JP6693642B2 - リードフレーム - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置に使用されるリードフレームに関する。
一般的に、樹脂封止型半導体装置には、金属製のリードフレームと封止用樹脂が使用され、リードフレームの基材には、主に銅合金が用いられ、封止用樹脂には、主にエポキシ樹脂が用いられているが、このタイプの半導体装置は、リードフレームの面と樹脂部との密着性に問題が生じることがある。
この密着性の問題に着目した従来の技術として、例えば、次の特許文献1には、銅材で形成されたリードフレーム基材の面に黒化処理層を形成し、半導体装置の製造過程および実装時に高熱が加わっても封止樹脂とリードフレーム基材との密着力が低下しない、リードフレーム及び半導体装置、並びにそれらの製造方法が開示されている。
また、ICパッケージを実装する際に用いる半田が鉛フリー化されるのに伴い、実装時のリフロー温度が高くなり、耐熱性の要求が強くなっている。
従来、樹脂封止型半導体装置の製造に際しては、リードフレーム基材に放熱性に優れた銅を用いるとともに、封止樹脂とリードフレーム基材との密着性を増すために、リードフレーム基材の面に黒化処理を施し、その後に封止樹脂層を形成していた。
特許文献1には、リードフレーム基材の面に黒化処理を施して酸化第二銅(CuO)層を形成した後、リードフレーム基材を加熱し、黒化処理層とリードフレーム基材との間を酸化させて、リードフレーム基材の面に、酸化第一銅(CuO)層を形成することにより、封止樹脂とリードフレームの密着性の低下を防止することが記載されている。
また、特許文献2には、特許文献1に開示の黒化処理と加熱による酸化処理とにより黒色酸化膜を形成する方法では黒色酸化膜の厚さが厚くなりすぎ、成膜に時間が長くかかり生産性が低いという問題点に着目し、黒化処理液に酸化強化剤を添加した黒化処理方法や黒化処理と陽極酸化処理とを併用する方法が提案されている。そして、特許文献2には、これらの方法で作製されたリードフレーム基材の面が、酸化第一銅(CuO)層、酸化第二銅(CuO)層、水酸化第二銅(Cu(OH))層からなる3層構造の水酸化物含有酸化銅の被膜で覆われた構成とすることで、封止樹脂との密着性を維持しながら、水酸化物含有酸化銅の被膜の厚さを0.02〜0.2μmと薄くでき、また、黒化処理時間を1〜20秒に短縮できる旨の記載がある。
特開2001−210776号公報 特開2004−332105号公報
上述のように、ICパッケージを実装する際に用いる半田が鉛フリー化されるのに伴い、実装時のリフロー温度が高くなっている。詳しくは、鉛半田の融点が183℃であるのに対し、鉛フリー半田の融点は、220〜240℃もしくは240℃〜260℃である。このため、従来、リードフレームと封止樹脂との密着性については、鉛フリー半田の融点(220〜240℃もしくは240℃〜260℃)を前提としたリフロー時の温度を想定して検討されてきた。
しかしながら、最近では、例えば、パワー半導体を用いるパワー半導体装置において、300℃を上回る、360℃前後での耐熱性が要求されることがある。従来、パワー半導体素子は、Si結晶で作製されていたが、最近は、SiC結晶でも作製されるようになってきた。SiC結晶のバンドギャップは、Si結晶のバンドギャップに比べてはるかに大きい。このため、SiC結晶でパワー半導体素子を作製すれば250℃以上の高温での動作が可能となるとして、高温での動作を前提としたパワー半導体装置が検討されてきている。そこで、SiC結晶で作製したパワー半導体素子とリードフレームとの接合に、導電性のよいAu−Si共晶合金が検討されている。ところで、Au−Si共晶合金の融点は360℃である。このため、封止樹脂とリードフレームとの密着力は、Au−Si共晶合金の融点360℃の加熱下において十分な強さを維持することが必要となる。
しかし、特許文献1に開示の黒化処理と加熱による酸化処理により黒色酸化膜を形成する方法は、実装時の鉛フリー半田を用いたリフロー温度が250℃である場合を前提として導出されたものである。また、特許文献2に記載の酸化第一銅(CuO)層、酸化第二銅(CuO)層、水酸化第二銅(Cu(OH))層からなる3層構造の水酸化物含有酸化銅の被膜を形成する方法は、実装時の鉛フリー半田を用いたリフロー温度が300℃である場合を前提として導出されたものである。そして、特許文献1や特許文献2に記載の技術においては、実装時の鉛フリー半田を用いたリフロー温度が360℃である場合の封止樹脂とリードフレームとの密着性に関しては検討されていない。
本発明は、上記従来の課題を鑑み、半導体装置の実装時に、300℃を上回る、360℃前後の高熱が加わっても封止樹脂とリードフレーム基材との密着性を良好な状態に維持できるリードフレームを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のリードフレームは、銅または銅合金からなるリードフレーム基材の面の少なくとも一部の領域に、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、該単層膜が針状結晶構造を備えた、酸化銅の被膜が形成され、且つ、前記酸化銅の被膜の針状結晶の平均長さが、400nm以上であることを特徴としている。
また、本発明のリードフレームにおいては、前記酸化銅の被膜の表面粗さが、Ra45nm〜65nmであるのが好ましい。
また、本発明のリードフレームにおいては、前記リードフレーム基材の面における一部の領域にめっき層が形成され、前記めっき層が形成されていない領域に前記酸化銅の被膜が形成されているのが好ましい。
また、本発明のリードフレームにおいては、前記リードフレーム基材に形成された前記酸化銅の被膜を封止樹脂で封止し、360℃で10分間加熱したときの、該酸化銅の被膜の該封止樹脂とのシェア強度が、20MPa以上であるのが好ましい。
また、本発明のリードフレームにおいては、前記リードフレーム基材に形成された前記酸化銅の被膜を封止樹脂で封止し、360℃で10分間加熱したときの、該酸化銅の被膜の該封止樹脂とのシェア強度が、加熱前の該酸化銅の被膜の該封止樹脂とのシェア強度の70%以上であるのが好ましい。
