JP6479465B2 - 基板処理装置及び基板温度測定装置 - Google Patents

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本発明は、基板処理装置及び基板温度測定装置に関し、処理中の基板の温度を直接的に測定する基板処理装置及び基板温度測定装置に関する。
従来、基板としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)へ減圧環境においてプラズマ処理、例えば、ドライエッチング処理を施す基板処理装置において、ウエハの温度はエッチング速度やエッチングよって形成されるトレンチの形状等に大きな影響を与えることから、プラズマ処理が施されているウエハの温度を測定する試みがなされている。
例えば、ウエハを表面において吸着する静電チャックの裏面に蛍光体を塗布し、該蛍光体から発光された光に基づいて静電チャックの温度、引いてはウエハの温度を推定する蛍光温度計を用いた温度測定方法や温度センサを埋め込めこんだ測温用ウエハを用い、測温用ウエハにプラズマ処理を施したときの当該測温用ウエハの温度を温度センサで測定する温度測定方法が知られている。
しかしながら、前者はウエハの温度を直接的ではなく間接的に測定するのみであり、後者は半導体デバイスが製造されるウエハ(以下、「製品ウエハ」という。)とは構造が異なる測温用ウエハの温度が測定されるのみであり、製品ウエハの温度は測定されていないため、プラズマ処理中の製品ウエハそのものの温度を測定することができない。
また、プラズマ処理中の製品ウエハから放射される赤外線の放射エネルギーを赤外線カメラで検知し、検知結果から製品ウエハの温度を推定する温度測定方法も知られているが、赤外線は製品ウエハを構成するシリコン(Si)を透過するため、赤外線カメラは製品ウエハから放射される赤外線だけでなく静電チャックから放射されて製品ウエハを透過する赤外線の放射エネルギーも検知する。したがって、赤外線カメラを用いてもプラズマ処理中の製品ウエハの正確な温度を測定するのは困難である。
そこで、シリコンを透過する光を製品ウエハに入射し、製品ウエハの表面から反射する光、及び製品ウエハを透過して当該製品ウエハの裏面から反射する光の干渉を利用して製品ウエハの熱膨張による厚さ方向の伸びを測定し、該伸びを温度に換算する干渉温度計を用いる温度測定方法が本出願人から提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−123843号公報
しかしながら、干渉温度計を用いる温度測定方法では、製品ウエハに光を直接且つ垂直に照射する必要があるため、製品ウエハの裏面へ光を照射するための貫通穴を静電チャックに設け、若しくは、製品ウエハが収容される処理室内に当該製品ウエハへ光を直接照射するための光学系、例えば、プリズムを配置する必要がある。その結果、プラズマ処理の処理環境が変更され、本来のプラズマ処理の処理環境におけるプラズマ処理中の製品ウエハの温度を測定することができないという問題がある。
本発明の目的は、処理環境を変更することなく処理中の基板の温度を測定することができる基板処理装置及び基板温度測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の基板処理装置は、基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において、前記壁部材を介して前記基板と対向し、前記基板へ向けて照射される測定光の焦点を調整するフォーカスレンズと、前記基板からの反射光を前記フォーカスレンズを介して受光する受光素子とを備え、前記測定光はシリコンを透過可能な波長を有し、前記フォーカスレンズは前記測定光の焦点を前記基板に合わせることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の基板処理装置は、基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において、前記壁部材を介して前記基板と対向する石英窓と、前記基板からの反射光を前記石英窓を介して受光する受光素子と、前記受光素子に接続された波長可変フィルタとを備え、測定光は前記石英窓を介して前記基板へ照射され、且つシリコンを透過可能な波長を有することを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の基板温度測定装置は、基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において処理が施される前記基板の温度を測定する基板温度測定装置であって、前記壁部材を介して前記基板と対向し、前記基板へ向けて照射される測定光の焦点を調整するフォーカスレンズと、前記基板からの反射光を前記フォーカスレンズを介して受光する受光素子とを備え、前記測定光はシリコンを透過可能な波長を有し、前記フォーカスレンズは前記測定光の焦点を前記基板に合わせることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の基板温度測定装置は、基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において処理が施される前記基板の温度を測定する基板温度測定装置であって、前記壁部材を介して前記基板と対向する石英窓と、前記基板からの反射光を前記石英窓を介して受光する受光素子と、前記受光素子に接続された波長可変フィルタとを備え、測定光は前記石英窓を介して前記基板へ照射され、且つシリコンを透過可能な波長を有することを特徴とする。
本発明によれば、フォーカスレンズが、シリコンからなる壁部材を介して処理室に収容されたシリコンからなる基板やフォーカスリングへ向けてシリコンを透過可能な波長を有する測定光を照射するので、測定光に壁部材を透過させて基板やフォーカスリングへ到達させることができ、基板やフォーカスリングの表面及び裏面からの反射光を得ることができる。その結果、処理室内や基板やフォーカスリングを載置する載置台に測定光の照射器を設ける必要を無くすことができ、もって、処理環境を変更することなく処理中の基板の温度を測定することができる。
