JP6690919B2 - 発光装置、照明装置、表示装置、及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明の一態様は、発光素子、または該発光素子を有する発光装置、表示装置、電子機器、及び照明装置に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
近年、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:EL)を利用した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の物質を含む層(EL層)を挟んだものである。この素子の電極間に電圧を印加することにより、発光性の物質から発光を得ることができる。
上述の発光素子は自発光型であるため、これを用いた発光装置は、視認性に優れ、バックライトが不要であり、消費電力が少ない等の利点を有する。さらに、該発光装置は、薄型軽量に作製でき、応答速度が高いなどの利点も有する。
また、上述の発光素子を表示装置に用いる場合、画素中の各副画素にそれぞれ互いに異なる色を発光する機能を有するEL層を設ける方法(以下、塗り分け方式と呼ぶ)と、画素中の副画素に例えば白色を発光する機能を有する共通のEL層を設け、各副画素にそれぞれ異なる色の光を透過する機能を有するカラーフィルタを設ける方法(以下、白色EL+カラーフィルタ方式と呼ぶ、ただし、共通のEL層の発光色は白色に限らない)がある。
白色EL+カラーフィルタ方式の利点としては、全副画素でEL層を共通とすることができるため、塗り分け方式と比較して、EL層の材料の損失が少なく、またパターン形成に要するコストを少なくできるため、表示装置を低コストで高い生産性をもって製造できることが挙げられる。次に、塗り分け方式においては、各副画素のEL層の材料が互いに混入することを防ぐために、各画素間に余白が必要となるが、白色EL+カラーフィルタ方式では当該余白が不要であるため、より画素の密度が高く高精細な表示装置を実現することが挙げられる。
上記発光素子は、EL層に含まれる発光性の物質の種類によって、様々な発光色を提供することができる。特に照明や白色EL+カラーフィルタ方式の表示装置への応用を考えた場合、白色発光またはそれに近い色の発光が高効率で得られる発光素子が求められている。また、消費電力の少ない発光素子が求められている。
発光素子からの光の取り出し効率を改善するために、一対の電極間で光の共振効果を利用した微小光共振器(マイクロキャビティ)構造を採用し、特定波長における光強度を増加させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、発光素子の消費電力を低減するため、一対の電極のうち光を取り出さない方の電極に、仕事関数の高い金属酸化物を用いることで、該電極による電圧損失を低減させ、発光素子の駆動電圧を低減する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2012−182127号公報 特開2012−182119号公報
発光素子において光の取り出し効率を改善するためには、一対の電極のうち光を取り出さない方の電極に、反射率の高い材料を用いることが望ましい。また、発光素子の駆動電圧を低減するためには、陽極に、仕事関数の高い材料を用いることが望ましい。しかしながら、反射率が高く、仕事関数が高く、発光素子の電極に適した安定な材料を選択することは困難である。
そのため、反射率の高い材料と、仕事関数の高い材料と、を積層した電極構造とすることで、発光素子の光の取り出し効率の向上及び駆動電圧の低減を図る試みがなされている。しかしながら、2種類の異なる材料を積層したとき、イオン化傾向の差によって、2種類の異なる材料の界面で電子の授受が生じる場合がある。また、積層する材料の一方に酸化物を用いた場合、2種類の異なる材料の界面で酸素の授受が生じる場合がある。このような電子の授受や酸素の授受は、電極材料が腐食する原因となる。電極材料が腐食すると、該電極材料によって形成された電極層の応力に変化が生じるため、膜剥がれによる不良が生じる場合や、発光素子の発光効率の低下、あるいは駆動電圧の上昇が生じる場合がある。また、これらは、発光素子の電気的短絡や発光不良の原因にもなる。
フルカラー表示が可能な表示装置を製造する方法として、塗り分け方式では、微細な開口を有するシャドウマスクを用いて必要な副画素のみに特定の発光層を蒸着する工程が必要であるため、シャドウマスクの開口部を所望の位置に配置(アライメントともいう)する精度(アライメント精度ともいう)が高く要求される。また、高精細な表示が可能な表示装置においては、さらに高いアライメント精度が要求されるため、表示装置の製造における歩留りが低下し、製造コストが増大するという課題がある。
これに対して、白色EL+カラーフィルタ方式では、上記のような微細な開口を有するシャドウマスクが不要なため、表示装置を高い生産性をもって製造することができる。しかしながら、白色EL+カラーフィルタ方式では、白色発光する機能を有する発光層を、各副画素に共通に成膜するため、各副画素に必要のない色の発光も含んでしまう。そのため、白色EL+カラーフィルタ方式は、塗り分け方式と比べて、光の利用効率が悪いという課題がある。そのため、白色を呈する発光素子の発光効率を高めることが求められている。また、発光素子の生産性を高めることが求められている。また、光の利用効率が高い発光素子が求められている。
一つの発光ユニットを有するEL層で構成される発光素子で白色発光を得るためには、異なる色に発光する発光性物質を単層のEL層中で同時に効率良く発光させる必要がある。EL層から得られる発光は、EL層に注入される電子及び正孔の再結合が生じる領域の分布に影響を受ける。例えば、一方の発光性物質が含まれる発光層に当該再結合領域が偏ると、他方の発光性物質からの発光が弱くなる。つまり、EL層に注入される電子及び正孔の再結合が生じる領域によって、EL層が呈する発光色が変化することになる。そのため、EL層が呈する発光色を制御するためには、EL層に注入される電子及び正孔の再結合が生じる領域を制御することが重要となる。
別言すると、EL層に注入される電子及び正孔の再結合が生じる領域を制御することで、EL層が呈する発光色を制御することができるため、白色発光する機能を有する発光層を有する発光素子から、所望の発光色となる光を取り出すことが可能となる。したがって、表示装置の各副画素に、白色発光する機能を有する発光層を共通で成膜し、各副画素の電子及び正孔の再結合が生じる領域をそれぞれ制御し、各副画素の発光色を制御することで、各副画素から異なる発光色を取りだすことができれば、光の利用効率の高い発光素子を作製することが可能となる。
上述した課題に鑑み、本発明の一態様では、新規な発光素子を提供することを課題の一つとする。または発光効率が高い新規な発光素子を提供することを課題の一つとする。または消費電力が低減された新規な発光素子を提供することを課題の一つとする。または複数の発光層を有するEL層を含む新規な発光素子を提供することを課題の一つとする。またはEL層の電子及び正孔の再結合の領域が制御された発光素子を提供することを課題の一つとする。または新規な発光素子の作製方法を提供することを課題の一つとする。
なお、上記の課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。上記以外の課題は、明細書等の記載から自ずと明らかになるものであり、明細書等の記載から上記以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、第1の電極層と、第2の電極層と、第1の電極層及び第2の電極層の間に設けられたEL層と、を有する発光素子であって、第1の電極層は、導電層と、導電層に接する酸化物層と、を有し、導電層は、光を反射する機能を有し、酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層に含まれるMの含有量はInの含有量以上である、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明の他の一態様は、第1の電極層と、第1の電極層上のEL層と、EL層上の第2の電極層と、を有する発光素子であって、第1の電極層は、導電層と、導電層上に接する酸化物層と、を有し、導電層は、光を反射する機能を有し、酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層に含まれるMの含有量はInの含有量以上である、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明の他の一態様は、第1の電極層と、第1の電極層上に接するEL層と、EL層上に接する第2の電極層と、を有する発光素子であって、第1の電極層は、導電層と、導電層上に接する酸化物層と、を有し、導電層は、光を反射する機能を有し、酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層に含まれるMの含有量はInの含有量以上である、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明の他の一態様は、第1の電極層と、第2の電極層と、第3の電極層と、EL層と、を有する発光素子であって、EL層は、第1の電極層と第2の電極層との間、および第2の電極層と第3の電極層との間に設けられ、第1の電極層は、導電層と、導電層に接する酸化物層と、を有し、導電層は、光を反射する機能を有し、酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層に含まれるMの含有量はInの含有量以上である、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明の他の一態様は、第1の電極層と、第1の電極層上のEL層と、EL層上の第2の電極層と、第3の電極層と、を有する発光素子であって、EL層は、第3の電極層上に設けられ、第1の電極層は、導電層と、導電層上に接する酸化物層と、を有し、導電層は、光を反射する機能を有し、酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層に含まれるMの含有量はInの含有量以上である、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明の他の一態様は、第1の電極層と、第1の電極層上に接するEL層と、EL層上に接する第2の電極層と、第3の電極層とを有する発光素子であって、EL層は、第3の電極層上に接して設けられ、第1の電極層は、導電層と、導電層上に接する酸化物層と、を有し、導電層は、光を反射する機能を有し、酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、有し、酸化物層に含まれるMの含有量はInの含有量以上である、ことを特徴とする発光素子である。
また、本発明の他の一態様は、第1の電極層と、トランジスタと、を有する半導体装置であって、第1の電極層は、導電層と、導電層に接する酸化物層と、を有し、導電層は、光を反射する機能を有し、酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層に含まれるMの含有量はInの含有量以上である、ことを特徴とする半導体装置である。
また、上記構成において、トランジスタは、酸化物半導体層にチャネル領域を有し、酸化物半導体層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有する、ことを特徴とする半導体装置である。
また、上記各構成において、第3の電極層は、酸化物層の構成と異なる酸化物を有すると好ましい。
また、上記各構成において、第1の電極層と、第2の電極層と、で挟持される第1の領域は、第2の電極層と、第3の電極層と、で挟持される第2の領域が呈することができる光の色と、異なる色の光を呈することができると好ましい。
また、上記各構成において、EL層は、第1の発光層及び第2の発光層を有し、第1の発光層は、光を呈する機能を有する第1の化合物を有し、第2の発光層は、光を呈する機能を有する第2の化合物を有することが好ましい。
また、上記構成において、第1の化合物と第2の化合物の一方は、一重項励起エネルギーを発光に変換できる機能を有し、第1の化合物と第2の化合物の他方は、三重項励起エネルギーを発光に変換できる機能を有することが好ましい。
また、上記各構成において、第1の化合物は、第2の化合物が呈する光の色と、異なる色の光を呈することが好ましい。
また、上記各構成において、導電層は、AlまたはAgを有することが好ましい。
また、上記各構成において、第2の電極層は、In、Ag、Mgの少なくとも一つを有することが好ましい。
また、上記各構成において、酸化物層は、さらに、Znを有することが好ましい。
また、上記各構成において、Mは、Gaであることが好ましい。
また、上記各構成において、酸化物層は、Inと、Gaと、Znと、を有することが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、上記各構成の発光素子を有する表示装置であって、表示装置は、発光素子のスイッチングを行うトランジスタを有し、トランジスタは、酸化物半導体層にチャネル領域を有し、酸化物半導体層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有する、ことを特徴とする表示装置である。
また、上記構成において、酸化物層と酸化物半導体層と、が同じ元素を有することが好ましい。
また、本発明の一態様は、上記各構成の発光素子と、カラーフィルタ、またはトランジスタとを有する表示装置、または上記各構成の表示装置と筐体またはタッチセンサとを有する電子機器、または上記各構成の発光素子と、筐体またはタッチセンサとを有する照明装置も範疇に含めるものである。また、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光装置にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールは、発光素子を有する場合がある。
本発明の一態様により、新規な発光素子を提供することができる。または、本発明の一態様により、発光効率が高い新規な発光素子を提供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された新規な発光素子を提供することができる。または、本発明の一様態により、複数の発光層を有するEL層を含む新規な発光素子を提供することができる。または、EL層の電子及び正孔の再結合の領域が制御された発光素子を提供することができる。または、本発明の一態様により、新規な発光素子の作製方法を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
本発明の一態様の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様に係る、計算に用いた結晶モデルを説明する図。 本発明の一様態の発光素子の作製方法を説明する断面模式図。 本発明の一様態の発光素子の作製方法を説明する断面模式図。 本発明の一様態の発光素子を説明する断面模式図。 本発明の一態様に係る、発光層におけるエネルギー準位の相関を説明する図。 本発明の一態様に係る、発光層におけるエネルギー準位の相関を説明する図。 本発明の一態様の表示装置を説明する上面図及び断面模式図。 本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。 本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。 本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。 本発明の一態様の表示装置を説明する断面模式図。 本発明の一態様の表示装置を説明するブロック図及び回路図。 本発明の一態様のタッチパネルの一例を示す斜視図。 本発明の一態様の表示装置、及びタッチセンサの一例を示す断面図。 本発明の一態様のタッチパネルの一例を示す断面図。 本発明の一態様のタッチセンサのブロック図及びタイミングチャート図。 本発明の一態様のタッチセンサの回路図。 本発明の一態様の表示モジュールを説明する斜視図。 本発明の一態様の電子機器について説明する図。 本発明の一態様の照明装置について説明する図。 実施例に係る、電極層の反射率を説明する図。 実施例に係る、発光素子を説明する断面模式図。 実施例に係る、発光素子の電流効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の電界発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、発光素子の電流効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の輝度−電圧特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の電界発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、発光素子の電流効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の輝度−電圧特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の電界発光スペクトルを説明する図。
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示さない場合がある。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書等において、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
また、色とは、一般に色相(単色光の波長に相当)、彩度(あざやかさ即ち白みを帯びていない度合)および明度(明るさ即ち光の強弱)の三要素によって規定されたものである。また、本明細書でおいて色とは、上述の三要素のうちのいずれか一つの要素のみ、または任意で選んだ2つの要素のみを示してもよい。また、本明細書において、2つの光の色が異なるとは、上述の三要素のうちいずれか少なくとも一つが異なることをいい、さらに、2つの光のスペクトルの形状若しくは各ピークの相対強度比の分布が異なることをも含む。
また、本明細書等において、青色の発光は、420nm以上490nm以下の波長帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有し、緑色の発光は、500nm以上550nm未満の波長帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有し、黄色の発光は、550nm以上590nm未満の波長帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有し、赤色の発光は、590nm以上740nm以下の波長帯域に少なくとも一つの発光スペクトルピークを有する、発光である。
また、本明細書等において蛍光材料とは、一重項励起状態の最も低い準位(S準位)から基底状態へ緩和する際に可視光領域に発光を与える材料である。燐光材料とは、三重項励起状態の最も低い準位(T準位)から基底状態へ緩和する際に、室温において可視光領域に発光を与える材料である。換言すると燐光材料とは、三重項励起エネルギーを可視光へ変換可能な材料の一つである。
なお、本明細書等において、室温とは、0℃乃至40℃のいずれかの温度をいう。
また、本明細書等において、透明導電膜とは、可視光を透過する機能を有し、且つ導電性を有する膜である。例えば、透明導電膜としては、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITO)に代表される酸化物導電体膜、酸化物半導体膜、または有機物を含む有機導電体膜を含む。有機物を含む有機導電体膜としては、例えば、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を含む膜、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を含む膜等が挙げられる。また、透明導電膜の抵抗率としては、好ましくは1×10Ω・cm以下、さらに好ましくは1×10Ω・cm以下である。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子について、図1乃至図10を用いて以下説明する。
<1.発光素子の構成例1>
図1(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。図1(A)に示す発光素子150は、電極層101と、EL層100と、電極層102と、を有する。また、電極層101は、導電層101aと、導電層101a上に接する酸化物層101bと、を有する。
また、図1(A)に示すEL層100は、図1(B)に示すように、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層120と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する構成としてもよい。
なお、本実施の形態における発光素子では、電極層101を陽極、電極層102を陰極として、説明を行うが、発光素子の構成としては、その限りではない。つまり、電極層101を陰極とし、電極層102を陽極とし、当該電極層間の各層の積層は、順番を逆としても良い。すなわち、陽極側から、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層120と、電子輸送層118と、電子注入層119と、が積層する順番にすれば良い。
また、一対の電極間のEL層には、その機能に応じて、各層が形成されれば良く、これに限らない。すなわち、一対の電極層間のEL層は、正孔または電子の注入障壁を低減する、正孔または電子の輸送性を向上する、正孔または電子の輸送性を阻害する、あるいは電極による消光現象を抑制する、ことができる等の機能を有する層を有する構成としても良い。
≪電極層の構成例≫
電極層101を構成する導電層101aは、光が反射する機能を有する。導電層101aに、アルミニウム(Al)または銀(Ag)を有する材料を用いることで、導電層101aの反射率を高めることが可能となり、発光素子150の発光効率を高めることができる。なお、Alは材料コストが安く、パターン形成が容易であるため、発光素子の製造コストを安価にすることができ、好ましい。また、Agは特に高い反射率を有するため、発光素子の発光効率を高めることができ、好ましい。
電極層101を構成する導電層101a上に接する酸化物層101bは、導電性を有することが好ましい。酸化物層101bの抵抗率は、1×10Ω・cm以下が好ましく、1×10Ω・cm以下であるとさらに好ましい。酸化物層101bが導電性を有することで、電極層101からEL層100への電子または正孔の注入性を高めることができ、発光素子150の駆動電圧を低減することができる。
また、酸化物層101bは、光を透過する機能を有することが好ましい。酸化物層101bが光を透過する機能を有することで、電極層101の反射率を高くすることができるため、発光素子150の発光効率を高めることができる。
酸化物層101bに、インジウム(In)を有する酸化物を用いることで、酸化物層101bの導電性を高めることが可能となる。また、酸化物層101bの光の透過率を高めることが可能となる。
電極層101を構成する導電層101aと、導電層101a上の酸化物層101bと、が接する場合、導電層101aに用いる材料と、酸化物層101bに用いる材料と、の間にイオン化傾向の差が生じる場合がある。
イオン化傾向の大きさは、標準電極電位の値を指標とすることができる。例えば、Alの標準電極電位は−1.68V、Inの標準電極電位は−0.34Vであるため、AlはInよりイオン化傾向が大きい。導電層101aにAlを有する材料を用い、酸化物層101bにInを有する酸化物を用いる場合、Alを有する材料とInを有する酸化物との間で、イオン化傾向の差が大きくなるため、当該材料間で電子の授受が生じ、電食が生じる。また、Inと酸素との結合力より、Alと酸素との結合力の方が強いため、Alを有する材料とInを有する酸化物との間で酸素の授受が生じ、Alを有する材料とInを有する酸化物との界面に、Alの酸化物が形成される場合がある。Alの酸化物は導電性が低いため、電極層101の導電性が低下し、発光素子150の駆動電圧が上昇する一因となる。また、電食が生じると、該電極層の応力に変化が生じるため、膜剥がれが生じる場合がある。
そこで、本発明の一態様は、酸化物層101bに、Inと、Inより酸素との結合エネルギーが大きい元素と、を有する酸化物を用いる。または、酸化物層101bに、Inと、Inよりイオン化傾向が大きい元素と、を有する酸化物を用いる。または、酸化物層101bに、Inと、Inより標準電極電位が小さい元素と、を有する酸化物を用いる。すなわち、酸化物層101bに、Inと、スタビライザーM(MはAl、シリコン(Si)、チタン(Ti)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)またはハフニウム(Hf)を表す)と、を有する酸化物を用いる。
また、酸化物層101bに含まれるスタビライザーMの含有量はInの含有量以上であることが好ましい。このような構成とすることで、酸化物層101b中での金属元素と酸素との結合力がより強固になり、酸化物層101bと導電層101aとの間の酸素の授受を防ぐことができる。そのため、電極層101における電食の発生を防ぐことができ、発光素子150の駆動電圧を低減することができる。また、安定な電極層を作製するためには、スタビライザーMの含有量はInの含有量より多い方が、より好ましい。
In及びスタビライザーMに用いることができる元素の一例の標準電極電位を表1に示す。また、Inと酸素、及びスタビライザーMに用いることができる元素の一例であるGaと酸素、の結合エネルギーの計算値を表2に示す。
表1に示す標準電極電位は、「化学便覧基礎編II改訂4版、表12・40(II465からII468頁)、丸善株式会社」から引用したものである。表1に示すような、Inより標準電極電位が小さい元素をスタビライザーMとして、Inを有する酸化物層が有することで、該酸化物層とAlを有する導電層との間の標準電極電位の差が縮小するため、該酸化物層と該導電層との間で酸化還元反応が生じにくくなる。すなわち、Alを有する導電層と、Inを有する酸化物層との間の電子の授受または酸素の授受を防ぐことができる。
表2に示す金属元素と酸素との結合エネルギーの計算には、第一原理計算ソフトウェアであるVASP(The Vienna Ab initio simulation package)を用いた。図8(A)(B)は、計算に用いた結晶モデルである。また、内殻電子の効果はProjector Augmented Wave(PAW)法にて計算した。汎関数には、GGA/PBE(Generalized−Gradient−Approximation/Perdew−Burke−Ernzerhof)を用いた。計算条件を表3に示す。
また、酸素との結合エネルギー(Ebinding(M−O))は数式(1)より算出した。なお、数式(1)のMは、InまたはGaを表し、nはモデルサイズに依存する原子数であり、今回の計算ではn=16とした。また、Eatom(M)及びEatom(O)は、各原子の全エネルギー、Etot(M2n3n)はM結晶モデルの全エネルギーである。図8(B)のように、In結晶では、Inは6配位のみ、Oは4配位のみであり、In−Oの結合の強さは一定とみなすことができる。一方、図8(A)のように、β−Ga結晶には、3配位と4配位のO、及び4配位と6配位のGaがあるため、それらGa−Oの結合エネルギーは一律ではないが、ここでは計算を単純にするため、Ga−Oの結合エネルギーはその平均値を用いて算出した。
計算の結果、表2のように、Ga−O結合エネルギーの方がIn−O結合エネルギーよりも大きい。したがって、Gaの方が酸素との結合が強いと言える。
なお、In−Ga−Zn酸化物のような、複数の金属元素を含む酸化物では、酸素が単一の金属元素のみと結合する場合より、酸素が2種類あるいは3種類の金属元素と結合する場合が多い。そのため次に、In:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)結晶モデルに対して、金属元素と酸素(M−O)間の結合エネルギーの算出を行った。モデル内の原子数は84原子とし、計算は表3に示した条件を用いた。結合エネルギー(EB,M−O)は、数式(2)より算出した。数式(2)では、結合エネルギー(EB,M−O)は、M−O間の距離(dM−O)に依存する。数式(2)のa0,M、a1,M、a2,Mは、数式(3)のSが最少になるよう、フィッティングを行うことで算出した。なお、数式(4)のIGZO:Vは、In−Ga−Zn酸化物中に酸素欠損(V)が存在するIn−Ga−Zn酸化物モデルを表し、そのモデルにおけるV生成エネルギーをE(V)で表している。
Ga−O及びIn−Oの平均的な距離である0.195nm、0.220nmにおける結合エネルギーは、それぞれ2.33eV、1.80eVと算出された。したがって、In−Ga−Zn酸化物のような複数の金属元素を含む酸化物においても、Ga−Oの結合エネルギーの方がIn−Oの結合エネルギーより大きく、Gaの方が酸素との結合が強いと言える。
