JP6694312B2 - フィリング用油中水型乳化油脂組成物 - Google Patents

フィリング用油中水型乳化油脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、フィリング用油中水型乳化油脂組成物、及びフィリング用油中水型乳化油脂組成物を含む食品に関する。
フィリング用油中水型乳化油脂組成物は、良好な口溶け、良好な外観、可塑性及び酸化安定性が求められる。従来はそれらを満足させるため、部分硬化油が使用されてきたが、部分硬化油の構成脂肪酸にはトランス脂肪酸が多く含まれており、トランス脂肪酸は多量に摂取すると動脈硬化等のリスクを高めることから、部分硬化油が使用し難くなった。それに伴い、低トランス脂肪酸の油脂の中でラウリン系油脂が使用されるようになった。そのようなラウリン系油脂を用いたフィリングは、口溶け、外観、可塑性及び酸化安定性が比較的良好だからである。しかし、ラウリン系油脂は価格変動が大きくコスト面で問題がある。そのため、トランス脂肪酸やラウリン酸の含有量が低いフィリング用油中水型乳化油脂組成物が求められているが、ラウリン酸含量を減らすと、長鎖飽和脂肪酸が3つ結合したトリグリセリドが増加することになり、口溶けが悪化するという問題があった。
特許文献1では、口溶けが良好な油脂組成物として、油脂組成物中の全トリアシルグリセロールにおいてPPO/POP重量比が0.15〜1.00であり(Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸)、StStStの含量が3.0質量%未満であり(Stはステアリン酸)、かつ油脂組成物中の構成脂肪酸全体中のベヘン酸含量が0.10質量%〜5.00質量%である油脂組成物が開示されている。しかし、この油脂組成物では、PPO/POP重量比が最大でも1.00であり、粗大結晶が増えて可塑性が低下するという問題があった。
また、焼成した後のまだ温かいパン又は菓子生地で上下からフィリングをサンドする場合は、フィリング用油中水型乳化油脂組成物において、上記した一般のフィリング用油中水型乳化油脂組成物に求められる特性に加え、耐熱保型性も重要である。
特許文献2では、良好な可塑性、耐熱保型性、口溶けを有する可塑性油脂組成物として、ランダムエステル交換油脂の分別軟部油からなるハードストックを使用し、油相中のトリグリセリドにおけるUUUの含有量が40〜70重量%である可塑性油脂組成物(Uは炭素数16以上の不飽和脂肪酸)が記載されている(請求項1及び6)。しかし、炭素数16以上の不飽和脂肪酸が3分子結合しているトリグリセリド(UUU)の含有量が40〜70重量%と多く、耐熱保型性が不十分という問題があった。
特許文献3では、トランス脂肪酸及びラウリン酸の含量を低減し、保存時の品質(硬さ、グレーニング、染み出し耐性)が良好な可塑性油脂食品として、PPP及びPPO+POPを特定量含有し、PPO/POP及び(PPO+POP)/PPPが特定値より大きく、さらにベヘン酸等の炭素数22以上の脂肪酸を特定量含む可塑性油脂組成物に対して、液体油を配合してなる可塑性油脂食品が開示されている(請求項1及び4)。しかし、全実施例において液体油である大豆油を60重量%も配合しており、そのため、リノレン酸含量が1重量%を大きく超えており、酸化安定性が不十分という問題があった。
特開2010−130919号公報 特開2010−77244号公報 特開2007−177100号公報
本発明の目的は、トランス脂肪酸及びラウリン酸の含量が少なくても、良好な口溶け、外観、可塑性及び酸化安定性を有し、焼成後まだ温かい生地でサンドされることに好適な耐熱保型性を有するフィリングとして使用することができるフィリング用油中水型乳化油脂組成物、並びに該組成物を含む食品を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂中の構成脂肪酸としてベヘン酸を特定量含有し、かつ、フィリング用油中水型乳化油脂組成物中に特定量のトリグリセリドを含有すると、トランス脂肪酸やラウリン酸の含量が少なくても、良好な口溶け、外観、及び可塑性を有し、さらに、焼成後まだ30〜40℃と温かい生地でサンドされることに好適な耐熱保型性を有するフィリング用油中水型乳化油脂組成物が得られることを見出し、またさらに、リノレン酸量を減らしても上記物性を損なうこと無く酸化安定性を良好にできることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、油脂を35〜95重量%、水分を4〜64重量%含有するフィリング用油中水型乳化油脂組成物であって、
前記油脂の構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸含量は5重量%以下、ラウリン酸含量は5重量%以下、リノレン酸含量は1重量%以下、ベヘン酸含量は0.5〜10重量%であり、
前記油脂全体中、SSSを3〜12重量%、S2Uを25〜45重量%、UUUを15〜30重量%含有し、SSU/SUS(重量比)は1.5〜4.0である、フィリング用油中水型乳化油脂組成物に関する。
S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、
U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸、
SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリド、
S2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド、
UUU:Uが3分子結合しているトリグリセリド、
SSU:1位及び2位、又は2位及び3位にSが、1位又は3位にUが結合しているトリグリセリド、
SUS:1位及び3位にSが、2位にUが結合しているトリグリセリド
好ましくは、前記油脂全体中、(I)ラード及び/又はパーム系油脂30〜80重量%、(II)牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油からなる群より選ばれる少なくとも1種とハイエルシン菜種極度硬化油を50/50〜95/5(重量比)で混合した混合油のエステル交換油脂5〜40重量%、及び、(III)液油10〜40重量%を含有する。
