以下、実施形態の距離測定装置、および距離測定方法を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る距離測定装置10の一例を示す構成図である。本実施形態の距離測定装置10は、液体LMの中に設置された測定対象物SMに関して、液体LMの外から光を照射して液体LMの反射面LM#から測定対象物SMの反射面SM#までの距離Dを測定する。例えば、液体LMは、水であるが、これに代えて、エタノールや酢酸、塩酸、アンモニア、水酸化ナトリウム等であってもよい。
ここで、液体LMは、媒質の一例である。測定対象物SMは、例えば、シリコンウェハーであるが、これに代えて、多層膜等の工業製品や生体等であってもよく、照射された光のほぼ全てを反射する不透明な材質の物体であってもよく、光の一部を透過する透明または半透明な材質の物体であってもよい。
なお、測定対象物SMが透明または半透明な材質の物体である場合、液体LMは、測定対象物SMとは屈折率が異なり、且つ光が透過するものであればよい。また、本実施形態において測定対象物SMは、液体LMの中にある構成としたが、これに代えて、例えば、フッ化マグネシウムやシリコンゴム、ガラス、アクリル樹脂等の透明または半透明の固体の中に設置された構成であってもよい。
距離測定装置10は、第1波長掃引光源12Aと、第2波長掃引光源12Bと、干渉計20と、第1干渉光検出部32Aと、第2干渉光検出部32Bと、第3干渉光検出部32Cと、制御装置50とを備える。ここで、制御装置50は、算出部の一例である。
距離測定装置10は、例えば、第1波長掃引光源12Aから射出された第1光と、第2波長掃引光源12Bから射出された第2光とを干渉計20に導光し、導光された第1光および第2光を干渉計20から前述した測定対象物SMに照射する。また、距離測定装置10は、干渉計20に導光された第1光および第2光によって生成された第3光を干渉計20から前述した測定対象物SMに照射する。そして、距離測定装置10において、測定対象物SMに照射された第1光、第2光および第3光のうち、第1光と第2光とは、測定対象物SMの反射面SM#で反射され、再び干渉計20に入射し、第3光は、液体LMの反射面LM#で反射され、再び干渉計20に入射する。距離測定装置10は、測定対象物SMの反射面SM#で反射され、再び干渉計20に入射した第1光および第2光と、液体LMの反射面LM#で反射され、再び干渉計20に入射した第3光とに基づいて、液体LMの反射面LM#から測定対象物SMの反射面SM#までの距離Dを測定する。
第1波長掃引光源12Aは、液体LMに対して光の透過率が高くなる波長帯において所定の周期で波長が変化する第1光を、光ファイバーを介して干渉計20に射出する。第1波長掃引光源12Aから射出される第1光は、例えば、1[kHz]周期毎に1550±100[nm]の波長帯(第1波長帯)で波長が正弦波状に変化する。
第2波長掃引光源12Bは、液体LMに対して光の透過率が高くなる第2波長帯であって、第1波長帯とは異なる第2波長帯において所定の周期で波長が変化する第2光を、光ファイバーを介して干渉計20に射出する。第2波長掃引光源12Bから射出される第2光は、例えば、1[kHz]周期毎に1310±100[nm]の波長帯(第2波長帯)で波長が正弦波状に変化する。
干渉計20は、第1波長掃引光源12Aおよび第2波長掃引光源12Bから射出された第1光および第2光を分岐および合成し、測定対象物SMに向けて照射する。測定対象物SMに照射された光であって測定対象物SMおよび液体LMにて反射された光は、干渉計20に再び入射する。干渉計20は、反射された光に基づいて複数の干渉光を生成する。
第1干渉光検出部32Aは、干渉計20により生成された複数の干渉光のうちの第1干渉光を検出し、検出された第1干渉光を干渉信号に変換し、変換した干渉信号を制御装置50に出力する。
第2干渉光検出部32Bは、干渉計20により生成された複数の干渉光のうちの第2干渉光を検出し、検出された第2干渉光を干渉信号に変換し、変換した干渉信号を制御装置50に出力する。
第3干渉光検出部32Cは、干渉計20により生成された複数の干渉光のうちの第3干渉光を検出し、検出された第3干渉光を干渉信号に変換し、変換した干渉信号を制御装置50に出力する。
制御装置50は、干渉光検出部32A、32B、32Cのそれぞれから出力された干渉信号に基づいて、液体LMの反射面LM#から測定対象物SMの反射面SM#までの距離を算出する。以下、第1波長掃引光源12Aと第2波長掃引光源12Bとを区別しない場合、まとめて波長掃引光源12と称して説明する。また、第1干渉光検出部32Aと、第2干渉光検出部32Bと、第3干渉光検出部32Cとを区別しない場合、まとめて干渉光検出部32と称して説明する。
図2は、距離測定装置10の機能構成例を示す図である。本実施形態の距離測定装置10は、例えば、第1波長掃引光源12Aと、第2波長掃引光源12Bと、光カプラ22と、第1コリメータ24Aと、第2コリメータ24Bと、反射体RMと、第1干渉光検出部32Aと、第2干渉光検出部32Bと、第3干渉光検出部32Cと、制御装置50と、光ファイバーF1〜F7とを備える。この中で、光カプラ22と、第1コリメータ24Aと、第2コリメータ24Bと、光ファイバーF3と、光ファイバーF4とを含むものが、干渉計20に相当する。なお、干渉計20は、光カプラ22と、第1コリメータ24Aと、第2コリメータ24Bと、光ファイバーF3と、光ファイバーF4とのうちの任意の組み合わせを含む構成であってもよいし、さらに反射体RMを含む構成であってもよい。
距離測定装置10では、第1波長掃引光源12Aと光カプラ22とが光ファイバーF1により接続されており、第2波長掃引光源12Bと光カプラ22とが光ファイバーF2により接続されている。また、距離測定装置10では、光カプラ22と第1干渉光検出部32Aとが光ファイバーF5で接続されており、光カプラ22と第2干渉光検出部32Bとが光ファイバーF6で接続されており、光カプラ22と第3干渉光検出部32Cとが光ファイバーF7で接続されている。また、波長掃引光源12および干渉光検出部32は、それぞれ制御装置50と通信が行えるように電気ケーブル等を介して接続されている。
第1波長掃引光源12Aは、第1光を光ファイバーF1に射出する。光ファイバーF1は、第1波長掃引光源12Aにより射出された第1光を干渉計20の光カプラ22へ導光する。
第2波長掃引光源12Bは、第2光を光ファイバーF2に射出する。光ファイバーF2は、第2波長掃引光源12Bにより射出された第2光を干渉計20の光カプラ22へ導光する。
ここで、図3を参照し、第1波長掃引光源12Aから射出される第1光と、第2波長掃引光源12Bから射出される第2光とのそれぞれの波長の時間変化の様子について説明する。図3は、第1波長掃引光源12Aから射出される第1光と、第2波長掃引光源12Bから射出される第2光とのそれぞれの波長の時間変化の様子の一例を示すグラフである。
