましい。前記イオン性化合物としては、アルカリ金属塩、及び/又は、イオン液体が挙げられる。これらのイオン性化合物を含有することにより、優れた帯電防止性を付与することができる。
前記アルカリ金属塩は、イオン解離性が高いため、微量の添加量でも優れた帯電防止能を発現する点で、好ましい。前記アルカリ金属塩としては、たとえば、Li+、Na+、K+よりなるカチオンと、Cl−、Br−、I−、AlCl4 −、Al2Cl7 −、BF4 −、PF6 −、SCN−、ClO4 −、NO3 −、CH3COO−、C9H19COO−、CF3COO−、C3F7COO−、CH3SO3 −、CF3SO3 −、C4F9SO3 −、C2H5OSO3 −、C6H13OSO3 −、C8H17OSO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、(C3F7SO2)2N−、(C4F9SO2)2N−、(CF3SO2)3C−、AsF6 −、SbF6 −、NbF6 −、TaF6 −、F(HF)n −、(CN)2N−、(CF3SO2)(CF3CO)N−、(CH3)2PO4 −、(C2H5)2PO4 −、CH3(OC2H4)2OSO3 −、C6H4(CH3)SO3 −、(C2F5)3PF3 −、CH3CH(OH)COO−、及び、(FSO2)2N−よりなるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。より好ましくは、LiBr、LiI、LiBF4、LiPF6、LiSCN、LiClO4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(FSO2)2N、Li(CF3SO2)3Cなどのリチウム塩、さらに好ましくはLiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(C3F7SO2)2N、Li(C4F9SO2)2N、Li(FSO2)2N、Li(CF3SO2)3Cが用いられる。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記イオン液体を帯電防止剤として用いることで、粘着特性を損なうことなく、帯電防止効果の高い粘着剤層が得られる。イオン液体を用いることで優れた帯電防止特性が得られる理由の詳細は明らかでないが、イオン液体は、通常のイオン性化合物とくらべ、低融点(融点100℃以下)であるため、分子運動が容易であり、優れた帯電防止能が得られるものと考えられる。特に被着体への帯電防止を図る際にはイオン液体が被着体へ極微量転写することにより、被着体での優れた剥離帯電防止性が図れていると考えられる。特に、融点が室温(25℃)以下のイオン液体は、被着体への転写がより効率的に行えるため、優れた帯電防止性が得られる。
また、イオン液体は100℃以下にて液状であるため、固体の塩に比べて、粘着剤への添加および分散または溶解が容易に行える。さらにイオン液体は蒸気圧がない(不揮発性)ため、経時で消失することもなく、帯電防止特性が継続して得られる特徴を有する。なお、イオン液体とは、融点が100℃以下で、液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)を指す。
前記イオン液体としては、下記一般式(A)〜(E)で表される有機カチオン成分と、アニオン成分からなるものが好ましく用いられる。これらのカチオンを持つイオン液体により、さらに帯電防止能の優れたものが得られる。
前記式(A)中のRaは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、RbおよびRcは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。但し、窒素原子が2重結合を含む場合、Rcはない。
前記式(B)中のRdは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、Re、Rf、およびRgは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
前記式(C)中のRhは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、Ri、Rj、およびRkは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
前記式(D)中のZは、窒素、硫黄、またはリン原子を表し、Rl、Rm、Rn、およびRoは、同一または異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。但しZが硫黄原子の場合、Roはない。
前記式(E)中のRPは、炭素数1から18の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
式(A)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、モルフォリニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−へキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−へキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン、ピロリジニウム−2−オンカチオン、1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピペリジニウムカチオン、2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムカチオンなどが挙げられる。
式(B)で表されるカチオンとしては、たとえば、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
式(C)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
式(D)で表されるカチオンとしては、たとえば、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、前記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基、さらにはエポキシ基に置換されたものなどがあげられる。
具体例としては、たとえば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、トリブチル−(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオンなどがあげられる。なかでもトリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオンなどの非対称のテトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオンが好ましく用いられる。
式(E)で表されるカチオンとしては、たとえば、スルホニウムカチオン等が挙げられる。また、前記式(E)中のRPの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
一方、アニオン成分としては、イオン液体になることを満足するものであれば特に限定されず、例えば、Cl−、Br−、I−、AlCl4 −、Al2Cl7 −、BF4 −、PF6 −、ClO4 −、NO3 −、CH3COO−、CF3COO−、CH3SO3 −、CF3SO3 −、C4F9SO3 −、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、(C3F7SO2)2N−、(C4F9SO2)2N−、(CF3SO2)3C−、AsF6 −、SbF6 −、NbF6 −、TaF6 −、F(HF)n −、(CN)2N−、C4F9SO3 −、(C2F5SO2)2N−、C3F7COO−、(CF3SO2)(CF3CO)N−、C9H19COO−、(CH3)2PO4 −、(C2H5)2PO4 −、C2H5OSO3 −、C6H13OSO3 −、C8H17OSO3 −、CH3(OC2H4)2OSO3 −、C6H4(CH3)SO3 −、(C2F5)3PF3 −、CH3CH(OH)COO−、及び、(FSO2)2N−などが用いられる。
また、アニオン成分としては、下記式(F)で表されるアニオンなども用いることができる。
また、アニオン成分としては、なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン液体が得られることから好ましく用いられる。
本発明に用いられるイオン液体の具体例としては、前記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いられ、たとえば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(トリプルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(トリプルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルビベリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムピス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(ベンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、2−メチルピラゾリウムテトラフルオロポレート、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、テトラペンチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘキシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2
−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−Nメチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、テトラオクチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメダンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムチオシアネート、4−エチル−4−メチルモルフォリニウムメチルカーボネートなどがあげられる。
前記のようなイオン液体は、市販のものを使用してもよいが、下記のようにして合成することも可能である。イオン液体の合成方法としては、目的とするイオン液体が得られれば特に限定されないが、一般的には、文献“イオン液体−開発の最前線と未来−”[(株)シーエムシー出版発行]に記載されているような、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法などが用いられる。
下記にハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法について含窒素オニウム塩を例にその合成方法について示すが、その他の含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩などその他のイオン液体についても同様の手法により得ることができる。
ハロゲン化物法は、下記式(1)〜(3)に示すような反応によって行われる方法である。まず3級アミンとハロゲン化アルキルと反応させてハロゲン化物を得る。(反応式(1)、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が用いられる)得られたハロゲン化物を目的とするイオン液体のアニオン構造(A−)を有する酸(HA)あるいは塩(MA、Mはアンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウムなど目的とするアニオンと塩を形成するカチオン)と反応させて目的とするイオン液体(R4NA)が得られる。
水酸化物法は、(4)〜(8)に示すような反応によって行われる方法である。まずハロゲン化物(R4NX)をイオン交換膜法電解(反応式(4))、OH型イオン交換樹脂法(反応式(5))または酸化銀(Ag2O)との反応(反応式(6))で水酸化物(R4NOH)を得る。(ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が用いられる)得られた水酸化物を上記ハロゲン化法と同様に反応式(7)〜(8)の反応を用いて目的とするイオン液体(R4NA)が得られる。
酸エステル法は、(9)〜(11)に示すような反応によって行われる方法である。まず3級アミン(R3N)を酸エステルと反応させて酸エステル物を得る。(反応式(9)、酸エステルとしては、硫酸、亜硫酸、りん酸、亜りん酸、炭酸などの無機酸のエステルやメタンスルホン酸、メチルホスホン酸、蟻酸などの有機酸のエステルなどが用いられる)得られた酸エステル物を上記ハロゲン化法と同様に反応式(10)〜(11)の反応を用いて目的とするイオン液体(R4NA)が得られる。また、酸エステルとしてメチルトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリフルオロアセテートなどを用いることにより、直接イオン液体を得ることもできる。
錯形成法は、(12)〜(15)に示すような反応によって行われる方法である。まず4級アンモニウムのハロゲン化物(R4NX)、4級アンモニウムの水酸化物(R4NOH)、4級アンモニウムの炭酸エステル化物(R4NOCO2CH3)などをフッ化水素(HF)やフッ化アンモニウム(NH4F)と反応させてフッ化4級アンモニウム塩を得る。(反応式(12)〜(14))得られたフッ化4級アンモニウム塩をBF3,AlF3,PF5,ASF5,SbF5,NbF5,TaF5などのフッ化物と錯形成反応により、イオン液体を得ることができる。(反応式(15))
中和法は、(16)に示すような反応によって行われる方法である。3級アミンとHBF4,HPF6,CH3COOH,CF3COOH,CF3SO3H,(CF3SO2)2NH,(CF3SO2)3CH,(C2F5SO2)2NHなどの有機酸とを反応させることにより得ることができる。
