以下、本発明の加熱調理器の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面における各構成部材の大きさ、形状は、説明のためにわかりやすく表しており、実際の大きさ、形状と異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の斜視図である。加熱調理器10は、本体10aの内部に後述する加熱室を備えている。本体10aの前面側にはドア10bが配設されている。ドア10bは下部を本体10aに軸支されており、上縁部に設けられたハンドル10cにより開閉可能に構成されている。ドア10bには窓10dがはめ込まれており、ドア10bを閉じた状態においても、窓10dを介して加熱調理器10の内部を視認することができる。加熱調理器10を正面から見てドア10bの右側には、操作部11が形成されている。
図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の操作部の正面図である。操作部11は、略長方形状であり、表示部12と、加熱選択キー群11aと、仕上がりキー群11bと、時間設定キー群11cと、スタートキー11dと、とりけしキー11eと、音声キー11fとを有している。表示部12は液晶からなる略長方形状の表示画面であり、固定の文字と記号により、操作部11への操作入力の状態と加熱状況を表示する。
表示部12の下側の領域には、加熱手段を選択する加熱選択キー群11aが設けられている。加熱選択キー群11aは、レンジキー102と、レンジグリルキー103と、グリルキー104と、オーブンキー105と、発光部106と、発光部107と、発光部108と、発光部109とを有している。これらのキーは、左から、レンジキー102、レンジグリルキー103、グリルキー104、オーブンキー105の順番で横一列となるように配列されている。発光部106はレンジキー102の上方に位置し、発光部107はレンジグリルキー103の上方に位置し、発光部108はグリルキー104の上方に位置し、発光部109はオーブンキー105の上方に位置している。各発光部はドア10bを開閉した際の初期状態では4つ全てが点灯し、対応する加熱選択キーが選択された場合に選択されたキーに対応する発光部だけが点灯し、その他の発光部は消灯するように構成されている。
仕上がりキー群11bは、加熱選択キー群11aの下側の離間した位置に設けられている。仕上がりキー群11bは、仕上がり調節プラスキー111と、仕上がり調節マイナスキー112と、発光部113と、発光部114とを有している。仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112は、後述する被加熱物2の加熱の仕上がり具合を設定するための設定手段であり、各加熱手段が選択された際に、加熱の仕上がりに関わる加熱の強さを調節するためのキーである。仕上がり調節プラスキー111は、被加熱物2の加熱の仕上がり具合を強めるキーであり、仕上がり調節マイナスキー112は、仕上がり具合を弱めるキーである。
仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112の形状は、中心から所定の半径の領域が切り欠かれた開角が略90度の扇形状である。発光部113は仕上がり調節プラスキー111の外周縁に沿った円弧状を有し、発光部114は仕上がり調節マイナスキー112の外周縁に沿った円弧状を有している。仕上がりキー群11bは、これらのキーの配置により、円弧部分が上方向を向く略半円形状に形成されている。
時間設定キー群11cは、仕上がりキー群11bの下側に設けられている。時間設定キー群11cは、加熱時間を設定するためのキーである5分キー115、1分キー116、及び10秒キー117と、これらの加熱時間設定キーに対応する発光部118、発光部119、及び発光部120とを有している。5分キー115は5分単位で時間設定を行うキーであり、1分キー116は1分単位で時間設定を行うキーであり、10秒キー117は10秒単位で時間設定を行うキーである。5分キー115、1分キー116、及び10秒キー117を適宜組み合わせて操作することにより、加熱時間を任意に設定することができる。
5分キー115、1分キー116、及び10秒キー117の形状は、中心から所定の半径の領域が切り欠かれた開角が略60度の扇形状である。発光部118は5分キー111の外周縁に沿った円弧状を有し、発光部119は1分キー116の外周縁に沿った円弧状を有し、発光部120は10秒キー117の外周縁に沿った円弧状を有している。時間設定キー群11cは、これらのキーの配置により、円弧部分が下方向を向く略半円形状に形成されている。