グラフG1の横軸は、経過時間Time(単位は[msec])を表す。また、グラフG1の縦軸は、光の波長λ(単位は[nm])を表す。グラフG1では、曲線LN1が第1光の波長の時間変化を表し、曲線LN2が第2光の波長の時間変化を表す。図3に示したように、第1光の波長が変化する第1波長帯(1550±100[nm])は、第2光の波長が変化する第2波長帯(1310±100[nm])と異なる。また、図3では、第1光の位相は第2光の位相と一致しているが、これらの位相が相違してもよい。
干渉計20は、例えば、光カプラ22と、光ファイバーF3と、光ファイバーF4と、第1コリメータ24Aと、第2コリメータ24Bとを備える。干渉計20では、図2に示したように、光カプラ22が光ファイバーF3を介して第1コリメータ24Aに接続されている。また、干渉計20では、光カプラ22が光ファイバーF4を介して第2コリメータ24Bに接続されている。また、干渉計20の光カプラ22は、光ファイバーF5により第1干渉光検出部32Aと接続され、光ファイバーF6によって第2干渉光検出部32Bと接続され、光ファイバーF7によって第3干渉光検出部32Cと接続されている。
また、図4を参照し、第1光および第2光の特性について説明する。図4は、光の波長と光の透過率との関係を示した一例の図である。図4の横軸は、光の波長(単位は[μm])を表す。また、図4の縦軸は、光の透過率(単位は[%])を表す。図4において、曲線LN3は、水に光を照射した際、照射した光の波長に対する光の透過率の変化を表す。図4に示したように、1550±100[nm]の波長帯を有する第1光および1310±100[nm]の波長帯を有する第2光は、水等の液体を透過しやすい。これによって、距離測定装置10は、液体LMの中に設置された測定対象物SMに関して、液体LMの外から光を照射して測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1を測定することができる。
光ファイバーF1およびF2は、波長掃引光源12により導光される光の波長を含む伝送帯域を有するファイバーである。光ファイバーF1およびF2は、例えば、マルチモード光ファイバーやシングルモード光ファイバーである。光ファイバーF1は、第1光を導光し、光ファイバーF2は、第2光を導光する。光ファイバーF1およびF2は、第1光および第2光を、互いの可干渉性を保ちつつ干渉計20の光カプラ22に導光する。
光カプラ22は、合成部の一例であるとともに、干渉部の一例でもある。光カプラ22は、例えば、光ファイバーF1〜F7をそれぞれ接続する接続ポートP1〜P7(不図示)と、各接続ポートを繋ぐ光ファイバーコネクタ(不図示)とを有する。光カプラ22は、例えば、接続ポートP1、P2、P5、P6、P7を1次ポートとし、接続ポートP3、P4を2次ポートとする5対2の光ファイバーカプラ等である。1次ポートと2次ポートとは、例えば、1つの光ファイバーコネクタによって接続されている。
光ファイバーF1から接続ポートP1に導光された第1光は、所定の分岐比に基づいて接続ポートP3と接続ポートP4とに分岐される。所定の分岐比は、例えば、接続ポートP3に分岐する光と接続ポートP4に分岐する光との強度の比が1対1になるように予め設定される。分岐された第1光(以下、「第1測定光」と称する)は、接続ポートP3を介して光ファイバーF3に導光されるとともに、接続ポートP4を介して光ファイバーF4に導光される。また、光ファイバーF2から接続ポートP2に導光された第2光は、前述した所定の分岐比に基づいて接続ポートP3と接続ポートP4とに分岐される。分岐された第2光(以下、「第2測定光」と称する)は、接続ポートP3を介して光ファイバーF3に導光されるとともに、接続ポートP4を介して光ファイバーF4に導光される。
また、光カプラ22に導光された第1光および第2光は、光カプラ22が有する光ファイバーコネクタの中で干渉し合成する。合成した第1光および第2光は、第1光および第2光の周波数の差を周波数とする第3光を生成する。生成された第3光は、前述した所定の分岐比に基づいて接続ポートP3と接続ポートP4とに分岐される。分岐された第3光(以下、「第3測定光」と称する)は、接続ポートP3を介して光ファイバーF3に導光されるとともに、接続ポートP4を介して光ファイバーF4に導光される。光カプラ22は、例えば、第1光、第2光および第3光の波長を含む伝送帯域を有する。
ここで、光カプラ22が生成する第3光の発生原理について数式を参照して説明する。後述する第1コリメータ24Aから照射される光の波動関数は、以下の式(1)によって表される。なお、後述する式において、Eは振幅を表し、ωは角周波数を表し、fは周波数を表し、λは波長を表し、kは波数を表し、nは屈折率を表し、tは時間を表す。また、後述する式中の添え字は、波長掃引光源12から射出される光の中心波長を表す。
ここで、1550±100[nm]の波長帯で周波数が1[kHz]の正弦波の第1測定光と、1310±100[nm]の波長帯で周波数が1[kHz]の正弦波の第2測定光とが、光カプラ22に同時に導光された場合、第1コリメータ24Aから照射される第1測定光の波動関数は以下の式(2)によって表され、第1コリメータ24Aから照射される第2測定光の波動関数は以下の式(3)によって表される。なお、以下の式において、第1測定光および第2測定光の掃引された波長帯(±100[nm])を除いた主波長(1550[nm]および1310[nm])のみを用いて式を表す。
第1測定光と第2測定光との合成光である第3測定光は以下の式(4)によって表される。
ここで、第3測定光の周波数fsw(t)は、第1測定光と第2測定光の周波数の差を示した以下の式(5)、(6)によって表される。
また、第3測定光の波長fsw(t)は以下の式(7)によって表される。
従って、光カプラ22の中では、8460±596[nm]の波長帯(赤外光)で波長が周期的に変化する第3測定光が生成される。
ここで、図5を参照し、光カプラ22の中で生成された第3測定光の波長の時間変化の様子について説明する。図5は、光カプラ22の中で生成された第3測定光の波長の時間変化の様子の一例を示すグラフである。
グラフG2の横軸は、経過時間Time(単位は[msec])を表す。また、グラフG2の縦軸は、光の波長λ(単位は[nm])を表す。グラフG2では、曲線LN4が第3光の波長の時間変化を表す。図5に示したように、第3光は第3波長帯(8460±596[nm])で波長が変化してもよいし、単一の波長であってもよい。