上記の式(1)〜(16)記載のRは、水素または炭素数1から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部が、ヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
なお、前記イオン液体は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記イオン性化合物の含有量は、1重量部以下が好ましく、0.001〜0.9重量部がより好ましく、0.005〜0.8重量部が更に好ましく、最も好ましくは0.01〜0.5重量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と低汚染性の両立がしやすいため、好ましい。
<オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサン>
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有することが好ましく、オキシアルキレン主鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有することが、より好ましい。前記オルガノポリシロキサンを使用することにより、粘着剤表面の表面自由エネルギーが低下し、軽剥離化を実現しているものと推測される。
前記オルガノポリシロキサンは、公知のポリオキシアルキレン主鎖を有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
(式中、R
1及び/又はR
2は、炭素数1〜6のオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖中のアルキレン基は、直鎖又は分岐していてもよく、前記オキシアルキレン鎖の末端が、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよい。また、R
1又はR
2のいずれか一方が、ヒドロキシル基でもよく、又は、アルキル基、アルコキシ基であってもよく、前記アルキル基、アルコキシ基の一部が、ヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。nは、1〜300の整数である。)
前記オルガノポリシロキサンは、シロキサンを含む部位(シロキサン部位)を主鎖とし、この主鎖の末端にオキシアルキレン鎖が結合しているものが使用される。前記オキシアルキレン鎖を有するオルガノシロキサンを用いることにより、(メタ)アクリル系ポリマーおよびイオン性化合物との相溶性のバランスがとれ、軽剥離化を実現しているものと推測される。
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のR
1及び/又はR
2は、炭素数1〜6の炭化水素基を含むオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖として、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられるが、なかでもオキシエチレン基やオキシプロピレン基が好ましい。なお、R
1及びR
2が、共にオキシアルキレン鎖を有する場合、同一であっても、異なっていてもよい。
また、前記オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
更に、前記オキシアルキレン鎖の末端は、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよいが、中でも、アルコキシ基であることがより好ましい。粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせる場合、末端がヒドロキシル基のオルガノポリシロキサンでは、セパレーターとの相互作用が生じ、セパレーターを粘着剤層表面から剥がす際の粘着(剥離)力が上昇する場合がある。
また、nは、1〜300の整数であり、好ましくは10〜200であり、より好ましくは20から150である。nが前記範囲内にあると、ベースポリマーとの相溶性のバランスが取れて好ましい態様となる。更に、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。前記オルガノポリシロキサンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品として、商品名が、X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、KF−6004、KF−889(以上、信越化学工業社製)、BY16−201、SF8427(以上、東レ・ダウコーニング社製)、IM22(旭化成ワッカー社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、主鎖にオキシアルキレン鎖を有する(結合する)オルガノシロキサン以外に、側鎖にオキシアルキレン鎖を有する(結合する)オルガノシロキサンを用いることも、可能であり、主鎖よりも側鎖にオキシアルキレン鎖を有するオルガノシロキサンを用いることが、より好ましい態様である。前記オルガノポリシロキサンは、公知のポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
(式中、R
1は1価の有機基、R
2,R
3及びR
4はアルキレン基、もしくはR
5はヒドロキシル基もしくは有機基、m及びnは0〜1000の整数。但し、m, nが同時に0となることはない。a及びbは0〜100の整数。但し、a, bが同時に0となることはない。)
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のR
1はメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基、フェニル基,トリル基等のアリール基又はベンジル基,フェネチル基等のアルキル基で例示される1価の有機基であり、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。R
2,R
3及びR
4はメチレン基,エチレン基,プロピレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基を用いることができる。ここで、R
3及びR
4は異なるアルキレン基であり、R
2はR
3又はR
4と同じであっても、異なっていてもよい。R
3及びR
4はそのポリオキシアルキレン側鎖中に溶解し得るイオン性化合物の濃度を上げるためにそのどちらか一方が、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。R
5はメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基またはアセチル基,プロピオニル基等のアシル基で例示される1価の有機基であってもよく、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。上記ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノシロキサンのなかでも、ヒドロキシル基末端を有するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノシロキサンが相溶性のバランスがとりやすいと推測されるため好ましい。
上記オルガノシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品としての商品名KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6022、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−2516(以上、信越化学工業社製)SF8428、FZ−2162、SH3749、FZ−77、L−7001、FZ−2104、FZ−2110、L−7002、FZ−2122、FZ−2164、FZ−2203、FZ−7001、SH8400、SH8700、SF8410、SF8422(以上、東レ・ダウコーニング社製)、TSF−4440,TSF−4441、TSF−4445、TSF−4450、TSF−4446、TSF−4452、TSF−4460(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)、BYK−333、BYK−307、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)などがあげられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で使用する上記オルガノシロキサンとしては、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が、1〜16が好ましく、より好ましくは3〜14である。HLB値が前記範囲内を外れると、被着体への汚染性が悪くなり、好ましくない。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記オルガノポリシロキサンの含有量は、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量部であり、更に好ましくは0.05〜1重量部、最も好ましくは0.05〜0.5重量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と軽剥離性(再剥離性)の両立がしやすいため、好ましい。
<架橋剤>
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、架橋剤を含有することが好ましい。また、本発明においては、前記粘着剤組成物を用いて、粘着剤層とする。前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた粘着シート(粘着剤層)を得ることができる。
本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などを用いてもよく、特にイソシアネート化合物の使用は、好ましい態様となる。また、これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
イソシアネート化合物としては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類、前記イソシアネート化合物をアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体が挙げられる。たとえば、市販品として、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネートD165N、タケネートD178N(以上、武田薬品工業社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX(以上、日本ポリウレタン工業社製)などがあげられる。これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよく、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いることも可能である。架橋剤を併用して用いることにより粘着性と耐反発性(曲面に対する接着性)を両立することが可能となり、より接着信頼性に優れた粘着シートを得ることができる。
また、前記イソシアネート化合物として、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いる場合には、両化合物の配合比(重量比)としては、[2官能のイソシアネート化合物]/[3官能以上のイソシアネート化合物](重量比)が、0.1/99.9〜50/50で配合することが好ましく、0.1/99.9〜20/80がより好ましく、0.1/99.9〜10/90がさらに好ましく、0.1/99.9〜5/95がより好ましく、0.1/99.9〜1/99が最も好ましい。前記範囲内に調整して配合することにより、粘着性と耐反発性に優れた粘着剤組成物となり、好ましい態様となる。
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。
メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、TAZM、TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部含有されていることが好ましく、0.1〜8重量部含有されていることがより好ましく、0.5〜5重量部含有されていることがさらに好ましく、1.0〜2.5重量部含有されていることが最も好ましい。前記含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が10重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、偏光板への濡れが不十分となって偏光板と粘着剤層(粘着剤組成物層)との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。さらに、架橋剤量が多いと剥離帯電特性が低下する傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
<鉄を活性中心とする触媒>
本発明の粘着剤組成物は、鉄を活性中心とする触媒を含有することを特徴とする。通常、アクリル系粘着剤組成物(溶液)などを調製する際に使用する、スズ(Sn)触媒は、毒性が強いため、地球環境等の観点からも、今後使用しないことが好ましい態様である。
