以下、本発明の加熱調理器の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面における各構成部材の大きさ、形状は、説明のためにわかりやすく表しており、実際の大きさ、形状と異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。加熱調理器10は、本体10aの内部に後述する加熱室を備えている。本体10aの前面側にはドア10bが配設されている。ドア10bは下部を本体10aに軸支されており、上縁部に設けられたハンドル10cにより開閉可能に構成されている。ドア10bには窓10dがはめ込まれており、ドア10bを閉じた状態においても、窓10dを介して加熱調理器10の内部を視認することができる。加熱調理器10を正面から見てドア10bの右側には、操作部11が形成されている。
図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の操作部の正面図である。操作手段である操作部11は、略長方形状であり、表示手段である表示部12と、加熱選択キー群11aと、仕上がりキー群11bと、時間設定キー群11cと、スタートキー11dと、とりけしキー11eと、音声操作スイッチである音声キー11fとを有している。表示部12は液晶からなる略長方形状の表示画面であり、固定の文字と記号により、操作部11への操作入力の状態と加熱状況を表示する。
表示部12の下側の領域には、加熱手段を選択する加熱選択キー群11aが設けられている。加熱選択キー群11aは、レンジキー102と、レンジグリルキー103と、グリルキー104と、オーブンキー105と、発光部106と、発光部107と、発光部108と、発光部109とを有している。これらのキーは、左から、レンジキー102、レンジグリルキー103、グリルキー104、オーブンキー105の順番で横一列となるように配列されている。発光部106はレンジキー102の上方に位置し、発光部107はレンジグリルキー103の上方に位置し、発光部108はグリルキー104の上方に位置し、発光部109はオーブンキー105の上方に位置している。各発光部はドア10bを開閉した際の初期状態では4つ全てが点灯し、対応する加熱選択キーが選択された場合に選択されたキーに対応する発光部だけが点灯し、その他の発光部は消灯するように構成されている。
仕上がりキー群11bは、加熱選択キー群11aの下側の離間した位置に設けられている。仕上がりキー群11bは、仕上がり調節プラスキー111と、仕上がり調節マイナスキー112と、発光部113と、発光部114とを有している。仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112は、各加熱手段が選択された際に、加熱の仕上がりに関わる加熱の強さを調節するためのキーである。仕上がり調節プラスキー111は、被加熱物2の加熱の仕上がり具合を強めるキーであり、仕上がり調節マイナスキー112は、仕上がり具合を弱めるキーである。
仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112の形状は、中心から所定の半径の領域が切り欠かれた開角が略90度の扇形状である。発光部113は仕上がり調節プラスキー111の外周縁に沿った円弧状を有し、発光部114は仕上がり調節マイナスキー112の外周縁に沿った円弧状を有している。仕上がりキー群11bは、これらのキーの配置により、円弧部分が上方向を向く略半円形状に形成されている。
時間設定キー群11cは、仕上がりキー群11bの下側に設けられている。時間設定キー群11cは、加熱時間を設定するためのキーである5分キー115、1分キー116、及び10秒キー117と、これらの加熱時間設定キーに対応する発光部118、発光部119、及び発光部120とを有している。5分キー115は5分単位で時間設定を行うキーであり、1分キー116は1分単位で時間設定を行うキーであり、10秒キー117は10秒単位で時間設定を行うキーである。5分キー115、1分キー116、及び10秒キー117を適宜組み合わせて操作することにより、加熱時間を任意に設定することができる。
5分キー115、1分キー116、及び10秒キー117の形状は、中心から所定の半径の領域が切り欠かれた開角が略60度の扇形状である。発光部118は5分キー111の外周縁に沿った円弧状を有し、発光部119は1分キー116の外周縁に沿った円弧状を有し、発光部120は10秒キー117の外周縁に沿った円弧状を有している。時間設定キー群11cは、これらのキーの配置により、円弧部分が下方向を向く略半円形状に形成されている。
スタートキー11dは、加熱選択キー群11a、仕上がりキー群11b、及び時間設定キー群11cに配置されている上述のキーで各種設定を行った後、加熱を開始するためのキーである。このスタートキー11dは、円形状に構成されており、キー入力が可能な場合に点滅する発光部122が設けられている。