好ましくは、前記(I)におけるパーム系油脂が、パーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部であり、且つヨウ素価が35〜62の油脂である。
好ましくは、フィリング用油中水型乳化油脂組成物全体中、HLBが6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜1重量%含有する。
本発明の第二は、前記フィリング用油中水型乳化油脂組成物を含む食品に関する。
本発明の第三は、前記フィリング用油中水型乳化油脂組成物の製造方法であって、(I)ラード及び/又はパーム系油脂30〜80重量%、(II)牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油からなる群より選ばれる少なくとも1種とハイエルシン菜種極度硬化油を50/50〜95/5(重量比)で混合した混合油のエステル交換油脂5〜40重量%、及び、(III)液油10〜40重量%を含有する油脂を含む油相を撹拌しながら、水相を添加していき、乳化させた後、急冷捏和することで、油脂を35〜95重量%、水分を4〜64重量%含有するフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得ることを特徴とする、フィリング用油中水型乳化油脂組成物の製造方法に関する。
本発明に従えば、トランス脂肪酸及びラウリン酸の含量が少なくても、良好な口溶け、外観、可塑性及び酸化安定性を有し、焼成後まだ温かい生地でサンドされることに好適な耐熱保型性を有するフィリングとして使用することができるフィリング用油中水型乳化油脂組成物、並びに該組成物を含む食品を提供することができる。
また、本発明の好適な態様に係るフィリング用油中水型乳化油脂組成物、並びに該組成物を含む食品は、以上の特性に加えて、風味をより強く感じられる特性をも有する。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、油脂と必要に応じて油脂以外の油溶性原料とを含む油相、及び、水と必要に応じて水溶性原料とを含む水相を含む、油中水型の乳化物である。当該乳化物は、常温(約20℃)で固形のものであり、可塑性を示すものである。
油脂は、1分子のグリセリンに対し3分子の脂肪酸がエステル結合してなるトリグリセリドである。トリグリセリドを構成している前記脂肪酸を、油脂中の構成脂肪酸という。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物において、油脂は、合計で、前記乳化油脂組成物の全体に対し35〜95重量%、好ましくは50〜90重量%を占めるように配合される。油脂の含有割合が35重量%より少ないと、乳化が不安定になり、離水が起きる場合がある。また95重量%より多いと、水相成分が相対的に少なくなるため、風味が感じられにくくなる場合がある。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物において、水分は、合計で、前記乳化油脂組成物の全体に対し4〜64重量%、好ましくは10〜40重量%を占めるように配合される。水分の含有割合が4重量%より少ないと、水相成分を溶解させられる量が相対的に少なくなるため、風味が感じられにくくなる場合がある。また64重量%より多いと、乳化が不安定になり、離水が起きる場合がある。ここで、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物における水の含量は、添加した水と、他の原材料に含まれる水分の合計量をいう。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物においては、油脂(トリグリセリド)中の構成脂肪酸が特定の構成になっており、また、前記組成物は、特定のトリグリセリドを特定量含むことを特徴とする。なお、以下において、本願における脂肪酸及びトリグリセリドの表記は、以下の通りである。
S:炭素数16以上の飽和脂肪酸(好ましくは炭素数24以下)
U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数24以下)
SSS:構成脂肪酸としてSが3分子結合しているトリグリセリド
S2U:構成脂肪酸としてSが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
UUU:構成脂肪酸としてUが3分子結合しているトリグリセリド
SSU:グリセリンの1位及び2位、又は2位及び3位に構成脂肪酸としてSが、1位又は3位にUが結合しているトリグリセリド
SUS:グリセリンの1位及び3位に構成脂肪酸としてSが、2位にUが結合しているトリグリセリド
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂中の構成脂肪酸全体中において、トランス脂肪酸含量は健康上の観点から少ないほど良く、5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%未満である。なお、油脂中の構成脂肪酸全体に対するトランス脂肪酸含量は、AOCS Ce 1f−96に準じて測定する。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂中の構成脂肪酸全体中において、ラウリン酸含量は、価格変動が大きいなどコストの観点から少ないほど良く、5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%未満である。
