JP2018090936A - 芯鞘複合繊維 - Google Patents

芯鞘複合繊維 Download PDF

Info

Publication number
JP2018090936A
JP2018090936A JP2016237513A JP2016237513A JP2018090936A JP 2018090936 A JP2018090936 A JP 2018090936A JP 2016237513 A JP2016237513 A JP 2016237513A JP 2016237513 A JP2016237513 A JP 2016237513A JP 2018090936 A JP2018090936 A JP 2018090936A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core component
fiber
composite fiber
ratio
outer peripheral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016237513A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6684697B2 (ja
Inventor
中塚 均
Hitoshi Nakatsuka
均 中塚
祥玄 小野木
Yoshiharu Onoki
祥玄 小野木
慎也 河角
Shinya Kawasumi
慎也 河角
貴志 池田
Takashi Ikeda
貴志 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2016237513A priority Critical patent/JP6684697B2/ja
Publication of JP2018090936A publication Critical patent/JP2018090936A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6684697B2 publication Critical patent/JP6684697B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)
  • Knitting Of Fabric (AREA)

Abstract

【課題】優れた保温性や白度を有し、製糸性や染色加工性が良好で、実着用上での複合成分間の界面剥離による筋等のトラブルがない繊維の提供。【解決手段】芯成分が赤外線吸収剤を5〜25質量%含有するポリアミド系樹脂で、鞘成分がポリエステル系樹脂である複合繊維であり、赤外線吸収剤が二酸化チタン又は酸化亜鉛の少なくとも一種の無機微粒子であり、無機微粒子の表面がアンチモンドープ酸化錫(ATO)又は錫ドープ酸化インジウム(ITO)で被覆され、複合繊維において、赤外線吸収剤の含有率が1.0%〜12.5質量%であり、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比が(1)式を満足する複合繊維。2.5≦X/Y・・(1)、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)、Y;複合繊維全体を1とする芯成分の質量比(複合比率)【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線吸収剤を含有するポリアミドを芯部に配した芯鞘型複合繊維であって、赤外線吸収効果を有し、白色性に優れ、優れた保温性と加工性を有する布帛を得ることができる芯鞘型複合繊維及び該芯鞘型複合繊維からなる織編物に関するものである。
従来の防寒衣料、スキー、スケート、登山等のスポーツ衣料等には、中綿を用いた三層構造の衣料を用いることが多かった。このような衣料は、表層、中綿、裏地の三層により構成され、中綿により空気保温層を作り保温性能を高めるものであるが、三層構造で構成される衣料は重く、自由な動きができずスポーティー性に欠けるものであった。
また、アルミニウムやクロム等の金属を布帛にコーティングした保温用布帛も知られているが、このような布帛を衣料用途に用いると、コーティングによるゴワつきがあり、柔軟性に欠けるという欠点があった。また、繰り返し使用することによりコーティングが剥がれ落ち、保温性能の低下も生じるものであった。
そこで、保温性を有する剤に金属酸化物系微粒子赤外線吸収剤として、アンチモンドープ酸化錫(ATO)や錫ドープ酸化インジューム(ITO)の粒子を有するポリエステル繊維が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この繊維中の粒子は白色が損なわれ灰色となるため、衣料用では限られた用途しか展開できなかった。さらに分散状態も悪く、十分な機能を得るための高添加が困難であった。
また、上記した問題点を解消するものとして、芯鞘複合繊維の芯部に炭化ジルコニウム、珪化ジルコニウム、酸化錫等の赤外線吸収性能を有する機能性無機粒子を配し、鞘部の熱可塑性樹脂で芯部を被覆した複合繊維が提案されている(特許文献2参照)。この複合繊維は、芯部に配した機能性無機微粒子の赤外線を吸収する効果によって、保温効果を発現させているが、微粒子の赤外線吸収率が悪く、さらに無機粒子を含有させた部分の表面積が小さいため、赤外線の吸収率が悪く十分な保温効果を得ることができなかった。
