JP6685838B2 - 発電装置及び電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、振動により発電する発電装置とこれを備えたタイヤ用の電子装置に関する。
タイヤ空気圧監視システム(tire pressure monitoring system:TPMS)では、タイヤの内部に配置されたセンサから車載制御装置へ無線等により空気圧の検出結果が送信される。このセンサや無線機等に供給する電源としては、一般に電池が使用される。しかしながら、電池は寿命による交換が必要になることから、メインテナンスの負担が大きいという不利益がある。そのため、タイヤの回転による振動を利用したTPMS用の発電装置が従来より検討されている。例えば下記の特許文献1では、振動に伴って磁石がコイルの中を往復運動するように構成された発電装置が開示されている。
特開2004−187429号
特許文献1に記載される発電装置は、付勢部材(コイルスプリング等)によって磁石が移動方向に付勢されている。このように、振動する機構部品を用いた発電装置は、特定の共振周波数を持つため、振動周波数と共振周波数が一致する場合に発電効率が高くなる一方、振動周波数と共振周波数がずれていると発電効率が大幅に低下する。一般に、タイヤの回転による振動はタイヤの回転速度などに応じて周波数が大きく変化することから、特許文献1のように特定の共振周波数を持つ発電装置では、安定した発電効率を保つことが難しいという不利益がある。そこで、周波数帯域が広がるように共振のQ値を抑えることも考えられるが、そうすると機械的なエネルギーの損失が増大するため、かえって発電効率が低下するという不利益がある。また、振動する機構部品を用いた場合、耐久性が低くなるという不利益もある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤの回転による振動のように振動周波数が変動する場合でも発電効率の低下を抑えることが可能な発電装置及びこれを備えた電子装置を提供することにある。
本発明の第1の観点に係る発電装置は、少なくとも1つの磁歪素子と、前記磁歪素子に衝撃を伝達する衝撃伝達部材と、前記衝撃伝達部材による前記磁歪素子への衝撃の伝達方向において前記磁歪素子と並んで配置された少なくとも1つの磁石と、前記磁歪素子が収容される孔を有し、前記孔の周りに導線が巻回されたコイルとを備える。前記コイルの前記孔が、前記衝撃の伝達方向と平行な第1方向へ延びている。前記衝撃伝達部材が、前記第1方向へ相対的に変位可能に組み合わされた少なくとも2つの磁性部材を含む。前記少なくとも2つの磁性部材が、前記孔の一端から前記孔の外を通り前記孔の他端へ至る前記磁歪素子の磁束線の磁路を形成する。前記孔の一端側において、1つの前記磁歪素子と1つの前記磁性部材とが接しており、前記孔の他端側において、他の1つの前記磁歪素子と他の1つの前記磁性部材とが接しており、前記磁石が、前記孔の中で2つの前記磁歪素子に挟まれている。
この構成によれば、前記衝撃伝達部材を介して前記磁歪素子に衝撃が伝達されると、前記磁歪素子において逆磁歪効果により磁界の変化が生じ、この磁界の変化に応じて前記コイルの起電力が発生する。衝撃による前記磁歪素子の微小な変形により生じた磁界の変化に基づいて発電することから、コイルスプリングなどの比較的低い周波数で振動する機構部品を用いて発電を行う場合に比べて、振動周波数の変動による発電効率の低下が生じ難い。また、前記衝撃伝達部材における前記少なくとも2つの磁性部材が、前記磁歪素子へ衝撃を伝達する機能に加えて、前記磁歪素子による前記磁束線の磁路を形成する機能も備えているため、これらの機能を別の部材で実現する場合に比べて構成が簡易となる。
また、この構成によれば、前記コイルの前記孔の一端側と他端側とにおいてそれぞれ前記磁歪素子が前記磁性部材と接しているため、前記磁性部材からの衝撃が前記磁歪素子へ直接伝わり易くなり、発電効率が向上する。
好適に、2つの前記磁性部材が、前記孔の一端側と他端側とにおいて前記コイルを挟んで対向する2つの内側平面を有し、前記2つの内側平面は、前記衝撃を受けたときの互いの離間距離が前記第1方向における前記コイルのサイズに比べて長い。
この構成によれば、前記衝撃伝達部材から前記磁歪素子へ衝撃が伝わる場合でも、前記2つの内側平面の前記第1方向における離間距離が前記コイルの前記第1方向におけるサイズに比べて長いため、前記衝撃による力が前記コイルに加わらない。これにより、前記磁歪素子へ効率的に衝撃が伝わるとともに、前記コイルの変形が防止される。
好適に、少なくとも1つの前記磁性部材が、前記第1方向と垂直な方向に向かって前記コイルの周りを囲む側壁を有し、他の少なくとも1つの前記磁性部材が、前記側壁の内側の面と対向する側端面を有する。