スタートキー11dは、加熱選択キー群11a、仕上がりキー群11b、及び時間設定キー群11cに配置されている上述のキーで各種設定を行った後、加熱を開始するためのキーである。このスタートキー11dは、円形状に構成されており、キー入力が可能な場合に点滅する発光部122が設けられている。
円形状のとりけしキー11eは、時間設定キー群11cの左下側の離間した位置に配置されている。とりけしキー11eは、加熱選択キー群11a、仕上がりキー群11b、及び時間設定キー群11cで行った操作入力を解除するためのキーである。
円形状の音声キー11fは、加熱選択キー群11aの右側端部と仕上がりキー群11bの右上部との間の領域に配置されている。音声キー11fは、加熱中の各種情報を音声により報知するモードを設定若しくは解除するためのキーである。
図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の模式図及びブロック図である。加熱調理器10の内部に正面が開口された箱形状の加熱室1が設けられている。加熱室1を正面から見て、左側の側面板1aの上部に温度センサー9が設置され、右側の側面板1bの上部に赤外線センサー6が設置されている。側面板1bの赤外線センサー6と対向する面に開口窓7が設けられている。温度センサー9は、例えばサーミスタにより構成され、加熱室1内の温度を検出する。赤外線センサー6は、加熱室1内の被加熱物2から発せられる赤外線(熱)を検出する。
加熱室1の上面板1cの裏側には、上面板1cを介して加熱室1の内部を加熱する上ヒーター14が設置されている。この上ヒーター14は、例えば、ニクロム線をマイカで挟んで構成されるフラットヒーターである。加熱室1の底面板1dには、底面板1dに形成された開口部1eを覆う載置台8が設けられている。載置台8は、後述するマイクロ波を透過しやすいセラミックの部材によって構成されている。
また、加熱室1の底面板1dには、導波管4が取り付けられている。この導波管4には、マイクロ波を発生するマグネトロン3と連結されたアンテナ3aが設置されている。マグネトロン3で発せられたマイクロ波は、アンテナ3aから照射され、導波管4を通って加熱室1内に放射される。載置台8の下側の導波管4内には、例えばシーズヒーターからなる下ヒーター15が配設されている。加熱室1の背面には不図示の背面ガラス管ヒーターが配設されている。本実施の形態1において、マグネトロン3、上ヒーター14、下ヒーター15、及び背面ガラス管ヒーターで、被加熱物2を加熱する加熱手段が構成されている。
制御手段13は、加熱調理器10を全体的に制御するものであり、キー判定手段13a、制御回路13b、マグネトロン駆動手段13e、ヒーター駆動手段13fを備えている。制御回路13bは、タイマ13c及びフラッシュメモリ13dを有している。
キー判定手段13aには、加熱選択キー群11aの上述の各キー、仕上がりキー群11bの上述の各キー、時間設定キー群11cの上述の各キー、スタートキー11d、とりけしキー11e、及び音声キー11fからの出力信号が入力される。キー判定手段13aは、入力された信号からいずれのキーが操作されたかを判定し、判定したキーからの設定信号(情報)を制御回路13bに出力する。制御回路13bは、キー判定手段13aからの設定信号に基づいて、ヒーター駆動手段13f、マグネトロン駆動手段13e、表示部12,音声報知手段16に制御信号を出力する。また、制御回路13bには、ドア開閉検知手段17からの出力信号が入力される。
レンジキー102が押され、レンジキー102からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、レンジキー102が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、マグネトロン駆動手段13eにマグネトロン3を駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、マグネトロン駆動手段13eは、マグネトロン3に駆動信号を出力する。これにより、マグネトロン3が駆動される。レンジキー102を押すことにより、マグネトロン3によるマイクロ波加熱を用いたレンジ加熱が選択される。
