JP6684591B2 - 魚介肉そぼろの製造方法及び魚介肉そぼろ - Google Patents

魚介肉そぼろの製造方法及び魚介肉そぼろ Download PDF

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Description

本発明は、魚介肉そぼろの製造方法及び魚介肉そぼろに関する。本発明によれば、良好な外観、風味、及び食感を有し、そして製造が容易な魚介肉そぼろを提供することができる。また、本発明は、前記魚介肉そぼろを含有するレトルト食品の製造方法及びレトルト食品にも関する。
パスタソース、ホワイトソース、トマトソース、デミグラスソース、シチュー、又はカレーなどのソースにレトルト処理を施したレトルトソースは、常温で長期間保存でき、単に温めるだけで簡便に喫食することが可能であり、近年、その需要が増加している。
レトルト殺菌は、例えば100〜130℃の温度で、数分〜数十分程度の熱水又は蒸気処理を行う。レトルト殺菌は高温・高圧で行われるため、畜肉又は魚介肉など具材の肉質に与える影響は非常に大きい。高温・高圧でレトルト殺菌を行うことで、タンパク質が過剰に変性してしまい、タンパク質を含有する食品は食感が非常に硬くなり、またぱさぱさですじっぽいものとなりさらに味抜けがするという欠点があった。
特開2010−22364号公報
本発明者らは、魚介肉並びにそぼろ状の魚介つみれや魚介団子においては、レトルト殺菌後の風味及び食感の劣化が顕著に見受けられる傾向があることを発見した。本発明の目的は、レトルト殺菌を経た後においても外観、風味、及び食感を損なうことがなく、良好な外観、風味、及び食感を有し、そして製造が容易である魚介肉そぼろを提供することである。また、本発明の別の目的は、レトルト殺菌を経た後でも外観、風味、及び食感を損なうことがなく、良好な外観、風味、及び食感を有し、そして製造が容易である魚介肉そぼろの製造方法を提供することである。また、本発明の別の目的は、前記魚介肉そぼろを含有するレトルト食品を提供することである。また、本発明の別の目的は、前記魚介肉そぼろを含有するレトルト食品の製造方法を提供することである。
本発明者らは、レトルト殺菌を経た後でも外観、風味、及び食感を損なうことがなく、良好な外観、風味、及び食感を有し、そして製造が容易である魚介肉そぼろについて、鋭意研究した。その結果、驚くべきことに、原料としてイカの肉及び魚類の肉を使用し、そして、魚介肉由来ペーストを加熱撹拌する工程において、品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して製造した魚介肉そぼろを用いることによって、レトルト殺菌を経た後でも良好な外観、風味、及び食感を有し、製造が容易である魚介肉そぼろが得られることを見出した。本発明の魚介肉そぼろは、レトルト殺菌工程を経た後においても外観、風味、及び食感を損なうことがなく、そして従来の魚介肉そぼろを製造するために必要な成形工程を省略することが可能となる。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](1)イカの肉及び魚類の肉の重量比が99:1〜5:95である魚介肉由来ペーストを撹拌機内に投入し、品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して魚介肉そぼろを提供する加熱撹拌工程を含む、魚介肉そぼろの製造方法、
[2]前記工程(1)の前に、(2)イカの肉及び魚類の肉を粉砕し、前記魚介肉由来ペーストを提供する魚介肉粉砕工程を含む、[1]に記載の魚介肉そぼろの製造方法、
[3]前記魚類の肉が、白身魚の肉である、[1]又は[2]に記載の魚介肉そぼろの製造方法、
[4]前記イカの肉及び魚類の肉の重量比が、75:25〜25:75である、[1]〜[3]のいずれかに記載の魚介肉そぼろの製造方法、
[5]前記工程(1)の後に、(3)前記魚介肉そぼろの温度を50℃未満に低下させる冷却工程をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の魚介肉そぼろの製造方法、