また、本発明のリードフレームにおいては、前記リードフレーム基材の面における、少なくとも、半導体素子と接続するための内部端子部と外部機器と接続するための外部端子部に、Niめっき層とPdめっき層とAuめっき層とからなる多層構造のめっき層が形成され、めっき層が形成されていない領域に、前記酸化銅の被膜が形成されているのが好ましい。
また、本発明のリードフレームにおいては、半導体素子と接続するための内部端子部のめっき層と外部機器と接続するための外部端子部のめっき層とが前記リードフレーム基材の互いに異なる側の面に設けられ、前記外部端子部側の面には、前記酸化銅の被膜が形成されず、前記内部端子部側の面の、めっき層が形成されていない領域に、前記酸化銅の被膜が形成されているのが好ましい。
本発明によれば、半導体装置の実装時に、300℃を上回る、360℃前後の高熱が加わっても封止樹脂とリードフレームの密着性を良好な状態に維持できるリードフレームが得られる。
本発明の一実施形態に係るリードフレームの一例を示す断面図である。 図1のリードフレームを用いた半導体装置の一例を示す断面図である。 リードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を模式的に示す説明図で(a)は本発明のリードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を示す図、(b)は特許文献1に記載のリードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を示す図、(c)は特許文献2に記載のリードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を示す図である。 本発明の一実施形態に係るリードフレームの製造工程の一例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るリードフレームを用いた半導体装置の製造工程の一例を示す説明図である。 TOF−SIMS(Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry:飛行時間型二次イオン質量分析法)による、酸化銅の被膜の表面分析結果の一例として、本発明の試料5に係るリードフレームに形成された酸化銅の被膜の表面分析結果を示すグラフである。 本発明の試料3に係るリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化銅の被膜の構造を示す図であり、(a)は酸化銅の被膜の断面を示す写真、(b)は(a)に示される針状結晶の分布を示すグラフである。 本発明の試料5に係るリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化銅の被膜の構造を示す図であり、(a)は酸化銅の被膜の断面を示す写真、(b)は(a)に示される針状結晶の分布を示すグラフである。 本発明の試料7に係るリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化銅の被膜の構造を示す図であり、(a)は酸化銅の被膜の断面を示す写真、(b)は(a)に示される針状結晶の分布を示すグラフである。 試料8に係るリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化銅の被膜の構造を示す図であり、(a)は酸化銅の被膜の断面を示す写真、(b)は(a)に示される針状結晶の分布を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
図1は本発明の一実施形態に係るリードフレームの一例を示す断面図である。なお、本実施形態に係るリードフレームは、種々の形状を有するリードフレームに適用することができ、リードフレームの形状は特に限定されないが、便宜上、図1に示す形状のリードフレームを一例として挙げて説明することとする。
図1に示すリードフレーム50は、銅又は銅合金からなるリードフレーム基材をなす金属板をエッチングにより加工し、ダイパッド部11とリード部12を有したリードフレーム形状に形成することにより構成されている。
ダイパッド部11は、リードフレームにおける、半導体素子を搭載する領域(半導体素子搭載部11a)を有する部位であり、略中央に配置されている。リード部12は、ダイパッド部11における半導体素子搭載部11a上に搭載された半導体素子の電極を、ボンディングワイヤ等を用いて電気的に接続するための電極又は端子となる領域(内部端子部12a)を有する部位であり、ダイパッド部11の周辺に配置されている。図1の例のリードフレーム50においては、リード部12は、ダイパッド部11の半導体素子搭載部11aと同じ側に配置された、半導体素子と接続するための内部端子部12aと、外部機器と接続するための外部端子部12bを有する。なお、QFP(Quad Flat Package)、DIP(Dual In-Line Package)、SOP(Small Outline Package)等のリードを有するタイプのパッケージでは、内部端子部よりも外部端子部が外側に配置される。また、QFN(Quad Flat Non-Leaded Package)等のノンリードタイプのパッケージでは、リードフレーム基材における内部端子部側とは反対側の面に外部端子部が配置される。図1の例のリードフレームは、QFN(Quad Flat Non-Leaded Package)タイプのパッケージに用いるリードフレームの一例を示している。
なお、半導体素子を実装可能な半導体素子実装領域が確保されていれば、ダイパッド部は設けられていても設けられていなくてもよい。例えば、半導体素子の電極をリード部に直接接合するフリップチップ接続タイプのリードフレームでは、ダイパッド部は設けられないが、本発明のリードフレームは、そのようなタイプのリードフレームにも適用可能である。本実施形態では、便宜上、半導体素子実装領域にダイパッド部を設けるタイプのリードフレームについて説明することとする。
