JP4347517B2 - 厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測するための厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造において、近年、パターン付などの半導体ウエハの厚みをより薄くするエッチング工程の必要性が増大している。
【0003】
そのようなエッチング工程においては、エッチング液を供給して半導体ウエハのエッチングを行うウエットエッチング装置が使用される。従来のウエットエッチング方法では、あらかじめダミーウエハのエッチングを行ってエッチングレートを確認しておき、そのエッチングレートに基づいてエッチングの終了時刻を決定している。
【0004】
しかしながら、このようなエッチング時間の管理方法を用いた場合、ダミーウエハのエッチングという実際のエッチング工程とは別の工程が余計に必要となるという問題がある。また、エッチングレートは必ずしもエッチング工程ごとに一定ではなく、そのため、一定のエッチングレートを仮定した時間管理では得られる半導体ウエハの厚みにばらつきを生じてしまう。
【0005】
このようなエッチング工程におけるエッチング精度や作業効率を向上させるには、半導体ウエハ部分の厚みを、インサイチュ(In-Situ)でエッチング中に計測する必要がある。このような計測を行うことによって、エッチング中での厚みの時間変化のデータを得ることができ、これによって終了時刻をそれぞれのエッチング工程ごとに求めることができるなど、様々なエッチング工程の管理及び制御が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体ウエハの厚み計測装置としては、接触式の厚み計や、マイケルソン干渉計型の厚み計などがある。これらの厚み計のうち、接触式の厚み計は、インサイチュでの計測に適用することができない。また、接触するためにウエハに傷がつく場合があり、高速での計測ができず、あるいは、保持基板やフィルムなどがついている場合にはウエハのみでの厚みの計測ができないなどの問題点がある。
【0007】
一方、マイケルソン干渉計型の厚み計は、非接触で半導体ウエハの厚みを計測する厚み計である。このような厚み計としては、特開平5−248817号公報に示されている装置があるが、この装置では、半導体ウエハに計測光を照射し、ウエハ表面からの反射光の反射タイミング変化によって厚みの時間変化を計測している。しかしながら、この場合には、表面の位置のみを計測していることになるので、厚みを求めるために裏面の位置などの厚みの初期条件を与えてやる必要がある。また、エッチング液を用いたウエットエッチング工程では、ウエハ表面上にあるエッチング液で計測光が反射されてしまうため、半導体ウエハの厚みを計測することができない。
【0008】
また、同様に非接触で半導体ウエハの厚みを計測する厚み計として、静電容量式の厚み計がある。しかしながら、このような厚み計も、保持基板やフィルムなどがついている場合や、半導体ウエハ上にパターンが形成されている場合などには、半導体ウエハのみでの厚みを計測することができない。
【0009】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、ウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測することが可能な厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による厚み計測装置は、エッチング液を用いたウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測するための厚み計測装置であって、(1)所定の計測時刻において、計測光を供給する計測光源と、(2)計測光源からの計測光を分岐させる光分岐手段と、(3)光分岐手段で分岐された計測光の一方を、計測対象である半導体ウエハに対して出力させて、エッチング液が供給されているエッチング面側から照射する光出力手段と、(4)光出力手段から照射された計測光がエッチング液または半導体ウエハによって反射された反射光を入力させる光入力手段と、(5)光分岐手段で分岐された計測光の他方を、光路長が可変に構成された参照用光路を通過させて、参照光路長が設定された参照光を生成する参照光生成手段と、(6)光入力手段からの反射光と、参照光生成手段からの参照光とを結合させて干渉光とする光結合手段と、(7)光結合手段からの干渉光を検出する光検出手段と、(8)計測時刻において、参照光生成手段で設定された参照光路長と、光検出手段で検出された干渉光の光強度との相関を示す光強度分布を用い、複数の光強度ピークからウエハ上面ピーク及びウエハ下面ピークとして選択された2本の光強度ピーク間での参照光路長の光路長差に基づいて、半導体ウエハの生厚み値を算出する生厚み値算出手段を有する厚み算出手段とを備え、(9)生厚み値算出手段は、光強度分布における複数の光強度ピークのうち、光強度が最大である光強度ピークをウエハ上面ピークとして選択することを特徴とする。
【0011】
上記した厚み計測装置は、半導体ウエハに計測光を照射して反射されてきた反射光と、計測光から分岐され所定の光路を通過して反射光の光路長に対して参照光路長が設定された参照光とを結合し、生成された干渉光を検出する。そして、その干渉光の光強度分布において生じる複数の光強度ピークから、ウエットエッチング中の半導体ウエハの厚みを計測している。
【0012】
このとき、半導体ウエハに照射した計測光は、エッチング液表面、半導体ウエハの上面(エッチング面)、及び下面などで反射され、光強度分布では、それらの面にそれぞれ対応した光強度ピークが得られる。したがって、所定の選択基準によって選択された半導体ウエハの上面及び下面に対応する2本の光強度ピークを利用することによって、エッチング液の存在にかかわらず、ウエットエッチング中に半導体ウエハの厚み、あるいはその時間変化を計測することが可能となる。また、ウエハ上面からの反射光と基準となる初期条件とから厚みを求めるのではなく、ウエハ上面及び下面の両方からの反射光を用いているので、半導体ウエハやエッチング液の状態が変化しても、常に正しく半導体ウエハの厚みを計測することができる。
【0013】
また、上記の厚み計測装置では、光強度が最大である光強度ピークをウエハ上面ピークとして選択している。光強度分布における光強度ピークとしては、エッチング液層表面からの反射光による液面ピーク、半導体ウエハの上面からの反射光によるウエハ上面ピーク、及び半導体ウエハの下面からの反射光によるウエハ下面ピークなどが得られる。そして、これらの光強度ピークの中では、ほとんどの場合、各反射光での光強度などが変化した場合でも、ノイズ信号によるピーク等をも含めて、ウエハ上面ピークの光強度が最大となる。したがって、上記の選択方法によれば、確実かつ簡単にウエハ上面ピークを選択することができる。
【0014】
また、ウエハ下面ピークの選択方法について、生厚み値算出手段が、光強度分布における複数の光強度ピークに対して、ウエハ上面ピークでの参照光路長を基準として、ウエハ下面ピークが位置する光路長期待値及び光路長範囲を求め、光路長期待値から光路長範囲内でウエハ下面ピークを選択することを特徴とする。
【0015】
ウエハ下面ピークは、ウエハ上面ピークと比べて光強度が小さく、計測条件によっては、ノイズピークなどがウエハ下面ピークとして誤認される場合がある。これに対して、上記のように、ウエハ上面ピークの位置からウエハ下面ピークの位置を予測し、その予測された範囲内に限定してウエハ下面ピークの選択を行うことによって、ウエハ下面ピークをより正確に選択することができる。
【0016】
より具体的には、生厚み値算出手段が、光路長期待値から光路長範囲内で、設定された閾値よりも大きい光強度を有するとともに、その光強度が光路長範囲内で最大である光強度ピークをウエハ下面ピークとして選択する方法がある。
【0017】
また、計測光源は、計測時刻において、その計測時刻に対して設定された連続する複数の厚み取得時刻のそれぞれに、計測光を供給するとともに、生厚み値算出手段は、複数の厚み取得時刻のそれぞれにおいて取得された個別光強度分布、または個別光強度分布からそれぞれ算出された個別生厚み値を積算して、生厚み値を算出することを特徴とする。
【0018】
このように、半導体ウエハの厚みを計測する計測時刻において、計測光を供給して行う厚みデータ取得を1回行うのではなく、計測時刻に対して複数の厚み取得時刻を設定し、複数回の厚みデータ取得を行って生厚み値を算出することによって、各計測時刻において算出される生厚み値の精度を向上することができる。
【0019】
複数の厚み取得時刻のそれぞれで得られた厚みデータの積算方法としては、生厚み値算出手段が、個別光強度分布を、ウエハ上面ピークの位置を一致させて積算して積算光強度分布とし、積算光強度分布を用いて、生厚み値を算出する方法がある。この場合、個別光強度分布のそれぞれを、ウエハ上面ピークの位置が互いに一致するように変換した後に積算することによって、生厚み値を正確に算出することができる。
【0020】
あるいは、厚みデータの積算方法としては、生厚み値算出手段が、個別光強度分布からそれぞれ算出された個別生厚み値を積算し、個別生厚み値の平均値を求めて、生厚み値を算出する方法がある。この場合、個別光強度分布の変換等の処理が不要となる。
【0021】
また、厚み計測装置の構成については、光出力手段及び光入力手段は、単一の光入出力手段からなるとともに、光分岐手段及び光結合手段は、単一の光カプラからなることが好ましい。この場合、特に装置の構成が簡単化される。
【0022】