また、図6および図7を参照し、光カプラ22の中で生成された第3測定光の特性について説明する。図6は、光の波長と空気中の屈折率との関係の一例を示した図である。図7は、光の波数と光の透過率との関係の一例を示した図である。図6に示すように、光カプラ22の中で生成された8460±596[nm]の波長帯で波長が変化する第3測定光(赤外光)は、可視光や第1測定光、第2測定光と比して波長が大きいことにより、大気の屈折率による影響を受けにくい。これによって、距離測定に第3測定光(赤外光)を用いた場合、大気擾乱の測定誤差の影響を小さくすることができる。この結果、距離測定装置10は、干渉計20から液体LMの反射面LM#までの距離L0を精度良く測定することができる。
また、図7に示すように、液体(水)の液層が厚くなるにつれて、光の透過率が低下することから、距離測定装置10は、第1測定光および第2測定光と比して液体LMを透過しにくい第3測定光を、干渉計20から液体LMの反射面LM#までの距離L0を測定する測定光として用いることができる。これによって、距離測定装置10は、第1波長掃引光源12Aおよび第2波長掃引光源12Bの液体LMを透過する2つの光(第1測定光および第2測定光)によって、干渉計20から測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1を算出することができる。また、距離測定装置10は、第1測定光および第2測定光によって生成された第3測定光によって、距離L0を算出することができる。また、距離測定装置10は、距離L0を算出するために必要な第3光(第3測定光)を射出する光源を別途備える必要がなくなる。この結果、装置のサイズやコストを低減することができる。
光ファイバーF3、F4は、第1測定光、第2測定光、および第3測定光の波長を含む伝送帯域を有するファイバーである。光ファイバーF3は、導光部の一例である。光ファイバーF3は、例えば、中空光ファイバーや、Ge−As−Se系およびGe−Se−Te系のカルコゲン化合物が添加されたコアを有する。
第1コリメータ24Aは、導光された光を平行光へ変化させるか、又はある焦点に集光させる。ここで、第1コリメータ24Aは、照射部の一例である。第1コリメータ24Aは、光ファイバーF3を介して導光された第1測定光、第2測定光および第3測定光のうち一部または全部を透過する。そして、第1コリメータ24Aは、透過した第1測定光、第2測定光および第3測定光のうち一部または全部を平行光あるいは集光された光に変化させる。平行光あるいは集光された光となった第1測定光、第2測定光および第3測定光のうち一部または全部は、第1コリメータ24Aから測定対象物SMへ向けて照射される。ここで、第1コリメータ24Aは、液体LMの反射面LM#から任意の距離L0だけ離れ、測定対象物SMの反射面SM#から任意の距離L1だけ離れた位置に設置される。
第1コリメータ24Aにより照射された第1測定光は、測定対象物SMによって反射されて第1反射光として第1コリメータ24Aに入射される。また、第1コリメータ24Aにより照射された第2測定光は、測定対象物SMによって反射されて第2反射光として第1コリメータ24Aに入射される。また、第1コリメータ24Aにより照射された第3測定光は、液体LMによって反射されて第3反射光として第1コリメータ24Aに入射される。第1コリメータ24Aに入射した第1反射光、第2反射光および第3反射光は、光ファイバーF3を介して光カプラ22に導光される。
第2コリメータ24Bは、導光された光を平行光へ変化させるか、又はある焦点に集光させる。ここで、第2コリメータ24Bは、参照光照射部の一例である。第2コリメータ24Bは、光ファイバーF4を介して導光された第1測定光、第2測定光および第3測定光の一部または全部を透過する。そして、第2コリメータ24Bは、透過した第1測定光、第2測定光および第3測定光の一部または全部を平行光あるいは集光された光に変化させる。平行光あるいは集光された光となった第1測定光、第2測定光および第3測定光の一部または全部は、第2コリメータ24Bから反射体RMへ向けて照射される。
第2コリメータ24Bにより照射された第1測定光は、反射体RMによって反射されて第1参照光として第2コリメータ24Bに入射される。また、第2コリメータ24Bにより照射された第2測定光は、反射体RMによって反射されて第2参照光として第2コリメータ24Bに入射される。また、第2コリメータ24Bにより照射された第3測定光は、反射体RMによって反射されて第3参照光として第2コリメータ24Bに入射される。第2コリメータ24Bに入射した第1参照光、第2参照光および第3参照光は、光ファイバーF4を介して光カプラ22に導光される。
反射体RMは、第2コリメータ24Bへ向けて、第2コリメータ24Bから照射される光と平行に光(参照光)を反射する。反射体RMは、例えば、光学ミラーやコーナキューブプリズム等の光の高い反射特性を有する物体であり、第2コリメータ24Bから所定の距離L2だけ離れた場所に設置される。
ここで、光ファイバーF3を介して光カプラ22に導光された第1反射光、第2反射光および第3反射光と、光ファイバーF4を介して光カプラ22に導光された第1参照光、第2参照光、および第3参照光とは、光カプラ22の中で干渉し合成した複数の干渉光を生成する。生成された複数の干渉光は、光ファイバーF5を介して第1干渉光検出部32Aへ導光され、光ファイバーF6を介して第2干渉光検出部32Bへ導光され、光ファイバーF7を介して第3干渉光検出部32Cへ導光される。
第1干渉光検出部32Aは、光ファイバーF5を介して光カプラ22から導光された干渉光のうち、第1反射光と第1参照光との干渉によって生成される干渉光(以下、「第1干渉光」と称する)を検出する。第1干渉光検出部32Aは、例えば、1550±100[nm]の波長帯に含まれる波長の光のみを通過させる第1バンドパスフィルターを備えており、光カプラ22から導光された干渉光のうち、第1干渉光を抽出する。そして、第1干渉光検出部32Aは、抽出した第1干渉光を検出(受光)し、検出した第1干渉光を電気信号(以下、「第1干渉信号」と称する)に変換する。第1干渉光検出部32Aは、第1干渉信号を制御装置50に出力する。ここで、第1干渉光検出部32Aは、第1バンドパスフィルターを介して第1干渉光の検出を行うため、第1干渉光の周波数帯に最も感度が高いように最適化されていてもよい。また、第1干渉光検出部32Aは、サンプリング定理に基づき、波長掃引光源12の周期より大きい周波数の応答速度を有していてもよい。
第2干渉光検出部32Bは、光ファイバーF6を介して光カプラ22から導光された干渉光のうち、第2反射光と第2参照光との干渉によって生成される干渉光(以下、「第2干渉光」と称する)を検出する。第2干渉光検出部32Bは、例えば、1310±100[nm]の波長帯に含まれる波長の光のみを通過させる第2バンドパスフィルターを備えており、光カプラ22から導光された干渉光のうち、第2干渉光を抽出する。そして、第2干渉光検出部32Bは、抽出した第2干渉光を検出(受光)し、検出した第2干渉光を電気信号(以下、「第2干渉信号」と称する)に変換する。第2干渉光検出部32Bは、第2干渉信号を制御装置50に出力する。ここで、第2干渉光検出部32Bは、第2バンドパスフィルターを介して第2干渉光の検出を行うため、第2干渉光の周波数帯に最も感度が高いように最適化されていてもよい。また、第2干渉光検出部32Bは、サンプリング定理に基づき、波長掃引光源12の周期より大きい周波数の応答速度を有していてもよい。
