JP6682239B2 - 建築部材、建築部材が取り付けられた建築物および建築部材の取付方法 - Google Patents

建築部材、建築部材が取り付けられた建築物および建築部材の取付方法 Download PDF

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本発明は、低層、中層および高層などの各種建築物において、柱、梁および筋交い(ブレース)などとして用いられる建築部材、建築部材が取り付けられた建築物および建築部材を各種建築物の躯体に取り付ける建築部材の取付方法に関する。
特許文献1には、軸力を負担する鉄骨ブレースの外周に、ほぼ外接する口径の鋼管を座屈補剛材としてかぶせ、鋼管は少なくとも1箇所が鉄骨ブレースに止着されている、鋼管で座屈補剛されたアンボンド鉄骨ブレースが記載されている。
特許文献1においては、軸力を負担する鉄骨ブレースの外周に鋼管を座屈補剛材としてかぶせることにより座屈補剛することが記載されているが、ブレースを建築物の躯体に取り付ける際に、取り付け箇所の取り付け間隔に応じて、ブレースの長さ調整を行うことは記載されていない。
特開平7−324377号公報
本発明は、低層、中層および高層などの各種建築物における柱、梁および筋交いなどの用途において、座屈抑制が可能で、長さ調整も可能な建築部材、建築部材が取り付けられた建築物および建築部材を建築物の躯体に取り付ける建築部材の取付方法を提供する。
本発明の一態様は、建築物の躯体に取り付けられる軸力部材と、軸力部材を覆うように配置された管状部材とを有する建築部材である。軸力部材は、管状部材に対し保持された第1の芯材と、第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部材とを含む。可動部材は、管状部材に覆われる被覆部と、管状部材の端部から外部に突出する突出部とを含む。
この建築部材においては、軸力部材の軸方向に作用する引張力や圧縮力などの軸力に対し、第1の芯材が安定的に降伏(塑性化)することにより、躯体に作用する振動エネルギーを吸収できる。また、軸力部材が管状部材により覆われ、軸力部材の第1の芯材が管状部材により保持されているため、第1の芯材の座屈を抑制できる。
さらに、第1の芯材に対し軸方向に移動可能な可動部材は、管状部材に覆われる被覆部を含むため、軸力部材全体の座屈抑制効果を向上させることができる。一方で、この可動部材は、管状部材の端部から外部に突出する突出部も含むため、管状部材の外部で可動部材に容易にアクセスできる。このため、この建築部材を躯体に取り付ける際に、管状部材の外部で可動部材にアクセスし、可動部材を軸方向に移動させることにより、軸力部材の長さ調整を行うことができる。したがって、座屈抑制が可能で、長さ調整も可能な建築部材を提供できる。
可動部材は、第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部と、可動部に対し軸方向に移動可能に取り付けられる第2の芯材とを含み、可動部は、被覆部および突出部を含むことが好ましい。可動部と第2の芯材とを相互に独立して移動させることにより、軸力部材の長さ調整を行うことができる。このため、可動部を移動させて長さ調整を行った軸力部材を躯体に取り付けた後に、軸力部材を躯体に取り付けたままの状態で、再度、可動部を移動させて軸力部材の長さ調整を行うことができる。したがって、粗建て方時の躯体において発生した建方誤差などを軸力部材により吸収でき、建築物の建方精度を向上できる。
第1の芯材の断面積は、可動部の断面積よりも小さいことが好ましい。第1の芯材の断面積を可動部の断面積よりも小さくすることにより、軸力に対する第1の芯材の強度(耐力)を、可動部よりも相対的に低くすることができる。このため、より確実性高く第1の芯材を安定的に降伏させることができる。
第2の芯材の断面積は、第1の芯材の断面積よりも大きいことが好ましい。第2の芯材の断面積を第1の芯材の断面積よりも大きくすることにより、第2の芯材に降伏点の高い材料を用いることなく、第2の芯材の軸力に対する耐力を向上できる。このため、第2の芯材の降伏を抑制でき、より確実性高く第1の芯材を安定的に降伏させることができる。
建築部材は、可動部材を管状部材に対し保持する保持手段をさらに有することが好ましい。可動部材により長さ調整を行った軸力部材を管状部材に対し保持することにより、可動部材のガタツキを抑制し、座屈抑制効果を一層向上させることができる。