ダイパッド部11、リード部12の面の少なくとも一部には、めっき層が形成されている。詳しくは、図1に示すリードフレーム50におけるダイパッド部11の一方の側(図1では上側)の面の半導体素子搭載部11aには、搭載する半導体素子との接合性を良好にするためのめっき層20aが形成されている。リード部12の一方の側(図1では上側)の面の内部端子部12aには、ボンディングワイヤとの接合性を良好にするためのめっき層20aが形成され、他方の側(図1では下側)の面の外部端子部12bには、外部機器と半田等で接合性を良好にするためのめっき層20bが形成されている。
なお、図1の例では、製造工程の便宜上、めっき層20は、ダイパッド部11の他方の側(図1では下側)の面にも形成されている。
また、リードフレーム基材の面における、ダイパッド部11、リード部12のめっき層20a、20bが形成されていない、一部もしくは全領域には、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えた、酸化銅の被膜30が形成されている。なお、酸化銅の被膜30の構成の詳細については、後述する。
図2は図1のリードフレームを用いた半導体装置の一例を示す断面図である。図2の例では、便宜上、QFNタイプの表面実装型の半導体装置を示してある。
図2に示す半導体装置100では、図1に示したリードフレーム50におけるダイパッド部11の一方の側(図2では上側)の半導体素子搭載部11aに、半導体素子60が搭載されている。また、半導体素子60の電極は、ボンディングワイヤ70を介して、リード部12の一方の側(図2では上側)の面の内部端子部12aに電気的に接続されている。また、リードフレーム50の半導体素子搭載部11aは、半導体素子60及びボンディングワイヤ70も含めて、一方の側(図2では上側)の面及び側面が封止樹脂80で封止されている。また、リード部12の他方の側(図2では下側)の面のめっき層20bは、外部に露出し、外部機器が接続可能な外部端子部12aを構成している。
なお、図2に示した例は一例に過ぎず、本発明の実施形態に係る半導体装置100も種々の構成を有することが可能である。
次に、本発明の特徴である、リードフレーム50の面上に形成される酸化銅の被膜30の構成について詳細に説明する。
上述したように、図1に示すリードフレームに形成される酸化銅の被膜30は、リードフレーム基材の面における、めっき層が形成されていない、一部もしくは全領域に形成される。
そして、図1に示すリードフレーム50は、酸化銅の被膜30が酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する、単層膜からなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えており、リードフレーム50を用いた半導体パッケージ100を実装時に、鉛フリー半田を用いてリフロー温度360℃で加熱しても、封止樹脂とリードフレーム基材の密着性を維持することができる。なお、効果の詳細については後述する。
酸化銅の被膜は、陽極酸化法により作製することができる。
陽極酸化法は、黒化処理液を使用し、リードフレームを浸漬し同時に陽極側に電流を流すことにより酸化銅の被膜を形成する。黒化処理液は、アルカリ系の液である。
黒化処理液に、リードフレーム基材をなす金属板であるCuまたはCu合金を浸漬し、金属板に電流を流す。
リードフレーム基材の表面には、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とからなる酸化銅の被膜が形成される。
陽極酸化を行わない未処理のリードフレームを、例えば270℃で加熱した場合に比べ、陽極酸化法を用いてリードフレーム基材の面に酸化銅の被膜を形成すると、樹脂封止後の加熱による剥がれを防止できる。
本件発明者は、特許文献1や特許文献2に記載の技術を用いて酸化銅の被膜を形成したリードフレーム基材を用いて、封止樹脂との密着性の試験を実施した。
その結果、特許文献1に記載の黒化処理と加熱による酸化処理により黒色酸化膜を形成する方法を用いて、酸化銅の被膜を形成した場合、樹脂封止されたリードフレームを270℃で加熱したときに、剥離することを確認した。
また、樹脂封止されたリードフレームを加熱する温度が300℃を上回る(例えば360℃)場合、リードフレーム基材の面に、特許文献2に記載の陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜を形成しても、十分な樹脂密着性が得られないことが判明した。
さらに、本件発明者は、陽極酸化法を用いて、電流密度、処理時間の条件を様々に異ならせて、リードフレーム基材に酸化銅の被膜を形成し、さらに酸化銅の被膜を樹脂封止したリードフレームを形成して、リードフレームにおける酸化銅の被膜と封止樹脂との密着性の試験を繰り返し実施した。
その結果、特許文献2に記載の電流密度、処理時間とは異なる条件で、陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜を形成すると、形成した酸化銅の被膜を樹脂封止したリードフレームを、360℃に加熱しても、リードフレーム基材における酸化銅の被膜と封止樹脂との密着性を良好に維持できる場合があることが判明した。
そこで、本件発明者は、封止樹脂との密着性を良好に維持できたときの酸化銅の被膜の構成を分析するとともに、陽極酸化法における電流密度、処理時間の条件を特定していった。
その結果、酸化銅の被膜を、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えるように形成すると、360℃に加熱してもリードフレーム基材における酸化銅の被膜と封止樹脂との密着性を良好に維持できることが判明した。
