JP4347484B2 - 厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法 - Google Patents

厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測するための厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造において、近年、パターン付などの半導体ウエハの厚みをより薄くするエッチング工程の必要性が増大している。
【0003】
そのようなエッチング工程においては、エッチング液を供給して半導体ウエハのエッチングを行うウエットエッチング装置が使用される。従来のウエットエッチング方法では、あらかじめダミーウエハのエッチングを行ってエッチングレートを確認しておき、そのエッチングレートに基づいてエッチングの終了時刻を決定している。
【0004】
しかしながら、このようなエッチング時間の管理方法を用いた場合、ダミーウエハのエッチングという実際のエッチング工程とは別の工程が余計に必要となるという問題がある。また、エッチングレートは必ずしもエッチング工程ごとに一定ではなく、そのため、一定のエッチングレートを仮定した時間管理では得られる半導体ウエハの厚みにばらつきを生じてしまう。
【0005】
このようなエッチング工程におけるエッチング精度や作業効率を向上させるには、半導体ウエハ部分の厚みを、インサイチュ(In-Situ)でエッチング中に計測する必要がある。このような計測を行うことによって、エッチング中での厚みの時間変化のデータを得ることができ、これによって終了時刻をそれぞれのエッチング工程ごとに求めることができるなど、様々なエッチング工程の管理及び制御が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体ウエハの厚み計測装置としては、接触式の厚み計や、マイケルソン干渉計型の厚み計などがある。これらの厚み計のうち、接触式の厚み計は、インサイチュでの計測に適用することができない。また、接触するためにウエハに傷がつく場合があり、高速での計測ができず、あるいは、保持基板やフィルムなどがついている場合にはウエハのみでの厚みの計測ができないなどの問題点がある。
【0007】
一方、マイケルソン干渉計型の厚み計は、非接触で半導体ウエハの厚みを計測する厚み計である。このような厚み計としては、特開平5−248817号公報に示されている装置があるが、この装置では、半導体ウエハに計測光を照射し、ウエハ表面からの反射光の反射タイミング変化によって厚みの時間変化を計測している。しかしながら、この場合には、表面の位置のみを計測していることになるので、厚みを求めるために裏面の位置などの厚みの初期条件を与えてやる必要がある。また、エッチング液を用いたウエットエッチング工程では、ウエハ表面上にあるエッチング液で計測光が反射されてしまうため、半導体ウエハの厚みを計測することができない。
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、ウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測することが可能な厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による厚み計測装置は、エッチング液を用いたウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測するための厚み計測装置であって、(1)計測光を供給する計測光源と、(2)計測光源からの計測光を分岐させる光分岐手段と、(3)光分岐手段で分岐された計測光の一方を、計測対象である半導体ウエハに対して出力させて、エッチング液が供給されているエッチング面側から照射する光出力手段と、(4)光出力手段から照射された計測光がエッチング液または半導体ウエハによって反射された反射光を入力させる光入力手段と、(5)光分岐手段で分岐された計測光の他方を、光路長が可変に構成された参照用光路を通過させて、参照光路長が設定された参照光を生成する参照光生成手段と、(6)光入力手段からの反射光と、参照光生成手段からの参照光とを結合させて干渉光とする光結合手段と、(7)光結合手段からの干渉光を検出する光検出手段と、(8)参照光生成手段で設定された参照光路長と、光検出手段で検出された干渉光の光強度との相関を示す光強度分布において、設定された閾値よりも大きい光強度を有する複数の光強度ピークのうち、参照光路長が小さい側から2番目及び3番目の光強度ピーク間での参照光路長の光路長差を用いて半導体ウエハの厚みを求める厚み算出手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記した厚み計測装置は、半導体ウエハに計測光を照射して反射されてきた反射光と、計測光から分岐され所定の光路を通過して反射光の光路長に対して参照光路長が設定された参照光とを結合し、生成された干渉光を検出する。そして、その干渉光の光強度分布において生じる複数の光強度ピークから、ウエットエッチング中の半導体ウエハの厚みを計測している。
【0011】
このとき、参照光路長が小さい側から1番目の光強度ピークは、エッチング液表面からの反射光に対応し、さらに、2番目、3番目の光強度ピークは、半導体ウエハの上面(エッチング面)、下面にそれぞれ対応している。したがって、2番目及び3番目の光強度ピークを利用することによって、エッチング液の存在にかかわらず、ウエットエッチング中に半導体ウエハの厚み、あるいはその時間変化を計測することが可能となる。また、ウエハ上面からの反射光と基準となる初期条件とから厚みを求めるのではなく、ウエハ上面及び下面の両方からの反射光を用いているので、半導体ウエハやエッチング液の状態が変化しても、常に正しく半導体ウエハの厚みを計測することができる。
【0012】
ここで、光出力手段及び光入力手段は、単一の光入出力手段からなるとともに、光分岐手段及び光結合手段は、単一の光カプラからなることが好ましい。この場合、特に厚み計測装置の構成が簡単化される。
【0013】