本発明の他の態様は、上記の建築部材と、この建築部材が取り付けられた躯体とを有する建築物である。この建築部材を躯体に取り付けることにより、制振性能を向上させた建築物を提供できる。
本発明の他の態様は、建築部材を建築物の躯体に取り付ける建築部材の取付方法である。建築部材は、軸力部材と、軸力部材を覆うように配置された管状部材とを有し、軸力部材は、管状部材に対し保持された第1の芯材と、第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部材とを含み、可動部材は、管状部材に覆われる被覆部と、管状部材の端部から外部に突出する突出部とを含み、当該取付方法は、突出部に管状部材の外部でアクセスすることにより、可動部材を軸方向に移動させ軸力部材の長さを調整することを含む。建築部材を躯体に取り付ける際に、管状部材の外部で可動部材にアクセスし、可動部材を軸方向に移動させることにより、軸力部材の長さ調整を行うことができる。
可動部材は、第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部と、可動部に対し軸方向に移動可能に取り付けられる第2の芯材とを含み、可動部は、被覆部および突出部を含み、当該取付方法は、軸力部材を躯体に対し仮取り付けすることと、突出部に管状部材の外部でアクセスすることにより、可動部を軸方向に移動させ軸力部材の長さを調整することと、軸力部材を躯体に対し本取り付けすることとをさらに含むことが好ましい。取付方法は、可動部材を管状部材に対し保持することをさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、低層、中層および高層などの各種建築物における柱、梁および筋交いなどの用途において、座屈抑制が可能で、長さ調整も可能な建築部材、建築部材が取り付けられた建築物および建築部材を建築物の躯体に取り付ける建築部材の取付方法を提供することができる。
第1の実施形態による建築部材を用いた建築物の概略構成を示す図である。 図1に示す建築部材の断面斜視図である。 図1に示す建築部材の断面図である。 図1に示す建築部材から可動部および嵌装部材を抜き出して示す分解斜視図である。 図1に示す建築部材を建築物の躯体に取り付ける取付方法を示す図であり、(a)は軸力部材を第2のガセットプレートに仮取り付けする前の様子を示す図、(b)は可動部により長さ調整を行った軸力部材を第2のガセットプレートに仮取り付けした後の様子を示す図、(c)は可動部により再度長さ調整を行った軸力部材を躯体に本取り付けした後の様子を示す図。 第2の実施形態による建築部材の断面図である。 建築部材を用いた建築物の概略構成を示す図であり、(a)は建築部材を柱部材として用いた建築物を示す図、(b)は建築部材を梁部材として用いた建築物を示す図。
図1に、第1の実施形態による建築部材1をブレース(筋交い、斜材)として用いた建築物100の概略構成を示している。この建築物100は、躯体(骨組み)90と、躯体90に取り付けられた建築部材(ブレース)1とを有する。
この躯体90は、水平方向に対峙する一組の柱部材91aおよび91bと、鉛直方向に対峙する一組の梁部材92aおよび92bと、第1の柱部材91aおよび第1の梁部材(上階の梁部材)92aの接合部99aに配置された第1のガセットプレート95aと、第2の柱部材91bおよび第2の梁部材(下階の梁部材)92bの接合部99bに配置された第2のガセットプレート95bとを含む。
この建築部材1は、躯体90の一組のガセットプレート95aおよび95bに取り付けられることにより、一組の柱部材91a(91b)および/または一組の梁部材92a(92b)に対し斜めに配置(架け渡された)されたブレース(筋交い、斜材)1である。
図2に、建築部材1を断面斜視図により示している。図3に、建築部材1を断面図により示している。この建築部材(ブレース)1は、一組のガセットプレート95aおよび95bに取り付けられる軸力部材10と、軸力部材10を覆うように配置された円管状の管状部材80と、軸力部材10を管状部材80に対し保持する第1の保持手段としての第1の保持部材(グラウト材)60および第2の保持手段としての第2の保持部材70とを含む。