また、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂中の構成脂肪酸全体中において、リノレン酸含量は、熱や光、酸素などに対する安定性を高める観点から少ないほど良く、1重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8重量%以下であり、更に好ましくは0.6重量%未満である。但し、原料に含まれる量を考慮すると、0.2重量%未満にすることは困難な場合があるため、リノレン酸含量は0.2重量%以上が実用的である。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂中の構成脂肪酸全体中において、ベヘン酸含量は0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜8重量%であり、更に好ましくは0.5〜6重量%である。0.5重量%より少ないと耐熱保型性が不足する場合があり、10重量%より多いと、口溶けが悪化したり、コストが上がり過ぎる場合がある。なお、本発明における耐熱保型性とは、30〜40℃程度の温度下でフィリングがある程度の硬さを維持していることを意味している。フィリングが好適な耐熱保型性を有している場合、焼成後まだ温かい30〜40℃の生地で上下からフィリングをサンドしても、フィリングが柱のような役割を果たすため、2枚の生地が横方向にずれにくく、サンドした形状を維持できるため好ましい。
前記ラウリン酸含量、リノレン酸含量及びベヘン酸含量は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法暫11−2003及び暫15−2003」に記載されたメチルエステル化法及びガスクロマトグラフ法に準拠して測定する。
本発明において、SSS含量は、フィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体中3〜12重量%が好ましく、より好ましくは4〜10重量%であり、更に好ましくは5〜8重量%である。3重量%より少ないと、耐熱保型性や可塑性が不足する場合があり、12重量%より多いと、口溶けが悪化したり可塑性が不足する場合がある。
S2U含量は、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体中25〜45重量%が好ましく、より好ましくは28〜42重量%であり、更に好ましくは30〜40重量%である。25重量%より少ないと、可塑性が悪化する場合があり、45重量%より多いと、可塑性が不足する場合がある。
また、UUU含量は、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体中15〜30重量%が好ましく、より好ましくは15〜25重量%であり、更に好ましくは20〜25重量%である。15重量%より少ないと、可塑性が不足する場合があり、30重量%より多いと、耐熱保型性が不足する場合がある。
前記SSS含量、S2U含量及びUUU含量は、「AOCS Official Method Ce5c-93」に準拠してHPLCにより分析する。
さらに、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体中におけるSSU含量とSUS含量の割合:SSU/SUS(重量比)は、1.5〜4.0が好ましく、より好ましくは1.5〜3.0であり、更に好ましくは1.5〜2.5である。1.5未満であると、外観や可塑性が悪くなる場合があり、4.0を超えると、コストが上がり過ぎる場合がある。
前記SSU/SUS(重量比)は、HPLCを用いて硝酸銀カラムにより分析する。分析条件は、「Journal of the American Oil Chemists Society, 68, 289-293, 1991」記載の方法に準拠する。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、そこに含まれる油脂が、以上のような特定構成脂肪酸の組成、及び、特定トリグリセリドの組成により特徴付けられるものであるが、これらの組成は、以下のような入手容易な各油脂成分をそれぞれ適切な量で配合することで容易に達成できる。すなわち、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物における油脂は、(I)ラード及び/又はパーム系油脂30〜80重量%、(II)牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油からなる群より選ばれる少なくとも1種とハイエルシン菜種極度硬化油を50/50〜95/5(重量比)で混合した混合油のエステル交換油脂5〜40重量%、及び、(III)液油10〜40重量%を配合することにより製造されることが好ましい。なお、各成分の重量割合は、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物における油脂の全体に対する重量割合である。
このような(I)、(II)及び(III)を配合してなる組成においては、ベヘン酸は主に前記(II)に由来するため、本発明におけるベヘン酸含量は主に前記(II)の種類及び量によって調節可能である。また、UUUは主に前記(III)に由来するので、本発明におけるUUU量は主に前記(III)の種類及び量によって調節可能である。さらに、SSS及びS2Uは主に前記(I)及び前記(II)に由来するため、本発明におけるSSS量、S2U量及びSSU/SUS(重量比)は、主に、前記(I)及び前記(II)の種類、量及び配合比によって調節可能である。しかし、本発明の組成物における油脂は上述した(I)、(II)及び(III)を所定量で配合してなる組成に限定されるものではなく、種々の油脂成分を様々な配合比で配合することで製造することが可能である。
前記(I)における前記ラードは、調理に用いられる豚の脂肪全般のことであり、豚の脂肪組織から精製した食用油脂のことである。
前記(I)における前記パーム系油脂は、パーム由来の油脂であれば特に限定はなく、例えばパーム油、パームステアリン、パーム中融点部、パームオレイン、又はパームスーパーオレイン、或いはこれらをエステル交換した油脂などが挙げられる。中でも、可塑性の観点から、エステル交換したパーム系油脂が好ましく、パーム系油脂をエステル交換した後に分別された液状部で、且つヨウ素価が35〜62である油脂がより好ましい。なお、ヨウ素価は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」に従い測定する。
フィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体中、(I)ラード及び/又はパーム系油脂の合計含有量は30〜80重量%が好ましいが、より好ましくは35〜75重量%であり、更に好ましくは40〜70重量%である。30重量%より少ないと、S2Uが不足して可塑性が悪化する場合があり、80重量%より多いと、S2Uが多くて可塑性が悪化する場合がある。