また、本発明によれば、測定光の焦点を基板やフォーカスリングに合わせるので、他の構成要素の境界面からの反射光を低減することができ、受光素子が受光する基板やフォーカスリングの表面及び裏面からの反射光に他の構成要素の境界面からの反射光が混在するのを抑制するこができる。その結果、受光素子が受光した反射光に基づいて、正確に基板やフォーカスリングの熱膨張による厚さ方向の伸びを測定し、もって、処理中の基板やフォーカスリングの温度を正確に測定することができる。
本発明によれば、シリコンを透過可能な波長を有する測定光が、シリコンからなる壁部材を介して処理室に収容された基板に対向する石英窓を介して照射されるので、測定光に壁部材を透過させて基板へ到達させ、基板の表面及び裏面からの反射光を得ることができる。その結果、処理室内や基板の載置台に測定光の照射器を設ける必要を無くすことができ、もって、処理環境を変更することなく処理中の基板の温度を測定することができる。
また、本発明によれば、受光素子に接続された波長可変フィルタを備えるので、基板の表面及び裏面からの反射光における各波長を掃引して受光素子で受光することにより、反射光スペクトル(波長分布)における(波長の)サンプリング数を増加させることができ、もって、反射光スペクトルを高速フーリエ変換した後の最大計測光学厚さを増加させることができる。これにより、反射光スペクトルの高速フーリエ変換後の反射光強度分布において、最大計測光学厚さが他の構成要素の境界面に起因する干渉の光路長の距離よりも小さいことによって生じる反射光強度分布の折り返しの発生を抑制することができ、もって、上記反射光強度分布にノイズが混在するのを抑制することができる。その結果、受光素子が受光した反射光のスペクトルを高速フーリエ変換した結果(反射光強度分布)に基づいて、正確に基板の熱膨張による厚さ方向の伸びを測定し、もって、処理中の基板の温度を正確に測定することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る基板温度測定装置としての光干渉システムの構成を概略的に示す図である。 図1における演算装置の機能ブロック図である。 入射光スペクトル及び反射光スペクトルを説明する概要図である。 反射光スペクトルI(k)の空間領域におけるフーリエ変換を説明する概要図である。 本実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。 図1の光干渉システムを適用したウエハの温度を測定するための実験装置の構成を概略的に示す側方図である。 図6の実験装置において光干渉システムによって測定されたウエハの温度及び熱電対によって測定されたウエハの温度の関係を示すグラフである。 干渉温度計温度と熱電対温度の差の変動を説明するためのグラフである。 反射光スペクトルのフーリエ変換の結果として得られる反射光の強度分布において試料厚さが最大測定厚さよりも大きい場合を説明するための図であり、図9(A)は反射光の強度の折り返しを示し、図9(B)は反射光の強度の重量を示す。 反射光スペクトルのフーリエ変換の結果として得られる反射光の強度分布において試料厚さが最大測定厚さの2倍よりも大きい場合を説明するための図であり、図10(A)は反射光の強度の折り返しを示し、図10(B)は反射光の強度の重量を示す。 複数の試料における測定光の反射の様子を説明するための図である。 光干渉システムによるウエハの温度の測定のシミュレーションに用いた計算モデルの構成を示す図である。 図12の計算モデルを用いたシミュレーションの結果としてのウエハの温度と熱電対温度の温度差の変動を示すグラフである。 本実施の形態に係る基板処理装置の要部の構成を概略的に示す図であり、図14(A)は部分断面図であり、図14(B)は部分平面図である。 反射光スペクトルのフーリエ変換の結果として得られる反射光の強度分布において試料厚さが最大測定厚さよりも小さい場合を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態に係る基板温度測定装置としての光干渉システムの構成を概略的に示す図である。 チューナブルフィルタを用いた波長掃引において予め取得される印加電圧と波長の関係を示すグラフである。 チューナブルフィルタを用いた波長掃引において用いられる印加電圧、光強度及び時間の関係を示すグラフであり、図18(A)は印加電圧及び時間の関係を示し、図18(B)は光強度及び時間の関係を示し、図18(C)は光強度及び印加電圧の関係を示す。 チューナブルフィルタを用いた波長掃引によって得られる波長と光強度のスペクトルを示すグラフである。 本実施の形態に係る基板処理装置の要部の構成を概略的に示す部分断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る基板温度測定装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る基板温度測定装置としての光干渉システムの構成を概略的に示す図である。
図1において、測定対象物としてのウエハWの温度を測定する光干渉システム1(干渉温度計)は、光源10、光サーキュレータ11、光照射器12、受光素子13、A/D変換部14、演算装置16を備える。なお、光源10、光サーキュレータ11、光照射器12及び受光素子13のそれぞれは光ファイバーケーブルで接続される。
ウエハWは、例えば、円板状を呈し、表面Wa及び表面Waに対向する裏面Wbを有し、例えば、シリコンからなる。光源10はウエハWを透過する波長を有する測定光、例えば、シリコンを透過可能な波長が1100nm〜1600nmの近赤外光を発生させる。光源10としては、例えば、SLD(Super Luminescent Diode)が用いられる。
光サーキュレータ11は光源10及び光照射器12に接続され、光源10で発生した測定光を光照射器12へ出射する。光照射器12は平行光として調整された測定光をウエハWへ照射し、光照射器12にはウエハWからの反射光が入射する。反射光には、表面Waからの反射光だけでなく裏面Wbからの反射光が含まれる。光照射器12は反射光を光サーキュレータ11へ出射し、光サーキュレータ11は反射光を受光素子13へ出射する。