また、本発明によるウエットエッチング装置は、上記の厚み計測装置を備えるウエットエッチング装置であって、ウエットエッチングの対象となる半導体ウエハのエッチング面に、エッチング液を供給するエッチング液供給手段と、エッチング液供給手段によるエッチング液の供給を制御するエッチング制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるウエットエッチング方法は、上記の厚み計測装置を用いたウエットエッチング方法であって、ウエットエッチングの対象となる半導体ウエハのエッチング面に、エッチング液を供給してウエットエッチングを開始するエッチング開始ステップと、エッチング開始ステップで開始されたウエットエッチングの実行中に、厚み計測装置を用いて半導体ウエハの厚みを計測する厚み計測ステップと、エッチング液の供給を停止してウエットエッチングを終了するエッチング終了ステップとを有することを特徴とする。
【0015】
このようなウエットエッチング装置及び方法によれば、厚み計測装置によってウエットエッチング中の半導体ウエハに対して得られた厚みデータに基づいて、エッチング制御手段を介して、エッチング液の供給の停止によるウエットエッチングの終了、あるいはエッチングレートの変更などを適宜制御することが可能である。
【0016】
さらに、ウエットエッチング装置は、厚み計測装置の厚み算出手段が、求められた半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいてウエットエッチングの終了時刻を求めて、終了時刻を指示する終了指示信号を出力し、エッチング制御手段は、終了指示信号に基づいて、エッチング液供給手段によるエッチング液の供給を停止させることを特徴とする。
【0017】
エッチングの終了時刻としては、例えば、計測された厚みデータから操作者が判断してエッチング制御手段に指示することも可能であるが、上記のように厚み算出手段からの終了指示信号によってエッチングを終了させる構成とすることによって、設定された終点厚みが得られるように自動的にエッチングの終了が制御されるウエットエッチング装置が実現される。
【0018】
また、半導体ウエハのエッチング面とは反対の面側に配置されて半導体ウエハを保持する保持基板を備え、保持基板は、半導体ウエハの終点厚みの光学的厚みの2倍以上の光学的厚みを有することを特徴とする。
【0019】
半導体ウエハが薄く強度が充分でない場合には、このように保持基板によって保持することが好ましい。ここで、半導体ウエハの厚み計測において、エッチング液面からの反射光が計測されずに、保持基板の厚みが半導体ウエハの厚みとして誤って求められるエラーを生じる場合がある。このとき、保持基板の光学的厚み(光路長に相当)を、半導体ウエハの光学的厚みよりも充分に大きい2倍以上の厚みに設定しておくことによって、このような厚みデータを正しい厚みデータと区別して除外することができる。
【0020】
また、厚み計測装置は、計測光源が、所定の時間間隔をおいた複数の計測時刻に計測光を供給し、厚み算出手段は、それぞれの計測時刻で得られた光路長差から生のデータとしてそれぞれ求められた半導体ウエハの厚みを生厚みデータとし、複数の生厚みデータに対してフィッティング計算を行って半導体ウエハの厚みの時間変化を示す厚み変化直線を決定し、半導体ウエハの厚みを厚み変化直線から求めることを特徴とする。
【0021】
また、ウエットエッチング方法は、厚み計測ステップが、複数の計測時刻のそれぞれで得られた光路長差から生のデータとして求められた半導体ウエハの厚みを生厚みデータとし、複数の生厚みデータに対してフィッティング計算を行って半導体ウエハの厚みの時間変化を示す厚み変化直線を決定し、半導体ウエハの厚みを厚み変化直線から求めることを特徴とする。
【0022】
光路長差から直接求められた厚みデータをそのまま使用することも可能であるが、このようにフィッティングによって厚み変化直線を求めることによって、生厚みデータの持つ統計的ばらつきの影響を低減することができる。
【0023】
さらに、厚み計測装置は、厚み算出手段が、厚み変化直線に対して許容される生厚みデータの許容数値範囲を設定し、許容数値範囲内にある生厚みデータを用いて、半導体ウエハの厚みを求めることを特徴とする。
【0024】
また、ウエットエッチング方法は、厚み計測ステップが、厚み変化直線に対して許容される生厚みデータの許容数値範囲を設定し、許容数値範囲内にある生厚みデータを用いて半導体ウエハの厚みを求めることを特徴とする。
【0025】
厚みの計測においては、統計的ばらつきとは別に、エッチング液面からの反射光が検出されないなどの計測エラーによるばらつきを生じる場合がある。これに対して、許容数値範囲を設定することによって、計測エラーを生じた厚みデータを除外して、エラーばらつきの影響を低減することができる。
【0026】
また、ウエットエッチング方法は、厚み計測ステップで求められた半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいてウエットエッチングの終了時刻を求める終了時刻算出ステップをさらに有し、エッチング終了ステップは、終了時刻算出ステップで求められた終了時刻に基づいてエッチング液の供給を停止することを特徴とする。
【0027】
このように、厚み計測装置で求められた厚みデータに基づいて終了時刻を求めることによって、ウエットエッチングによって得られる半導体ウエハの厚みの、設定されている終点厚みからのばらつきを抑制することができ、半導体装置製造の効率化と歩留まりの向上を実現することができる。
【0028】
終了時刻を求める方法については、終了時刻算出ステップは、半導体ウエハの厚みの時間変化において、求められた半導体ウエハの厚みが終点厚み以下となった計測時刻を終了時刻とすることが可能である。
【0029】
あるいは、終了時刻算出ステップは、半導体ウエハの厚みの時間変化を示す厚み変化直線を用いて終了時刻を予測することが可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0031】