この構成によれば、前記磁性部材の前記側壁によって前記コイルの周りが囲まれるため、前記コイルの前記孔に収容された前記磁歪素子による磁束線が前記コイルの周りに集中し易くなり、発電効率が向上する。また、1つの前記磁性部材における前記側壁の内側の面と他の1つの前記磁性部材における前記側端面とが対向するため、この対向部分において前記磁束線が通り易くなる。
好適に、前記側壁を有する前記磁性部材と前記側端面を有する前記磁性部材とが、前記孔の一端側と他端側とにおいて前記コイルを挟んで対向する2つの内側平面を有する。
この構成によれば、前記コイルが前記孔の一端側と他端側とにおいて前記磁性部材により囲われるため、前記コイルの前記孔に収容された前記磁歪素子による磁束線が前記コイルの周りに集中し易くなり、発電効率が向上する。
好適に、前記磁歪素子と接触する前記磁性部材が、前記磁歪素子との接触面の反対側において外部からの衝撃を受ける外面を持つ。
この構成によれば、前記外面に受けた衝撃が前記磁歪素子へ伝わり易くなる。
好適に、前記外面が、前記第1方向からみた平面視における前記接触面と重なる場所に隆起部を有する。
この構成によれば、前記隆起部において衝撃を受け易くなるとともに、前記第1方向へ加えられた衝撃が前記接触面から前記磁歪素子へ伝わり易くなるため、前記磁歪素子へ効率的に衝撃が伝わる。
好適に、前記隆起部における隆起の高さは、前記第1方向からみた平面視における前記接触面の中央に対応する位置若しくは当該位置を含む領域で最も高く、当該位置若しくは当該領域から離れるにつれて連続的に低くなる。
この構成によれば、前記第1方向からみた平面視における前記接触面の中央に対応する位置若しくは当該位置を含む領域で前記隆起の高さが最も高いため、当該位置の付近において衝撃を受け易くなる。これにより、前記第1方向へ加えられた衝撃が前記接触面の中央付近から前記磁歪素子へ伝わり易くなるため、前記磁歪素子へ更に効率的に衝撃が伝わる。
好適に、前記磁歪素子と接触する前記磁性部材が、前記コイルの前記孔の中に先端を挿入され、前記先端の接触面において前記磁歪素子と接触する突出部を有する。
この構成によれば、前記コイルの前記孔の中に前記磁歪素子を位置させた状態で前記磁歪素子に衝撃を伝えることが可能になるため、前記磁歪素子による磁束線の変化が前記コイルに作用し易くなり、発電効率が向上する。
本発明の第2の観点に係る電子装置は、タイヤの内部に取り付けられた電子装置であって、電子回路と、前記電子回路に電源を供給する発電部と、前記発電部と衝突する衝突部材と、前記発電部と前記衝突部材とを前記タイヤの径方向と平行な前記第1方向において相対的に移動自在に保持する保持部材とを備える。前記発電部は、上記第1の観点に係る発電装置である。
この構成によれば、タイヤの回転数の変動などによって振動周波数が変化しても、発電効率の低下が生じ難い。
好適に、前記発電部及び前記衝突部材の一方が、他方に比べて前記タイヤの回転の中心から径方向に離れた場所で前記タイヤに固定される。
この構成によれば、前記発電部の固定場所に対応する前記タイヤの表面が地面に接地すると、前記発電部及び前記衝突部材のうち前記タイヤに固定されていない方が、前記接地の衝撃により前記タイヤの回転の中心へ近づく方向に移動し、前記発電部と前記衝突部材とが離間する。その後、前記タイヤが更に回転すると、前記発電部及び前記衝突部材のうち前記タイヤに固定されていない方が、遠心力によって前記タイヤの回転の中心から離れる方向に移動し、前記発電部と前記衝突部材とが衝突する。すなわち、前記タイヤの接地の衝撃によって前記発電部と前記衝突部材とが離間した後、遠心力によって前記発電部と前記衝突部材とが衝突する。これにより、前記タイヤの回転の度に前記発電部と前記衝突部材との衝突が確実に生じるため、前記発電部において安定した出力が得られる。
本発明によれば、タイヤの回転による振動のように振動周波数が変動する場合でも発電効率の低下を抑えることができる。
第1の実施形態に係る発電装置の一例を示す斜視図である。 図1に示す発電装置のA−A線断面図である。 第1の実施形態に係る発電装置における発電部の斜視図及び分解図である。 発電部の外面に設けられた隆起部の一例を示す図である。 隆起部の形状に応じた衝撃の伝達の態様を説明するための図である。 第1の実施形態に係る発電装置の一変形例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る発電装置の一変形例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る発電装置の一変形例を示す断面図である。 第1の実施形態に係る発電装置における隆起部の一変形例を示す図である。 