レンジグリルキー103が押され、レンジグリルキー103からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、レンジグリルキー103が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、マグネトロン駆動手段13eにマグネトロン3を駆動する指令信号を出力し、続いて、ヒーター駆動手段13fに上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターを駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、マグネトロン駆動手段13eは、マグネトロン3に駆動信号を出力し、ヒーター駆動手段13fは、上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターに駆動信号を出力する。レンジグリルキー103を押すことにより、マイクロ波加熱の後に上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターの加熱を連続して行うレンジグリル加熱が選択される。
グリルキー104が押され、グリルキー104からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、グリルキー104が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、ヒーター駆動手段13fに上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターを駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、ヒーター駆動手段13fは、上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターに駆動信号を出力する。グリルキー104を押すことにより、上ヒーター14及び背面ガラス管ヒーターの加熱を行うグリル加熱が選択される。
オーブンキー105が押され、オーブンキー105からの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、オーブンキー105が押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、ヒーター駆動手段13fに上ヒーター14及び下ヒーター15を駆動する指令信号を出力する。制御回路13bから指令信号が入力されると、ヒーター駆動手段13fは、上ヒーター14及び下ヒーター15に駆動信号を出力する。オーブンキー105を押すことにより、上ヒーター14及び下ヒーター15の加熱を行うグリル加熱が選択される。
フラッシュメモリ13dは記憶手段であり、加熱の仕上がりについての各種情報が記憶されている。本明細書において、加熱の仕上がりとは、被加熱物2の加熱終了後の状態であり、仕上がり具合とは、仕上がりの程度である。仕上がり具合には、例えば、被加熱物2の温度、焼目の程度、焼目の量などが含まれる。フラッシュメモリ13dは、仕上がり具合のデフォルトの値(標準設定)、及び使用者により設定される仕上がり具合の値が記憶されるよう構成されている。使用者による仕上がり具合の設定については後述する。さらに、フラッシュメモリ13dには、仕上がり記憶モードが記憶されている。本実施の形態1において、仕上がり記憶モードには仕上がり記憶有りのモード(第1のモード)と仕上がり記憶無しのモード(第2のモード)とがある。仕上がり記憶有りのモードは、使用者により設定された仕上がり具合をフラッシュメモリ13dに記憶するモードであり、仕上がり記憶無しのモードは、使用者により設定された仕上がり具合をフラッシュメモリ13dには記憶しないモードである。加熱調理器10の初期状態、すなわち工場から出荷されるときは、仕上がり記憶無しモードが設定されている。タイマ13cは、制御回路13bの制御に基づいて加熱時間を計時する。
音声キー11fが押され、音声キー11fからの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、音声キー11fが押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、音声報知手段16に駆動信号を出力する。音声キー11fを押すことにより、加熱中の各種情報が音声により報知される。
とりけしキー11eが押され、とりけしキー11eからの出力信号がキー判定手段13aに入力されると、キー判定手段13aは、とりけしキー11eが押されたことを示す情報を制御回路13bに出力する。それに応じて、制御回路13bは、とりけしキー11eが押される前に操作された内容をキャンセルする処理を実行する。
図4は、本発明の実施の形態1における仕上がり記憶モードの設定の処理手順を示すフローチャートである。仕上がり記憶モードの設定処理は、加熱調理器10のドア10bが開けられ、電源が入った状態において、加熱がスタートする前の待機状態で制御手段13により実行される。ステップS10で、キー入力があったか否かがチェックされる。ステップS10でキー入力があったことが確認されたら、ステップS11へ進む。キー入力が確認されない場合は、ステップS10の処理が繰り返される。