前記(II)における前記エステル交換油脂は、牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油からなる群より選ばれる少なくとも1種とハイエルシン菜種極度硬化油との混合油をエステル交換した油脂のことである。ここで、ラード及びパーム系油脂は、前述したものと同様のものを使用することができる。牛脂は、牛の脂を精製した食用油脂である。ハイエルシン菜種極度硬化油は、従来品種の菜種から採取されるエルシン酸(エルカ酸)含量が概ね40%以上のハイエルシン菜種油を極度硬化した油脂のことである。ここで、極度硬化した油脂とは、ヨウ素価が4以下になるまで水素添加を行い、不飽和脂肪酸をほとんど含まない油脂のことである。液油とは、常温(15〜25℃)で実質的に液体である油を意味し、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油としては、コーン油、綿実油、米油等が例示でき、コストの観点からコーン油が好ましい。
前記エステル交換を行う混合油における牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油の合計量/ハイエルシン菜種極度硬化油の量の割合(重量比)は50/50〜95/5が好ましいが、より好ましくは65/35〜90/10、更に好ましくは80/20〜90/10である。50/50より小さいと口溶けが悪かったり、コストが上がり過ぎる場合があり、95/5より大きいと耐熱保型性が悪化する場合がある。
(II)エステル交換油脂は、例えば、ハイエルシン菜種極度硬化油5〜50重量部と、牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油からなる群より選ばれる少なくとも1種の油脂50〜95重量部とを、50℃〜100℃で混合した後、エステル交換して製造することができる。エステル交換反応は、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒による方法でもリパーゼ等の酵素による方法でもよく、公知の非選択的エステル交換法を用いることもできる。
フィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体中、(II)エステル交換油脂の含有量は、5〜40重量%が好ましいが、より好ましくは10〜30重量%であり、更に好ましくは10〜20重量%である。5重量%より少ないと、ベヘン酸含量が少なくなって耐熱保型性が不足する場合があり、40重量%より多いと、ベヘン酸含量が多くなり口溶けが悪化したり、コストが上がり過ぎる場合がある。
前記(III)液油は、常温(15〜25℃)で実質的に液体である油を意味し、コーン油、綿実油、米油、サフラワー油、菜種油、大豆油等が例示できる。中でも、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油が好ましい。
(III)液油の含有量は、フィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体中10〜40重量%が好ましいが、より好ましくは15〜35重量%であり、更に好ましくは20〜30重量%である。10重量%より少ないと、UUUが不足して可塑性が悪化する場合があり、40重量%より多いと、UUUが多くなり耐熱保型性が悪化する場合がある。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、上記油脂以外に、例えば、魚油、乳脂、鶏油、卵黄油、及び羊油等の動物油脂、或いはこれらの動物油脂をエステル交換した油脂、硬化又は分別した油脂等を含むこともできる。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、乳化剤をさらに含有することができる。例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、HLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。乳化剤の含量は、特に限定されないが、例えば、フィリング用油中水型乳化油脂組成物全体中、0.01〜2重量%含有することができる。
特に、フィリング用油中水型乳化油脂組成物中、HLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜1重量%含有すると、異味や異臭がより少なく油脂のおいしさが感じられ、風味の出方が良くなるため好ましい。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、塩分をさらに含有することができる。前記塩分としては、食塩等を挙げることができる。本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物が、上述したHLB6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルと共に、塩分を含有すると、ジグリセリン脂肪酸エステルの効果により、塩味がより強く感じられることになるため好ましい。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、上記以外のその他の成分として、通常フィリング用油中水型乳化油脂組成物に配合される成分を含有することができる。例えば、着色料、呈味剤、香料、酸化防止剤、増粘剤、風味エキス類、多糖類、乳製品、ミネラル類等を含有することができる。
前記着色料としては、β−カロチン、アナトー色素等を挙げることができる。
前記呈味剤としては、砂糖、水飴、ブドウ糖果糖液糖、ソルビトール、トレハロースなどの糖類等を挙げることができる。
前記香料としては、ミルクフレーバー、バターフレーバー等を挙げることができる。
前記酸化防止剤としては、トコフェロール、トコトリエノール、ローズマリー抽出物、茶抽出物、甘草抽出物等を挙げることができる。