第1の実施形態に係る発電装置の一変形例を示す断面図である。 第2の実施形態に係るタイヤ監視システムの構成の一例を示す図である。 タイヤ監視システムにおける各構成要素の配置の一例を示す図である。 タイヤの接地の衝撃による錘の移動を示す図である。 タイヤの回転の遠心力による錘の移動を示す図である。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る発電装置1の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示す発電装置1のA−A線断面図である。図3は、図1に示す発電装置1における発電部2の斜視図(図3A)及び分解図(図3B)である。
図1〜図3において示すように、本明細書では、互いに直交する3つの方向を「x」、「y」、及び「z」とする。また、x方向に含まれる互いに逆向きの方向を「x1」及び「x2」とし、y方向に含まれる互いに逆向きの方向を「y1」及び「y2」方向とし、Z方向に含まれる互いに逆向きの方向を「z1」及び「z2」とする。
本実施形態に係る発電装置1は、外部から加えられる振動や衝撃により発電する装置であり、発電部2と、錘3と、保持部材4と、基台5と、配線基板11とを有する。
保持部材4は、発電部2と錘3とをZ方向において相対的に移動自在に保持する。保持部4は、錘3の移動方向と平行なZ方向に延びた内部空間40を持ち、この内部空間40に発電部2と錘3を収容する。錘3は、内部空間40のz1側に配置されており、保持部材4に固定されていないため、内部空間40においてZ方向に移動自在である。発電部2は、内部空間40のz2側の端に位置しており、保持部材4の内壁に固定される。外部から振動が加えられると、錘3のみが内部空間40においてZ方向に移動し、発電部2と衝突する。
保持部材4は、Z1側に開口を持つケース42と、ケース42の開口を塞ぐ蓋43を有する。ケース42は、z方向へ延びた円筒状の側壁421と、側壁421のZ2側の端に設けられた底部422を有する。蓋43と側壁421と底部422の各内面が、円柱状の内部空間40を画定する。
配線基板11は、電源回路の配線が形成された基板であり、整流回路や電圧レギュレータなどを構成する回路部品12が実装される。この電源回路により、後述するコイル24の起電力に基づいた一定の電源電圧が生成される。配線基板11は、例えば保持部材4の外面(図1、図2の例では蓋43の外面)に配置される。
基台5は、保持部材4が固定される台であり、振動や衝撃を生じる物体(タイヤ等)に取り付けられる。
錘3は、発電部2に衝突して衝撃を加えるための部材(衝突部材)であり、図1、図2の例では、内部空間40よりも径が小さく長さが短い円柱状の形状を持つ。錘3は、両端の平面がxy平面に対して概ね平行となる姿勢で内部空間40に収容されており、z2側の平面が発電部2と衝突する。
発電部2は、衝撃によって発電する装置であり、磁歪素子22と、磁歪素子22に衝撃を伝達する衝撃伝達部材20と、磁石23と、コイル24とを有する。
磁歪素子22は、磁界を加えることで外形が変形する磁歪材料により形成される。本実施形態に係る発電装置1では、磁歪素子22に衝撃を加えて外形を変化させることにより磁界が変化する逆磁歪効果を利用して発電を行う。図2、図3の例において、磁歪素子22は円柱状の形状を持ち、両端の平面がxy平面に対して概ね平行となる姿勢でコイル24の後述する孔241に収容される。
コイル24は、磁歪素子22における磁界の変化に応じた起電力を発生する。コイル24は、磁歪素子22が収容される孔241を有しており、この孔241の周りに導線16が巻回される。コイル24の孔241は、衝撃伝達部材20による衝撃の伝達方向と平行な方向であるz方向に延びている。
磁石23は、逆磁歪効果による磁界の変化を生じさせるためのバイアス磁界を磁歪素子22に与える。磁石23は、衝撃伝達部材20による磁歪素子22への衝撃の伝達方向において磁歪素子22と並んで配置される。図2、図3の例において、磁石23は磁歪素子22とほぼ同じ径の円柱状の形状を持つ。磁石23は、磁歪素子22よりz2側に配置されており、磁歪素子22のz2側の平面と磁石23のz1側の平面とが接触している。
衝撃伝達部材20は、内部空間40においてz2方向へ移動する錘3が衝突した場合、その衝撃を磁歪素子22へz2方向に伝達し、磁歪素子22をz方向に圧縮する。図2、図3の例において、衝撃伝達部材20は、z方向へ相対的に変位可能に組み合わされた第1磁性部材201及び第2磁性部材202を有する。第1磁性部材201及び第2磁性部材202は、鋼鉄などの比較的強度が高い軟磁性体からなり、コイル24の孔241の一端から孔241の外を通り孔241の他端へ至る磁歪素子22の磁束線MFの磁路を形成する。第1磁性部材201及び第2磁性部材202は、互いに固定されずに組み合わされてもよいし、粘着材や接着剤、溶着などによって互いに固定された状態で組み合わされてもよい。第1磁性部材201及び第2磁性部材202が互いに固定される場合は、錘3の衝突の衝撃によって固定箇所の部材や磁性部材自体が微小に変形することで、その衝撃が磁歪素子22に伝達されるようにしてもよい。