最初に、本発明による厚み計測装置及びウエットエッチング装置の構成について説明する。図1は、厚み計測装置、及びそれを備えるウエットエッチング装置を示す構成図である。このウエットエッチング装置は、厚み計測装置Aと、厚み計測装置Aを除く通常のウエットエッチング装置B(以下、この装置部分を単にウエットエッチング装置Bという)とを備えて構成されている。
【0032】
厚み計測装置Aは、計測対象である半導体ウエハWに計測光を照射し、半導体ウエハWからの反射光及び参照光の干渉光の光強度変化を利用して半導体ウエハWの厚みを計測するように構成された非接触式の厚み計である。厚み計測に用いる計測光は計測光源11によって供給され、計測光源11から出力された計測光は、入力用光ファイバ11aを介してファイバカプラからなる光カプラ12に入力される。計測光源11としては、低コヒーレンス光源(例えば波長1.3μmの光を発生させるSLDなど)を用いることが好ましい。計測光の波長としては、半導体ウエハWやエッチング液などを充分に透過する波長を選択する。
【0033】
光カプラ12は、計測光源11からの計測光を分岐させる光分岐手段として機能し、光カプラ12に入力された計測光は、計測用光路に向かう計測用光ファイバ13a、及び参照用光路に向かう参照用光ファイバ14aに分岐される。分岐された計測光は、それぞれ厚みを計測するためのプローブヘッド13、及び参照光を生成するための参照光生成部14に入力される。
【0034】
プローブヘッド13は、計測光を半導体ウエハWへと照射するための光出力手段、及び半導体ウエハWまたはエッチング液などによって計測光が反射された反射光を再び入力するための光入力手段として機能する光入出力手段である。光カプラ12で分岐された光のうち、光ファイバ13a側に分岐された計測光は、プローブヘッド13から半導体ウエハWへと出力され、半導体ウエハWに対して上面側のエッチング面から照射される。この計測光には、上記したように半導体ウエハWなどを充分に透過する波長の光が用いられているが、その一部は各界面において反射されて、その反射光が再びプローブヘッド13に到達する。プローブヘッド13に到達して再入力された反射光は、光ファイバ13aを介して光カプラ12に入力される。
【0035】
一方、参照光生成部14においては、半導体ウエハWなどからの反射光との干渉光によって厚み(光路長)を測定するための参照光が生成される。光カプラ12で光ファイバ14a側に分岐された計測光は、光ファイバ14aの出力端と、反射ミラー14cとの間に配置された光路長変調光学系からなる参照用光路14bを通過して、半導体ウエハWなどからの反射光の光路長(反射光路長)に対する参照光の光路長(参照光路長)が設定された参照光となる。
【0036】
本実施形態においては、光ファイバ14aの出力端から出力された計測光は、平行平面ガラス基板14dを透過し、反射ミラー14cに到達して反射される。反射ミラー14cからの反射光は、再びガラス基板14dを逆方向に透過して、適当な参照光路長が設定された参照光として、光ファイバ14aを介して光カプラ12に入力される。
【0037】
上記の参照光生成部14は、参照用光路14bの光路長が可変に構成されている。すなわち、参照用光路14b上にあるガラス基板14dは、ガルバノメータ14eに取り付けられている。ガルバノメータ14eは、参照光路長制御部17からの周期的な信号に基づいて動作し、これによって、参照用光路14bに対するガラス基板14dの傾きが周期的に変化する。このとき、参照用光路14bの方向で見たガラス基板14dの厚さが変化するので、これによって、参照用光路14bの光路長が周期的に変化して、反射光路長に対する参照光路長(反射光に対する参照光のタイミング)が周期的にスキャンされる。
【0038】
光カプラ12は、上記したように計測光源11からの計測光を分岐させる光分岐手段であるとともに、プローブヘッド13からの反射光、及び参照光生成部14からの参照光を結合させる光結合手段としても機能する。半導体ウエハWなどで反射されてプローブヘッド13に戻って入力された反射光、及び参照光生成部14において参照光路長が設定された参照光は、光カプラ12で結合されて干渉光となり、出力用光ファイバ15aを介してフォトダイオード(PD)などの光検出器15に入力されて検出される。
【0039】
光検出器15で検出された干渉光のデータ等は、厚み算出部16において処理され、それらのデータに基づいて半導体ウエハWの厚みが算出される。光検出器15によって干渉光を検出して得られた検出信号は、厚み算出部16の信号処理回路16aを介してデータ処理部16bに入力される。この光検出器15からの検出信号によって、干渉光の光強度のデータが得られる。また、参照光路長制御部17からのガルバノメータ14e(ガラス基板14d)の角度信号も、同様に信号処理回路16aを介してデータ処理部16bに入力されている。この角度信号から、参照用光路14bにおける参照光路長、またはその光路長変化量のデータが得られる。
【0040】
厚み算出部16においては、これらの光強度データ、及び参照光路長データから、干渉光の光強度の参照光路長による変化(相関)を示す光強度分布が作成される。そして、得られた光強度分布において、そのピーク強度が設定されている閾値強度を超えるものとして選択された複数の光強度ピークを用いて、半導体ウエハWの厚みが算出される。なお、半導体ウエハWなどからの反射光、それに対応して生成される光強度分布の光強度ピーク、及びそれらを用いた厚みの算出方法の詳細については、後述する。
【0041】
ウエットエッチング装置Bは、エッチング処理の対象(厚み計測装置Aの計測対象)である半導体ウエハWの一方の表面(以下、エッチング面という)を、エッチング液によってウエットエッチングするように構成されている。半導体ウエハWは、エッチング面とは反対の面側に配置されたガラス基板などからなる保持基板21によって保持された状態で、回転台22上に固定される。回転台22は、回転駆動部23によって回転駆動され、これによって、ウエットエッチング中に半導体ウエハWが回転される。半導体ウエハWがパターン付である場合には、パターンのある面が保持基板21側とされ、パターンとは反対側の面をエッチング面としてウエットエッチングが行われる。
【0042】