さらに、優れた赤外線吸収性能を有していながら、製糸性や加工性に優れる芯鞘型複合繊維とし、芯部の形状が突起部を有した異形断面形状をとる芯鞘型複合繊維が提案されている(特許文献3参照)。この複合繊維は芯成分がポリエステルであり、機能粒子の吸収率が悪く保温効果が不十分であった。
また、赤外線の吸収率を上げるために、繊維全体に機能性無機子を分散させると、製糸性や加工性が著しく悪くなるという欠点があるため、赤外線吸収剤を後加工により布帛に付着させる方法も提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、このような方法で得られた布帛は、洗濯を繰り返し行うことによって、布帛に付着した赤外線吸収剤が徐々に脱落し、赤外線吸収性能が低下するという問題があった。
特開2006−336151 特開平5−9804 特開2009−41137 特開2003−96663
本発明は、上記したような問題点を解決し、優れた赤外線吸収性能による保温性能を有するとともに、良好な製糸性かつ加工性を得ることができ、白度にも優れ衣料用に好適な芯鞘型複合繊維及び衣料用に好適な織編物を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、芯成分が赤外線吸収剤を5〜25質量%含有するポリアミド系樹脂で、鞘成分がポリエステル系樹脂である複合繊維であって、以下、1)及び2)を満足する複合繊維である。
1)該赤外線吸収剤が二酸化チタン又は酸化亜鉛の少なくとも一種の無機微粒子であり、該無機微粒子の表面がアンチモンドープ酸化錫(ATO)又は錫ドープ酸化インジウム(ITO)で被覆された微粒子であること
2)該複合繊維において、該赤外線吸収剤の含有率が1.0質量%〜12.5質量%であり、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足すること
2.5≦X/Y (1)
ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量比(複合比率)
また、前記芯成分と前記鞘成分との質量比率が10:90〜50:50であってもよく、前記ポリアミド系樹脂が、ナイロン−6、ナイロン−6,6及びナイロン−6/12からなる群より選ばれる 少なくとも1種以上の樹脂であってもよい。
さらに、本発明は前記複合繊維を含む織編物である。
本発明の芯鞘型複合繊維は、優れた赤外線吸収性能による保温性能を有するとともに、製糸性よくかつ良好な加工性得ることができ、白度にも優れていて、染色後には鮮明な発色性が得られる。このため、本発明の芯鞘型複合繊維を用いると、衣料用に好適な優れた保温性を有する織編物を得ることが可能となる。
本発明の繊維の複合断面形態の1例を示す断面写真
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の芯鞘型複合繊維は、製糸性や加工性をよくするため、芯部のポリマーに特定の赤外線吸収剤を含有させ、さらに芯部のポリマーをポリアミドにすることによって赤外線吸収性能が向上し優れた保温性を有する。本発明の繊維が優れた赤外線吸収性能を有する理由については定かではないが、ポリアミドは熱可塑性樹脂の中でもポリエステルやポリオレフィンに比べ、近赤外線領域の優れた吸収性能を示すことが知られており、アミド結合が特定な近赤外線波長に共鳴することで優れた吸収性能を有するとともに、該ポリアミド系樹脂中に赤外線吸収性能を有する無機粒子を含有させることで相乗効果が得られると推定している。また、本発明の繊維は鞘部のポリエステルが芯部のポリアミドを覆う芯鞘形状とするものである。鞘部のポリエステルは耐光性に優れており、白度の維持にも有効である。さらに後加工によって更に白度が向上する加工を施すことや加工時の取り扱い性が良好となる。また、製糸性や熱安定性、洗濯耐久性も優れている。
芯成分のポリマーは、ポリアミド系樹脂であれば特別に限定されるものでないが、例えば、ポリカプロラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−2,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカノメチレンアジパミド(ナイロン−10,6)、ポリドデカメチレンセバカミド(ナイロン−10,8)、あるいは、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート共重合体(ナイロン−6,6/6,10)、エチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート共重合体(ナイロン−6,6/6,10)などが挙げられる。
ポリアミドは、赤外線吸剤であるATOやITOと表面の濡れ性が良好で親和性が高いため、他の熱可塑性樹脂(特にポリエステル)に比べて、赤外線吸剤を樹脂中に高添加量で含有させることが可能であり、さらに分散性も優れるため、製糸性が優れ、安定的に赤外線吸収性能を発現させることができる。
これらのポリアミド類のなかでも、赤外線吸剤を高添加量で含有させた場合の分散性、紡糸性の観点から本発明に最も好適なものとして、ナイロン−6、ナイロン−6,6およびナイロン−6/12が挙げられる。
芯成分のポリマーは、ポリマー中に赤外線吸収剤を5〜25質量%含有し、中でも6〜20質量%含有が好ましく、7〜17質量%含有することがより好ましい。赤外線吸収剤の含有量が5質量%未満では、繊維中の含有量が少ないために十分な赤外線吸収効果が発現しなくなる。一方、含有量が25質量%を超えると、繊維中の含有量が多くなりすぎるため、粒子の分散が悪く繊維の柔軟性が乏しくなり、脆い繊維となり、製糸性や加工性が著しく悪化する。
