以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る環境発電装置について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る環境発電装置の一例を示す図である。図1の環境発電装置は、筐体1と、熱電発電素子2と、電源回路3と、出力端子4と、配線51,52と、を備える。
筐体1は、内部に電源回路3などの電子機器を収納可能な容器である。筐体1は、熱電発電素子2の一方の面を冷却するヒートシンクとしての役割を果たす。このため、筐体1は、熱伝導率が高い材料により形成されるのが好ましい。具体的には、筐体1は、アルミニウムなどの金属により形成されるのが好ましい。
また、筐体1は、配線孔を有する。配線孔は、配線を通すために筐体1に設けられた貫通孔である。配線孔を設けることにより、筐体1の内部の電子機器と、筐体1の外部の機器(以下、「外部機器」という)と、を配線により接続することができる。
図1の例では、筐体1は、2つの配線孔11,12を有する。配線孔11は、配線51を通すための貫通孔である。配線孔12は、配線52を通すための貫通孔である。
なお、図1の例では、配線孔11,12は、いずれも筐体1の側面に設けられているが、筐体1の上面や下面に設けられてもよい。
また、筐体1は、3つ以上の配線孔を設けられてもよいし、後述する図6で示すように、配線孔12を設けられなくてもよい。
また、筐体1の配線孔と、その配線孔に通された配線と、の間は樹脂製のパッキンなどにより塞がれてもよい。これにより、筐体1の内部を密閉し、環境発電装置の防水性を向上させることができる。
熱電発電素子2は、熱電発電を行う平板状の素子である。熱電発電素子2は、一方の面と、他方の面と、の間に温度差が生じると、生じた温度差に応じた電圧を発生させる。熱電発電素子2は、一方の面又は他方の面が、筐体1の外面に接するように配置される。熱電発電素子2は、絶縁体板21,22と、熱電材料23,24と、を備える。
絶縁体板21は、熱電発電素子2の上面を構成する板状部材であり、絶縁体により形成される。絶縁体板21は、筐体1の下面に接している。絶縁体板21により、熱電材料23,24と、筐体1と、の間が絶縁される。
絶縁体板22は、熱電発電素子2の下面を構成する板状部材であり、絶縁体により形成される。絶縁体板22により、熱電材料23,24と、筐体1と、の間が絶縁される。
熱電材料23は、絶縁体板21と絶縁体板22との間に、熱電発電素子2の平面方向に複数配置されている。熱電材料23は、例えば、N型半導体、又は金属である。
熱電材料24は、絶縁体板21と絶縁体板22との間に、熱電発電素子2の平面方向に複数配置されている。熱電材料24は、例えば、P型半導体、又は熱電材料23とは異なる金属である。
図1の例では、熱電材料23と、熱電材料24と、は交互に配置されている。各熱電材料23の一端(上面側)は、その熱電材料23の右側(又は左側)の熱電材料24の一端(上面側)と、金属などの導電体(図示省略)により接続されている。また、熱電材料23の他端(下面側)は、その熱電材料23の左側(又は右側)の熱電材料24の他端(下面側)と、金属などの導電体(図示省略)により接続されている。すなわち、複数の熱電材料23,24は、直列に接続されている。直列に接続された熱電材料23,24の両端には、配線51が接続されている。
熱電発電素子2の下面側に熱源がある場合、熱電発電素子2の下面は、熱源により加熱される。一方、熱電発電素子2の上面は、熱源に加熱されると同時に、筐体1により放熱され、冷却される。結果として、熱電発電素子2の上面の温度が下面の温度より低くなる。すなわち、熱電発電素子2の上面と下面との間に温度差が生じる。
熱電発電素子2は、この温度差に応じた電圧を発生させる。温度差が数K程度の場合、生じる電圧は、例えば、数10mVとなる。熱電発電素子2は、発生させた電圧に応じた出力電力を出力する。
なお、図1の例では、熱電発電素子2は、その上面が、筐体1の下面に接するように配置されているが、筐体1の側面又は上面に接するように配置されてもよい。また、熱電発電素子2は、その下面が、筐体1の外面と接するように配置されてもよい。