この軸力部材10は、第1のガセットプレート95aに接続される第1の軸力部材11と、第2のガセットプレート95bに接続され、第1の軸力部材11に対し軸方向Xに移動可能に取り付けられた第2の軸力部材(可動部材)12とを含む。本例の第1の軸力部材11および管状部材80は鋼製であり、第2の軸力部材(可動部材)12は鋳鉄製である。
第1の保持部材60は、第1の軸力部材11と管状部材80の内周面80aとの隙間75に充填され硬化したグラウト材(充填材)60である。典型的なグラウト材60はモルタルまたはコンクリートなどである。第2の保持部材70は、可動部材12と管状部材80の内周面80aとの隙間76に嵌め込まれた嵌装部材(嵌入部材、隙間詰め部材)70aである。
第1の軸力部材11は、グラウト材60を介して管状部材80に保持された第1の芯材21と、第1のガセットプレート95aに接続するために第1の芯材21の基端(一端)側に設けられた第1の接続部29とを含む。
第1の芯材21は、全体が長尺の丸棒状であり、軸方向Xに作用する引張力や圧縮力などの軸力がグラウト材60および管状部材80に伝達しないように外周面(表面)21sをアンボンド材被膜26aにより覆われたアンボンド部26と、基端21aの反対側の先端(他端)側に形成された雄ネジ部25とを含む。第1の接続部29は、全体が平板状であり、ボルト97aおよび不図示のナットにより第1のガセットプレート95aに接続するための孔部29aを含む。本例の第1の軸力部材11は、第1の芯材21および第1の接続部29が溶接により一体に形成されている。なお、本明細書において、軸方向Xとは第1の芯材21の延びる方向をいう。
第2の軸力部材(可動部材)12は、第1の芯材21に対し軸方向Xに移動可能に取り付けられた第1の可動部(可動部、ターンバックル部)31と、ターンバックル部31に対し軸方向Xに移動可能に取り付けられた第2の可動部32とを含む。
ターンバックル部31は、管状部材80に覆われる被覆部41と、管状部材80の端部81から外部に突出する突出部(露出部)42とを含む。すなわち、このブレース1においては、ターンバックル部31の軸方向Xの長さ(寸法)L1は、可動部材12が管状部材80に最も深く挿入される位置P1(本例では、ターンバックル部31の後述する第1の壁部46が第2の伸縮吸収材67に当たる位置)から管状部材80の端部81までの長さ(距離)L2よりも僅かに長く(大きく)なるように設計されている。
第2の可動部32は、第1の芯材21と同軸上に距離(空間)を隔てて配置された第2の芯材51と、第2のガセットプレート95bに接続するために第2の芯材51の基端(一端)側に設けられた第2の接続部59とを含む。
第2の芯材51は、全体が第1の芯材21よりも短尺の丸棒状であり、基端51aの反対側の先端(他端)側に形成された雄ネジ部55を含む。第2の接続部59は、全体が平板状であり、ボルト97bおよび不図示のナットにより第2のガセットプレート95bに接続するための孔部59aを含む。本例の第2の可動部32は、第2の芯材51および第2の接続部59が鋳造により一体に形成されている。
ターンバックル部31は、内部に中空部31sが形成される中空円柱状であり、中空部31sを覆う(囲む)ように形成された円筒部45と、中空部31sを隔てて軸方向Xに対峙するように円筒部45に連なり形成された第1の壁部46および第2の壁部47と、第1の芯材21の雄ネジ部25が第1の壁部46を貫通して中空部31sに回転挿入されるように第1の壁部46に形成された第1の雌ネジ部46aと、第2の芯材51の雄ネジ部55が第2の壁部47を貫通して中空部31sに回転挿入されるように第2の壁部47に形成された第2の雌ネジ部47aとを含む。第1の雌ネジ部46aおよび第2の雌ネジ部47aは逆向きにネジ山が切られた逆ネジとなっている。
さらに、このブレース1においては、第1の芯材21の断面積S1は、ターンバックル部31の円筒部45の断面積S3よりも小さくなるように設計されている。さらに、第2の芯材51の断面積S2は、第1の芯材21の断面積S1よりも大きくなるように設計されている。すなわち、第1の芯材21の直径d1は、ターンバックル部31の円筒部45の外周面45aまでの直径d3よりも小さくなるように設計されており、第2の芯材51の直径d2は、第1の芯材21の直径d1よりも大きくなるように設計されている。なお、断面積S1〜S3のそれぞれは、第1の芯材21、第2の芯材51およびターンバックル部31のそれぞれの軸方向Xに直交する方向の断面の面積をいう。