表1は、本発明の実施例及び比較例に係る試料1〜11の夫々における酸化銅の被膜の形成条件及び加熱前後の封止樹脂との密着性の試験結果を示す表である。リードフレームと封止樹脂との密着性については、シェア強度試験にて評価した。表1中、試料1、2、4、8、9は、所定の電流密度及び処理時間で陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜を形成したが、360℃に加熱したときのリードフレーム基材における酸化銅の被膜が封止樹脂との密着性を良好に維持できなかった例である。また、試料3、5〜7は、所定の電流密度及び処理時間で陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜を形成した結果、360℃に加熱したときのリードフレーム基材における酸化銅の被膜が封止樹脂との密着性を良好に維持できた例である。また、試料10は、リードフレーム基材に酸化銅の被膜を形成せずに、360℃に加熱する前後の封止樹脂との密着性を試験した例である。また、試料11は、黒化処理液を用いてリードフレーム基材に酸化銅の被膜を形成し、360℃に加熱する前後の封止樹脂との密着性を試験した例である。陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜を形成する試料1〜9では、黒化処理液に浸漬したリードフレーム基材の陽極に印加する電流密度を0.8、1.6、2.4A/dm、処理時間を30、60、90、120秒間とする処理条件から、電流密度と処理時間の組合せを適宜異ならせて酸化銅の被膜を形成した。また、リードフレーム基材の加熱条件(加熱温度及び加熱時間)は、200℃で120分間、360℃で10分間とした。
表1に示すように、試料10のリードフレーム基材に酸化銅の被膜を形成しないリードフレームは、加熱前のリードフレーム基材の封止樹脂とのシェア強度が13MPaであった。これに対し、試料1〜9、11の陽極酸化法や黒化処理法を用いてリードフレーム基材に酸化銅の被膜形成を行ったリードフレームは、試料1を除き、加熱前のリードフレーム基材と封止樹脂とのシェア強度が20MPa以上となった。試料1のリードフレームは、加熱前のリードフレーム基材の封止樹脂とのシェア強度が20Mpaを下回った。また、陽極酸化法により酸化銅の被膜を形成した試料2〜9のリードフレームは、加熱前のリードフレーム基材と封止樹脂とのシェア強度が30MPaを上回った。リードフレーム基材と封止樹脂との密着力は、黒化処理法や陽極酸化法によりリードフレーム基材の面に形成された酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とからなる酸化銅の被膜と、封止樹脂との結合により強められる。また、表1に示すように、試料3、5〜7のリードフレームは、いずれも、360℃で10分間の加熱を行ったときのシェア強度が20.0MP以上であり、封止樹脂との密着力を良好に維持することができた。また、試料3、5〜7のリードフレームは、加熱前のシェア強度に対する比率が0.64(64%)以上であり、360℃で10分間の加熱を行ったときのシェア強度の低下が少ない。特に、試料5〜7のリードフレームは、360℃で10分間の加熱を行ったときのシェア強度が最低でも略25.0MP程度を維持し、加熱前のシェア強度に対する比率が0.77(77%)以上となり、シェア強度の低下が非常に少ない。これに対し、試料2、4、8、9のリードフレームは、いずれも、360℃で10分間の加熱を行ったときのシェア強度が20.0MP以下となり、加熱前のシェア強度に比べて50〜60%程度も低下した。なお、試料2、4、8、9のリードフレームは、200℃で120分間の加熱を行ったときのシェア強度の加熱前のシェア強度に対する低下の割合は、1〜20%程度であった。この結果より、試料2、4、8、9のリードフレームは、200℃で120分間の加熱では良好な密着力を維持できる一方、360℃で10分間の加熱では良好な密着力を維持できないことが判明した。
そこで、本件発明者は、360℃で10分間の加熱を行ったときに封止樹脂との密着力を良好に維持することができた試料3、5〜7のリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化銅の被膜の構造について更に詳しく調べた。
その結果、陽極酸化法を用いて形成する酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とからなる酸化銅の被膜を、被膜の構造が所定の条件を満足するように、陽極酸化処理における処理条件を適切に制御して形成することにより、360℃の加熱後でも密着力を良好に維持できることを見出し、本発明のリードフレームを導出するに至った。
酸化銅の被膜構造
図3はリードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を模式的に示す説明図で(a)は本発明のリードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を示す図、(b)は特許文献1に記載のリードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を示す図、(c)は特許文献2に記載のリードフレームに形成される酸化銅の被膜の構造を示す図である。
本件発明者は、試料3、5〜7のリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成されている酸化銅の被膜の構造を深さ方向に分析した。その結果、試料3、5〜7のリードフレームにおけるリードフレーム基材をなす金属板10に形成されている酸化銅の被膜30の構造は、図3(a)に示すように、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層構造であることが判明した。
従来、特許文献1に開示の黒色処理液を用いた方法で形成した酸化銅の被膜30’は、リードフレーム基材をなす金属板10の面から順に、酸化第一銅(CuO)の層30’a、酸化第二銅(CuO)との層30’bの2層構造(図3(b)参照)、特許文献2に記載の陽極酸化法を用いて形成した酸化銅の被膜30”は、リードフレーム基材をなす金属板10の面から順に、酸化第一銅(CuO)の層30”aと酸化第二銅(CuO)の層30”b、水酸化第二銅(Cu(OH))の層30”cの3層構造(図3(c)参照)である。
図6はTOF−SIMS(Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry:飛行時間型二次イオン質量分析法)による、酸化銅の被膜の表面分析結果の一例として、本発明の試料5のリードフレームに形成された酸化銅の被膜の表面分析結果を示すグラフである。