前記鉄を活性中心とする触媒としては、特に制限なく、公知のものを使用できるが、例えば、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(ヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(5−メチルヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(オクタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(6−メチルヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−4,6−ジオナト)鉄、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(トリデカン−6,8−ジオナト)鉄、トリス(1−フェニルブタン−1,3−ジオナト)、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)鉄、トリス(アセト酢酸エチル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(アセト酢酸イソプロピル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸メチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸エチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸イソプロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸ベンジル)鉄、トリス(マロン酸ジメチル)鉄、トリス(マロン酸ジエチル)鉄、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、塩化第二鉄などがあげられる。これら鉄を活性中心とする触媒は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記鉄を活性中心とする触媒の含有量は、1重量部以下が好ましく、0.001〜0.5重量部がより好ましく、0.002〜0.2重量部が更に好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤層を形成した際に架橋反応の速度が速く、粘着剤組成物のポットライフも長くなり、好ましい態様となる。
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層に対して、前記鉄原子の含有量が、1〜1500ppmであることが好ましく、1.5〜750ppmであることがより好ましく、3〜300ppmであることが更に好ましい。前記粘着剤層(全体の重量)に対して、前記鉄原子が、前記範囲内にあることにより、架橋反応が早期に完了することとなり、前記粘着剤層のTAC表面に対する粘着力においても、低く抑えることができ、好ましい態様となる。
本発明の粘着剤組成物には、オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物を含有してもよい。上記化合物を粘着剤組成物に含有することにより、さらに被着体への濡れ性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。
前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の具体例としては、たとえば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルアリルエーテル等の非イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;その他、ポリオキシアルキレン鎖(ポリアルキレンオキシド鎖)を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物(およびその誘導体を含む)、ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル化合物(およびその誘導体を含む)等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン鎖含有モノマーを、ポリオキシアルキレン鎖含有化合物としてアクリル系ポリマーに配合してもよい。かかるポリオキシアルキレン鎖含有化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)のブロック共重合体、PPG−PEG−PPGのブロック共重合体、PEG−PPG−PEGのブロック共重合体等が挙げられる。前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の誘導体としては、末端がエーテル化されたオキシプロピレン基含有化合物(PPGモノアルキルエーテル、PEG−PPGモノアルキルエーテル等)、末端がアセチル化されたオキシプロピレン基含有化合物(末端アセチル化PPG等)、等が挙げられる。
また、前記ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル化合物の具体例としては、オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート重合体が挙げられる。前記オキシアルキレン基としては、オキシアルキレン単位の付加モル数が、イオン性化合物が配位する観点から1〜50が好ましく、2〜30がより好ましく、2〜20がさらに好ましい。また、前記オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままや、アルキル基、フェニル基等で置換されていてもよい。
前記オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート重合体は、単量体単位(成分)として、(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイドを含む重合体であることが好ましく、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレングリコール基含有(メタ)アクリレートとしては、たとえば、メトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのメトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、ブトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのブトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、フェノキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのフェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、2−エチルヘキシル−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノール−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、メトキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのメトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート型などがあげられる。
また、前記単量体単位(成分)として、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド以外のその他単量体単位(成分)も用いることができる。その他単量体成分の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜14のアルキル基を有すアクリレートおよび/またはメタクリレートが挙げられる。
さらに、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド以外のその他単量体単位(成分)として、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、リン酸基含有(メタ)アクリレート、シアノ基含有(メタ)アクリレート、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物、酸無水物基含有(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、アミド基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等を、適宜用いることも可能である。
より好ましい一態様としては、上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物が、少なくとも一部に(ポリ)エチレンオキシド鎖を有する化合物である。前記(ポリ)エチレンオキシド鎖含有化合物を配合することにより、ベースポリマーと帯電防止成分との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。中でも特にPPG−PEG−PPGのブロック共重合体を用いた場合には低汚染性に優れた粘着剤組成物が得られる。上記ポリエチレンオキシド鎖含有化合物としては、前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物全体に占める(ポリ)エチレンオキシド鎖の重量が5〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜85重量%、さらに好ましくは5〜80重量%、もっとも好ましくは5〜75重量%である。
上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の分子量としては、数平均分子量(Mn)が50000以下のものが適当であり、200〜30000が好ましく、さらには200〜10000がより好ましく、通常は200〜5000のものが好適に用いられる。Mnが50000よりも大きすぎると、アクリル系ポリマーとの相溶性が低下し粘着剤層が白化する傾向にある。Mnが200よりも小さすぎると、前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。なお、ここでMnとは、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により得られたポリスチレン換算の値をいう。
また、上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の市販品としての具体例は、たとえば、アデカプルロニック17R−4、アデカプルロニック25R−2(以上、いずれもADEKA社製)、エマルゲン120(花王社製)などが挙げられる。
上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の配合量としては、アクリル系ポリマー100重量部に対して、例えば0.005〜20重量部とすることができ、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部、最も好ましくは0.1〜1重量部である。配合量が少なすぎると帯電防止成分のブリードを防止する効果が少なくなり、多すぎると前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。
さらに、前記粘着剤組成物には、アクリルオリゴマーを含有してもよい。アクリルオリゴマーは、重量平均分子量が1000以上30000未満が好ましく、1500以上20000未満がより好ましく、2000以上10000未満がさらに好ましい。前記アクリルオリゴマーとしては、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーをモノマー単位として含む(メタ)アクリル系重合体であり、本実施形態の再剥離用のアクリル系粘着剤組成物として使用する場合は、粘着付与樹脂として機能し、接着性を向上させ、粘着シートの浮き抑制に効果がある。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
[式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、脂環式構造を有する脂環式炭化水素基である]
一般式(1)における脂環式炭化水素基R2としてはシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基等の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。このような脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル基を有する(メタ)アクリル酸イソボルニル、ジシクロペンタニル基を有する(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステルを挙げることができる。このように比較的嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位としてアクリルオリゴマーに持たせることで、接着性を向上させることができる。
さらに本実施形態において、前記アクリルオリゴマーを構成する脂環式炭化水素基は、橋かけ環構造を有することが好ましい。橋かけ環構造とは、三環以上の脂環式構造のことを指す。橋かけ環構造のようなより嵩高い構造をアクリルオリゴマーに持たせることで、再剥離用アクリル系粘着剤組成物(再剥離用アクリル系粘着シート)の接着性をより向上させることができる。
前記橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素基であるR
2としては、たとえば、下記式(3a)で表されるジシクロペンタニル基、下記式(3b)で表されるジシクロペンテニル基、下記式(3c)で表されるアダマンチル基、下記式(3d)で表されるトリシクロペンタニル基、下記式(3e)で表されるトリシクロペンテニル基等を挙げることができる。なお、アクリルオリゴマーの合成の際や粘着剤組成物作製の際にUV重合を採用する場合には、重合阻害を起こしにくいという点で、橋かけ環構造を有する三環以上の脂環式構造を持った(メタ)アクリル系モノマーの中でも特に、下記式(3a)で表されるジシクロペンタニル基や、下記式(3c)で表されるアダマンチル基、下記式(3d)で表されるトリシクロペンタニル基等の飽和構造を有した(メタ)アクリル系モノマーをアクリルオリゴマーを構成するモノマーとして好適に用いることができる。