第3干渉光検出部32Cは、光ファイバーF7を介して光カプラ22から導光された干渉光のうち、第3反射光と第3参照光との干渉によって生成される干渉光(以下、「第3干渉光」と称する)を検出する。第3干渉光検出部32Cは、例えば、8460±596[nm]の波長帯に含まれる波長の光のみを通過させる第3バンドパスフィルターを備えており、光カプラ22から導光された干渉光のうち、第3干渉光を抽出する。そして、第3干渉光検出部32Cは、抽出した第3干渉光を検出(受光)し、検出した第3干渉光を電気信号(以下、「第3干渉信号」と称する)に変換する。第3干渉光検出部32Cは、第3干渉信号を制御装置50に出力する。ここで、第3干渉光検出部32Cは、第3バンドパスフィルターを介して第3干渉光の検出を行うため、第3干渉光の周波数帯に最も感度が高いように最適化されていてもよい。また、第3干渉光検出部32Cは、サンプリング定理に基づき、波長掃引光源12の周期より大きい周波数の応答速度を有していてもよい。
光ファイバーF5〜F7は、光カプラ22により導光される光の波長を含む伝送帯域を有する。なお、光ファイバーF5は、光カプラ22により導光された干渉光のうち、第1干渉光の波長のみを伝送帯域に有する光ファイバーであってもよい。また、光ファイバーF6は、光カプラ22により導光された干渉光のうち、第2干渉光の波長のみを伝送帯域に有する光ファイバーであってもよい。また、光ファイバーF7は、光カプラ22により導光された干渉光のうち、第3干渉光の波長のみを伝送帯域に有する光ファイバーであってもよい。
ここで、図8を参照することで、第1干渉光検出部32Aにより検出される第1干渉光について説明する。図8は、第1干渉光検出部32Aにより検出される第1干渉光の一部を例示する図である。図8の横軸は、経過時間Time(単位は[msec])を表す。また、図8の縦軸は、干渉光の振幅(単位は、例えば、電流値[mA]等である)を表す。信号LN5は、図8に示した第1コリメータ24Aから測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1と、第2コリメータ24Bから反射体RMの反射面RM#までの距離L2との差(L1-L2)が5[mm]の場合に得られた第1干渉光を表す。第2干渉光検出部32Bにより検出される第2干渉光および第3干渉光の図については、第1干渉光検出部32Aにより検出される第1干渉光と似た図となるため、説明を省略する。
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置、他装置と通信を行うための通信インターフェース等が内部バスによって接続されたコンピュータ装置である。
制御装置50は、第1干渉光検出部32Aから第1干渉信号を取得し、第2干渉光検出部32Bから第2干渉信号を取得し、第3干渉光検出部32Cから第3干渉信号を取得する。制御装置50は、取得した第1干渉信号、第2干渉信号、および第3干渉信号に基づいて、液体LMの反射面LM#から測定対象物SMの反射面SM#までの距離を算出する。
次に、図9を参照することで、制御装置50の機能構成について説明する。図9は、制御装置50の機能構成の一例を示す図である。制御装置50は、例えば、装置制御部52と、第1干渉信号取得部54と、第2干渉信号取得部56と、第3干渉信号取得部58と、光路長算出部60と、距離導出部62と、記憶部64とを備える。この中で、装置制御部52と、第1干渉信号取得部54と、第2干渉信号取得部56と、第3干渉信号取得部58と、光路長算出部60と、距離導出部62とを含むものが、制御部51に相当する。
装置制御部52は、第1波長掃引光源12Aが第1光を射出するように第1波長掃引光源12Aを制御し、第2波長掃引光源12Bが第2光を射出するように第2波長掃引光源12Bを制御する。また、装置制御部52は、第1干渉光を検出した第1干渉光検出部32Aに対して、第1干渉信号を装置制御部52に出力するように第1干渉光検出部32Aを制御する。また、装置制御部52は、第2干渉光を検出した第2干渉光検出部32Bに対して、第2干渉信号を装置制御部52に出力するように第2干渉光検出部32Bを制御する。また、装置制御部52は、第3干渉光を検出した第3干渉光検出部32Cに対して、第3干渉信号を装置制御部52に出力するように第3干渉光検出部32Cを制御する。また、装置制御部52は、図示しない計時部を備えており、第1干渉光検出部32Aによる第1干渉光の検出と、第2干渉光検出部32Bによる第2干渉光の検出と、第3干渉光検出部32Cによる第3干渉光の検出との検出時刻を同期させる。すなわち、制御装置50は、同じタイミングで第1干渉信号、第2干渉信号および第3干渉信号を取得する。制御部51は、取得した第1干渉信号、第2干渉信号および第3干渉信号と、計時部により計時された時刻を示す情報とを対応付けて記憶部64に記憶させる。
第1干渉信号取得部54は、第1干渉光検出部32Aから出力された第1干渉信号を取得する。
第2干渉信号取得部56は、第2干渉光検出部32Bから出力された第2干渉信号を取得する。
第3干渉信号取得部58は、第3干渉光検出部32Cから出力された第3干渉信号を取得する。
光路長算出部60は、第1干渉信号取得部54により取得された第1干渉信号に基づいて、第1光路長L1550を算出する。第1光路長L1550とは、第1コリメータ24Aにより照射された第1測定光が距離L1およびL2を伝播する時の光学的距離である。また、光路長算出部60は、第2干渉信号取得部56により取得された第2干渉信号に基づいて、第2光路長L1310を算出する。第2光路長L1310とは、第1コリメータ24Aにより照射された第2測定光が距離L1およびL2を伝播する際の光学的距離である。また、光路長算出部60は、第3干渉信号取得部58により取得された第3干渉信号に基づいて、第3光路長を算出する。第3光路長とは、第1コリメータ24Aにより照射された第3測定光が距離L0およびL2を伝播する際の光学的距離である。なお、光路長算出部60は、第1光路長、第2光路長および第3光路長を算出する際、記憶部64から各種情報を取得する。各種情報とは、例えば、光速度や距離L2等の第1光路長、第2光路長および第3光路長を算出するために必要なパラメータである。
光路長算出部60は、第1干渉信号に対応付けられた時刻を用いて、予め決められた時間範囲における第1干渉信号を記憶部64から読み込み、読み込んだ第1干渉信号をフーリエ変換する。そして、光路長算出部60は、フーリエ変換した第1干渉信号から、第1ピーク周波数を検出する。第1ピーク周波数とは、第1干渉信号をフーリエ変換することで得られる第1周波数スペクトルが最大値(ピーク)となる周波数である。