また、計測光源は、所定の時間間隔をおいた複数の計測時刻のそれぞれにおいて、計測光を供給するとともに、厚み算出手段は、最初の計測時刻から規定時間が経過した後の計測時刻のそれぞれにおいて、複数の生厚み値の時間変化に対して、直線近似計算による厚み変化直線の決定を行って、厚み変化直線から統計厚み値を算出する統計厚み値算出手段を有することを特徴とする。
【0023】
光路長差から直接に求められた半導体ウエハの厚みである生厚み値を、そのまま厚みデータとして使用することも可能であるが、このように、直線近似計算(フィッティング)によって厚み変化直線を求めて統計厚み値を算出することによって、生厚み値の持つ統計的ばらつきの影響を低減することができる。
【0024】
また、本発明によるウエットエッチング装置は、上記した厚み計測装置を備えるウエットエッチング装置であって、ウエットエッチングの対象となる半導体ウエハのエッチング面に、エッチング液を供給するエッチング液供給手段と、エッチング液供給手段によるエッチング液の供給を制御するエッチング制御手段とを備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明によるウエットエッチング方法は、上記した厚み計測装置を用いたウエットエッチング方法であって、ウエットエッチングの対象となる半導体ウエハのエッチング面に、エッチング液を供給してウエットエッチングを開始するエッチング開始ステップと、エッチング開始ステップで開始されたウエットエッチングの実行中に、厚み計測装置を用いて半導体ウエハの厚みを計測する厚み計測ステップと、エッチング液の供給を停止してウエットエッチングを終了するエッチング終了ステップとを備えることを特徴とする。
【0026】
このようなウエットエッチング装置及び方法によれば、上記した厚み計測装置を用いてウエットエッチング中の半導体ウエハに対して得られた生厚み値、あるいは厚み変化直線及び統計厚み値に基づいて、エッチング制御手段を介して、エッチング液の供給の停止によるウエットエッチングの終了、あるいはエッチングレートの変更などを適宜制御することが可能である。
【0027】
また、ウエットエッチング装置は、厚み計測装置の厚み算出手段が、求められた半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいてウエットエッチングの終了時刻を求めて、終了時刻を指示する終了指示信号を出力し、エッチング制御手段は、終了指示信号に基づいて、エッチング液供給手段によるエッチング液の供給を停止させることを特徴とする。
【0028】
エッチングの終了時刻としては、例えば、計測された厚みデータから操作者が判断してエッチング制御手段に指示することも可能であるが、上記のように厚み算出手段からの終了指示信号によってエッチングを終了させる構成とすることによって、設定された終点厚みが得られるように自動的にエッチングの終了が制御されるウエットエッチング装置が実現される。
【0029】
また、ウエットエッチング方法は、厚み計測ステップで求められた半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいてウエットエッチングの終了時刻を求める終了時刻算出ステップをさらに備え、エッチング終了ステップにおいて、終了時刻算出ステップで求められた終了時刻に基づいてエッチング液の供給を停止することを特徴とする。
【0030】
このように、厚み計測装置で求められた厚みデータに基づいて終了時刻を求めることによって、ウエットエッチングによって最終的に得られる半導体ウエハの厚みの、設定されている終点厚みからのばらつきを抑制することができ、半導体装置製造の効率化と歩留りの向上を実現することができる。
【0031】
終了時刻を求める方法については、終了時刻算出ステップにおいて、半導体ウエハの厚みの時間変化で、求められた半導体ウエハの厚みが終点厚み以下となった計測時刻を終了時刻とすることが可能である。
【0032】
あるいは、終了時刻算出ステップにおいて、半導体ウエハの厚みの時間変化を用いて終了時刻を予測することが可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0034】
最初に、本発明による厚み計測装置及びウエットエッチング装置の構成について説明する。図1は、厚み計測装置、及びそれを備えるウエットエッチング装置の一実施形態を示す構成図である。このウエットエッチング装置は、厚み計測装置Aと、厚み計測装置Aを除く通常のウエットエッチング装置B(以下、この装置部分を単にウエットエッチング装置Bという)とを備えて構成されている。
【0035】
厚み計測装置Aは、計測対象である半導体ウエハWに計測光を照射し、半導体ウエハWからの反射光及び参照光を干渉させた干渉光の光強度変化を利用して半導体ウエハWの厚みを計測するように構成された非接触式の厚み計である。厚み計測に用いる計測光は、所定の計測時刻において、計測光源11によって供給され、計測光源11から出力された計測光は、入力用光ファイバ11aを介してファイバカプラからなる光カプラ12に入力される。計測光源11としては、低コヒーレンス光源(例えば波長1.3μmの光を発生させるSLDなど)を用いることが好ましい。計測光の波長としては、半導体ウエハWやエッチング液などを充分に透過する波長を選択する。
【0036】
光カプラ12は、計測光源11からの計測光を分岐させる光分岐手段として機能し、光カプラ12に入力された計測光は、計測用光路に向かう計測用光ファイバ13a、及び参照用光路に向かう参照用光ファイバ14aに分岐される。分岐された計測光は、それぞれ厚みを計測するためのプローブヘッド13、及び参照光を生成するための参照光生成部14に入力される。
【0037】
プローブヘッド13は、計測光を半導体ウエハWへと照射するための光出力手段、及び半導体ウエハWまたはエッチング液などによって計測光が反射された反射光を再び入力するための光入力手段として機能する光入出力手段である。光カプラ12で分岐された光のうち、光ファイバ13a側に分岐された計測光は、プローブヘッド13から半導体ウエハWへと出力され、半導体ウエハWに対して上面側のエッチング面から照射される。この計測光には、上記したように半導体ウエハWなどを充分に透過する波長の光が用いられているが、その一部は各界面において反射されて、その反射光が再びプローブヘッド13に到達する。プローブヘッド13に到達して再入力された反射光は、光ファイバ13aを介して光カプラ12に入力される。
【0038】
一方、参照光生成部14においては、半導体ウエハWなどからの反射光との干渉光によって厚み(光路長)を測定するための参照光が生成される。光カプラ12で光ファイバ14a側に分岐された計測光は、光ファイバ14aの出力端と、反射ミラー14cとの間に配置された光路長変調光学系からなる参照用光路14bを通過して、半導体ウエハWなどからの反射光の光路長(反射光路長)に対する参照光の光路長(参照光路長)が設定された参照光となる。
【0039】
本実施形態においては、光ファイバ14aの出力端から出力された計測光は、平行平面ガラス基板14dを透過し、反射ミラー14cに到達して反射される。反射ミラー14cからの反射光は、再びガラス基板14dを逆方向に透過して、適当な参照光路長が設定された参照光として、光ファイバ14aを介して光カプラ12に入力される。
【0040】
上記の参照光生成部14は、参照用光路14bの光路長が可変に構成されている。すなわち、参照用光路14b上にあるガラス基板14dは、ガルバノメータ14eに取り付けられている。ガルバノメータ14eは、参照光路長制御部17からの周期的な信号に基づいて動作し、これによって、参照用光路14bに対するガラス基板14dの傾きが周期的に変化する。このとき、参照用光路14bの方向で見たガラス基板14dの厚さが変化するので、これによって、参照用光路14bの光路長が周期的に変化して、反射光路長に対する参照光路長(反射光に対する参照光のタイミング)が周期的にスキャンされる。
【0041】
光カプラ12は、上記したように計測光源11からの計測光を分岐させる光分岐手段であるとともに、プローブヘッド13からの反射光、及び参照光生成部14からの参照光を結合させる光結合手段としても機能する。半導体ウエハWなどで反射されてプローブヘッド13に戻って入力された反射光、及び参照光生成部14において参照光路長が設定された参照光は、光カプラ12で結合されて干渉光となり、出力用光ファイバ15aを介してフォトダイオード(PD)などの光検出器15に入力されて検出される。
【0042】
光検出器15で検出された干渉光のデータ等は、厚み算出部16において処理され、それらのデータに基づいて半導体ウエハWの厚みが算出される。本実施形態における厚み算出部16は、計測時刻のそれぞれにおいて、干渉光のデータ等から厚み値(生厚み値)を算出する生厚み値算出部16bと、複数の計測時刻で得られた生厚み値を統計処理して、統計厚み値を算出する統計厚み値算出部16cと、を有して構成されている。
【0043】
光検出器15によって干渉光を検出して得られた検出信号は、厚み算出部16の信号処理回路16aを介して生厚み値算出部16bに入力される。この光検出器15からの検出信号によって、干渉光の光強度のデータが得られる。また、参照光路長制御部17からのガルバノメータ14e(ガラス基板14d)の角度信号も、同様に信号処理回路16aを介して生厚み値算出部16bに入力されている。この角度信号から、参照用光路14bにおける参照光路長、またはその光路長変化量のデータが得られる。
【0044】
生厚み値算出部16bにおいては、各計測時刻において、これらの光強度データ、及び参照光路長データから、干渉光の光強度の参照光路長による変化(相関)を示す光強度分布が作成される。そして、得られた光強度分布を用い、光強度分布上で特定される複数の光強度ピークから、所定の選択基準を適用して選択された2本の光強度ピークを利用して、半導体ウエハWの生厚み値が算出される。