また、前記橋かけ環構造を有する三環以上の脂環式構造を持つ(メタ)アクリル系モノマーの例としては、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、トリシクロペンタニルメタクリレート、トリシクロペンタニルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。この(メタ)アクリル系モノマーは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態のアクリルオリゴマーは、脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体であってもよく、あるいは脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーと他の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、または共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;
テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル;等を挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記アクリルオリゴマーは、前記(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分(共重合性モノマー)を共重合させて得ることも可能である。
前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩等の塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニルモノマー;
ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、ポリブチレングリコールとポリエチレングリコールの共重合体のようなポリアルキレングリコールの末端に(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基等の不飽和基が結合したマクロモノマー;
フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステルのような含フッ素ビニルモノマー;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物系モノマー;
2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンのようなアミド基含有ビニルモノマー;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;
N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;
N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;
N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニルピラゾール、N−ビニルイソオキサゾール、N−ビニルチアゾール、N−ビニルイソチアゾール、N−ビニルピリダジン等の窒素含有複素環系モノマー;
N−ビニルカルボン酸アミド類;
N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;
(メタ)アクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;
シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;
2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;
イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;
エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィンまたはジエン類;
ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;
塩化ビニル;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらのモノマーは、単独であるいは組み合わせて前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
前記アクリルオリゴマーとしては、たとえば、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソブチルメタクリレート(IBMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、メチルメタクリレート(MMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とジエチルアクリルアミド(DEAA)の共重合体、1−アダマンチルアクリレート(ADA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とアクリル酸(AA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)、1−アダマンチルメタクリレート(ADMA)、1−アダマンチルアクリレート(ADA)、メチルメタクリレート(MMA)の各単独重合体等を挙げることができる。
さらに、前記アクリルオリゴマーは、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基が導入されていてもよい。このような官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メルカプト基を挙げることができ、アクリルオリゴマーを製造する際にこうした官能基を有するモノマーを使用(共重合)してもよい。
前記アクリルオリゴマーを脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーと他の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、または共重合性モノマーとの共重合体とする場合、脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、アクリルオリゴマーを構成する全モノマー中5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上であることが好ましい(通常100重量%未満、好ましくは90重量%以下)。脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーを5重量%以上含有していれば、透明性を低下させることなく接着性を向上させることができる。
前記アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、1000以上30000未満、好ましくは1500以上20000未満、さらに好ましくは2000以上10000未満である。重量平均分子量が30000以上であると、接着性が低下する。また、重量平均分子量が1000未満であると、低分子量となるため粘着シートの粘着力の低下を引き起こす。
前記アクリルオリゴマーの配合量としては、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜10重量部含有されていることが好ましく、0.1〜7重量部含有されていることがより好ましく、0.2〜5重量部含有されていることがさらに好ましく、0.3〜2重量部含有されていることが最も好ましい。前記範囲の配合量で用いることにより、被着体への粘着力向上が図れ、浮きの抑制を図り易く、好ましい態様となる。
さらに、本発明の粘着シートに用いられる粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
<粘着剤層・粘着シート>
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を支持フィルム上に形成してなるものであるが、その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持フィルムなどに転写することも可能である。
また、前記支持フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物を支持フィルムに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持フィルム上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物(溶液)を支持フィルム上に塗布して粘着シートを作製する際には、支持フィルム上に均一に塗布できるよう、前記粘着剤組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
また、本発明の粘着シートを製造する際の粘着剤層の形成方法としては、粘着テープ類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
本発明の粘着シートは、通常、上記粘着剤層の厚みが3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるように作製する。粘着剤層の厚みが、前記範囲内にあると、適度な再剥離性と接着性のバランスを得やすいため、好ましい。前記粘着シートは、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の支持フィルムの片面に、上記粘着剤層を塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。
<支持フィルム>
本発明の粘着シートは、支持フィルムの片面に、粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有し、前記支持フィルムが、前記粘着剤層を有する面と反対側の面にトップコート層を有するが、前記粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合は、前記支持フィルムが、帯電防止処理がなされてなるプラスチックフィルムであることが好ましい。前記支持フィルムを用いることにより、剥離した際の表面保護フィルム自身の帯電が抑えられるため、好ましい。なお、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層(帯電防止剤等を使用)を備えるため、剥離した際に帯電防止されていない被保護体への帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減された表面保護フィルムとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性表面保護フィルムとして非常に有用となる。また、支持フィルムがプラスチックフィルムであり、前記プラスチックフィルムに帯電防止処理を施すことにより、表面保護フィルム自身の帯電を低減し、かつ、被保護体への帯電防止能が優れるものが得られる。
前記支持フィルム(基材)としては、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に、可とう性を有するプラスチックフィルムであることがより好ましい。支持フィルムが可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
前記プラスチックフィルムとしては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
前記支持フィルムの厚みとしては、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記支持フィルムの厚みが、前記範囲内にあると、被着体への貼り合せ作業性と被着体からの剥離作業性に優れるため、好ましい。
前記支持フィルムには、必要に応じて、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることができる。
前記帯電防止処理としては、特に限定されないが、一般的に用いられる支持フィルム(基材)の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法やプラスチックフィルムに練り込み型帯電防止剤を練り込む方法が用いられる。支持フィルムの少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を塗布する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法があげられる。
帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、さらには、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
カチオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
アニオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
両性イオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
ノニオン型の帯電防止剤として、たとえば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドからなる共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
導電性ポリマーとしては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記導電性物質としては、たとえば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、およびそれらの合金または混合物があげられる。
帯電防止性樹脂および導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシなどの汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤の場合には、樹脂成分を含有させなくてもよい。また、帯電防止樹脂成分に、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を含有させることも可能である。