ここで、図10を参照することで、光路長算出部60が第1ピーク周波数を算出する方法について説明する。図10は、第1干渉光をフーリエ変換することで得られる第1周波数スペクトルの一例を示すグラフである。図10に示したグラフの横軸は、周波数(単位は、[kHz]である)を表す。また、グラフの縦軸は、周波数スペクトルの振幅(単位は、例えば、[W/Hz]である)を表す。なお、図10は、距離L1と距離L2の差が5[mm]の場合の周波数スペクトルを示す。
光路長算出部60は、例えば、図10において、第1周波数スペクトルLN6がピークP1となる時の第1ピーク周波数2000[kHz]を検出する。なお、第1ピーク周波数は、距離L1と距離L2との差に応じて変化する。
また、光路長算出部60は、第2干渉信号に対応付けられた時刻を用いて、予め決められた時間範囲における第2干渉信号を記憶部64から読み込み、読み込んだ第2干渉信号をフーリエ変換する。そして、光路長算出部60は、フーリエ変換された第2干渉信号から、第2ピーク周波数を検出する。第2ピーク周波数とは、第2干渉信号をフーリエ変換することで得られる第2周波数スペクトルが最大値となる周波数である。
ここで、図11を参照することで、光路長算出部60が第2ピーク周波数を算出する方法について説明する。図11は、第2干渉光をフーリエ変換することで得られる第2周波数スペクトルの一例を示すグラフである。図11に示したグラフの横軸は、周波数(単位は、[kHz]である)を表す。また、グラフの縦軸は、周波数スペクトルの振幅(単位は、例えば、[W/Hz]である)を表す。なお、図11は、距離L1と距離L2の差が5[mm]の場合の周波数スペクトルを示す。
光路長算出部60は、例えば、図11において、第2周波数スペクトルLN7がピークP2となる時の第2ピーク周波数の値1300[kHz]を検出する。なお、第2ピーク周波数は、距離L1と距離L2との差に応じて変化する。
また、光路長算出部60は、第3干渉信号に対応付けられた時刻を用いて、予め決められた時間範囲における第3干渉信号を記憶部64から読み込み、読み込んだ第3干渉信号をフーリエ変換する。そして、光路長算出部60は、フーリエ変換された第3干渉信号から、第3ピーク周波数を検出する。第3ピーク周波数とは、第3干渉信号をフーリエ変換することで得られる第3周波数スペクトルが最大値となる周波数である。
ここで、図12を参照することで、光路長算出部60が第3ピーク周波数を算出する方法について説明する。図12は、第3干渉光をフーリエ変換することで得られる第3周波数スペクトルの一例を示すグラフである。図12に示したグラフの横軸は、周波数(単位は、[Hz]である)を表す。また、グラフの縦軸は、周波数スペクトルの振幅(単位は、例えば、[W/Hz]である)を表す。なお、図12は、距離L0と距離L2の差が5[mm]の場合の周波数スペクトルを示す。
光路長算出部60は、例えば、図12において、第3周波数スペクトルLN8がピークP3となる時の第3ピーク周波数の値500[Hz]を検出する。なお、第3ピーク周波数は、距離L0と距離L2との差に応じて変化する。
光路長算出部60は、第1ピーク周波数を検出すると、記憶部64に予め記憶された既知の第1ピーク周波数と既知の光路長とを対応付けた第1対応情報を読み込む。そして、光路長算出部60は、読み込んだ第1対応情報から、検出した第1ピーク周波数に対応付けられた第1光路長L1550を検出する。また、光路長算出部60は、第2ピーク周波数を検出すると、記憶部64に予め記憶された既知の第2ピーク周波数と既知の光路長とを対応付けた第2対応情報を読み込む。そして、光路長算出部60は、読み込んだ第2対応情報から、検出した第2ピーク周波数に対応付けられた第2光路長L1310を検出する。
また、光路長算出部60は、第3ピーク周波数を検出すると、記憶部64に予め記憶された既知の第3ピーク周波数と既知の光路長とを対応付けた第3対応情報を読み込む。そして、光路長算出部60は、読み込んだ第3対応情報から、検出した第3ピーク周波数に対応付けられた第3光路長L8460を検出する。なお、第1対応情報、第2対応情報および第3対応情報は、キャリブレーション等によって記憶部64に予め記憶されているものとする。
距離導出部62は、光路長算出部60により算出された第1光路長L1550、第2光路長L1310および第3光路長L8460に基づいて、干渉計20から測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1および干渉計20から液体LMの反射面LM#までの距離L0の差である距離D(=L1−L0)を算出する。
記憶部64は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含み、制御装置50が距離L1を算出するための各種情報を格納する。なお、記憶部64は、制御装置50に内蔵されるものに代えて、外付け型の記憶装置でもよい。
[制御装置50の動作フロー]
以下、図13を参照することにより、制御装置50の各機能部が行う処理について説明する。図13は、制御装置50により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、装置制御部52は、第1波長掃引光源12Aに第1光を射出させ、第2波長掃引光源12Bに第2光を射出させる(ステップS100)。
次に、第1干渉信号取得部54は、第1干渉光検出部32Aから出力された第1干渉信号を取得する(ステップS102)。次に、第2干渉信号取得部56は、第2干渉光検出部32Bから出力された第2干渉信号を取得する(ステップS104)。次に、第3干渉信号取得部58は、第3干渉光検出部32Cから出力された第3干渉信号を取得する(ステップS106)。そして、制御部51は、取得した第1干渉信号、第2干渉信号および第3干渉信号を、装置制御部52が備える図示しない計時部により計時された時刻を示す情報と対応付けて記憶部64に記憶させる。なお、制御装置50が行う処理のうち、ステップS102〜S106は、任意の順序であってもよいし、一部または全部が同時に行われてもよい。
次に、光路長算出部60は、第1干渉信号取得部54により取得された第1干渉信号に基づいて、第1光路長L1550を算出し、第2干渉信号取得部56により取得された第2干渉信号に基づいて、第2光路長L1310を算出し、第3干渉信号取得部58により取得された第3干渉信号に基づいて、第3光路長を算出する(ステップS108)。なお、光路長算出部60は、第1光路長、第2光路長および第3光路長を算出する際、記憶部64から各種情報を取得する。
次に、距離導出部62は、光路長算出部60により算出された第1光路長L1550、第2光路長L1310および第3光路長L8460に基づいて、干渉計20から測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1および干渉計20から液体LMの反射面LM#までの距離L0の差である距離D(=L1−L0)を算出する(ステップS110)。