[6](4)[1]〜[5]のいずれかに記載の魚介肉そぼろの製造方法により製造される魚介肉そぼろ及びレトルト用調味ソースをレトルト容器に充填する充填工程と、(5)前記魚介肉そぼろ及びレトルト用調味ソースを充填したレトルト容器をレトルト殺菌するレトルト殺菌工程と、をさらに含む、魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法、
[7]魚介肉そぼろ含有レトルト食品が、パスタソース、カレーソース、トマトソース、ハヤシソース、コンソメスープ、ポタージュスープ、シチューソース、ミネストローネ、コーンスープ、ブイヨンスープ、和風スープ、中華ソース、又は調理用ソースである、[6]に記載の魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法、
[8][1]〜[5]のいずれかに記載の魚介肉そぼろの製造方法により製造される、魚介肉そぼろ、及び
[9][6]又は[7]に記載の魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法により製造される、魚介肉そぼろ含有レトルト食品
に関する。
本発明の魚介肉そぼろの製造方法によれば、原料としてイカの肉及び魚類の肉を使用し、そして、魚介肉そぼろを製造する工程において、品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して製造した魚介肉そぼろを用いることによって、レトルト殺菌を経た後でも良好な外観、風味、及び食感を有する魚介肉そぼろを製造することができる。また、原料としてイカの肉及び魚類の肉を使用し、そして、魚介肉そぼろを製造する工程において、品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して製造した魚介肉そぼろをレトルト食品に用いることによって、従来の魚介肉そぼろを製造するために必要な成形工程を省略することが可能となる。
本発明の魚介肉そぼろの写真である。 図1の魚介肉そぼろの一部を取り出して撮影した写真である。 本発明の魚介肉そぼろを含有するレトルト食品の写真である。
[1]魚介肉そぼろの製造方法
(1)(加熱撹拌工程)
本発明の魚介肉そぼろの製造方法においては、イカの肉及び魚類の肉の重量比が99:1〜5:95である魚介肉由来ペーストを撹拌機内に投入し、品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して魚介肉そぼろを提供する加熱撹拌工程を行う。加熱しながら撹拌を行うことにより、魚介肉由来ペーストのタンパク質が凝固し、そぼろ状の肉を得ることができる。
(イカの肉)
イカの肉は、一般的なレトルト食品において加熱により収縮又は硬化して食感が悪くなり、商品価値を著しく低下させることがある。本発明の魚介肉そぼろの製造方法において、イカとしては、例えば、ツツイカ目のイカ又はコウイカ目のイカを使用することができる。ツツイカ目のイカとしては、例えば、アオリイカ、スミイカ、スルメイカ、ヤリイカ、アカイカ、ケンサキイカ、ジンドウイカ、ソデイカ、タコイカ、ドスイカ、トビイカ、ベイカ、又はホタルイカを使用することができる。コウイカ目のイカとしては、コウイカ、モンゴウイカ、カミナリイカ、シリヤケイカ、コブシメ、トラフコウイカ、ウスベニコウイカ、テナガコウイカ、ヒメコウイカ、ミミイカ、又はボウズイカを使用することができる。好ましいイカは、アカイカ又はスルメイカである。イカの肉は、常温のもの、冷蔵のもの、又は冷凍のものを使用することができる。イカの肉は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
イカの肉を用いることにより、レトルト後においても良好な外観、風味、及び食感を有する魚介肉そぼろを製造することができる。
(魚類の肉)