前記増粘剤としては、カラギーナン、ペクチン、寒天、ジェランガム、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、ネイティブジェランガム、グルコマンナン、タラガム、プルラン、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、及びカラヤガム等を挙げることができる。
前記風味エキス類としては、昆布エキス、発酵調味料等を挙げることができる。
前記多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン等を挙げることができる。
前記乳製品としては、脱脂粉乳、牛乳、加糖練乳、発酵乳、生クリーム、チーズ等を挙げることができる。
前記ミネラル類としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン等を挙げることができる。
その他にも、卵黄、全卵、コーヒー、カカオ原料、抹茶、緑茶、餡類、果汁、果肉、野菜ペースト、粉末野菜等を配合することができる。
なお、前記その他の成分は、本発明の効果を阻害しない範囲内で配合することができる。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の製造例を以下に例示する。油脂に対して、必要に応じて乳化剤、着色料、香料、酸化防止剤等を混合し、撹拌しながら60〜75℃になるまで加熱し油相を調製する。この時、油脂は、前述した油脂成分(I)〜(III)を前述した割合において配合されてなるものが好ましい。また、水に対して、必要に応じて増粘剤、呈味剤、風味エキス類、多糖類、乳製品、塩分、ミネラル類等を添加し、撹拌しながら60〜75℃になるまで加熱して殺菌し、水相を調製する。そして油相を撹拌しながらそこへ水相を添加していき、乳化させた後、急冷捏和して、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得ることができる。
また、風味を強化するため、上記油相及び水相を乳化、急冷捏和した後に呈味成分を後合わせすることができる。呈味成分としては呈味剤、乳製品、風味エキス類、その他呈味を有する原料を使用することができ、そのような呈味成分を水又は油脂に溶解もしくは分散させて後合わせすることができる。
本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、バタークリーム、サンドクリーム、マーガリン等の加工油脂製品として広く使用できる。例えば、塩味を持つ生食用マーガリン、甘味を持つバタークリーム、果物などの呈味原料を加えたクリーム等として用いることができる。また、これらの加工油脂製品は、食パン、菓子パン、デニッシュ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のパン、菓子類をはじめとする食品のフィリングとして広く使用できる。本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は耐熱保型性を有し、30〜40℃といった加温条件下でも充分な硬さを維持することができるので、2枚の生地でサンドされるフィリングとして使用する際に、当該生地が焼成後まだ温かい生地であっても、2枚の生地がずれにくいという利点がある。そのため、本発明のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、パン、菓子類において、例えば、ホットケーキやワッフル等の生地2枚でサンドされるフィリングとして好適に使用することができ、このような用途において本発明の効果をより享受することができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<トランス脂肪酸含量の測定>
実施例及び比較例における油脂の構成脂肪酸全体に対するトランス脂肪酸含量の測定は、AOCS Ce 1f−96に準じて行った。
<ラウリン酸含量、リノレン酸含量及びベヘン酸含量の測定>
実施例及び比較例における油脂の構成脂肪酸全体に対するラウリン酸含量、リノレン酸含量及びベヘン酸含量の測定は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法暫11−2003及び暫15−2003」に記載されたメチルエステル化法及びガスクロマトグラフ法に準拠して行った。
<SSS含量、S2U含量及びUUU含量の測定>
実施例及び比較例におけるフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体に対するSSS含量、S2U含量及びUUU含量の測定は、「AOCS Official Method Ce5c-93」に準拠してHPLCにより行った。
<SSU/SUS(重量比)の測定>
実施例及び比較例におけるフィリング用油中水型乳化油脂組成物の油脂全体に対するSSU/SUS(重量比)の測定は、HPLCを用いて硝酸銀カラムにより行った。分析条件は、「Journal of the American Oil Chemists Society, 68, 289-293, 1991」記載の方法に準拠した。
<口溶けの評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物を20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:口溶けが極めて良好である
4点:口溶けが非常に良好である
3点:口溶けが良好である
2点:口溶けがやや悪い
1点:口溶けが悪い
<外観の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物を、一旦冷蔵庫内で3日間静置した後、取り出して直ぐにバターナイフを用いてその表面を平滑に削り取って、その表面状態を目視により以下の基準で評価した。
5点:艶があり極めて滑らかで光沢があり、ザラザラ感が全くない
4点:滑らかで光沢があり、ザラザラ感が殆どない
3点:やや滑らかであって光沢があるが、ザラザラ感がある
2点:滑らかさや光沢が殆どなく、ザラザラ感が強い
1点:滑らかさや光沢が全くなく、ザラザラしている