以上のように、Inより標準電極電位が小さい元素、またはInよりイオン化傾向の大きい元素を、スタビライザーMとして酸化物層101bに用いる、または酸素との結合エネルギーがInより強い元素をスタビライザーMとして酸化物層101bに用いることで、Inを含む酸化物層101bと、Alを有する導電層101aと、の間の電子の授受または酸素の授受を抑制することができる。すなわち、酸化物層101bに、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有する酸化物を用いることで、電極層101における電食の発生を防ぐことができ、発光素子150の駆動電圧を低減することができる。また、酸化物層101bに含まれるスタビライザーMの含有量はInの含有量以上とすることで、酸化物層101bと導電層101aとの間の酸素の授受を効果的に防ぐことができるため、好適である。
なお、Agの標準電極電位は、0.80Vであるため、AgはInよりイオン化傾向が小さい。したがって、導電層101aにAgを有する材料を用いる場合、酸化物層101bから導電層101aへの酸素の授受が生じにくいため、好ましい。なお、この場合においても、酸化物層101bに、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有する酸化物を用いることで、酸化物層101b内の酸素の結合力がより強固になるため、より安定な電極層101を作製することができる。
電極層102は、光を透過する機能を有する。電極層102に、In、Ag、マグネシウム(Mg)を少なくとも一つ含む材料を用いることで、電極層102の透過率を高めることが可能となり、発光素子150の発光効率を高めることができる。
また、電極層102が、光が透過する機能と、光が反射する機能と、を有する場合、マイクロキャビティ効果により、発光素子150の発光効率を高めることができる。そのためにも、電極層102に、In、Ag、Mgを少なくとも一つ含む材料を用いることは好適である。
また、電極層101が、光を反射する機能と、光を透過する機能を有する構成としてもよい。その場合、電極層101が有する導電層101aを、光が透過する程度の膜厚とすることが好ましい。また、電極層101が、光を反射する機能と、光を透過する機能とを有するとき、電極層102は、光を反射する機能を有すると好ましく、反射率が高いAgを有すると特に好ましい。
また、光を取り出す電極層上に、カラーフィルタを設けることで、発光素子150の色純度を向上させることができる。そのため、発光素子150を有する表示装置の色純度を高めることができる。
<2.発光素子の構成例2>
次に、図1(A)(B)に示す発光素子150と異なる構成例について、図2(A)(B)を用いて、以下説明を行う。
図2(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図2(A)(B)において、図1に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図2(A)で示す発光素子170、及び図2(B)で示す発光素子172は、電極層101に、光を反射する機能を有する導電層101aと、導電層101a上に接する酸化物層101bと、さらに酸化物層101b上の透明導電膜101cと、を有する構成である。
電極層101を陽極として用いる場合、透明導電膜101cには仕事関数の高い材料を用いることが好適である。また、電極層101を陰極として用いる場合、透明導電膜101cには仕事関数の小さい材料を用いることが好適である。そのような透明導電膜101cを有することで、電極層101は、EL層へのキャリア注入性が良好な電極となる。
また、図2(B)の発光素子172のように、発光層120は、発光層120aと、発光層120bと、が積層された構成としても良い。発光層120aと、発光層120bと、に異なる発光色を呈する機能を有する発光材料をそれぞれ用いることで、発光素子172から複数の発光色を有する発光を同時に得ることができる。また、発光層120aと、発光層120bと、がそれぞれ呈する発光により、白色となるよう発光材料を選択すると良い。
また、発光層120は、3層以上が積層された構成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
<3.発光素子の構成例3>
次に、図1(A)(B)、および図2(A)(B)に示す発光素子と異なる構成例について、図3(A)(B)を用いて、以下説明を行う。
図3(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図3(A)(B)において、図1(A)(B)、および図2(A)(B)に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図3(A)(B)は、電極層101の下部に、さらに酸化物層101dを有する発光素子の構成例である。図3(A)に示す発光素子174は、電極層101の構成の一部として、導電層101aの下に、酸化物層101dを有する発光素子である。すなわち、導電層101aが、酸化物層101bと酸化物層101dとで挟持された電極層101の構成例である。また、図3(B)に示す発光素子176は、電極層101の構成の一部として、導電層101aの下に、酸化物層101dと、透明導電膜101eと、を有する発光素子である。すなわち、導電層101aが、酸化物層101bと酸化物層101dとで挟持され、さらに透明導電膜101cと透明導電膜101eとで挟持された電極層101の構成例である。
酸化物層101dと、酸化物層101bとは、異なる材料を用いても良く、同じ材料を用いても良い。同じ材料を用いる場合、導電層101aは、同じ酸化物材料で挟持される構造となる。酸化物層101dおよび酸化物層101bに、本発明の一態様の構成を用いると、導電層101aは、安定な酸化物層で挟持されることになる。そのため、安定な電極層101を製造することができる。また、導電層101aが同じ酸化物材料で挟持されると、エッチング工程によるパターン形成が容易になるため好ましい。
透明導電膜101eと、透明導電膜101cとは、異なる材料を用いても良く、同じ材料を用いても良い。同じ材料を用いる場合、導電層101a、酸化物層101b、101dは、同じ透明導電膜材料で挟持される構造となる。電極層101が同じ透明導電膜材料で挟持されると、エッチング工程によるパターン形成が容易になるため好ましい。
なお、発光素子176において、透明導電膜101cまたは透明導電膜101eの、いずれか一方のみを有する構成としてもよい。また、酸化物層101dまたは透明導電膜101eのいずれか一方のみを有する構成としてもよい。
<4.発光素子の構成例4>
次に、図1乃至図3に示す発光素子と異なる構成例について、図4を用いて、以下説明を行う。
図4は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図4において、図1乃至図3に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図4は、一対の電極層間に、複数の発光ユニットが電荷発生層を介して積層されるタンデム型発光素子の構成例である。タンデム型発光素子190は、電極層101と、電極層102と、の間に、発光ユニット106と、電荷発生層115と、発光ユニット108と、を有する発光素子である。また、発光ユニット106は、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層121と、電子輸送層113と、電子注入層114と、を有し、発光ユニット108は、正孔注入層116と、正孔輸送層117と、発光層122と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する構造を有している。すなわち、タンデム型発光素子190は、複数の発光ユニットを有し、図1乃至図3で示す発光素子は一つの発光ユニットを有する、発光素子である。
また、発光層121および発光層122は、例えば発光層122a及び発光層122bのように、2層が積層された構成とすることができる。2層の発光層に、第1の化合物および第2の化合物という、異なる色を呈する機能を有する2種類の発光材料をそれぞれ用いることで、複数の発光色を有する発光を同時に得ることができる。特に、発光層121と、発光層122と、が呈する発光により、白色となるよう、各発光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
また、発光層121または発光層122は、それぞれ3層以上が積層された構成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
<5.発光素子の構成例5>
次に、図1乃至図4に示す発光素子と異なる構成例について、図5(A)(B)を用いて、以下説明を行う。
図5(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図5(A)(B)において、図1乃至図4に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図5(A)(B)は、図1乃至図4に示す発光素子と異なる構成を有する発光素子250及び発光素子270の構成例である。図5(A)で示す発光素子250は、基板200上に、電極層101と、電極層102と、電極層103と、を有する。また、電極層101は、導電層101aと、導電層101a上に接する酸化物層101bと、を有する。また、電極層103は、導電層103aと、導電層103a上に接する酸化物層103bと、酸化物層103b上の透明導電膜103cと、を有する。
また、発光素子250は、電極層101と、電極層102と、の間に、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層120と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する。また、発光素子250は、電極層102と、電極層103と、の間に、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層120と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する。
図5(A)においては、領域210Aにおいて電極層101と電極層102とで挟持され、また領域210Bにおいて電極層102と電極層103とで挟持された、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層120と、電子輸送層118と、電子注入層119と、で例示される各機能層は、それぞれ分離された状態で例示しているが、各機能層は、領域210A及び領域210Bで分離せずに共通して成膜することができる。
また、発光層120は、発光層120aと発光層120bとが積層された構成とすることができる。2層の発光層に、第1の化合物および第2の化合物という、異なる色を呈する機能を有する2種類の発光材料をそれぞれ用いることで、複数の発光色を有する発光を同時に得ることができる。特に、発光層120aと、発光層120bと、が呈する発光により、白色となるよう、各発光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
また、発光層120は、それぞれ3層以上が積層された構成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
電極層101を構成する酸化物層101bと、電極層103を構成する酸化物層103bと、が異なる材料で構成される場合、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なるものとなる。
電極層101及び電極層103を陽極として用いる場合、酸化物層101b及び酸化物層103bは、仕事関数の大きい材料で形成されることが好ましい。その中でも、例えば、仕事関数が比較的低く正孔注入性が低い材料を酸化物層101bに用いた場合、陽極からEL層へ注入される正孔と、陰極からEL層へ注入された電子とが再結合する領域は、比較的陽極側に密に分布する。一方で、仕事関数が比較的高く正孔注入性が高い材料を酸化物層103bに用いた場合、正孔と電子とが再結合する領域は、比較的陰極側に密に分布する。
また、正孔と電子とが再結合する領域(再結合領域)に発光層120が存在すると、発光層120から光が発せられる。キャリアの再結合領域を発光層120において密となるように発光素子250を形成する各層の材料及び厚さを調整することにより、発光素子250の発光強度を向上させ、発光効率を上げることができる。なお、発光層120が1層であれば、発光材料が発する光のスペクトルの形状(各波長成分の相対強度比)は正孔と電子とが再結合する領域に影響されないため、再結合領域が変化しても発光材料そのものの発光色が変化することはない。
一方、図5(A)(B)のように、発光層120が複数の層(発光層120a及び発光層120b)で構成される場合、正孔または電子の注入性が変わり、発光層120内での正孔と電子とが再結合する領域(再結合領域)が変化すると、発光層120aと発光層120bとが呈する光の強度の比が変化する。したがって、発光層120aと発光層120bとで呈する光の色が異なる場合、発光素子250全体として取り出される光のスペクトルの形状(各波長成分の相対強度比)が変化することとなり、すなわち、発光素子250が呈する光の色が変化する。
そのため、本発明の一態様に係る発光素子において、電極層101を構成する酸化物層101bは、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、スタビライザーMの含有量は前記Inの含有量以上であることが好ましく、電極層103を構成する酸化物層103bは、酸化物層101bと異なる酸化物を有することが好ましい。また、発光層120に異なる発光色を呈する機能を有する少なくとも2つの発光材料を有する構造とすることで、電極層101と電極層102とで挟持される領域210Aから呈される発光と、電極層102と電極層103とで挟持される領域210Bから呈される発光と、で異なる発光色にすることができるため、好ましい。すなわち、領域210Aと領域210Bとが発光層120を共通に有していても、電極層101の構成と、電極層103の構成と、を異なる構成とすることで、領域210A及び領域210Bから取り出される発光の発光色を互いに異なる発光色にすることができる。
なお、酸化物層101bと、酸化物層103bと、に同じ材料を用いても良い。また、酸化物層101b、と酸化物層103bと、に同じ材料を用い、成膜プロセスを異なるプロセスとすることで、電極層101または電極層103からEL層への電子または正孔の注入性を変えても良い。例えば、酸化物層101bまたは酸化物層103bを成膜する際の成膜室内の圧力、成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を含む混合ガス)、成膜エネルギー、成膜時の温度、ターゲットと基板との間の距離、または成膜後の温度や表面処理、等を変えて、酸化物層の性質を異なる性質とすることで、酸化物層からEL層への電子または正孔の注入性を変えても良い。また、酸化物層101bと、酸化物層103bと、が同じ元素を有し、該元素の含有量または含有率を互いに異ならせることで、酸化物層101bと、酸化物層103bと、を互いに異なる材料としてもよい。
また、導電層101aと、導電層103aと、に同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。導電層101aと、導電層103aと、に同じ材料を用いる場合、発光素子250の製造コストを低減できる。
また、本実施の形態で示した発光素子250において、領域210Aと領域210Bとが有するEL層の構成は、同じ構成を用いることができる。そのため、例えば、互いに異なる発光色を呈する領域210A及び領域210Bを有する発光素子250を、表示装置の画素中の副画素に用いることで、EL層を塗り分けることなく、各副画素から異なる発光色の光を取り出すことができる。そのため、光の利用効率が良い表示装置を、高い歩留りで作製することができる。すなわち、発光素子250を有する表示装置は、消費電力を低減することができる。また、発光素子250を有する表示装置は、製造コストを低減することができる。また、EL層に塗り分けに要する余白(マージン)によるレイアウトの制約も生じないため、レイアウトの自由度も高く、製造しやすい表示装置を作製できる。また、高い解像度を有する表示装置を作製することができる。
また、図5(B)で示す発光素子270のように、電極層101は、光を反射する機能を有する導電層101aと、導電層101a上に接する酸化物層101bと、さらに酸化物層101b上の透明導電膜101cと、を有していても良い。
透明導電膜101cを有することで、電極層101は、EL層へのキャリア注入性の良好な電極とすることができる。
なお、透明導電膜101cと、透明導電膜103cと、に同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。透明導電膜101cと、透明導電膜103cと、に同じ材料を用いる場合、発光素子270の製造コストを低減できる。その場合においても、酸化物層101bと酸化物層103bとを異なる構成とすることで、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なる電極構成とすることができる。
また、透明導電膜101cと、透明導電膜103cと、に異なる材料を用いる場合、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なるものとなる。すなわち、図5(B)に示す発光素子270において、電極層101と電極層102とで挟持された領域211Aと、電極層102と電極層103とで挟持された領域211Bと、で電子または正孔の注入性が異なるため、領域211Aと、領域211Bと、で電子及び正孔の再結合領域の電極層102からの距離が異なるものとなる。
したがって、領域211Aから呈される発光の発光色と、領域211Bから呈される発光の発光色と、が互いに異なる発光色となる。すなわち、電極層101の構成と、電極層103の構成と、を異なる構成とすることで、領域211A及び領域211Bから取り出される発光の発光色を、互いに異なる発光色とすることができる。
<6.発光素子の構成例6>
次に、図1乃至図5に示す発光素子と異なる構成例について、図6(A)(B)を用いて、以下説明を行う。
図6(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図6(A)(B)において、図1乃至図5に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図6(A)(B)は、一対の電極層間に、複数の発光ユニットが電荷発生層115を介して積層されるタンデム型発光素子の構成例である。発光素子280及び発光素子282は、基板200上に電極層101と、電極層102と、電極層103と、を有する。また、電極層101と電極層102との間、及び電極層102と電極層103との間に、発光層121と、電荷発生層115と、発光層122と、を有する。また、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、電子輸送層113と、電子注入層114と、正孔注入層116と、正孔輸送層117と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する。
図6(A)においては、領域212Aにおいて電極層101と電極層102とで挟持され、また領域212Bにおいて電極層102と電極層103とで挟持された、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、発光層121と、電子輸送層113と、電子注入層114と、電荷発生層115と、正孔注入層116と、正孔輸送層117と、発光層122と、電子輸送層118と、電子注入層119と、で例示する各機能層は、それぞれ分離された状態で例示しているが、各機能層は、領域212A及び領域212Bで分離せずに共通して成膜することができる。
図6(A)で示す発光素子280における電極層101は、導電層101aと、導電層101a上に接する酸化物層101bと、を有する。また、電極層103は、導電層103aと、導電層103a上に接する酸化物層103bと、酸化物層103b上の透明導電膜103cと、を有する。
図6(B)で示す発光素子282における電極層101は、導電層101aと、導電層101a上に接する酸化物層101bと、酸化物層101b上の透明導電膜101cと、を有する。また、電極層103は、導電層103aと、導電層103a上に接する酸化物層103bと、酸化物層103b上の透明導電膜103cと、を有する。
また、発光層121及び発光層122は、例えば発光層121a及び発光層121bのように、それぞれ2層が積層された構成とすることができる。2層の発光層に、第1の化合物および第2の化合物という異なる色を呈する機能を有する2種類の発光材料をそれぞれ用いることで、複数の発光色を有する発光を同時に得ることができる。特に、発光層121と、発光層122と、が呈する発光により、白色となるよう、各発光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
また、発光層121または発光層122は、それぞれ3層以上が積層された構成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
電極層101を構成する酸化物層101bと、電極層103を構成する酸化物層103bと、が異なる材料で構成される場合、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なるものとなる。すなわち、発光素子280において、電極層101と電極層102とで挟持された領域212Aと、電極層102と電極層103とで挟持された領域212Bと、で電子または正孔の注入性が異なるため、領域212Aと、領域212Bと、で電子及び正孔の再結合する領域(再結合領域)の電極層102からの距離が異なるものとなる。
したがって、発光素子280において、領域212Aから呈される発光の発光色と、領域212Bから呈される発光の発光色と、で異なる発光色となる。また、発光素子282において、領域213Aから呈される発光の発光色と、領域213Bから呈される発光の発光色と、で異なる発光色となる。そのためには、電極層101を構成する酸化物層101bは、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、スタビライザーMの含有量は前記Inの含有量以上であることが好ましく、電極層103を構成する酸化物層103bは、酸化物層101bと異なる酸化物を有することが好ましい。すなわち、電極層101の構成と、電極層103の構成と、を異なる構成とすることで、発光素子280において、領域212A及び領域212Bから取り出される発光の発光色を、互いに異なる発光色にすることができる。また、同様に、発光素子282において、領域213A及び領域213Bから取り出される発光の発光色を、互いに異なる発光色にすることができる。
なお、発光素子280及び発光素子282において、酸化物層101bと、酸化物層103bと、に同じ材料を用いても良い。また、酸化物層101b、と酸化物層103bと、に同じ材料を用い、成膜プロセスを異なるプロセスとすることで、電極層101または電極層103からEL層への電子または正孔の注入性を変えても良い。例えば、酸化物層101bまたは酸化物層103bを成膜する際の成膜室内の圧力、成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を含む混合ガス)、成膜エネルギー、成膜時の温度、ターゲットと基板との間の距離、または成膜後の温度や表面処理、等を変えて、酸化物層の性質を異なる性質とすることで、酸化物層からEL層への電子または正孔の注入性を変えても良い。また、酸化物層101bと、酸化物層103bと、が同じ元素を有し、該元素の含有量または含有率を異ならせることで、酸化物層101bと、酸化物層103bと、を異なる材料としてもよい。
互いに異なる発光色の光を呈する領域212A及び領域212Bを有する発光素子280を、または互いに異なる発光色の光を呈する領域213A及び領域213Bを有する発光素子282を、表示装置の画素中の副画素に用いることで、EL層を塗り分けることなく、各副画素から異なる発光色の光を取り出すことができる。そのため、光の利用効率が良く、製造しやすい表示装置を作製することができる。すなわち、発光素子280または発光素子282を有する表示装置は、消費電力を低減することができる。また、発光素子280または発光素子282を有する表示装置は、製造コストを低減することができる。
<7.発光素子の構成例7>
次に、図1乃至図6に示す発光素子と異なる構成例について、図7(A)(B)を用いて、以下説明を行う。
図7(A)(B)は、本発明の一態様の発光素子を示す断面図である。なお、図7(A)(B)において、図1乃至図6に示す符号と同様の機能を有する箇所には、同様のハッチパターンとし、符号を省略する場合がある。また、同様の機能を有する箇所には、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する場合がある。
図7(A)(B)は、一対の電極層間に、複数の発光ユニットが電荷発生層115を介して積層されるタンデム型発光素子の構成例である。図7(A)に示す発光素子290は、基板200と反対の方向に光を取り出す上面射出(トップエミッション)型の発光素子、図7(B)に示す発光素子292は、基板200側に光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)型の発光素子である。ただし、本発明の一態様はこれに限定されず、発光素子が呈する光を発光素子が形成される基板200の上方および下方の双方に取り出す両面射出(デュアルエミッション)型であっても良い。
発光素子290及び発光素子292は、基板200上に電極層101と、電極層102と、電極層103と、電極層104とを有する。また、電極層101と電極層102との間、及び電極層102と電極層103との間、及び電極層102と電極層104との間に、発光層121と、電荷発生層115と、発光層122と、を有する。また、正孔注入層111と、正孔輸送層112と、電子輸送層113と、電子注入層114と、正孔注入層116と、正孔輸送層117と、電子輸送層118と、電子注入層119と、を有する。
また、電極層101は、導電層101aと、導電層101a上に接する酸化物層101bと、酸化物層101b上の透明導電膜101cとを有する。また、電極層103は、導電層103aと、導電層103a上に接する酸化物層103bと、酸化物層103b上の透明導電膜103cとを有する。電極層104は、導電層104aと、導電層104a上に接する酸化物層104bとを有する。
図7(A)に示す発光素子290、及び図7(B)に示す発光素子292は、電極層101と電極層102とで挟持された領域221R、電極層102と電極層103とで挟持された領域221G、及び電極層102と電極層104とで挟持された領域221B、の間に、隔壁140を有する。隔壁140は、絶縁性を有する。隔壁140は、電極層101、電極層103、及び電極層104の端部を覆い、該電極層と重畳する開口部を有する。隔壁140を設けることによって、基板200上の電極層を電極層101、電極層103、及び電極層104のように、それぞれ島状に分離することが可能となる。
また、発光素子290及び発光素子292は、領域221R、領域221G、及び領域221Bから呈される光が取り出される方向に、それぞれ光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224Bを有する。各領域から呈される光は、各光学素子を介して発光素子外部に射出される。すなわち、領域221Rから呈される光は、光学素子224Rを介して射出され、領域221Gから呈される光は、光学素子224Gを介して射出され、領域221Bから呈される光は、光学素子224Bを介して射出される。
また、光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224Bは、入射される光から特定の色の光を選択的に透過する機能を有する。例えば、光学素子224Rを介して射出される領域221Rから呈される光は、赤色を呈する光となり、光学素子224Gを介して射出される領域221Gから呈される光は、緑色を呈する光となり、光学素子224Bを介して射出される領域221Bから呈される光は、青色を呈する光となる。
なお、図7(A)(B)において、各光学素子を介して各領域から射出される光を、赤色(R)を呈する光、緑色(G)を呈する光、青色(B)を呈する光、として、それぞれ破線の矢印で模式的に図示している。ただし、各領域から射出される光の色は、これらに限定されない。
また、各光学素子の間には、遮光層223を有する。遮光層223は、隣接する領域から発せられる光を遮光する機能を有する。なお、遮光層223を設けない構成としても良い。
さらに、発光素子290及び発光素子292は、マイクロキャビティ構造を有する。
≪マイクロキャビティ構造≫
発光層121、及び発光層122から呈される光は、一対の電極層(例えば、電極層101と電極層102)の間で共振される。発光素子290及び発光素子292においては、各領域で酸化物層および透明導電膜の厚さを調整することで、発光層121及び発光層122から呈される光の波長を強めることができる。なお、各領域で正孔注入層111及び正孔輸送層112のうち、少なくとも一つの厚さを異ならせることで、発光層121及び発光層122から呈される光の波長を強めても良い。