【0045】
生厚み値算出部16bで算出された生厚み値は、必要に応じて、さらに、統計厚み値算出部16cに入力される。統計厚み値算出部16cにおいては、複数の計測時刻にそれぞれ求められた生厚み値の時間変化に対して、直線近似計算(フィッティング)によって厚み変化直線が決定され、この厚み変化直線から統計厚み値が算出される。
【0046】
なお、半導体ウエハWなどからの反射光、それに対応して生成される光強度分布の光強度ピーク及びその選択基準、生厚み値及び統計厚み値の算出方法など、半導体ウエハWの厚み計測の詳細については、後述する。
【0047】
ウエットエッチング装置Bは、エッチング処理の対象(厚み計測装置Aの計測対象)である半導体ウエハWの一方の表面(図1中の上面、以下、エッチング面という)を、エッチング液によってウエットエッチングするように構成されている。
【0048】
半導体ウエハWは、エッチング面とは反対の面側に配置されたガラス基板などからなる保持基板21によって保持された状態で、回転台22上に固定される。回転台22は、回転駆動部23によって回転駆動され、これによって、ウエットエッチング中に半導体ウエハWが回転される。半導体ウエハWがパターン付である場合には、パターンのある面が保持基板21側とされ、パターンとは反対側の面をエッチング面としてウエットエッチングが行われる。
【0049】
半導体ウエハWのエッチング面へのエッチング液の供給は、エッチング液供給部24によって行われる。エッチング液供給部24は、半導体ウエハWに対するエッチング液の供給及び停止、または洗浄水の供給などを行う。このエッチング液供給部24によって、回転している半導体ウエハWのエッチング面にノズル24aからエッチング液が供給されると、供給されたエッチング液は半導体ウエハWの表面上で薄いエッチング液層Eを形成し、このエッチング液層Eによって、半導体ウエハWの表面がウエットエッチングされる。
【0050】
回転台22、回転台22上に載置された保持基板21、及び半導体ウエハWの回転駆動部23による回転と、エッチング液供給部24による半導体ウエハWのエッチング面へのエッチング液または洗浄液の供給及び停止は、エッチング制御部25によって制御される。
【0051】
厚み計測装置Aのプローブヘッド13は、回転台22上に保持基板21とともに載置された半導体ウエハWのエッチング面の所定部位に対向する位置に、エッチング面に向けて照射される計測光の光路がエッチング面に対して略垂直になるように設置される。このとき、垂直に照射された計測光が半導体ウエハWなどによって反射された反射光が、効率的にプローブヘッド13に再入力される。
【0052】
なお、飛散したエッチング液によるレンズ等の腐食を防止するため、プローブヘッド13にはエッチング液に耐性のある塩化ビニルなどの透明シートを保護膜として設けておくことが好ましい。または、プローブヘッド13の先端に円筒を取り付け、その内部を加圧することによってエッチング液の付着を防いでも良い。
【0053】
ここで、厚み計測装置A及びウエットエッチング装置Bからなる図1のウエットエッチング装置を用いた半導体ウエハWのウエットエッチング方法について、一例をあげて説明しておく。
【0054】
まず、保持基板21に保持された半導体ウエハWを、回転台22上に載置する。そして、エッチング制御部25からの指示信号に基づいて回転台22の回転駆動が開始される。続いて、エッチング液供給部24に対して半導体ウエハWのエッチング面へのエッチング液の供給が指示されて、半導体ウエハWのウエットエッチングが開始される(エッチング開始ステップ)。
【0055】
ウエットエッチングが開始されたら、厚み計測装置Aによって半導体ウエハWの厚みが計測される(厚み計測ステップ)。厚み計測は、操作者から指示された計測時刻、または、あらかじめ設定されている計測時刻で自動的に行われる。そして、それぞれの計測時刻で取得された厚みデータから、生厚み値算出部16bにおいて、生厚み値が算出される。また、必要があれば、各計測時刻で算出された生厚み値から、統計厚み値算出部16cにおいて、厚みの時間変化を示す厚み変化直線、及び統計処理がされた統計厚み値が算出される。
【0056】
そして、算出された生厚み値、または厚み変化直線及び統計厚み値から、実行中のウエットエッチング工程における半導体ウエハWの厚み、あるいはさらにその時間変化が評価される。厚みの評価については、例えば厚み計測装置Aの厚み算出部16において自動的に評価を行うことが可能である。または、厚み算出部16に表示装置(ディスプレイ)を接続しておき、得られた厚みデータをこの表示装置に表示させて、表示されたデータに基づいて操作者が評価する構成としても良い。
【0057】
ウエットエッチングの終了時刻となったら、エッチング制御部25からの指示信号によって、エッチング液供給部24によるエッチング液の供給が停止される。続いて、所定時間にわたって洗浄水が半導体ウエハWのエッチング面に供給されて、半導体ウエハWが洗浄される。洗浄水の供給を停止して半導体ウエハWの洗浄が終了した後、さらに所定時間、回転台22を回転駆動して半導体ウエハWのエッチング面から洗浄水を除去する。そして、洗浄水の除去が終了したら、回転駆動部23による回転台22の回転が停止されて、半導体ウエハWのウエットエッチングの全工程を終了する(エッチング終了ステップ)。
【0058】
このとき、ウエットエッチングの終了時刻としては、あらかじめ与えられたエッチング時間やエッチングレートのデータに基づいて決定しても良いが、厚み計測装置Aによって計測された半導体ウエハWの厚みの時間変化(例えば、厚み変化直線)から、あらかじめ設定されている終点厚みに基づいて、終了時刻を算出して用いることが好ましい(終了時刻算出ステップ)。
【0059】
この終了時刻の算出については、厚み算出部16で自動的に求める構成としても良いし、表示装置に表示されたデータから操作者が判断することも可能である。なお、厚み算出部16において終了時刻が求められる場合には、終了時刻を指示する終了指示信号を厚み算出部16から出力し、その終了指示信号に基づいてエッチング制御部25がウエットエッチングの終了制御を行う構成とすることができる。
【0060】
上記した実施形態の厚み計測装置Aによる、各計測時刻での半導体ウエハWの厚みの計測及び算出方法について説明する。
【0061】
まず、参照光路長(光路長変化量)及び干渉光強度の相関を示す光強度分布を用いた、生厚み値の計測方法について説明する。図2は、図1に示したウエットエッチング装置における半導体ウエハWの厚みの計測方法について模式的に示した図であり、図2(a)は、半導体ウエハWへの計測光の照射、及びプローブヘッド13への反射光の再入力について示す側面断面図、図2(b)は、光検出器15において得られる干渉光の光強度分布を示すグラフである。なお、図2(a)においては、図の見易さのため、半導体ウエハWに照射される計測光の光路、及びプローブヘッド13への反射光の光路を、それぞれ位置をずらして示してある。
【0062】
光カプラ12で分岐されてプローブヘッド13から出力された計測光L0は、エッチング液層E、半導体ウエハW、及び保持基板21を順次透過していくとともに、それらの隣接する層の各界面において計測光L0の一部がそれぞれ反射される。すなわち、エッチング液層Eの表面から反射光L1が、半導体ウエハWの上面から反射光L2が、半導体ウエハWの下面から反射光L3が、また、保持基板21の下面から反射光L4がそれぞれ反射され、プローブヘッド13へと戻って再入力される。
【0063】
再入力された反射光L1〜L4は、図2(a)に示されているように反射された界面によってそれぞれ異なる反射光路長を通過しており、プローブヘッド13から光カプラ12を介して光検出器15に入力されるタイミングが異なる。これに対して、参照光生成部14において参照用光路14bの光路長を上述したように周期的に変化させて、参照光路長(参照光の反射光に対するタイミング)をスキャンする。
【0064】
このとき、光カプラ12から反射光L1〜L4が反射された各界面までの光路長と、光カプラ12から反射ミラー14cまでの光路長とが一致すると、光路長及びタイミングが一致した反射光と参照光とが干渉によって強め合い、光検出器15において大きい光強度の干渉光が検出される。
【0065】
このように光路長をスキャンして得られる参照光路長(光路長変化量)と干渉光強度の相関を示す光強度分布を、図2(a)の断面図と対応させて図2(b)に示す。このグラフにおいて、一方の軸はスキャンされた参照用光路14bの光路長変化量、他方の軸は光検出器15によって検出された干渉光の光強度を示している。なお、参照光路長(光路長変化量)及び光路長差は、エッチング液層E、半導体ウエハW、及び保持基板21のそれぞれにおける屈折率の違いによって必ずしもそれぞれの厚みにはそのままは対応しないが、図2においては、説明のために屈折率の違いがないものとして、断面図及びグラフを対応させて図示している。
【0066】
このグラフに示されているように、光路長変化量を小さい方から大きくする(参照光路長を大きくする)方向にスキャンしていくと、エッチング液層E表面からの反射光L1に対応する光強度ピークP1(液面ピークP1)、半導体ウエハWの上面(エッチング面)からの反射光L2に対応する光強度ピークP2(ウエハ上面ピークP2)、半導体ウエハWの下面からの反射光L3に対応する光強度ピークP3(ウエハ下面ピークP3)、及び保持基板21の下面からの反射光L4に対応する光強度ピークP4(基板下面ピークP4)が順次得られる。
【0067】