魚類は、例えば、白身魚及び赤身魚を使用することができる。白身魚としては、例えば、メカジキ、金目鯛、マカジキ、イサキ、カレイ、カサゴ、キス、コチ、紅サケ、タイ、マタラ、スケソウダラ、ヒラメ、メジナ、ハゼ、ハモ、メバル、イシダイ、アナゴ、サワラ、ウナギ、銀サケ、タチウオ、ニジマス、ムツ、クロダイ、アマダイ、サメ、ナマズ、ホキ、アブラガレイ、バサ、メルルーサ、又はスズキなどを使用することができる。赤身魚としては、例えば、マサバ、ブリ、マアジ、カツオ、マイワシ、サンマ、ニシン、イナダ、又はハマチなどを使用することもできる。好ましい魚類は、白身魚である。さらに好ましい魚類は、スケソウダラ及びバサである。魚類の肉は、常温のもの、冷蔵のもの、又は冷凍のものを使用することができる。魚類の肉は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
(イカの肉及び魚類の肉の重量比)
イカの肉及び魚類の肉の重量比は、99:1〜5:95であり、好ましくは、95:5〜5:95、より好ましくは75:25〜25:75、さらに好ましくは75:25〜50:50である。イカの肉及び魚類の肉をそれぞれ単独で使用して魚介肉そぼろを製造しても、そぼろ状の肉は得られず、本発明の効果は得られない。本発明の効果を得るためには、イカの肉及び魚類の肉の両方を含む魚介肉由来ペーストを使用する必要がある。
(魚介肉由来ペースト)
魚介肉由来ペーストとは、イカの肉及び魚類の肉を十分に粉砕し、ペースト状になっているものを意味する。魚介肉由来ペーストは、魚介肉粉砕工程により提供されたものを使用してもよく、又は他の製造業者が提供したものを購入して使用してもよい。イカの肉及び魚類の肉を同じ粉砕機で同時に粉砕し、魚介肉由来ペーストとすることもできる。イカの肉及び魚類の肉を別々に粉砕し、後で混ぜ合わせて魚介肉由来ペーストとすることもできる。
魚介肉由来ペーストは、イカ及び魚類以外の魚介類、例えば、貝類(例えば、アサリ、シジミ、ハマグリ、アワビ、サザエ、ホタテ、カキ)、頭足類(例えば、タコ)、又は甲殻類(例えば、エビ、カニ)の肉を追加で含有することができる。これらのイカ及び魚類以外の魚介類の肉の含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されないが、イカの肉及び魚類の肉100質量部に対して0〜95質量部、好ましくは0〜50質量部、さらに好ましくは0〜25質量部であることができる。これらのイカ及び魚類以外の魚介類の肉の含有量は、イカの肉及び魚類の肉の含有量に対して最大で95%であることができる。さらに、魚介肉由来ペーストは、イカの肉及び魚類の肉以外のその他の食用の物質、例えば油、水、調味料、香辛料、酒類、香料などを含むこともできる。
イカの肉を単体ですり潰したペーストに関してペースト状とは、例えば、イカの肉を単体ですり潰した12.2gに対して水7.8gを添加してよく撹拌して全体で20gとし、試験用ふるいに関する規格JIS8801−1において目開きが4.0mmのふるいに乗せ20秒間ヘラで濾した場合に、前記メッシュの各々の線径最上端より上方に具材が残らない状態を意味する。
魚類の肉を単体ですり潰したペーストに関してペースト状とは、例えば、魚類の肉を単体ですり潰したペースト12.2gに対して水7.8gを添加してよく撹拌して全体で20gとし、試験用ふるいに関する規格JIS8801−1において目開きが6.7mmのふるいに乗せ20秒間ヘラで濾した場合に、前記メッシュの各々の線径最上端より上方に具材が残らない状態を意味する。
魚介肉由来ペーストに関してペースト状とは、例えば、魚介肉由来ペースト12.2gに対して水7.8gを添加してよく撹拌して全体で20gとし、試験用ふるいに関する規格JIS8801−1において目開きが6.7mmのふるいに乗せ20秒間ヘラで濾した場合に、前記メッシュの各々の線径最上端より上方に具材が残らない状態を意味する。
(2)(加熱撹拌工程)
本発明の魚介肉そぼろの製造方法においては、前記魚介肉由来ペーストを撹拌機内に投入し、品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して魚介肉そぼろを提供する加熱撹拌工程を行う。加熱しながら撹拌を行うことにより、魚介肉由来ペーストのタンパク質が凝固し、そぼろ状の肉を得ることができる。