例えば、電極層101、電極層102、電極層103、及び電極層104における反射する機能を有する物質の屈折率が、発光層121または発光層122の屈折率よりも小さい場合においては、電極層101が有する酸化物層101b及び透明導電膜101cの膜厚を、電極層101と電極層102との間の光学距離がmλ/2(mは自然数、λは領域221Rで強める光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。同様に、電極層103が有する酸化物層103b及び透明導電膜103cの膜厚を、電極層103と電極層102との間の光学距離がmλ/2(mは自然数、λは領域221Gで強める光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。さらに、電極層104が有する酸化物層104bの膜厚を、電極層104と電極層102との間の光学距離がmλ/2(mは自然数、λは領域221Bで強める光の波長を、それぞれ表す)となるよう調整する。
上記のように、マイクロキャビティ構造を設け、各領域の電極層間の光学距離を調整することで、各電極層近傍における光の散乱および光の吸収を抑制し、高い光取り出し効率を実現することができる。
なお、図7(A)に示す発光素子290は、上面射出型の発光素子であるため、電極層101が有する導電層101a、電極層103が有する導電層103a、及び電極層104が有する導電層104aは、光を反射する機能を有することが好ましい。また、電極層102は、光を透過する機能と、光を反射する機能とを有することが好ましい。
また、図7(B)に示す発光素子292は、下面射出型の発光素子であるため、電極層101が有する導電層101a、電極層103が有する導電層103a、電極層104が有する導電層104aは、光を反射する機能と、光を透過する機能を有することが好ましい。また、電極層102は、光を反射する機能を有することが好ましい。
また、発光層121及び発光層122は、例えば発光層121a及び発光層121bのように、それぞれ2層が積層された構成とすることができる。2層の発光層に、第1の化合物及び第2の化合物という、異なる色を呈する機能を有する2種類の発光材料をそれぞれ用いることで、複数の発光色を有する発光を同時に得ることができる。特に発光層121と、発光層122と、が呈する発光により、白色となるよう、各発光層に用いる発光材料を選択すると好ましい。
また、発光層121または発光層122は、それぞれ3層以上が積層された構成としても良く、発光材料を有さない層が含まれていても良い。
電極層101を構成する酸化物層101bが、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層101bに含まれるスタビライザーMの含有量は前記Inの含有量以上であり、電極層103を構成する酸化物層103bが、酸化物層101bと異なる酸化物を有する場合、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なるものとなる。すなわち、発光素子290及び発光素子292において、電極層101と電極層102とで挟持された領域221Rと、電極層102と電極層103とで挟持された領域221Gと、で電子または正孔の注入性が異なるため、領域221Rと、領域221Gと、で電子及び正孔の再結合する領域の電極層102からの距離が異なるものとなる。
また、電極層103の構成と、電極層104の構成と、が異なる構成であるとき、電極層103と電極層104とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なるものとなる。例えば、電極層103は酸化物層103bと透明導電膜103cを有し、電極層104は酸化物層104bを有する構成である場合、発光素子290及び発光素子292において、電極層103と電極層102とで挟持された領域221Gと、電極層104と電極層102とで挟持された領域221Bと、で電子または正孔の注入性が異なるため、領域221Gと、領域221Bと、で電子及び正孔の再結合する領域の電極層102からの距離が異なるものとなる。
さらに、上記のマイクロキャビティ構造における、領域221Rの光学距離と、領域221Gの光学距離と、領域221Bの光学距離と、が互いに異なるよう調整することで、領域221Rから呈される発光の発光色と、領域221Gから呈される発光の発光色と、領域221Bから呈される発光の発光色と、でそれぞれ互いに異なる発光色となる。すなわち、電極層101の構成と、電極層103の構成と、電極層104の構成と、をそれぞれ互いに異なる構成とすることで、発光素子290及び発光素子292において、領域221R、領域221G、及び領域221B、からの発光色を互いに異なる発光色にすることができる。
なお、発光素子290及び発光素子292において、酸化物層101bと、酸化物層103bと、酸化物層104bと、に同じ材料を用いても良い。また、酸化物層101b、酸化物層103b、酸化物層104b、に同じ材料を用い、成膜プロセスを異なるプロセスとすることで、電極層101、電極層103または電極層104からEL層への電子または正孔の注入性を変えても良い。例えば、酸化物層101b、酸化物層103b、または酸化物層104bを成膜する際の成膜室内の圧力、成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を含む混合ガス)、成膜エネルギー、成膜時の温度、ターゲットと基板との間の距離、または成膜後の温度や表面処理、等を変えて、酸化物層の性質を異なる性質とすることで、酸化物層からEL層への電子または正孔の注入性を変えても良い。また、酸化物層101b、酸化物層103b、及び酸化物層104b、が同じ元素を有し、該元素の含有量または含有率を互いに異ならせることで、酸化物層101b、酸化物層103b、及び酸化物層104b、をそれぞれ互いに異なる材料としてもよい。
また、発光素子290及び発光素子292において、導電層101a、導電層103a、または導電層104a、に同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。導電層101a、導電層103a、導電層104a、に同じ材料を用いる場合、発光素子290及び発光素子292の製造コストを低減できる。
また、発光素子290及び発光素子292において、透明導電膜101cと、透明導電膜103cと、に同じ材料を用いても良いし、異なる材料を用いても良い。透明導電膜101cと、透明導電膜103cと、に同じ材料を用いる場合、発光素子290及び発光素子292の製造コストを低減できる。その場合においても、酸化物層101bと酸化物層103bとを異なる構成とすることで、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なる電極構成とすることができる。
また、透明導電膜101cと、透明導電膜103cと、に互いに異なる材料を用いる場合、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なるものとなる。すなわち、電極層101と電極層102とで挟持された領域221Rと、電極層102と電極層103とで挟持された領域221Gと、で電子または正孔の注入性が異なるため、領域221Rと、領域221Gと、で電子及び正孔の再結合する領域の電極層102からの距離が異なるものとなり、領域221R及び領域221Gが呈する発光が、互いに異なる発光色となる。
以上のように、電極層101の構成と、電極層103の構成と、電極層104の構成と、を異なる構成とすることで、領域221Rから呈される発光の発光色と、領域221Gから呈される発光の発光色と、領域221Bから呈される発光の発光色と、を互いに異なる発光色とすることができる。すなわち、領域221R、領域221G、及び領域221Bからの発光色を、互いに異なる発光色にすることができる。
なお、電極層101、電極層103、及び電極層104のうち、少なくとも一つの電極層の構成が、他の電極層の構成と異なっていればよく、3つの電極層の全てが異なる構成である必要はない。例えば、電極層103と電極層104とが同じ構成であり、電極層101の構成と異なっていれば良い。
以上のように、互いに異なる発光色を呈する領域221R、領域221G、及び領域221B、を有する発光素子290または発光素子292を、表示装置の画素に用いることで、EL層を塗り分けることなく、各副画素から異なる発光色を取り出すことができる。そのため、光の利用効率が良く、製造しやすい表示装置を作製することができる。すなわち、発光素子290または発光素子292を有する表示装置は、消費電力を低減することができる。また、発光素子290または発光素子292を有する表示装置は、製造コストを低減することができる。
<8.発光素子の構成要素>
次に、図1乃至図7に示す発光素子の構成要素の詳細について、以下説明を行う。
≪基板≫
本発明の一様態に係る発光素子を形成できる基板としては、例えばガラス、石英、またはプラスチックなどを用いることできる。また可撓性基板を用いても良い。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレートからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子、及び表示装置の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも良い。あるいは、発光素子、及び光学素子を保護する機能を有するものであればよい。
例えば、本明細書等においては、様々な基板を用いて、発光素子やトランジスタを形成することが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、又はSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、又は形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、又は回路の高集積化を図ることができる。
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、発光素子やトランジスタを形成してもよい。または、基板とトランジスタの間や、基板と発光素子との間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に表示装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、発光素子やトランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
つまり、ある基板を用いて発光素子やトランジスタを形成し、その後、別の基板に発光素子やトランジスタを転置し、別の基板上に発光素子やトランジスタを配置してもよい。発光素子やトランジスタが転置される基板の一例としては、上述した発光素子やトランジスタが形成可能な基板に加え、セロファン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性の良いトランジスタの形成、消費電力の小さなトランジスタの形成、壊れにくい表示装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる。
≪一対の電極≫
電極層101、電極層103は、各発光素子の陽極または陰極としての機能を有する。なお、電極層101を構成する導電層101a、及び電極層103を構成する導電層103aは、光を反射する機能を有する導電性材料により形成されると好ましい。該導電性材料としては、AlまたはAlを含む合金等が挙げられる。Alを含む合金としては、AlとL(Lは、Ti、Nd、ニッケル(Ni)、及びLaの一つまたは複数を表す)とを含む合金等が挙げられる。アルミニウムは、抵抗値が低く、光の反射率が高い。また、アルミニウムは、地殻における存在量が多く、安価であるため、アルミニウムを用いることによる発光素子の作製コストを低減することができる。また、AgまたはAgと、N(Nは、Y、Nd、Mg、Al、Ti、Ga、Zn、In、タングステン(W)、マンガン(Mn)、Sn、鉄(Fe)、Ni、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、または金(Au)を表す)とを含む合金等を用いても良い。銀を含む合金としては、例えば、銀とパラジウムと銅を含む合金、銀と銅を含む合金、銀とマグネシウムを含む合金、銀とニッケルを含む合金、銀と金を含む合金等が挙げられる。なお、電極層101及び電極層103から光を取り出す場合、導電層101a及び導電層103aは、光を透過する程度(好ましくは、5nm以上30nm以下程度)の膜厚の上記導電性材料に例示した金属薄膜で形成されることが好ましく、光を反射する機能と、光を透過する機能を有することが好ましい。
また、電極層101を構成する酸化物層101bは、すでに述べたように、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有する酸化物材料で形成されることが好ましい。そうすることで、酸化物層101bと導電層101aとの間の電子の授受または酸素の授受を抑制することができる。そのため、電極層101における電食の発生を防ぐことができ、発光素子の駆動電圧を低減することができる。また、酸化物層101bに含まれるスタビライザーMの含有量はInの含有量以上とすることで、酸化物層101bと導電層101aとの間の酸素の授受を効果的に防ぐことができるため、好適である。
なお、他のスタビライザーMの例として、ランタノイドである、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等のいずれか一種または複数種を有していても良い。
また、酸化物層101bは、Inと、スタビライザーM以外の金属元素が入っていても良い。特に亜鉛(Zn)または亜鉛酸化物を有する材料は、均一な膜を形成することができるため、好ましい。すなわち、酸化物層101bは、Inと、スタビライザーMと、Znと、を有する酸化物を用いることが好ましい。
酸化物層101bを構成する酸化物として、例えば、In−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Si−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Ti−Y系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物、を用いることができる。
酸化物層101bがIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、Mの含有量がIn以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=1:3:3、In:Ga:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:3:5、In:Ga:Zn=1:3:6、In:Ga:Zn=1:3:7、In:Ga:Zn=1:3:8、In:Ga:Zn=1:3:9、In:Ga:Zn=1:3:10、In:Ga:Zn=1:6:4、In:Ga:Zn=1:6:5、In:Ga:Zn=1:6:6、In:Ga:Zn=1:6:7、In:Ga:Zn=1:6:8、In:Ga:Zn=1:6:9、In:Ga:Zn=1:6:10、あるいはIn:Ga:Zn=1:9:4の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いると好ましい。なお、上記スパッタリングターゲットを用いて成膜された酸化物層101bに含まれる金属元素の原子数比はそれぞれ、誤差として上記スパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
酸化物層101bの成膜方法は、スパッタリング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。
また、電極層101を構成する酸化物層101bと、電極層103を構成する酸化物層103bと、が異なる材料で構成される場合、電極層101と電極層103とで、それぞれEL層への電子または正孔の注入性が異なるものとなる。
電極層103を構成する酸化物層101bと異なる酸化物層103bとしては、光を透過する導電性材料により形成することができる。このような材料としては、金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物の酸化物などを用いて形成することが好ましい。また、酸化物層103bと導電層103aとが電食を生じないためには、酸化物層103bはInを含まないことが好ましい。そのような材料としては、酸化チタン、酸化タングステン、酸化モリブデン、などの金属酸化物を使用することができる。
電極層101を構成する透明導電膜101c、または電極層103を構成する透明導電膜103cは、各発光層からの所望の光を共振させ、その波長を強めることができるように、光学距離を調整する機能を有することもできる。
透明導電膜101c、透明導電膜103cとしては、例えば、ITO、珪素または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムなどを用いることができる。特に、電極層101及び電極層103を陽極として用いる場合、透明導電膜101c、透明導電膜103cとしては、仕事関数の大きい(4.0eV以上)材料を用いることが好ましい。また、透明導電膜101c、透明導電膜103cとしては、スパッタリング法、蒸着法、印刷法または塗布法等を用いて形成することができる。
なお、発光素子の他に、電界効果トランジスタ(FET)を形成する場合、該トランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体層と、電極層101を構成する酸化物層101bと、で同じ元素を有することが好適である。すなわち、トランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体層には、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有することが好ましい。また、該酸化物半導体層と酸化物層101bとで、同じ材料を用いることが特に好ましい。酸化物半導体層と酸化物層101bとで共通の材料を用いることで、成膜する材料の種類を増やすことがないため、製造コストを低減することができる。その場合、酸化物半導体層と酸化物層101bとで、成膜プロセスを変えれば良い。すなわち、成膜する際の成膜室内の圧力、成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を含む混合ガス)、成膜エネルギー、成膜時の温度、ターゲットと基板との間の距離、または成膜後の温度や表面処理、等を変えて、酸化物半導体層と酸化物層101bの性質を異なる性質とすることで、互いに異なる機能を有する層とすることができる。
酸化物半導体は、膜中の酸素欠損及び/又は膜中の水素、水等の不純物濃度によって、抵抗を制御することができる半導体材料である。そのため、酸化物半導体層及び酸化物層101bへ酸素欠損及び/又は不純物濃度が増加する処理、または酸素欠損及び/又は不純物濃度が低減する処理を選択することによって、同じ材料を用いて形成された酸化物半導体層及び酸化物層101bの有する抵抗率を制御することができる。
具体的には、電極層の一部として機能する酸化物層101bにプラズマ処理を行い、酸化物層101bの膜中の酸素欠損を増加させる、及び/又は酸化物層101bの膜中の水素、水等の不純物を増加させることによって、キャリア密度が高く、低抵抗な酸化物層とすることができる。また、酸化物層101bに水素を含む絶縁層を接して形成し、該水素を含む絶縁層から酸化物層101bに水素を拡散させることによって、キャリア密度が高く、低抵抗な酸化物層とすることができる。
一方、トランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体層が、上記プラズマに曝されないように、その上に絶縁層を設けることが好ましい。また、該絶縁層を設けることによって、酸化物層101bと接して形成する水素を含む絶縁層と接しない構成とする。酸化物半導体層上に設ける絶縁層としては、酸素を放出することが可能な絶縁膜とすることで、酸化物半導体層に酸素を供給することができる。酸素が供給された酸化物半導体層は、膜中又は界面の酸素欠損が補填され高抵抗な酸化物半導体となる。なお、酸素を放出することが可能な絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜を用いることができる。
また、酸化物層101bに行うプラズマ処理としては、代表的には、希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xe)、水素、及び窒素の中から選ばれた一種を含むガスを用いたプラズマ処理が挙げられる。より具体的には、Ar雰囲気下でのプラズマ処理、Arと水素の混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、アンモニア雰囲気下でのプラズマ処理、Arとアンモニアの混合ガス雰囲気下でのプラズマ処理、または窒素雰囲気下でのプラズマ処理などが挙げられる。
上記プラズマ処理によって、酸化物層101bは、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。当該酸素欠損は、キャリアを発生する要因になり得る場合がある。また、酸化物層101bの近傍、より具体的には、酸化物層101bの下側または上側に接する絶縁膜から、水素が供給されると、上記酸素欠損と水素が結合すると、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、プラズマ処理によって酸素欠損が増加された酸化物層101bは、酸化物半導体層よりもキャリア密度の高い酸化物半導体層となる。
また、酸化物層101bと接する水素を含む絶縁層、換言すると水素を放出することが可能な層を用いることで、酸化物層101bに水素を供給することができる。水素を放出することが可能な層としては、膜中の含有水素濃度が1×1022atoms/cm以上であると好ましい。このような層を酸化物層101bに接して形成することで、酸化物層101bに効果的に水素を含有させることができる。このように、上述したプラズマ処理と合わせて、酸化物層101bに接する層の構成を変えることによって、酸化物層101bの抵抗を任意に調整することができる。
一方、酸素欠損が補填され、水素濃度が低減された酸化物半導体層は、高純度真性化、又は実質的に高純度真性化された酸化物半導体層といえる。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体のキャリア密度が、8×1011/cm未満であること、好ましくは1×1011/cm未満であること、さらに好ましくは1×1010/cm未満1×10−9/cm以上であることを指す。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体層は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度を低減することができる。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体層は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅Wが1×10μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。したがって、酸化物半導体層にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。
酸化物層101bに含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損を形成する。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が含まれている酸化物層101bは、酸化物半導体層よりもキャリア密度の高い酸化物半導体層である。
すなわち、電極層の一部として機能する酸化物層101bは、トランジスタのチャネル領域が有する酸化物半導体層よりも水素濃度及び/又は酸素欠損量が多く、低抵抗化された酸化物層である。
トランジスタのチャネル領域が形成される酸化物半導体層は水素ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体層において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以下とする。
また、トランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体層を形成後、熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、より好ましくは320℃以上370℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、又は減圧雰囲気で行えばよい。また、熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で熱処理を行った後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。ここでの加熱処理によって、酸化物半導体層から水素や水などの不純物を除去することができる。なお、当該熱処理は、酸化物半導体層を島状に加工する前に行ってもよい。
なお、酸化物半導体をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を真性または実質的に真性にすることが有効である。
酸化物半導体層の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
酸化物半導体層が前述の元素MをIn以上の原子数比で有することで、以下の効果を有する場合がある。(1)酸化物半導体層のエネルギーギャップを大きくする。(2)酸化物半導体層の電子親和力を小さくする。(3)外部からの不純物を遮蔽する。(4)絶縁性が高くなる。また、元素Mは酸素との結合力が強い金属元素であるため、MをIn以上の原子数比で有することで、酸素欠損が生じにくくなる。
なお、酸化物半導体層としては、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
電極層102は、各発光素子の陽極または陰極としての機能を有する。なお、電極層101が光を反射する機能を有する場合、電極層102は光を透過する機能を有する導電性材料により形成されると好ましい。該導電性材料としては、可視光の透過率が40%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下であり、かつその抵抗率が1×10−2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。また、電極層102は、光を透過する機能と、光を反射する機能と、を有する導電性材料により形成されても良い。該導電性材料としては、可視光の反射率が20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下であり、かつその抵抗率が1×10−2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。また、電極層101が光を透過する機能を有する場合、電極層102は光を反射する機能を有する導電性材料により形成されることが好ましい。
電極層102としては、導電性を有する金属、合金、導電性化合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。例えば、ITO、ITSO、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、チタンを含有した酸化インジウム−錫酸化物、インジウム−チタン酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムなどを用いることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、5nm以上30nm以下程度)の金属薄膜を用いることができる。金属としては、例えば、AgまたはAgとAl、AgとMg、AgとAu、AgとYbなどの合金等を用いることができる。特に、電極層102が陰極としての機能を有する場合には、In、Ag、Mgの中から選ばれる少なくとも一つを有する材料が好ましい。また、仕事関数が小さい(3.8eV以下)材料を用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(リチウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、Ag−Mg、Al−Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属、これら希土類金属を含む合金、アルミニウム、銀を含む合金等を用いることができる。また、電極層102としては、スパッタリング法、蒸着法、印刷法または塗布法等を用いて形成することができる。
電極層104は、電極層101または電極層103に例示した材料を援用することができる。
≪発光層≫
発光層120、発光層121または発光層122は、紫色、青色、または青緑色の中から選ばれる少なくともいずれか一つの発光を呈する第1の化合物を有すると好ましい。または、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色の中から選ばれる少なくともいずれか一つの発光を呈する第2の化合物を有すると好ましい。また、各発光層は、第1の化合物に加えて、電子輸送性材料または正孔輸送性材料の一方または双方を含んで構成される。また、各発光層は、第2の化合物に加えて、電子輸送性材料または正孔輸送性材料の一方または双方を含んで構成されると好ましい。