ステップS11では、キー入力が仕上がり記憶設定を切り替えるための特殊操作であるか否かがチェックされる。本実施の形態1では、10秒キー117を3回続けて押す操作を特殊操作とする。ステップS11で、10秒キー117が3回続けて押されたことが確認されたら、ステップS12へ進む。ステップS11で、キー入力が特殊操作ではないことが確認されたら、ステップS13へ進み、仕上がり記憶モードの設定処理が終了する。その後は、入力されたキーに応じた処理が実行される。
ステップS11で特殊操作の実行が確認され、ステップS12に進んだら、フラッシュメモリ13dから仕上がり記憶モードに関する情報が読み出される。次いで、ステップS14へ進み、読み出された仕上がり記憶モードが仕上がり記憶有り(第1のモード)であることが確認されたら、ステップS15へ進む。ステップS15では、仕上がり記憶モードを仕上がり記憶無し(第2のモード)に設定し、フラッシュメモリ13dに記憶する。一方、ステップS14において、読み出された情報が仕上がり記憶無しであることが確認されたら、ステップS16へ進む。ステップS16では、仕上がり記憶モードを仕上がり記憶有りに設定し、フラッシュメモリ13dに記憶する。
ステップS15若しくはステップS16の処理が実行されたら、ステップS17へ進む。ステップS17では、音声報知手段16が駆動され、設定変更を示す報知音が発せられ、キー操作を受け付ける待機状態に戻る。以上で、仕上がり記憶モードの設定処理は終了する。
以上のように、本実施の形態1においては、操作部11で上述の特殊操作が実行されたら、フラッシュメモリ13dに記憶されている仕上がり記憶モードを切り替える処理が行われる。換言すると、操作部11で特殊操作を実行することにより、仕上がり記憶モードを選択することができる。
図5は、本発明の実施の形態1における加熱の処理手順の前半を示すフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態1における加熱の処理手順の後半を示すフローチャートである。図5のステップS20において、フラッシュメモリ13dに記憶されているデータが読み出され、仕上がり記憶モードの設定がチェックされる。仕上がり記憶モードは、上述のように、図4のフローチャートで示される手順で既に設定されている。仕上がり記憶モードが仕上がり記憶有りに設定されていることが確認されたら、ステップS21へ進む。
ステップS21では、フラッシュメモリ13dから記憶されている仕上がり情報を読み出す。ここで読み出される仕上がり情報は、仕上がり記憶モードが仕上がり記憶有りに設定されていた状態で、前回の加熱処理で記憶された仕上がり具合の情報である。ここでは、例えば、あたため加熱であれば仕上がり温度は70℃、被加熱物がのみものであれば仕上がり温度は50℃、という情報がフラッシュメモリ13dに記憶されているものとする。次いでステップS22へ進み、あたため加熱が選択されているかチェックされる。あたため加熱が選択されていることが確認されたらステップS23へ進む。ステップS23では、仕上がり記憶モードが記憶有りに設定されているので、ステップS21で読み出した仕上がり温度である70℃を表示部12に表示する。なお、ステップS22で、のみもの加熱が選択された場合、ステップS23では仕上がり温度である50℃を表示部12に表示する。
一方、ステップS20で、仕上がり記憶モードが仕上がり記憶無しに設定されていることが確認されたら、ステップS24へ進む。ステップS24では、フラッシュメモリ13dから記憶されている仕上がり情報を読み出す。仕上がり記憶モードが仕上がり記憶無しに設定されているので、ここで読み出される仕上がり情報は、デフォルトの値である。ここでは、例えば、あたため加熱であれば仕上がり温度は80℃、のみもの加熱であれば仕上がり温度は60℃、という情報がデフォルトとしてフラッシュメモリ13dに記憶されているものとする。次いでステップS25へ進み、あたため加熱が選択されているかチェックされる。あたため加熱が選択されていることが確認されたらステップS26へ進む。ステップS26では、ステップS21で読み出した仕上がり温度のデフォルトである80℃を表示部12に表示する。なお、ステップS25で、のみもの加熱が選択された場合、ステップS26では仕上がり温度である60℃を表示部12に表示する。