このブレース1の各部材のサイズの一例としては、管状部材80の軸方向Xの寸法が約2m〜4m程度、第1の芯材21の軸方向Xの寸法が約1.5m〜3.5m程度、第2の芯材51の軸方向Xの寸法が約10cm〜70cm程度、ターンバックル部31の軸方向Xの寸法が約10cm〜50cm程度である。また、ターンバックル部31の軸方向Xの寸法L1は、可動部材12が管状部材80に最も深く挿入される位置P1から管状部材80の端部81までの長さL2よりも約2cm〜10cm程度長くなるように設計されている。なお、ブレース1の各部材のサイズは上記に限定されない。
このブレース1は、さらに、グラウト材60および第1の接続部29の間に配置された第1の伸縮吸収材66と、グラウト材60および第1の壁部46の間に配置された第2の伸縮吸収材67とを含む。典型的な伸縮吸収材66および67は発泡スチロールなどの剛性の小さい材料である。
図4に、ブレース1からターンバックル部31および嵌装部材70aを抜き出して分解斜視図により示している。ターンバックル部31の突出部42は、円筒部45および/または第2の壁部47により形成された円筒状の部分42aと、円筒状の部分42aよりも小断面に形成された六角ナット状の部分(被アクセス部)42bとを含む。
嵌装部材70aは、全体がリング状に形成された部材を半リング状に分割した金属製の部材であり、突出部42の円筒状の部分42aと管状部材80の内周面80aとの間に形成された隙間76を外部から埋めるように挿入する部分(挿入部)71aと、管状部材80の端部81に当たるように挿入部71aに対しほぼ直角に形成されたフランジ部71bとを含む。なお、嵌装部材(半円形ワッシャ―)70aは樹脂製であってもよい。
図1〜4に示すように、このブレース1においては、建築物100に地震力や風力などの外力が作用した場合、躯体90のガセットプレート95aおよび/または95bを介して軸方向Xに作用する引張力や圧縮力などの軸力を軸力部材10により負担する。軸力部材10は、その大部分が長尺状の第1の芯材21により占められていることから、軸力部材10に作用する軸力のほぼ全ては実質的に第1の芯材21により負担させることができる。第1の芯材21は、アンボンド材被膜26aによりグラウト材60への付着が抑制されたアンボンド部26を含むため、軸力を受けて安定的に降伏(塑性化)することにより建築物100に作用する振動エネルギーを吸収することができる。また、軸力部材10は、軸方向Xの両端の接続部29および59を除いて、全長にわたりほぼ全ての部分が管状部材80により覆われており、さらに、第1の芯材21は、雄ネジ部25を除いて、全長にわたりほぼ全ての部分がグラウト材60により覆われ保持されている。このため、第1の芯材21に対し座屈荷重を超える圧縮力が作用した場合であっても、グラウト材60および/または管状部材80により第1の芯材21の座屈を拘束(抑制)できる。
さらに、軸力部材10は、第1の芯材21に対し移動可能なターンバックル部31を含み、ターンバックル部31が管状部材80に覆われる被覆部41を含むため、軸力部材10全体の座屈拘束性能を向上させることができる。また、ターンバックル部31が管状部材80の端部81から外部に突出する突出部42も含むため、作業員などが管状部材80の外部で可動部材12に容易にアクセスできる。したがって、ブレース1を躯体90に取り付ける前および/または取り付けた後に、管状部材80の外部で突出部42にアクセスし、突出部42の六角ナット状の被アクセス部42bを六角スパナ(レンチ)などの工具により回転操作することにより、ターンバックル部31および第2の可動部32を含めた可動部材12全体を軸方向Xに移動させることができる。このため、第1の芯材21と第2の芯材51との間の距離(第1の芯材21の先端21bと第2の芯材51の先端51bとの間の距離)を所望の間隔に変えることができる。したがって、軸力部材10の座屈を拘束するとともに、軸力部材10全体の長さ調整も行うことが可能なターンバックル部内蔵型のブレース1を提供できる。
さらに、このブレース1においては、第1の芯材21の断面積S1が、ターンバックル部31の円筒部45の断面積S3よりも小さくなるように設計されている。このため、軸力に対する第1の芯材21の強度(耐力)を、ターンバックル部31よりも相対的に低くすることができる。したがって、第1の芯材21において確実かつ安定的に塑性化させることができる。