配線51は、熱電発電素子2と、電源回路3と、の間を接続する電源線である。配線51は、筐体1の配線孔11を通される。熱電発電素子2の出力電力は、配線51を介して電源回路3に入力される。
電源回路3は、筐体1の内部に配置されている。電源回路3は、昇圧回路を含み、配線51を介して入力された熱電発電素子2の出力電力を、所望の電圧(例えば、数V程度)に昇圧する。電源回路3は、昇圧後の電圧に応じた出力電力を出力する。
なお、電源回路3は、熱電発電素子2の出力電力を蓄電する蓄電素子(バッテリやキャパシタ)を備えてもよい。また、筐体1の内部に、電源回路3とは別部材の蓄電素子が設けられてもよい。
また、図1の例では、電源回路3は、筐体1の下面に接するように配置されているが、スペーサなどにより、下面から浮かせて配置されてもよい。これにより、電源回路3の熱を筐体1の下面に伝わりにくくし、筐体1による熱電発電素子2の上面の冷却効率を向上させることができる。また、電源回路3は、筐体1の上面に配置されてもよいし、側面に配置されてもよい。
配線52は、電源回路3と、出力端子4と、を接続する電源線である。配線52は、筐体1の配線孔12を通される。電源回路3の出力電力は、配線52を介して、出力端子4から出力される。
出力端子4は、外部機器の電源端子に接続可能な端子である。本実施形態に係る環境発電装置は、出力端子4を介して、電源回路3の出力電力を外部機器に供給する。外部機器は、電源端子に出力端子4を接続することにより、電源回路3の出力電力を得ることができる。
以上説明した通り、本実施形態に係る環境発電装置は、熱電発電素子2により発電した電力を、電源回路3により昇圧し、出力端子4を介して外部機器に供給する。熱電発電素子2の出力電力は、電源回路3により昇圧されるため、環境発電装置は、外部機器に適切な電圧の出力電力を供給することができる。
また、熱電発電素子2は、筐体1の外部に設けられているため、筐体1の外部の熱源を利用して発電することができる。
また、筐体1が熱電発電素子2の上面(又は下面)を冷却するヒートシンクとしての役割を果たすため、熱電発電素子2に専用のヒートシンクを設ける必要がなくなる。これにより、環境発電装置を小型化することができる。
以上説明した本実施形態に係る環境発電装置は、熱源の近くに設置されるセンサや無線通信機など(以下、「センサ等」という)の電源として用いることができる。一例として、図1の環境発電装置を、自動車のエンジン、モータ、排気管など(以下、「エンジン等」という)の近くに設置するセンサ等の電源として用いる場合について説明する。
この場合、環境発電装置のユーザは、熱電発電素子2の下面と、熱源となるエンジン等と、が接する又は近接するように、環境発電装置を設置する。また、ユーザは、センサ等を所望の位置に設置する。そして、ユーザは、出力端子4とセンサ等の電源端子とを接続する。
これにより、エンジン等が加熱している限り、環境発電装置からセンサ等に電力が供給されるようになり、センサ等を駆動させ続けることができる。
図2は、本実施形態に係る環境発電装置の他の例を示す図である。図2の環境発電装置は、筐体1が放熱フィン13を備えている。放熱フィン13は、筐体1の外面から突出するように設けられている。他の構成は、図1と同様である。
このように、筐体1の外面に放熱フィン13を設けることにより、筐体1の表面積が増大する。この結果、筐体1の放熱効率が向上し、筐体1による熱電発電素子2の上面の冷却効果を向上させることができる。
なお、図2の例では、放熱フィン13は、筐体1の側面及び上面に設けられているが、側面又は上面のいずれか一方に設けられてもよい。また、筐体1とは別部材の放熱フィン13が、筐体1の外面に接するように取り付けられてもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る環境発電装置について、図3〜図5を参照して説明する。本実施形態に係る環境発電装置は、熱電発電とともに、振動発電を利用する。図3は、本実施形態に係る環境発電装置の一例を示す図である。図3の環境発電装置は、圧電素子6と、スペーサ61と、錘62と、配線53と、を備える。他の構成は、図1と同様である。
圧電素子6は、振動発電を行う板状又は棒状の素子である。圧電素子6は、加えられた圧力に応じた電圧を発生させる。図3の例では、圧電素子6は、筐体1の内部に配置されている。