本発明において芯成分に含有させる赤外線吸収剤は、金属酸化物微粒子の酸化チタン、あるいは酸化亜鉛の表面に、アンチモンドープ酸化錫(ATO)又はスズドープ酸化インジウム(ITO)をコーティングした微粒子であることが重要である。それによって、繊維に対して十分な白度と赤外線吸収性能を付与できるとともに、安定な製糸性、後工程の加工性に優れた繊維が得られる。
鞘成分のポリマーは、ポリエステルであれば特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を単独で用いてもよく、あるいは複数併用することもできる。また共重合ポリエステルであってもよく、共重合成分としては、イソフタル酸、5−アルカリイソフタル酸、3,3'−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸などの脂肪族ジカルボン酸、ジエチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,4シクロヘキサンジオールなどの脂肪族、脂環式ジオール、P-ヒドロキシ安息香酸などの共重合成分が挙げられる。
また、芯成分と鞘成分のポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、添加剤、艶消剤、制電剤、酸化防止剤等が含まれてもよい。
次に本発明において重要な要件である複合繊維の断面形状について詳述する。
本発明の複合繊維の断面形状は、例えば、図1の繊維断面写真に見られるような形態をしており、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列した状態で突起部が形成されていることが必要であり、突起部の数は、好ましくは15個以上、より好ましくは20個以上である。突起部の数が9個以下になると、複合成分間の界面剥離に対する抵抗が十分に得られにくくなる。
さらに重要なことは、芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比が(1)式を満足することが重要である。
2.5≦X/Y (1)
X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量比(複合比率)
芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比であるXは芯成分の複合比率により変化するが、(1)式が2.5以上であることが重要であり、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上である。
芯成分と鞘成分の質量複合比率が50:50である(すなわちYが0.5である)場合を例に挙げると、芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比であるXは、1.25以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.75以上である。X(L2/L1)が1.25以上のとき、芯成分と鞘成分の界面剥離を防止する効果が増大する。
本発明における界面剥離防止効果の作用機序は、複合成分の接着面積の増大と芯成分により形成される突起部のアンカー効果との相乗効果によるものと推察される。
さらに、突起数は剥離効果だけでなく、赤外線吸収性能が向上する効果がある。繊維中に突起による凹凸が存在することによって、赤外線の反射を抑制するとともに、赤外線吸収剤を含有する芯成分の表面積が増加することによって、赤外線吸収性能が向上するものと推定される。
鞘成分のポリマーと芯成分のポリマーの複合比率は90:10〜50:50(質量比)であることが好ましく、特に80:20〜60:40がより好ましく、各々の複合形態や繊維断面形状により適宜設定可能である。
芯成分のポリマーの複合比率が10質量%未満の場合は単糸に占める芯部の割合が低くなり、十分な赤外線吸収性能が得られなくなる。一方、芯成分のポリマーの複合比率が50質量%を越える複合繊維は、赤外線吸収剤を含有する芯部の割合が多くなるため繊維の柔軟性が乏しくなり、脆い繊維となり、製糸性や加工性が著しく悪化する。さらには、繊維の白度も劣るため衣料用には限定されるものとなる。
白度の指標としてはL*値で数値特性として確認できるが、85以上が良好な白度として確認でき、本発明の繊維は85以上の白度が得られる。
また複合繊維の断面形状は鞘成分のポリマーが繊維表面全体を覆う必要はなく、鮮やかな発色性を有するには、繊維表面の90%以上が鞘成分ポリマーであることが好ましく、特に芯鞘型複合繊維が鮮やかな発色性を示すことと繊維強度を得る観点から100%被覆していることがより好ましい。
本発明においては、鞘成分のポリマーとして前記のようなポリエステルを使用することによって美しい白や染色によって鮮やかな発色性が得られるが、スポーツ衣料用途にかかる繊維を用いる場合、発色性のみならず艶消し、紫外線カット性能も併せ持つことが要求されている。通常、紫外線カット性能や艶消しを有する繊維は発色性が低下し、逆に発色性を優先させると紫外線カット性能を付与することが難しいが、本発明の繊維では、鞘成分でなく芯成分に酸化チタンや酸化亜鉛からなる微粒子を用いていることから、発色性と紫外線カット性能の両方を有している。
