JP6684697B2 - 芯鞘複合繊維 - Google Patents
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Description
1)該赤外線吸収剤が二酸化チタン又は酸化亜鉛の少なくとも一種の無機微粒子であり、該無機微粒子の表面がアンチモンドープ酸化錫(ATO)又は錫ドープ酸化インジウム(ITO)で被覆された微粒子であること
2)該複合繊維において、該赤外線吸収剤の含有率が1.0質量%〜12.5質量%であり、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足すること
2.5≦X/Y (1)
ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量比(複合比率)
本発明の芯鞘型複合繊維は、製糸性や加工性をよくするため、芯部のポリマーに特定の赤外線吸収剤を含有させ、さらに芯部のポリマーをポリアミドにすることによって赤外線吸収性能が向上し優れた保温性を有する。本発明の繊維が優れた赤外線吸収性能を有する理由については定かではないが、ポリアミドは熱可塑性樹脂の中でもポリエステルやポリオレフィンに比べ、近赤外線領域の優れた吸収性能を示すことが知られており、アミド結合が特定な近赤外線波長に共鳴することで優れた吸収性能を有するとともに、該ポリアミド系樹脂中に赤外線吸収性能を有する無機粒子を含有させることで相乗効果が得られると推定している。また、本発明の繊維は鞘部のポリエステルが芯部のポリアミドを覆う芯鞘形状とするものである。鞘部のポリエステルは耐光性に優れており、白度の維持にも有効である。さらに後加工によって更に白度が向上する加工を施すことや加工時の取り扱い性が良好となる。また、製糸性や熱安定性、洗濯耐久性も優れている。
ポリアミドは、赤外線吸剤であるATOやITOと表面の濡れ性が良好で親和性が高いため、他の熱可塑性樹脂(特にポリエステル)に比べて、赤外線吸剤を樹脂中に高添加量で含有させることが可能であり、さらに分散性も優れるため、製糸性が優れ、安定的に赤外線吸収性能を発現させることができる。
本発明の複合繊維の断面形状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形態をしており、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列した状態で突起部が形成されていることが必要であり、突起部の数は、好ましくは15個以上、より好ましくは20個以上である。突起部の数が9個以下になると、複合成分間の界面剥離に対する抵抗が十分に得られにくくなる。
さらに重要なことは、芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比が(1)式を満足することが重要である。
2.5≦X/Y (1)
X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量比(複合比率)
芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比であるXは芯成分の複合比率により変化するが、(1)式が2.5以上であることが重要であり、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上である。
芯成分と鞘成分の質量複合比率が50:50である(すなわちYが0.5である)場合を例に挙げると、芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比であるXは、1.25以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.75以上である。X(L2/L1)が1.25以上のとき、芯成分と鞘成分の界面剥離を防止する効果が増大する。
本発明における界面剥離防止効果の作用機序は、複合成分の接着面積の増大と芯成分により形成される突起部のアンカー効果との相乗効果によるものと推察される。
さらに、突起数は剥離効果だけでなく、赤外線吸収性能が向上する効果がある。繊維中に突起による凹凸が存在することによって、赤外線の反射を抑制するとともに、赤外線吸収剤を含有する芯成分の表面積が増加することによって、赤外線吸収性能が向上するものと推定される。
芯成分のポリマーの複合比率が10質量%未満の場合は単糸に占める芯部の割合が低くなり、十分な赤外線吸収性能が得られなくなる。一方、芯成分のポリマーの複合比率が50質量%を越える複合繊維は、赤外線吸収剤を含有する芯部の割合が多くなるため繊維の柔軟性が乏しくなり、脆い繊維となり、製糸性や加工性が著しく悪化する。さらには、繊維の白度も劣るため衣料用には限定されるものとなる。
白度の指標としてはL*値で数値特性として確認できるが、85以上が良好な白度として確認でき、本発明の繊維は85以上の白度が得られる。
近年、可視光の少ない状態での被写体の撮影を可能にするカメラの開発が進み、高性能な赤外線カメラが実用化されているが、身体にフィットしたユニホームを着用したスポーツ競技選手の活躍を赤外線カメラで撮影する行為に対しては、透撮を防止するために赤外線を透過させないユニホームの開発が切望され、赤外線領域の吸収が高い本発明の繊維が利用できる。