また、このブレース1においては、第2の芯材51の断面積S2が、第1の芯材21の断面積S1よりも大きくなるように設計されている。このため、第2の芯材51に降伏点の高い高価な材料を用いることなく、第1の芯材51と同程度の材料を用いた場合であっても、第2の芯材51の軸力に対する耐力を第1の芯材31よりも相対的に高くすることができる。したがって、第2の芯材51における降伏を抑制でき、第1の芯材21においてより確実かつ安定的に塑性化させることができる。さらに、第2の芯材51の耐力を第1の芯材31の耐力よりも大きくすることにより、第2の芯材51の、管状部材80の端部81から外部に突出する突出部についての座屈も抑制できる。
図5に、ブレース1を躯体90に取り付ける方法を示しており、(a)は軸力部材10を第2のガセットプレート95bに仮取り付けする前の様子、(b)はターンバックル部31により長さ調整を行った軸力部材10を第2のガセットプレート95bに仮取り付けした後の様子、(c)はターンバックル部31により再度長さ調整を行った軸力部材10を躯体90に本取り付けした後の様子を示している。
まず、図5(a)に示すように、第1の接続部29の孔部29aと第1のガセットプレート95aに形成された孔部96aとをボルト97aおよび不図示のナットにより仮締めすることにより、軸力部材10を第1のガセットプレート95aに対し仮取り付けする。
次に、図5(b)に示すように、管状部材80の外部でターンバックル部31の突出部42にアクセスし、六角ナット状の被アクセス部42bを工具により回転操作することにより、可動部材12全体を軸方向Xに移動させる。これにより、ガセットプレート95aに形成された孔部96aとガセットプレート95bに形成された孔部96bとの間の距離(取り付け間隔)に合わせて、軸力部材10の長さ調整を行う(本例では、軸力部材10の長さを伸ばす)。次に、第2の接続部59の孔部59aと第2のガセットプレート95bに形成された孔部96bとをボルト97bおよび不図示のナットにより仮締めすることにより、軸力部材10を第2のガセットプレート95bに対し仮取り付けする(仮取り付けする工程)。
なお、本例では、ターンバックル部31を移動させて軸力部材10の長さ調整を行っているが、第2の可動部32をターンバックル部31に対し回転操作することにより、第2の可動部32を移動させて長さ調整を行ってもよいし、ターンバックル部31および第2の可動部32の両方を移動させて長さ調整を行ってもよい。このように、このブレース1においては、ターンバックル部31と第2の可動部32とを相互に独立して移動させることができるため、軸力部材10の長さ調整範囲を拡大することも可能である。
次に、躯体90を構成する柱部材91a(91b)や梁部材92a(92b)などの他の建築部材の傾きなどを確認し、図5(c)に示すように、軸力部材10を躯体90に取り付けたままの状態で、再度、管状部材80の外部でターンバックル部31の突出部42にアクセスすることにより、ターンバックル部31を移動させて軸力部材10の長さ調整(長さ調整する工程)を行う(本例では、軸力部材10の長さを縮める)。これにより、建て方時の躯体90において発生した建方誤差などを軸力部材10により調整することができる。
ターンバックル部31により躯体90全体の建方精度の微調整を行った後、第1の接続部29の孔部29aと第1のガセットプレート95aの孔部96aとをボルト97aおよび不図示のナットにより本締めするとともに、第2の接続部59の孔部59aと第2のガセットプレート95bの孔部96bとをボルト97bおよび不図示のナットにより本締めすること(本取り付けする工程)により、軸力部材10を躯体90対し本取り付け(固定)する。
軸力部材10を躯体90に対し固定した後、嵌装部材70aをターンバックル部31と管状部材80との隙間76に嵌め込む(挿入する、保持する工程)。これにより、可動部材12を管状部材80に対し回転不能に保持(固定)することができ、可動部材12のガタツキや降伏を抑制し、軸力部材10の座屈抑制効果を向上させることができる。以上により、制振性能および建方精度を向上させた建築物100を提供できる。
図6に、第2の実施形態による建築部材2を断面図により示している。この建築部材(ブレース)2も、一組のガセットプレート95aおよび95bに取り付けられる軸力部材10と、軸力部材10を覆うように配置された円管状の部材(管状部材)80と、軸力部材10を管状部材80に対し保持する第1の保持部材60および第2の保持部材70とを含む。なお、以降において、第1の実施形態と共通の構成については共通の符号を付して説明を省略する。