上記した複合繊維においては、繊維の太さは特に限定されず、任意の太さにすることができるが、発色性、光沢感、風合に優れた繊維を得るためには複合繊維の単繊維繊度を0.3〜11dtex程度にしておくのが好ましい。また、長繊維のみならず短繊維でも本発明の効果が期待される。
次に、本発明の芯鞘型複合繊維の製造方法について説明する。赤外線吸収剤を含有する芯成分のポリマーを得る方法としては、ポリマーの重合段階で赤外線吸剤を添加する方法や、赤外線吸収剤を後工程でポリマーに添加して溶融混練する方法があるが、重合段階で赤外線吸収剤を添加した場合、赤外線吸収剤の凝集や製糸性の悪化を生じる場合があるため、後工程で溶融混練する方法が好ましい。
本発明の複合繊維の製造方法は、赤外線吸収剤を添加したポリアミド系樹脂(芯成分)とポリエステル系樹脂(鞘成分)を別の押出機で溶融押出し紡糸ヘッドに導入する。押出機からヘッドまでのゾーン温度を別々であるためにそれぞれのポリマーの適正温度で行い、紡糸ヘッド温度を芯成分と鞘成分の高融点側に合わせて、高融点側の融点+20℃から30℃高めに設定する。さらに複合紡糸装置を用いノズル導入口へ芯成分のポリマーと鞘成分ポリマーの複合流を導入するに際し、芯成分からなる突起部の数に相当する数の細孔が設けられた分流板から芯成分のポリマーを流し、それぞれの細孔から流れる芯成分の流れ全体を鞘成分ポリマーで覆いながら、複合流を導入口の中心に向けて導入しノズルより吐出させることにより製造することができる。この場合の溶融紡出速度などは、溶融紡出速度(溶融紡出量)を約20〜50g/紡糸孔1mm・分程度とすると、品質の良好な複合繊維を良好な紡糸工程性で得ることができるので好ましい。
また、紡糸口金における紡糸孔の大きさや数、紡糸孔の形状などは、目的とする芯鞘複合繊維の単繊維繊度、トータルデニール、断面形状などに応じて調節することができるが、紡糸孔(単孔)の大きさを0.018〜0.07mm程度にしておくのが望ましい。
そして、上記によって溶融紡出した複合繊維を、一旦複合2成分ポリマーのうち鞘成分のガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却する。この場合の冷却方法や冷却装置としては、紡出した複合繊維をそのガラス転移温度以下に冷却できる方法や装置であればいずれでもよく特に制限されないが、紡糸口金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を設けておいて、紡出されてきた複合繊維に冷却風を吹き付けてガラス転移温度以下に冷却するようにすることが好ましい。
その際に冷却風の温度や湿度、冷却風の吹き付け速度、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け角度などの冷却条件は、口金から紡出されてきた複合繊維を繊維の揺れなどを生じないようにしながら速やかに且つ均一にガラス転移温度以下にまでに冷却できる条件であればよい。そのうちでも、冷却風の温度を約20〜30℃、冷却風の湿度を20〜60%、冷却風の吹き付け速度を0.4〜1.0m/秒程度として、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして紡出した複合繊維の冷却を行うのが、高品質の複合繊維を円滑に得ることができるので好ましい。また、冷却風吹き付け筒を用いて前記の条件下で冷却を行う場合は、紡糸口金の直下にやや間隔をあけてまたは間隔をあけないで、長さが80〜160cm程度の冷却風吹き付け筒を配置するのが好ましい。
本発明の芯鞘型複合繊維は、紡糸速度が2000m/分以上の高速紡糸により、半未延伸糸を得るPOY法、あるいは、一旦2000m/分未満の低速紡糸または2000m/分以上の高速紡糸で溶融紡糸し、一旦巻き取った後、別工程で糸条を延伸熱処理する方法、一旦巻き取ることなく続いて延伸を行う直接紡糸延伸法により得ることができる。
以上のようにして得られる本発明の繊維は、各種繊維集合体(繊維構造物)として用いることができる。ここで繊維集合体とは、本発明の繊維単独よりなる織編物、不織布はもちろんのこと、本発明の繊維を一部に使用してなる織編物や不織布、例えば、天然繊維、化学繊維、合成繊維など他の繊維との交編織布、あるいは混紡糸、混繊糸として用いた織編物、混綿不織布などであってもよいが、織編物や不織布に占める本発明繊維の割合は10質量%以上、好ましくは30質量%以上であることが好ましい。
本発明の繊維の主な用途は、長繊維においては単独で又は一部に使用して織編物等を作成し、良好な風合を発現させた衣料用素材とすることができる。さらに、本発明の織編物は遮熱性、防透性、紫外線カット性能、透撮防止が要求される織編物に対しても優れた素材である。
近年、可視光の少ない状態での被写体の撮影を可能にするカメラの開発が進み、高性能な赤外線カメラが実用化されているが、身体にフィットしたユニホームを着用したスポーツ競技選手の活躍を赤外線カメラで撮影する行為に対しては、透撮を防止するために赤外線を透過させないユニホームの開発が切望され、赤外線領域の吸収が高い本発明の繊維が利用できる。
一方、短繊維においては衣料用ステープル、乾式不織布および湿式不織布等があり、衣料用のみならず各種リビング資材、産業資材等の非衣料用途にも好適に使用することができる。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものでない。
1.保温性能評価