図1に示した厚み計測装置Aでは、生厚み値算出部16b(厚み算出部16)において、図2(b)に示す光強度分布上での複数の光強度ピークから、所定の選択基準によって、ウエハ上面ピークP2及びウエハ下面ピークP3に対応する2本の光強度ピークを選択する。
【0068】
そして、これらのウエハ上面ピークP2とウエハ下面ピークP3との間の参照光路長の光路長差は、半導体ウエハWの上面から下面までの光路長差に相当している。したがって、この2本の光強度ピークP2、P3の間の光路長差から、半導体ウエハWの厚み(生厚み値)を算出することができる。
【0069】
特に、1つの光強度ピークに対する光路長とその時間変化を計測するのではなく、上記のように2本の光強度ピークP2、P3を用いる計測方法によって、半導体ウエハWの厚みをより直接的に正しく計測できる。さらに、半導体ウエハWのエッチング面上にエッチング液が流れているウエットエッチングの実行中での厚み計測が、エッチング液の存在にかかわらず可能となる。
【0070】
ウエハ上面ピークP2及びウエハ下面ピークP3の選択については、具体的には、光強度が最大である光強度ピーク(以下、最大ピークという)をウエハ上面ピークP2として選択する。図2(b)に示した光強度分布上の光強度ピークP1〜P4では、ほとんどの場合、ノイズピークをも含めて、最大ピークがウエハ上面ピークP2である。したがって、上記の選択方法によれば、確実かつ簡単にウエハ上面ピークP2を選択することができる。
【0071】
より詳しくは、各光強度ピークP1〜P4の光強度は、半導体ウエハWやエッチング液層Eの状態などによって変動する。例えば、上記した半導体ウエハW上のエッチング液層Eの状態の変化により、その厚みのみでなく、エッチング液層E表面の角度が変動する場合がある。このとき、計測光の光路に対するエッチング液層E表面の角度が変わるので、エッチング液層E表面からプローブヘッド13に到達する反射光L1の光強度が変化する。また、半導体ウエハWとして用いられている物質(Si、GaAs、Doped Siなど)や、保持基板21の材質などによっても、各光強度ピークの光強度比が異なってくる。
【0072】
一方で、上記のように各反射光での光強度などが変化した場合でも、各界面での反射特性やそれらの位置関係から、ウエハ上面ピークP2が最大ピークであることは変わらない。したがって、光強度分布での最大ピークを選択することによって、ウエハ上面ピークP2を確実かつ簡単に選択することができる。なお、光強度分布に大きいノイズピークを生じて、それがウエハ上面ピークP2として誤認されることもあり得るが、そのような確率は極めて低い。また、そのような誤認を生じた場合には異常な生厚み値が得られるので、明らかに異常な生厚み値等が除外されるようにしておけば、厚み評価に対して与える影響は小さい。
【0073】
上記した光強度ピークP2、P3の光路長差は、半導体ウエハWの光学的厚みに相当する。したがって、最終的な生厚み値は、得られた光路長差を半導体ウエハの屈折率で割ることによって求められる。この生厚み値の算出に用いられる半導体ウエハWの屈折率の値は、屈折率が既知のものであれば、その値を用いれば良い。また、必要があれば、マイクロゲージや顕微鏡などを用いた他の方法で厚みが計測されたウエハであらかじめ屈折率を測定しておき、その値を用いることが好ましい。
【0074】
以上の計測方法により、ウエットエッチングの実行中において、リアルタイムに、半導体ウエハWの厚みの計測が可能な非接触式の厚み計測装置、及びそれを備えるウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法が実現される。また、所定の時間間隔をおいて計測光源11から計測光を供給して、複数の計測時刻でそれぞれ厚み計測を行えば、ウエットエッチング中における半導体ウエハWの厚みの時間変化が求められ、それによるウエットエッチングの制御が可能となる。
【0075】
なお、半導体ウエハW上のエッチング液層Eの状態は、ノズル24aから流出されているエッチング液のエッチング面上での流れ方などによって変化する。このとき、エッチング液層Eの厚みが時間とともに変動し、これによって、光強度ピークP1、P2の光路長差が変化する。
【0076】
この場合、光強度ピークP1のピーク位置がシフトするだけでなく、エッチング液層Eが持つ屈折率のため、プローブヘッド13から半導体ウエハWまでの光路長が変化する。したがって、光強度ピークP2、P3なども同様にそのピーク位置がシフトする。この場合においても、半導体ウエハWの上面よりも下方(半導体ウエハW及び保持基板21)に相当する光強度分布は全体として同じだけシフトするので、光強度ピークP2、P3の光路長差などの各光路長差は、ピーク位置のシフトには影響されない。
【0077】
また、半導体ウエハWのエッチング面とは反対の面にパターンが付いている場合には、パターンよりも計測光のビーム径が小さければ各パターン部位での厚みが、また、パターンよりもビーム径が大きければビーム範囲内での平均的な厚みが求められる。また、図1に示したウエットエッチング装置では、エッチング中には半導体ウエハWが回転されているため、この場合、厚み計測では平均的な厚みを計測することになる。
【0078】
また、光強度分布からのウエハ上面ピークP2及びウエハ下面ピークP3の選択においては、必要に応じて、ピーク選択の処理に先立って、生厚み値の算出に使用する光路長範囲や、光強度ピークを特定するための光強度の閾値(スレッショルド)などの条件を適用しても良い。
【0079】
例えば、光路長範囲としては、光強度ピークがスキャンされる光路長範囲は、参照光生成部14における参照用光路14bでの光路長のスキャン範囲によって設定される。これに対して、必要があれば、スキャンされた光路長範囲から、光強度ピークの選択に用いる光路長範囲をさらに設定しても良い。このような光路長範囲としては、図2(b)に示す光路長範囲R1またはR2など、ウエハ上面ピークP2及びウエハ下面ピークP3を含むとともに、その外側の余分な範囲を除外する光路長範囲を設定することが好ましい。
【0080】
また、光強度の閾値としては、図2(b)に点線で示す光強度Ptなどの適当な光強度を閾値として設定して、ノイズ信号による小さい光強度ピークなどの余分なピークを除外することが好ましい。
【0081】
これらの光路長範囲や光強度の閾値などの条件は、厚み算出部16にあらかじめ与えておいても良いし、または、厚み算出部16に接続された表示装置に表示された光強度分布から、操作者がマウスカーソルの操作などによって選択して指示することも可能である。
【0082】
次に、各計測時刻における、半導体ウエハWの厚みの計測方法について、その一例を厚み計測装置Aの動作とともに説明する。図3は、図1に示した厚み計測装置Aによる厚み計測方法の一実施形態を概略的に示すフローチャートである。
【0083】
以下に示す厚み計測方法においては、半導体ウエハWの厚みを計測する各計測時刻に対して、短い時間間隔で連続する複数の厚み取得時刻を設定している。そして、その厚み取得時刻のそれぞれに、計測光源11から計測光を供給するとともに、各厚み取得時刻において取得された光強度データ及び参照光路長データから光強度分布(以下、個別光強度分布という)を作成し、得られた複数の個別光強度分布を用いて、その計測時刻に対する生厚み値を算出している。
【0084】
ここで、図3のフローチャートは、1回の計測時刻における厚みの計測及び算出について示している。また、各厚み取得時刻についての短い時間間隔とは、ウエットエッチングのエッチングレートに比べて充分に短く、半導体ウエハWの厚みが一定とみなせる時間間隔をいう。この時間間隔は、それぞれの場合でのエッチング条件等から設定される。具体的には、例えば10ms程度に設定される。
【0085】
まず、各計測時刻に対して設定された連続する厚み取得時刻のそれぞれに、計測光源11から計測光を供給し、複数回の厚みデータ取得を行う(ステップS101)。このとき、厚み算出部16の生厚み値算出部16bにおいて、それぞれの厚みデータ取得に対応する複数の個別光強度分布が作成される。
【0086】
次に、複数の厚み取得時刻のそれぞれにおいて取得された個別光強度分布を積算し、積算光強度分布を作成する(S102)。そして、その積算光強度分布上での複数の光強度ピークから、所定の選択基準によって、ウエハ上面ピークP2及びウエハ下面ピークP3の2本の光強度ピークを選択する(S103)。
【0087】
選択された光強度ピークP2、P3間での参照光路長の光路長差から、生厚み値算出部16bにおいて、その計測時刻での半導体ウエハWの生厚み値が算出される(S104)。また、それらの生厚み値を用いて、統計厚み値算出部16cにおいて、直線近似計算によって厚み変化直線が決定され、統計厚み値が算出される(S105)。
【0088】
半導体ウエハWの厚み(生厚み値及び統計厚み値)が算出されたら、その計測時刻において、終点厚みに到達しているかどうかが判断される(S106)。終点厚みに到達していなければ、次の計測時刻に、再び同様にして半導体ウエハWの厚み計測が行われる。終点厚みに到達していれば、半導体ウエハWのウエットエッチングを終了するとともに、半導体ウエハWの厚み計測をすべて終了する。
【0089】
なお、統計厚み値の算出については、生厚み値の統計的ばらつきが充分に小さい場合には、統計厚み値を算出せずに生厚み値をそのまま用いても良い。また、統計厚み値の算出は、最初の計測時刻から規定時間が経過し、充分な数の生厚み値データが得られた後の計測時刻において行うこととし、規定時刻に達するまでは生厚み値の算出のみとすることが好ましい。
【0090】