半導体ウエハWのエッチング面へのエッチング液の供給は、エッチング液供給部24によって行われる。エッチング液供給部24は、半導体ウエハWに対するエッチング液の供給及び停止、または洗浄水の供給などを行う。このエッチング液供給部24によって、回転している半導体ウエハWのエッチング面にノズル24aからエッチング液が供給されると、供給されたエッチング液は半導体ウエハWの表面上で薄いエッチング液層Eを形成し、このエッチング液層Eによって、半導体ウエハWの表面がウエットエッチングされる。
【0043】
回転台22及び回転台22上に載置された保持基板21、半導体ウエハWの回転駆動部23による回転と、エッチング液供給部24による半導体ウエハWのエッチング面へのエッチング液または洗浄液の供給及び停止は、エッチング制御部25によって制御される。
【0044】
厚み計測装置Aのプローブヘッド13は、回転台22上に保持基板21とともに載置された半導体ウエハWのエッチング面の所定部位に対向する位置に、エッチング面に向けて照射される計測光の光路がエッチング面に対して略垂直になるように設置される。このとき、垂直に照射された計測光が半導体ウエハWなどによって反射された反射光が、効率的にプローブヘッド13に再入力される。なお、飛散したエッチング液によるレンズ等の腐食を防止するため、プローブヘッド13にはエッチング液に耐性のある塩化ビニルなどの透明シートを保護膜として設けておくことが好ましい。または、プローブヘッド13の先端に円筒を取り付け、その内部を加圧することによってエッチング液の付着を防いでも良い。
【0045】
ここで、厚み計測装置A及びウエットエッチング装置Bからなる図1のウエットエッチング装置を用いた半導体ウエハWのウエットエッチング方法について、一例をあげて説明しておく。
【0046】
まず、保持基板21に保持された半導体ウエハWを、回転台22上に載置する。そして、エッチング制御部25からの指示信号に基づいて回転台22の回転駆動が開始される。続いて、エッチング液供給部24に対して半導体ウエハWのエッチング面へのエッチング液の供給が指示されて、半導体ウエハWのウエットエッチングが開始される(エッチング開始ステップ)。
【0047】
ウエットエッチングが開始されたら、厚み計測装置Aによって半導体ウエハWの厚みが計測される(厚み計測ステップ)。厚みの計測は、操作者の指示により、または設定されている時刻及び時間間隔で自動的に行われる。そして、計測された厚みデータから、実行中のウエットエッチング工程における厚みの時間変化等が評価される。厚みの評価については、例えば厚み計測装置Aの厚み算出部16において自動的に評価を行うことが可能である。または、厚み算出部16に表示装置(ディスプレイ)を接続しておき、この表示装置に厚みデータを表示させて、表示されたデータに基づいて操作者が評価する構成としても良い。
【0048】
ウエットエッチングの終了時刻となったら、エッチング制御部25からの指示信号によって、エッチング液供給部24によるエッチング液の供給が停止される。続いて、所定時間にわたって洗浄水が半導体ウエハWのエッチング面に供給されて、半導体ウエハWが洗浄される。洗浄水の供給を停止して半導体ウエハWの洗浄が終了した後、さらに所定時間、回転台22を回転駆動して半導体ウエハWのエッチング面から洗浄水を除去する。そして、洗浄水の除去が終了したら、回転駆動部23による回転台22の回転が停止されて、半導体ウエハWのウエットエッチングの全工程を終了する(エッチング終了ステップ)。
【0049】
このとき、ウエットエッチングの終了時刻としては、あらかじめ与えられたエッチング時間やエッチングレートのデータに基づいて決定しても良いが、厚み計測装置Aによって計測された厚みデータに基づいて評価された厚みの時間変化から、設定されている終点厚みになる終了時刻を算出して用いることが好ましい(終了時刻算出ステップ)。
【0050】
この終了時刻の算出については、厚み算出部16で自動的に求める構成としても良いし、表示装置に表示されたデータから操作者が判断することも可能である。なお、厚み算出部16において終了時刻が求められる場合には、終了時刻を指示する終了指示信号を厚み算出部16から出力し、その終了指示信号に基づいてエッチング制御部25がウエットエッチングの終了制御を行う構成とすることができる。
【0051】
厚み計測装置Aによる半導体ウエハWの厚みの計測方法について具体的に説明する。図2は、図1に示したウエットエッチング装置における半導体ウエハWの厚みの計測方法について模式的に示した図であり、図2(a)は、半導体ウエハWへの計測光の照射、及びプローブヘッド13への反射光の再入力について示す断面図、図2(b)は、光検出器15において得られる干渉光の光強度分布を示すグラフである。なお、図2(a)においては、図の見易さのため、半導体ウエハWに照射される計測光の光路、及びプローブヘッド13への反射光の光路を、それぞれ位置をずらして示してある。
【0052】
光カプラ12で分岐されてプローブヘッド13から出力された計測光L0は、エッチング液層E、半導体ウエハW、及び保持基板21を順次透過していくとともに、それらの隣接する層の各界面において計測光L0の一部がそれぞれ反射される。すなわち、エッチング液層Eの表面から反射光L1が、半導体ウエハWの上面から反射光L2が、半導体ウエハWの下面から反射光L3が、また、保持基板21の下面から反射光L4がそれぞれ反射され、プローブヘッド13へと戻って再入力される。
【0053】
再入力された反射光L1〜L4は、図2(a)に示されているように反射された界面によってそれぞれ異なる反射光路長を通過しており、プローブヘッド13から光カプラ12を介して光検出器15に入力されるタイミングが異なる。これに対して、参照光生成部14において参照用光路14bの光路長を上述したように周期的に変化させて、参照光路長(参照光の反射光に対するタイミング)をスキャンする。このとき、光カプラ12から反射光L1〜L4が反射された各界面までの光路長と、光カプラ12から反射ミラー14cまでの光路長とが一致すると、光路長及びタイミングが一致した反射光と参照光とが干渉によって強め合い、光検出器15において大きい光強度の干渉光が検出される。
【0054】