また、第1の化合物、第2の化合物としては、一重項励起エネルギーを発光に変える発光性物質や三重項励起エネルギーを発光に変える発光性物質を用いることができる。なお、上記発光性物質としては、以下のようなものが挙げられる。
一重項励起エネルギーを発光に変える発光性物質としては、蛍光を発する物質が挙げられ、例えば、5,6−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6−ビス[4’−(10−フェニル−9−アントリル)ビフェニル−4−イル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPBA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン6、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、5,10,15,20−テトラフェニルビスベンゾ[5,6]インデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン、などのアントラセン骨格、テトラセン骨格、クリセン骨格、フェナントレン骨格、ピレン骨格、ペリレン骨格、スチルベン骨格、アクリドン骨格、クマリン骨格、フェノキサジン骨格、フェノチアジン骨格などを有する物質を用いることができる。
また、三重項励起エネルギーを発光に変える発光性物質としては、例えば、燐光を発する物質が挙げられる。
青色または緑色に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス{2−[5−(2−メチルフェニル)−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−κN2]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:Ir(mpptz−dmp))、トリス(5−メチル−3,4−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz))、トリス[4−(3−ビフェニル)−5−イソプロピル−3−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrptz−3b))、トリス[3−(5−ビフェニル)−5−イソプロピル−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(iPr5btz))、のような4H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス[3−メチル−1−(2−メチルフェニル)−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:Ir(Mptz1−mp))、トリス(1−メチル−5−フェニル−3−プロピル−1H−1,2,4−トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:Ir(Prptz1−Me))のような1H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、fac−トリス[1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール]イリジウム(III)(略称:Ir(iPrpmi))、トリス[3−(2,6−ジメチルフェニル)−7−メチルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(dmpimpt−Me))のようなイミダゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のような電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属イリジウム錯体が挙げられる。上述した中でも、4H−トリアゾール骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも優れるため、特に好ましい。
また、緑色または黄色に発光ピークを有する物質としては、例えば、トリス(4−メチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm))、トリス(4−t−ブチル−6−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm))、(アセチルアセトナト)ビス(6−メチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[4−(2−ノルボルニル)−6−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(nbppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[5−メチル−6−(2−メチルフェニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(mpmppm)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{4,6−ジメチル−2−[6−(2,6−ジメチルフェニル)−4−ピリミジニル−κN3]フェニル−κC}イリジウム(III)(略称:Ir(dmppm−dmp)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(4,6−ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(dppm)(acac))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)(acac))のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス{2−[4’−(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))など有機金属イリジウム錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。
また、黄色または赤色に発光ピークを有する物質としては、例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)(dibm))、ビス[4,6−ビス(3−メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(5mdppm)(dpm))、ビス[4,6−ジ(ナフタレン−1−イル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(d1npm)(dpm))のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体や、トリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(piq))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体の他、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)のような白金錯体や、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))のような希土類金属錯体が挙げられる。上述した中でも、ピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、信頼性や発光効率にも際だって優れるため、特に好ましい。また、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、色度の良い赤色発光が得られる。
発光層のホスト材料として用いることが可能な材料としては、特に限定はないが、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、YGAPA、PCAPA、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)2PCAPA、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、DBC1、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5−トリ(1−ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)などを挙げることができる。これら及び様々な物質の中から、上記発光材料のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。また、発光物質が燐光を発する物質である場合、ホスト材料としては、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい物質を選択すれば良い。
また、発光層のホスト材料として、複数の材料を用いる場合、励起錯体を形成する2種類の化合物を組み合わせて用いることが好ましい。この場合、様々なキャリア輸送材料を適宜用いることができるが、効率よく励起錯体を形成するために、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性を有する材料)と、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性を有する材料)とを組み合わせることが特に好ましい。
なぜならば、電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料とを組み合わせて励起錯体を形成するホスト材料とする場合、電子輸送性を有する材料及び正孔輸送性を有する材料の混合比率を調節することで、発光層における正孔と電子のキャリアバランスを最適化することが容易となる。発光層における正孔と電子のキャリアバランスを最適化することにより、発光層中で電子と正孔の再結合が起こる領域が偏ることを抑制できる。再結合が起こる領域の偏りを抑制することで、発光素子の信頼性を向上させることができる。
電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族や金属錯体などを用いることができる。具体的には、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体や、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)などのアゾール骨格を有する複素環化合物や、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq−II)、及び、6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq−II)、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6−ビス[3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm−II)、4,6−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)などのジアジン骨格を有する複素環化合物や、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PCCzPTzn)などのトリアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物が挙げられる。上述した中でも、ジアジン骨格及びトリアジン骨格を有する複素環化合物やピリジン骨格を有する複素環化合物は、信頼性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンやピラジン)骨格及びトリアジン骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性を有する材料)としては、π電子過剰型複素芳香族(例えばカルバゾール誘導体やインドール誘導体)又は芳香族アミンなどを好適に用いることができる。具体的には、2−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:PCASF)、4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)、2,7−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2B)、N−(9,9−ジメチル−2−ジフェニルアミノ−9H−フルオレン−7−イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、N,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:PCA3B)、2−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:PCASF)、2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPASF)、N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−N−{9,9−ジメチル−2−[N’−フェニル−N’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミノ]−9H−フルオレン−7−イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)、N−(4−ビフェニル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCBiF)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、9−フェニル−9H−3−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)カルバゾール(略称:PCCP)などのカルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)などのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物やカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。
なお、励起錯体を形成するホスト材料の組み合わせとしては、上述した化合物に限定されることなく、キャリアを輸送でき、且つ励起錯体を形成できる組み合わせであり、当該励起錯体の発光が、発光物質の吸収スペクトルにおける最も長波長側の吸収帯(発光物質の一重項基底状態から一重項励起状態への遷移に相当する吸収)と重なっていればよく、他の材料を用いても良い。
また、発光層の発光材料またはホスト材料として、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)体を用いても良い。熱活性化遅延蛍光体は、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位との差が小さく、逆項間交差によって三重項励起状態から一重項励起状態へエネルギーを変換する機能を有する材料である。
熱活性化遅延蛍光体としては、一種類の材料から構成されていても良く、複数の材料から構成されていても良い。例えば、熱活性化遅延蛍光体が、一種類の材料から構成される場合、以下の材料を用いることができる。
まずフラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。またマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンとしては、例えば、以下の構造式に示されるプロトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Proto IX))、メソポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Meso IX))、ヘマトポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル−フッ化スズ錯体(SnF(Copro III−4Me))、オクタエチルポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(OEP))、エチオポルフィリン−フッ化スズ錯体(SnF(Etio I))、オクタエチルポルフィリン−塩化白金錯体(PtClOEP)等が挙げられる。
また、一種の材料から構成される熱活性化遅延蛍光体としては、以下の構造式に示される2−(ビフェニル−4−イル)−4,6−ビス(12−フェニルインドロ[2,3−a]カルバゾール−11−イル)−1,3,5−トリアジン(略称:PIC−TRZ)、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2−[4−(10H−フェノキサジン−10−イル)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PXZ−TRZ)、3−[4−(5−フェニル−5,10−ジヒドロフェナジン−10−イル)フェニル]−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール(略称:PPZ−3TPT)、3−(9,9−ジメチル−9H−アクリジン−10−イル)−9H−キサンテン−9−オン(略称:ACRXTN)、ビス[4−(9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC−DPS)、10−フェニル−10H,10’H−スピロ[アクリジン−9,9’−アントラセン]−10’−オン(略称:ACRSA)、等のπ電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物も用いることができる。該複素環化合物は、π電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有するため、電子輸送性及び正孔輸送性が高く、好ましい。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強く、一重項励起エネルギー準位と三重項励起エネルギー準位の差が小さくなるため、特に好ましい。
また、熱活性化遅延蛍光体をホスト材料として用いる場合、励起錯体を形成する2種類の化合物を組み合わせて用いることが好ましい。この場合、上記に示した励起錯体を形成する組み合わせである電子を受け取りやすい化合物と、正孔を受け取りやすい化合物とを用いることが特に好ましい。
≪正孔注入層≫
正孔注入層111、正孔注入層116は、陽極からEL層へ正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い物質を含む層である。例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
また、正孔注入層として、正孔輸送性材料とアクセプター性物質を含む複合材料を用いることができる。正孔輸送性材料とアクセプター性物質を含むことで、アクセプター性物質により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔(ホール)が発生し、正孔輸送層を介して発光層に正孔が注入される。
正孔注入層111、正孔注入層116に用いる正孔輸送性材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等が挙げられる。その他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)等のカルバゾール誘導体、等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
さらに、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物を用いることもできる。
また、正孔注入層111及び正孔注入層116に用いるアクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT−CN)等の電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有する化合物を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため特に好ましい。なお、正孔注入層111及び正孔注入層116は、アクセプター性物質を単独または他の材料と混合して形成してもよい。
≪正孔輸送層≫
正孔輸送層112、正孔輸送層117は正孔輸送性を有する材料(正孔輸送性材料)を含む層であり、正孔注入層111、正孔注入層116の材料として例示した材料を使用することができる。正孔輸送層112は正孔注入層111に注入された正孔を発光層121へ輸送する機能を有するため、正孔注入層111の最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital、HOMOともいう)準位と同じ、あるいは近いHOMOのエネルギー準位を有することが好ましい。
正孔輸送性を有する材料としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCCP)などのカルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)などのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物やカルバゾール骨格を有する化合物は、信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい。また、以上で述べた正孔輸送性材料の他、様々な物質の中から正孔輸送性材料を用いても良い。
さらに、正孔輸送性の高い物質として、例えば、3−[4−(1−ナフチル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPN)、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4、4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4−フェニルジフェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA1BP)、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCCP)、N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−(4−フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−[3−(トリフェニレン−2−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp−II)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン骨格を有する化合物、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等が挙げられる。その他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)等のカルバゾール化合物やアミン化合物、ジベンゾチオフェン化合物、ジベンゾフラン化合物、フルオレン化合物、トリフェニレン化合物、フェナントレン化合物等を用いることができる。
なお、これら正孔輸送層として用いることが出来る化合物を、正孔注入層として用いても良い。
≪電子輸送層≫
電子輸送層113、電子輸送層118は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層113及び電子輸送層118に用いる材料としては、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体などが挙げられる。具体的には、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、BAlq、Zn(BOX)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BTZ))などの金属錯体を用いることができる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)、などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に1×10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層113及び電子輸送層118として用いてもよい。
また、電子輸送層113及び電子輸送層118は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層したものとしてもよい。
≪電子注入層≫
電子注入層114及び電子注入層119は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層114には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiO)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層114及び電子注入層119にエレクトライドを用いてもよい。該エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。また、電子注入層114及び電子注入層119に、電子輸送層113及び電子輸送層118で用いることが出来る物質を用いても良い。
また、電子注入層114及び電子注入層119に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層113及び電子輸送層118を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
≪電荷発生層≫
電荷発生層115は、一対の電極(電極層101及び電極層102)間に電圧を印加したときに、一方の発光層(発光層121または発光層122)側に電子を注入し、他方の発光層(発光層121または発光層122)側に正孔を注入する機能を有する。
例えば、図4に示すタンデム型発光素子190においては、電極層101に電極層102よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層115から発光層121に電子が注入され、発光層122に正孔が注入される。
なお、電荷発生層115は、光取出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層115に対する可視光の透過率が40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層115は、一対の電極(電極層101及び電極層102)よりも低い導電率であっても機能する。
また、電荷発生層115は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
なお、上述した材料を用いて電荷発生層115を形成することにより、発光層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
なお、上述した、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、及び電荷発生層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、及び電荷発生層には、上述した材料の他、無機化合物または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよい。
≪光学素子≫
光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224Bは、入射される光から特定の色を呈する光を選択的に透過するものである。例えば、着色層(カラーフィルタともいう)、バンドパスフィルタ、多層膜フィルタなどを適用できる。また、光学素子に色変換素子を適用することができる。色変換素子は、入射される光を、当該光の波長より長い波長の光に変換する光学素子である。色変換素子として、量子ドット方式を用いる素子であると好適である。量子ドット方式を用いることにより、表示装置の色再現性を高めることができる。
なお、光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224B上に複数の光学素子を重ねて設けてもよい。他の光学素子としては、例えば円偏向板や反射防止膜などを設けることができる。円偏光板を、表示装置の発光素子が発する光が取り出される側に設けると、表示装置の外部から入射した光が、表示装置の内部で反射されて、外部に射出される現象を防ぐことができる。また、反射防止膜を設けると、表示装置の表面で反射される外光を弱めることができる。これにより、表示装置が発する発光を、鮮明に観察できる。
≪遮光層≫