(加熱撹拌)
撹拌機としては、魚介肉由来ペーストを撹拌できるものであれば、特に限定されないが、ニーダー又はブレンダーなどを使用することができる。撹拌時の品温は、50℃〜100℃、好ましくは50℃〜80℃、より好ましくは60℃〜70℃で行うことができる。撹拌時間は、魚介肉由来ペーストを撹拌することができれば、特に限定されないが、1分〜10分、より好ましくは3分〜8分、さらに好ましくは5分〜8分行うことができる。撹拌機の回転刃の速度は、魚介肉由来ペーストを撹拌することができれば、特に限定されないが、10rpm〜60rpm、好ましくは10rpm〜50rpm、さらに好ましくは10rpm〜40rpm、さらに好ましくは10rpm〜30rpmで行うことができる。加熱撹拌の際に、撹拌機に魚介肉由来ペースト以外の食用の物質、例えば油、水、調味料、香辛料、酒類、香料などを投入することもできる。最初は加熱せずに撹拌を行い、撹拌の途中から加熱撹拌を行うこともできる。
(魚介肉そぼろ)
本発明の魚介肉そぼろは、イカの肉及び魚類の肉を粉砕してペースト状にし、そして品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して製造することにより、レトルト殺菌を経た後でも、良好な外観、風味、及び食感を有することが可能となる。
良好な外観、風味、及び食感とは、例えば、外見上は具材感があり、レトルトによる加熱臭の付加などの風味の劣化がなく、そして柔らかく噛めばすぐほぐれることを意味する。
魚介肉そぼろは、100粒以上の計測において、最大長さ1〜20mmの魚介肉そぼろが全ての魚介肉そぼろの80質量%以上を占めることが好ましく、最大長さ3〜10mmの魚介肉そぼろが全ての魚介肉そぼろの80質量%以上を占めることがさらに好ましい。
従来の魚介つみれや魚介団子では、澱粉及び卵黄などの原料をつなぎとして使用しているが、本発明の魚介肉そぼろにおいては、イカの肉及び魚類の肉を一定の割合で含むことにより、つなぎを使用しなくとも魚介肉そぼろを製造することが可能となる。
さらに、従来の蒲鉾やはんぺんは、魚類の肉をすり潰したペーストに塩を添加して撹拌する塩ずり工程を含んでいる。塩分によって筋原繊維タンパク質の主成分であるミオシンが溶け、このミオシンが筋原繊維タンパク質のもう一つの主成分タンパク質であるアクチンと結合して、アクトミオシンを生成する。このアクトミオシンの生成により、魚類の肉に粘弾性が付与され、良好な食感を形成するのである。しかしながら、本発明の魚介肉そぼろの製造では、この塩ずり工程を省略しても、良好な食感を有する魚介肉そぼろを製造することが可能である。
さらに、従来の魚介つみれや魚介団子の製造では成形工程を含むが、本発明の魚介肉そぼろの製造では、成形工程もまた省略することが可能である。
(2)(魚介肉粉砕工程)
本発明の魚介肉そぼろの製造方法においては、魚介肉由来ペーストを提供する魚介肉粉砕工程を行う。
(粉砕)
粉砕機は、イカの肉及び魚類の肉を粉砕してペースト状にできるものであれば、特に限定されないが、カッターミキサー、コミトロール、又はグラインダーなどを使用することができる。粉砕機の回転刃の速度は、イカの肉及び魚類の肉を粉砕してペースト状にすることができれば、特に限定されないが、100rpm〜10000rpm、好ましくは500rpm〜5000rpm、さらに好ましくは500rpm〜4000rpm、さらに好ましくは1800rpm〜3600rpmで行うことができる。粉砕時間は、イカの肉及び魚類の肉を粉砕してペースト状にできることができれば、特に限定されないが、0.5分〜10分、より好ましくは1分〜5分、さらに好ましくは1.2分〜2分行うことができる。
(3)(冷却工程)
本発明の製造方法は、好ましくは、加熱撹拌工程の後に、魚介肉そぼろの温度を50℃未満に低下させる冷却工程をさらに含む。加熱撹拌工程の後に、魚介肉そぼろの温度を50℃未満に低下させる冷却工程をさらに含むことにより、さらに柔らかく、さらに食感のよい魚介肉そぼろを製造することが可能となる。冷却工程における魚介肉そぼろの温度は、好ましくは40℃未満、より好ましくは30℃未満、さらに好ましくは20℃未満とすることができる。