このように光路長をスキャンして得られる参照光路長(光路長変化量)と干渉光強度の相関を示す光強度分布を、図2(a)の断面図と対応させて図2(b)に示す。このグラフにおいて、一方の軸はスキャンされた参照用光路14bの光路長変化量、他方の軸は光検出器15によって検出された干渉光の光強度を示している。なお、参照光路長(光路長変化量)及び光路長差は、エッチング液層E、半導体ウエハW、及び保持基板21のそれぞれにおける屈折率の違いによって必ずしもそれぞれの厚みにはそのままは対応しないが、図2においては、説明のために屈折率の違いがないものとして、断面図及びグラフを対応させて図示している。
【0055】
このグラフに示されているように、光路長変化量を小さい方から大きくする(参照光路長を大きくする)方向にスキャンしていくと、エッチング液層E表面からの反射光L1に対応する光強度ピークP1(液面ピークP1)、半導体ウエハWの上面(エッチング面)からの反射光L2に対応する光強度ピークP2(ウエハ上面ピークP2)、半導体ウエハWの下面からの反射光L3に対応する光強度ピークP3(ウエハ下面ピークP3)、及び保持基板21の下面からの反射光L4に対応する光強度ピークP4(基板下面ピークP4)が順次得られる。
【0056】
これらの光強度ピークP1〜P4は、光強度分布に対して適当な光強度の閾値(スレッショルド)を設定しておき、ノイズ信号による小さい光強度ピークなどの余分なピークを除外して選択される。図2(b)においては、そのような閾値強度として、光強度Ptを点線で示してある。
【0057】
また、光強度ピークがスキャンされる光路長範囲は、参照光生成部14における参照用光路14bでの光路長のスキャン範囲によって設定することができるが、必要があれば、さらにスキャンされた光路長範囲から光強度ピークの選択に用いる光路長範囲を選択して設定しても良い。このような光路長範囲の選択は、厚み算出部16にあらかじめ与えておいても良いし、または、厚み算出部16に接続された表示装置に表示された光強度分布から操作者が選択して指示することも可能である。
【0058】
厚み計測においては、得られた光強度分布に対して、上記した閾値光強度の条件、あるいはさらに光路長範囲の条件等を適用して、複数の光強度ピークを選択する。そして、それらの光強度ピークを、参照光路長(光路長変化量)の小さい方から液面ピークP1、ウエハ上面ピークP2、ウエハ下面ピークP3、及び基板下面ピークP4とする。
【0059】
ここで、上記した光強度ピークP1〜P4については、それぞれの光強度比等は半導体ウエハWやエッチング液層Eなどの状態によって変化するが、その光路長変化量に対する順番は変化しない。例えば、エッチング液層Eの状態はノズル24aから流出されているエッチング液のエッチング面上での流れ方によって変化するが、このとき、計測光の光路に対するエッチング液層E表面の角度が変わるので、エッチング液層E表面からプローブヘッド13に到達する反射光L1の光強度も変化する。また、半導体ウエハWとして用いられている物質(Si、GaAs、Doped Siなど)や、保持基板21の材質などによっても光強度比は異なってくる。
【0060】
一方で、光路長については、上記のように光強度などの状態が変化した場合でも、光強度ピークP1〜P4の光路長に対する順番は変わらない。したがって、得られた複数の光強度ピークに対して、光路長が小さい側から、光強度ピークP1〜P4を液面、ウエハ上面、ウエハ下面、及び基板下面からの反射光のピークとして割り当てることができる。
【0061】
そして、これらの光強度ピークP1〜P4のうち、参照光路長が小さい方から2番目の光強度ピークP2と、3番目の光強度ピークP3との間の光路長差は、半導体ウエハWの上面から下面までの光路長差に相当している。したがって、この2つの光強度ピークP2、P3の間の光路長差から、半導体ウエハWの厚みを求めることができる。特に、1つの光強度ピークに対する光路長とその時間変化を計測するのではなく、上記のように2番目と3番目の2つの光強度ピークP2、P3を用いる計測方法によって、半導体ウエハWの厚みをより直接的に正しく計測できる。さらに、半導体ウエハWのエッチング面上にエッチング液が流れているウエットエッチングの実行中での厚み計測が、エッチング液の存在にかかわらず可能となる。
【0062】
上記した光強度ピークP2、P3の光路長差は、半導体ウエハWの光学的厚みに相当する。したがって、最終的な厚みデータは、得られた光路長差を半導体ウエハの屈折率で割ることによって求められる。この厚みデータの算出に用いられる半導体ウエハWの屈折率の値は、屈折率が既知のものであれば、その値を用いれば良い。また、必要があれば、マイクロゲージや顕微鏡などを用いた他の方法で厚みが計測されたウエハであらかじめ屈折率を測定しておき、その値を用いることが好ましい。
【0063】
以上により、ウエットエッチングの実行中において半導体ウエハWの厚みの計測が可能な非接触式の厚み計測装置、及びそれを備えるウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法が得られる。また、所定の時間間隔(一定間隔でなくても良い)をおいて計測光源11から計測光を供給して、複数の計測時刻で厚み計測を行えば、ウエットエッチング中での半導体ウエハWの厚みの時間変化が求められ、それによるウエットエッチングの制御が可能になる。
【0064】
なお、エッチング液層Eの状態は上記したように変化し、その厚みも表面の角度と同様に時間とともに変動する。これによって、光強度ピークP1、P2の光路長差が変化するが、このとき、光強度ピークP1のピーク位置がシフトするだけでなく、エッチング液層Eが持つ屈折率のため、プローブヘッド13から半導体ウエハWまでの光路長が変化する。したがって、光強度ピークP2、P3なども同様にそのピーク位置がシフトする。この場合においても、半導体ウエハWの上面よりも下方(半導体ウエハW及び保持基板21)に相当する光強度分布は全体として同じだけシフトするので、光強度ピークP2、P3の光路長差などの各光路長差は、ピーク位置のシフトには影響されない。
【0065】