遮光層223としては、外光の反射を抑制する機能を有する。または、遮光層223としては、隣接する発光素子から発せられる光の混色を防ぐ機能を有する。遮光層223としては、金属、黒色顔料を含んだ樹脂、カーボンブラック、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等を用いることができる。
≪隔壁≫
隔壁140としては、絶縁性であればよく、無機材料または有機材料を用いて形成される。該無機材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。該有機材料としては、例えば、アクリル樹脂、またはポリイミド樹脂等の感光性の樹脂材料が挙げられる。
<9.発光素子の作製方法>
次に、本発明の一態様の発光素子の作製方法について、図9及び図10を用いて以下説明を行う。なお、ここでは、図7(A)に示す発光素子290の作製方法について説明する。
図9及び図10は、本発明の一態様の発光素子の作製方法を説明するための断面図である。
以下で説明する発光素子290の作製方法は、第1乃至第9の9つのステップを有する。
≪第1のステップ≫
第1のステップは、発光素子の電極層(具体的には、電極層101を構成する導電層101a、電極層103を構成する導電層103a、及び電極層104を構成する導電層104a)を、基板200上に形成する工程である(図9(A)参照)。
本実施の形態においては、基板200上に、反射性の導電層を形成し、該導電層を所望の形状に加工することで、導電層101a、導電層103a、及び導電層104aを形成する。上記反射性の導電層としては、アルミニウムとニッケルとランタンの合金膜(Al−Ni−La膜)を用いる。このように、導電層101a、導電層103a、及び導電層104aを、同一の導電層を加工する工程を経て形成することで、製造コストを安くすることができるため好適である。
なお、第1のステップの前に、基板200上に複数のトランジスタを形成してもよい。また、上記複数のトランジスタと、導電層101a、導電層103a、及び導電層104aとを、それぞれ電気的に接続させてもよい。
≪第2のステップ≫
第2のステップは、電極層101を構成する導電層101a上に酸化物層101bを形成する工程である(図9(B)参照)。
本実施の形態においては、酸化物層101bとして、In−Ga−Zn酸化物を用い、その組成は、In:Ga:Znで1:3:6とする。このように、Gaの含有量をInの含有量以上とすることで、導電層101aと酸化物層101bとの間の電子の授受及び酸素の授受を抑制することができ、安定な電極層101とすることができる。
なお、酸化物層101bと、先に形成するトランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体層と、同じ材料を用いても良い。そうすることで、成膜する材料の種類を増やすことなく、酸化物層101bを形成することができ、製造コストを安くすることができる。その場合、酸化物層101bと、トランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体層とで、成膜プロセスを異なるプロセスとすることが好適である。
≪第3のステップ≫
第3のステップは、電極層103を構成する導電層103a上に接する酸化物層103b、及び電極層104を構成する導電層104a上に接する酸化物層104bを形成する工程である(図9(C))。
本実施の形態においては、酸化物層103b、及び酸化物層104bとして、Tiをベーク処理することで得られるチタン酸化物層を用いる。このように、酸化物層103b及び酸化物層104bに、酸化物層101bと異なる酸化物を用いることで、電極層103及び電極層104と、電極層101とで、それぞれEL層への正孔の注入性が異なるものとすることができる。
≪第4のステップ≫
第4のステップは、発光素子の透明導電膜(具体的には、電極層101を構成する透明導電膜101c、及び電極層103を構成する透明導電膜103c)を、形成する工程である(図9(D)参照)。
本実施の形態においては、酸化物層101b、及び酸化物層103b上に、透明導電膜101c及び透明導電膜103cを形成し、該透明導電膜と、第2のステップ及び第3のステップで形成した酸化物層と、を所望の形状に加工することで、電極層101、電極層103、及び電極層104を形成する。上記透明導電膜101c及び透明導電膜103cとしては、ITSO膜を用いる。
なお、透明導電膜101c、及び透明導電膜103cの形成方法としては、複数回に分けて形成してもよい。複数回に分けて形成することで、各領域で適したマイクロキャビティ構造となる膜厚で透明導電膜101c、及び透明導電膜103cを形成することができる。
≪第5のステップ≫
第5のステップは、発光素子の各電極層の端部を覆う隔壁140を形成する工程である(図9(E)参照)。
隔壁140は、電極層と重なるように開口部を有する。該開口部によって露出する透明導電膜または酸化物層が発光素子の陽極として機能する。本実施の形態では、隔壁140として、ポリイミド樹脂を用いる。
なお、第1乃至第5のステップにおいては、EL層(有機化合物を含む層)を損傷するおそれがないため、さまざまな成膜方法及び微細加工技術を適用できる。本実施の形態では、スパッタリング法を用いて反射性の導電層を成膜し、リソグラフィ法を用いて、該導電層をパターン形成し、その後ドライエッチング法またはウエットエッチング法を用いて、該導電層を島状に加工することで、電極層101を構成する導電層101a、電極層103を構成する導電層103a、及び電極層104を構成する導電層104a、を形成する。その後、スパッタリング法を用いて酸化物層及び透明導電膜を成膜し、リソグラフィ法を用いて、該酸化物層及び該透明導電膜にパターンを形成し、その後ウエットエッチング法を用いて、該酸化物層及び該透明導電膜を島状に加工して、電極層101、電極層103、及び電極層104を形成する。
≪第6のステップ≫
第6のステップは、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層121、電子輸送層113、電子注入層114、及び電荷発生層115を形成する工程である(図10(A)参照)。
正孔注入層111としては、正孔輸送性材料とアクセプター性物質を含む材料とを共蒸着することで形成することができる。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。また、正孔輸送層112としては、正孔輸送性材料を蒸着することで形成することができる。
発光層121としては、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色の中から選ばれる少なくともいずれか一つの発光を呈する第2の化合物を蒸着することで形成することができる。第2の化合物としては、燐光性の有機化合物を用いることができる。また、該燐光性の有機化合物は、単独で蒸着してもよいが、他の材料と混合して蒸着してもよい。例えば、燐光性の有機化合物をゲスト材料とし、ゲスト材料より励起エネルギーが大きなホスト材料に該ゲスト材料を分散して蒸着してもよい。また、発光層121として、発光層121a及び発光層121bの2層の構成とすることが好適である。その場合、発光層121a及び発光層121bは、それぞれ互いに異なる発光色を呈する発光物質を有することが好ましい。
電子輸送層113としては、電子輸送性の高い物質を蒸着することで形成することができる。また、電子注入層114としては、電子注入性の高い物質を蒸着することで形成することができる。
電荷発生層115としては、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添加された材料、または電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された材料を蒸着することで形成することができる。
≪第7のステップ≫
第7のステップは、正孔注入層116、正孔輸送層117、発光層122、電子輸送層118、電子注入層119、及び電極層102を形成する工程である(図10(B)参照)。
正孔注入層116としては、先に示す正孔注入層111と同様の材料及び同様の方法により形成することができる。また、正孔輸送層117としては、先に示す正孔輸送層112と同様の材料及び同様の方法により形成することができる。
発光層122としては、紫色、青色、または青緑色の中から選ばれる少なくともいずれか一つの発光を呈する第1の化合物を蒸着することで形成することができる。第1の化合物としては、蛍光性の有機化合物を用いることができる。また、該蛍光性の有機化合物は、単独で蒸着してもよいが、他の材料と混合して蒸着してもよい。例えば、蛍光性の有機化合物をゲスト材料とし、ゲスト材料より励起エネルギーが大きなホスト材料に該ゲスト材料を分散して蒸着してもよい。
電子輸送層118としては、電子輸送性の高い物質を蒸着することで形成することができる。また、電子注入層119としては、電子注入性の高い物質を蒸着することで形成することができる。
電極層102としては、反射性を有する導電膜と、透光性を有する導電膜を積層することで形成することができる。また、電極層102としては、単層構造、または積層構造としてもよい。
上記工程を経て、電極層101、電極層103、及び電極層104上に、それぞれ領域221R、領域221G、及び領域221Bを有する発光素子が基板200上に形成される。
≪第8のステップ≫
第8のステップは、基板220上に遮光層223、光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224Bを形成する工程である(図10(C)参照)。
遮光層223としては、黒色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に形成する。その後、基板220及び遮光層223上に、光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224Bを形成する。光学素子224Rとしては、赤色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に形成する。また、光学素子224Gとしては、緑色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に形成する。また、光学素子224Bとしては、青色顔料の含んだ樹脂膜を所望の領域に形成する。
≪第9のステップ≫
第9のステップは、基板200上に形成された発光素子と、基板220上に形成された遮光層223、光学素子224R、光学素子224G、及び光学素子224Bと、を貼り合わせ、封止材を用いて封止する工程である(図示しない)。
以上の工程により、図7(A)に示す発光素子290を形成することができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。例えば、本発明の一態様では、電極層101における導電層101a上に接する酸化物層101bに、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、酸化物層101bに含まれるMの含有量はInの含有量以上である場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、酸化物層101bは、In、またはスタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)、を有さなくてもよい。または、例えば、酸化物層101bに含まれるMの含有量はInの含有量以上でなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、電極層101における導電層101a上に接する酸化物層101bと、電極層103における導電層103a上に接する酸化物層103bと、が異なる酸化物を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、酸化物層101bと、酸化物層103bと、が同じ酸化物を有していてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、スイッチングを行うトランジスタのチャネル領域における酸化物半導体層は、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有する例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、酸化物半導体層は、In、またはスタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)、を有さなくてもよい。または、例えば、本発明の一態様では、電極層101における導電層101aは、光を反射する機能を有する場合の例を示したが、本発明の一態様では、例えば、導電層101aは、光を反射する機能を有さなくても良い。あるいは、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、例えば、電極層101は、酸化物層101bを有していなくてもよい。
以上、本実施の形態は、他の実施の形態または実施例と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子、または本発明の一態様の表示装置に用いることができる発光素子の発光機構について、図11乃至図13を用いて以下説明する。
図11は、発光素子450の断面模式図である。
図11に示す発光素子450は、一対の電極(電極層401及び電極層402)の間にEL層400が挟まれた構造である。なお、発光素子450において、電極層401が陽極として機能し、電極層402が陰極として機能するとして説明するが、本発明の一態様としては、この限りではない。
また、EL層400は、発光層413と、発光層414と、を有する。また、発光素子450おいて、EL層400として、発光層413及び発光層414の他に、正孔注入層411、正孔輸送層412、電子輸送層415、及び電子注入層416が図示されているが、これらの積層構造は一例であり、発光素子450におけるEL層400の構成はこれらに限定されない。例えば、EL層400において、上記各層の積層順を変えてもよい。または、EL層400において、上記各層以外の機能層を設けてもよい。該機能層としては、例えば、キャリア(電子またはホール)を注入する機能、キャリアを輸送する機能、キャリアを抑止する機能、キャリアを発生する機能を有する構成とすればよい。
また、発光層413は、ゲスト材料421と、ホスト材料422とを有する。また、発光層414は、ゲスト材料431と、有機化合物432と、有機化合物433とを有する。なお、ゲスト材料421が蛍光材料、ゲスト材料431が燐光材料として、以下説明する。
<発光層413の発光機構>
まず、発光層413の発光機構について、以下説明を行う。
発光層413では、キャリアの再結合により、励起状態が形成される。ゲスト材料421と比較してホスト材料422は大量に存在するので、励起状態は、ほぼホスト材料422の励起状態として存在する。キャリアの再結合によって生じる一重項励起状態と三重項励起状態の比(以下、励起子生成確率)は約1:3となる。
はじめに、ホスト材料422のT準位がゲスト材料421のT準位よりも高い場合について、以下説明する。
ホスト材料422の三重項励起エネルギー準位からゲスト材料421の三重項励起エネルギー準位にエネルギー移動(三重項エネルギー移動)が生じる。しかしながら、ゲスト材料421が蛍光材料であるため、ゲスト材料421が三重項励起状態のときには可視光領域に発光を与えない。したがって、ホスト材料422の三重項励起状態のエネルギーを発光として利用することが難しい。よって、ホスト材料422のT準位がゲスト材料421のT準位よりも高い場合においては、注入したキャリアのうち、25%を超えた量のキャリアを発光に利用することが難しい。
次に、発光層413におけるホスト材料422と、ゲスト材料421とのエネルギー準位の相関を図12(A)に示す。なお、図12(A)における表記及び符号は、以下の通りである。
・Host(422):ホスト材料422
・Guest(421):ゲスト材料421(蛍光材料)
・SFH:ホスト材料422の一重項励起状態の最も低い準位
・TFH:ホスト材料422の三重項励起状態の最も低い準位
・SFG:ゲスト材料421(蛍光材料)の一重項励起状態の最も低い準位
・TFG:ゲスト材料421(蛍光材料)の三重項励起状態の最も低い準位
図12(A)に示すように、ゲスト材料のT準位(図12(A)において、TFG)がホスト材料のT準位(図12(A)において、TFH)よりも高い構成である。
また、図12(A)に示すように、三重項−三重項消滅(TTA:Triplet−Triplet Annihilation)によって、三重項励起子同士が衝突することにより、それらの励起エネルギーの一部がホスト材料の一重項励起状態の最も低い準位(SFH)に変換される。ホスト材料の一重項励起状態の最も低い準位(SFH)からは、それよりも準位の低いゲスト材料(蛍光材料)の一重項励起状態の最も低い準位(SFG)へエネルギー移動が起こり(図12(A)Route A参照)、ゲスト材料(蛍光材料)が発光する。
なお、ホスト材料のT準位がゲスト材料のT準位よりも低いため、TFGは失活することなくTFHにエネルギー移動(図12(A)に示すRoute B参照)し、TTAに利用される。
発光層413を上述の構成とすることで、発光層413のゲスト材料421からの発光を、効率よく得ることが可能となる。
<発光層414の発光機構>
次に、発光層414の発光機構について、以下説明を行う。
発光層414が有する、有機化合物432と、有機化合物433とは励起錯体(Exciplexともいう)を形成する。有機化合物432または有機化合物433のいずれか一方は、発光層414のホスト材料として機能し、有機化合物432または有機化合物433の他方は、発光層414のアシスト材料として機能する。なお、以下の説明においては、有機化合物432をホスト材料として、有機化合物433をアシスト材料として説明を行う。
有機化合物432と有機化合物433との組み合わせは、発光層414において励起錯体を形成することが可能な組み合わせであればよいが、一方が正孔輸送性を有する材料であり、他方が電子輸送性を有する材料であることが、より好ましい。この場合、ドナー−アクセプター型の励起状態を形成しやすくなり、効率よく励起錯体を形成することができるようになる。また、正孔輸送性を有する材料と電子輸送性を有する材料との組み合わせによって、有機化合物432と有機化合物433の組み合わせを構成する場合、その混合比によってキャリアバランスを容易に制御することができる。具体的には正孔輸送性を有する材料:電子輸送性を有する材料=1:9から9:1(重量比)の範囲が好ましい。また、該構成を有することで、容易にキャリアバランスを制御することができることから、再結合領域の制御も簡便に行うことができる。
発光層414における有機化合物432と、有機化合物433と、ゲスト材料431とのエネルギー準位の相関を図12(B)に示す。なお、図12(B)における表記及び符号は、以下の通りである。
・Host(432):ホスト材料(有機化合物432)
・Assist(433):アシスト材料(有機化合物433)
・Guest(431):ゲスト材料431(燐光材料)
・Exciplex:励起錯体(有機化合物432及び有機化合物433)
・SPH:ホスト材料(有機化合物432)の一重項励起状態の最も低い準位
・TPH:ホスト材料(有機化合物432)の三重項励起状態の最も低い準位
・TPG:ゲスト材料431(燐光材料)の三重項励起状態の最も低い準位
・S:励起錯体の一重項励起状態の最も低い準位
・T:励起錯体の三重項励起状態の最も低い準位
本発明の一態様の発光素子においては、発光層414が有する有機化合物432と有機化合物433が励起錯体を形成する。励起錯体の一重項励起状態の最も低い準位(S)と励起錯体の三重項励起状態の最も低い準位(T)は互いに隣接することになる(図12(B)Route C参照)。
励起錯体は、2種類の物質からなる励起状態であり、光励起の場合、励起状態となった一つの物質がもう一方の基底状態の物質と相互作用することによって形成される。そして、光を発することによって基底状態となると、励起錯体を形成していた2種類の物質はまた元の別々の物質として振舞う。電気励起の場合は、一方のカチオン物質と他方のアニオン物質が近接することで励起錯体を形成できる。すなわち電気励起においては、いずれの物質においても励起状態を形成することなく励起錯体が形成できるため、駆動電圧の低減につながる。そして、励起錯体の(S)と(T)の双方のエネルギーを、ゲスト材料431(燐光材料)の三重項励起状態の最も低い準位へ移動させて発光が得られる(図12(B)Route D参照)。
なお、上記に示すRoute C及びRoute Dの過程を、本明細書等においてExTET(Exciplex−Triplet Energy Transfer)と呼称する場合がある。別言すると、発光素子450は、励起錯体からゲスト材料431(燐光材料)へのエネルギー供与がある。
また、有機化合物432及び有機化合物433は、一方がホールを、他方が電子を受け取り、それらの有機化合物が近接することで速やかに励起錯体を形成する。あるいは、一方が励起状態となると、速やかに他方の物質と相互作用することで励起錯体を形成する。したがって、発光層414における励起子のほとんどが励起錯体として存在する。励起錯体は、有機化合物432及び有機化合物433のどちらよりもバンドギャップは小さくなるため、一方のホールと他方の電子の再結合から励起錯体が形成されることにより、駆動電圧を下げることができる。
発光層414を上述の構成とすることで、発光層414のゲスト材料431(燐光材料)からの発光を、効率よく得ることが可能となる。
<発光層413と発光層414の発光機構>
発光層413及び発光層414のそれぞれの発光機構について、上記説明したが、発光素子450に示すように、発光層413と、発光層414とが互いに接する構成を有する場合、発光層413と発光層414の界面において、励起錯体から発光層413のホスト材料422へのエネルギー移動(とくに三重項励起準位のエネルギー移動)が起こったとしても、発光層413にて上記三重項励起エネルギーを発光に変換することができる。
なお、発光層413のホスト材料422のT準位が、発光層414が有する有機化合物432及び有機化合物433のT準位よりも低いと好ましい。また、発光層413において、ホスト材料422のS準位がゲスト材料421(蛍光材料)のS準位よりも高く、且つ、ホスト材料422のT準位がゲスト材料421(蛍光材料)のT準位よりも低いと好ましい。
具体的には、発光層413にTTAを用い、発光層414にExTETを用いる場合のエネルギー準位の相関を図13に示す。なお、図13における表記及び符号は、以下の通りである。
・Fluorescence EML(413):蛍光発光層(発光層413)
・Phosphorescence EML(414):燐光発光層(発光層414)
・SFH:ホスト材料422の一重項励起状態の最も低い準位
・TFH:ホスト材料422の三重項励起状態の最も低い準位
・SFG:ゲスト材料421(蛍光材料)の一重項励起状態の最も低い準位
・TFG:ゲスト材料421(蛍光材料)の三重項励起状態の最も低い準位
・SPH:ホスト材料(有機化合物432)の一重項励起状態の最も低い準位
・TPH:ホスト材料(有機化合物432)の三重項励起状態の最も低い準位
・TPG:ゲスト材料431(燐光材料)の三重項励起状態の最も低い準位
・S:励起錯体の一重項励起状態の最も低い準位
・T:励起錯体の三重項励起状態の最も低い準位
図13に示すように、励起錯体は励起状態でしか存在しないため、励起錯体と励起錯体との間の励起子拡散は生じにくい。また、励起錯体の励起準位(S、T)は、発光層414の有機化合物432(すなわち、燐光材料のホスト材料)の励起準位(SPH、TPH)よりも低いので、励起錯体から有機化合物432へのエネルギーの拡散も生じない。すなわち、燐光発光層(発光層414)内において、励起錯体の励起子拡散距離は短いため、燐光発光層(発光層414)の効率を保つことが可能となる。また、蛍光発光層(発光層413)と燐光発光層(発光層414)の界面において、燐光発光層(発光層414)の励起錯体の三重項励起エネルギーの一部が、蛍光発光層(発光層413)に拡散したとしても、その拡散によって生じた蛍光発光層(発光層413)の三重項励起エネルギーは、TTAを通じて発光されるため、エネルギー損失を低減することが可能となる。
以上のように、発光素子450は、発光層414にExTETを利用し、且つ発光層413にTTAを利用することで、エネルギー損失が低減されるため、高い発光効率の発光素子とすることができる。また、発光素子450に示すように、発光層413と、発光層414とが互いに接する構成とする場合、上記エネルギー損失が低減されるとともに、EL層400の層数を低減させることができる。したがって、製造コストの少ない発光素子とすることができる。
なお、発光層413と発光層414とは互いに接していない構成であっても良い。この場合、発光層414中で生成する、有機化合物432またはゲスト材料431(燐光材料)の励起状態から、発光層413中のホスト材料422またはゲスト材料421(蛍光材料)への、デクスター機構によるエネルギー移動(特に三重項エネルギー移動)を防ぐことができる。したがって、発光層413と発光層414の間に設ける層は数nm程度の厚さがあればよい。
発光層413と発光層414の間に設ける層は単一の材料で構成されていても良いが、正孔輸送性材料と電子輸送性材料の両者が含まれていても良い。単一の材料で構成する場合、バイポーラー性材料を用いても良い。ここでバイポーラー性材料とは、電子と正孔の移動度の比が100以下である材料を指す。また、正孔輸送性材料または電子輸送性材料などを使用しても良い。もしくは、そのうちの少なくとも一つは、発光層414のホスト材料(有機化合物432)と同一の材料で形成しても良い。これにより、発光素子の作製が容易になり、また、駆動電圧が低減される。さらに、正孔輸送性材料と電子輸送性材料とで励起錯体を形成しても良く、これによって励起子の拡散を効果的に防ぐことができる。具体的には、発光層414のホスト材料(有機化合物432)あるいはゲスト材料431(燐光材料)の励起状態から、発光層413のホスト材料422あるいはゲスト材料421(蛍光材料)へのエネルギー移動を防ぐことができる。
なお、発光素子450では、キャリアの再結合領域はある程度の分布を持って形成されることが好ましい。このため、発光層413または発光層414において、適度なキャリアトラップ性があることが好ましく、特に、発光層414が有するゲスト材料431(燐光材料)が電子トラップ性を有していることが好ましい。あるいは、発光層413が有するゲスト材料421(蛍光材料)が正孔トラップ性を有していることが好ましい。
なお、発光層413からの発光が、発光層414からの発光よりも短波長側に発光のピークを有する構成とすることが好ましい。短波長の発光を呈する燐光材料を用いた発光素子は輝度劣化が早い傾向がある。そこで、短波長の発光を蛍光発光とすることによって、輝度劣化の小さい発光素子を提供することができる。
また、発光層413と発光層414とで異なる発光波長の光を得ることによって、多色発光の素子とすることができる。この場合、発光スペクトルは異なる発光ピークを有する発光が合成された光となるため、少なくとも二つの極大値を有する発光スペクトルとなる。
また、上記の構成は白色発光を得るためにも好適である。発光層413と発光層414との光を互いに補色の関係とすることによって、白色発光を得ることができる。
また、発光層413に発光波長の異なる複数の発光物質を用いることによって、三原色や、4色以上の発光色からなる演色性の高い白色発光を得ることもできる。この場合、発光層413を層状にさらに分割し、当該分割した層ごとに異なる発光材料を含有させるようにしても良い。
したがって、上記の構成と、実施の形態1で示した電極層構造と、を組み合わせることで、高い発光効率を有する発光素子を作製することができる。すなわち、電極層401は、電極層101と同様に、導電層401a、及び酸化物層401bを有することで、反射率が高く、安定な電極層となる。そのため、高い発光効率を有する発光素子を作製することができる。
また、実施の形態1で示した、複数の異なる電極層構造を副画素に有する発光素子に、上記構成を用いることで、すなわち、電極層401に電極層101と同様の構成を用い、電極層402に電極層102と同様の構成を用いることで、電極層401と電極層402とを有する発光素子においては、発光層413または発光層414の一方の発光強度が強く、電極層103と同様で電極層401とは異なる電極構造を有する電極層と電極層402とを有する発光素子においては、発光層413または発光層414の他方の発光強度が強くすることができる。すなわち、本発明の一態様の電極層を用いることで、EL層を塗り分けることなく、各副画素から異なる発光色を取り出すことができる。そのため、光の利用効率が良い表示装置を、歩留りを下げることなく作製することができる。すなわち、消費電力の低い表示装置を作製することができる。また、表示装置の製造コストを低減することができる。
次に、発光層413及び発光層414に用いることのできる材料について、以下説明する。
<発光層413に用いることのできる材料>
発光層413中では、ホスト材料422が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料421(蛍光材料)は、ホスト材料422中に分散される。ホスト材料422のS準位は、ゲスト材料421(蛍光材料)のS準位よりも高く、ホスト材料422のT準位は、ゲスト材料421(蛍光材料)のT準位よりも低いことが好ましい。