<可塑性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物を、両切りぺネ缶(内径:57mm、長さ:40mm)の片方から突っ込み、もう一方からはみ出す迄押し込んだ。両端からはみ出た油脂組成物をバターナイフで面切りし、20℃の恒温水槽に浸漬しておき、3時間後にペネトロメーター(ELEX SCIENTIFIC社製「PENETRO METER」)でペネ値を測定し、以下の基準で評価した。なお、測定で得られるペネ値は、小数点以下は四捨五入されている。
5点:ぺネ値が180〜220で適度な硬さで、使用性が極めて良好である
4点:ぺネ値が160〜179又は221〜240で、やや硬め又はやや柔らかめであるが、使用性は良好である
3点:ぺネ値が140〜159又は241〜260で、硬め又は柔らかめであり、使用性が悪い
2点:ぺネ値が120〜139又は261〜280で、硬すぎ又は柔らかすぎで、使用性が非常に悪い
1点:ぺネ値が100〜119又は281〜300で、硬すぎ又は柔らかすぎで、使用性が極めて悪い
<酸化安定性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物を25℃の恒温槽で7日間保管した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準で官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:油脂の好ましい風味を感じる
4点:油脂の劣化した風味を感じない
3点:油脂の劣化した風味がわずかに感じられる
2点:油脂の劣化した風味を感じる
1点:油脂の劣化した風味を強く感じる
<耐熱保型性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物(マーガリン)を25℃で3時間温調した後、クリームプレッサーK−3(光陽機械製作所社製)を通してマーガリンに捏和を加えた。捏和したマーガリンを直径60mm、深さ25mmの円形の金属容器に充填し、40℃で10分間温調した後、さらに30℃で10分間温調した。温調したマーガリンをCREAP METER「RE2−3305S」(山電社製)を用いて荷重を測定した。測定は3回行い、測定速度は1mm/秒で、直径16mmの円形プランジャーを10mm押し込んだときの最大荷重の平均値(N)で評価した。
5点:マーガリンの硬さが1.0N以上で、優れた耐熱保型性を有する
4点:マーガリンの硬さが0.8N以上1.0N未満で、良好な耐熱保型性を有する
3点:マーガリンの硬さが0.6N以上0.8N未満で、耐熱保型性を有する
2点:マーガリンの硬さが0.4N以上0.6N未満で、耐熱保型性があまりない
1点:マーガリンの硬さが0.4N未満で、耐熱保型性がほとんどない
<風味の出方の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物を20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準に従って官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。なお、「風味の出方」とは、「感じられる風味の強さ」のことであり、塩味が強く感じられる場合を、「風味の出方が良好である」と評価した。
5点:風味の出方が極めて良好である
4点:風味の出方が非常に良好である
3点:風味の出方が良好である
2点:風味の出方がやや悪い
1点:風味の出方が悪い
(製造例1) パーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部の作製
脱酸処理されたパームステアリン(ヨウ素価35)100重量部を500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色した。脱色後の油脂を、70℃に加熱して完全に溶融させ、46℃で攪拌しながら24時間晶析した。晶析後、3MPaでフィルタープレスして液状部を得た。得られた液状部を240℃、200Paの条件で1時間脱臭してヨウ素価43のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部を得た。なお、ヨウ素価は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」に従い分析を行った。
(製造例2) エステル交換油脂Aの作製
牛脂90重量部及びハイエルシン菜種極度硬化油脂10重量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分撹拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換油脂Aを得た。
(製造例3)エステル交換油脂Bの作製
コーン油(構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量は0.8重量%)50重量部及びハイエルシン菜種極度硬化油脂50重量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分撹拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換油脂Bを得た。
(製造例4) パーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部の作製
脱酸処理されたパーム油(ヨウ素価52)100重量部を500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分撹拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色した。脱色後の油脂を、70℃に加熱して完全に溶解し、37℃で撹拌しながら24時間晶析した。晶析後、3MPaでフィルタープレスして液状部を得た。得られた液状部を240℃、200Paの条件で1時間脱臭してヨウ素価56のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部を得た。なお、ヨウ素価は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」に従い分析を行った。
(製造例5)エステル交換油脂Cの作製