ここで、以下の数式を参照して、光路長算出部60が算出した第1光路長L1550および第2光路長L1310と液体LMに依存した屈折率とを用いて距離Dを算出する方法について説明する。なお、以下の数式(8)、(9)において、第1光路長L1550および第2光路長L1310は、第3光路長L8460を引いた値とする。
まず、第1測定光が液体LMの中を伝播するときの液体LMに依存した屈折率を第1屈折率n1550とし、第2測定光が液体LMの中を伝播するときの液体LMに依存した屈折率を第2屈折率n1310とした場合、算出したい距離Dとの間には、以下の関係式が成り立つ。
上記の式(10)に基づいて、モンテカルロシミュレーション等の数値計算を用いて距離Dを算出することができる。例えば、上記の式(10)における第1屈折率n1550の値と第2屈折率n1310の値とをそれぞれ、モンテカルロシミュレーション等を用いてランダムに割り振る方法がある。この方法では、第1光路長L1550 *を第1屈折率n1550で除算した値と、第2光路長L1310 *を第2屈折率n1310で除算した値とが同じ値となった時、その値が算出したい距離Dとなる。しかし、この方法では、2つのパラメータ(第1屈折率n1550と第2屈折率n1310)をそれぞれランダムに割り振ることによって、1つのパラメータをランダムに割り振る場合に比べて計算時間が長くなる。そこで、以下の方法によって、2つのパラメータをランダムに割り振ることで距離Dを算出する場合と比較して、より早く距離Dを算出する。
また、第1光路長と第2光路長の差(L1550 *−L1310 *)をΔLとすると、以下の式(11)が成り立つ。
また、式(11)は、以下の式(12)のように変形して表される。
ここで、式(11)および式(12)に基づいて、第1屈折率n1550と第2屈折率n1310の比は、以下の式(13)のように表される。
一方、距離Dの二乗は、式(10)により以下の式(14)のように表される。
ここで、式(14)は、式(13)により以下の式(15)のように変形して表される。
次に、距離Dの二乗を表した式(15)から距離Dは、第1屈折率n1550を用いて以下の式(16)のように表される。
また、距離Dの二乗を表した式(15)から距離Dは、第2屈折率n1310を用いて以下の式(17)のように表される。
また、式(17)は、式(13)を用いて以下の式(18)のように表される。
上記の式(16)および式(18)は、距離Dを、測定値である第1光路長L1550 *および第2光路長L1310 *と、未知数である第1屈折率n1550とで表した式である。また、上述したように、式(12)により、式(16)および式(18)の未知数は、いずれも1つのパラメータである第1屈折率n1550のみとなっている。距離導出部62は、距離Dを、式(16)と式(18)の連立方程式を解くことで算出する。また、距離導出部62は、未知数である第1屈折率n1550を、式(13)、式(16)および式(18)の連立方程式を解くことで算出する。
この連立方程式を解く方法の一例として、距離導出部62は、例えば、所定の範囲内(例えば、±0.001)で第1屈折率n1550の値を変化させ、式(16)における距離Dと式(18)における距離Dとが一致する値を算出する。
この時、距離導出部62は、モンテカルロシミュレーション等によって、所定の範囲内(例えば、±0.001)で第1屈折率n1550の値をランダムに変化させてもよいし、所定の範囲内(例えば、±0.001)で第1屈折率n1550の値を連続的に変化させてもよい。また、距離導出部62は、所定の範囲内(例えば、±0.001)で第1屈折率n1550の値を総当たりしてもよい。
距離導出部62は、所定の範囲において第1屈折率n1550を変化させた時に、式(16)と式(18)とが一致した時の値を距離Dとして算出する。これによって、第1光路長L1550 *と第2光路長L1310 *との2つの光路長を用いずに距離Dを算出する場合に比べて、高い精度で距離Dを算出することができる。この結果、液体LMの反射面LM#から測定対象物SMの反射面SM#までの距離Dを精度良く測定することができる。また、距離導出部62は、式(10)を用いて第1屈折率n1550および第2屈折率n1310を算出してもよい。これによって、距離Dを測定しつつ、算出した第1屈折率n1550と第2屈折率n1310のうちいずれか一方又は両方に基づいて、液体LMの成分を分析することができる。この結果、距離測定装置10は、液体LMに接触せずに液体LMを特定することができる。
また、ここで、図14および図15を参照することで、距離導出部62が距離(L1−L2)および距離(L0-L2)を算出する別の方法について説明する。図14は、既知の第1ピーク周波数および既知の第2ピーク周波数と既知の距離(L1−L2)との相関関係を示すグラフである。図14に示したグラフの横軸は、距離(単位は、[mm]である)を表す。また、グラフの縦軸は、第1干渉信号および第2干渉信号の周波数(単位は、例えば、[MHz]である)を表す。
また、図15は、既知の第3ピーク周波数と既知の距離(L0−L2)との相関関係を示すグラフである。図15に示したグラフの横軸は、距離(単位は、[mm]である)を表す。また、グラフの縦軸は、第3干渉信号の周波数(単位は、例えば、[kHz]である)を表す。
距離導出部62は、光路長算出部60により検出された第1ピーク周波数および第2ピーク周波数に基づいて、既知の第1ピーク周波数および既知の第2ピーク周波数と既知の距離(L1−L2)との相関関係を示すデータ(図14)を参照して、距離(L1−L2)を算出する。光路長算出部60は、例えば、検出した第1ピーク周波数の値が2[MHz]の場合、検出した周波数に対応する距離(L1−L2)の値5[mm]を読み取る。また、光路長算出部60は、例えば、検出した第2ピーク周波数の値が1.3[MHz]の場合、検出した周波数に対応する距離(L1−L2)の値5[mm]を読み取る。なお、図14に示す既知の第1ピーク周波数および既知の第2ピーク周波数と既知の距離(L1−L2)との相関関係を示すデータは、予め制御装置50によって取得され、記憶部64に記憶されているものとする。
また、距離導出部62は、光路長算出部60により検出した第3ピーク周波数に基づいて、既知の第3ピーク周波数と既知の距離(L0−L2)との相関関係を示すデータ(図15)を参照して、求めたい第3光路長を算出する。光路長算出部60は、例えば、検出した第3ピーク周波数の値が0.5[kHz]の場合、検出した周波数に対応する第3光路長の値2[mm]を読み取る。なお、図15に示す既知の第3ピーク周波数と既知の距離(L0−L2)との相関関係を示すデータは、予め制御装置50によって取得され、記憶部64に記憶されているものとする。