円形状のとりけしキー11eは、時間設定キー群11cの左下側の離間した位置に配置されている。とりけしキー11eは、加熱選択キー群11a、仕上がりキー群11b、及び時間設定キー群11cで行った操作入力を解除するためのキーである。なお、スタートキー11dが操作されて加熱が開始された後にとりけしキー11eを操作すると、加熱が停止される。このように、とりけしキー11eは加熱停止スイッチとしても機能する。
円形状の音声キー11fは、加熱選択キー群11aの右側端部と仕上がりキー群11bの右上部との間の領域に配置されている。音声キー11fは、操作部11の他のキー、すなわち、加熱選択キー群11aの各キー、仕上がりキー群11bの各キー、時間設定キー群11cの各キー、スタートキー11d、及びとりけしキー11eとは触覚により識別できるよう構成されている。本実施の形態1では、音声キー11fは、これらの他のキーとは異なる触感の材質で構成されている。
加熱選択キー群11a若しくはスタートキー11dが押される前、すなわち加熱調理を開始する前の待機状態において、音声キー11fが押されると、音声キー11fは、音声報知の有効無効を確認するためのキー、及び音声報知の有効無効を切り替えるキーとして機能する。また、音声報知が有効にされた状態で、スタートキー11dが押され、調理中に音声キー11fが押されると、加熱中の各種情報が音声により報知される。加熱中の各種情報には、加熱の残り時間が含まれる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の模式図及びブロック図である。加熱調理器10の内部に正面が開口された箱形状の加熱室1が設けられている。加熱室1を正面から見て、左側の側面板1aの上部に温度センサー9が設置され、右側の側面板1bの上部に赤外線センサー6が設置されている。側面板1bの赤外線センサー6と対向する面に開口窓7が設けられている。温度センサー9は、例えばサーミスタにより構成され、加熱室1内の温度を検出する。赤外線センサー6は、加熱室1内の被加熱物2から発せられる赤外線(熱)を検出する。
加熱室1の上面板1cの裏側には、上面板1cを介して加熱室1の内部に収容された被加熱物2を加熱する上ヒーター14が設置されている。この上ヒーター14は、例えば、ニクロム線をマイカで挟んで構成されるフラットヒーターである。加熱室1の底面板1dには、底面板1dに形成された開口部1eを覆う載置台8が設けられている。載置台8は、後述するマイクロ波を透過しやすいセラミックの部材によって構成されている。
また、加熱室1の底面板1dには、導波管4が取り付けられている。この導波管4には、マイクロ波を発生するマグネトロン3と連結されたアンテナ3aが設置されている。マグネトロン3で発せられたマイクロ波は、アンテナ3aから照射され、導波管4を通って加熱室1内に放射され、被加熱物2を加熱する。載置台8の下側の導波管4内には、例えばシーズヒーターからなる下ヒーター15が配設され、加熱室1の内部に収容された被加熱物2を加熱する。加熱室1の背面には不図示の背面ガラス管ヒーターが配設され、加熱室1の内部に収容された被加熱物2を加熱する。本実施の形態1において、マグネトロン3、上ヒーター14、下ヒーター15、及び背面ガラス管ヒーターで、被加熱物2を加熱する加熱手段が構成されている。
制御手段13は、加熱調理器10を全体的に制御するものであり、キー判定手段13a、制御回路13b、マグネトロン駆動手段13e、ヒーター駆動手段13fを備えている。制御回路13bは、タイマ13c及びフラッシュメモリ13dを有している。
キー判定手段13aには、加熱選択キー群11aの上述の各キー、仕上がりキー群11bの上述の各キー、時間設定キー群11cの上述の各キー、スタートキー11d、とりけしキー11e、及び音声キー11fからの出力信号が入力される。キー判定手段13aは、入力された信号から何れのキーが操作されたかを判定し、判定したキーからの設定信号(情報)を制御回路13bに出力する。制御回路13bは、キー判定手段13aからの設定信号に基づいて、ヒーター駆動手段13f、マグネトロン駆動手段13e、表示部12,音声報知手段16に制御信号を出力する。また、制御回路13bには、ドア開閉検知手段17からの出力信号が入力される。
レンジキー102が押され、レンジキー102からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、レンジキー102が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、マグネトロン駆動手段13eにマグネトロン3を駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、マグネトロン駆動手段13eは、マグネトロン3に駆動信号を出力する。これにより、マグネトロン3が駆動される。レンジキー102を押すことにより、マグネトロン3によるマイクロ波加熱を用いたレンジ加熱が選択される。