この可動部材12は、可動部材12と管状部材80の内周面80aとの隙間76が、隙間76の入り口79の側に向けて広がるように、ターンバックル部31の外形が細くなる部分31aを含む。外形が細くなる部分31aは、ターンバックル部31の第2の壁部47の断面形状が、被アクセス42bに向けて漸次的に縮小することにより形成されたテーパー状の部分31bを含む。
さらに、可動部材12を管状部材80に対し保持する第2の保持部材70は、可動部材12と管状部材80の内周面80aとの隙間76に充填されたグラウト材(充填材)70bである。典型的なグラウト材70bはモルタル、コンクリートまたは接着剤などである。
このブレース2においては、可動部材12がテーパー状の部分31bを含むため、隙間76の入り口79を拡大できる。このため、隙間76に充填するグラウト材70bの注入作業を行いやすく、施工性を向上できる。また、可動部材12がテーパー状の部分31bを含むため、くさび状に形成された嵌装部材70aを嵌め込むことにより、可動部材12を管状部材80に対し強固に固定することも可能である。なお、隙間76にグラウト材70bを注入した状態で、隙間76の入り口79に嵌装部材70aを挿入して塞ぐことも可能であり、可動部材12と管状部材80とをより強固に一体化できる。
図7に、建築部材1を用いた建築物の概略構成を示しており、(a)は建築部材1を柱部材として用いた建築物200、(b)は建築部材1を梁部材として用いた建築物300を示している。
図7(a)に示すように、この建築物200は、躯体90と、躯体90に取り付けられた建築部材(柱部材)1とを有する。この躯体90は、鉛直方向に対峙する一組の梁部材92aおよび92bと、第1の梁部材(上階の梁部材)92aに配置された第1のガセットプレート95aと、第1のガセットプレート95aと鉛直方向に対峙するように第2の梁部材(下階の梁部材)92bに配置された第2のガセットプレート95bとを含む。この建築部材1は、躯体90の一組のガセットプレート95aおよび95bに取り付けられることにより、一組の梁部材92aおよび92bに対し垂直に配置(架け渡された)された柱部材1である。
図7(b)に示すように、この建築物300は、躯体90と、躯体90に取り付けられた建築部材(梁部材)1とを有する。この躯体90は、水平方向に対峙する一組の柱部材91aおよび91bと、第1の柱部材91aに配置された第1のガセットプレート95aと、第1のガセットプレート95aと水平方向に対峙するように第2の柱部材91bに配置された第2のガセットプレート95bとを含む。この建築部材1は、躯体90の一組のガセットプレート95aおよび95bに取り付けられることにより、一組の柱部材91aおよび91bに対し垂直に配置(架け渡された)された梁部材1である。
図7に示すように、この建築部材1は、ブレースとしての用途のみならず、柱部材や梁部材などとしても用いることが可能であり、広範な用途、特に躯体90において圧縮力が作用する個所に取り付ける際に好適な建築部材である。さらに、この建築部材1は、座屈拘束機能および長さ調整機能を兼ね備えており、制振性能および建方精度を向上させた建築物を提供できる。また、この建築部材1は、戸建て住宅や、低層、中層および高層ビルなどの各種建築物の躯体90に取り付けることが可能である。また、この建築部材1は、鉄骨構造だけでなく木造構造などにも適用でき、種々の構造形式、たとえばトラス構造、ラーメン構造およびブレース構造などにも適用できる。この建築部材1をトラス構造の躯体90に取り付ける場合にも、斜材として用いるのみならず、柱材や梁材などとしても用いることができる。
なお、本発明はこれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定されたものを含む。たとえば、管状部材80は円管状に限定されず、角管状などであってもよい。第1の芯材21および第2の芯材51は丸棒状に限定されず、角棒状などであってもよい。ターンバックル部31は、中空円柱状に限定されず、中空角柱状などであってもよい。第1の軸力部材11、第2の軸力部材(可動部材)12および管状部材80は全て鋼製であってもよいし、全て鋳鉄製であってもよい。また、第2の軸力部材(可動部材)12は、第1の可動部(可動部、ターンバックル部)31と、第2の可動部32とを含むものに限定されず、第2の可動部32に対し軸方向Xに移動可能に取り付けられる第3の可動部を含むものであってもよく、4つ以上の可動部を含むものであってもよい。