ホスト材料422として、アントラセン誘導体、あるいはテトラセン誘導体が好ましい。これらの誘導体はS準位が高く、T準位が低いからである。具体的には、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、3−[4−(1−ナフチル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPN)、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9−フェニル−10−{4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ビフェニル−4’−イル}アントラセン(略称:FLPPA)などが挙げられる。あるいは、5,12−ジフェニルテトラセン、5,12−ビス(ビフェニル−2−イル)テトラセンなどが挙げられる。
ゲスト材料421(蛍光材料)としては、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。ピレン誘導体の具体例としては、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス(ジベンゾフラン−2−イル)−N,N’−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FrAPrn)、N,N’−ビス(ジベンゾチオフェン−2−イル)−N,N’−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6ThAPrn)などが挙げられる。
<発光層414に用いることのできる材料>
発光層414中では、ホスト材料(有機化合物432)が重量比で最も多く存在し、ゲスト材料431(燐光材料)は、ホスト材料(有機化合物432)中に分散される。発光層414のホスト材料(有機化合物432)のT準位は、発光層413のゲスト材料421(蛍光材料)のT準位よりも高いことが好ましく、発光層414のゲスト材料431(燐光材料)のT準位よりも高いことが好ましい。
ホスト材料(有機化合物432)としては、亜鉛やアルミニウム系金属錯体の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。他の例としては、芳香族アミンやカルバゾール誘導体などが挙げられる。
ゲスト材料431(燐光材料)としては、イリジウム、ロジウム、または白金系の有機金属錯体、あるいは金属錯体が挙げられ、中でも有機イリジウム錯体、例えばイリジウム系オルトメタル錯体が好ましい。オルトメタル化する配位子としては4H−トリアゾール配位子、1H−トリアゾール配位子、イミダゾール配位子、ピリジン配位子、ピリミジン配位子、ピラジン配位子、あるいはイソキノリン配位子などが挙げられる。金属錯体としては、ポルフィリン配位子を有する白金錯体などが挙げられる。
有機化合物433(アシスト材料)としては、有機化合物432と励起錯体を形成できる組み合わせとする。この場合、励起錯体の発光ピークが燐光材料の三重項MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)遷移の吸収帯、より具体的には、最も長波長側の吸収帯と重なるように有機化合物432、有機化合物433、およびゲスト材料431(燐光材料)を選択することが好ましい。これにより、発光効率が飛躍的に向上した発光素子とすることができる。ただし、燐光材料に替えて熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料を用いる場合においては、最も長波長側の吸収帯は一重項の吸収帯であることが好ましい。
発光層414に含まれる発光材料としては、三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料であればよい。該三重項励起エネルギーを発光に変換できる材料としては、燐光材料の他に、TADF材料が挙げられる。したがって、燐光材料と記載した部分に関しては、TADF材料と読み替えても構わない。なお、TADF材料とは、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起準位と一重項励起準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。
また、発光層413に含まれる発光材料と発光層414に含まれる発光材料の発光色に限定は無く、同じでも異なっていても良い。各々から得られる発光が混合されて素子外へ取り出されるので、例えば両者の発光色が互いに補色の関係にある場合、発光素子は白色の光を与えることができる。発光素子の信頼性を考慮すると、発光層413に含まれる発光材料の発光ピーク波長は発光層414に含まれる発光材料のそれよりも短いことが好ましい。
なお、発光層413及び発光層414は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または実施例に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について、図14乃至図18を用いて説明する。
<表示装置の構成例1>
図14(A)は表示装置600を示す上面図、図14(B)は図14(A)の一点鎖線A−B、及び一点鎖線C−Dで切断した断面図である。表示装置600は、駆動回路部(信号線駆動回路部601、及び走査線駆動回路部603)、並びに画素部602を有する。なお、信号線駆動回路部601、走査線駆動回路部603、及び画素部602は、発光素子の発光を制御する機能を有する。
また、表示装置600は、素子基板610と、封止基板604と、シール材605と、シール材605で囲まれた領域607と、引き回し配線608と、FPC609と、を有する。
なお、引き回し配線608は、信号線駆動回路部601及び走査線駆動回路部603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPC609しか図示されていないが、FPC609にはプリント配線基板(PWB:Printed Wiring Board)が取り付けられていても良い。
また、信号線駆動回路部601は、Nチャネル型のトランジスタ623とPチャネル型のトランジスタ624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。なお、信号線駆動回路部601または走査線駆動回路部603は、種々のCMOS回路、PMOS回路、またはNMOS回路を用いることが出来る。また、本実施の形態では、駆動回路部を形成したドライバと画素とを基板の同一の表面上に設けた表示装置を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路部を基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部602は、スイッチング用のトランジスタ611と、電流制御用のトランジスタ612と、電流制御用のトランジスタ612のドレインに電気的に接続された下部電極613と、を有する。なお、下部電極613の端部を覆って隔壁614が形成されている。隔壁614としては、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることができる。
また、被覆性を良好なものとするため、隔壁614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、隔壁614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、隔壁614の上端部のみに曲率半径(0.2μm以上3μm以下)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、隔壁614として、ネガ型の感光性樹脂、またはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができる。
なお、トランジスタ(トランジスタ611、612、623、624)の構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型のトランジスタを用いてもよい。また、トランジスタの極性についても特に限定はなく、Nチャネル型およびPチャネル型のトランジスタを有する構造、及びNチャネル型のトランジスタまたはPチャネル型のトランジスタのいずれか一方のみからなる構造を用いてもよい。また、トランジスタに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定はない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜を用いることができる。また、半導体材料としては、14族(ケイ素等)半導体、化合物半導体(酸化物半導体を含む)、有機半導体等を用いることができる。トランジスタとしては、例えば、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、さらに好ましくは3eV以上の酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができるため好ましい。該酸化物半導体としては、In−Ga酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、Sn、Hf、またはNdを表す)等が挙げられる。
なお、上記トランジスタにおいて、トランジスタのチャネル領域が有する酸化物半導体層と、下部電極613を構成する酸化物層と、に同じ元素を有する酸化物を用いることが好適である。すなわち、トランジスタのチャネル領域に用いる酸化物半導体層には、Inと、スタビライザーM(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有することが、好ましい。また、該酸化物半導体層と該酸化物層とで、同じ材料を用いることが、特に好ましい。
下部電極613上には、EL層616、および上部電極617がそれぞれ形成されている。なお、下部電極613は、陽極として機能し、上部電極617は、陰極として機能する。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。また、EL層616を構成する他の材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
なお、下部電極613、EL層616、及び上部電極617により、発光素子618が形成される。発光素子618は、実施の形態1の構成を有する発光素子である。なお、画素部は複数の発光素子が形成される場合、実施の形態1に記載の発光素子と、それ以外の構成を有する発光素子の両方が含まれていても良い。
また、シール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた領域607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、領域607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605に用いることができる紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂で充填される場合もあり、例えば、PVC(ポリビニルクロライド)系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)系樹脂、またはEVA(エチレンビニルアセテート)系樹脂を用いることができる。封止基板には凹部を形成し、そこに乾燥材を設けると水分の影響による劣化を抑制することができ、好ましい構成である。
また、発光素子618と互いに重なるように、光学素子621が封止基板604の下方に設けられる。また、封止基板604の下方には、遮光層622が設けられる。光学素子621及び遮光層622としては、それぞれ、実施の形態1に示す光学素子、及び遮光層と同様の構成とすればよい。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しにくい材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、実施の形態1に記載の発光素子及び光学素子を有する表示装置を得ることができる。
<表示装置の構成例2>
次に、表示装置の別の一例について、図15(A)(B)及び図16を用いて説明を行う。なお、図15(A)(B)及び図16は、本発明の一態様の表示装置の断面図である。
図15(A)には基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光素子の下部電極1024R、1024G、1024B、隔壁1025、EL層1028、発光素子の上部電極1026、封止層1029、封止基板1031、シール材1032などが図示されている。
また、図15(A)では、光学素子の一例として、着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、及び青色の着色層1034B)を透明な基材1033に設けている。また、遮光層1035をさらに設けても良い。着色層及び遮光層が設けられた透明な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及び遮光層は、オーバーコート層1036で覆われている。また、図15(A)においては、着色層を透過する光は赤、緑、青となることから、3色の画素で映像を表現することができる。
図15(B)では、光学素子の一例として、着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)をゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例を示している。このように、着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられていても良い。
図16では、光学素子の一例として、着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を第1の層間絶縁膜1020と第2の層間絶縁膜1021との間に形成する例を示している。このように、着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられていても良い。
また、以上に説明した表示装置では、トランジスタが形成されている基板1001側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の表示装置としたが、封止基板1031側に発光を取り出す構造(トップエミッション型)の表示装置としても良い。
<表示装置の構成例3>
トップエミッション型の表示装置の断面図の一例を図17及び図18に示す。図17及び図18は、本発明の一態様の表示装置を説明する断面図であり、図15(A)(B)及び図16に示す駆動回路部1041、周辺部1042等を省略して例示している。
この場合、基板1001は光を通さない基板を用いることができる。トランジスタと発光素子の陽極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトムエミッション型の表示装置と同様に形成する。その後、電極1022を覆うように、第3の層間絶縁膜1037を形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜と同様の材料の他、他の様々な材料を用いて形成することができる。
発光素子の下部電極1024R、1024G、1024Bはここでは陽極とするが、陰極であっても構わない。また、図17のようなトップエミッション型の表示装置である場合、下部電極1024R、1024G、1024Bを反射電極とすることが好ましい。下部電極1024R、1024G、1024B、及びEL層1028の構成は、それぞれ実施の形態1の電極層101、電極層103、電極層104、及びEL層の構成と同様とすることができる。すなわち、下部電極1024R、1024G、1024Bは、光を反射する機能を有する導電層と、導電層上の酸化物層と、を有する構成とすることが好適である。また、EL層1028上に上部電極1026が設けられる。上部電極1026を半透過・半反射電極とすることで、下部電極1024R、1024G、1024Bと、上部電極1026との間で、マイクロキャビティ構造を形成し、特定波長における光強度を増加させると好ましい。
図17のようなトップエミッションの構造では、着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、及び青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うことができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するように遮光層1035を設けても良い。なお、封止基板1031は透光性を有する基板を用いると好適である。
また、図17においては、複数の発光素子と、該複数の発光素子にそれぞれ着色層を設ける構成を例示したが、これに限定されない。例えば、図18に示すように、緑色の着色層を設けずに、赤色の着色層1034R、及び青色の着色層1034Bを設けて、赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行う構成としてもよい。図17に示すように、発光素子と、該発光素子にそれぞれ着色層を設ける構成とした場合、外光反射を抑制できるといった効果を奏する。一方で、図18に示すように、緑色の着色層を設けずに、赤色の着色層、及び青色の着色層を設ける構成とした場合、緑色の発光素子から射出された光のエネルギー損失が少ないため、消費電力を低くできるといった効果を奏する。
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や本実施の形態中の他の構成、または実施例に示した構成と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置について、図19(A)(B)を用いて説明を行う。
なお、図19(A)は、本発明の一態様の表示装置を説明するブロック図であり、図19(B)は、本発明の一態様の表示装置が有する画素回路を説明する回路図である。
<表示装置に関する説明>
図19(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部802という)と、画素部802の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部804という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路806という)と、端子部807と、を有する。なお、保護回路806は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部804の一部、または全部は、画素部802と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部804の一部、または全部が、画素部802と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部804の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部802は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路801という)を有し、駆動回路部804は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、走査線駆動回路804aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、信号線駆動回路804b)などの駆動回路を有する。
走査線駆動回路804aは、シフトレジスタ等を有する。走査線駆動回路804aは、端子部807を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、走査線駆動回路804aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。走査線駆動回路804aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、走査線駆動回路804aを複数設け、複数の走査線駆動回路804aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、走査線駆動回路804aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、走査線駆動回路804aは、別の信号を供給することも可能である。
信号線駆動回路804bは、シフトレジスタ等を有する。信号線駆動回路804bは、端子部807を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。信号線駆動回路804bは、画像信号を元に画素回路801に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、信号線駆動回路804bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、信号線駆動回路804bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、信号線駆動回路804bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、信号線駆動回路804bは、別の信号を供給することも可能である。
信号線駆動回路804bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。信号線駆動回路804bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いて信号線駆動回路804bを構成してもよい。
複数の画素回路801のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路801のそれぞれは、走査線駆動回路804aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路801は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介して走査線駆動回路804aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介して信号線駆動回路804bからデータ信号が入力される。
図19(A)に示す保護回路806は、例えば、走査線駆動回路804aと画素回路801の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路806は、信号線駆動回路804bと画素回路801の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路806は、走査線駆動回路804aと端子部807との間の配線に接続することができる。または、保護回路806は、信号線駆動回路804bと端子部807との間の配線に接続することができる。なお、端子部807は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路806は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図19(A)に示すように、画素部802と駆動回路部804にそれぞれ保護回路806を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路806の構成はこれに限定されず、例えば、走査線駆動回路804aに保護回路806を接続した構成、または信号線駆動回路804bに保護回路806を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部807に保護回路806を接続した構成とすることもできる。
また、図19(A)においては、走査線駆動回路804aと信号線駆動回路804bによって駆動回路部804を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、走査線駆動回路804aのみを形成し、別途用意された信号線駆動回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
<画素回路の構成例>
図19(A)に示す複数の画素回路801は、例えば、図19(B)に示す構成とすることができる。
図19(B)に示す画素回路801は、トランジスタ852、854と、容量素子862と、発光素子872と、を有する。
トランジスタ852のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(データ線DL_n)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ852のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(走査線GL_m)に電気的に接続される。
トランジスタ852は、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子862の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ852のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子862は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ854のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ854のゲート電極は、トランジスタ852のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子872のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ854のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子872としては、実施の形態1乃至実施の形態3に示す発光素子を用いることができる。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図19(B)の画素回路801を有する表示装置では、例えば、図19(A)に示す走査線駆動回路804aにより各行の画素回路801を順次選択し、トランジスタ852をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路801は、トランジスタ852がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ854のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子872は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、本発明の一態様の発光素子は、表示装置の画素に能動素子を有するアクティブマトリクス方式、または、表示装置の画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式のそれぞれの方式に適用することができる。
アクティブマトリクス方式では、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)として、トランジスタだけでなく、さまざまな能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いることが出来る。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、又はTFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることができ、低消費電力化や高輝度化をはかることが出来る。
アクティブマトリクス方式以外のものとして、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないパッシブマトリクス型を用いることも可能である。能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないため、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図ることが出来る。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置、及び該表示装置に入力装置を取り付けた電子機器について、図20乃至図24を用いて説明を行う。
<タッチパネルに関する説明1>
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わせたタッチパネル2000について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセンサを用いる場合について説明する。
図20(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、図20(A)(B)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