距離導出部62は、読み取った距離(L1−L2)および距離(L0−L2)から距離Dを算出する。また、距離導出部62は、例えば、図14および図15に示したデータを参照し算出した距離Dと、モンテカルロシミュレーション等の数値計算によって算出した距離Dとのどちらか一方を測定結果として出力してもよいし、両方の平均値を測定結果として出力してもよい。これによって、測定した距離Dに含まれる誤差の影響を小さくすることができる。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
以上説明した本実施形態の距離測定装置10によれば、第1コリメータ24Aが第1波長帯で波長が変化する第1測定光と、第1波長帯とは異なる第2波長帯で波長が変化する第2測定光と、第1測定光および第2測定光とは異なる波長の第3測定光とを、液体LM中の測定対象物SMに対して照射し、測定対象物SMにて反射した第1反射光および第2反射光と、液体LMにて反射した第3反射光とを受光し、受光した第1反射光、第2反射光および第3反射光に基づいて、液体LMの反射面LM#から測定対象物SMの反射面SM#までの距離Dを算出することによって、干渉計20から測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1に含まれる誤差を小さくしつつ、干渉計20から液体LMの反射面LM#までの距離L0に含まれる誤差を小さくすることができ、距離L1と距離L0との差である距離Dを真値に対してより正確に算出することができる。この結果、距離測定装置10は、液体中の物体までの距離を精度良く測定することができる。
また、本実施形態の距離測定装置10によれば、第1光と第2光との干渉により生成された第3光を液体LM中の測定対象物SMの形状の測定に用いることによって、波長ごとの測定距離の違いから、液体の屈折率を算出することができる。この結果、液体LMに接触せずに液体LMを特定することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照して説明する。第2実施形態に係る距離測定装置10は、測定対象物SMにて反射された第1反射光および第2反射光と、液体LMにて反射された第3反射光と、反射体RMで反射された第1参照光、第2参照光および第3参照光との6つの光を干渉させる構成に代えて、測定対象物SMにて反射された第1反射光および第2反射光と、液体LMにて反射された第3反射光と、第1測定光が液体LMにて反射された第1参照光と、第2測定光が液体LMにて反射された第2参照光と、第3測定光が第1コリメータ24Aにて端面反射された第3参照光とを干渉させる構成となっている。なお、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。
図16は、第2実施形態に係る距離測定装置10の一例を示す構成図である。一部の構成については、図2及び図9を援用し、同じ機能部に対して同一の符号を付して説明する。距離測定装置10は、例えば、第1波長掃引光源12Aと、第2波長掃引光源12Bと、干渉計20−1と、第1干渉光検出部32Aと、第2干渉光検出部32Bと、第3干渉光検出部32Cと、制御装置50とを備える。
干渉計20−1は、例えば、光カプラ22−1と、第1コリメータ24Aと、光ファイバーF3とを備える。
光カプラ22−1は、光ファイバーF3を介して第1コリメータ24Aに接続されている。光カプラ22−1は、例えば、光ファイバーF1を接続する接続ポートP1(不図示)と、光ファイバーF2を接続する接続ポートP2(不図示)と、光ファイバーF3を接続する接続ポートP3(不図示)と、光ファイバーF5を接続する接続ポートP5(不図示)と、光ファイバーF6を接続する接続ポートP6(不図示)と、光ファイバーF7を接続する接続ポートP7(不図示)と、各接続ポートを繋ぐ光ファイバーコネクタ(不図示)とを有する。光カプラ22は、例えば、接続ポートP1、P2、P5、P6、P7を1次ポートとし、接続ポートP3を2次ポートとする5対1の光ファイバーカプラ等である。
光ファイバーF1から接続ポートP1に導光された第1光は、接続ポートP3を介して光ファイバーF3に第1測定光として導光される。また、光ファイバーF2から接続ポートP2に導光された第2光は、接続ポートP3を介して光ファイバーF3に第2測定光として導光される。また、光カプラ22−1の中で生成された第3光は、接続ポートP3を介して光ファイバーF3に第3測定光として導光される。
第1コリメータ24Aは、導光された光を平行光へ変化させるか、又はある焦点に集光させる。第1コリメータ24Aは、光ファイバーF3を介して導光された第1測定光、第2測定光および第3測定光の一部または全部を透過する。そして、第1コリメータ24Aは、透過した第1測定光、第2測定光および第3測定光の一部または全部を平行光あるいは集光された光に変化させる。平行光あるいは集光された光となった第1測定光、第2測定光および第3測定光の一部または全部は、第1コリメータ24Aから測定対象物SMへ向けて照射される。
第1コリメータ24Aにより照射された第1測定光は、測定対象物SMによって反射されて第1反射光として第1コリメータ24Aに入射される。また、第1コリメータ24Aにより照射された第1測定光の一部は、液体LMによって反射されて第1参照光として第1コリメータ24Aに入射される。また、第1コリメータ24Aにより照射された第2測定光は、測定対象物SMによって反射されて第2反射光として第1コリメータ24Aに入射される。また、第1コリメータ24Aにより照射された第2測定光の一部は、液体LMによって反射されて第2参照光として第1コリメータ24Aに入射される。また、第1コリメータ24Aにより照射された第3測定光は、液体LMによって反射されて第3反射光として第1コリメータ24Aに入射される。また、第1コリメータ24Aにより照射された第3測定光の一部は、第1コリメータ24Aにて端面反射されて第3参照光として第1コリメータ24Aに入射される。第1コリメータ24Aに入射した第1反射光、第2反射光、第3反射光、第1参照光、第2参照光および第3参照光は、光ファイバーF3を介して光カプラ22に導光される。
ここで、光ファイバーF3を介して光カプラ22に導光された第1反射光、第2反射光、第3反射光、第1参照光、第2参照光および第3参照光は、光カプラ22の中で干渉し合成した複数の干渉光を生成する。生成された複数の干渉光は、光ファイバーF5を介して第1干渉光検出部32Aへ導光され、光ファイバーF6を介して第2干渉光検出部32Bへ導光され、光ファイバーF7を介して第3干渉光検出部32Cへ導光される。