受光素子13は光を受光して検出する素子であり、例えば、各波長における光の強度に応じたアナログ信号を出力する。受光素子13として、例えば、分光器が用いられ、受光素子13はアナログ信号をA/D変換部14へ出力する。A/D変換部14は受光素子13が出力したアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を演算装置16へ出力する。
受光素子13及びA/D変換部14により、反射光の反射光スペクトル(干渉強度分布)が測定される。反射光スペクトルは反射光の波長又は周波数に依存した強度分布を示す。本実施の形態において、A/D変換部14から演算装置16へ出力されるデジタル信号は反射光スペクトルである。演算装置16は反射光スペクトルに基づいてウエハWの厚さ、引いては、ウエハWの温度を測定する。
図2は、図1における演算装置の機能ブロック図である。
図2において、演算装置16は、規格化部17、波形調整部18、光路長算出部19、温度算出部20及び温度校正データ21を備える。
規格化部17は、反射光スペクトルの波形を、予め取得された光源10の測定光のスペクトルを用いて規格化する。例えば、光源10の光源スペクトル(測定光のスペクトル)のプロファイルが歪んでいる場合や非対称である場合、絶対値の不規則変化(歪み)の影響によって後述する処理後の信号も歪むため、精度の高い温度測定をすることができないおそれがある。これに対応して、予め反射光スペクトルを光源スペクトルで除算して規格化する。すなわち、反射光スペクトルの波形を反射率の波形に変換する。規格化部17は算出した波形を波形調整部18へ出力する。
波形調整部18は、波長に依存した窓関数を用いて波形を調整する。窓関数は後述するチューナブルフィルタ46(波長可変フィルタ)による波長掃引(スキャン)範囲の中心波長において最大となり、中心波長からの差が大きくなるほど漸次減衰する釣鐘型の関数である。中心波長としては、例えば、波長掃引範囲の中央値が用いられ、窓関数としては、ガウス関数、ローレンツ関数、及び、ガウス関数及びローレンツ関数の合成関数等が用いられる。波形調整部18は、窓関数を規格化部17により出力された反射率の波形に対して適用して反射率の波形を調整し、調整後の反射率の波形を光路長算出部19へ出力する。
光路長算出部19は、フーリエ変換部22、データ補間部23及び重心計算部24を備える。フーリエ変換部22は、反射光スペクトルを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)によってフーリエ変換する。例えば、時間領域におけるフーリエ変換であれば、周波数(単位時間あたりの振動数)に依存した強度分布を示す反射光スペクトルを時間に依存した強度分布を示す反射光スペクトルへ変換する。また、例えば、空間領域におけるフーリエ変換であれば、空間周波数(単位長さあたりの振動数)に依存した強度分布を示す反射光スペクトルを位置に依存した強度分布を示す反射光スペクトルへ変換する。データ補間部23は、フーリエ変換後の反射光スペクトルの所定のピーク値を含む範囲において、データ点を補間する。重心計算部24はフーリエ変換後の反射光スペクトルの所定のピーク値の重心位置を計算する。光路長算出部19は、重心位置に基づいて光路長を算出する。
温度算出部20は、算出された光路長に基づき、温度校正データ21を参照してウエハWの温度を算出する。温度校正データ21は、予め測定されたデータであり、温度と光路長との関係を示すものである。
なお、規格化部17は、光源スペクトルが測定波長範囲内に収まる場合には備えられなくてもよい。この場合、波形調整部18はA/D変換部14により出力されたデジタル信号に対して規格化することなく窓関数を適用する。
本実施の形態において、光干渉システム1はウエハWの表面Waからの反射光及び裏面Wbからの反射光の光干渉を利用して温度を測定する(FFT周波数領域法)。以下、光干渉の原理について説明する。
図3は、入射光スペクトル及び反射光スペクトルを説明する概要図である。
図3では、光源10からの測定光を入射光とした上で説明を行う。ここで、入射光スペクトルの強度S(k)は空間周波数1/λ(単位長さあたりの振動数)に依存するものとし、光源10の波長をλとすると波数kは2π/λであり、さらにウエハWの厚さをd、屈折率をn、反射率をRとする。
ウエハWでは複数の反射光(反射成分)が生じる。例えば、反射光Eは表面Waにおける反射成分であり、反射光Eは裏面Wbにおける反射成分であり、反射光Eは表面Waで1回且つ裏面Wbで2回反射された測定光の反射成分である。なお、反射光E以降の反射成分は図3において省略する。光干渉システム1では、複数の反射成分(E)が重なり、反射光スペクトルの強度I(k)が得られる。反射光スペクトルの強度I(k)は、入射光スペクトルの強度S(k)と下記式(1)で示す関係にある。
上記数式(1)において、第2項は表裏面干渉の項であり、第3項は表裏面多重干渉の項である。ここで、上述したように、入射光スペクトルの強度S(k)は空間周波数1/λに依存するため、上記数式(1)から反射光スペクトルの強度I(k)も空間周波数1/λに依存する。したがって、反射光スペクトルの強度I(k)に空間領域におけるフーリエ変換を施すことにより、反射光スペクトルの強度I(k)を位置に依存した強度分布を示す反射光スペクトルへ変換することができる。
図4は、反射光スペクトルI(k)の空間領域におけるフーリエ変換を説明する概要図である。図4において空間領域におけるフーリエ変換により、反射光スペクトルI(k)の空間周波数1/λを位置xに変換する。変換後の反射光スペクトルの強度I(x)は、下記式(1)をフーリエ変換することにより、下記式(2)で示す通りとなる。
上記の数式(2)では、ウエハWにおける表裏面間の光路差、すなわち、ウエハWの厚さの2倍に該当する2ndごとにピーク値が出現する。本実施の形態では、温度校正データ21を参照して光路長ndからウエハWの温度を算出する。なお、反射光の周波数をvとすると、周波数v及び位置xは以下の数式で示す関係を満たす。
図5は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