図1に示した厚み計測装置Aにおける上述した厚み計測方法では、各計測時刻において複数回の厚みデータ取得を行うとともに、それぞれの厚み取得時刻で得られた個別光強度分布を積算し、得られた積算光強度分布から生厚み値を算出している。これによって、各計測時刻において算出される生厚み値の精度を向上することができる。
【0091】
すなわち、生厚み値の算出に用いられるウエハ上面ピークP2及びウエハ下面ピークP3(図2(b)参照)のうち、ウエハ下面ピークP3は、ウエハ上面ピークP2に比べてやや光強度が小さいものの、シリコンベアウエハなどでは、ノイズピークに比べて充分に大きい。
【0092】
しかしながら、パターン付ウエハなどを計測対象とした場合、半導体ウエハWの下面側に形成されたパターンでの散乱などによって、ウエハ下面ピークP3の光強度がさらに弱くなる。このとき、ウエハ下面ピークP3の選択が困難となったり、あるいは、ウエハ下面ピークP3がノイズに埋もれてノイズピークがウエハ下面ピークP3として誤認されてしまい、誤った生厚み値が算出される場合がある。
【0093】
これに対して、上記した厚み計測方法においては、各計測時刻で、半導体ウエハWの厚みが一定とみなせる時間範囲内で複数回の厚みデータ取得を行い、それぞれの厚みデータから得られた個別光強度分布を積算して、生厚み値の算出に用いている。
【0094】
このとき、ノイズピークは、各個別光強度分布で異なる位置となるため、積算によって相対的に小さくなるのに対して、ウエハ下面ピークP3は、ほぼ同じ位置となるので、積算によって光強度分布上で強調されることとなる。したがって、このように複数の個別光強度分布を積算した積算光強度分布を用いることによって、光強度分布のS/N比などの統計精度が改善されて、各計測時刻において算出される生厚み値の精度が向上される。特に、ウエハ下面ピークP3の誤認よる誤った生厚み値の算出が防止される。
【0095】
また、積算される複数の個別光強度分布については、短時間の間に連続的に厚みデータ取得を行っているため、ウエットエッチングの進行の影響を受けることなく、光強度分布を積算することができる。
【0096】
なお、各計測時刻における複数の厚みデータの取得については、ハードウエアのメモリ上にそれらの厚みデータを蓄積し、複数回の厚みデータ取得をすべて終了した後に転送することが可能である。あるいは、1回の厚みデータ取得ごとに転送を行い、それを繰り返しても良い。
【0097】
図3に示した厚み計測方法の各ステップについて、さらに具体的に説明する。図4は、図3に示したフローチャートにおけるステップS102での光強度分布の積算方法について、その一例を示すフローチャートである。
【0098】
この積算方法では、まず、それぞれの個別光強度分布について、光強度が最大である最大ピークを選択する(ステップS201)。ここで、この最大ピークの選択は、上述したように、それぞれの個別光強度分布において、ウエハ上面ピークP2を選択していることに相当する。
【0099】
次に、その個別光強度分布が、1番目の厚みデータ(1番目の厚み取得時刻に取得された厚みデータ)であるかが判断される(S202)。1番目の厚みデータであれば、その個別光強度分布は、2番目以降の個別光強度分布が積算される積算光強度分布の元となる光強度分布であるので、その個別光強度分布をそのまま積算光強度分布とする。また、この1番目の個別光強度分布は、以下の各処理における基準光強度分布として用いられる。
【0100】
一方、2番目以降の厚みデータであれば、その個別光強度分布の積算を開始する。まず、個別光強度分布の光路長データのシフト処理を行う(S203)。積算しようとする個別光強度分布上で選択された最大ピークの位置(光路長値)と、1番目の基準光強度分布上での最大ピークの位置とを比較し、それらが一致するように、個別光強度分布の光路長データ(図2(b)に示すグラフの「光路長変化量」軸)をシフトさせる。
【0101】
次に、個別光強度分布の光強度データの補間処理を行う(S204)。上記のように、最大ピークの位置が基準光強度分布と一致するように個別光強度分布をシフトさせた場合でも、データのチャンネル間隔のリニアリティなどの問題から、各個別光強度分布のデータにおけるチャンネルと、光路長データとが正しく対応していない場合がある。このような対応のずれを、光強度データ(図2(b)に示すグラフの「干渉光強度」軸)の補間によって解消する。また、上記した個別光強度分布のシフトによって、データの先頭または最後尾にデータの欠落を生じている場合には、そのデータを適当に補充しておく。
【0102】
個別光強度分布のシフト及び補間を終了したら、その個別光強度分布を積算光強度分布に積算する(S205)。そして、その計測時刻で取得されたすべての個別光強度分布の積算を終了したかどうかが判断され(S206)、積算が終了していなければ、次の個別光強度分布の積算を実行する。積算が終了していれば、積算光強度分布について平均を算出した後(S207)、光強度分布の積算を終了する。
【0103】
上記した光強度分布の積算方法においては、それぞれの個別光強度分布において、最大ピークをウエハ上面ピークP2として選択し、その位置を基準として個別光強度分布の積算を行っている。このとき、ウエハ上面ピークP2の位置が互いに一致するように個別光強度分布が変換された後に、それらの積算が行われることとなるので、積算光強度分布において半導体ウエハWの生厚み値を正確に算出することができる。
【0104】
ここで、図2に関して上述したように、半導体ウエハW上のエッチング液層Eの厚みは、ノズル24aから流出されているエッチング液のエッチング面上での流れ方などによって変化し、このため、各光強度ピークの光強度分布における位置(光路長値)が変動する場合がある。また、回転駆動部23による回転によって、半導体ウエハWの上面位置が振動することによっても、各光強度ピークの位置が変動する。さらに、各厚みデータにおけるチャンネル間隔と光路長データとの対応の問題もある。
【0105】
このとき、それぞれの個別光強度分布に対して、適当な変換処理を行わずにそのまま積算すると、各光強度ピークの位置のずれなどによってピークの半値幅が大きくなったり、複数のピークに別れてしまうなどの問題を生じる。したがって、複数の厚み取得時刻で厚みデータ取得を行っても、単純な積算では、それによる統計改善の効果が充分に得られない場合がある。
【0106】
これに対して、個別光強度分布に対してシフト処理及び補間処理を行った後に、それらの積算を行う上記の積算方法では、それぞれの個別光強度分布での光強度ピークが、互いに正確に重なるように積算が行われる。したがって、複数の個別光強度分布の積算による統計改善の効果を充分に得ることができる。また、ウエハ上面ピークP2を基準として個別光強度分布を変換しておけば、ウエハ上面ピークP2とウエハ下面ピークP3との間隔がほとんど変化しないように厚み取得時刻の時間間隔が設定されているので、ウエハ下面ピークP3の位置についても同様に一致される。
【0107】
次に、光強度分布における複数の光強度ピークからのウエハ上面ピーク及びウエハ下面ピークの選択方法について説明する。図5は、図3に示したフローチャートにおけるステップS103での光強度ピークの選択方法について、その一例を示すフローチャートである。
【0108】
この選択方法では、まず、積算光強度分布における最大ピークを、ウエハ上面ピークP2として選択する(ステップS301)。ここで、選択されたウエハ上面ピークP2の光路長データ=X2とする(図2(b)参照)。なお、最大ピークとウエハ上面ピークP2との対応については、図2(b)及び光強度分布の積算方法に関して上述した通りである。
【0109】
次に、上記したウエハ上面ピークP2の位置X2を基準として、積算光強度分布上におけるウエハ下面ピークP3の位置(光路長データ=X3)の予測を行う(S302)。具体的には、ウエハ下面ピークP3が位置する光路長値として予測される光路長期待値EX3と、光路長期待値EX3を中心としたウエハ下面ピークP3の位置範囲として許容される光路長範囲ΔEX3とが設定される(S303、S304)。
【0110】
光路長期待値EX3は、その計測時刻での半導体ウエハWの厚みThとして予測される厚み期待値EThから、
EX3=X2+ETh
として設定される。また、光路長範囲ΔEX3は、ウエハ下面ピークP3の位置の統計的ばらつきなどを考慮して、適当な範囲に設定される。
【0111】
ウエハ下面ピークP3の位置予測が終了したら、積算光強度分布からウエハ下面ピークP3の選択を行う(S305)。このウエハ下面ピークP3の選択は、その位置として予測された光路長期待値から光路長範囲内、すなわち、
EX3 ± ΔEX3
の位置範囲(下限値=EX3−ΔEX3、上限値=EX3+ΔEX3)内で行われる。具体的には、設定された閾値(例えば図2(b)に示した光強度の閾値Pt)よりも大きい光強度を有するとともに、上記した位置範囲内で光強度が最大となる最大ピークを、ウエハ下面ピークP3として選択する。以上によって、ウエハ上面ピークP2及びウエハ下面ピークP3の選択を終了する。
【0112】
なお、予測された位置範囲内での最大ピークが閾値以下であった場合、及び閾値以上の光強度ピークが予測された位置範囲外にあった場合には、ウエハ下面ピークP3が検出されなかったものとして扱う。この場合には、生厚み値の算出は行われない。ただし、閾値の条件については、その適用を行わずに、最大ピークの条件のみによってウエハ下面ピークP3の選択を行っても良い。
【0113】
上記した光強度ピークの選択方法においては、最初に積算光強度分布における最大ピークをウエハ上面ピークP2として選択するとともに、そのウエハ上面ピークP2の位置X2を基準としてウエハ下面ピークP3の位置X3を予測し、予測された位置範囲(光路長範囲)内でウエハ下面ピークP3の選択を行うこととしている。
【0114】