このように、本実施形態における距離測定装置10は、反射体RMによって反射した光を第1参照光、第2参照光および第3参照光として干渉光を生成させる構成に代えて、液体LMによって反射した光を第1参照光および第2参照光とし、第1コリメータ24Aによって端面反射した光を第3参照光として干渉光を生成させる構成としたため、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、距離測定装置10は、第1の実施形態と同様の効果に加えて、第1の実施形態における光カプラ22から第1コリメータ24Aまでの間の光ファイバーF3の長さと、第1の実施形態における光カプラ22から第2コリメータ24Bまでの間の光ファイバーF4の長さとが気温等によって伸縮することによる光路長の差異の発生を抑制することができる。さらに、距離測定装置10は、図2に示した構成と比べて、設備コストを削減することができる。
上記の第1および第2実施形態の説明において、干渉計20が、光ファイバーF3およびF4と、光カプラ22と、第1コリメータ24Aと、第2コリメータ24Bと、反射体RMとを備えているものとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、干渉計20が、光ファイバーF1、F2、F7、F8、F9のうちの一部又は全部を備える構成であってもよい。また、干渉計20は、さらに、第1波長掃引光源12Aと、第2波長掃引光源12Bと、第1干渉光検出部32Aと、第2干渉光検出部32Bと、第3干渉光検出部32Cのうちの一部又は全部を備える構成であってもよい。
また、距離測定装置10では、第1干渉光検出部32Aが第1バンドパスフィルターを用いて第1干渉光を検出し、第2干渉光検出部32Bが第2バンドパスフィルターを用いて第2干渉光を検出し、第3干渉光検出部32Cが第3バンドパスフィルターを用いて第3干渉光を検出する構成としたが、これに代えて、光カプラ22から第1反射光と第2反射光と第3反射光と第1参照光と第2参照光と第3参照光とが干渉を起こした1つの干渉光が1つの光ファイバーを介して1つの干渉光検出部に導光され、干渉光検出部で検出される構成であってもよい。この場合、制御装置50は、1つの干渉光をフーリエ変換して得られる周波数スペクトルから、3つのピークP1、P2およびP3を検出し、それぞれのピークに対応した第1ピーク周波数、第2ピーク周波数および第3ピーク周波数を、第1波長帯、第2波長帯および第3波長帯に対応するピークに基づいて検出するものとする。第1干渉光検出部32A、第2干渉光検出部32Bおよび第3干渉光検出部32Cは、受光部の一例である。
また、制御部51は、取得した第1干渉光、第2干渉光および第3干渉光を、計時部により計時された時刻と関連付けて記憶部64に記憶する構成としたが、これに代えて、取得した第1干渉光、第2干渉光および第3干渉光を、干渉光を取得するまでに経過する時間の間隔と対応付けて記憶部64に記憶するとしてもよい。
また、第1波長掃引光源12Aが掃引する第1光の波長帯は、第1波長帯(1550±100[nm])に限られず、他の波長帯で掃引されてもよい。また、第2波長掃引光源12Bが掃引する第2光の波長帯は、第2波長帯(1310±100[nm])に限られず、他の波長帯で掃引されてもよい。なお、第1光の波長帯と第2光の波長帯は、互いに異なる波長帯とする。また、第1光の波長帯および第2光の波長帯は、第1光および第2光により生成される第3光が赤外光となるように掃引する。
なお、第1波長掃引光源12Aと制御装置50、第2波長掃引光源12Bと制御装置50、第1干渉光検出部32Aと制御装置50、第2干渉光検出部32Bと制御装置50、第3干渉光検出部32Cと制御装置50のうち一部又は全部は、無線によって通信可能に接続されてもよい。
また、距離測定装置10では、第1反射光および第1参照光が干渉した光を第1干渉光として取得するため、第1波長掃引光源12Aから射出される第1光を分岐した際の可干渉距離は、図1に示した距離L1と距離L2との差よりも長くなければならない。
また、距離測定装置10では、第2測定光および第2参照光が干渉した光を第2干渉光として取得するため、第2波長掃引光源12Bから射出される第2光の可干渉距離は、図1に示した距離L1と距離L2との差よりも長くなければならない。
また、上記の実施形態において、干渉計20の好ましい一例として、光カプラ22から第1コリメータ24Aまでの光路長と、光カプラ22から第2コリメータ24Bまでの光路長とは、同じ距離であるとしたが、これに代えて、例えば、第1コリメータ24Aから測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1と、波長掃引光源12の可干渉距離に応じて、光路長差を光ファイバーF3および光ファイバーF4の長さを変えることで調整しても良い。
また、測定対象物SMにおいて、距離L1を測定したい点が複数ある場合は、図15に示した一連の処理を、測定したい点の数だけ繰り返すとしてもよい。その場合、距離測定装置10は、測定光の照射方向を測定したい点に向けて変更可能であるとし、測定方向を示す情報も対応付けて記憶部64に記憶するようにする。
また、干渉計20は、測定対象物SMにて反射された第1反射光および第2反射光と、液体LMにて反射された第3反射光と、反射体RMにて反射された第1参照光、第2参照光および第3参照光とを干渉させることで干渉光を発生させる構成を別の構成に代えてもよい。例えば、光ファイバーF6がループ状の経路となるように光カプラ22に接続され、そのループ状の経路を通過して光カプラ22に戻ってきた第1参照光、第2参照光および第3参照光と、測定対象物SMにて反射された第1測定光および第2測定光と、液体LMにて反射された第3反射光とを干渉させることで干渉光を発生させる構成等としてもよい。このループ状の経路は、測定対象物SMの反射面SM#までの距離L1と、波長掃引光源12の可干渉距離に応じて調整しても良い。
なお、以上に説明した装置(例えば、距離測定装置10)における制御装置50の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒質に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、コンピュータ読み取り可能な記録媒質とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)−ROM等の可搬媒質、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒質」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒質を介して、あるいは、伝送媒質中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒質」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒質のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。