パームステアリンを500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換油脂Cを得た。
(実施例1)
表1の配合に従って、フィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。即ち、製造例1の分別液状部、製造例2のエステル交換油脂A、コーン油(構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量は0.8重量%)、HLBが8.7のジグリセリン脂肪酸エステル、着色料及びバターフレーバーを所定量混合し、70℃で加温し、油相を調製した。また、食塩、牛乳及び水を所定量混合した水相を70℃で20分間殺菌した後、油相を撹拌しながらそこに加えて乳化させ、急冷捏和装置で急冷して捏和し、フィリング用油中水型乳化油脂組成物を作製した。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
Figure 0006694312
(実施例2、比較例1)
表1に示す配合に従って、製造例1の分別液状部及びコーン油の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
(実施例3)
表1に示す配合に従って、製造例1の分別液状部、製造例2のエステル交換油脂A及コーン油の量を変え、ラードを加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
(実施例4、比較例2)
表1に示す配合に従って、製造例1の分別液状部の量を変え、製造例2のエステル交換油脂Aを加えず、製造例3のエステル交換油脂Bを加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
(比較例3)
表1に示す配合に従って、製造例1の分別液状部の量を変え、パーム油の中融点部を加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
(比較例4)
表1に示す配合に従って、コーン油を菜種油(構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量は9.0重量%)に変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
実施例1のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、耐熱保型性及び風味の出方は非常に良好で、外観及び可塑性も極めて良く、酸化安定性も良好であった。
実施例2のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、外観、可塑性及び酸化安定性は良好で、耐熱保型性も極めて良く、風味の出方も非常に良かった。
実施例3のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、耐熱保型性及び風味の出方は非常に良好で、外観、可塑性及び酸化安定性も良かったが、比較例1のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け及び風味の出方は非常に良好で、外観及び可塑性も極めて良く、酸化安定性も良かったが、耐熱保型性が悪かった。
実施例4のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、可塑性及び風味の出方は良好で、外観及び耐熱保型性も極めて良好で、酸化安定性も問題なかったが、比較例2のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、外観及び耐熱保型性は極めて良好で、可塑性及び風味の出方も良好で、酸化安定性も問題なかったが、口溶けが良くなかった。
比較例3のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、耐熱保型性及び風味の出方は非常に良好で、酸化安定性も良かったが、外観が良くなく、可塑性も悪かった。比較例4のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、耐熱保型性及び風味の出方は非常に良好で、外観及び可塑性も極めて良かったが、酸化安定性が良くなかった。
(実施例5)
表2に示す配合に従って、製造例1の分別液状部及びコーン油の量を変え、製造例4の分別液状部を加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
Figure 0006694312
(実施例6)
表2に示す配合に従って、製造例1の分別液状部の量を変え、製造例5のエステル交換油脂Cを加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(実施例7)
表2に示す配合に従って、製造例1の分別液状部、製造例2のエステル交換油脂A及びコーン油の量を変え、製造例5のエステル交換油脂Cを加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(比較例5)
表2に示す配合に従って、製造例1の分別液状部を加えず、製造例2のエステル交換油脂A及びコーン油の量を変え、製造例4の分別液状部を加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(比較例6及び7)
表2に示す配合に従って、製造例1の分別液状部及びコーン油の量を変え、製造例5のエステル交換油脂Cを加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
(比較例8)
表2に示す配合に従って、製造例1の分別液状部、製造例2のエステル交換油脂A及びコーン油の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
実施例5のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け及び風味の出方は非常に良好で、外観も極めて良く、可塑性、酸化安定性及び耐熱保型性も良かったが、比較例5のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け及び風味の出方は非常に良好で、外観も極めて良く、酸化安定性も問題なかったが、可塑性及び耐熱保型性が悪かった。