図6に示すように、400nm〜900nmの深さにおいて、銅(Cu)の二次イオン信号強度が変化している。このことから、400nm〜900nmの範囲でリードフレームの基材をなすCu材の凹凸形状の面があると考えられる。しかるに、900nmの深さまで、酸化第一銅(CuO)、酸化第二銅(CuO)、水酸化第二銅(Cu(OH))が存在している。このことから、例えば、試料5のリードフレームに形成された陽極酸化膜は、酸化第一銅(CuO)、酸化第二銅(CuO)、水酸化第二銅(Cu(OH))が混在した単層構造の膜であることが判明した。
針状結晶の平均長さ
図7〜図10に、表1中に示される試料3、5、7、8に係るリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化銅の被膜の構造を分析した結果を示す。図7は試料3、図8は試料5、図9は試料7、図10は試料8の夫々の酸化銅の被膜の構造を示す写真であり、(a)は酸化銅の被膜の断面を示す写真、(b)は(a)に示される針状結晶の分布を示すグラフである。表2は、図7〜図10に示した本発明の試料3、5、7、8のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜の針状結晶の長さについて400nm以下、400nm〜500nm、500nm以上の範囲に該当する本数、長さの平均を示す表である。
本件発明者は、SEM(scanning electron microscope:走査型電子顕微鏡)を用いて、試料3、5、7、8のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜の断面を30,000倍の倍率で撮像し、酸化銅の被膜の断面画像を解析した。その結果、図7(a)、図8(a)、図9(a)及び図10(a)に示すように、試料3、5、7、8のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜には、針状結晶が存在することが認められた。
次に、本件発明者は、試料3、5、7、8のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜の針状結晶の長さを測定した。その結果、図7(b)、図8(b)、図9(b)、図10(b)及び表2に示すように、試料3、5、7のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜の針状結晶の長さは、平均で400nm以上である一方、試料8のリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化銅の被膜の針状結晶の長さは、平均で400nmを大きく下回った。(なお、夫々の針状結晶の長さは、図7(a)に矢印で例示した距離を測定した。)
これらの分析結果より、本件発明者は、360℃に加熱してもシェア強度が20.0MP以上となり、リードフレーム基材における酸化銅の被膜と封止樹脂との密着性を良好に維持できるリードフレームとして、酸化銅の被膜を、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えるように形成した、本発明を導出するに至った。
表面粗さ
さらに、本件発明者は、試料3、5〜7のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜の表面粗さを走査型共焦点レーザ顕微鏡(オリンパス社製 OLS3000)により測定した。その結果、上述のように、360℃に加熱したときでもシェア強度の低下が非常に少ない試料5〜7のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜の表面粗さは、Ra(算術平均粗さ)45nm〜65nmであることが判明した。
リードフレーム基材と封止樹脂との密着力は、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とからなる酸化銅の被膜と、封止樹脂との結合により強められるが、リードフレーム基材の面に形成される酸化銅の被膜の粗さ(形状)にも影響される。酸化銅の被膜における表面の粗さが小さいと、酸化銅の被膜の表面の引っ掛かりがなくなり密着力が弱くなる。一方、酸化銅の被膜の表面の粗さが大きいと、酸化銅の被膜の表面の引っ掛かりが多くなり密着力が大きくなる傾向にある。
そして、試料3、5〜7のリードフレームにおけるリードフレーム基材に形成された酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えた、酸化銅の被膜の構造が、被膜の表面粗さがRa45nm以上であることと相俟って、360℃の加熱での密着力向上に効果があると推測される。
即ち、試料3、5〜7のリードフレームは、表面粗さが夫々Ra130.5nm、Ra61nm、Ra63.1nm、Ra49.7nmであり、いずれもRa45nm以上であるのに対し、試料8のリードフレームは、表面粗さがRa35.1nmであり、Ra45nmを下回っている。また、表1に示したように、試料8のリードフレームは、360℃で10分間の加熱を行ったときのシェア強度が12.3MPaとなって20MPaを下回り、加熱前の34%程度に低下し、密着力を良好に維持できていない。つまり、360℃に加熱しても密着力を20MPa以上に維持できるリードフレームにするためには、リードフレーム基材の面に形成する酸化銅の被膜を、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えることに加えて、さらに、表面粗さRa45nm以上となるように構成することが重要であるといえる。
なお、リードフレーム基材の面に形成する酸化銅の被膜を、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備え、さらに、表面粗さRa45nm〜Ra65nmの範囲となるように構成すれば、上述のように、10分間の加熱を行ったときのシェア強度が最低でも略25.0MPa程度を維持し、加熱前に対する加熱したときのシェア強度の比率が0.77(77%)以上となり、加熱後のシェア強度の低下が非常に少なく、密着力をより一層良好に維持できるといえる。