タッチパネル2000は、表示装置2501とタッチセンサ2595とを有する(図20(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、及び基板2590を有する。なお、基板2510、基板2570、及び基板2590はいずれも可撓性を有する。ただし、基板2510、基板2570、及び基板2590のいずれか一つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
表示装置2501は、基板2510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することができる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にまで引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509(1)と電気的に接続する。また、複数の配線2511は、信号線駆動回路2503s(1)からの信号を複数の画素に供給することができる。
基板2590は、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC2509(2)と電気的に接続される。なお、図20(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側(基板2510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実線で示している。
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
なお、図20(B)に示すタッチセンサ2595は、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用した構成である。
なお、タッチセンサ2595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有する。電極2591は、複数の配線2598のいずれかと電気的に接続し、電極2592は複数の配線2598の他のいずれかと電気的に接続する。
電極2592は、図20(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続される形状を有する。
電極2591は四辺形であり、電極2592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
配線2594は、電極2592を挟む二つの電極2591と電気的に接続する。このとき、電極2592と配線2594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減することができる。
なお、電極2591及び電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極2592を、電極2591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
<表示装置に関する説明>
次に、図21(A)を用いて、表示装置2501の詳細について説明する。図21(A)は、図20(B)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図に相当する。
表示装置2501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
以下の説明においては、白色の光を射出する発光素子を表示素子に適用する場合について説明するが、表示素子はこれに限定されない。例えば、隣接する画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なる発光素子を適用してもよい。
基板2510及び基板2570としては、例えば、水蒸気の透過率が1×10−5g・m−2・day−1以下、好ましくは1×10−6g・m−2・day−1以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板2510の熱膨張率と、基板2570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、好ましくは5×10−5/K以下、より好ましくは1×10−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
なお、基板2510は、発光素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2510aと、可撓性基板2510bと、絶縁層2510a及び可撓性基板2510bを貼り合わせる接着層2510cと、を有する積層体である。また、基板2570は、発光素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2570aと、可撓性基板2570bと、絶縁層2570a及び可撓性基板2570bを貼り合わせる接着層2570cと、を有する積層体である。
接着層2510c及び接着層2570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂もしくはシロキサン結合を有する樹脂を含む材料を用いることができる。
また、基板2510と基板2570との間に封止層2560を有する。封止層2560は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、図21(A)に示すように、封止層2560側に光を取り出す場合は、封止層2560は光学的な接合層を兼ねることができる。
また、封止層2560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いることにより、基板2510、基板2570、封止層2560、及びシール材で囲まれた領域に発光素子2550Rを有する構成とすることができる。なお、封止層2560として、不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥材を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸素を透過しない材料を用いると好適である。
また、表示装置2501は、画素2502Rを有する。また、画素2502Rは発光モジュール2580Rを有する。
画素2502Rは、発光素子2550Rと、発光素子2550Rに電力を供給することができるトランジスタ2502tとを有する。なお、トランジスタ2502tは、画素回路の一部として機能する。また、発光モジュール2580Rは、発光素子2550Rと、着色層2567Rとを有する。
発光素子2550Rは、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極の間にEL層とを有する。発光素子2550Rとして、例えば、実施の形態1乃至実施の形態3に示す発光素子を適用することができる。
また、下部電極と上部電極との間で、マイクロキャビティ構造を形成し、特定波長における光強度を増加させてもよい。
また、封止層2560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層2560は、発光素子2550Rと着色層2567Rに接する。
着色層2567Rは、発光素子2550Rと重なる位置にある。これにより、発光素子2550Rが発する光の一部は着色層2567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580Rの外部に射出される。
また、表示装置2501には、光を射出する方向に遮光層2567BMが設けられる。遮光層2567BMは、着色層2567Rを囲むように設けられている。
着色層2567Rとしては、特定の波長帯域の光を透過する機能を有していればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などで形成することができる。
また、表示装置2501には、絶縁層2521が設けられる。絶縁層2521はトランジスタ2502tを覆う。なお、絶縁層2521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ2502t等の信頼性の低下を抑制できる。
また、発光素子2550Rは、絶縁層2521の上方に形成される。また、発光素子2550Rが有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁2528が設けられる。なお、基板2510と、基板2570との間隔を制御するスペーサを、隔壁2528上に形成してもよい。
走査線駆動回路2503g(1)は、トランジスタ2503tと、容量素子2503cとを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
また、基板2510上には、信号を供給することができる配線2511が設けられる。また、配線2511上には、端子2519が設けられる。また、端子2519には、FPC2509(1)が電気的に接続される。また、FPC2509(1)は、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC2509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
また、表示装置2501には、様々な構造のトランジスタを適用することができる。図21(A)においては、ボトムゲート型のトランジスタを適用する場合について、例示しているが、これに限定されず、例えば、図21(B)に示す、トップゲート型のトランジスタを表示装置2501に適用する構成としてもよい。
また、トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tの極性については、特に限定はなく、Nチャネル型およびPチャネル型のトランジスタを有する構造、Nチャネル型のトランジスタまたはPチャネル型のトランジスタのいずれか一方のみからなる構造を用いてもよい。また、トランジスタ2502t及び2503tに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定はない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜を用いることができる。また、半導体材料としては、13族の半導体(例えば、ガリウムを有する半導体)、14族の半導体(例えば、ケイ素を有する半導体)、化合物半導体(酸化物半導体を含む)、有機半導体等を用いることができる。トランジスタ2502t及びトランジスタ2503tのいずれか一方または双方に、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、さらに好ましくは3eV以上の酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができるため好ましい。当該酸化物半導体としては、In−Ga酸化物、In−M−Zn酸化物(Mは、Al、Ga、Y、Zr、La、Ce、Sn、Hf、またはNdを表す)等が挙げられる。
<タッチセンサに関する説明>
次に、図21(C)を用いて、タッチセンサ2595の詳細について説明する。図21(C)は、図20(B)に示す一点鎖線X3−X4間の断面図に相当する。
タッチセンサ2595は、基板2590上に千鳥状に配置された電極2591及び電極2592と、電極2591及び電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電極2591を電気的に接続する配線2594とを有する。
電極2591及び電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
例えば、透光性を有する導電性材料を基板2590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターン形成技術により、不要な部分を除去して、電極2591及び電極2592を形成することができる。
また、絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また、電極2591に達する開口が絶縁層2593に設けられ、配線2594が隣接する電極2591と電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線2594に好適に用いることができる。また、電極2591及び電極2592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線2594に好適に用いることができる。
電極2592は、一方向に延在し、複数の電極2592がストライプ状に設けられている。また、配線2594は電極2592と交差して設けられている。
一対の電極2591が1つの電極2592を挟んで設けられる。また、配線2594は一対の電極2591を電気的に接続している。
なお、複数の電極2591は、1つの電極2592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、0度を超えて90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。また、配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
なお、絶縁層2593及び配線2594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ2595を保護してもよい。
また、接続層2599は、配線2598とFPC2509(2)を電気的に接続させる。
接続層2599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
<タッチパネルに関する説明2>
次に、図22(A)を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。図22(A)は、図20(A)に示す一点鎖線X5−X6間の断面図に相当する。
図22(A)に示すタッチパネル2000は、図21(A)で説明した表示装置2501と、図21(C)で説明したタッチセンサ2595と、を貼り合わせた構成である。
また、図22(A)に示すタッチパネル2000は、図21(A)及び図21(C)で説明した構成の他、接着層2597と、反射防止層2567pと、を有する。
接着層2597は、配線2594と接して設けられる。なお、接着層2597は、タッチセンサ2595が表示装置2501に重なるように、基板2590を基板2570に貼り合わせている。また、接着層2597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層2597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いることができる。
反射防止層2567pは、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層2567pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
次に、図22(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、図22(B)を用いて説明する。
図22(B)は、タッチパネル2001の断面図である。図22(B)に示すタッチパネル2001は、図22(A)に示すタッチパネル2000と、表示装置2501に対するタッチセンサ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用する。
着色層2567Rは、発光素子2550Rと重なる位置にある。また、図22(B)に示す発光素子2550Rは、トランジスタ2502tが設けられている側に光を射出する。これにより、発光素子2550Rが発する光の一部は、着色層2567Rを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580Rの外部に射出される。
また、タッチセンサ2595は、表示装置2501の基板2510側に設けられている。
接着層2597は、基板2510と基板2590の間にあり、表示装置2501とタッチセンサ2595を貼り合わせる。
図22(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板の上面及び下面のいずれか一方または双方に射出されればよい。
<タッチパネルの駆動方法に関する説明>
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、図23(A)(B)を用いて説明を行う。
図23(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図23(A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、図23(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1−X6として、電流の変化を検知する電極2622をY1−Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。また、図23(A)は、電極2621と、電極2622とが重畳することで形成される容量2603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
パルス電圧出力回路2601は、X1−X6の配線に順にパルスを印加するための回路である。X1−X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する電極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を検出することができる。
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1−Y6の配線での電流の変化を検出するための回路である。Y1−Y6の配線では、被検知体の近接、または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は、積分回路等を用いて行えばよい。
次に、図23(B)には、図23(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波形のタイミングチャートを示す。図23(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検出を行うものとする。また図23(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1−Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
X1−X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1−Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1−X6の配線の電圧の変化に応じてY1−Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知することができる。
<センサ回路に関する説明>
また、図23(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設けるパッシブマトリクス型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを有するアクティブマトリクス型のタッチセンサとしてもよい。アクティブマトリクス型のタッチセンサに含まれるセンサ回路の一例を図24に示す。
図24に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ2612と、トランジスタ2613とを有する。
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方がトランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VSSが与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたはドレインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VSSが与えられる。
次に、図24に示すセンサ回路の動作について説明する。まず、信号G2としてトランジスタ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲートが接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2としてトランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変化することに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。ノードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することができる。
トランジスタ2611、トランジスタ2612、及びトランジスタ2613としては、酸化物半導体層をチャネル領域が形成される半導体層に用いることが好ましい。とくにトランジスタ2613にこのようなトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光素子を有する表示モジュール及び電子機器について、図25及び図26を用いて説明を行う。
<表示モジュールに関する説明>
図25に示す表示モジュール8000は、上部カバー8001と下部カバー8002との間に、FPC8003に接続されたタッチセンサ8004、FPC8005に接続された表示装置8006、フレーム8009、プリント基板8010、バッテリ8011を有する。
本発明の一態様の発光素子は、例えば、表示装置8006に用いることができる。
上部カバー8001及び下部カバー8002は、タッチセンサ8004及び表示装置8006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
タッチセンサ8004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチセンサを表示装置8006に重畳して用いることができる。また、表示装置8006の対向基板(封止基板)に、タッチセンサ機能を持たせるようにすることも可能である。また、表示装置8006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチセンサとすることも可能である。
フレーム8009は、表示装置8006の保護機能の他、プリント基板8010の動作により発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム8009は、放熱板としての機能を有していてもよい。
プリント基板8010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっても良いし、別途設けたバッテリ8011による電源であってもよい。バッテリ8011は、商用電源を用いる場合には、省略可能である。
また、表示モジュール8000は、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を追加して設けてもよい。
<電子機器に関する説明>
図26(A)乃至図26(G)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有することができる。
図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチセンサ機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信または受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図26(A)乃至図26(G)には図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図26(A)乃至図26(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図26(A)は、携帯情報端末9100を示す斜視図である。携帯情報端末9100が有する表示部9001は、可撓性を有する。そのため、湾曲した筐体9000の湾曲面に沿って表示部9001を組み込むことが可能である。また、表示部9001はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部9001に表示されたアイコンに触れることで、アプリケーションを起動することができる。
図26(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を省略して図示しているが、図26(A)に示す携帯情報端末9100と同様の位置に設けることができる。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコンまたは単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
図26(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
図26(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
図26(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図26(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図26(F)が携帯情報端末9201を展開した状態または折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図26(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有することを特徴とする。ただし、本発明の一態様の発光素子は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。また、本実施の形態において述べた電子機器の表示部においては、可撓性を有し、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる構成、または折り畳み可能な表示部の構成について例示したが、これに限定されず、可撓性を有さず、平面部に表示を行う構成としてもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または実施例に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を適用した照明装置の一例について、図27を用いて説明する。
図27は、発光素子を室内の照明装置8501として用いた例である。なお、発光素子は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8502を形成することもできる。本実施の形態で示す発光素子は薄膜状であり、筐体のデザインの自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。さらに、室内の壁面に大型の照明装置8503を備えても良い。また、照明装置8501、8502、8503に、タッチセンサを設けて、電源のオンまたはオフを行ってもよい。
また、発光素子をテーブルの表面側に用いることによりテーブルとしての機能を備えた照明装置8504とすることができる。なお、その他の家具の一部に発光素子を用いることにより、家具としての機能を備えた照明装置とすることができる。
以上のように、発光素子を適用した様々な照明装置が得られる。なお、これらの照明装置は本発明の一態様に含まれるものとする。
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態または実施例に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様である電極層(電極1及び電極2)と、比較用の電極層(比較電極1)の作製例を示す。なお、本実施例で用いる符号等は、実施の形態1の図7(A)で示した発光素子290を例とする。
<1−1.電極1の作製>
基板200上に電極層を構成する導電層101aとして、Al−Ni−La膜を厚さ200nmになるように形成した。次に、導電層101a上に接する酸化物層101bとして、In−Ga−Zn酸化物を厚さ10nmになるように形成した。この際、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:1:1を用い、基板温度は300℃にて成膜した。その後、酸化物層101b上に透明導電膜101cとして、ITSO膜を厚さ10nmになるよう形成した。ITSO膜の成膜後、250℃及び300℃にてそれぞれ1時間のベークを行った。以上の工程にて、電極1の作製を行った。
<1−2.電極2の作製>
電極2は、先に示す電極1の酸化物層101bを形成する工程が異なり、それ以外の工程は電極1と同様の作製方法とした。すなわち、酸化物層101bとしてIn−Ga−Zn酸化物を成膜する際に、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比が、In:Ga:Zn=1:3:6を用い、基板温度は300℃にて成膜した。
<1−3.比較電極1の作製>
比較電極1は、先に示す電極1の酸化物層101bを形成する工程が異なり、それ以外の工程は電極1と同様の作製方法とした。すなわち、酸化物層101bの替わりとして、Ti膜を厚さ6nmになるように形成後、300℃にて1時間のベーク処理を行うことで、Ti膜を酸化し、チタン酸化膜を形成した。