実施例6のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け及び風味の出方は良好で、外観、可塑性及び耐熱保型性は極めて良く、酸化安定性も問題なかったが、比較例6のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、外観及び耐熱保型性は極めて良く、酸化安定性も問題なかったが、口溶け及び可塑性が悪く、風味の出方もやや低かった。
実施例7のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、可塑性及び酸化安定性は良好で、外観も極めて良く、耐熱保型性及び風味の出方も非常に良かったが、比較例7のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、酸化安定性及び耐熱保型性は良好で、外観も極めて良好で、風味の出方も非常に良かったが、可塑性が悪かった。
比較例8のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け、外観及び酸化安定性は良好で、耐熱保型性も極めて良く、風味の出方も非常に良かったが、可塑性が悪かった。
(実施例8)
表3に示す配合に従って、ジグリセリン脂肪酸エステルを加えなかった以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
(実施例9及び10)
表3に示す配合に従って、ジグリセリン脂肪酸エステルの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得た。得られたフィリング用油中水型乳化油脂組成物について、口溶け、外観、可塑性、酸化安定性、耐熱保型性及び風味の出方の評価を行い、それらの評価結果を表3にまとめた。
Figure 0006694312
実施例8のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け及び酸化安定性が良好で、外観及び可塑性も極めて良く、耐熱保型性も非常に良かったが、風味の出方がやや低かった。実施例9のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け及び耐熱保型性も非常に良好で、外観及び可塑性も極めて良く、酸化安定性及び風味の出方も良かった。実施例10のフィリング用油中水型乳化油脂組成物は、口溶け及び風味の出方は非常に良好で、外観及び可塑性も極めて良く、耐熱保型性も良好で、酸化安定性も問題なかった。

Claims (6)

  1. 油脂を35〜95重量%、水分を4〜64重量%含有するフィリング用油中水型乳化油脂組成物であって、
    前記油脂の構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸含量は5重量%以下、ラウリン酸含量は5重量%以下、リノレン酸含量は1重量%以下、ベヘン酸含量は0.5〜10重量%であり、
    前記油脂全体中、SSSを3〜12重量%、S2Uを25〜45重量%、UUUを15〜30重量%含有し、SSU/SUS(重量比)は1.5〜4.0である、フィリング用油中水型乳化油脂組成物。
    S:炭素数16以上の飽和脂肪酸、
    U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸、
    SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリド、
    S2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド、
    UUU:Uが3分子結合しているトリグリセリド、
    SSU:1位及び2位、又は2位及び3位にSが、1位又は3位にUが結合しているトリグリセリド、
    SUS:1位及び3位にSが、2位にUが結合しているトリグリセリド
  2. 前記油脂全体中、(I)ラード及び/又はパーム系油脂30〜80重量%、(II)牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油からなる群より選ばれる少なくとも1種とハイエルシン菜種極度硬化油を50/50〜95/5(重量比)で混合した混合油のエステル交換油脂5〜40重量%、及び、(III)液油10〜40重量%を含有する、請求項1に記載のフィリング用油中水型乳化油脂組成物。
  3. 前記(I)におけるパーム系油脂が、パーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部であり、且つヨウ素価が35〜62の油脂である、請求項2に記載のフィリング用油中水型乳化油脂組成物。
  4. フィリング用油中水型乳化油脂組成物全体中、HLBが6〜10のジグリセリン脂肪酸エステルを0.05〜1重量%含有する、請求項1〜3何れかに記載のフィリング用油中水型乳化油脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィリング用油中水型乳化油脂組成物を含む食品。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のフィリング用油中水型乳化油脂組成物の製造方法であって、
    (I)ラード及び/又はパーム系油脂30〜80重量%、(II)牛脂、ラード、パーム系油脂、及び、液油中の構成脂肪酸全体中のリノレン酸含量が5重量%以下である液油からなる群より選ばれる少なくとも1種とハイエルシン菜種極度硬化油を50/50〜95/5(重量比)で混合した混合油のエステル交換油脂5〜40重量%、及び、(III)液油10〜40重量%を含有する油脂を含む油相を撹拌しながら、水相を添加していき、乳化させた後、急冷捏和することで、油脂を35〜95重量%、水分を4〜64重量%含有するフィリング用油中水型乳化油脂組成物を得ることを特徴とする、フィリング用油中水型乳化油脂組成物の製造方法。
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