第2磁性部材202は、z方向と垂直な方向に向かってコイル24の周りを囲む円筒状の側壁217と、側壁217のz2側の端に設けられた底部218とを有しており、コイル24が収容される円筒状の収容空間203を形成する。第1磁性部材201は、円盤状の形状を持ち、収容空間203のz1側における円形の開口部を塞ぐように配置される。第1磁性部材201の側端面213が、側壁217の内側の面と対向する。磁歪素子22及び磁石23による磁束線MFは、この側端面213と側壁217との対向部分を通る。
保持部材4のケース42と発電部2の第2磁性部材202は、コイル24の収容空間203と保持部材4の外側とを連通する孔13及び14を有する。コイル24の導線16は、この孔13及び14を通じて保持部材4の外側に引き出され、配線基板11に配置されたコネクタ等に接続される。
第1磁性部材201及び第2磁性部材202は、孔241の一端側と他端側とにおいてコイル24を挟んで対向する2つの内側平面(215、216)を有する。2つの内側平面(215、216)は、コイル24の孔241に収容された磁歪素子22及び磁石23を、z方向の両側から挟む。第1磁性部材201の内側平面215は、孔241のz1側の端において磁歪素子22のz1側の平面と接する。第2磁性部材202の内側平面216は、孔241のz2側の端において磁石23のz2側の平面と接する。図2において示すように、2つの内側平面215、216の離間距離Laは、z方向におけるコイル24のサイズLbに比べて長い。離間距離Laは、2つの内側平面215、216に挟まれた磁歪素子22及び磁石23によって保たれており、錘3の衝突による衝撃が第1磁性部材201に加わった場合も「La>Lb」の関係は変わらない。そのため、コイル24に直接衝撃が加わることはない。
第1磁性部材201は、コイル24に面した内側平面215に突出部214を有する。突出部214は、その先端がコイル24の孔241の中に挿入されており、先端の接触面219において磁歪素子22と接触する。図3、図4の例において、突出部214はz方向に延びた円柱状の形状を持ち、z2側の先端の平面において磁歪素子22と接触する。
第1磁性部材201は、磁歪素子22との接触面219の反対側において錘3からの衝撃を受ける外面212を有する。図2、図3において示すように、外面212の中央には、z1方向へ隆起した隆起部211が形成される。
図4は、発電部2の外面212に設けられた隆起部211の一例を示す図である。図4Aは、第1磁性部材201をy2側からみた図であり、図4Bは、第1磁性部材201及び第2磁性部材202をz1側からみた図である。図4Bに示すように、隆起部211は、z1側からみた平面視において、第1磁性部材201と磁歪素子22との接触面219(円形の点線部分)と重なる場所に設けられている。隆起部211における隆起の高さは、この接触面219の中央に対応する位置P1で最も高く、位置P1から離れるにつれて連続的に低くなる。図3、図4の例において、隆起部211の形状は球体の一部のように丸みを帯びている。
図5は、隆起部の形状に応じた衝撃の伝達の態様を説明するための図である。図5Aは、比較例の発電装置1Aの断面図であり、図5Bは上述した発電装置1の断面図であり、何れも錘3が発電部2に衝突した状態を示す。図5Aに示す比較例の発電装置1Aでは、外面212において錘3と衝突する隆起部211Aがz1方向に突出した円柱状の形状を有していることから、錘3が円柱形状の隆起部211Aの縁に衝突する。そのため、黒の矢印で表すように、錘3は位置P1(図4)からずれた位置で隆起部211Aと衝突し、その衝撃は磁歪素子22のx方向及びy方向の中心に対してずれた位置に伝わる。一方、図5Bに示す本実施形態に係る発電装置1では、隆起部211が位置P1を中心として球体状に隆起している。そのため、錘3が位置P1(図4)に近い位置で隆起部211と衝突し、その衝撃は磁歪素子22のx方向及びy方向の中心に近い位置に伝わる。従って、本実施形態に係る発電装置1は、比較例の発電装置1Aに比べて磁歪素子22に加わるz方向の衝撃が強くなるため、磁歪素子22の磁界の変化が大きくなる。
上述した構成を有する本実施形態に係る発電装置1によれば、次のような効果を奏することができる。