帯電防止層の形成方法としては、たとえば、上述帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を有機溶剤もしくは水などの溶媒で希釈し、この塗液をプラスチックフィルムに塗布、乾燥することで形成される。
前記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n-ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられ、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸およびカーテンコート法があげられる
前記帯電防止性樹脂層、導電性ポリマー、導電性樹脂の厚みとしては通常0.001〜5μm、好ましくは0.03〜1μm程度である。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
前記導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、たとえば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法などがあげられる。
前記導電性物質層の厚みとしては通常0.002〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。前期範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
また、練り込み型帯電防止剤としては、上記帯電防止剤が適宜用いられる。練り込み型帯電防止剤の配合量としては、プラスチックフィルムの総重量に対して20重量%以下、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で用いられる。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。練り込み方法としては、前記帯電防止剤がプラスチックフィルムに用いられる樹脂に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、たとえば、加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機などが用いられる。
<トップコート層>
本発明の粘着シートは、支持フィルムの片面に、粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有し、前記支持フィルムが、前記粘着剤層を有する面と反対側の面にトップコート層を有する粘着シートにおいて、前記トップコート層が、滑り剤としてのワックス、及び、バインダとしてのポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。前記粘着シート(表面保護フィルム)が、トップコート層を有することにより、粘着シートの耐スクラッチ性が向上し、好ましい態様となる。
<バインダ>
前記トップコート層は、バインダとしてのポリエステル樹脂と、滑り剤としてのワックスとを含有する。上記ポリエステル樹脂は、ポリエステルを主成分(典型的には50重量%超え、好ましくは75重量%以上、例えば90重量%以上を占める成分)として含む樹脂材料であることが好ましい。上記ポリエステルは、典型的には、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸類(典型的にはジカルボン酸類)およびその誘導体(当該多価カルボン酸の無水物、エステル化物、ハロゲン化物等)から選択される1種または2種以上の化合物(多価カルボン酸成分)と、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコール類(典型的にはジオール類)から選択される1種または2種以上の化合物(多価アルコール成分)とが縮合した構造を有することが好ましい。
上記多価カルボン酸成分として採用し得る化合物の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジフルオロマロン酸、アルキルマロン酸、コハク酸、テトラフルオロコハク酸、アルキルコハク酸、(±)−リンゴ酸、meso−酒石酸、イタコン酸、マレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、メチルフマル酸、アセチレンジカルボン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、メチルグルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ジチオアジピン酸、メチルアジピン酸、ジメチルアジピン酸、テトラメチルアジピン酸、メチレンアジピン酸、ムコン酸、ガラクタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、パーフルオロスベリン酸、3,3,6,6−テトラメチルスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、パーフルオロセバシン酸、ブラシル酸、ドデシルジカルボン酸、トリデシルジカルボン酸、テトラデシルジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸類;シクロアルキルジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸)、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸(ハイミック酸)、アダマンタンジカルボン酸、スピロヘプタンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、ジチオイソフタル酸、メチルイソフタル酸、ジメチルイソフタル酸、クロロイソフタル酸、ジクロロイソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、クロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキソフルオレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニレンジカルボン酸、ジメチルビフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−テレフェニレンジカルボン酸、4,4”−p−クワレルフェニルジカルボン酸、ビベンジルジカルボン酸、アゾベンゼンジカルボン酸、ホモフタル酸、フェニレン二酢酸、フェニレンジプロピオン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジプロピオン酸、ビフェニル二酢酸、ビフェニルジプロピオン酸、3,3'−[4,4’−(メチレンジ−p−ビフェニレン)ジプロピオン酸、4,4’−ビベンジル二酢酸、3,3’(4,4’−ビベンジル)ジプロピオン酸、オキシジ−p−フェニレン二酢酸などの芳香族ジカルボン酸類;上述したいずれかの多価カルボン酸の酸無水物;上述したいずれかの多価カルボン酸のエステル(例えばアルキルエステル。モノエステル、ジエステル等であり得る。);上述したいずれかの多価カルボン酸に対応する酸ハロゲン化物(例えばジカルボン酸クロリド);等が挙げられる。
上記多価カルボン酸成分として採用し得る化合物の好適例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類およびその酸無水物;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ハイミック酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類およびその酸無水物;ならびに上記ジカルボン酸類の低級アルキルエステル(例えば、炭素原子数1〜3のモノアルコールとのエステル)等が挙げられる。
一方、上記多価アルコール成分として採用し得る化合物の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、キシリレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールA等のジオール類が挙げられる。他の例として、これらの化合物のアルキレンオキサイド付加物(例えば、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。
好ましい一態様では、上記ポリエステル樹脂が水分散性ポリエステルを含む(典型的には、該水分散性ポリエステルを主成分として含む)。かかる水分散性ポリエステルは、例えば、ポリマー中に親水性官能基(例えば、スルホン酸金属塩基、カルボキシル基、エーテル基、リン酸基などの親水性官能基等のうち1種または2種以上)を導入することにより水分散性を高めたポリエステルであり得る。ポリマー中に親水性官能基を導入する手法としては、親水性官能基を有する化合物を共重合させる方法、ポリエステルまたはその前駆体(例えば、多価カルボン酸成分、多価アルコール成分、それらのオリゴマー等)を変性して親水性官能基を生じさせる方法、等の公知の手法を適宜採用することができる。好ましい水分散性ポリエステルの一例として、親水性官能基を有する化合物が共重合されたポリエステル(共重合ポリエステル)が挙げられる。
ここに開示される技術において、トップコート層のバインダとして用いられるポリエステル樹脂は、飽和ポリエステルを主成分とするものであってもよく、不飽和ポリエステルを主成分とするものであってもよい。ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記ポリエステル樹脂の主成分が飽和ポリエステルである。水分散性が付与された飽和ポリエステル(例えば、飽和共重合ポリエステル)を主成分とするポリエステル樹脂を好ましく採用し得る。このようなポリエステル樹脂(水分散液の形態に調製されたものであり得る。)は、公知の方法により合成することができ、あるいは市販品を容易に入手することができる。
上記ポリエステル樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として、例えば5×103〜1.5×105程度(好ましくは1×104〜6×104程度)であり得る。また、上記ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば0〜120℃(好ましくは10〜80℃)であり得る。
上記トップコート層は、ここに開示される粘着シート(表面保護フィルム)の性能(例えば、透明性、耐スクラッチ性、耐白化性等の性能)を大きく損なわない限度で、バインダとして、ポリエステル樹脂以外の樹脂(例えば、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル−スチレン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等から選択される1種または2種以上の樹脂)をさらに含有し得る。ここに開示される技術の好ましい一態様としては、トップコート層のバインダが実質的にポリエステル樹脂のみからなる場合である。例えば、バインダに占めるポリエステル樹脂の割合が98〜100重量%であるトップコート層が好ましい。トップコート層全体に占めるバインダの割合は、例えば50〜95重量%とすることができ、通常は60〜90重量%とすることが適当である。
<滑り剤>
ここに開示される技術におけるトップコート層は、滑り剤として、ワックスを含有することを特徴とし、前記ワックスとして、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル(以下「ワックスエステル」ともいう。)を含むことが好ましい。ここで、「高級脂肪酸」とは、炭素原子数が8以上(典型的には10以上、好ましくは10以上40以下)のカルボン酸(典型的には一価のカルボン酸)をいう。また、「高級アルコール」とは、炭素原子数が6以上(典型的には10以上、好ましくは10以上40以下)のアルコール(典型的には一価または二価のアルコール。好ましくは一価のアルコール)をいう。このようなワックスエステルと上記バインダ(ポリエステル樹脂)とを組み合わせて含む組成のトップコート層は、高温多湿条件に保持されても白化しにくい。したがって、かかるトップコート層を有する支持フィルム(基材)を備えた粘着シート(表面保護フィルム)は、より外観品位の高いものとなり得る。
ここに開示される技術を実施するにあたり、上記構成のトップコート層により優れた耐白化性(例えば、高温多湿条件に保持されても白化しにくい性質)が実現される理由は明らかではないが、ひとつの可能性として以下の理由が考えられる。すなわち、従来使用されているシリコーン系滑剤は、トップコート層の表面にブリードすることにより前記表面に滑り性を付与する機能を発揮するものと推測される。しかし、これらシリコーン系滑剤は、保存条件(温度、湿度、経時等)の違いによって上記ブリードの程度が変動しやすい。このため、例えば、通常の保存条件(例えば、25℃、50%RH)に保持された場合に、粘着シート(表面保護フィルム)の製造直後から比較的長期間(例えば約3ヶ月)に亘って、適度な滑り性が得られるようにシリコーン系滑剤の使用量を設定すると、この粘着シートが高温多湿条件(例えば、60℃、95%RH)で2週間保存された場合には、滑剤のブリードが過剰に進行してしまう。このように過剰にブリードしたシリコーン系滑剤は、トップコート層(ひいては、粘着シート)を白化させる。
ここに開示される技術では、滑り剤としてのワックスエステルと、トップコート層のバインダとしてのポリエステル樹脂という特定の組合せを採用する。かかる滑り剤とバインダとの組合せによると、上記ワックスエステルのトップコート層からのブリードの程度が保存条件の影響を受けにくい。このことによって、粘着シート(表面保護フィルム)の耐白化性が向上したものと考えられる。
上記ワックスエステルとしては、下記一般式(2)で表わされる化合物の1種または2種以上を好ましく採用し得る。
X−COO−Y (2)