レンジグリルキー103が押され、レンジグリルキー103からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、レンジグリルキー103が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、マグネトロン駆動手段13eにマグネトロン3を駆動する指令信号を出力し、続いて、ヒーター駆動手段13fに上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターを駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、マグネトロン駆動手段13eは、マグネトロン3に駆動信号を出力し、ヒーター駆動手段13fは、上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターに駆動信号を出力する。レンジグリルキー103を押すことにより、マイクロ波加熱の後に上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターの加熱を連続して行うレンジグリル加熱が選択される。
グリルキー104が押され、グリルキー104からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、グリルキー104が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、ヒーター駆動手段13fに上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターを駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、ヒーター駆動手段13fは、上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターに駆動信号を出力する。グリルキー104を押すことにより、上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターの加熱を行うグリル加熱が選択される。
オーブンキー105が押され、オーブンキー105からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、オーブンキー105が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、ヒーター駆動手段13fに上ヒーター14及び下ヒーター15を駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、ヒーター駆動手段13fは、上ヒーター14及び下ヒーター15に駆動信号を出力する。オーブンキー105を押すことにより、上ヒーター14及び下ヒーター15の加熱を行うグリル加熱が選択される。
フラッシュメモリ13dには、音声報知が有効であるか無効であるかを示す情報が記憶されている。タイマ13cは、制御回路13bの制御に基づいて加熱時間を計時する。
スタートキー11dからの出力信号が入力されていない状態において、音声キー11fから1回押されたことを示す出力信号が入力されると、制御回路13bは、フラッシュメモリ13dに記憶されている音声報知の有効無効の情報を音声で出力するよう、音声報知手段16に制御信号を出力する。さらに、制御回路13bは、フラッシュメモリ13dに記憶されている音声報知の有効無効を切り替える操作方法を音声で出力するよう、音声報知手段16に制御信号を出力する。本実施の形態1において、音声報知の有効無効を切り替える操作方法は、音声キー11fの2秒間の長押しである。
スタートキー11dからの出力信号が入力されていない状態において、音声キー11fから、2秒間の長押しがされたことを示す出力信号が入力されると、制御回路13bは、フラッシュメモリ13dに記憶されている音声報知に関する情報が、有効であれば無効に切り替え、無効であれば有効に切り替える書き込み処理を実行する。スタートキー11dからの出力信号が入力された後、音声キー11fからの出力信号が入力されると、制御回路13bは、フラッシュメモリ13dに記憶されている情報を確認し、音声報知が有効となっているときは、実行中の加熱調理に関する情報、より具体的には加熱の残り時間に関する情報を音声で出力するよう、音声報知手段16に制御信号を出力する。
とりけしキー11eが押され、とりけしキー11eからの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、とりけしキー11eが押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、とりけしキー11eが押される前に操作された内容をキャンセルする処理を実行する。
図4は、本発明の実施の形態1における音声報知の設定変更の処理手順を示すフローチャートである。この処理は、調理を開始する前の待機状態において、制御手段13により実行される。ステップS10において、音声キー11fが操作されたか否かがチェックされる。音声キー11fが操作されたことが確認されたら、ステップS11へ進む。音声キー11fが操作されていない間はステップS10の処理が繰り返される。ステップS11では、フラッシュメモリ13dに記憶されている音声報知の有効無効に関するデータが読み出され、音声報知が有効な設定になっているか否かチェックされる。音声報知が無効に設定されていることが確認されたら、ステップS12へ進む。