ウエハ下面ピークP3は、ウエハ上面ピークP2と比べて光強度が小さく、計測条件によっては、ノイズピークなどがウエハ下面ピークP3として誤認される場合がある。これに対して、この厚み計測方法では、複数の個別光強度分布を積算することによって、ウエハ下面ピークの誤認が防止されている。さらに、上記のように、予測された範囲内に限定してウエハ下面ピークP3の選択を行うことによって、ウエハ下面ピークP3をより正確に選択することができる。
【0115】
ウエハ下面ピークP3の位置予測について、さらに具体的に説明する。図6は、図5に示したフローチャートにおけるステップS302(S303、S304)でのウエハ下面ピークの位置予測方法について、その一例を示すフローチャートである。
【0116】
なお、図6に示す予測方法においては、所定の時間間隔をおいた複数の計測時刻のそれぞれにおいて、その計測時刻に対して設定された連続する複数の厚み取得時刻のそれぞれに計測光源11から計測光を供給して、半導体ウエハWの厚み計測を実行している。そして、厚み算出部16の統計厚み値算出部16cにおいて、最初の計測時刻から規定時間が経過して充分な厚みデータが蓄積された後の計測時刻のそれぞれで、複数の生厚み値の時間変化に対して、直線近似計算による厚み変化直線の決定、及びその厚み変化直線からの統計厚み値の算出を行っている。
【0117】
ここで、図6のフローチャートが示しているウエハ下面ピークP3の位置予測が行われる計測時刻をtm、その前回の計測時刻をtn(tn<tm)とする。また、前回の計測時刻tnにおいて決定された時刻tの関数である厚み変化直線をFThtn(t)、許容数値範囲をΔThとする。
【0118】
この予測方法では、まず、この計測時刻tmにおいて、最初の計測時刻から規定時間が経過して、統計厚み値の算出が行われているかどうかが判断される(ステップS401)。
【0119】
統計厚み値の算出が行われていなければ、あらかじめ設定されている条件を用いて、ウエハ下面ピークP3の位置予測を行う(S402)。設定されている条件としては、初期厚み=ITh、初期厚み範囲=ΔITh、エッチングレート=ERがある。
【0120】
上記の各条件値を用い、ウエハ下面ピークP3の位置X3に対する光路長期待値EX3及び光路長範囲ΔEX3を設定する。このとき、光路長期待値EX3は、次式
EX3=X2+ITh−tm×ER
によって設定される(S403、S303)。また、光路長範囲ΔEX3は、
ΔEX3=ΔITh
によって設定される(S404、S304)。
【0121】
一方、統計厚み値の算出が行われていれば、前回の計測時刻tnまでに算出されている厚み変化直線FThtn(t)及び許容数値範囲ΔThを用いて、ウエハ下面ピークP3の位置予測を行う(S405)。
【0122】
上記の各条件値を用い、ウエハ下面ピークP3の位置X3に対する光路長期待値EX3及び光路長範囲ΔEX3を設定する。このとき、光路長期待値EX3は、次式
EX3=X2+FThtn(tm)
によって設定される(S406、S303)。また、光路長範囲ΔEX3は、
ΔEX3=ΔTh
によって設定される(S407、S304)。以上によって、光路長期待値EX3及び光路長範囲ΔEX3の設定によるウエハ下面ピークP3の位置予測を終了する。
【0123】
上記したウエハ下面ピークP3の位置予測方法においては、統計厚み値の算出が開始される規定時間の経過前後で、その予測方法を変更している。これによって、規定時間の経過後には、計測された厚みデータを用いて最適に位置予測を行うことができる。また、規定時間の経過前には、厚み変化直線等が求められていなくても、適切な範囲で位置予測を行うことができる。
【0124】
規定時間の経過前に使用される初期厚みITh、初期厚み範囲ΔITh、及びエッチングレートERについては、操作者が適当な数値を入力して与えても良い。あるいは、過去の計測データからの数値を用いることも可能である。
【0125】
次に、生厚み値の統計処理による厚み変化直線の決定方法、統計厚み値の算出方法、及びウエットエッチングの終了時刻の決定方法について説明する。図7は、図1に示したウエットエッチング装置における厚み計測方法及びウエットエッチング方法での生厚み値の統計処理方法について、その一例を示すフローチャートである。
【0126】
なお、以下においては、厚み計測装置Aによる半導体ウエハWの厚み計測について、所定の時間間隔をおいた複数の計測時刻で厚み計測を行っているものとする。各計測時刻における厚み計測方法については、具体的には、図3〜図6について上述した通りである。
【0127】
まず、ウエットエッチング装置Bで半導体ウエハWに対するウエットエッチングが開始されたら、複数の計測時刻tのそれぞれで、厚み計測が行われる(ステップS501)。計測時刻を指示する時間間隔としては、例えば、全体のエッチング時間1〜2分に対して5Hzの時間間隔など、エッチング時間やエッチングレートに応じて適宜設定して、その各計測時刻で自動的に厚み計測を実行することが好ましい。また、エッチング時間の全体に対して一定の時間間隔でも良いし、異なる時間間隔としても良い。
【0128】
計測光源11から、その計測時刻に対して設定された複数の厚み取得時刻のそれぞれに計測光が供給されて、厚み計測が実行されたら、光検出器15及び参照光路長制御部17からの各データが、厚み算出部16の信号処理回路16aを介して生厚み値算出部16bに入力される。
【0129】
次に、生厚み値算出部16bにおいて、個別光強度分布が作成されるとともに、それらの個別光強度分布が積算されて積算光強度分布とされる。そして、その積算光強度分布から選択された2本の光強度ピークを用いて、その計測時刻tにおける生厚み値RTh(t)が算出される(S502)。ここで、予測された位置範囲内でウエハ下面ピークP3が選択されなかった場合など、生厚み値を正しく算出できなかった場合には、RTh(t)=0μmとして、その生厚み値を無効とする。
【0130】
次に、最初の計測時刻から経過した時間が規定時間以上となったかどうかを判断し(S503)、規定時間未満であれば、厚み計測の実行及び生厚み値の算出を繰り返す。一方、規定時間に到達していれば、生厚み値に対する統計処理を開始する。この規定時間は、半導体ウエハWの厚み評価に充分な生厚み値データの統計点数が得られたかどうかを判断するための時間であり、最初の計測時刻からの経過時間幅、あるいは、厚み計測が行われた計測回数などによって指定される。以下においては、最初の計測時刻からの時間幅Tcを規定時間とする。
【0131】
厚み計測の開始からの時間が規定時間Tcに到達していると判断されたら、続いて、生厚み値に対する許容数値範囲が設定済みであるかどうかを判断する(S504)。許容数値範囲が設定されていなければ、最初の計測時刻から規定時間Tcが経過した後の1回目の計測時刻であるので、許容数値範囲の設定を実行する。
【0132】
上記した1回目の計測時刻での許容数値範囲の設定方法(S505〜S506)について、図8及び図9に模式的に示すグラフを参照しつつ説明する。ここで、以下に示す図8〜図11のグラフにおいては、それぞれ横軸はエッチング時間t(=計測時刻t)を示し、縦軸は各時刻での半導体ウエハWの厚みThを示している。
【0133】
また、各グラフ中に示す計測時刻tのそれぞれで算出された生厚み値RTh(t)については、それぞれのグラフの段階で有効となっているものを黒丸で図示している。一方、無効となっているものについては、白丸で図示するか、あるいはグラフの見易さのため図示を省略している。また、ウエットエッチングの目標としてあらかじめ設定された半導体ウエハWの終点厚みTh0を、それぞれ横軸に平行な点線によって示してある。
【0134】
図8は、tn=Tcとなって規定時間Tcに到達した1回目の計測時刻tnに対して、その計測時刻tnまでに計測及び算出が行われた生厚み値の分布及び時間変化の一例を示すグラフである。各計測時刻での生厚み値のデータのうち、RTh(t)=0μmとなっている3データ点の生厚み値は、光強度ピークが正しく選択されず、無効とされているデータ(白丸)である。許容数値範囲の設定は、それ以外の有効とされているデータ(黒丸)を用いて実行される。
【0135】
まず、図8に黒丸で示された有効な生厚み値RTh(t)の時間変化に対して、データ選別を行う(S505)。データ選別では、生厚み値RTh(t)のデータに対して直線近似計算(例えば最小二乗法などのフィッティング計算)を実行して、データ選別用の厚み変化直線及び数値範囲(選別数値範囲)を求め、選別数値範囲外の生厚み値RTh(t)を無効とすることによってデータを選別する。このデータ選別は、必要に応じて、所定回数(例えば2回)だけ行われる。
【0136】
データ選別を終了したら、データ選別後に有効となっている生厚み値RTh(t)のデータの時間変化から、図9に示すように、厚み変化直線FThtn(t)の算出、及び許容数値範囲ΔThの設定を行う(S506)。この許容数値範囲ΔThは、以後の各計測時刻における生厚み値の有効または無効の判定に用いられる。また、これらの厚み変化直線FThtn(t)及び許容数値範囲ΔThは、図6のフローチャートに示すように、ウエハ下面ピークP3の位置予測にも用いられる。ここで、厚み変化直線の下付添字tnは、その厚み変化直線が計測時刻tnで決定された厚み変化直線であることを示している。
【0137】
まず、データ選別で有効とされた生厚み値のデータ(図9に黒丸で示されている8データ点)に対して直線近似計算を実行して、生厚み値の時間変化を示す厚み変化直線FThtn(t)を決定する。そして、この厚み変化直線FThtn(t)に対して、この段階で有効とされている生厚み値RTh(t)の標準偏差などのばらつき値σを算出する。一方、許容数値範囲ΔThを求めるための許容定数ΔThcがあらかじめ設定されている。これらの数値から許容数値範囲ΔThは、ΔTh=σ×ΔThcとして設定される。計測時刻tnでの厚み変化直線FThtn(t)の決定、及び許容数値範囲ΔThの設定が終了したら、次の厚み計測の実行及び生厚み値の算出に移行する。