[2]魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法
(4)(充填工程)
本発明の魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法は、前記魚介肉そぼろ及びレトルト用調味ソースをレトルト容器に充填する充填工程を含む。魚介肉そぼろの充填及びレトルト用調味ソースの充填を同時に行うことができ、また、別々に行うこともできる。好ましくは、魚介肉そぼろの充填及びレトルト用調味ソースの充填を同時に行う。
(レトルト容器)
本発明の魚介肉そぼろ含有レトルト食品に用いる容器は、前記魚介肉そぼろ及びレトルト用調味ソースを収容して密封包装し、殺菌などのために加熱処理したり、あるいはレトルト殺菌処理したりすることができるものであればよく、材質も特に限定されず、例えば金属、ガラス、セラミック、プラスチック、これらの2つ以上の組み合わせなど、いずれも使用できる。容器の形態や大きさなども特に限定されず、袋、瓶、又はトレーなどの形態の容器を使用できる。特に、包装袋は好ましく、耐熱性合成樹脂フィルム及び/又は金属箔のラミネート材からなるプラスチック袋などのガスバリヤー性耐熱容器包装体が更に好ましい。
ガスバリヤー性耐熱容器包装体は、耐熱性合成樹脂フィルム及び/又は金属箔のラミネート材からなるプラスチック袋である。例えば、塩化ビニリデンフィルムを中間層とし、上下層には、ポリプロピレンを積層したプラスチック袋や(PET/ナイロン/ポリプロピレン系シーラント)からなる積層プラスチック袋などを挙げることができる。
(5)(レトルト殺菌工程)
本発明の魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法は、魚介肉そぼろ及びレトルト用調味ソースを充填したレトルト容器をレトルト殺菌するレトルト殺菌工程を含む。
レトルト殺菌処理の温度及び時間は、微生物を死滅させることができる限り、限定されるものではないが、例えば105〜130℃で5〜30分処理することにより、殺菌することができる。レトルト殺菌処理するための温度や時間は、製品の種類や配合・充填量の違いなどにより異なるので最適な値を選定して使用することが好ましい。レトルト殺菌処理のための装置や方法は公知のものを使用できる。
(魚介肉そぼろ含有レトルト食品)
本発明の魚介肉そぼろ含有レトルト食品は、良好な外観、風味、及び食感を有する魚介肉そぼろを含有する。本発明の魚介肉そぼろ含有レトルト食品は、パスタソース、カレーソース、トマトソース、ハヤシソース、コンソメスープ、ポタージュスープ、シチューソース、ミネストローネ、コーンスープ、ブイヨンスープ、和風スープ、中華ソース、又は調理用ソースである。好ましくは、本発明の魚介肉そぼろ含有レトルト食品は、パスタソースである。
和風スープとは、和風の食材、例えば鰹節や昆布で主に味付けされたスープを意味し、例えば、吸い物、和風そぼろ餡、及びけんちん汁などが挙げられる。
中華ソースとは、中華風に味付けされたソースを意味し、例えば、エビチリソース及び麻婆ソースなどが挙げられる。
調理用ソースとは、具材と混ぜ合わせて料理を完成させるためのソースを意味し、例えば、具材であるもやしと混ぜ合わせるためのもやし炒めソースなどが挙げられる。
(作用)
本発明の魚介肉そぼろが、レトルト殺菌を経た後においても外観、風味、及び食感を損なうことがなく、良好な外観、風味、及び食感を有する理由は、完全に解明されているわけではないが、以下のように推論することができる。しかしながら、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