また、半導体ウエハWのエッチング面とは反対の面にパターンが付いている場合には、パターンよりも計測光のビーム径が小さければ各パターン部位での厚みが、また、パターンよりもビーム径が大きければビーム範囲内での平均的な厚みが求められる。また、図1に示したウエットエッチング装置では、エッチング中には半導体ウエハWが回転されているが、その回転は20Hz以上の高速回転であるため、厚み計測では平均的な厚みを計測することになる。
【0066】
上記した半導体ウエハWの厚みの計測方法による厚みの時間変化の算出方法、及びそれによるウエットエッチングの終了時刻の決定方法について説明する。図3は、厚みの時間変化の一例を示すグラフであり、横軸はウエットエッチングを開始してからのエッチング時間、縦軸は各時刻での半導体ウエハWの厚みを示している。また、黒丸及び白丸で示されている各点は、各計測時刻において、上記した計測方法を用いて光路長差から直接算出された半導体ウエハWの厚みデータ(以下、生厚みデータという)である。
【0067】
各計測時刻での計測によって求められた半導体ウエハWの厚みの生厚みデータは、(1)統計的なばらつき(統計ばらつき)、及び(2)計測エラーによるばらつき(エラーばらつき)の2つの原因によるばらつきを有する。このうち、(1)統計ばらつきは計測において必然的に生じるものであり、このデータのばらつきは許容される範囲である。
【0068】
厚みの時間変化によるウエットエッチングの終了時刻の決定については、所定の時間間隔(例えば、全体のエッチング時間1〜2分に対して5Hzの時間間隔など)で厚みの計測を行い、計測された厚みの値が終点厚み以下となった計測時刻で終了時刻と判断して、厚み算出部16からエッチング制御部25に対して終了指示信号を出力する方法がある。
【0069】
これに対して、上記した統計ばらつきの影響を低減させて、より正確に終了時刻を求める方法として、生厚みデータをそのまま厚みデータとして用いるのではなく、複数の計測時刻での生厚みデータに対してフィッティング計算(最小自乗法など)を行って厚み変化直線を決定し、この厚み変化直線から用いる厚みデータを求める方法がある。図3に、そのようにして求められた厚み変化直線の例が、直線A(実線)によって示されている。この厚み変化直線から、各時刻での半導体ウエハWの厚みがより正確に求められる。例えば、時刻T1においては、生厚みデータをそのまま半導体ウエハWの厚みとすると、時刻T1での厚みは厚みデータ点D1となるが、厚み変化直線Aを用いれば、直線A上の厚みデータ点D2が時刻T1での厚みとされる。
【0070】
また、この厚み変化直線Aを延長して終点厚みを示す直線C(点線)との交点Dを求めれば、この交点Dの時刻が終了時刻となる。この方法によれば、終了時刻についてもより正確な算出が可能である。さらに、厚み変化直線Aを延長して終了時刻を求めているため、半導体ウエハWの厚みが終点厚み以下となる前に、終了時刻を予測することができ、この予測された終了時刻を用いてエッチング制御を行うことが可能となる。
【0071】
例えば、終了指示信号によってエッチング液供給部24からのエッチング液の供給が停止されてから、洗浄水によってエッチング面上のエッチング液が除去されるまでには、ある程度のタイムラグがある。そのため、終点厚み以下となった時刻を終了時刻とする制御方法では、オーバーエッチを起こす可能性がある。一方、厚み変化直線によってあらかじめ予測された終了時刻を用い、その終了時刻よりもタイムラグの分だけ早い時刻にエッチング液の供給を停止すれば、オーバーエッチを起こすことがなくなる。
【0072】
なお、フィッティング計算による厚み変化直線については、厚み計測が行われて生厚みデータ数が増えるごとに、その生厚みデータを追加して新たに厚み変化直線を求めて更新していくことが好ましい。このとき、予測される終了時刻についても、順次修正することができる。
【0073】
以上のように、(1)統計ばらつきについては、厚み変化直線を求めることによってその影響を低減することが可能である。一方、(2)エラーばらつきの問題は、そのような方法のみでは影響を除去することができない。
【0074】
エラーばらつきは、例えば次のような原因によって発生する。すなわち、エッチング液層E表面の計測光に対する角度は、上記したようにエッチング液の流れ方によって変化し、それによってエッチング液層Eの表面からの反射光L1の光強度が変化する。特に、その表面の波立ちによって液面の傾きが大きくなってくると、反射光L1の計測光に対する角度が大きくなって、プローブヘッド13に入力されなくなる。
【0075】
この場合、図2(b)の光強度分布において、液面ピークP1の光強度が閾値Ptよりも小さくなってしまうことがある。そして、液面ピークが閾値よりも小さくなって光強度ピークとして選択されないと、ウエハ上面ピーク、ウエハ下面ピーク、及び基板下面ピークが、それぞれ光強度ピークP1、P2、及びP3に誤って割り当てられる。このとき、上記したように光強度ピークP2、P3の光路長差から半導体ウエハWの厚みを算出すると、結局、保持基板21の厚みが半導体ウエハWの厚みとして求められることとなる。また、各光強度ピークP1〜P3の間に閾値レベルPtを超えるノイズ信号によるピークが発生した場合にも、そのノイズピークが上記した光強度ピークとされてしまい、誤った厚みが求められる。
【0076】
このようなデータを生厚みデータとして許容して、求められた誤った厚みの時間変化に基づいて終了時刻を求めると、ウエットエッチング終了後の半導体ウエハWの厚みが、設定されている終点厚みとは異なる厚みとなってしまう。
【0077】
これに対して、生厚みデータから厚み変化直線Aを求めるとともに、生厚みデータとして許容されるべき厚みデータの厚み変化直線Aからの数値範囲(許容数値範囲)を設定し、その許容数値範囲内にある生厚みデータのみを厚み変化直線Aの算出に用いることによって、エラーばらつきの影響を低減させることが可能である。すなわち、エラーばらつきは、通常は統計ばらつきよりも大きい。したがって、許容数値範囲を、統計ばらつきについては許容し、かつ、エラーばらつきは除外するように設定すれば、エラーばらつきの影響についても低減が可能となる。
【0078】