図5において、基板処理装置25は、ウエハWを収容し、内部が排気装置26によって減圧される円筒状の処理室27と、処理室27の内部の下方に配置されてウエハWを載置する台状のサセプタ28と、サセプタ28の上面に配置されてウエハWの裏面に静電吸着する静電チャック(ESC)29と、サセプタ28に対向するように配置されて処理室27の天井壁部の一部を構成する円板状の上部電極30(壁部材)と、サセプタ28に接続される第1の高周波電源31と、上部電極30に接続される第2の高周波電源32とを備える。
上部電極30はウエハWと同様にシリコンからなるが、上部電極30には多数のガス穴33が設けられ、各ガス穴33から処理ガスが処理室27の内部に導入される。第2の高周波電源32は比較的周波数の高い高周波電力を上部電極30へ供給して処理室27の内部へ電界を生じさせ、該電界は処理ガスを励起させてプラズマを生じさせる。第1の高周波電源31は比較的周波数の低い高周波電力をサセプタ28へ供給して該サセプタ28にバイアス電位を生じさせ、プラズマ中の陽イオン等を載置されたウエハWに引きこみ、該ウエハWにドライエッチング処理を施す。
ところで、従来、基板処理装置25に光干渉システム1を適用してドライエッチング処理中のウエハWの温度を測定する場合、処理室27の内部に光照射器12をウエハWの表面Waに対向するように配置して表面Waに向けて垂直に測定光を照射するか、若しくは、サセプタ28へウエハWの裏面Wbに向けて開口する貫通穴を設け、該貫通穴に光照射器12を配置して裏面Wbに向けて垂直に測定光を照射する必要があった。
しかしながら、処理室27の内部の光照射器12は処理室27の内部のプラズマの分布を変化させるだけでなく、異常放電の要因となり、サセプタ28の貫通穴はウエハWの温度分布の不均一の要因となる。すなわち、光照射器12を処理室27の内部やサセプタ28の貫通穴に設けることにより、本来のドライエッチング処理の処理環境を再現できず、ドライエッチング処理の結果に影響を与えるおそれがある。
これに対応して、本発明者は、鋭意研究の結果、ウエハWに対向する上部電極30がウエハWと同じシリコンからなることに注目し、測定光としてシリコンを透過可能な近赤外光を用い、近赤外光を上部電極30を介してウエハWに照射することにより、光照射器12を処理室27の内部やサセプタ28の貫通穴に設けることなく、ウエハWへ測定光を入射させることに想到した。
そこで、本発明者は、本発明に先立ち、光照射器12から測定光を上部電極30を介してウエハWに入射することにより、ウエハWの温度が測定可能であるか否かを実験して確認した。
図6は、図1の光干渉システムを適用したウエハの温度を測定するための実験装置の構成を概略的に示す側方図である。
図6において、温度調整可能なヒータブロック34にESC29から切り出したブロック35を載置し、ブロック35にウエハWを載置した後、ウエハWから30mm上方に上部電極30の代替として厚さが4mmのシリコン片36を配置し、さらにシリコン片36を介してウエハWに対向するように光照射器12を配置した。光照射器12としてはコリメータ及びフォーカサのいずれかを用いたが、フォーカサの焦点はウエハWに合わせた。なお、基板処理装置25において、上部電極30はシリコン片36よりも厚いが、実験の便宜上、厚さ4mmのシリコンブロックからシリコン片36を切り出して準備した。
また、ウエハWの表面Waに熱電対37を設け、熱電対37が測定したウエハWの温度をデータロガー38に記録した。
なお、実験では光照射器12からウエハWへ向けて波長が1550±20nmの近赤外光を測定光として出射し、光干渉システム1によってウエハWの厚さを測定してウエハWの温度を算出する一方、熱電対37によってウエハWの温度を測定した。
図7は、図6の実験装置において光干渉システムによって測定されたウエハの温度及び熱電対によって測定されたウエハの温度の関係を示すグラフである。
図7に示すように、光照射器12としてコリメータを用いた場合(以下、「コリメータ使用時」という。)、並びに光照射器12としてフォーカサを用いた場合(以下、「フォーカサ使用時」という。)のいずれにおいても、光干渉システム1(干渉温度計)によって測定されたウエハWの温度(以下、「干渉温度計温度」という。)及び熱電対37によって測定されたウエハWの温度(以下、「熱電対温度」という。)はほぼ一致した。したがって、光照射器12から測定光を上部電極30を介してウエハWに入射することにより、ウエハWの温度が測定可能であることが確認された。
但し、本発明者は干渉温度計温度及び熱電対温度の関係が直線を呈さずに細かく振れていることに着目し、干渉温度計温度と熱電対温度の差(以下、「測定温度差」という。)の変動を算出したところ、図8に示すように、コリメータ使用時及びフォーカサ使用時のいずれにおいても、測定温度差が周期的(熱電対温度が約5℃変化する毎)に変動すること、すなわち、測定温度差のうねりの存在を確認した。なお、測定温度差のうねりの振幅は、コリメータ使用時で約0.6℃であり、フォーカサ使用時で約0.4℃であった。
測定温度差のうねりは光干渉システム1によってウエハWの温度を正確に測定できないことを示唆するために解消する必要がある。そこで、本発明者は測定温度差のうねりの要因について鋭意検討した結果、光干渉システム1が実行する反射光スペクトルのフーリエ変換の結果として得られる反射光の強度分布における測定可能な最大位置(光路長)、すなわち、最大測定厚さ(Xmax)が、反射光スペクトルにおけるサンプリング数(波長分解能)に応じて決まるためにさほど大きくならないことに注目し、ウエハW以外の他の構成要素の境界面に起因する干渉の光路長が最大測定厚さよりも大きいことに測定温度差のうねりの要因があると推察するに至った。
具体的には、反射光スペクトルのフーリエ変換の結果として得られる位置に依存した反射光の光路長成分分布(以下、単に「光路長成分分布」という。)では、図9に示すように、他の構成要素の境界面に起因する干渉の光路長L(以下、「他構成要素干渉光路長L」という。)が最大測定厚さXmaxよりも大きいと、最大測定厚さXmaxを超えた部分に発生する他構成要素干渉光路長Lの光路長信号(図中破線で示す。)は最大測定厚さXmaxの位置を基準に折り返されて最大測定厚さXmaxの範囲内に現れる。
また、図10に示すように、光路長Lが最大測定厚さXmaxの2倍よりも大きいと、最大測定厚さXmaxを超えた部分に発生する他構成要素干渉光路長Lの光路長信号(図中破線で示す。)は最大測定厚さXmaxの位置を基準に折り返された(図中一点鎖線で示す。)後、さらに、位置0を基準に折り返されて最大測定厚さXmaxの範囲内に現れる。