イカの肉は多量のコラーゲンタンパク質を含んでいる。このコラーゲンタンパク質が、魚肉の結合剤の役割を果たすと考えられ、そしてレトルト殺菌の前に品温50〜100℃というゆるやかな温度で加熱撹拌を行うことで、魚介肉そぼろに十分な空気を含ませながら、少しずつそぼろを形成することが可能となると考えられる。すなわち、イカの肉由来のコラーゲンタンパク質により結合されながらも、空気を十分に含ませることにより口の中で崩れやすく良好な食感を有する魚介肉そぼろが製造されると考えられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:魚介肉そぼろの製造》
本実施例では、魚介肉そぼろを製造した。イカの肉75質量部、スケソウダラの肉25質量部、及び水64質量部を鍋に投入し、ヘラで撹拌して均一にした。その後、撹拌を行いながら鍋を加熱して品温60℃に達温させた。さらに5分間撹拌した後、レトルトパウチに全量を充填し、121℃25分設定でレトルト殺菌を行い魚介肉そぼろ1を得た。魚介肉そぼろ1のそぼろ形成の評価を表1に示す。
《実施例2:魚介肉そぼろの製造》
イカの肉75質量部及びスケソウダラの肉25質量部に代えて、イカの肉50質量部及びスケソウダラの肉50質量部を使用したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、魚介肉そぼろ2を得た。魚介肉そぼろ2のそぼろ形成の評価を表1に示す。
《実施例3:魚介肉そぼろの製造》
イカの肉75質量部及びスケソウダラの肉25質量部に代えて、イカの肉25質量部及びスケソウダラの肉75質量部を使用したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、魚介肉そぼろ3を得た。魚介肉そぼろ3のそぼろ形成の評価を表1に示す。
《比較例1》
イカの肉75質量部及びスケソウダラの肉25質量部に代えて、イカの肉100質量部を使用したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、比較魚介肉1を得た。比較魚介肉1のそぼろ形成の評価を表1に示す。
《比較例2》
イカの肉75質量部及びスケソウダラの肉25質量部に代えて、スケソウダラの肉100質量部を使用したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、比較魚介肉2を得た。比較魚介肉2のそぼろ形成の評価を表1に示す。
表1に示すように、魚介肉そぼろ1のそぼろ肉の形成は、非常に良好であった。魚介肉そぼろ2及び3に関しては、そぼろ肉の形成は、良好であった。比較例1及び2に関しては、そぼろ肉を形成しなかった。
《実施例4:魚介肉そぼろの製造》
本実施例では、魚介肉そぼろを製造した。イカの肉70質量部、スケソウダラの肉20質量部、及びエビ5質量部を粉砕した後、鍋に投入し、さらに水を64g加えてからヘラで撹拌して均一にした。その後、撹拌を行いながら鍋を加熱して品温60℃に達温させた。さらに5分間撹拌した後、鍋全体を氷水に付け品温15℃まで冷却した。さらに品温85℃まで加温した後にレトルトパウチに全量を充填し、121℃25分設定でレトルト殺菌を行い魚介肉そぼろ4を得た。
《実施例5》
鍋全体を氷水に付け品温15℃まで冷却しなかったことを除いては、実施例4の操作を繰り返して、魚介肉そぼろ5を得た。
《官能試験》
得られた魚介肉そぼろ4及び魚介肉そぼろ5について、被験者10人でいずれの魚介肉そぼろが柔らかく食感が良好であるかの評価を行った。結果を表2に示す。
被験者10人中8人が、魚介肉そぼろ4の方が魚介肉そぼろ5よりも柔らかく食感が良好であると回答した。被験者10人中2人は両者に差がないと回答した。
《実施例6:魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造》