得られた芯鞘型複合繊維を筒編地とし、次のようにして保温性能評価を測定した。日立製作所製自記分光光度計U−3400を用い、布帛の800〜1600nmの波長の赤外線吸収率及び赤外線透過率を測定した。吸収率及び透過率の値により下記に示すように評価を行い、吸収率及び透過率の評価が「○」以上を合格とした。
<赤外線吸収率の評価>
◎:45%以上
○:35%以上、45%未満
△:25%以上、35%未満
×:25%未満
<赤外線透過率の評価>
○:12%未満
△:12以上、18%未満
×:18%以上
2.繊維化工程性
100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価した。
◎:毛羽、断糸の発生なく良好
○:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる
△:断糸1〜2回発生
×:断糸が3回以上発生
3.耐剥離性
48フィラメントを500〜1000T/mの撚りをかけ、そのままの状態で糸条を切断し、切断面のフィラメントの剥離状態を電子顕微鏡で500倍に拡大して観察した。切断箇所を10ヶ所について、下記の基準により評価した。
◎:剥離程度が1割未満の場合
○:剥離程度が1割〜2割程度の場合
△:剥離程度が2割〜5割程度の場合
×:剥離程度が5割を超える場合
4.L*値(白度評価)
得られた芯鞘複合繊維糸条の筒編地を作製し、L*値を測定した。分光光度計コニカミノルタ社製「CM-3700A」を用いて、正反射処理:SCE、測定径:LAV(25.4mm)、UV条件:100%Full、視野:2°、主光源:C光源の条件で測定した。
(実施例1)
芯成分はナイロン−6( 宇部興産社製「 1015B 」)に赤外線吸収剤として、表面をアンチモンドープした酸化錫(ATO)で被覆した二酸化チタン(石原産業社製「ET-521」)を20質量%練り込んだものを用い、一方、二酸化チタン0.5質量%含有したポリエチレンテレフタレート(PET)、固有粘度〔η〕=0.68を鞘成分とした。
芯成分と鞘成分の複合比率(質量比率)30:70の条件で、紡糸温度290℃、巻取り速度3000m/分で溶融複合紡糸し、図1に示すような断面形状の複合フィラメント糸284dtex/48フィラメントで紡出した後、この未延伸糸を83℃の熱ローラ及び140℃の熱プレートに接触させ、延伸倍率1.7倍で延伸することにより、167dtex/48fの複合繊維を得た。この複合繊維の芯成分の突起部の個数は30個であり、芯成分の外周長(L2)と複合繊維の外周長(L1)との比L2/L1=4.0(X/Y=13.3)であり、強度は3.5cN/dtexであった。ついで筒編物を作製し、赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を調査した。結果を表1に示す。
(実施例2〜3)
赤外線吸収剤の添加量と、複合比率、断面形状の芯成分突起個数を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
(実施例4〜6)
芯成分のポリマー種類、鞘成分のポリマー種類を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
(実施例7)
赤外線吸収剤を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に複合繊維を作製した。赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
(実施例8)
断面形状の芯成分突起個数を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。
赤外線吸収率、赤外線透過率、耐剥離性及び白度の評価結果を表1に示す。いずれも繊維化工程性は良好であり、優れた性能を有していた。
(比較例1〜2)
芯成分ポリマー中の赤外線吸収剤添加量を表1に示すように変更すること以外は、実施例1と同様に実施した。 比較例1は赤外吸収剤の添加量が少なく、赤外線吸収性能及び透過率性能が不十分であった。比較例2は赤外吸収剤の添加量が多く、繊維化工程性が不良であった。
(比較例3)
芯成分ポリマー種を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。芯成分ポリマーとしてPETを使用したため、赤外線吸収性能及び透過率性能が不十分であり、白度も不十分であった。
(比較例4)
赤外線吸収剤種を表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。アンチモンドープした酸化錫(ATO)粒子を使用したため、断面不良が多発し、繊維化工程性が不良であった。さらに白度も不十分であった。
(比較例5)
断面形状の芯成分突起個数を、表1に示すように変更すること以外は実施例1と同様に実施した。芯成分の突起数が少なく性能に有効な凹凸と芯成分の表面積が少ないため、赤外線吸収性能及び透過率性能が不十分であり、さらに芯成分突起個数が少ないため、加工工程上での芯鞘界面剥離が多発し、耐剥離性に劣るものであった。
本発明の芯鞘複合繊維は、芯成分に特定の赤外線吸収剤を含んだポリアミド系樹脂からなり、凹凸断面形状によって赤外線吸収性能、保温性、紫外線カット性能、赤外線カメラによる透撮防止性能、優れた白度や染色後の鮮やかな発色性をも有している。このため、本発明の芯鞘複合繊維を用いると、衣料用に好適な優れた白度と保温性を有する織編物を得ることができる。