【0138】
最初の計測時刻から規定時間Tcが経過した後の2回目以降の計測時刻では、許容数値範囲が設定済みであるので、上記したデータ選別及び許容数値範囲の(再)設定を行わず、許容範囲内外の判定等を実行する。この2回目以降の計測時刻での許容範囲内外の判定方法等(S507〜S509)について、図10及び図11に模式的に示すグラフを参照しつつ説明する。
【0139】
2回目以降の計測時刻tmで算出された生厚み値RTh(tm)について、図10に示すように、許容範囲内外の判定を行う(S507)。許容範囲内または範囲外のいずれにあるかは、具体的には、前回の計測時刻(ここでは、計測時刻tnとする)で決定された厚み変化直線FThtn(t)から許容数値範囲ΔTh内にあるかどうかによって判定される。
【0140】
すなわち、前回の計測時刻tnで決定された厚み変化直線FThtn(t)を外挿(点線)して、今回の計測時刻tmでの厚みの期待値FThtn(tm)を求める。そして、この計測時刻tmで実行された厚み計測による生厚み値RTh(tm)が、FThtn(tm)から±ΔThの範囲(図10中、厚み変化直線FThtn(t)を上下から挟む2本の破線で示されている)内にあれば、その生厚み値RTh(tm)のデータを有効とする。一方、範囲外であれば、その生厚み値のデータを無効とする。そして、その判定結果に基づいて、今回の計測時刻tmに対する厚み変化直線FThtm(t)の決定を行う(S508)。
【0141】
図10のグラフにおいては、生厚み値RTh(tm)が、前回の厚み変化直線FThtn(t)から許容数値範囲ΔThの範囲内にある場合を示している。このとき、生厚み値RTh(tm)は有効とされる。そして、図11に示すように、この生厚み値RTh(tm)を含み、計測時刻tmから規定時間Tcの時間範囲内にある有効な生厚み値のデータ(黒丸)に対して、直線近似計算を実行して、新たな厚み変化直線FThtm(t)を決定する。
【0142】
一方、生厚み値RTh(tm)が、前回の厚み変化直線FThtn(t)から許容数値範囲ΔThの範囲外であった場合には、生厚み値RTh(tm)は無効とされる。このとき、直線近似計算を実行せず、前回の厚み変化直線をそのまま、今回の計測時刻tmでの厚み変化直線FThtm(t)=FThtn(t)に決定する。
【0143】
なお、許容範囲内外の判定(S507)については、図6に示したウエハ下面ピークP3の位置予測によって、生厚み値の許容範囲内外の判定と同様の効果が充分に得られている場合には、この生厚み値の統計処理の段階では許容範囲内外の判定を行わなくても良い。
【0144】
厚み変化直線FThtm(t)が決定されたら、計測時刻tmでの統計厚み値STh(tm)を、STh(tm)=FThtm(tm)によって算出して(S509)、その計測時刻tmにおける生厚み値データの統計処理を終了する。そして、算出された統計厚み値STh(tm)が終点厚みTh0に到達しているかどうかを判断する(S510)。統計厚み値STh(tm)があらかじめ設定されているウエットエッチングの終点厚みTh0以下となっていたら、厚み算出部16からエッチング制御部25に終了指示信号を出力して、ウエットエッチングを終了する。一方、図11に示すように、終点厚みTh0に到達していなければ、ウエットエッチング工程を継続するとともに、次の厚み計測を実行する。
【0145】
ここで、各計測時刻での厚み計測で算出された半導体ウエハWの厚み(生厚み値)は、(1)統計的なばらつき(統計ばらつき)、及び(2)計測エラーによるばらつき(エラーばらつき)の2つの原因による値のばらつきを有する。
【0146】
このうち、(1)統計ばらつきは、正しく行われた厚み計測においても必然的に生じるものであり、この生厚み値のばらつきはデータとして許容される範囲である。この統計ばらつきの影響は、上記した統計処理における厚み変化直線及び統計厚み値の算出などによって低減される。一方、(2)エラーばらつきは、ウエハ下面ピークP3の誤認などによって生じるものである。このエラーばらつきの影響は、上記した統計処理における許容範囲内外の判定や、図6のフローチャートに示したウエハ下面ピークP3の位置予測などによって低減される。
【0147】
また、上記した厚み計測装置を適用した図1のウエットエッチング装置及びウエットエッチング方法では、生厚み値算出部16bで得られた生厚み値、または、統計厚み値算出部16cで得られた厚み変化直線及び統計厚み値に基づき、エッチング制御部25を介して、エッチング液供給部24によるエッチング液の供給の停止によるウエットエッチングの終了、あるいはエッチングレートの変更などを適宜制御することが可能である。
【0148】
特に、ウエットエッチング終了後に得られる半導体ウエハの厚みについては、厚み変化直線及び統計厚み値と、あらかじめ設定された終点厚みとに基づいて終了時刻を求めることによって、終点厚みからのばらつきを低減することができ、半導体装置製造の効率化と歩留まりの向上を実現することができる。
【0149】
より具体的には、上記の例では、算出された統計厚み値が終点厚み以下となっていたら、その計測時刻を終了時刻とするとともに、厚み算出部16からエッチング制御部25に終了指示信号を出力して、ウエットエッチングを終了している。また、上記以外にも、厚み変化直線を用いて終了時刻を予測する構成が可能である。すなわち、図11に示すように、厚み変化直線FThtm(t)を外挿(延長)して、終点厚みを示す直線との交点を求め、その交点での時刻teを終了時刻として予測することができる。このように終了時刻をあらかじめ予測した場合には、その予測された終了時刻に基づいてウエットエッチングの終了制御を行うことが可能である。
【0150】
例えば、終了指示信号によってエッチング液供給部24からのエッチング液の供給が停止されてから、洗浄水によってエッチング面上のエッチング液が除去されるまでには、ある程度のタイムラグがある。そのため、終点厚み以下となった時刻を終了時刻とする制御方法では、オーバーエッチを起こす可能性がある。これに対して、厚み変化直線によってあらかじめ予測された終了時刻を用い、その終了時刻よりもタイムラグの分だけ早い時刻にエッチング液の供給を停止すれば、オーバーエッチを起こすことがなくなり、半導体ウエハWの終点厚みを正確に制御することができる。
【0151】
本発明による厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な構成の変形や工程の変更が可能である。例えば、保持基板21は、薄くエッチングされる半導体ウエハWの機械的強度を維持するためのものであり、半導体ウエハWの厚みによっては保持基板を用いずにエッチングを行うことも可能であるが、この場合にも、同様に上記した厚み計測装置等を適用することができる。
【0152】
また、半導体ウエハWからの反射光を取り込む光入力手段については、上記した実施形態では光出力手段であるプローブヘッド13を共用しているが、光出力手段とは別に光入力手段を設置する構成としても良い。この場合、反射光はプローブヘッド13への光ファイバ13aとは別の光ファイバに入力されるので、光カプラ12に加えて設けられた他の光カプラなどを光結合手段として、反射光と参照光の結合が行われる。また、光入力/出力手段あるいは光分岐/結合手段の一方のみを単一の光入出力手段あるいは光カプラとし、他方は別々とする構成も可能である。
【0153】
ウエットエッチングのエッチングレートについては、必ずしも一定のレートとしなくても良い。例えば、厚み計測によって得られた半導体ウエハWの厚みの時間変化に基づいて、終点厚み(エッチングの終了時刻)が近づくにつれてエッチングレートが遅くなるようにエッチングを制御すれば、さらに細かい厚みの制御が可能となる。この場合、厚み変化直線に代えて、所定の曲線を用いて厚みの時間変化及び終了時刻を求めても良い。または、厚みの時間変化を求める生厚みデータの時間範囲を区分して、エッチングレートを変更した時刻の前後で別々に厚み変化直線を求めることも可能である。
【0154】
また、複数の厚み取得時刻で取得された個別光強度分布等の積算については、図4のフローチャートに示した積算方法に限らず、様々な積算方法を用いて良い。例えば、各個別光強度分布の位置のずれが問題にならない場合には、光路長データのシフト及び光強度データの補間を行わずに、各データをそのまま積算しても良い。この場合、生厚み値算出の精度がやや低下するが、積算の計算処理が短時間で済むという利点がある。
【0155】
また、積算する前の個別光強度分布の段階で、いったんウエハ上面ピーク及びウエハ下面ピークの選択を行い、それらが正しく選択された個別光強度分布のみを積算して積算光強度分布としても良い。この場合、ノイズピークの影響などが抑制されるので、特に正確な生厚み値を算出することが可能となる。あるいは、個別光強度分布の段階で、ウエハ上面ピーク及びウエハ下面ピークの選択とともに、個別光強度分布それぞれでの生厚み値(個別生厚み値)の算出を行っても良い。この場合、個別光強度分布自体を積算するのではなく、得られた個別生厚み値を積算し、個別生厚み値の平均値を求めることで生厚み値を算出することができる。
【0156】
あるいは、厚み計測の条件から、各計測時刻において、1回の厚みデータ取得で充分な精度の生厚み値を得ることが可能な場合には、光強度分布等の積算を行わないこととしても良い。
【0157】
【発明の効果】