すなわち、ウエハWの厚さが最大測定厚さXmaxよりも小さくてウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光の干渉の光路長の光路長信号が最大測定厚さXmaxの範囲内に現れても、他構成要素干渉光路長Lが最大測定厚さXmaxよりも大きいと、最大測定厚さXmaxの範囲内にウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光の干渉の光路長の光路長信号だけでなく他構成要素干渉光路長Lの光路長信号も現れる。
ここで、受光素子13が受光する反射光は、図11に示すように、例えば、図6の実験装置では、ウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光だけでなく他の構成要素であるシリコン片36の表面や裏面からの反射光を含み、ウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光も表面Waや裏面Wbにおいて一度だけ反射した反射光だけでなく、表面Waや裏面Wbにおいて何度か反射を繰り返した反射光を含み、さらに、シリコン片36の表面や裏面からの反射光も表面や裏面において何度か反射を繰り返した反射光を含む。すなわち、受光素子13は無数の反射光を受光するため、他構成要素干渉光路長Lが最大測定厚さXmaxよりも大きいと、反射光スペクトルをフーリエ変換して得られる光路長成分分布には、ウエハWの厚さの測定に必要なウエハWの表面Waで一度だけ反射した反射光及びウエハWの裏面Wbで一度だけ反射した反射光の干渉だけでなく、多数の他の反射光の干渉(ノイズ)の光路長信号が生じる。すなわち、最大測定厚さXmaxの範囲内において多数の光路長信号が現れ、結果として反射光の強度がうねるように分布するため、光路長成分分布から算出される測定温度差がうねる。
なお、上述した説明において、図9及び図10に示す各グラフにおける反射光の強度は絶対値を示すものではなく、理解を容易にするために誇張して記載されている。すなわち、各グラフにおける光路長成分分布は実体を反映しているものではない。
上述したように、測定温度差のうねりの要因は多数の反射光の存在にあるため、本発明者は、測定温度差のうねりを解消するために、ウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光以外の反射光の強度を低減すればよいことに想到した。
ところで、コリメータは測定光を平行光として出射するため、測定光が拡散して減衰することがない。したがって、図6の実験装置では、シリコン片36へ入射する測定光の強度とウエハWへ入射する測定光の強度はあまり変わらず、シリコン片36の表面や裏面からの反射光の強度がウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光の強度とあまり変わりない。一方、フォーカサは焦点の調整することができ、図6の実験装置では、フォーカサの焦点をウエハWに合わせたため、シリコン片36へ入射する測定光の強度はウエハWへ入射する測定光の強度よりも大幅に小さく、シリコン片36の表面や裏面からの反射光の強度はウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光の強度よりも大幅に小さくなる。その結果、図6の実験装置において、コリメータ使用時の測定温度差のうねりの振幅(約0.6℃)がフォーカサ使用時の測定温度差のうねりの振幅(約0.4℃)よりも大きくなったと推察された。
そこで、本発明者は、光照射器12としてフォーカサを用いれば、ウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光以外の反射光の強度を低減して測定温度差のうねりを解消することが可能であるとの推論に至った。
また、本発明者は、上記推論を検証すべく、図6の実験装置に相当する計算モデルを構築し、該計算モデルにおいてコリメータ使用時及びフォーカサ使用時の光干渉システム1によるウエハWの温度の測定をコンピュータによってシミュレートし、シミュレーションの結果としてのウエハWの温度と熱電対温度の温度差(以下、「計算温度差」という。)を算出した。
図12は、光干渉システムによるウエハの温度の測定のシミュレーションに用いる計算モデルの構成を示す図である。
図12において、ウエハWに相当する厚さが0.775mmであって、屈折率が3.6(シリコンの屈折率の相当)の板状体39を、屈折率が1.8のブロック35に相当する板状体40から0.001mmほど上方に離間させて配置し、シリコン片36に相当する厚さが10mmであって、屈折率が3.6の板状体41を板状体39から30mmほど上方に離間させて配置し、さらに、板状体41を介して板状体39に対向するように光照射器12を配置した。光照射器12としてはコリメータ及びフォーカサのいずれかを用い、フォーカサの焦点は板状体39に合わせた。
シミュレーションでは、光照射器12から波長が1550±20nmの近赤外光を測定光として出射し、図11に示すように、測定光が板状体39の表面や裏面、並び板状体41の表面や裏面から反射し、さらに、反射光が板状体39や板状体41の内部においても反射し続けることとした。また、反射し続ける反射光が減衰して板状体39や板状体41の表面に到達しなくなったとき、当該反射光をシミュレーションから除外した。具体的には、板状体39や板状体41の表面に到達した反射光がN個存在する場合、裏面で1回のみ反射した反射光以外のN−1個の反射光のそれぞれについて反射する界面(表面及び裏面)における反射係数や透過係数を反射回数に応じて乗算し、各反射光の振幅を総当たりで算出し、各反射光の波形を合算して当該表面における反射率とした。フォーカサ使用時は、焦点からの反射強度を100%とし、半値幅を11mmとしたガウス関数で反射光の強度が減衰するようにシミュレーションの条件を設定した。
図13は、図12の計算モデルを用いたシミュレーションの結果としてのウエハWの温度と熱電対温度の温度差の変動を示すグラフである。