<1−4.電極の特性>
電極1と電極2、比較電極1の反射率を図28に示す。
電極1と電極2の反射率は、比較電極1の反射率より高く、優れた反射率を示している。このことから、本発明の一態様を電極層に用いることで、反射率の優れた電極を形成することができる。
また、電極1と電極2は、電食が生じず、膜剥がれも生じなかった。したがって、発光素子の電極層として用いるのに適した安定な電極層であることがわかった。
なお、酸化物層101bとして用いるIn−Ga−Zn酸化物(1:1:1)の抵抗率を測定したところ5.5×10−3Ωmであった。これは透明導電膜として用いられるITSOの抵抗率である2.6×10−3Ωmと同程度であり、発光素子の電極として用いるのに十分に低い抵抗率である。
したがって、本発明の一態様の酸化物層を用いた電極は、高い反射率と低い抵抗率を有するため、発光素子の電極として好適であると言える。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例及び実施の形態と適宜組み合わせて用いる事ができる。
本実施例では、本発明の一態様である発光素子(発光素子1及び発光素子2)の作製例を示す。本実施例で作製する発光素子の断面模式図を図29(A)に、素子構造の詳細を表4に、それぞれ示す。また、使用した化合物の構造と略称を以下に示す。
<2−1.発光素子1の作製>
基板510上に電極層501を構成する導電層501aとして、Al−Ni−La膜を厚さ200nmになるように形成した。
次に、導電層501a上に接する酸化物層501bとして、In−Ga−Zn酸化物を厚さ10nmになるよう形成した。この際、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:1:1を用い、基板温度は300℃にて成膜した。
次に、酸化物層501b上に透明導電膜501cとして、ITSO膜を厚さ40nmになるよう形成した。以上の工程により電極層501を形成した。なお、電極層501の電極面積としては、4mm(2mm×2mm)とした。
次に、電極層501上に正孔注入層531として、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)と、酸化モリブデン(MoO)とを重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5、厚さが13.5nmになるよう共蒸着した。
次に、正孔注入層531上に正孔輸送層532として、PCPPnを厚さ10nmになるよう蒸着した。
次に、正孔輸送層532上に発光層521として、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)と、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)とを重量比(CzPA:1,6mMemFLPAPrn)が1:0.05、厚さが25nmになるように共蒸着した。なお、発光層521において、CzPAがホスト材料であり、1,6mMemFLPAPrnがゲスト材料(蛍光材料)である。
次に、発光層521上に電子輸送層533として、CzPAと、バソフェナントロリン(略称:Bphen)とを、それぞれ厚さが、5nm、15nmになるよう順次蒸着した。
次に、電子注入層534として、LiO及び、銅フタロシアニン(略称:CuPc)を、それぞれ厚さが0.1nm、2nmになるよう蒸着した。
次に、正孔注入層を兼ねる電荷発生層535として、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P−II)と、MoOとを重量比(DBT3P−II:MoO)が1:0.5、厚さが12.5nmになるよう共蒸着した。
次に、電荷発生層535上に正孔輸送層537として、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)を、厚さが20nmになるよう蒸着した。
次に、正孔輸送層537上に発光層522として、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)と、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)と、(アセチルアセトナト)ビス(6−tert−ブチル−4−フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tBuppm)(acac))と、を重量比(2mDBTBPDBq−II:PCBNBB:Ir(tBuppm)(acac))が0.7:0.3:0.06、厚さが20nmになるよう共蒸着した。さらに、2mDBTBPDBq−IIと、ビス{4,6−ジメチル−2−[3−(3,5−ジメチルフェニル)−5−フェニル−2−ピラジニル−κN]フェニル−κC}(2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオナト−κO,O’)イリジウム(III)(略称:Ir(dmdppr−P)(dibm))とを、重量比(2mDBTBPDBq−II:Ir(dmdppr−P)(dibm))が1:0.04、厚さが20nmになるよう共蒸着した。なお、発光層522において、2mDBTBPDBq−IIがホスト材料、PCBNBBがアシスト材料、Ir(tBuppm)(acac)及びIr(dmdppr−P)(dibm)がゲスト材料(燐光材料)である。
次に、発光層522上に電子輸送層538として、2mDBTBPDBq−IIと、Bphenとを、それぞれ厚さが30nm、15nmになるよう順次蒸着し、電子輸送層538上に電子注入層539として、フッ化リチウム(LiF)を1nmになるよう蒸着した。
次に電子注入層539上に電極層502として、銀(Ag)及びマグネシウム(Mg)の合金膜と、ITO膜とを、それぞれ厚さが15nm、70nmになるよう形成した。なお、Ag及びMgの合金膜としては、体積比(Ag:Mg)が1:0.1となるように蒸着した。
以上の工程により、基板510上に形成される構造を作製した。なお、上述した成膜過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。また、電極層502のITO膜はスパッタリング法にて形成した。
また、発光素子1の封止基板512には、光学素子514として、緑色(Green)のカラーフィルタを形成した。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、有機EL用封止材を用いて封止基板512を基板510上に固定することで、発光素子1を封止した。具体的には、封止材を発光素子の周囲に塗布し、基板510と封止基板512とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光を6J/cm照射し、80℃にて1時間熱処理した。以上の工程により発光素子1を得た。
<2−2.発光素子2の作製>
発光素子2は、先に示す発光素子1の作製と、以下の工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法とした。
電極層501を構成する導電層501a上に接する酸化物層501bとして、In−Ga−Zn酸化物を厚さ10nmになるよう形成した。この際、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:3:6を用い、基板温度は300℃にて成膜した。
また、電極層501上の正孔注入層531として、PCPPnと、MoOとを重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5、厚さが20nmになるよう共蒸着した。
<2−3.発光素子の特性>
次に、上記作製した発光素子1及び発光素子2の電流効率−輝度特性を図30に示す。なお、各発光素子の測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
また、1000cd/m付近における、発光素子1及び発光素子2の素子特性を表5に示す。
また、発光素子1及び発光素子2に2.5mA/cmの電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図31に示す。
図30、図31、及び表5で示すように、発光素子1及び発光素子2からは高い電流効率で、且つ色純度の高い緑色発光が得られた。したがって、InとスタビライザーであるGaを含む酸化物層を用いて電極層501を構成することで、高い電流効率で発光する発光素子を得ることが出来た。
さらに、発光素子2は発光素子1より電流効率が高く、より低い駆動電圧で駆動していることから、スタビライザーであるGaの含有量がInより多い方が、より好適であることが分かった。
以上のように、本発明の一態様の構成を用いることで、高い電流効率を示し、低い駆動電圧で駆動する、発光素子を作製することができた。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例及び実施の形態と適宜組み合わせて用いる事ができる。
本実施例では、本発明の一態様である発光素子(発光素子3乃至発光素子5)の作製例を示す。本実施例で作製する発光素子の断面模式図を図29(B)に、素子構造の詳細を表6及び表7に、それぞれ示す。また、使用した化合物は実施例2と同様である。
<3−1.発光素子3の作製>
発光素子3は、実施例2で示した発光素子1の作製と、以下の工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法とした。
電極層501を構成する導電層501a上に接する酸化物層501bとして、In−Ga−Zn酸化物を厚さ10nmになるよう形成した。この際、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:3:6を用い、基板温度は300℃にて成膜した。
次に、酸化物層501b上に透明導電膜501cとして、ITSO膜を厚さ10nmになるよう形成した。
また、電極層501上の正孔注入層531として、PCPPnと、MoOとを重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5、厚さが9nmになるよう共蒸着した。
<3−2.発光素子4の作製>
発光素子4は、発光素子3の作製と、以下の工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子3と同様の作製方法とした。
電極層501を構成する導電層501a上に接する酸化物層501bとして、In−Ga−Zn酸化物を厚さ10nmになるよう形成した。この際、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:3:4を用い、基板温度は200℃にて成膜した。
なお、発光素子4では、酸化物層501b上に透明導電膜501cは形成せず、導電層501a及び酸化物層501bとで、電極層501を構成した。
続いて、電極層501上の正孔注入層531として、PCPPnと、MoOとを重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5、厚さが22.5nmになるよう共蒸着した。
<3−3.発光素子5の作製>
発光素子5は、発光素子3の作製と、以下の工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子3と同様の作製方法とした。
基板510上に電極層503を構成する導電層503aとして、Al−Ni−La膜を厚さ200nmになるように形成した。
導電層503a上に接する酸化物層503bとして、Ti膜を厚さ6nmになるよう形成した。Ti膜の形成後、300℃にて1時間のベーク処理を行うことで、Ti膜を酸化し、酸化チタン膜を形成した。
次に、酸化物層503b上に透明導電膜503cとして、ITSO膜を厚さ10nmになるよう形成した。以上の工程により、電極層503を形成した。
また、電極層503上の正孔注入層531として、PCPPnと、MoOとを重量比(PCPPn:MoO)が1:0.5、厚さが5nmになるよう共蒸着した。
なお、発光素子3乃至発光素子5の封止基板512には、光学素子514として、青色(Blue)のカラーフィルタを形成した。
<3−4.発光素子の特性>
次に、上記作製した発光素子3乃至発光素子5の電流効率−輝度特性を図32に示す。また、輝度−電圧特性を図33に示す。なお、各発光素子の測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
また、1000cd/m付近における、発光素子3乃至発光素子5の素子特性を表8に示す。
また、発光素子3乃至発光素子5に2.5mA/cmの電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図34に示す。
図32乃至図34、及び表8で示すように、発光素子3及び発光素子4は、高い色純度の青色発光でありながら、発光素子5より高い電流効率となった。これは、実施例1で示したように、本発明の一態様のIn−Ga−Zn酸化物を有する電極構造は、反射率が高く、特に青色領域で優れた反射率を有している。したがって、発光素子3及び発光素子4に用いた電極構造は、特に青色の光を呈する発光素子に好適であることが分かった。
以上のように、本発明の一態様の構成を用いることで、高い電流効率を有する発光素子を作製することができた。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例及び実施の形態と適宜組み合わせて用いる事ができる。
本実施例では、本発明の一態様である発光素子(発光素子6乃至発光素子8)の作製例を示す。本実施例で作製する発光素子の断面模式図を図29(C)に、素子構造の詳細を表9に、それぞれ示す。また、使用した化合物の構造と略称を以下に示す。
<4−1.発光素子6の作製>
基板510上に電極層501を構成する導電層501aとして、Al−Ni−La膜を厚さ200nmになるように形成した。
次に、導電層501a上に接する酸化物層501bとして、In−Ga−Zn酸化物を厚さ10nmになるよう形成した。この際、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:3:6を用い、基板温度は300℃にて成膜した。
次に、酸化物層501b上に透明導電膜501cとして、ITSO膜を厚さ10nmになるよう形成した。以上の工程により電極層501を形成した。なお、電極層501の電極面積としては、4mm(2mm×2mm)とした。
次に、電極層501上に正孔注入層531として、DBT3P−IIと、MoOとを重量比(DBT3P−II:MoO)が1:0.5、厚さが25nmになるよう共蒸着した。
次に、正孔注入層531上に正孔輸送層532として、PCPPnが厚さ10nmになるよう蒸着した。
次に、正孔輸送層532上に発光層520として、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(cgDBCzPA)と、1,6mMemFLPAPrnとを重量比(cgDBCzPA:1,6mMemFLPAPrn)が1:0.02、厚さが10nmになるように共蒸着した。なお、発光層520の1層目において、cgDBCzPAがホスト材料であり、1,6mMemFLPAPrnがゲスト材料(蛍光材料)である。さらに、2mDBTBPDBq−IIと、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)とを、重量比(2mDBTBPDBq−II:PCBBiF)が0.4:0.6、厚さが2nmになるよう共蒸着した。さらに、2mDBTBPDBq−IIと、PCBBiFと、(アセチルアセトナト)ビス[5−メチル−6−(2−メチルフェニル)−4−フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(mpmppm)(acac))とを、重量比(2mDBTBPDBq−II:PCBBiF:Ir(mpmppm)(acac))が0.8:0.2:0.06、厚さが20nmになるよう共蒸着した。なお、発光層520の3層目において、2mDBTBPDBq−II及びPCBBiFがホスト材料であり、Ir(mpmppm)(acac)がゲスト材料(燐光材料)である。
次に、発光層520上に電子輸送層533として、2mDBTBPDBq−IIと、Bphenとを、それぞれ厚さが、20nm、15nmになるよう順次蒸着した。
次に、電子輸送層533上に電子注入層534として、LiO及びCuPcを、それぞれ厚さが0.1nm、2nmになるよう蒸着した。その後、バッファ層540として、DBT3P−IIと、MoOとを重量比(DBT3P−II:MoO)が1:0.5、厚さが30nmになるよう共蒸着した。
次にバッファ層540上に電極層502として、ITO膜を、厚さが70nmになるよう形成した。
以上の工程により、基板510上に形成される構造を作製した。なお、上述した成膜過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いたまた、電極層502のITO膜はスパッタリング法にて形成した。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、有機EL用封止材を用いて封止基板を基板510上に固定することで、発光素子6を封止した。具体的には、封止材を発光素子の周囲に塗布し、基板510と封止基板とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光を6J/cm照射し、80℃にて1時間熱処理した。以上の工程により発光素子6を得た。
<4−2.発光素子7の作製>
発光素子7は、先に示す発光素子6の作製と、以下の工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子6と同様の作製方法とした。
電極層501を構成する導電層501a上に接する酸化物層501bとして、In−Ga−Zn酸化物を厚さ10nmになるよう形成した。この際、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:3:4を用い、基板温度は200℃にて成膜した。
なお、発光素子7では、酸化物層501b上に透明導電膜501cは形成せず、導電層501a及び酸化物層501bとで、電極層501を構成した。
続いて、電極層501上の正孔注入層531として、DBT3P−IIと、MoOとを重量比(DBT3P−II:MoO)が1:0.5、厚さが35nmになるよう共蒸着した。
<4−3.発光素子8の作製>
発光素子8は、発光素子6の作製と、以下の工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子6と同様の作製方法とした。
基板510上に電極層503を構成する導電層503aとして、Al−Ni−La膜を厚さ200nmになるように形成した。
導電層503a上に接する酸化物層503bとして、Ti膜を厚さ6nmになるよう形成した。Ti膜の形成後、300℃にて1時間のベーク処理を行うことで、Ti膜を酸化し、酸化チタン膜を形成した。
次に、酸化物層503b上に透明導電膜503cとして、ITSO膜を厚さ10nmになるよう形成した。以上の工程により、電極層503を形成した。
また、電極層503上の正孔注入層531として、DBT3P−IIと、MoOとを重量比(DBT3P−II:MoO)が1:0.5、厚さが25nmになるよう共蒸着した。
<4−4.発光素子の特性>
次に、上記作製した発光素子6乃至発光素子8の電流効率−輝度特性を図35に示す。また、輝度−電圧特性を図36に示す。なお、各発光素子の測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
また、1000cd/m付近における、発光素子6乃至発光素子8の素子特性を表10に示す。
また、発光素子6乃至発光素子8に2.5mA/cmの電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図37に示す。
図35及び図36、及び表10で示すように、発光素子6及び発光素子7は、発光素子8より高い電流効率を示した。特に発光素子7は、高い電流効率となった。
また、図37で示すように、発光素子6及び発光素子7は、発光素子8と比べて、青色領域の発光より黄色領域の発光が、より強く発光していることが分かる。その結果、色度yは、発光素子8、発光素子6、発光素子7の順に大きくなっており、特に発光素子7は、発光素子8より、黄色に近い色度となっている。したがって、本発明の一態様のIn−Ga−Zn酸化物を有する電極構造と、該酸化物と異なる酸化物を有する電極構造とを、有することで、異なる発光色を呈する領域を有する発光素子が得られることが分かった。
以上のように、本発明の一態様の構成を用いることで、高い発光効率を有し、異なる発光色を呈する領域を有する、発光素子を作製することができた。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施例及び実施の形態と適宜組み合わせて用いる事ができる。
100 EL層
101 電極層
101a 導電層
101b 酸化物層
101c 透明導電膜
101d 酸化物層
101e 透明導電膜
102 電極層
103 電極層
103a 導電層
103b 酸化物層
103c 透明導電膜
104 電極層
104a 導電層
104b 酸化物層
106 発光ユニット
108 発光ユニット
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 電子輸送層
114 電子注入層
115 電荷発生層
116 正孔注入層
117 正孔輸送層
118 電子輸送層
119 電子注入層
120 発光層
120a 発光層
120b 発光層
121 発光層
121a 発光層
121b 発光層
122 発光層
122a 発光層
122b 発光層
140 隔壁
150 発光素子
170 発光素子
172 発光素子
174 発光素子
176 発光素子
190 タンデム型発光素子
200 基板
210A 領域
210B 領域
211A 領域
211B 領域
212A 領域
212B 領域
213A 領域
213B 領域
220 基板
221B 領域
221G 領域
221R 領域
223 遮光層
224B 光学素子
224G 光学素子
224R 光学素子
250 発光素子
270 発光素子
280 発光素子
282 発光素子
290 発光素子
292 発光素子
400 EL層
401 電極層
401a 導電層
401b 酸化物層
402 電極層
411 正孔注入層
412 正孔輸送層
413 発光層
414 発光層
415 電子輸送層
416 電子注入層
421 ゲスト材料
422 ホスト材料
431 ゲスト材料
432 有機化合物
433 有機化合物
450 発光素子
501 電極層
501a 導電層
501b 酸化物層
501c 透明導電膜
502 電極層
503 電極層
503a 導電層
503b 酸化物層
503c 透明導電膜
510 基板
512 封止基板
514 光学素子
520 発光層
521 発光層
522 発光層
531 正孔注入層
532 正孔輸送層
533 電子輸送層
534 電子注入層
535 電荷発生層
537 正孔輸送層
538 電子輸送層
539 電子注入層
540 バッファ層
600 表示装置
601 信号線駆動回路部
602 画素部
603 走査線駆動回路部
604 封止基板
605 シール材
607 領域
608 配線
609 FPC
610 素子基板
611 トランジスタ
612 トランジスタ
613 下部電極
614 隔壁
616 EL層
617 上部電極
618 発光素子
621 光学素子
622 遮光層
623 トランジスタ
624 トランジスタ
801 画素回路
802 画素部
804 駆動回路部
804a 走査線駆動回路
804b 信号線駆動回路
806 保護回路
807 端子部
852 トランジスタ
854 トランジスタ
862 容量素子
872 発光素子
1001 基板
1002 下地絶縁膜
1003 ゲート絶縁膜
1006 ゲート電極
1007 ゲート電極
1008 ゲート電極
1020 層間絶縁膜
1021 層間絶縁膜
1022 電極
1024B 下部電極
1024G 下部電極
1024R 下部電極
1025 隔壁
1026 上部電極
1028 EL層
1029 封止層
1031 封止基板
1032 シール材
1033 基材
1034B 着色層
1034G 着色層
1034R 着色層
1035 遮光層
1036 オーバーコート層
1037 層間絶縁膜
1040 画素部
1041 駆動回路部
1042 周辺部
2000 タッチパネル
2001 タッチパネル
2501 表示装置
2502R 画素
2502t トランジスタ
2503c 容量素子
2503g 走査線駆動回路
2503s 信号線駆動回路
2503t トランジスタ
2509 FPC
2510 基板
2510a 絶縁層
2510b 可撓性基板
2510c 接着層
2511 配線
2519 端子
2521 絶縁層
2528 隔壁
2550R 発光素子
2560 封止層
2567BM 遮光層
2567p 反射防止層
2567R 着色層
2570 基板
2570a 絶縁層
2570b 可撓性基板
2570c 接着層
2580R 発光モジュール
2590 基板
2591 電極
2592 電極
2593 絶縁層
2594 配線
2595 タッチセンサ
2597 接着層
2598 配線
2599 接続層
2601 パルス電圧出力回路
2602 電流検出回路
2603 容量
2611 トランジスタ
2612 トランジスタ
2613 トランジスタ
2621 電極
2622 電極
8000 表示モジュール
8001 上部カバー
8002 下部カバー
8003 FPC
8004 タッチセンサ
8005 FPC
8006 表示装置
8009 フレーム
8010 プリント基板
8011 バッテリ
8501 照明装置
8502 照明装置
8503 照明装置
8504 照明装置
9000 筐体
9001 表示部
9003 スピーカ
9005 操作キー
9006 接続端子
9007 センサ
9008 マイクロフォン
9050 操作ボタン
9051 情報
9052 情報
9053 情報
9054 情報
9055 ヒンジ
9100 携帯情報端末
9101 携帯情報端末
9102 携帯情報端末
9200 携帯情報端末
9201 携帯情報端末

Claims (10)

  1. 第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に設けられたEL層と、を含む発光素子を有し
    前記第1の電極層は、導電層と、前記導電層に接する酸化物層と、前記酸化物層に接する透明導電膜と、を有し、
    前記導電層は、光を反射する機能を有し、
    前記酸化物層は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、
    前記酸化物層に含まれる前記Mの含有量は、前記Inの含有量以上である、発光装置。
  2. 請求項1において、
    前記導電層は、Al、Ni、及びLaを有し、
    前記酸化物層は、In、Ga、及びZnを有し、
    前記透明導電膜は、珪素、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物を有する、発光装置。
  3. 第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に設けられたEL層と、を含む発光素子を有し、
    前記第1の電極層は、第1の酸化物層と、前記第1の酸化物層に接する導電層と、前記導電層に接する第2の酸化物層とを有し、
    前記導電層は、光を反射する機能を有し、
    前記第1の酸化物層及び前記第2の酸化物層の各々は、Inと、M(MはAl、Si、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、NdまたはHfを表す)と、を有し、
    前記Mの含有量は、前記Inの含有量以上である、発光装置。
  4. 請求項3において、
    前記導電層は、Al、Ni、及びLaを有し、
    前記第1の酸化物層及び前記第2の酸化物層の各々は、In、Ga、及びZnを有する、発光装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか一項において、
    前記EL層は、第1の発光層及び第2の発光層を有し、
    前記第1の発光層は、光を呈する機能を有する第1の化合物を有し、
    前記第2の発光層は、光を呈する機能を有する第2の化合物を有する、発光装置。
  6. 請求項において、
    前記第1の化合物と前記第2の化合物の一方は、一重項励起エネルギーを発光に変換できる機能を有し、
    前記第1の化合物と前記第2の化合物の他方は、三重項励起エネルギーを発光に変換できる機能を有する発光装置。
  7. 請求項又はにおいて、
    前記第1の化合物は、前記第2の化合物が呈する光の色と、異なる色の光を呈する発光装置。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置と、
    筐体またはタッチセンサと、を有する照明装置。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の発光装置と、
    カラーフィルタ又はトランジスタと、を有する表示装置。
  10. 請求項に記載の表示装置と、
    筐体又はタッチセンサと、を有する電子機器。
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