スペーサ61は、一端が筐体1の内面の固定された棒状又は板状の部材である。スペーサ61の他端には、圧電素子6の一端が固定されている。これにより、圧電素子6の一端が、筐体1に対して固定される。
錘62は、圧電素子6の他端に固定されている。
圧電素子6と、スペーサ61と、錘62と、は片持ち梁を構成している。筐体1が振動すると、この振動よって圧電素子6が振動する。圧電素子6は、振動面に発生した圧力に応じた電圧を発生させる。圧電素子6は、電圧を発生させると、発生した電圧に応じた出力電力を出力する。圧電素子6の発電量は、筐体1の振動と、片持ち梁の共振周波数と、が一致したときに最大となる。片持ち梁の共振周波数は、錘62の重さにより調整可能である。
配線53は、圧電素子6と、電源回路3と、を接続する電源線である。圧電素子6の出力電力は、配線53を介して、電源回路3に入力される。
以上説明した通り、本実施形態に係る環境発電装置では、熱電発電素子2が熱電発電により発電した電力と、圧電素子6が振動発電により発電した電力と、が電源回路3に入力される。このように、2種類の環境発電を併用することにより、環境発電装置の発電量を増加させることができる。
また、圧電素子6が振動すると、筐体1の内部の空気が攪拌され、筐体1の内部の熱分布が均一化される。この結果、筐体1の放熱効率が向上し、筐体1による熱電発電素子2の上面の冷却効果を向上させることができる。
なお、図3の例では、環境発電装置は、圧電素子6を1つだけ備えるが、複数の圧電素子6を備えてもよい。この場合、各圧電素子6に対して、スペーサ61と、錘62と、配線53と、を設ければよい。
図4は、本実施形態に係る環境発電装置の他の例を示す図である。図4の環境発電装置では、圧電素子6が、筐体1の外部に配置されている。このため、筐体1には、配線53を通すための配線孔14が設けられている。また、圧電素子6の一端が、筐体1の側面に直接固定されているため、スペーサ61が設けられていない。他の構成は、図3と同様である。
図4の構成であっても、圧電素子6による振動発電を利用して、環境発電装置の発電量を増加させることができる。また、圧電素子6が放熱フィンとしての役割を果たすため、筐体1の放熱効率が向上し、筐体1による熱電発電素子2の上面の冷却効果を向上させることができる。
なお、図4の例では、環境発電装置は、圧電素子6を1つだけ備えるが、複数の圧電素子6を備えてもよい。この場合、各圧電素子6に対して、錘62と、配線53と、配線孔14と、を設ければよい。また、圧電素子6は、筐体1の外面に一端を固定されたスペーサ61の他端に固定されてもよい。また、圧電素子6は、筐体1の内部と、筐体1の外部と、にそれぞれ設けられてもよい。
図5は、本実施形態に係る環境発電装置の他の例を示す図である。図5の環境発電装置は、2つの圧電素子6A,6Bを備える。圧電素子6A,6Bは、重さが異なる錘62A,62Bを、それぞれ固定されている。他の構成は、図3と同様である。
このような構成により、圧電素子6Aが構成する片持ち梁の共振周波数と、圧電素子6Bが構成する片持ち梁の共振周波数と、が異なる周波数となる。すなわち、圧電素子6Aの発電量が最大となる筐体1の振動の周波数と、圧電素子6Bの発電量が最大となる筐体1の振動の周波数と、が異なる周波数となる。これにより、環境発電装置が振動発電を行うことができる筐体1の振動の周波数帯域を広げることができる。
なお、環境発電装置は、3つ以上の圧電素子6を備え、各圧電素子6にそれぞれ異なる重さの錘62が固定されてもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る環境発電装置について、図6及び図7を参照して説明する。上記の各実施形態では、環境発電装置が外部機器の電源として利用されることを想定していた。これに対して、本実施形態では、センサや無線通信機などと一体に構成された環境発電装置について説明する。図6は、本実施形態に係る環境発電装置の一例を示す図である。図6の環境発電装置は、センサ7と、無線通信機8と、電波透過部9と、配線54〜56と、を備える。また、センサ等は筐体1と一体化されるため、環境発電装置は、出力端子4を備えない。他の構成は、図3と同様である。