酸化銅の被膜の厚さ
図6に示す酸化銅の被膜の表面分析結果から、本発明の試料3、5〜7のリードフレームは、400nm〜900nmの範囲でリードフレームの基材をなすCu材の凹凸形状の面があると考えられる。Cu材の凹凸を考慮すると、本発明のリードフレームにおいては、酸化銅の被膜の厚さは、400nm〜900nm程度であるものと推察される。
陽極酸化処理方法
本発明のリードフレームにおける、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えた、酸化銅の被膜を構成するための、リードフレーム基材への陽極酸化処理は、以下の方法で行う。陽極酸化法で使用する液は、黒化処理用の液で、アルカリ系の液である。例えば、市販の黒化処理用の液でもよい。
本発明における陽極酸化法では、上記黒化処理液にリードフレームを浸漬し、同時に電流を流す。処理時間は、60秒〜120秒である。電流密度は、1.6A/dmである。電流密度は、主に表面粗さ、処理時間は、酸化銅の被膜の厚さに影響を及ぼす。また、黒化処理液の濃度も重要な条件である。黒化処理液の温度は、50〜100℃である。そして、電流密度、処理時間、黒化処理液の温度を上記の範囲内で、上述した表面粗さ及び酸化銅の被膜厚さになるように適宜調整する。
めっき層
リードフレーム基材の面に形成する、めっき層も、リードフレーム全体の耐熱性に重要な要件になる。
本発明のリードフレームに用いるめっき層は、360℃に加熱してもボンディング性や外部機器との接続性を低下させないことが必須条件となる。
また、本発明のリードフレームにおいてリードフレーム基材に酸化銅の被膜を形成するために用いる陽極酸化法では、めっき面をマスクとして処理を行う。このため、本発明のリードフレームに用いるめっき層は、上記条件に加えて、めっき面が陽極酸化処理の影響を受けないことが必須条件となる。
このため、本発明のリードフレームにおいてリードフレーム基材に形成する、めっきは、貴金属が好ましく、AgめっきやPdめっき、Auめっき等が良い。めっき厚さは、特に限定されない。
次に、本発明の実施形態に係るリードフレームの製造方法を説明する。
リードフレームの製造方法には、リードフレームの形状を形成した後に、めっき加工を施す後めっき方法と、金属材料にめっき加工を施した後に、リードフレームの形状を形成する先めっき方法とがある。ここでは、便宜上、先めっき方法によるリードフレームの製造方法ついて説明することとする。
図4は本発明の一実施形態に係るリードフレームの製造工程の一例を示す説明図である。
まず、リードフレーム基材としての金属板10を用意する(図4(a)参照)。金属板10には、陽極酸化法で酸化銅の被膜を形成するため、Cu又はCu合金を用いる。金属板10の板厚は、特に限定されないが、例えば、0.1〜0.3mmであるものを用いる。
次に、金属板10の両面(図5における上側の面及び下側の面)にフォトレジスト(例えば、ドライフィルムレジスト)をラミネートしてフォトレジスト層を設け、その上にめっきパターンの形成されたマスクを被せ、フォトリソグラフィ工程(露光及び現像)でレジストに転写し、めっき用レジストマスク110を形成する(図4(b)参照)。
次に、電解めっき法によりめっき層20(めっき層20a、20b)を形成する(図4(c)参照)。めっき層20(めっき層20a、20b)を構成する金属は、後の工程で行う、陽極酸化法による酸化銅の被膜形成処理を行っても表面が酸化しづらく、かつ耐熱性があることが必要となる。このため、例えば、Ni/Pd/Au/Pdの順で、めっきを施して、Niめっき層とPdめっき層とAuめっき層とPdめっき層とからなる多層構造のめっき層20(めっき層20a、20b)を形成する。なお、各層のめっき厚さは、第一層のNiめっきが1.0〜3.0μm、第二層のPdめっきが0.01〜0.1μm、第三層のAuめっきが0.003〜0.015μm、第四層のPdめっきが0.003〜0.05μmである。
次に、金属板10の両面に形成されているめっき用レジストマスク110を水酸化ナトリウム水溶液により剥離する。これにより、金属板10上に所定の箇所のめっき層20が露出する(図4(d)参照)。
次に、再度、金属板10の両面(図5における上側の面及び下側の面)上にフォトレジストをラミネートし、リードフレーム形状が形成されたガラスマスクをフォトリソグラフィ工程(露光及び現像)でレジストに転写し、エッチング用レジストマスク111を形成する(図4(e)参照)。
次に、塩化第二鉄液を用いたエッチングで余分な金属部分を除去してリードフレーム形状を形成する(図4(f)参照)。
次に、金属板10の両面(表側の面及び裏側の面)に形成されているエッチングマスクを水酸化ナトリウム水溶液により剥離する。これにより、リードフレーム形状が形成され、所定の箇所のめっき層20が露出する(図4(g)参照)。
次に、リードフレーム形状に形成された金属板10の面に形成されためっき層20(図4(g)における上側の面に形成されためっき層20a、下側の面に形成されためっき層20b)をマスクとして、金属板10の面の、めっき層20が形成されていない領域に、陽極酸化法により酸化銅の被膜30を形成する(図4(h)参照)。具体的には、黒化処理液に、リードフレーム形状に形成された金属板10を黒化処理液に浸漬し、同時に電流を流す。処理時間は、60秒〜120秒。電流密度は1.6A/dmとする。また、黒化処理液の温度は、50〜100℃とする。そして、めっき層20が形成されていない領域に、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))が混在する単層構造からなり、且つ、被膜の表面粗さRa50nm〜Ra65nmの範囲となる酸化銅の被膜30を形成する。
これにより、本発明の一実施形態に係るリードフレーム50が完成する。
なお、上述のように、ここでは、便宜上、先めっき方法を用いた本実施形態のリードフレームの製造方法を説明したが、後めっき方法を用いても本実施形態のリードフレームを製造することは可能である。例えば、リードフレーム50のパターン形状を、エッチング法あるいはプレス法にて形成し、その後、めっきを行う箇所にゴムマスク等メカニカルなマスクやレジスト等のマスク等で覆い、その後、上述のめっき法でめっき層20の形成を行ってもよい。