1、2 建築部材
10 軸力部材、 11 第1の軸力部材、 12 可動部材(第2の軸力部材)
21 第1の芯材
31 可動部(第1の可動部、ターンバックル部)、 31a 外形が細くなる部分
32 第2の可動部
41 被覆部、 42 突出部
51 第2の芯材
70a 嵌装部材(嵌入部材、隙間詰め部材)、 70b グラウト材(充填材)
80 管状部材
90 躯体
100、200、300 建築物

Claims (9)

  1. 建築物の躯体に取り付けられる軸力部材と、
    前記軸力部材を覆うように配置された管状部材とを有する建築部材であって、
    前記軸力部材は、前記管状部材に対し保持された第1の芯材と、
    前記第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部材とを含み、
    前記可動部材は、前記管状部材に覆われる被覆部と、
    前記管状部材の端部から外部に突出する突出部と
    前記第1の芯材に対する当該可動部材の軸方向への移動に応じて、前記軸力部材の長さを調整可能に前記躯体に接続される接続部とを含む、建築部材。
  2. 前記可動部材は、前記第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部と、
    前記可動部に対し軸方向に移動可能に取り付けられる第2の芯材とを含み、
    前記可動部は、前記被覆部および前記突出部を含む、請求項1に記載の建築部材。
  3. 前記第1の芯材の断面積は、前記可動部の断面積よりも小さい、請求項2に記載の建築部材。
  4. 前記第2の芯材の断面積は、前記第1の芯材の断面積よりも大きい、請求項2または3に記載の建築部材。
  5. 建築物の躯体に取り付けられる軸力部材と、
    前記軸力部材を覆うように配置された管状部材とを有する建築部材であって、
    前記軸力部材は、前記管状部材に対し保持された第1の芯材と、
    前記第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部材とを含み、
    前記可動部材は、前記管状部材に覆われる被覆部と、
    前記管状部材の端部から外部に突出する突出部とを含み、
    前記可動部材を前記管状部材に対し保持する保持手段をさらに有する、建築部材。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の建築部材と、
    前記建築部材が取り付けられた躯体とを有する建築物。
  7. 建築部材を建築物の躯体に取り付ける建築部材の取付方法であって、
    前記建築部材は、軸力部材と、前記軸力部材を覆うように配置された管状部材とを有し、前記軸力部材は、前記管状部材に対し保持された第1の芯材と、前記第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部材とを含み、前記可動部材は、前記管状部材に覆われる被覆部と、前記管状部材の端部から外部に突出する突出部とを含み、
    当該取付方法は、前記突出部に前記管状部材の外部でアクセスすることにより、前記可動部材を軸方向に移動させ前記軸力部材の長さを調整することを含む、取付方法。
  8. 前記可動部材は、前記第1の芯材に対し軸方向に移動可能に取り付けられる可動部と、前記可動部に対し軸方向に移動可能に取り付けられる第2の芯材とを含み、前記可動部は、前記被覆部および前記突出部を含み、
    当該取付方法は、前記軸力部材を前記躯体に対し仮取り付けすることと、
    前記突出部に前記管状部材の外部でアクセスすることにより、前記可動部を軸方向に移動させ前記軸力部材の長さを調整することと、
    前記軸力部材を前記躯体に対し本取り付けすることをさらに含む、請求項7に記載の取付方法。
  9. 前記可動部材を前記管状部材に対し保持することをさらに含む、請求項7または8に記載の取付方法。
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