本実施形態に係る発電装置1によれば、衝撃伝達部材20を介して磁歪素子22に衝撃が伝達されると、磁歪素子22において逆磁歪効果により磁界の変化が生じ、この磁界の変化に応じてコイル24の起電力が発生する。衝撃による磁歪素子22の微小な変形により生じた磁界の変化に基づいて発電することから、コイルスプリングなどの比較的低い周波数で振動する機構部品を用いて発電を行う場合に比べて、振動周波数の変動による発電効率の低下が生じ難い。従って、タイヤの回転による振動のように振動周波数が変動する場合でも、発電効率の低下を抑えることができる。また、振動する機構部品を用いないため、耐久性を高めることができる。
本実施形態に係る発電装置1によれば、衝撃伝達部材20における2つの磁性部材(201、202)が、磁歪素子22へ衝撃を伝達する機能に加えて、磁歪素子22による磁束線MFの磁路を形成する機能も備えている。そのため、これらの機能を別の部材で実現する場合に比べて構成が簡易となる。更に、磁性部材(201、202)や磁歪素子22、磁石23などはいずれも高い強度を持つ材料を用いて形成可能であるため、耐久性を高めることができる。
本実施形態に係る発電装置1によれば、コイル24の孔241の一端側において磁歪素子22と第1磁性部材201とが接している。そのため、第1磁性部材201からの衝撃が磁歪素子22へ直接伝わり易くなり、発電効率が向上する。また、孔241の他端側において、磁石23と第2磁性部材202とが接しているため、第2磁性部材202が磁石23の磁束線MFを通す磁路として機能し易くなる。
本実施形態に係る発電装置1によれば、z方向と垂直な方向におけるコイル24の周囲が、第2磁性部材202の側壁217によって囲まれる。そのため、コイル24の孔241に収容された磁歪素子22による磁束線MFがコイル24の周りに集中し易くなり、発電効率が向上する。また、第2磁性部材202における側壁217の内側の面と第1磁性部材201における側端面213とが対向するため、この対向部分において磁束線MFが通り易くなる。
本実施形態に係る発電装置1によれば、コイル24が孔241の一端側と他端側とにおいて磁性部材(201、202)により囲われる。そのため、コイル24の孔241に収容された磁歪素子22による磁束線MFがコイル24の周りに集中し易くなり、発電効率が向上する。
本実施形態に係る発電装置1によれば、衝撃伝達部材20から磁歪素子22へ衝撃が伝わる場合でも、2つの内側平面215、216のz方向における離間距離Laがコイル24のz方向におけるサイズLbに比べて長い。そのため、衝撃による力がコイル24へ直接的に加わらない。これにより、磁歪素子22へ効率的に衝撃が伝わるため発電効率が向上するとともに、衝撃によるコイル24の変形を防止できる。
本実施形態に係る発電装置1によれば、第1磁性部材201において磁歪素子22と接触する内側平面215の反対側の外面212に錘3が衝突し、衝撃が加えられる。これにより、外面212に加えられた衝撃が磁歪素子22へ直接的に伝わり易くなるため、発電効率が向上する。
本実施形態に係る発電装置1によれば、第1磁性部材201の外面212には、錘3が衝突する側(z1側)からみた平面視において第1磁性部材201と磁歪素子22との接触面219と重なる場所に、隆起部211が設けられている。これにより、隆起部211において衝撃を受け易くなるとともに、z方向へ加えられた衝撃が接触面219を介して磁歪素子22に伝わり易くなる。そのため、錘3の衝突による衝撃が磁歪素子22へ効率的に伝わるため、発電効率が向上する。
本実施形態に係る発電装置1によれば、錘3が衝突する側(z1側)からみた平面視における第1磁性部材201と磁歪素子22との接触面219の中央に対応する位置P1(図4)において、隆起部211の隆起の高さが最も高い。そのため、第1磁性部材201は位置P1の付近において衝撃を受け易くなる。これにより、z方向へ加えられた衝撃が第1磁性部材201と磁歪素子22との接触面219の中央付近から磁歪素子22へ伝わり易くなるため、磁歪素子22へ効率的に衝撃を伝えることができる。
本実施形態に係る発電装置1によれば、コイル24に面した第1磁性部材201の内側平面215に突出部214が設けられており、突出部214の先端がコイル24の孔241の中に挿入され、その先端の接触面219が磁歪素子22と接触する。これにより、コイル24の孔241の中に磁歪素子22の全体を位置させた状態で磁歪素子22に衝撃を伝えることが可能になるため、磁歪素子22による磁束線MFの変化がコイル24に作用し易くなり、発電効率が向上する。
次に、本実施形態に係る発電装置1の変形例について図6〜図10を参照して説明する。なお、図6〜図8及び図10の断面図は、図2と同様なA−A線の断面を示す。