本発明による厚み計測装置、及びそれを用いたウエットエッチング装置、ウエットエッチング方法は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、反射光と参照光とを結合させた干渉光の光強度分布における光強度ピークを利用して半導体ウエハの厚みを計測するとともに、光強度が最大である光強度ピークをウエハ上面ピークとして選択する厚み計測装置によれば、エッチング液の存在にかかわらず、半導体ウエハの厚みを計測することが可能となるとともに、光強度ピークの選択を確実かつ簡単に行うことができる。
【0158】
このような厚み計測を利用すれば、それぞれのウエットエッチング工程での現実のエッチングレートやその時間変化などのエッチング条件を実測によって知ることが可能となる。したがって、ウエットエッチングの終了後に、得られた半導体ウエハの厚みを計測する検査段階でウエットエッチングの良否を判断するのではなく、エッチング中に厚みの時間変化を判断しつつウエットエッチングを制御することができ、半導体装置製造の効率化やその歩留まりの向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】厚み計測装置、及び厚み計測装置を備えるウエットエッチング装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示したウエットエッチング装置における半導体ウエハの厚みの計測方法について示す模式図である。
【図3】厚み計測方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図4】図3に示したフローチャートでの光強度分布の積算方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】図3に示したフローチャートでの光強度ピークの選択方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】図5に示したフローチャートでのウエハ下面ピークの位置予測方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】厚み計測方法及びウエットエッチング方法での生厚み値の統計処理方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】生厚み値データの一例を模式的に示すグラフである。
【図9】許容数値範囲の設定について示すグラフである。
【図10】生厚み値の許容数値範囲内外の判定について示すグラフである。
【図11】厚み変化直線の決定及び統計厚み値の算出について示すグラフである。
【符号の説明】
A…厚み計測装置、11…計測光源、11a…入力用光ファイバ、12…光カプラ、13…プローブヘッド、13a…計測用光ファイバ、14…参照光生成部、14a…参照用光ファイバ、14b…参照用光路、14c…反射ミラー、14d…ガラス基板、14e…ガルバノメータ、15…光検出器、15a…出力用光ファイバ、16…厚み算出部、16a…信号処理回路、16b…生厚み値算出部、16c…統計厚み値算出部、17…参照光路長制御部、
B…ウエットエッチング装置、21…保持基板、22…回転台、23…回転駆動部、24…エッチング液供給部、24a…ノズル、25…エッチング制御部、
W…半導体ウエハ、E…エッチング液層。
Claims (14)
- エッチング液を用いたウエットエッチングの実行中に半導体ウエハの厚みを計測するための厚み計測装置であって、
所定の計測時刻において、計測光を供給する計測光源と、
前記計測光源からの前記計測光を分岐させる光分岐手段と、
前記光分岐手段で分岐された前記計測光の一方を、計測対象である前記半導体ウエハに対して出力させて、前記エッチング液が供給されているエッチング面側から照射する光出力手段と、
前記光出力手段から照射された前記計測光が前記エッチング液または前記半導体ウエハによって反射された反射光を入力させる光入力手段と、
前記光分岐手段で分岐された前記計測光の他方を、光路長が可変に構成された参照用光路を通過させて、参照光路長が設定された参照光を生成する参照光生成手段と、
前記光入力手段からの前記反射光と、前記参照光生成手段からの前記参照光とを結合させて干渉光とする光結合手段と、
前記光結合手段からの前記干渉光を検出する光検出手段と、
前記計測時刻において、前記参照光生成手段で設定された前記参照光路長と、前記光検出手段で検出された前記干渉光の光強度との相関を示す光強度分布を用い、複数の光強度ピークからウエハ上面ピーク及びウエハ下面ピークとして選択された2本の光強度ピーク間での前記参照光路長の光路長差に基づいて、前記半導体ウエハの生厚み値を算出する生厚み値算出手段を有する厚み算出手段と
を備え、
前記生厚み値算出手段は、前記光強度分布における複数の光強度ピークのうち、光強度が最大である光強度ピークを前記ウエハ上面ピークとして選択することを特徴とする厚み計測装置。 - 前記生厚み値算出手段は、前記光強度分布における複数の光強度ピークに対して、前記ウエハ上面ピークでの前記参照光路長を基準として、前記ウエハ下面ピークが位置する光路長期待値及び光路長範囲を求め、前記光路長期待値から前記光路長範囲内で前記ウエハ下面ピークを選択することを特徴とする請求項1記載の厚み計測装置。
- 前記生厚み値算出手段は、前記光路長期待値から前記光路長範囲内で、設定された閾値よりも大きい光強度を有するとともに、その光強度が前記光路長範囲内で最大である光強度ピークを前記ウエハ下面ピークとして選択することを特徴とする請求項2記載の厚み計測装置。
- 前記計測光源は、前記計測時刻において、その前記計測時刻に対して設定された連続する複数の厚み取得時刻のそれぞれに、計測光を供給するとともに、
前記生厚み値算出手段は、前記複数の厚み取得時刻のそれぞれにおいて取得された個別光強度分布、または前記個別光強度分布からそれぞれ算出された個別生厚み値を積算して、前記生厚み値を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の厚み計測装置。 - 前記生厚み値算出手段は、前記個別光強度分布を、前記ウエハ上面ピークの位置を一致させて積算して積算光強度分布とし、前記積算光強度分布を用いて、前記生厚み値を算出することを特徴とする請求項4記載の厚み計測装置。
- 前記生厚み値算出手段は、前記個別光強度分布からそれぞれ算出された前記個別生厚み値を積算し、前記個別生厚み値の平均値を求めて、前記生厚み値を算出することを特徴とする請求項4記載の厚み計測装置。
- 前記光出力手段及び前記光入力手段は、単一の光入出力手段からなるとともに、前記光分岐手段及び前記光結合手段は、単一の光カプラからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の厚み計測装置。
- 前記計測光源は、所定の時間間隔をおいた複数の前記計測時刻のそれぞれにおいて、計測光を供給するとともに、
前記厚み算出手段は、最初の前記計測時刻から規定時間が経過した後の前記計測時刻のそれぞれにおいて、複数の前記生厚み値の時間変化に対して、直線近似計算による厚み変化直線の決定を行って、前記厚み変化直線から統計厚み値を算出する統計厚み値算出手段を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の厚み計測装置。 - 請求項1〜8のいずれか一項記載の厚み計測装置を備えるウエットエッチング装置であって、
前記ウエットエッチングの対象となる前記半導体ウエハの前記エッチング面に、前記エッチング液を供給するエッチング液供給手段と、
前記エッチング液供給手段による前記エッチング液の供給を制御するエッチング制御手段と
を備えることを特徴とするウエットエッチング装置。 - 前記厚み計測装置の前記厚み算出手段は、求められた前記半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいて前記ウエットエッチングの終了時刻を求めて、前記終了時刻を指示する終了指示信号を出力し、
前記エッチング制御手段は、前記終了指示信号に基づいて、前記エッチング液供給手段による前記エッチング液の供給を停止させることを特徴とする請求項9記載のウエットエッチング装置。 - 請求項1〜8のいずれか一項記載の厚み計測装置を用いたウエットエッチング方法であって、
前記ウエットエッチングの対象となる前記半導体ウエハの前記エッチング面に、前記エッチング液を供給して前記ウエットエッチングを開始するエッチング開始ステップと、
前記エッチング開始ステップで開始された前記ウエットエッチングの実行中に、前記厚み計測装置を用いて前記半導体ウエハの厚みを計測する厚み計測ステップと、
前記エッチング液の供給を停止して前記ウエットエッチングを終了するエッチング終了ステップと
を備えることを特徴とするウエットエッチング方法。 - 前記厚み計測ステップで求められた前記半導体ウエハの厚みの時間変化から、あらかじめ設定された終点厚みに基づいて前記ウエットエッチングの終了時刻を求める終了時刻算出ステップをさらに備え、
前記エッチング終了ステップにおいて、前記終了時刻算出ステップで求められた前記終了時刻に基づいて前記エッチング液の供給を停止することを特徴とする請求項11記載のウエットエッチング方法。 - 前記終了時刻算出ステップにおいて、前記半導体ウエハの厚みの時間変化で、求められた前記半導体ウエハの厚みが前記終点厚み以下となった前記計測時刻を前記終了時刻とすることを特徴とする請求項12記載のウエットエッチング方法。
- 前記終了時刻算出ステップにおいて、前記半導体ウエハの厚みの時間変化を用いて前記終了時刻を予測することを特徴とする請求項12記載のウエットエッチング方法。
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