図13において、コリメータ使用時の計算温度差は周期的に変動すること(計算温度差のうねりの存在)を確認した一方、フォーカサ使用時の計算温度差は殆ど変動しないこと(計算温度差のうねりが存在しないこと)を確認した。すなわち、光照射器12としてフォーカサを用いれば、板状体39の表面や裏面からの反射光以外の反射光の強度を低減して計算温度差のうねりを解消することができること、換言すれば、図6の実験装置において、光照射器12としてフォーカサを用いれば、ウエハWの表面Waや裏面Wbからの反射光以外の反射光の強度を低減して測定温度差のうねりを解消することができることが分かった。
なお、図6の実験装置においてフォーカサ使用時であっても測定温度差のうねりが発生した理由としては、現実のフォーカサではガウス関数に比べて焦点から遠方でもある程度の反射強度が確保されてウエハWの表面Waや裏面Wbだけでなくシリコン片36の表面や裏面からの反射光も少なからず存在し、光路長成分分布にシリコン片36の表面や裏面からの反射光の干渉が生じたためと推察された。
本発明は上述した知見に基づくものであり、以下、本実施の形態の要部について説明する。
図14は、本実施の形態に係る基板処理装置の要部の構成を概略的に示す図であり、図14(A)は部分断面図であり、図14(B)は部分平面図である。なお、以下に説明する構成要素以外の各構成要素は、図5の基板処理装置25の各構成要素と同じであるため、その説明を省略する。
図14(A)及び図14(B)において、基板処理装置25は、上部電極30の上部において該上部電極30を介してサセプタ28に載置されたウエハWに対向するように配置された片面平凸レンズからなる複数、例えば、2つのフォーカサとしてのフォーカスレンズ42と、処理室27の上方に配置されて測定光、例えば、波長が1100nm〜1600nmの近赤外光を照射する2つのコリメータ44と、各コリメータ44から照射される測定光の光軸上に配置され、且つ各フォーカスレンズ42に関してウエハWと反対側、すなわち、上部電極30の上方に配置される2つのプリズム43とを備える。なお、図示はしていないが、基板処理装置25には光干渉システム1が適用され、各コリメータ44は光干渉システム1の光照射器12として機能し、光干渉システム1によってドライエッチング処理中のウエハWの温度が測定される。
各プリズム43は各コリメータ44から照射される測定光の進路を下方、すなわち、各フォーカスレンズ42へ向けて変更し、各フォーカスレンズ42は測定光の焦点をウエハWに合わせる。各フォーカスレンズ42から照射される測定光はシリコンを透過可能な近赤外光であるため、シリコンからなる上部電極30を透過してウエハWへ垂直に入射される。各プリズム43はウエハWから反射された反射光を、各フォーカスレンズ42を介して受光し、該受光した反射光の進路を各コリメータ44へ向けて変更する。各コリメータ44は受光した反射光を、光サーキュレータ11を介して受光素子13に入射させる。なお、各フォーカスレンズ42はウエハWの異なる箇所、例えば、中心部と周縁部のそれぞれに対向するように配置され、各プリズム43は中心部と周縁部のそれぞれから反射される反射光を受光する。
基板処理装置25によれば、各フォーカスレンズ42が上部電極30を介してウエハWと対向するが、各フォーカスレンズ42は近赤外光からなる測定光を照射するので、該測定光に上部電極30を透過させてウエハWへ入射させることができる。これにより、光干渉システム1を用いてウエハWの温度を測定する際、フォーカスレンズ42を処理室27の内部に配置し、若しくはサセプタ28にウエハWの裏面へ測定光を照射するための貫通穴を設けた上で該貫通穴にフォーカスレンズ42を設ける必要を無くすことができ、その結果、処理環境を変更することなく、例えば、ドライエッチング処理中のウエハWの温度を光干渉システム1によって測定することができる。
また、基板処理装置25によれば、フォーカスレンズ42は測定光の焦点をウエハWに合わせるので、ウエハW以外の構成要素、例えば、上部電極30の底面からの反射光を低減して光干渉システム1によって測定されたウエハWの温度とウエハWの実体温度(熱電対で測定される温度)との差のうねりを解消することができ、もって、ウエハWからの各反射光の干渉に基づいて測定されるウエハWの温度(すなわち、光干渉システム1によって測定されたウエハWの温度)の正確さを向上することができる。
上述した基板処理装置25では、各コリメータ44がプリズム43へ向けて測定光を照射するので、プリズム43へ到達するまでに測定光が拡散して減衰するのを防止することができ、もって、ウエハWからの反射光の強度が極端に低下するのを防止し、確実にウエハWの温度を測定することができる。
また、上述した基板処理装置25では、各フォーカスレンズ42は片面平凸レンズであるので、中実の部材からなり、気体を透過させることがなくシール機能を有する。その結果、処理室27の内部と外部とのシール性を向上することができる。
さらに、上述した基板処理装置25では、各フォーカスレンズ42はウエハWの異なる箇所へ測定光を照射するので、ウエハWの複数箇所の温度を同時に測定することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理システムについて説明する。
本実施の形態は、その構成、作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであるので、重複した構成、作用については説明を省略し、以下、異なる構成、作用についてのみ説明する。
上述した第1の実施の形態では、光干渉システム1によって測定されたウエハWの温度とウエハWの実体温度との差(測定温度差)のうねりを解消するために、測定光の焦点をウエハWに合わせるフォーカスレンズ42を用いてウエハW以外の構成要素からの反射光を低減した。
ところで、上述したように、他構成要素干渉光路長Lが最大測定厚さXmaxよりも大きいと、最大測定厚さXmaxを超えた部分に発生する他構成要素干渉光路長Lの光路長信号が折り返されるが、例えば、図15に示すように、他構成要素干渉光路長Lが最大測定厚さXmaxよりも小さければ、他構成要素干渉光路長Lの折り返しが生じることはなく、最大測定厚さXmaxの範囲内に他構成要素干渉光路長Lの光路長信号が現れることが無いため、測定温度差のうねりは生じない。そこで、本実施の形態では、最大測定厚さXmaxを大きくする。