図6に示す変形例の発電装置1Bは、図2に示す発電装置1における磁歪素子22及び磁石23の配置を変更したものである。すなわち、図6に示す発電装置1Bでは、錘3が衝突する第1磁性部材201Bに磁石23が接触し、保持部材4のケース42に固定された第2磁性部材202Bに磁歪素子22が接触する。第1磁性部材201Bは、突出部214の代わりに磁石23の嵌合用の凹部を有する。この凹部に嵌合された磁石23の先端が孔241に挿入されて、磁歪素子22と接触する。第2磁性部材202Bは、コイル24のz2側に面した内側平面216に突出部214Bを有しており、突出部214Bの先端が孔241に挿入されて磁歪素子22と接触する。
図6に示す変形例の発電装置1Bによれば、コイル24の孔241の一端側において磁歪素子22と第2磁性部材202とが接しているため、第2磁性部材202から磁歪素子22へ衝撃を直接伝えることができる。また、孔241の他端側において、磁石23と第1磁性部材201とが接しているため、第1磁性部材201が磁石23の磁束線MFを通す磁路として機能し易くなる。
図7に示す変形例の発電装置1Cは、コイル24の孔241の中で2つの磁歪素子(22−1、22−2)の間に磁石23が挟まれたものである。磁歪素子22−1は孔241のz1側に配置されて第1磁性部材201の突出部214と接触し、磁歪素子22−2は孔241のz2側に配置されて第2磁性部材202Bの突出部214Bと接触する。この変形例の発電装置1Cによれば、コイル24の孔241の一端側と他端側とにおいてそれぞれ磁歪素子(22−1、22−2)が磁性部材(201、202)と接しているため、上述した発電装置1、1Bと同様に、磁性部材(201、202)から磁歪素子(22−1、22−2)へ衝撃を直接伝えることができる。
図8に示す変形例の発電装置1Dは、コイル24の孔241の中で2つの磁石(23−1、23−2)の間に磁歪素子22が挟まれたものである。磁石23−1は孔241のz1側に配置されて第1磁性部材201と接触し、磁石23−2は孔241のz2側に配置されて第2磁性部材202と接触する。この変形例の発電装置1Dによれば、孔241の一端側と他端側のそれぞれにおいて、磁石(23−1、23−2)と磁性部材(201、202)とが接しているため、磁性部材(201、202)が磁石(23−1、23−2)の磁束線MFを通す磁路として機能し易くなる。
図9は、第1磁性部材201の外面212に設けられた変形例の隆起部211Eを示す図である。図4と同様に、図9Aは第1磁性部材201をy2側からみた図であり、図9Bは第1磁性部材201及び第2磁性部材202をz1側からみた図である。図9に示す変形例の隆起部211Eは、z1側からみた平面視において、第1磁性部材201と磁歪素子22との接触面219と重なる場所に設けられている。また、隆起部211Eにおける隆起の高さは、この接触面219の中央に対応する位置P1を中心とした円形の平面の領域AR1で最も高く、領域AR1から離れるにつれて連続的に低くなる。図9の例において、隆起部211Eの形状は円錐台状である。このような形状の隆起部211Bを第1磁性部材201の外面212に設けた場合、隆起部211Bの隆起が高くなる一方で、円錐面状の曲面において発電部2と錘3との衝突が生じ難くなる。これにより、z方向へ加えられた衝撃が更に接触面219の中央に近い位置から磁歪素子22へ伝わり易くなるため、磁歪素子22へより効率的に衝撃を伝えることができる。なお、領域AR1を平面ではなく、球体の一部のように丸みを帯びた形状にして、位置P1の隆起の高さを最も高くしてもよい。
図10に示す変形例の発電装置1Eは、錘3を保持部材4の内部空間40における基台5に近い側に位置させ、発電部2を保持部材4の基台5から離れた側の蓋43Fに固定したものである。変形例の発電装置1Eでは、コイル24の収容空間203と保持部材4の外側とを連通する孔13F及び14Fが保持部材4の蓋43と発電部2の第2磁性部材202に設けられている。コイル24の導線16は、この孔13F及び14Fを通じて保持部材4の外側に引き出され、配線基板11に設けられた孔15Fを通り、配線基板11の表面に配置されたコネクタ等に接続される。このように、基台5に対する発電部2と錘3の配置を逆にしても、上述した発電装置1と同様な効果を奏することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、上述した第1の実施形態の発電装置をタイヤ監視システムに適用したものである。
図11は、本実施形態に係るタイヤ監視システムの構成の一例を示す図である。図11Aはタイヤ監視システムの全体構成を示し、図11Bは電子装置100の発電装置120の電気的な構成を示す。このタイヤ監視システムは、例えばタイヤの空気圧を監視するTPMSであり、タイヤ140の内部に取り付けられた電子装置100と、この電子装置100から監視結果のデータを取得する車載制御装置130とを有する。