Claims (4)

  1. 芯成分が赤外線吸収剤を5〜25質量%含有するポリアミド系樹脂で、鞘成分がポリエステル系樹脂である複合繊維であって、以下、1)及び2)を満足する複合繊維。
    1)該赤外線吸収剤が二酸化チタン又は酸化亜鉛の少なくとも一種の無機微粒子であり、該無機微粒子の表面がアンチモンドープ酸化錫(ATO)又は錫ドープ酸化インジウム(ITO)で被覆された微粒子であること
    2)該複合繊維において、該赤外線吸収剤の含有率が1.0質量%〜12.5質量%であり、芯成分は鞘成分との界面において、10個以上配列する突起部を形成しており、かつ芯成分の外周長(L2)と該複合繊維の外周長(L1)との比が下記(1)式を満足すること
    2.5≦X/Y (1)
    ここで、X;芯成分の外周長と複合繊維の外周長との比(L2/L1)
    Y;複合繊維全体を1としたときの芯成分の質量比(複合比率)
  2. 芯成分と鞘成分との質量比率が10:90〜50:50である請求項1に記載の複合繊維。
  3. ポリアミド系樹脂が、ナイロン−6、ナイロン−6,6及びナイロン−6/12からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の樹脂である請求項1又は2に記載の複合繊維。
  4. 請求項1〜3に記載の複合繊維を含む織編物。
JP2016237513A 2016-12-07 2016-12-07 芯鞘複合繊維 Active JP6684697B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016237513A JP6684697B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 芯鞘複合繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016237513A JP6684697B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 芯鞘複合繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018090936A true JP2018090936A (ja) 2018-06-14
JP6684697B2 JP6684697B2 (ja) 2020-04-22