ステップS12では、音声報知手段16により、音声報知が無効に設定されていることが報知される。次いで、ステップS13へ進み、音声報知手段16により、音声報知を有効に設定する操作方法が報知される。本実施の形態1では、上述のように、音声キー11fを2秒間長押しする操作が、音声報知を有効に設定する操作であるので、その旨が音声報知手段16により報知される。続いてステップS14へ進み、音声報知手段16による報知の後、所定時間が経過する前に、音声報知を有効に切り替える操作が実行されたか否かチェックされる。ステップS14で、音声キー11fが2秒間長押しされ、音声報知を有効にする操作が行われたことが確認されたら、ステップS15へ進む。ステップS15では、フラッシュメモリ13dの音声報知の有効無効に関するデータを有効に設定変更する書き込み処理が実行される。ステップS14で、音声報知を有効にする操作が行われていないことが確認された場合は、ステップS15の処理は行われず、フラッシュメモリ13dの音声報知の有効無効に関するデータは無効の設定が維持される。
一方、ステップS11において音声報知が有効に設定されていることが確認されたら、ステップS16へ進む。ステップS16では、音声報知手段16により、音声報知が有効に設定されていることが報知される。次いで、ステップS17へ進み、音声報知手段16により、音声報知を無効に設定する操作方法が報知される。本実施の形態1では、上述のように、音声キー11fを2秒間長押しする操作が、音声報知を無効に設定する操作であるので、その旨が音声報知手段16により報知される。続いてステップS18へ進み、音声報知手段16による報知の後、所定時間が経過する前に、音声報知を無効に切り替える操作が実行されたか否かチェックされる。ステップS18で、音声キー11fが2秒間長押しされ、音声報知を無効にする操作が行われたことが確認されたら、ステップS19へ進む。ステップS19では、フラッシュメモリ13dの音声報知の有効無効に関するデータを無効に設定変更する書き込み処理が実行される。ステップS18で、音声報知を無効にする操作が行われていないことが確認された場合は、ステップS19の処理は行われず、フラッシュメモリ13dの音声報知の有効無効に関するデータは有効の設定が維持される。
このように、本実施の形態1においては、音声キー11fの長押し操作が音声報知の有効無効の設定の切り替えのトリガーとなる。そして、音声報知が無効に設定されていても、音声キー11fが操作されると、音声報知が無効であること、および音声報知を有効にする操作方法が音声報知手段16により報知される。
図5は、本発明の実施の形態1に係る音声報知の手順を示すフローチャートである。ステップS20で、操作部11のスタートキー11dが押されたか否かがチェックされる。スタートキー11dが押されたことが確認されたらステップS21へ進む。スタートキー11dが押されていない場合は、ステップS20の処理が繰り返される。ステップS21では、加熱処理が開始される。すなわち、使用者による加熱選択キー群11a、仕上がりキー群11b、及び時間設定キー群11cの各キーの操作に従って、ヒーター駆動手段13fおよびマグネトロン駆動手段13eの少なくとも一方に制御信号が出力され、上ヒーター14、下ヒーター15、背面ガラス管ヒーター、およびマグネトロン3が適宜駆動される。
次いで、ステップS22へ進み、音声キー11fが押されたか否かがチェックされる。音声キー11fが押されたことが確認されたらステップS23へ進む。ステップS23では、被加熱物2に対する加熱の残り時間が確定しているか否かがチェックされる。加熱の残り時間は、被加熱物2の温度と仕上がりの設定温度とを比較し、上ヒーター14、下ヒーター15、背面ガラス管ヒーター、およびマグネトロン3のうち駆動中の加熱手段の加熱能力、あるいは、温度センサー9で検知した温度変化などに基づいて算出される。上述のように、被加熱物2の温度は赤外線センサー6により検出される。また、仕上がりの設定温度は、フラッシュメモリ13dから読み出され、必要に応じて仕上がりキー群11bの各キーにより変更された設定温度である。
ステップS23で被加熱物2に対する加熱の残り時間が確定していることが確認されたら、ステップS24へ進む。ステップS24では、制御手段13は音声報知手段16を駆動し、算出された残り時間を音声により報知する。この時、算出された残り時間は、残り時間が確定した時点で表示部12に表示されている。ステップS23で被加熱物2に対する加熱の残り時間が確定していないことが確認されたら、ステップS25へ進む。ステップS25では、音声報知手段16を駆動し、加熱の残り時間が未定であることを音声により報知する。加熱の残り時間が未定である場合には、残り時間算出中であることが表示部12に表示されている。
一方、ステップS22において、音声キー11fが押されていないことが確認されたら、ステップS23〜S25の処理は実行されず、ステップS26へ進む。