得られた芯鞘型複合繊維を筒編地とし、次のようにして保温性能評価を測定した。日立製作所製自記分光光度計U−3400を用い、布帛の800〜1600nmの波長の赤外線吸収率及び赤外線透過率を測定した。吸収率及び透過率の値により下記に示すように評価を行い、吸収率及び透過率の評価が「○」以上を合格とした。
<赤外線吸収率の評価>
◎:45%以上
○:35%以上、45%未満
△:25%以上、35%未満
×:25%未満
<赤外線透過率の評価>
○:12%未満
△:12以上、18%未満
×:18%以上
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価した。
◎:毛羽、断糸の発生なく良好
○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
△:断糸1〜2回発生
×:断糸が3回以上発生
48フィラメントを500〜1000T/mの撚りをかけ、そのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を電子顕微鏡で500倍に拡大して観察した。切断箇所を10ヶ所について、下記の基準により評価した。
◎:剥離程度が1割未満の場合
○:剥離程度が1割〜2割程度の場合
△:剥離程度が2割〜5割程度の場合
×:剥離程度が5割を超える場合
得られた芯鞘複合繊維糸条の筒編地を作製し、L*値を測定した。分光光度計コニカミノルタ社製「CM-3700A」を用いて、正反射処理:SCE、測定径:LAV(25.4mm)、UV条件:100%Full、視野:2°、主光源:C光源の条件で測定した。
芯成分はナイロン−6( 宇部興産社製「 1015B 」)に赤外線吸収剤として、表面をアンチモンドープした酸化錫(ATO)で被覆した二酸化チタン(石原産業社製「ET-521」)を20質量%練り込んだものを用い、一方、二酸化チタン0.5質量%含有したポリエチレンテレフタレート(PET)、固有粘度〔η〕=0.68を鞘成分とした。
赤外線吸収剤の添加量と、複合比率、断面形状の芯成分突起個数を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
芯成分のポリマー種類、鞘成分のポリマー種類を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
赤外線吸収剤を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に複合繊維を作製した。赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
断面形状の芯成分突起個数を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。
赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
芯成分ポリマー中の赤外線吸収剤添加量を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。 比較例1は赤外吸収剤の添加量が少なく、赤外線吸収性能及び透過率性能が不十分であった。比較例2は赤外吸収剤の添加量が多く、繊維化工程性が不良であった。
芯成分ポリマー種を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。芯成分ポリマーとしてPETを使用したため、赤外線吸収性能及び透過率性能が不十分であり、白度も不十分であった。
赤外線吸収剤種を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。アンチモンドープした酸化錫(ATO)粒子を使用したため、断面不良が多発し、繊維化工程性が不良であった。さらに白度も不十分であった。
断面形状の芯成分突起個数を、表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。芯成分の突起数が少なく性能に有効な凹凸と芯成分の表面積が少ないため、赤外線吸収性能及び透過率性能が不十分であり、さらに芯成分突起個数が少ないため、加工工程上での芯鞘界面剥離が多発し、耐剥離性に劣るものであった。
Claims (4)
- 芯成分が赤外線吸収剤を5〜25質量%含有するポリアミド系樹脂で、鞘成分がポリエステル系樹脂である複合繊維であって、以下、1)及び2)を満足する複合繊維。
1)該赤外線吸収剤が二酸化チタン又は酸化亜鉛の少なくとも一種の無機微粒子であり、該無機微粒子の表面がアンチモンドープ酸化錫(ATO)又は錫ドープ酸化インジウム(ITO)で被覆された微粒子であること
2)該複合繊維において、該赤外線吸収剤の含有率が1.0質量%〜12.5質量%であり、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足すること
2.5≦X/Y (1)
ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量比(複合比率) - 芯成分と鞘成分との質量比率が10:90〜50:50である請求項1に記載の複合繊維。
- ポリアミド系樹脂が、ナイロン−6、ナイロン−6,6及びナイロン−6/12からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂である請求項1又は2に記載の複合繊維。
- 請求項1〜3に記載の複合繊維を含む織編物。
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