図3においては、厚み変化直線Aの上下2本の直線B(破線)で挟まれる領域として示されている範囲を、厚み変化直線Aからの許容数値範囲として設定している。このとき、例えば生厚みデータ点D3(白丸)が、範囲外にあるものとして厚み変化直線Aの算出から除外され、範囲内にある他の生厚みデータ点(黒丸)から厚み変化直線Aが求められる。これによって、エラーばらつきの影響を抑えて、厚み変化直線Aと、予測されるウエットエッチングの終了時刻をより正確に算出することができる。
【0079】
なお、生厚みデータの除外を行う場合には、求められた厚み変化直線から除外する生厚みデータが決められた後、その生厚みデータを除いて再度厚み変化直線を求め直すことが好ましい。
【0080】
あるいは、各厚みデータが得られた時点で、前回の厚み計測での生厚みデータまでで求められている厚み変化直線及び許容数値範囲からその生厚みデータを有効とするかどうかを決定し、有効とされた生厚みデータから厚み変化直線(及び許容数値範囲)を求めるようにしても良い。
【0081】
また、許容数値範囲については、あらかじめ設定した範囲を用いてもよいし、あるいは、実際に求められた生厚みデータから厚み算出部16において統計ばらつき等を求め、その結果から許容数値範囲を算出することも可能である。
【0082】
また、エラーばらつきにおいては、上記したようにエッチング液面が傾くことによって、保持基板21の厚みが半導体ウエハWの厚みとして求められてしまう場合がある。これに対して、このようなエラーばらつきを明確に区別または除外するため、保持基板21の光学的厚みを、半導体ウエハWの終点厚みの光学的厚みの2倍以上としておくことが好ましい。保持基板21の光学的厚みが半導体ウエハWに比べて充分に大きく異なれば、液面による光強度ピークが計測されなかった場合に誤って求められる保持基板21の厚みが、厚み変化直線から大きく外れることとなる。したがって、厚み変化直線からの許容数値範囲を設定することによって、厚みデータから容易に除外することができる。
【0083】
本発明による厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な構成の変形や工程の変更が可能である。例えば、保持基板21は、薄くエッチングされる半導体ウエハWの機械的強度を維持するためのものであり、半導体ウエハWの厚みによっては保持基板を用いずにエッチングを行うことも可能である。このような場合においても、参照光路長の小さい方から2番目及び3番目の光強度ピークが半導体ウエハの上面及び下面に相当することは変わらないので、上記した装置及び方法による厚み計測及びウエットエッチングを同じように適用することが可能である。
【0084】
また、半導体ウエハWからの反射光を取り込む光入力手段については、上記した実施形態では光出力手段であるプローブヘッド13を共用しているが、光出力手段とは別に光入力手段を設置する構成としても良い。この場合、反射光はプローブヘッド13への光ファイバ13aとは別の光ファイバに入力されるので、光カプラ12に加えて設けられた他の光カプラなどを光結合手段として、反射光と参照光の結合が行われる。また、光入力/出力手段あるいは光分岐/結合手段の一方のみを単一の光入出力手段あるいは光カプラとし、他方は別々とする構成も可能である。
【0085】
ウエットエッチングのエッチングレートについては、必ずしも一定のレートとしなくても良い。例えば、厚み計測によって得られた半導体ウエハWの厚みの時間変化に基づいて、終点厚み(エッチングの終了時刻)が近づくにつれてエッチングレートが遅くなるようにエッチングを制御すれば、さらに細かい厚みの制御が可能となる。この場合、厚み変化直線に代えて、所定の曲線を用いて厚みの時間変化及び終了時刻を求めても良い。または、厚みの時間変化を求める生厚みデータの時間範囲を区分して、エッチングレートを変更した時刻の前後で別々に厚み変化直線を求めることも可能である。
【0086】
【発明の効果】
本発明による厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、計測光を2つに分岐し、一方を計測対象であるウエットエッチング中の半導体ウエハに照射して反射光とし、他方を所定の参照用光路を通過させて参照光とする。この反射光と参照光とを結合させた干渉光の光強度分布において、光路長の小さい方から2番目及び3番目の光強度ピークの光路長差から半導体ウエハの厚みを求める。これによって、半導体ウエハまたはエッチング液の状態の変化にかかわらず、半導体ウエハのエッチング面上にエッチング液が存在する状態で、半導体ウエハの厚みを計測することが可能となる。
【0087】
このような厚み計測を利用すれば、それぞれのウエットエッチング工程でのエッチングレートを知ることが可能となる。したがって、エッチング終了後に得られた半導体ウエハの厚みを計測してエッチングの良否を判断するのではなく、エッチング中に厚みの時間変化を判断しつつエッチングを制御することができ、半導体装置製造の効率化やその歩留まりの向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】厚み計測装置を備えるウエットエッチング装置を示す構成図である。
【図2】図1に示したウエットエッチング装置における半導体ウエハの厚みの計測方法について示す図である。
【図3】厚み変化直線及びエッチングの終了時刻の算出について示すグラフである。
【符号の説明】
A…厚み計測装置、11…計測光源、11a…入力用光ファイバ、12…光カプラ、13…プローブヘッド、13a…計測用光ファイバ、14…参照光生成部、14a…参照用光ファイバ、14b…参照用光路、14c…反射ミラー、14d…ガラス基板、14e…ガルバノメータ、15…光検出器、15a…出力用光ファイバ、16…厚み算出部、16a…信号処理回路、16b…データ処理部、17…参照光路長制御部、
B…ウエットエッチング装置、21…保持基板、22…回転台、23…回転駆動部、24…エッチング液供給部、24a…ノズル、25…エッチング制御部、
W…半導体ウエハ、E…エッチング液層。

Claims (13)

  1. エッチング液を用いたウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測するための厚み計測装置であって、