ステップS23若しくはステップS26で、表示部12に仕上がり温度を表示したら、ステップS27へ進む。ステップS27では仕上がりキー群11bの仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112が押されたかチェックされる。仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112の少なくとも一方が押されたことが確認されたらステップS28へ進む。ステップS28では、仕上がり調節プラスキー111と仕上がり調節マイナスキー112の押された回数に従って、ステップS21若しくはステップS24で読み出した仕上がり温度を変更する。そして、変更された仕上がり温度を表示部12に表示する。ここでは、例えば、仕上がり調節マイナスキー112が複数回押され、仕上がり温度が65℃に変更されたとする。次いで、図6のステップS30へ進む。
一方、ステップS27において、仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112のいずれも押されていないことが確認されたら、ステップS28の処理はスキップされ、図6のステップS30へ進む。
このように、本実施の形態1では、加熱開始前の基準の仕上がり具合は、仕上がり記憶モードが仕上がり記憶有りの場合、前回の加熱処理で記憶された仕上がり具合であり、仕上がり記憶モードが仕上がり記憶無しの場合、デフォルトの仕上がり具合である。そして、使用者が必要に応じて基準の仕上がり具合を設定変更できるよう、構成されている。
ステップS30では、スタートキー11dが押されたか否かチェックされる。スタートキー11dが押されたことが確認されたステップS31へ進む。スタートキー11dが押されてない場合は、図5のステップS27へ戻り、上述の処理が繰り返される。ステップS31では、スタートキー11dが押されたので、加熱処理が開始される。次いで、ステップS32では加熱処理を終了するか否かがチェックされる。加熱処理の終了は、被加熱物2の温度が仕上がり温度に達したか否かで判断される。例えば、上述のように仕上がりキー群11bの各キーが押され、仕上がり温度が65℃に変更されている場合、赤外線センサー6により検知される被加熱物2の温度が65℃に達したら加熱処理を終了する。加熱処理を終了したら、ステップS33へ進む。
ステップS33では、仕上がり記憶モードの設定がチェックされる。仕上がり記憶モードが仕上がり記憶有りであることが確認されたら、ステップS34へ進む。ステップS34では、あたため加熱の仕上がり温度がフラッシュメモリ13dに記憶される。例えば、ステップS27で仕上がりキー群11bの各キーが押され、仕上がり温度が65℃に変更されている場合は、変更後の65℃がフラッシュメモリ13dに記憶される。また、仕上がりキー群11bの各キーが押されなかった場合は、ステップS21で読み出された仕上がり温度である70℃がフラッシュメモリ13dに記憶される。
以上のように、本実施の形態1によれば、10秒キー117を3回押すことにより、仕上がり記憶モードを選択することができる。仕上がり記憶モードを仕上がり記憶有りに設定すると、使用者により設定された仕上がり具合がフラッシュメモリ13dに記憶され、次回の加熱開始のときは、その仕上がり具合で加熱を実施することができる。従って、使用者が自身の好みの仕上がり具合を常に希望する場合、使用者の好みに合った仕上がり具合を継続させることができる。また、仕上がり記憶モードを仕上がり記憶無しに設定すると、使用者が仕上がり具合を変更したとしても、次回の加熱をフラッシュメモリ13dに記憶されているデフォルトの仕上がり具合で開始することができる。従って、好みが異なる複数人で加熱調理器10を使用する環境においては、各人が自身の好みに合わせて加熱を実施することができる。すなわち、本実施の形態1によれば、使用環境に応じて仕上がり具合を設定することができ、加熱調理器10の利便性が向上する。
本実施の形態1によれば、仕上がり記憶モード自体がフラッシュメモリ13dに記憶されている。そして、加熱開始時、フラッシュメモリ13dに記憶されている仕上がり記憶モードが読み出され、読み出された仕上がり記憶モードに従って、被加熱物2の仕上がり具合の基準が決定される。従って、使用環境に応じた仕上がり具合の設定をより確実に実行することができる。
本実施の形態1によれば、仕上がり記憶有りのモードが選択されている場合、使用者が仕上がり調節プラスキー111及び仕上がり調節マイナスキー112の少なくとも一方を操作して設定した温度はフラッシュメモリ13dに記憶され、次回の加熱開始時の基準とされる。従って、使用者が好みの仕上がり具合を設定するにあたり省力化が図られ、加熱調理器10の利便性が向上する。
本実施の形態1によれば、仕上がり記憶モードが仕上がり記憶有りに設定されている場合、使用者により設定されてフラッシュメモリ13dに記憶されている仕上がり具合の設定が加熱開始前の基準とされる。また、仕上がり記憶モードが仕上がり記憶無しに設定されている場合、フラッシュメモリ13dに記憶されている仕上がり具合のデフォルトの設定が加熱開始前の基準とされる。従って、仕上がり具合に関する好みが異なる複数の使用者で使用する場合、あるいは好みが定まっている使用者が単独で使用する場合等、多様な使用環境に対応することができ、加熱調理器10の利便性が向上する。