ここで、上記式(2)中のXおよびYは、それぞれ独立に、炭素原子数10〜40(より好ましくは10〜35、さらに好ましくは14〜35、例えば20〜32)の炭化水素基から選択され得る。上記炭素原子数が小さすぎると、トップコート層に滑り性を付与する効果が不足しがちとなることがあり得る。上記炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。通常は飽和炭化水素基であることが好ましい。また、炭化水素基は、芳香族の環を含む構造であってもよく、かかる芳香環を含まない構造(脂肪族性炭化水素基)であってもよい。また、脂肪族性の環を含む構造の炭化水素基(脂環式炭化水素基)であってもよく、鎖状(直鎖状および分岐鎖状を包含する意味である。)の炭化水素基であってもよい。
ここに開示される技術における好ましいワックスエステルとして、上記式(2)におけるXおよびYが、それぞれ独立に、炭素原子数10〜40の鎖状アルキル基(より好ましくは直鎖状アルキル基)である化合物が例示される。かかる化合物の具体例としては、セロチン酸ミリシル(CH3(CH2)24COO(CH2)29CH3)、パルミチン酸ミリシル(CH3(CH2)14COO(CH2)29CH3)、パルミチン酸セチル(CH3(CH2)14COO(CH2)15CH3)、ステアリル酸ステアリル(CH3(CH2)16COO(CH2)17CH3)等が挙げられる。
上記ワックスエステルは、融点が50℃以上(より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、例えば75℃以上)であることが好ましい。かかるワックスエステルによると、より高い耐白化性が実現され得る。また、上記ワックスエステルは、融点が100℃以下であることが好ましい。かかるワックスエステルは、滑り性を付与する効果が高いので、より耐スクラッチ性の高いトップコート層を形成し得る。上記ワックスエステルの融点が100℃以下であることは、該ワックスエステルの水分散液を調製しやすいという点からも好ましい。例えば、セロチン酸ミリシルを好ましく採用し得る。
上記トップコート層の原料としては、このようなワックスエステルを含有する天然ワックスを利用することができる。かかる天然ワックスとしては、不揮発分(NV)基準で、上記ワックスエステルの含有割合(2種以上のワックスエステルを含む場合にはそれらの含有割合の合計)が50重量%よりも多い(好ましくは65重量%以上、例えば75重量%以上である)ものを好ましく採用し得る。例えば、カルナバワックス(一般に、セロチン酸ミリシルを60重量%以上、好ましくは70重量%以上、典型的には80重量%以上の割合で含む。)、パームワックス等の植物性ワックス;蜜ロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;等の天然ワックスを用いることができる。使用する天然ワックスの融点は、通常、50℃以上(より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上、例えば75℃以上)であることが好ましい。また、上記トップコート層の原料としては、化学的に合成されたワックスエステルを用いてもよく、天然ワックスを精製して該ワックスエステルの純度を高めたものを用いてもよい。これらの原料は、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
トップコート層全体に占める滑り剤の割合は、5〜50重量%とすることができ、通常は10〜40重量%とすることが適当である。滑り剤の含有割合が少なすぎると、耐スクラッチ性が低下しやすくなる傾向にある。滑り剤の含有割合が多すぎると、耐白化性の向上効果が不足しやすくなることがあり得る。
ここに開示される技術は、その適用効果を大きく損なわない限度で、トップコート層が、上記ワックスエステルに加えて他の滑り剤を含む態様で実施され得る。かかる他の滑り剤の例としては、石油系ワックス(パラフィンワックス等)、鉱物系ワックス(モンタンワックス等)、高級脂肪酸(セロチン酸等)、中性脂肪(パルミチン酸トリグリセリド等)のような、ワックスエステル以外の各種ワックスが挙げられる。あるいは、上記ワックスエステルに加えて、一般的なシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を補助的に含有させてもよい。ここに開示される技術は、かかるシリコーン系滑剤、フッ素系滑剤等を実質的に含有しない態様(例えば、これらの合計含有量がトップコート層全体の0.01重量%以下、もしくは検出限界以下である態様)で好ましく実施され得る。ただし、ここに開示される技術の適用効果を大きく損なわない限度において、滑剤とは別の目的で(例えば、後述するトップコート形成用コーティング材の消泡剤として)用いられるシリコーン系化合物の含有を排除するものではない。
ここに開示される技術におけるトップコート層は、必要に応じて、帯電防止成分、架橋剤、酸化防止剤、着色剤(顔料、染料等)、流動性調整剤(チクソトロピー剤、増粘剤等)、造膜助剤、界面活性剤(消泡剤、分散剤等)、防腐剤等の添加剤を含有し得る。
<トップコート層の帯電防止成分>
本発明の粘着シートは、前記トップコート層が、帯電防止成分を含有することが好ましい。前記帯電防止成分は、粘着シート(表面保護フィルム)の帯電を防止または抑制する作用を発揮し得る成分である。トップコート層に帯電防止成分を含有させる場合、その帯電防止成分としては、例えば、有機または無機の導電性物質、各種の帯電防止剤等を用いることができる。また、上記帯電防止層で使用される帯電防止成分を使用することも可能である。
上記有機導電性物質としては、4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基等のカチオン性官能基を有するカチオン型帯電防止剤;スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤;アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体等の両性イオン型帯電防止剤;アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体等のノニオン型帯電防止剤;上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基(例えば、4級アンモニウム塩基)を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体等の導電性ポリマー;が挙げられる。このような帯電防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記無機導電性物質の例としては、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)等が挙げられる。このような無機導電性物質は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記帯電防止剤の例としては、カチオン型帯電防止剤、アニオン型帯電防止剤、両性イオン型帯電防止剤、ノニオン型帯電防止剤、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体、等が挙げられる。
好ましい一態様では、上記トップコート層に用いられる帯電防止成分が有機導電性物質を含む。上記有機導電性物質としては、各種の導電性ポリマーを好ましく用いることができる。かかる構成によると、良好な帯電防止性と高い耐スクラッチ性とを両立させやすい。導電性ポリマーの例としては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体等が挙げられる。このような導電性ポリマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、他の帯電防止成分(無機導電性物質、帯電防止剤等)と組み合わせて用いてもよい。導電性ポリマーの使用量は、トップコート層に含まれるバインダ100重量部に対して、例えば10〜200重量部とすることができ、通常は25〜150重量部(例えば40〜120重量部)とすることが適当である。導電性ポリマーの使用量が少なすぎると、帯電防止効果が小さくなる場合がある。導電性ポリマーの使用量が多すぎると、トップコート層における導電性ポリマーの相溶性が不足気味となって、トップコート層の外観品位が低下したり、耐溶剤性が低下傾向となったりすることがあり得る。
ここに開示される技術において好ましく採用し得る導電性ポリマーとして、ポリチオフェンおよびポリアニリンが例示される。ポリチオフェンとしては、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」と表記する場合がある。)が4×105以下であるものが好ましく、3×105以下がより好ましい。ポリアニリンとしては、Mwが5×105以下であるものが好ましく、3×105以下がより好ましい。また、これら導電性ポリマーのMwは、通常は1×103以上であることが好ましく、より好ましくは5×103以上である。なお、前記ポリチオフェンとは、無置換または置換チオフェンの重合体をいう。ここに開示される技術における置換チオフェン重合体の一好適例として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。
トップコート層を形成する方法として、トップコート層形成用のコーティング材を支持フィルム(基材)に塗付して、乾燥または硬化させる方法を採用する場合、コーティング材の調製に用いる導電性ポリマーとしては、導電性ポリマーが水に溶解または分散した形態のもの(導電性ポリマー水溶液)を好ましく使用し得る。かかる導電性ポリマー水溶液は、例えば、親水性官能基を有する導電性ポリマー(分子内に親水性官能基を有するモノマーを共重合させる等の手法により合成され得る。)を水に溶解または分散させることにより調製することができる。上記親水性官能基としては、スルホ基、アミノ基、アミド基、イミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、四級アンモニウム基、硫酸エステル基(−O−SO3H)、リン酸エステル基(例えば−O−PO(OH)2)等が例示される。かかる親水性官能基は塩を形成していてもよい。ポリチオフェン水溶液の市販品としては、ナガセケムテック社製の商品名「デナトロン」シリーズが例示される。また、ポリアニリンスルホン酸水溶液の市販品としては、三菱レイヨン社製の商品名「aqua−PASS」が例示される。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記コーティング材の調製にポリチオフェン水溶液を使用する。ポリスチレンスルホネート(PSS)を含むポリチオフェン水溶液(ポリチオフェンにPSSがドーパントとして添加された形態であり得る。)の使用が好ましい。かかる水溶液は、ポリチオフェン:PSSを1:1〜1:10の重量比で含有するものであり得る。上記水溶液におけるポリチオフェンとPSSとの合計含有量は、例えば1〜5重量%程度であり得る。このようなポリチオフェン水溶液の市販品としては、H.C.Stark社の商品名「ベイトロン(Baytron)」が例示される。なお、上記のようにPSSを含むポリチオフェン水溶液を用いる場合には、ポリチオフェンとPSSとの合計量を、バインダ100重量部に対して5〜200重量部(通常は10〜100重量部、例えば25〜70重量部)とするとよい。
ここに開示されるトップコート層は、必要に応じて、導電性ポリマーと、他の1種または2種以上の帯電防止成分(導電性ポリマー以外の有機導電性物質、無機導電性物質、帯電防止剤など)とを共に含んでもよい。好ましい一態様では、上記トップコート層が、導電性ポリマー以外の帯電防止成分を実質的に含有しない。すなわち、ここに開示される技術は、上記トップコート層に含まれる帯電防止成分が実質的に導電性ポリマーのみからなる態様で好ましく実施され得る。
<架橋剤>
ここに開示される技術の好ましい一態様では、トップコート層が架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、一般的な樹脂の架橋に用いられるメラミン系、イソシアネート系、エポキシ系等の架橋剤を適宜選択して用いることができる。かかる架橋剤を用いることにより、耐スクラッチ性の向上、耐溶剤性の向上、印字密着性の向上、摩擦係数の低下(すなわち、滑り性の向上)、のうち少なくとも1つの効果が実現され得る。好ましい一態様では、上記架橋剤がメラミン系架橋剤を含む。架橋剤が実質的にメラミン系架橋剤(メラミン系樹脂)のみからなる(すなわち、メラミン系架橋剤以外の架橋剤を実質的に含有しない)トップコート層であってもよい。
<トップコート層の形成>
上記トップコート層は、上記樹脂成分および必要に応じて使用される添加剤が適当な溶媒に分散または溶解した液状組成物(トップコート層形成用のコーティング材)を支持フィルム(基材)に付与することを含む手法によって好適に形成され得る。例えば、上記コーティング材を支持フィルム(基材)の第一面に塗付して乾燥させ、必要に応じて硬化処理(熱処理、紫外線処理など)を行う手法を好ましく採用し得る。上記コーティング材のNV(不揮発分)は、例えば5重量%以下(典型的には0.05〜5重量%)とすることができ、通常は1重量%以下(典型的には0.10〜1重量%)とすることが適当である。厚みの小さいトップコート層を形成する場合には、上記コーティング材のNVを例えば0.05〜0.50重量%(例えば0.10〜0.30重量%)とすることが好ましい。このように低NVのコーティング材を用いることにより、より均一なトップコート層が形成され得る。
上記トップコート層形成用コーティング材を構成する溶媒としては、トップコート層形成成分を安定して溶解または分散し得るものが好ましい。かかる溶媒は、有機溶剤、水、またはこれらの混合溶媒であり得る。上記有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等の脂肪族または脂環族アルコール類;アルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル)、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;等から選択される1種または2種以上を用いることができる。好ましい一態様では、上記コーティング材の溶媒が、水または水を主成分とする混合溶媒(例えば、水とエタノールとの混合溶媒)である。
<トップコート層の性状>