また、最初に金属板10の全面にNi/Pd/Au/Pdの順で、めっきを施して、Niめっき層とPdめっき層とAuめっき層とPdめっき層とからなる多層構造のめっき層20(めっき層20a、20b)を形成し、次に、図4(e)、図4(f)を参照して説明したエッチング加工と同様の手順によりリードフレーム形状を形成し、リードフレーム50を製造してもよい。
なお、これらの製造工程における酸化銅の被膜30の形成は、リードフレームの形状および所定の箇所にめっき層20(めっき層20a、20b)が形成された後に行う。酸化銅の被膜30の形成方法は、図4(h)を参照して説明した方法と同じである。
次に、図5を用いて、上述の製造方法によって作製されたリードフレーム50を用いた、半導体装置100の製造工程の一例を説明する。なお、図5では、便宜上、半導体素子60とリード部12における内部接続部12aとの接続方法がワイヤボンディング方式である例について説明することとする。
まず、ダイパッド部11における半導体素子搭載領域11a上に半導体素子60を搭載する(図4(a)参照)。
次に、ボンディングワイヤ70を介して半導体素子60の電極とリード部12における内部接続部12aとを電気的に接続する(図5(b)参照)。
次に、リードフレーム50における半導体素子60を搭載した側の面及び側面、半導体素子60及び半導体素子60と内部端子部12との接続部を、封止樹脂80により封止する(図5(c)参照)。
次に、所定の半導体装置100の寸法に切断する。これにより、半導体装置100が完成する(図5(d)参照)。
なお、半導体素子とリード部の接続方法は、ワイヤボンディング方式に限定されるものではなく、フリップチップ方式等でもよい。フリップチップ方式では、まず、リードフレームのリード部における内部端子部にバンプを形成し、次に、半導体素子の電極部をバンプに接続して、リード部の内部端子部の上側に半導体素子を実装する。樹脂封止工程及び切断工程は、上述の製造工程と同じである。
また、本発明のリードフレーム及びそれを用いた半導体装置の製造方法は、上述の製造工程に限定されるものではなく、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えた、酸化銅の被膜を備えることができれば、どのような製造工程で製造してもよい。
次に、本発明の実施形態に係るリードフレーム及びそれを用いた半導体装置、並びにそれらの製造方法の実施例について説明する。
試料3
金属板として厚さが0.2mmの銅材を用いて、両面にドライフィルムレジストを貼り付け、レジスト層を形成した。次に、めっきを形成するためのパターンが形成された上面側用と下面側用のガラスマスクを用いて、露光及び現像を行うことで、めっきを形成する部分のレジスト層を除去し、部分的に金属板表面を露出させためっき用レジストマスクを形成した(図4(a)、図4(b)参照)。
次に、めっき加工を行なって金属板表面の露出部分にめっきを形成した(図4(c)参照)。本試料では、金属板側から順に、設定値2.0μmのNiめっきを全面に施し、更にその上には設定値0.025μmのPdめっき、設定値0.008μmのAuめっき、設定値0.010μmのPdめっきを施して4層構造のめっき層を形成した。
次に、金属板の両面に形成されているめっきマスクを水酸化ナトリウム水溶液により剥離し(図4(d)参照)、更に所定濃度の硫酸による洗浄処理も行なった。
次に、めっきが形成された金属板の両面にドライフィルムレジストを貼り付けてレジスト層を形成し、リードフレームの形状が形成されたガラスマスクを用いて両面を露光し現像を行ってエッチング用レジストマスクを形成した(図4(e)参照)。
次に、塩化第二鉄液を用いてスプレーエッチング加工を行い、リードフレーム形状の形成を行った(図4(f)参照)。
次に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてエッチングマスクを剥離した(図4(g)参照)。
その後、陽極酸化処理として、90ml/lの濃度、液温70℃の黒化処理液に浸漬し、同時に、電流密度0.8A/dm、処理時間90秒で陽極側に電流を流し、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))が混在する単層膜とからなり、且つ、単層膜が平均長さ400nm以上の針状結晶構造を備えた、酸化銅の被膜を形成し(図4(h)参照)、試料3のリードフレームを得た。
試料5〜7
陽極酸化処理における、電流密度を1.6A/dm、処理時間を夫々60秒、90秒、120秒とし、その他の条件は、試料3と同様に製造を行い、試料5〜7のリードフレームを得た。
試料1、2
陽極酸化処理における、電流密度を0.8A/dm、処理時間を夫々30秒、60秒とし、その他の条件は、試料3と同様に製造を行い、試料1、2のリードフレームを得た。
試料4
陽極酸化処理における、電流密度を1.6A/dm、処理時間を30秒とし、その他の条件は、試料3と同様に製造を行い、試料4のリードフレームを得た。
試料8、9
陽極酸化処理における、電流密度を2.4A/dm、処理時間を夫々30秒、60秒とし、その他の条件は、試料3と同様に製造を行い、試料8、9のリードフレームを得た。
試料10
陽極酸化処理を行わない以外は、試料3と同様に製造を行い、試料10のリードフレームを得た。
試料11
陽極酸化処理の代わりに黒色処理液を用い、処理時間を20秒として、酸化第一銅(CuO)、酸化第二銅(CuO)の2層構造の酸化銅の被膜を形成し、その他の条件は、試料3と同様に製造を行い、試料11のリードフレームを得た。
<封止樹脂の密着性の試験>
各試料のリードフレームにおけるリードフレーム基材に対する封止樹脂の密着性について、夫々のリードフレームを(1)加熱しない状態、(2)200℃で120分間加熱したとき、(3)360℃で10分間加熱したとき、の夫々のシェア強度を測定した。
また、測定結果を用いて、加熱しない状態でのシェア強度に対する、360℃で10分間加熱したときにおける酸化銅の被膜の封止樹脂とのシェア強度の比率を算出した。
測定及び算出結果を表1に示す。