センサ7は、筐体1の内部に配置されている。環境発電装置は、センサ7として、例えば、加速度センサ、温度センサ、ガスセンサ、磁気センサ、圧力センサなど、任意のセンサを搭載することができる。また、環境発電装置は、複数のセンサ7を備えてもよい。
無線通信機8は、筐体1の内部に配置されている。無線通信機8は、センサ7のセンシングデータを無線で送信する無線送信機である。無線通信機8は、データを無線で受信可能な無線送受信機であってもよい。
電波透過部9は、筐体1の少なくとも一部に設けられた、電波を透過可能な部分である。図6の例では、電波透過部9は、電波を透過可能な電波透過材料により構成されている。電波透過材料として、樹脂やガラスなどが挙げられる。無線送信機8が出力した電波は、電波透過部9を通って、筐体1の外部に送信される。したがって、電波透過部9は、無線通信機8のアンテナ付近に設けられるのが好ましい。
なお、図6の例では、電波透過部9は、筐体1の上面に設けられているが、側面に設けられてもよい。また、電波透過部9は、1つ設けられてもよいし、複数設けられてもよい。
配線54は、電源回路3と、センサ7と、を接続する電源線である。電源3の出力電力は、配線54を介して、センサ7に供給される。センサ7は、電源回路3から供給された電力により駆動される。
配線55は、電源回路3と、無線通信機8と、を接続する電源線である。電源3の出力電力は、配線55を介して、無線通信機8に供給される。無線通信機8は、電源回路3から供給された電力により駆動される。
配線56は、センサ7と、無線通信機8と、を接続する信号線である。センサ7のセンシングデータは、配線56を介して、無線通信機8に入力される。無線通信機8は、センサ7から入力されたセンシングデータを、無線で送信する。
以上のような構成により、環境発電装置と、センサ7と、無線通信機8と、を一体に構成することができる。
また、センサ7及び無線通信機8を筐体1の内部に配置したことにより、筐体1の外部で電源線や信号線を配線する必要がなくなる。したがって、環境発電装置と、外部機器と、を接続する場合に比べて、センサ7及び無線通信機8の設置の自由度を向上させることができる。
また、図6の環境発電装置では、電波透過部9が、電波透過材料により構成される。これにより、筐体1の内部を密閉し、環境発電装置の防水性を向上させることができる。
図7は、本実施形態に係る環境発電装置の他の例を示す図である。図7の環境発電装置は、センサ7が筐体1の外部に配置されている。このため、筐体1は、配線54,55を通すための配線孔15を設けられている。他の構成は、図6と同様である。
このような構成により、環境発電装置と、無線通信機8と、を一体に構成することができる。また、センサ7を筐体1の外部に配置したことにより、センサ7は、筐体1の外部の環境をセンシングすることができる。
なお、筐体1は、配線54を通すための配線孔と、配線56を通すための配線孔と、をそれぞれ設けられてもよい。また、センサ7を筐体1の内部に配置し、無線通信機8を筐体1の外部に配置することも可能である。
図8は、本実施形態に係る環境発電装置の他の例を示す図である。図8の環境発電装置は、電波透過部9の代わりに、通気口10を備える。通気口10は、筐体1の上面に設けられた貫通孔であり、図6における電波透過部9の役割を果たす。すなわち、無線通信機8が出力した電波は、通気口10を通って筐体1の外部に送信される。他の構成は、図6と同様である。
図8の環境発電装置では、筐体1の内部は、密閉されず、電波透過部9(通気口)を介して換気される。これにより、熱電発電素子2により加熱された筐体1の内部の空気が排出されるため、筐体1の放熱効率が向上し、筐体1による熱電発電素子2の上面の冷却効果を向上させることができる。
なお、通気口は、1つ設けられてもよいし、複数設けられてもよい。図8に示すように、通気口を複数設けることにより、筐体1の通気性を向上させ、筐体1による熱電発電素子2の上面の冷却効果をさらに向上させることができる。
また、図8の例では、通気口は、筐体1の上面に設けられているが、筐体1の側面に設けられてもよいし、上面及び側面の両方に設けられてもよい。
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。