本実施の形態1によれば、被加熱物2の仕上がり具合の設定には加熱の仕上がり温度が含まれている。従って、加熱調理において、使用者の好みを忠実に反映することができる。
本実施の形態1においては、加熱調理器10が工場から出荷されるとき、初期状態として仕上がり記憶無しモード(第2のモード)が設定されている。従って、使用者が意図しない仕上がり具合で使用し続けることが回避される。すなわち、仕上がり記憶モードが仕上がり記憶無しの場合には、毎回同じ操作を行うことで、必ず同じ仕上がり状態に設定できるので、操作を覚えやすく、かつ、意図せず加熱しすぎてしまうなどの失敗を防ぐことができる。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2における加熱の処理手順の後半を示すフローチャートである。尚、本実施の形態2において、加熱の前半は、図5に示す実施の形態1の処理手順と同様であるので説明を省略する。
図5のステップS23及びS26のいずれかの処理が実行され、あるいはさらにステップS28の処理が実行されると、図7のステップS40へ進む。ステップS40〜S42までは、実施の形態1で説明した図6のステップS30〜S32までの処理と同様の処理が実行される。
ステップS42で加熱処理が終了したらステップS43へ進む。ステップS43では、仕上がり記憶モードの設定がチェックされる。仕上がり記憶モードが仕上がり記憶有りであることが確認されたら、ステップS44へ進む。ステップS44では、仕上がり具合の設定温度が標準設定であるデフォルトの値を超えていないかチェックされる。ここで、仕上がり具合の設定温度は、仕上がりキー群11bの各キーが押され、設定温度が変更されている場合は、その変更後の値であり、仕上がりキー群11bの各キーが押されておらず、設定温度が変更されていない場合は、フラッシュメモリ13dから読み出された設定温度である。仕上がり具合の設定温度がデフォルトの値以下であることが確認されたらステップS45へ進む。
ステップS45では、仕上がり具合の設定温度が所定の下限温度より低くないかチェックされる。仕上がり具合の設定温度が所定の下限温度以上であることが確認されたら、ステップS46へ進む。ステップS46では、あたため加熱の仕上がり具合の設定温度をフラッシュメモリ13dに記憶する。
一方、ステップS44において、仕上がり具合の設定温度がデフォルトの値を超えていることが確認された場合、若しくは、ステップS45において、仕上がり具合の設定温度が所定の下限温度より低いことが確認された場合、ステップS46の処理は実行されない。すなわち、フラッシュメモリ13dの仕上がり温度の値は変更されず、前回の設定温度が記憶される。
フラッシュメモリ13dに記憶されているあたため加熱のデフォルトの温度が80℃、下限温度が60℃である場合を例にとって説明する。この条件の下で、使用者により仕上がりキー群11bの各キーが操作され、あたため加熱の設定温度が65℃に設定された場合、ステップS46の処理が実行され、フラッシュメモリ13dにあたため加熱の設定温度として65℃が記憶される。そして、次回の加熱において仕上がり記憶モードとして記憶有りが選択されると、図5のステップS21の処理で、フラッシュメモリ13dから、あたため加熱の設定温度として65℃が読み出される。
また、上述の条件の下で、使用者により仕上がりキー群11bの各キーが操作され、あたため加熱の設定温度が90℃に設定された場合、ステップS46の処理は実行されず、フラッシュメモリ13dのあたため加熱の設定温度が90℃に変更されることはない。
本実施の形態2においては、仕上がり記憶モードを選択することができるよう構成されているため、上述の実施の形態1の効果と同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態2においては、仕上がり記憶モードとして仕上がり記憶有りが選択されている場合であっても、使用者により設定される設定温度が所定の範囲内にあるときのみ、フラッシュメモリ13dに記憶される。特に、所定の範囲の上限をデフォルトの設定温度としている。従って、使用者により極めて高い温度が設定されても、次回の加熱において不用意に当該高い温度で仕上げられることが回避され、加熱しすぎによる失敗を予防できるとともに、安全性が確保される。
なお、本実施の形態2では、所定の範囲外の設定温度に設定された場合、前回の設定温度を記憶するよう構成したが、所定の上限値、あるいは所定の下限値を記憶するように構成してもよい。