<酸化銅の被膜構造の分析−表面分析>
陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜形成処理を行った試料1〜9のリードフレーム、酸化銅の被膜形成処理を行わない試料10のリードフレーム、黒化処理液を用いて酸化銅の被膜形成処理を行った試料11のリードフレームの夫々における、酸化銅の被膜の組成を、TOF−SIMS(Time of Flight Secondary Ion Mass Spectrometry:飛行時間型二次イオン質量分析法)を用いて分析した。
一例として、試料5のリードフレームの酸化銅の被膜構造についての分析結果を図6に示す。
<酸化銅の被膜構造の分析−針状結晶の長さの測定>
SEM(scanning electron microscope:走査型電子顕微鏡)を用いて、試料1〜11のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々形成された酸化銅の被膜の断面を30,000倍の倍率で撮像し、酸化銅の被膜の断面画像を解析した。
そして、断面画像の解析により針状結晶の存在が認められた試料のリードフレームに対し、形成された酸化銅の被膜の針状結晶の長さを測定し、0nm〜1200nmまでを、100nmごとに区分けした範囲に分類した分布図を作成した。また、400nm以下、400nm〜500nm、500nm以上の範囲に分類し、夫々の範囲に該当する本数をカウントし、更に、当該試料のリードフレームに形成された酸化銅の被膜の針状結晶の長さの平均値を算出した。
針状結晶が認められた試料のうち、試料3、5、7、8のリードフレームにおける形成された酸化銅の被膜の断面画像を図7(a)、図8(a)、図9(a)、図10(a)に、針状結晶の分布を図7(b)、図8(b)、図9(b)、図10(b)に夫々示す。また、針状結晶が認められた試料のうち、試料3、5、6、8のリードフレームにおけるリードフレーム基材の夫々に形成された酸化銅の被膜の針状結晶の長さについて400nm以下、400nm〜500nm、500nm以上の範囲に該当する本数、長さの平均を表2に示す。
<酸化銅の被膜の表面粗さの測定>
陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜形成処理を行った試料1〜9のリードフレーム、酸化銅の被膜形成処理を行わない試料10のリードフレーム、黒化処理液を用いた酸化銅の被膜形成処理を行った試料11のリードフレームの夫々における、酸化銅の被膜の表面粗さを測定した。
測定結果を表1に示す。
<酸化銅の被膜の厚さの測定>
陽極酸化法を用いて酸化銅の被膜形成処理を行った試料1〜9のリードフレーム、酸化銅の被膜形成処理を行わない試料10のリードフレーム、黒化処理液を用いて酸化銅の被膜形成処理を行った試料11のリードフレームの夫々における、酸化銅の被膜の厚さを測定した。
測定結果を表1に示す。
本発明のリードフレームは、鉛フリー半田を用いたリフロー方式で実装され、360℃前後での耐熱性が要求される分野に有用である。
10 金属板
11 ダイパッド部
11a 半導体素子搭載領域
12 リード部
12a 内部端子部
12b 外部端子部
20 めっき層
20a 一方の面側に形成されためっき層
20b 他方の面側に形成されためっき層
30 酸化銅の被膜
50 リードフレーム
60 半導体素子
70 ボンディングワイヤ
80 封止樹脂
100 半導体装置
110 めっき用レジストマスク
111 エッチング用レジストマスク

Claims (7)

  1. 銅または銅合金からなるリードフレーム基材の面の少なくとも一部の領域に、酸化第一銅(CuO)と酸化第二銅(CuO)と水酸化第二銅(Cu(OH))とが混在する単層膜からなり、該単層膜が針状結晶構造を備えた、酸化銅の被膜が形成され、且つ、
    前記酸化銅の被膜の針状結晶の平均長さが、400nm以上
    であることを特徴とするリードフレーム。
  2. 前記酸化銅の被膜の表面粗さが、Ra45nm〜65nmであることを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。
  3. 前記リードフレーム基材の面における一部の領域にめっき層が形成され、前記めっき層が形成されていない領域に前記酸化銅の被膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリードフレーム。
  4. 前記リードフレーム基材に形成された前記酸化銅の被膜を封止樹脂で封止し、360℃で10分間加熱したときの、該酸化銅の被膜の該封止樹脂とのシェア強度が、20MPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリードフレーム。
  5. 前記リードフレーム基材に形成された前記酸化銅の被膜を封止樹脂で封止し、360℃で10分間加熱したときの、該酸化銅の被膜の該封止樹脂とのシェア強度が、加熱前の該酸化銅の被膜の該封止樹脂とのシェア強度の70%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリードフレーム。
  6. 前記リードフレーム基材の面における、少なくとも、半導体素子と接続するための内部端子部と外部機器と接続するための外部端子部に、Niめっき層とPdめっき層とAuめっき層とからなる多層構造のめっき層が形成され、めっき層が形成されていない領域に、前記酸化銅の被膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリードフレーム。
  7. 半導体素子と接続するための内部端子部のめっき層と外部機器と接続するための外部端子部のめっき層とが前記リードフレーム基材の互いに異なる側の面に設けられ、前記外部端子部側の面には、前記酸化銅の被膜が形成されず、前記内部端子部側の面の、めっき層が形成されていない領域に、前記酸化銅の被膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のリードフレーム。
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