電子装置100は、電子回路110と、この電子回路110に電源電圧VDDを供給する発電装置120を有する。電子回路110は、車載制御装置130に無線信号を送信する無線送信部111と、空気圧や温度、加速度などの所定の物理量を測定するセンサ部113と、無線送信部111及びセンサ部113の動作を制御するコンピュータ等の処理部112とを有する。発電装置120は、第1の実施形態に係る発電装置1(若しくはその変形例)と同様の構成を持つ。また、図11Bにおいて示すように、発電装置120は、コイル24の出力を整流する整流回路121と、整流回路121により整流された電圧を入力して一定の電源電圧VDDを生成するレギュレータ122とを有する。電子回路110や発電装置120の回路部品は、例えば配線基板11に実装される。
車載制御装置130は、例えば車両150のECU(electronic control unit)やECUと通信する制御モジュールである。図11Aの例において、車載制御装置130は、電子装置100からの無線信号を受信する無線受信部131と、車両150の他の制御モジュールやECUとデータ通信を行う通信部133と、無線受信部131及び通信部133の動作を制御するコンピュータ等の処理部132とを有する。処理部132は、電子装置100から無線信号によって送られてくるセンサ部113のセンシング結果のデータに基づいて、車両150における種々の制御(警告ランプの表示など)を行う。
図12は、図11に示すタイヤ監視システムにおける各構成要素の配置の一例を示す図である。図11Aは車両150における電子装置100と車載制御装置130の概略的な配置例を示し、図12Bはタイヤ140内における電子装置100の概略的な配置例を示す。図12Bの例において、電子装置100は、タイヤ140の接地面141に対して裏側の内壁142に取り付けられている。図12Bにおける「Ps1」は、タイヤ140の回転の中心から径方向を見た場合に電子装置100と重なる接地面141上の位置を示す。
図13及び図14は、タイヤ140の回転に伴う錘3の移動を説明するための図である。図13はタイヤ140の接地の衝撃による発電装置120の錘3の移動を示し、図14はタイヤ140の回転の遠心力による発電装置120の錘3の移動を示す。また、図13A及び図14Aは、タイヤ140の接地面141における位置Ps1と地面6との位置関係を表しており、図13B及び図14Bは、保持部材4の内部空間40における錘3の移動方向を示す。
本実施形態において、保持部材4は、タイヤ140の径方向と平行なz方向において発電部2と錘3とを相対的に移動自在に保持する。また図13及び図14の例において、発電部2は、保持部材4及び基台5を介してタイヤ140に固定される。タイヤ140の内部における発電部2の固定場所は、錘3よりもタイヤ140の中心Poから離れている。
発電部2の固定場所に対応するタイヤ140の接地面141の位置Ps1が地面6に接地すると(図13A)、タイヤ140に固定されていない錘3がその接地の衝撃により中心Poへ近づく方向(z1方向)に移動し、錘3が発電部2から離間する。その後タイヤ140が更に回転して、タイヤ140の接地面141の位置Ps1が地面6から離れると(図14A)、錘3に遠心力が働き、錘3が中心Poから離れる方向(z2方向)に移動する。これにより、錘3が発電部2に衝突し、その衝突の衝撃によって発電部2が発電する。
以上説明したように、本実施形態によれば、タイヤ140に固定されていない衝突部材である錘3が、タイヤ140の接地の衝撃によって回転の中心Poへ近づく方向に移動し、タイヤ140に固定された発電部2から離れる。その後、タイヤ140の回転に伴う遠心力により、錘3が回転の中心Poから離れる方向に移動し、発電部2と衝突する。これにより、タイヤ140の回転の度に発電部2と錘3(衝突部材)との衝突が確実に生じるため、発電部2において安定した出力を得ることができる。
なお、図13及び図14の例では発電部2がタイヤ140に固定されているが、これとは逆に、衝突部材(錘3)がタイヤ140に固定されていてもよい。この場合、発電部2は、衝突部材(錘3)よりも回転の中心Poの近くに位置する。また保持部材4は、発電部2をタイヤ140の回転の径方向へ移動自在に保持する。
本発明は上述した実施形態には限定されない。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