ここに開示される技術におけるトップコート層の厚さは、典型的には3〜500nm(好ましくは3〜100nm、例えば3〜60nm)である。トップコート層の厚さが大きすぎると、粘着シート(表面保護フィルム)の透明性(光線透過性)が低下しやすくなる傾向にある。一方、トップコート層の厚みが小さすぎると、トップコート層を均一に形成することが困難となり(例えば、トップコート層の厚みにおいて、場所による厚みのバラツキが大きくなり)、このため、粘着シートの外観にムラが生じやすくなることがあり得る。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、トップコート層の厚さが3nm以上30nm未満(例えば、3nm以上10nm未満)である。かかるトップコート層を備える粘着シート(表面保護フィルム)は、より外観品位に優れたものとなり得る。このように外観品位に優れた粘着シートによると、該フィルム越しに製品(被着体)の外観検査をより精度よく行うことができる。上記トップコート層の厚みが小さいことは、支持フィルム(基材)の特性(光学特性、寸法安定性等)に及ぼす影響が少ないという観点からも好ましい。
上記トップコート層の厚さは、トップコート層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察することにより把握することができる。例えば、目的の試料(トップコート層が形成された指示フィルム、前記支持フィルムを備える粘着シート等であり得る。)について、トップコート層を明瞭にする目的で重金属染色処理を行った後、樹脂包埋を行い、超薄切片法により試料断面のTEM観察を行って得られる結果を、ここに開示される技術におけるトップコート層の厚さとして好ましく採用することができる。TEMとしては、日立社製のTEM、型式「H−7650」等を用いることができる。後述する実施例では、加速電圧:100kV、倍率:60,000倍の条件で得られた断面画像について、二値化処理を行った後、視野内のサンプル長さでトップコートの断面積を除算することでトップコート層の厚さ(視野内の平均厚さ)を実測した。なお、重金属染色を行わなくてもトップコート層を十分明瞭に観察し得る場合には、重金属染色処理を省略してもよい。あるいは、TEMにより把握される厚さと、各種の厚み検出装置(例えば、表面粗さ計、干渉厚み計、赤外分光測定機、各種X線回折装置等)による検出結果との相関につき、検量線を作成して計算を行うことにより、トップコート層の厚さを求めてもよい。
ここに開示される粘着シート(表面保護フィルム)の好ましい一態様では、トップコート層の表面における測定される表面抵抗率が1012Ω以下(典型的には106Ω〜1012Ω)である。かかる表面抵抗率を示す粘着シートは、例えば、液晶セルや半導体装置等のように静電気を嫌う物品の加工または搬送過程等において使用される粘着シートとして好適に利用され得る。表面抵抗率が1011Ω以下(典型的には5×106Ω〜1011Ω、例えば107Ω〜1010Ω)の粘着シートがより好ましい。上記表面抵抗率の値は、市販の絶縁抵抗測定装置を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で測定される表面抵抗の値から算出することができる。
トップコート層の摩擦係数は、0.4以下であることが好ましい。このように摩擦係数の低いトップコート層によると、トップコート層に荷重(スクラッチ傷を生じさせるような荷重)が加わった場合に、その荷重をトップコート層の表面に沿って受け流し、荷重による摩擦力を軽減することができる。このことによって、トップコート層の凝集破壊(トップコート層がその内部で破壊する損傷態様)や界面破壊(トップコート層が支持フィルムの背面から剥がれる損傷態様)が起こりにくくなる。したがって、粘着シート(表面保護フィルム)にスクラッチ傷を生じる事象をよりよく防止することができる。摩擦係数の下限は特に限定されないが、他の特性(外観品位、印字性等)とのバランスを考慮して、通常は摩擦係数を0.1以上(典型的には0.1以上0.4以下)とすることが適当であり、0.15以上(典型的には0.15以上0.4以下)とすることが好ましい。上記摩擦係数としては、例えば、23℃、50%RHの測定環境下において、トップコート層の表面を垂直荷重40mNで擦過して求められる値を採用することができる。上記ワックスエステル(滑り剤)の使用量は、上記の好ましい摩擦係数が実現されるように設定するとよい。上記摩擦係数の調整には、例えば、架橋剤の添加や成膜条件の調整によりトップコート層の架橋密度を高めることも有効である。
ここに開示される粘着シート(表面保護フィルム)は、その背面(トップコート層の表面)が、油性インキにより(例えば、油性マーキングペンを用いて)容易に印字できる性質を有することが好ましい。かかる粘着シートは、粘着シート(を貼り付けた状態で行われる被着体(例えば光学部品)の加工や搬送等の過程において、保護対象たる被着体の識別番号等を上記粘着シートに記載して表示するのに適している。したがって、外観品位に加えて印字性にも優れた粘着シートが好ましい。例えば、溶剤がアルコール系であって顔料を含むタイプの油性インキに対して高い印字性を有することが好ましい。また、印字されたインキが擦れや転着により取れにくい(すなわち、印字密着性に優れる)ことが好ましい。ここに開示される粘着シートは、また、印字を修正または消去する際に、印字をアルコール(例えばエチルアルコール)で拭き取っても外観に目立った変化を生じない程度の耐溶剤性を有することが好ましい。この耐溶剤性の程度は、例えば、後述する耐溶剤性評価により把握することができる。
ここに開示される技術におけるトップコート層は、滑り剤としてのワックス(ワックスエステル)を含有するため、トップコート層の表面にさらなる剥離処理(例えば、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤等の公知の剥離処理剤を塗付して乾燥させる処理)を施さない態様においても、十分な滑り性(例えば、上述した好ましい摩擦係数)を実現し得る。このようにトップコート層の表面にさらなる剥離処理が施されていない態様は、剥離処理剤に起因する白化(例えば、加熱加湿条件下に保存されることによる白化)を未然に防止し得る等の点で好ましい。また、耐溶剤性の点からも有利である。
ここに開示される粘着シート(表面保護フィルム)は、支持フィルム、粘着剤層、及び、トップコート層に加えて、さらに他の層を含む態様でも実施され得る。かかる「他の層」の配置としては、支持フィルムの第一面(背面)とトップコート層との間、支持フィルムの第二面(前面)と粘着剤層との間等が例示される。支持フィルム背面とトップコート層との間に配置される層は、例えば、帯電防止成分を含む層(上述した帯電防止層)であり得る。支持フィルム前面と粘着剤層との間に配置される層は、例えば、上記第二面に対する粘着剤層の投錨性を高める下塗り層(アンカー層)、帯電防止層等であり得る。支持フィルム前面に帯電防止層が配置され、帯電防止層の上にアンカー層が配置され、その上に粘着剤層が配置された構成の粘着シート(表面保護フィルム)であってもよい。
本発明の粘着シート(表面保護フィルム)は、総厚みが、1〜150μmであることが好ましく、3〜120μmであることがより好ましく、5〜100μmであることが最も好ましい。前記範囲内であると、粘着特性、作業性、外観特性に優れ、好ましい態様となる。また、前記総厚みとは、支持フィルム、粘着剤層、トップコート層、及び、帯電防止層などの全ての層を含む厚みの合計を意味する。
<セパレーター>
本発明の粘着シート(表面保護フィルム)には、必要に応じて粘着面を保護する目的で、粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。
前記セパレーターを構成する材料としては、紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合せ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
本発明の粘着シート(表面保護フィルムに使用する場合を含む)は、前記粘着シートに用いられる粘着剤層のTAC偏光板の表面(TAC表面)に対する23℃×50%RHで、30分間放置した後、同環境下での180°ピール粘着力(剥離速度30m/min:高速剥離)(対偏光板粘着力)が、1.5N/25mm以下であることが好ましく、1.4N/25mm以下であることがより好ましく、0.05〜1.3N/25mmであることが更に好ましい。前記粘着力を1.5N/25mm以下とすることにより、偏光板や液晶表示装置の製造工程で、粘着シートを剥離しやすく、生産性、取り扱い性が向上するため好ましい。また、前記ピール粘着力が1.5N/25mmを超えると、被着体から粘着シート(表面保護フィルム)が剥がれ難くなり、粘着シート(表面保護フィルム)が不要になったときの剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
本発明の光学部材は、前記粘着シートにより保護されたものであることが好ましい。前記粘着シートは高速剥離時の粘着力が低く抑えることができ、軽剥離性、再剥離性及び作業性に優れるため、加工、搬送、出荷時等の表面保護用途(表面保護フィルム)に使用できるため、前記光学部材(偏光板など)の表面を保護するために、有用なものとなる。特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いることができるため、帯電が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野において、帯電防止用に非常に有用となる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
[評価]
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマー(ポリマー)、粘着剤層(粘着剤組成物)、及び、粘着シートについて、下記の測定方法又は評価方法により評価を行った。なお、評価結果としては、ポリマーの物性評価を表1に示し、粘着剤層(粘着剤組成物)の配合内容及び評価を表2に示し、粘着シート(表面保護フィルム)の評価を表3に示した。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
<ガラス転移温度(Tg)の理論値>
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
4−ヒドロキブチルアクリレート(4HBA):−32℃
アクリル酸(AA):106℃
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)及び「Polymer Handbook」(John Wiley & Sons)を参照した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
実施例および比較例で得られた(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)(℃)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)を用いて、下記の方法により求めた。
(メタ)アクリル系ポリマーのシート(厚み:20μm)を積層して約2mmの厚みとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度測定用サンプルとした。
上記測定サンプルをφ7.9mmパラレルプレートの治具に固定し、上記動的粘弾性測定装置により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(℃)とした。
測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
<ポットライフ>
粘着剤組成物(溶液)について、回転粘度計(TOKIMEC社製、B型粘度計)を用いて、25℃、20rpmの条件下で、粘度測定を行い、ポットライフを評価した。
○:粘着剤祖組成物(溶液)の調製(配合)から24時間後の粘度が、調製直後の粘度の2倍未満の場合
×:粘着剤祖組成物(溶液)の調製(配合)から24時間後の粘度が、調製直後の粘度の2倍以上、もしくはゲル化した場合
<粘着剤層中の鉄原子の含有量分析>
実施例、及び、比較例より得られた粘着シートを構成する粘着剤層を50mg採取し、加圧酸分解法により、前処理をした後、Agilent Technologies社製ICP MSにより、鉄原子の含有量に関して、定量分析(単位:ppm)を行った。
<トップコート層の厚み測定>
各例に係る粘着シートにつき、重金属染色処理を行った後に樹脂包埋を行い、超薄切片法により、日立社製のTEM「H−7650」を用いて、加速電圧:100kV、倍率:60,000倍の条件で断面画像を得た。この断面画像の二値化処理を行った後、視野内のサンプル長さでトップコートの断面積を除算することにより、トップコート層の厚さ(視野内の平均厚さ)を実測した。
<耐白化性評価>
各例に係る粘着シートの背面(トップコート層の表面)を、手袋をはめた試験者が、厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで1回強く擦り、その擦られた部分(擦過部)が周囲(非擦過部)と比べて透明に抜けるか否かを目視にて観察した。その結果、非擦過部と擦過部との透明性の違いが目視で確認できた場合には、白化が認められたと判定した。白化が顕著になると、透明な擦過部とその周囲(白化した非擦過部)とのコントラストが、よりはっきりする現象がみられる。
上記目視観察は、以下のとおり、暗室(反射法、透過法)および明室において行った。
(a)暗室での反射法による観察:外光を遮った室内(暗室)にて、各例に係る粘着シートの背面(トップコート層の表面)から100cmの位置に100Wの蛍光灯(三菱電機株式会社製、商品名「ルピカライン」)を配置し、視点を変えながらサンプルの背面を目視観察した。
(b)暗室での透過法による観察:上記暗室にて、粘着シートの前面(トップコートが設けられた側とは反対側の表面)から10cmの位置に上記蛍光灯を配置し、視点を変えながらサンプルの背面を目視観察した。
(c)明室での観察:外光の入る窓を有する室内(明室)にて、晴天の日中に、直射日光の当たらない窓際にてサンプルの背面を目視観察した。
これら3種類の条件下における観察結果を、以下の5段階で表記した。
0:いずれの観察条件においても白化(擦過部と非擦過部とのが透明に)は認められなかった。
1:暗室での反射法による観察において僅かな白化が認められた。
2:暗室での透過法による観察において僅かな白化が認められた。
3:明室での観察において僅かな白化が認められた。