ところで、厚さがdであって、屈折率がnのウエハWにおいて、表面の位置を0、裏面の位置をxとしたときのFFTにおける時間Δτと角周波数Δωとの関係は下記式(3)で示す関係を満たす。
ここで、角周波数ω及びΔωを、光源スペクトルの波長λ、半値幅Δλを用いて表現すると下記式(4)で示す関係を満たす。なお、cは光速である。
また、周波数は正の値であるため、角周波数をΔω下記式(5)のように表すこともできる。
上記式(5)の角周波数Δωを上記式(3)に代入すると、時間Δτは下記式(6)で表すことができる。
また、ここで、屈折率n(平均屈折率nave)のウエハW中を測定光が時間Δτで移動する距離をΔx’とすると、距離Δx’は、上記式(3)及び上記式(5)を用いて下記式(7)で表すことができる。
測定光の一部はウエハWの表面Waを透過して裏面Wbで反射するため、測定光の往復距離を考慮してΔx’=2Δxとする。以上より、フーリエ変換後の反射光スペクトルのデータ間隔Δxは下記式(8)で表すことができる。
また、周波数領域法において、実際のスペクトル強度I(k)は波長軸方向のサンプリング数Nの離散的な値となる。従って、フーリエ変換後のデータは、間隔ΔxのN/2個の離散的なデータとなる。したがって、最大測定厚さXmaxは下記式(9)で表すことができる。
すなわち、サンプリング数Nを増加させると最大測定厚さXmaxを大きくすることができる。これに対応して、本実施の形態では、最大測定厚さXmaxを他構成要素干渉光路長Lよりも大きくするために、反射光スペクトルにおけるサンプリング数を増加させる。
図16は、本実施の形態に係る基板温度測定装置としての光干渉システムの構成を概略的に示す図である。
図16において、光干渉システム45は、光サーキュレータ11及び受光素子13の間に配置されたチューナブルフィルタ46及び波長制御部15を備え、チューナブルフィルタ46は光ファイバーケーブルによって光サーキュレータ11及び受光素子13に接続される。なお、光干渉システム45では、受光素子13として、例えば、フォトダイオードや光電子増倍管が用いられる。波長制御部15はチューナブルフィルタ46やA/D変換部14に接続され、例えば、A/D変換部14におけるA/D変換タイミングを制御する。
チューナブルフィルタ46は入射光の波長を変更可能な波長可変フィルタである。本実施の形態において、チューナブルフィルタ46は、ファブリペロー方式、回折格子方式、干渉フィルタ方式、音響光学方式等、印加電圧や印加周波数を制御することによってフィルタを透過させた透過光の波長を制御できるものであれば、どのような方式のフィルタを用いてもよい。チューナブルフィルタ46への印加電圧や印加周波数は波長制御部15によって制御される。チューナブルフィルタ46は光サーキュレータ11から受光した反射光を受光素子13へ出射する。なお、図16の光干渉システムは、上述した構成以外の構成は図1の光干渉システム1と基本的に同じである。
以下、チューナブルフィルタ46及びA/D変換部14を用いた波長掃引の動作原理について説明する。なお、理解の容易性を考慮して波長制御部15からの印加電圧Vを用いて反射光の波長λを変更する場合について説明する。
まず、チューナブルフィルタ46及びA/D変換部14を用いた波長掃引では、予め印加電圧Vと波長λの関係(図17)を取得し、次いで、A/D変換部14によって印加電圧Vの時間サンプリングを行う。具体的には、印加電圧Vに対して時間サンプリングした関係(図18(A))及び反射光の光強度Iに対して時間サンプリングした関係(図18(B))に基づいて光強度Iと印加電圧Vの関係(図18(C))を算出する。次いで、印加電圧Vと波長λの関係、並びに、光強度Iと印加電圧Vの関係を用いて波長λと光強度Iのスペクトル(図19)を取得する。
ここで、上述したように、チューナブルフィルタ46は入射光の波長を変更可能な波長可変フィルタであるため、波長の変更幅を調整することにより、波長λと光強度Iのスペクトル(図19)において波長軸方向のサンプリング数Nを任意に設定することができ、例えば、サンプリング数Nを増加させることができる。
図20は、本実施の形態に係る基板処理装置の要部の構成を概略的に示す部分断面図である。
図20において、基板処理装置47は、上部電極30の上部において該上部電極30を介してサセプタ28に載置されたウエハWに対向するように配置された複数、例えば、2つの石英窓48を備える。また、基板処理装置47にはチューナブルフィルタ46を有する光干渉システム45が適用され、光干渉システム45によってドライエッチング処理中のウエハWの温度が測定される。なお、図20の基板処理装置47は、上述した石英窓48以外の構成は図14の基板処理装置25と基本的に同じである。
各コリメータ44(他のコリメータ)から照射されて各プリズム43によって進路が各石英窓48へ向けて変更された測定光は各石英窓48を介してウエハWへ垂直に照射される。このとき、測定光はシリコンを透過可能な近赤外光となるため、該測定光はシリコンからなる上部電極30を透過してウエハWに入射される。各プリズム43はウエハWから反射された反射光を、各石英窓48を介して受光し、該受光した反射光の進路を各コリメータ44へ向けて変更する。なお、各石英窓48はウエハWの異なる箇所、例えば、中心部と周縁部のそれぞれに対向するように配置される。
基板処理装置47によれば、各石英窓48が上部電極30を介してウエハWと対向するが、近赤外光からなる測定光が各石英窓48を介して照射されるので、該測定光に上部電極30を透過させてウエハWへ入射させることができる。これにより、光干渉システム45を用いてウエハWの温度を測定する際、石英窓48を処理室27の内部に配置し、若しくはサセプタ28にウエハWの裏面へ測定光を照射するための貫通穴を設けた上で該貫通穴に石英窓48を設ける必要を無くすことができ、その結果、処理環境を変更することなく、例えば、ドライエッチング処理中のウエハWの温度を光干渉システム45によって測定することができる。