上述した実施形態では、衝撃伝達部材が2つの磁性部材を含む例に挙げたが、本発明の他の実施形態では、衝撃伝達部材が3以上の磁性部材を含んでもよいし、磁性部材を1つだけ含んでもよい。衝撃伝達部材が磁性部材を1つだけ含む場合には、磁性部材自体が衝撃に伴って変形することで、磁性部材を介して磁歪素子に衝撃が伝達されるようにしてもよい。
1,1A,1B,1C,1D,1F…発電装置、11…配線基板、12…回路部品、13,14,13F,14F,15F…孔、16…導線、2…発電部、20…衝撃伝達部材、201,201B…第1磁性部材、202,202B…第2磁性部材、211,211A,211E…隆起部、212…外面、213…側端面、214,214B…突出部、215,216…内側平面、217…側壁、218…底部、219…接触面、22,22−1,22−2…磁歪素子、23,23−1,23−2…磁石、24…コイル、241…孔、3…錘、4…保持部材、40…内部空間、42…ケース、421…側壁、422…底部、43…蓋、5…基台、100…電子装置、110…電子回路、111…無線送信部、112…処理部、113…センサ部、120…発電装置、130…車載制御装置、131…無線受信部、132…処理部、133…通信部、140…タイヤ、141…接地面、142…内壁、150…車両、MF…磁束線

Claims (10)

  1. 少なくとも1つの磁歪素子と、
    前記磁歪素子に衝撃を伝達する衝撃伝達部材と、
    前記衝撃伝達部材による前記磁歪素子への衝撃の伝達方向において前記磁歪素子と並んで配置された少なくとも1つの磁石と、
    前記磁歪素子が収容される孔を有し、前記孔の周りに導線が巻回されたコイルとを備え、
    前記コイルの前記孔が、前記衝撃の伝達方向と平行な第1方向へ延びており、
    前記衝撃伝達部材が、前記第1方向へ相対的に変位可能に組み合わされた少なくとも2つの磁性部材を含み、
    前記少なくとも2つの磁性部材が、前記孔の一端から前記孔の外を通り前記孔の他端へ至る前記磁歪素子の磁束線の磁路を形成し、
    前記孔の一端側において、1つの前記磁歪素子と1つの前記磁性部材とが接しており、
    前記孔の他端側において、他の1つの前記磁歪素子と他の1つの前記磁性部材とが接しており、
    前記磁石が、前記孔の中で2つの前記磁歪素子に挟まれている、
    発電装置。
  2. 2つの前記磁性部材が、前記孔の一端側と他端側とにおいて前記コイルを挟んで対向する2つの内側平面を有し、
    前記2つの内側平面は、前記衝撃を受けたときの互いの離間距離が前記第1方向における前記コイルのサイズに比べて長い、
    請求項に記載の発電装置。
  3. 少なくとも1つの前記磁性部材が、前記第1方向と垂直な方向に向かって前記コイルの周りを囲む側壁を有し、
    他の少なくとも1つの前記磁性部材が、前記側壁の内側の面と対向する側端面を有する、
    請求項1又は2に記載の発電装置。
  4. 前記側壁を有する前記磁性部材と前記側端面を有する前記磁性部材とが、前記孔の一端側と他端側とにおいて前記コイルを挟んで対向する2つの内側平面を有する、
    請求項に記載の発電装置。
  5. 前記磁歪素子と接触する前記磁性部材が、前記磁歪素子との接触面の反対側において外部からの衝撃を受ける外面を持つ、
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の発電装置。
  6. 前記外面が、前記第1方向からみた平面視における前記接触面と重なる場所に隆起部を有する、
    請求項に記載の発電装置。
  7. 前記隆起部における隆起の高さは、前記第1方向からみた平面視における前記接触面の中央に対応する位置若しくは当該位置を含む領域で最も高く、当該位置若しくは当該領域から離れるにつれて連続的に低くなる、
    請求項に記載の発電装置。
  8. 前記磁歪素子と接触する前記磁性部材が、前記コイルの前記孔の中に先端を挿入され、前記先端の接触面において前記磁歪素子と接触する突出部を有する、
    請求項1乃至の何れか一項に記載の発電装置。
  9. タイヤの内部に取り付けられた電子装置であって、
    電子回路と、
    前記電子回路に電源を供給する発電部と、
    前記発電部と衝突する衝突部材と、
    前記発電部と前記衝突部材とを前記タイヤの径方向と平行な前記第1方向において相対的に移動自在に保持する保持部材とを備え、
    前記発電部が、請求項1乃至の何れか一項に記載の発電装置である、
    電子装置。
  10. 前記発電部及び前記衝突部材の一方が、他方に比べて前記タイヤの回転の中心から径方向に離れた場所で前記タイヤに固定される、
    請求項に記載の電子装置。
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