4:明室での観察において明らかな白化が認められた。
上記の耐白化性評価を、初期(作製後、50℃、15%RHの条件下に3日間保持したもの)および加温加湿後(作製後、50℃、15%RHの条件下に3日間保持し、さらに60℃、95%RHという高温多湿条件下に2週間保持したもの)の粘着シートについて行った。なお、加熱加湿後の評価においては、前記5段階評価の2以下(0〜2)の場合を良好と判断した。
<耐溶剤性評価>
上記暗室において、各例に係る粘着シートの背面(すなわち、トップコート層の表面)をエチルアルコールを染み込ませたウェス(布)で5回拭き、その背面の外観を目視観察した。その結果、エチルアルコールで拭いた部分と他の部分との間に外観上の相違が確認されなかった場合(エチルアルコールで拭いたことによる外観変化がみられなかった場合)には耐溶剤性「良」、拭きムラが確認された場合には耐溶剤性「不良」と評価した。
<背面粘着力(A)測定>
図1に示すように、各例に係る粘着シート1を幅70mm、長さ100mmのサイズにカットし、この粘着シート1の粘着面(粘着剤層20が設けられた側)20Aを、両面粘着テープ130を用いてSUS304ステンレス板132上に固定した。ポリエステルフィルム(支持フィルム)164上にアクリル系粘着剤162を有する片面粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」、幅24mm)160を100mmの長さにカットした。この粘着テープ160の粘着面162Aを、粘着シート1の背面(すなわち、トップコート層14の表面)1Aに、0.25MPaの圧力、0.3m/minの速度で圧着した。これを23℃、50%RHの条件下に30分間放置した。その後、万能引張試験機を用いて、粘着シート1の背面1Aから粘着テープ160を、剥離速度0.3m/min、剥離角度180度の条件で剥離し、このときの粘着力(A)[N/24mm]を測定した。
なお、前記背面粘着力(A)が、4.0N/24mm以上であり、好ましくは、4.5N/24mm以上であり、より好ましくは、5.0N/24mm以上であり、最も好ましくは5.5N/24mm以上である。前記粘着力が、4.0N/24mm未満であると、十分な粘着力が得られず、ピックアップ性に劣り、保護フィルムの剥離作業性が低下するため、好ましくない。
<対偏光板粘着力(B)測定>
被着体として、幅70mm、長さ100mmのプレーン偏光板(日東電工社製のTAC偏光板、SEG1425DU)を用意した。各例に係る粘着シートを幅25mm、長さ100mmのサイズにカットし、その粘着面を上記偏光板(TAC表面)に、0.25MPaの圧力、0.3m/minの速度で圧着した。これを23℃、50%RHの環境下に30分間貼付して放置した後、同環境下で万能引張試験機を用いて剥離速度30m/min(高速剥離)、剥離角度180°の条件で上記偏光板から粘着シートを剥離し、このときの粘着力(B)[N/25mm]を測定した。
なお、前記粘着力(B)が、1.5N/25mm以下が好ましくは、1.4N/25mm以下がより好ましくは、0.05〜1.3N/25mmが更に好ましい。前記粘着力が、1.5N/25mmを超えると、剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
<ピックアップ性>
図2に示すように、各例に係る粘着シート1を幅50mm、長さ100mmのサイズにカットし、この粘着シート1の粘着面(粘着剤層20が設けられた側)20Aを、プレーン偏光板(日東電工社製のTAC偏光板、SEG1425DU)50上に0.25MPaの圧力、0.3m/minの速度で圧着した。
片面粘着テープ60(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」、幅24mm)を50mmの長さにカットした。この粘着テープ60の粘着剤層(粘着面)62を、端部が30mmはみ出るように粘着シート1幅50mmの背面(すなわち、トップコート層14の表面)中心上に、手で圧着した。これを23℃、50%RHの条件下に10秒間放置した。その後、片面粘着テープ60を手で剥離し、粘着シート1の剥がれ具合(ピックアップ性)を評価した。
評価基準は粘着シートが剥離可能な場合は○、剥離できずに粘着シートが残ってしまう場合は×とした。
<剥離帯電圧の測定>
粘着シート1を幅70mm、長さ130mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、あらかじめ除電しておいたアクリル板3(厚み:2mm、幅:70mm、長さ:100mm)に貼り合わせた偏光板2(日東電工社製のTAC偏光板、SEG1423DU、幅:70mm、長さ:100mm)表面(TAC面)に片方の端部が30mmはみ出すようにハンドローラーにて圧着した。
23℃×50%RHに一日放置した後、図3に示すように、所定の位置にサンプルをセットした。30mmはみ出した片方の端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、剥離速度30m/minとなるように剥離した。このときに発生する偏光板2の表面の電位(剥離帯電圧:絶対値、kV)を偏光板2の中央の位置に固定してある電位測定機5(春日電機社製、KSD−0103)にて測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
前記粘着シートに用いられる粘着剤層のTAC偏光板に対する23℃×50%RHでの、剥離角度150°、剥離速度30m/minで剥離したときに発生する偏光板表面の電位(剥離帯電圧:kV、絶対値)は、1.0kV以下が好ましく、0.8kV以下がより好ましく、0.5kV以下が更に好ましい。前記剥離帯電圧が、1.0kVを超えると、例えば、液晶ドライバ等の損傷を招く恐れがあり、好ましくない。
<(メタ)アクリル系ポリマーAの調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10重量部、アクリル酸(AA)0.01重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、酢酸エチル157重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、(メタ)アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)は、−67℃であった。
<トップコート層Eの調製>
バインダAとして、ポリエステル樹脂を25%含む分散液(東洋紡株式会社製品、商品名「バイナロールMD−1480」(飽和共重合ポリエステル樹脂の水分散液))を用意した。
また、滑り剤Bとして、カルナバワックスの水分散液を用意し、さらに、導電性ポリマーとしてのポリ(3,4−ジオキシチオフェン)(PEDOT)0.5%およびポリスチレンスルホネート(数平均分子量15万)(PSS)0.8%を含む水溶液(H.C.Stark社製品、商品名「Baytron P」)を用意した。
更に、水とエタノールとの混合溶媒に、上記バインダ分散液を固形分量で100重量部と、上記滑り剤分散液を固形分量で30重量部と、上記導電性ポリマー水溶液を固形分量で50重量部と、メラミン系架橋剤とを加え、約20分間攪拌して十分に混合した。このようにして、NV約0.15重量%のコーティング材を調製した。
続いて、一方の面(第一面)にコロナ処理が施された支持フィルムである、厚さ38μm、幅30cm、長さ40cmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。このPETフィルムのコロナ処理面に上記コーティング材をバーコーターで塗付し、130℃に2分間加熱して乾燥させた。このようにして、PETフィルムの第一面に厚さ10nmの透明なトップコート層Eを有する支持フィルム(トップコート付き支持フィルム)を作製した。
なお、前記トップコート層Eの厚みを50nmにする場合は、NV約0.3重量%とすることにより調製し、その他の条件は、上述した10nmの透明なトップコート層Eの場合と同様に調製した。
<トップコート層Fの調製>
水−アルコール溶媒中に、バインダCとして、カチオン性高分子からなる帯電防止剤(コニシ株式会社製、商品名「ボンディップ−P主剤」)と、硬化剤としてのエポキシ樹脂(コニシ株式会社製品、商品名「ボンディップ−P硬化剤」)とを、NV基準で100:46.7の重量比で含む溶液を用意した。
この溶液を、一方の面(第一面)にコロナ処理が施された支持フィルムである、厚さ38μm、幅30cm、長さ40cmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理面に塗付して乾燥させることにより、NV基準で0.06g/m2のトップコート層を形成した。
次いで、上記トップコート層の表面に、滑り剤Dとして、長鎖アルキルカルバメート系の剥離処理剤(一方社油脂工業株式会社製品、商品名「ピーロイル1010」)をNV基準で0.02g/m2となるように塗付して乾燥させることにより、滑り性を付与したトップコート層Fを調製した。このようにして、PETフィルムの第一面に厚さ80nmの透明なトップコート層Fを有する支持フィルム(トップコート付き支持フィルム)を作製した。
<実施例1>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記(メタ)アクリル系ポリマーA溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液500重量部(固形分100重量部)に、オキシアルキレン基を側鎖に有するオルガノポリシロキサン(商品名:KF-353、信越シリコーン(株)製、HLB値:10)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液2重量部(固形分0.2重量部)、帯電防止剤であるアルカリ金属塩として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2:LiTFSI、東京化成工業社製)を酢酸エチルで1%に希釈した溶液6重量部(固形分0.06重量部)、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)1.5重量部(固形分1.5重量部)、架橋触媒(鉄を活性中心とする触媒)として、トリス(アセチルアセトナト)鉄(Fe(AcAc)3、東京化成工業社製、1重量%酢酸エチル溶液)0.5重量部(固形分0.005重量部)、アセチルアセトン0.25重量部を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液を、上記のトップコート層Eを有する支持フィルム(トップコート付き支持フィルム)のトップコート層Eとは反対の面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層Aの表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シートを作製した。
<実施例2〜12、比較例1〜4>
表1に示すように、原料モノマー等の種類や配合量等を変更し、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマー(単に、ポリマーということがある。)を調製した。なお、表中に記載のない添加剤(たとえば、アクリル酸モノマーやオキシアルキレン基を側鎖に有するオルガノポリシロキサンなど)については、実施例1と同様の配合量で調製した。また、前記ポリマーを用い、実施例1と同様にして、粘着剤組成物および粘着シート(表面保護フィルム)を得た。
注)表2中の「Fe原子含有量」(ここでの単位:ppm)は、粘着剤層(全体の重量)中のFe原子の含有量を示す。また、Sn触媒を使用する際、Fe原子含有量は、測定装置の下限値検出限界未満であり、この場合を「非検出」とした。
なお、表1、及び、表2中の配合内容については、固形分の重量を示した。表1及び表2で用いた略号は、以下のとおりである。
2EHA:2−エチルへキシルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
C/HX:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHX」(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(架橋剤)
LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO2)2、東京化成工業社製、アルカリ金属塩(帯電防止剤)
KTFSI:カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(KN(CF3SO2)2、関東化学社製、アルカリ金属塩(帯電防止剤)
Fe(AcAc)3:トリス(アセチルアセトナト)鉄、東京化成工業社製、鉄を活性中心とする触媒(架橋触媒)
Sn:ジラウリン酸ジブチルスズ、東京化成工業社製(スズ触媒) BMPTFSI:1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、イオン液体(帯電防止剤)
BMPPF:1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、イオン液体(帯電防止剤)
表2及び表3の評価結果より、全ての実施例において、使用する粘着剤組成物(溶液)はポットライフ性に優れ、また、更に得られた粘着シートについては、耐白化性や耐溶剤性、及び、粘着特性などに優れ、特に高速剥離時における軽剥離性(再剥離性)に優れることが確認できた。また、帯電防止剤を配合した際には、帯電防止性にも優れ、光学用途等の表面保護用途に有用であることが確認できた。
一方、比較例1においては、トップコート層として、長鎖アルキルカルバメート剥離処理剤を使用したため、耐白化性(加熱加湿後)や耐溶剤性が劣り、ピックアップ性にも劣る結果となった。また、比較例2及び3においては、原料モノマーとして、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの配合量が少なかったため、高速剥離時における耐偏光板粘着力が高く、ピックアップ性にも劣り、軽剥離性・再剥離性に問題があることが確認された。また、比較例4においては、粘着剤組成物の調製時に、鉄を活性中心とする触媒(鉄原子を含む)の代わりに、Sn(スズ)触媒を配合したため、粘着剤組成物(溶液)はポットライフに劣ることが確認された。