Family

ID=62563475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016237513A Active JP6684697B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 芯鞘複合繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6684697B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109537129A (zh) * 2018-11-19 2019-03-29 刘华文 一种远红外派丝特纤维家纺内衣面料
CN111058180A (zh) * 2019-12-30 2020-04-24 福建省锋源盛纺织科技有限公司 一种高强度网布及其制备方法
WO2022138512A1 (ja) 2020-12-24 2022-06-30 共同印刷株式会社 タングステン系赤外線吸収性顔料分散液、染色液、繊維製品、及び繊維製品の処理方法
TWI830258B (zh) * 2022-06-17 2024-01-21 立綺實業有限公司 芯鞘纖維及其織物

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005350828A (ja) * 2004-06-14 2005-12-22 Toray Ind Inc 機能性織物
JP2009041137A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Nippon Ester Co Ltd 芯鞘型複合繊維
JP2013036131A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル芯鞘複合繊維
JP2013170335A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル芯鞘複合繊維
JP2014234579A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 日本エステル株式会社 マルチフィラメント糸及びその織編物
JP2016069765A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 日本エステル株式会社 機能性繊維糸
JP2016069785A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 Kbセーレン株式会社 芯鞘型複合繊維
WO2016129467A1 (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 東レ株式会社 芯鞘複合繊維およびスリット繊維ならびにそれら繊維の製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005350828A (ja) * 2004-06-14 2005-12-22 Toray Ind Inc 機能性織物
JP2009041137A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Nippon Ester Co Ltd 芯鞘型複合繊維
JP2013036131A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル芯鞘複合繊維
JP2013170335A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル芯鞘複合繊維
JP2014234579A (ja) * 2013-06-04 2014-12-15 日本エステル株式会社 マルチフィラメント糸及びその織編物
JP2016069765A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 日本エステル株式会社 機能性繊維糸
JP2016069785A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 Kbセーレン株式会社 芯鞘型複合繊維
WO2016129467A1 (ja) * 2015-02-13 2016-08-18 東レ株式会社 芯鞘複合繊維およびスリット繊維ならびにそれら繊維の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109537129A (zh) * 2018-11-19 2019-03-29 刘华文 一种远红外派丝特纤维家纺内衣面料
CN111058180A (zh) * 2019-12-30 2020-04-24 福建省锋源盛纺织科技有限公司 一种高强度网布及其制备方法
CN111058180B (zh) * 2019-12-30 2021-08-10 福建省锋源盛纺织科技有限公司 一种高强度网布及其制备方法
WO2022138512A1 (ja) 2020-12-24 2022-06-30 共同印刷株式会社 タングステン系赤外線吸収性顔料分散液、染色液、繊維製品、及び繊維製品の処理方法
KR20230105344A (ko) 2020-12-24 2023-07-11 교도 인사쯔 가부시키가이샤 텅스텐계 적외선 흡수성 안료 분산액, 염색액, 섬유 제품, 및 섬유 제품의 처리 방법
TWI830258B (zh) * 2022-06-17 2024-01-21 立綺實業有限公司 芯鞘纖維及其織物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6684697B2 (ja) 2020-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6684697B2 (ja) 芯鞘複合繊維
JP4917992B2 (ja) 芯鞘型複合繊維
TW200819566A (en) Electrically-conductive core-sheath type composite fiber and production method thereof
TWI413715B (zh) 含有複合纖維之紗線
JP2004011032A (ja) 温度コントロール繊維、および温度コントロール布部材
JP4363700B2 (ja) 複合紡績糸およびそれを用いてなる布帛
JP5735377B2 (ja) 芯鞘型ポリエステル扁平断面繊維、および防透性を有する布帛
JP5235579B2 (ja) 水着用裏地及びインナー
WO2015182088A1 (ja) ポリアミド繊維およびこれを用いた繊維構造物、並びに衣類
JP7332693B2 (ja) 導電性複合繊維およびそれを用いた繊維構造物
JP5297331B2 (ja) 芯鞘型複合繊維
JPH04209824A (ja) 可染性ポリオレフィン繊維及びその製造方法
JP2011157646A (ja) ポリエステル極細繊維
JP5777391B2 (ja) インテリア内装材
JP5774820B2 (ja) 異形異繊度混繊糸
JP2006200061A (ja) 異形断面糸及び芯鞘型異形断面糸
JP2009299209A (ja) 芯鞘型複合長繊維
JP2019007096A (ja) ポリエステル系複合繊維及び繊維集合体
JP6360318B2 (ja) 複合結束紡績糸及びそれを用いてなる布帛
JP2001140123A (ja) 白色井型断面中空繊維
JP6359869B2 (ja) 作業手袋
JP2007231452A (ja) 複合繊維
JP2014210989A (ja) 細繊度異型中空短繊維、これを用いてなる紡績糸、織編物、及び細繊度異型中空繊維の製造方法
JP3296859B2 (ja) 蓄熱保温性繊維
JP3784706B2 (ja) 多芯複合繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190530

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200330

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6684697

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150