    計測光を供給する計測光源と、
    前記計測光源からの前記計測光を分岐させる光分岐手段と、
    前記光分岐手段で分岐された前記計測光の一方を、計測対象である前記半導体ウエハに対して出力させて、前記エッチング液が供給されているエッチング面側から照射する光出力手段と、
    前記光出力手段から照射された前記計測光が前記エッチング液または前記半導体ウエハによって反射された反射光を入力させる光入力手段と、
    前記光分岐手段で分岐された前記計測光の他方を、光路長が可変に構成された参照用光路を通過させて、参照光路長が設定された参照光を生成する参照光生成手段と、
    前記光入力手段からの前記反射光と、前記参照光生成手段からの前記参照光とを結合させて干渉光とする光結合手段と、
    前記光結合手段からの前記干渉光を検出する光検出手段と、
    前記参照光生成手段で設定された前記参照光路長と、前記光検出手段で検出された前記干渉光の光強度との相関を示す光強度分布において、設定された閾値よりも大きい光強度を有する複数の光強度ピークのうち、前記参照光路長が小さい側から2番目及び3番目の前記光強度ピーク間での前記参照光路長の光路長差を用いて前記半導体ウエハの厚みを求める厚み算出手段と
    を備えることを特徴とする厚み計測装置。
  2. 前記光出力手段及び前記光入力手段は、単一の光入出力手段からなるとともに、前記光分岐手段及び前記光結合手段は、単一の光カプラからなることを特徴とする請求項1記載の厚み計測装置。
  3. 前記計測光源は、所定の時間間隔をおいた複数の計測時刻に前記計測光を供給し、
    前記厚み算出手段は、それぞれの前記計測時刻で得られた前記光路長差から生のデータとしてそれぞれ求められた前記半導体ウエハの厚みを生厚みデータとし、複数の前記生厚みデータに対してフィッティング計算を行って前記半導体ウエハの厚みの時間変化を示す厚み変化直線を決定し、前記半導体ウエハの厚みを前記厚み変化直線から求めることを特徴とする請求項1または2記載の厚み計測装置。
  4. 前記厚み算出手段は、前記厚み変化直線に対して許容される前記生厚みデータの許容数値範囲を設定し、前記許容数値範囲内にある前記生厚みデータを用いて、前記半導体ウエハの厚みを求めることを特徴とする請求項3記載の厚み計測装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の厚み計測装置を備えるウエットエッチング装置であって、
    前記ウエットエッチングの対象となる前記半導体ウエハの前記エッチング面に、前記エッチング液を供給するエッチング液供給手段と、
    前記エッチング液供給手段による前記エッチング液の供給を制御するエッチング制御手段と
    を備えることを特徴とするウエットエッチング装置。
  6. 前記厚み計測装置の前記厚み算出手段は、求められた前記半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいて前記ウエットエッチングの終了時刻を求めて、前記終了時刻を指示する終了指示信号を出力し、
    前記エッチング制御手段は、前記終了指示信号に基づいて、前記エッチング液供給手段による前記エッチング液の供給を停止させることを特徴とする請求項5記載のウエットエッチング装置。
  7. 前記半導体ウエハの前記エッチング面とは反対の面側に配置されて前記半導体ウエハを保持する保持基板を備え、
    前記保持基板は、前記半導体ウエハの終点厚みの光学的厚みの2倍以上の光学的厚みを有することを特徴とする請求項5または6記載のウエットエッチング装置。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項記載の厚み計測装置を用いたウエットエッチング方法であって、
    前記ウエットエッチングの対象となる前記半導体ウエハの前記エッチング面に、前記エッチング液を供給して前記ウエットエッチングを開始するエッチング開始ステップと、
    前記エッチング開始ステップで開始された前記ウエットエッチングの実行中に、前記厚み計測装置を用いて前記半導体ウエハの厚みを計測する厚み計測ステップと、
    前記エッチング液の供給を停止して前記ウエットエッチングを終了するエッチング終了ステップと
    を有することを特徴とするウエットエッチング方法。
  9. 前記厚み計測ステップは、複数の計測時刻のそれぞれで得られた前記光路長差から生のデータとして求められた前記半導体ウエハの厚みを生厚みデータとし、複数の前記生厚みデータに対してフィッティング計算を行って前記半導体ウエハの厚みの時間変化を示す厚み変化直線を決定し、前記半導体ウエハの厚みを前記厚み変化直線から求めることを特徴とする請求項8記載のウエットエッチング方法。
  10. 前記厚み計測ステップは、前記厚み変化直線に対して許容される前記生厚みデータの許容数値範囲を設定し、前記許容数値範囲内にある前記生厚みデータを用いて前記半導体ウエハの厚みを求めることを特徴とする請求項9記載のウエットエッチング方法。
  11. 前記厚み計測ステップで求められた前記半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいて前記ウエットエッチングの終了時刻を求める終了時刻算出ステップをさらに有し、
    前記エッチング終了ステップは、前記終了時刻算出ステップで求められた前記終了時刻に基づいて前記エッチング液の供給を停止することを特徴とする8〜10のいずれか一項記載のウエットエッチング方法。
  12. 前記終了時刻算出ステップは、前記半導体ウエハの厚みの時間変化において、求められた前記半導体ウエハの厚みが前記終点厚み以下となった計測時刻を前記終了時刻とすることを特徴とする請求項11記載のウエットエッチング方法。
  13. 前記終了時刻算出ステップは、前記半導体ウエハの厚みの時間変化を示す厚み変化直線を用いて前記終了時刻を予測することを特徴とする請求項11記載のウエットエッチング方法。
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