本実施例では、魚介肉そぼろ含有レトルト食品を製造した。イカの肉50質量部、スケソウダラの肉40質量部、エビの肉10質量部、及び水20質量部、酒20質量部をカッターミキサーを用いて1800rpmで粉砕し、魚介肉由来ペーストを得た。次に、魚介肉由来ペースト140質量部、魚介エキス15質量部、食用油脂15質量部をニーダーに投入して15rpmで撹拌しながら加温して品温60℃に達温させ、達温後さらに15rpmで5分間撹拌し、魚介肉そぼろを得た。魚介肉そぼろを製造したニーダーに、調味料100質量部、野菜等150質量部、水130質量部をさらに投入し、再度品温85℃になるまで加温した。合計110gをレトルト容器(130mm×180mmのPET/AL/PPの袋)に充填した。レトルト容器を熱溶着により密封した。121℃で25分間、加圧加熱殺菌を行い、得られたレトルト食品を常温まで冷却し、レトルト食品1を得た。得られたレトルト食品1における魚介肉のそぼろ形成の評価を表3に示す。
《比較例3》
イカの肉50質量部、スケソウダラの肉40質量部、及びエビの肉10質量部に代えて、タコの肉50質量部及びスケソウダラの肉50質量部を使用したことを除いては、実施例1の操作を繰り返して、比較レトルト食品1を得た。得られた比較レトルト食品1における魚介肉のそぼろ形成の評価を表3に示す。
レトルト食品1では、そぼろ肉の形成は非常に良好であり、食感も良好であったが、比較レトルト食品1では、そぼろ肉を形成せず、食感も悪かった。
《実施例7:魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造》
下記の表4の組成の魚介肉そぼろを使用して、実施例6の方法に従いレトルト食品2〜7を得た。
レトルト食品2〜7のそぼろ肉の形成及び食感は全て良好であった。
本発明の魚介肉そぼろの製造方法は、レトルト殺菌を経た後においても良好な外観、風味、及び食感を保持し、製造が容易な魚介肉そぼろを提供することができる。また、本発明の魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法は、レトルト殺菌を経た後においても良好な外観、風味、及び食感を保持する魚介肉そぼろを含有し、製造が容易なレトルト食品を提供することができる。

Claims (9)

  1. (1)イカの肉及び魚類の肉の重量比が99:1〜5:95である魚介肉由来ペーストを撹拌機内に投入し、品温50℃〜100℃で1分以上加熱撹拌して魚介肉そぼろを提供する加熱撹拌工程
    を含む、魚介肉そぼろの製造方法。
  2. 前記工程(1)の前に、(2)イカの肉及び魚類の肉を粉砕し、前記魚介肉由来ペーストを提供する魚介肉粉砕工程を含む、請求項1に記載の魚介肉そぼろの製造方法。
  3. 前記魚類の肉が、白身魚の肉である、請求項1又は2に記載の魚介肉そぼろの製造方法。
  4. 前記イカの肉及び魚類の肉の重量比が、75:25〜25:75である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の魚介肉そぼろの製造方法。
  5. 前記工程(1)の後に、(3)前記魚介肉そぼろの温度を50℃未満に低下させる冷却工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の魚介肉そぼろの製造方法。
  6. (4)請求項1〜5のいずれか一項に記載の魚介肉そぼろの製造方法により製造される魚介肉そぼろ及びレトルト用調味ソースをレトルト容器に充填する充填工程と、
    (5)前記魚介肉そぼろ及びレトルト用調味ソースを充填したレトルト容器をレトルト殺菌するレトルト殺菌工程と、
    をさらに含む、魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法。
  7. 魚介肉そぼろ含有レトルト食品が、パスタソース、カレーソース、トマトソース、ハヤシソース、コンソメスープ、ポタージュスープ、シチューソース、ミネストローネ、コーンスープ、ブイヨンスープ、和風スープ、中華ソース、又は調理用ソースである、請求項6に記載の魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の魚介肉そぼろの製造方法により製造される、魚介肉そぼろ。
  9. 請求項6又は7に記載の魚介肉そぼろ含有レトルト食品の製造方法により製造される、魚介肉そぼろ含有レトルト食品。
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