ステップS26では、被加熱物2の加熱処理を終了するか否かがチェックされる。被加熱物2の温度が仕上がりの設定温度に達している場合は、加熱処理終了と判断され、処理は終了する。被加熱物2の温度が仕上がりの設定温度に達していない場合は、上述の加熱手段により加熱処理を継続する必要がある。従って、ステップS22へ戻り、ステップS22〜S25の処理が繰り返される。
以上のように、本実施の形態1においては、被加熱物2の加熱調理中は、音声キー11fが押されたか否かが繰り返しチェックされる。そして、音声キー11fが押された時点で加熱の残り時間が確定していれば、その残り時間が音声報知手段16により報知され、加熱の残り時間が確定していなければ、残り時間は未定であることが音声報知手段16により報知される。換言すると、使用者は、加熱調理中、音声キー11fを押すことにより、その時点での残り時間を確認することができる。従って、使用者は、音声報知手段16による音声報知を聞き逃したとしても、音声キー11fを押せば、その時点の加熱の状態を音声により再度、確認することができる。
本実施の形態1において、音声キー11fは、操作部11の上述の他のキーとは異なる触感の材質を円形状に形成したものが用いられているがこれに限るものではない。音声キー11fは、操作部11の他のキーとは触覚により識別できるよう構成されていればよい。例えば、音声キー11fの形状を円形ではなく、操作部11の他のキーとは異なる形状に形成してもよい。あるいは、操作部11の他のキーはタッチパネル上に表示されるタッチスイッチとし、音声キー11fのみを、スイッチの端子間を機械的にオン/オフする物理スイッチとしてもよい。音声キー11fの触覚を他のキーの触覚と異なるよう構成することにより、視覚に障がいのある使用者であっても、音声報知のための操作を実行することができる。
また、本実施の形態1においては、音声報知の有効無効を確認するためのキー、及び音声報知の有効無効を切り替えるキー、加熱中の各種情報を音声により報知させるためのキーとして、音声キー11fを用いているがこれに限るものではない。操作部11のキーのうち、加熱を停止するためのとりけしキー11e以外のキーであれば、音声報知に関する上述の操作を行うキーとして用いてもよい。
本実施の形態1によれば、音声キー11fが押された時点で、表示部12に表示されている加熱の残り時間若しくは、残り時間は未定であることなどの加熱に関する情報を、被加熱物2の加熱開始後、任意のタイミングで視覚に加えて聴覚で確認することができる。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る音声報知の手順を示すフローチャートである。ステップS30〜S35までの処理は、実施の形態1において説明した図4のフローチャートのステップS20〜S25までの処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、本実施の形態2においても、調理を開始する前の待機状態において音声キー11fの操作をトリガーとして、音声報知の有効無効の設定の切り替えが行われる。その手順は上述の図4のフローチャートと同一の手順である。
ステップS35で、被加熱物2の加熱の残り時間が未定であることが音声報知手段16により報知されたら、ステップS36へ進む。ステップS36では、実施の形態1における図4のフローチャートのステップS23と同様に、被加熱物2に対する加熱の残り時間が確定しているか否かがチェックされる。
ステップS36において、被加熱物2の加熱の残り時間が確定していることが確認されたら、ステップS37へ進み、算出された残り時間が音声報知手段16により報知される。さらに、算出された残り時間を表示部12に表示する。一方、ステップS36において、被加熱物2の加熱の残り時間が確定していないことが確認されたら、ステップS37へは進まず、ステップS36の処理が繰り返される。すなわち、被加熱物2の加熱の残り時間が確定するまでステップS36の処理が繰り返される。
ステップS34若しくはステップS37において被加熱物2に対する加熱の残り時間が音声報知手段16により報知されたら、ステップS38へ進む。ステップS38では、実施の形態1における図4のフローチャートのステップS26と同様に、被加熱物2の加熱処理を終了するか否かがチェックされる。被加熱物2の加熱処理が終了と判断されたら、処理は終了する。被加熱物2の加熱処理を継続する必要がある場合は、ステップS32へ戻り、ステップS32〜S34の処理が繰り返される。
本実施の形態2によれば、使用者は、加熱調理中、音声キー11fを押すことにより、その時点での残り時間を確認することができる。従って、実施の形態1と同様、使用者は、音声報知手段16による音声報知を聞き逃したとしても、音声キー11fを押せば、その時点の加熱の状態を音声により再度確認することができる。
さらに、本実施の形態2によれば、音声キー11fが押された時点において加熱の残り時間が未定の場合は、再度音声キー11fを押さなくても、残り時間が確定した時点で、当該残り時間が音声報知手段16により報知される。従って、音声報知の利便性がより高まる。