また、基板処理装置47によれば、光干渉システム45において光サーキュレータ11及び受光素子13の間にチューナブルフィルタ46が配置されるので、反射光スペクトルにおいて波長軸方向のサンプリング数Nを増加させることができ、反射光の強度分布において最大測定厚さXmaxを大きくすることができる。その結果、測定温度差のうねりを生じさせることがなく、ウエハWからの各反射光の干渉に基づいて測定されるウエハWの温度(すなわち、光干渉システム1によって測定されたウエハWの温度)の正確さを向上することができる。
以上、本発明について、上記各実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。
また、本発明の目的は、上述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、基板処理装置25等が備えるコンピュータ(図示しない)に供給し、コンピュータのCPUが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した各実施の形態の機能を実現することになり、プログラムコード及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムコードを記憶できるものであればよい。或いは、上記プログラムコードは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることによりコンピュータに供給されてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記各実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、CPU上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
上記プログラムコードの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
W ウエハ
1,45 光干渉システム
12 光照射器
13 受光素子
25,47 基板処理装置
27 処理室
42 フォーカスレンズ
43 プリズム
44 コリメータ
46 チューナブルフィルタ
48 石英窓

Claims (11)

  1. 基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において、
    前記壁部材を介して前記基板と対向し、前記基板へ向けて照射される測定光の焦点を調整するフォーカスレンズと、
    前記基板からの反射光を前記フォーカスレンズを介して受光する受光素子とを備え、 前記測定光はシリコンを透過可能な波長を有し、
    前記フォーカスレンズは前記測定光の焦点を前記基板に合わせることを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記基板へ向けて照射される測定光の光軸上であって、前記フォーカスレンズに関して前記基板と反対側に配置され、前記フォーカスレンズへ向けて前記測定光の進路を変更するプリズムと、
    前記プリズムへ向けて前記測定光を照射するコリメータとをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
  3. 前記フォーカスレンズは片面平凸レンズであることを特徴とする請求項1又は2記載の基板処理装置。
  4. 複数の前記フォーカスレンズを備え、
    各前記フォーカスレンズは前記基板の異なる箇所へ前記測定光を照射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
  5. 前記測定光の波長は1100nm〜1600nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
  6. 基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において、
    前記壁部材を介して前記基板と対向する石英窓と、
    前記基板からの反射光を前記石英窓を介して受光する受光素子と、
    前記受光素子に接続された波長可変フィルタとを備え、
    測定光は前記石英窓を介して前記基板へ照射され、且つシリコンを透過可能な波長を有することを特徴とする基板処理装置。
  7. 前記基板へ向けて照射される測定光の光軸上であって、前記石英窓に関して前記基板と反対側に配置され、前記石英窓へ向けて前記測定光の進路を変更するプリズムと、
    前記プリズムへ向けて前記測定光を照射するコリメータとをさらに備えることを特徴とする請求項6記載の基板処理装置。
  8. 複数の前記石英窓を備え、
    前記測定光は、各前記石英窓を介して前記基板の異なる箇所へ照射されることを特徴とする請求項6又は7記載の基板処理装置。
  9. 前記測定光の波長は1100nm〜1600nmであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
  10. 基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において処理が施される前記基板の温度を測定する基板温度測定装置であって、
    前記壁部材を介して前記基板と対向し、前記基板へ向けて照射される測定光の焦点を調整するフォーカスレンズと、
    前記基板からの反射光を前記フォーカスレンズを介して受光する受光素子とを備え、 前記測定光はシリコンを透過可能な波長を有し、
    前記フォーカスレンズは前記測定光の焦点を前記基板に合わせることを特徴とする基板温度測定装置。
  11. 基板を収容して前記基板にプラズマ処理を施す処理室と、該処理室の壁部の一部を構成し且つ前記基板と対向する壁部材とを備え、前記基板及び前記壁部材はいずれもシリコンからなる基板処理装置において処理が施される前記基板の温度を測定する基板温度測定装置であって、
    前記壁部材を介して前記基板と対向する石英窓と、
    前記基板からの反射光を前記石英窓を介して受光する受光素子と、
    前記受光素子に接続された波長可変フィルタとを備え、
    測定光は前記石英窓を介して前記基板へ照射され、且つシリコンを透過可能な波長を有することを特徴とする基板温度測定装置。
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