以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
<第1実施形態>
最初に、本発明の第1実施形態の画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の部分垂直断面正面図の一例である。なお、図中の矢印付き二点鎖線は用紙の搬送経路及び搬送方向を示す。また、図1の上下方向、左右方向及び紙面奥行き方向が画像形成装置の上下方向、左右方向及び奥行き方向である。
画像形成装置1は、図1に示すように所謂タンデム型のカラー複写機であり、その本体筐体1aに原稿の画像を読み取る画像読取部2と、読み取った画像を用紙等の転写材に印刷する印刷部3と、印刷条件の入力や稼働状況の表示を行うための操作部4と、主制御部5とを備える。
画像読取部2としては不図示のプラテンガラスの上面に載置された原稿の画像を、不図示のスキャナーを移動して読み取る公知のものである。原稿の画像は赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に色分解され、不図示のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーで電気信号に変換される。これにより、画像読取部2は赤(R)、緑(G)、青(B)の色別の画像データを得る。
画像読取部2が得た色別の画像データは主制御部5において各種処理が行われ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換されて主制御部5の内部の不図示のメモリーに格納される。メモリーに格納された再現色別の画像データは位置ずれ補正のための処理を受けた後、像担持体である感光体ドラム21に対する光走査を行うために用紙の搬送と同期して走査ラインごとに読み出される。
印刷部3は電子写真方式によって画像を形成し、その画像を用紙等に転写する。印刷部3は中間転写体を無端状のベルトとして形成した中間転写ベルト11を備える。中間転写ベルト11は駆動ローラ12、従動ローラ13、14に巻き掛けられる。中間転写ベルト11には従動ローラ13が不図示のバネによって図1における上方に付勢されることにより張力が与えられる。中間転写ベルト11は駆動ローラ12によって図1における反時計回りに回転移動する。
駆動ローラ12は中間転写ベルト11を挟んで対向する二次転写ローラ15に圧し接触する。従動ローラ14の箇所では、中間転写ベルト11を挟んで従動ローラ14に対向するように設けられた中間転写クリーニング部16が中間転写ベルト11の外周面に接触する。中間転写クリーニング部16は二次転写後に中間転写ベルト11の外周面に残留するトナーを掻き取ってクリーニングする。
中間転写ベルト11の下方にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色に対応する画像形成部20Y、20M、20C、20Kが設けられる。なおこの説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「Y」、「M」、「C」、「K」の識別記号の記載を省略して、例えば「画像形成部20」と総称することがある。4台の画像形成部20は中間転写ベルト11の回転方向に沿って、回転方向の上流側から下流側に向けて一列にして配置される。4台の画像形成部20は構成がすべて同じであり、図1における時計回りに回転する感光体ドラム21を中心としてその周囲に帯電部、露光部、現像部、クリーニング部及び一次転写ローラを備える。
中間転写ベルト11の上方には、4台の各再現色の画像形成部20に対応するトナーボトル31及びトナーホッパー32が設けられる。現像部及びトナーホッパー32に対しては各々の内部のトナー量を検出する不図示のトナーの残量検出部が設けられる。また、現像部とトナーホッパー32との間及びトナーホッパー32とトナーボトル31との間には各々不図示のトナーの補給装置が設けられる。残量検出部によって現像部の内部のトナー量の低下が検出されると、補給装置がトナーホッパー32から現像部にトナーを補給するように駆動する。さらに、残量検出部によってトナーホッパー32の内部のトナー量の低下が検出されると、補給装置がトナーボトル31からトナーホッパー32にトナーを補給するように駆動する。トナーボトル31は本体筐体1aに対して着脱可能に設けられ、適宜新しいものと交換することができる。
4台の画像形成部20の下方には用紙供給装置81が設けられ、その内部に用紙Pが収容される。用紙供給装置81の内部に収容された用紙Pは供給部82によってその最上紙から順に1枚ずつ用紙搬送路Qに送り出される。用紙供給装置81から用紙搬送路Qに送り出された用紙Pはレジストローラ対84の箇所に到達する。そして、レジストローラ対84が用紙Pの斜め送りを矯正(スキュー補正)しつつ中間転写ベルト11の回転と同期をとって、中間転写ベルト11と二次転写ローラ15との接触部(二次転写ニップ部)に向けて用紙Pを送り出す。
画像形成部20では帯電部及び露光部によって感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像部によってトナー像として可視像化される。感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は感光体ドラム21が中間転写ベルト11を挟んで一次転写ローラと対向する箇所において中間転写ベルト11の外周面に一次転写される。そして、中間転写ベルト11の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部20のトナー像が順次中間転写ベルト11に転写されることにより、中間転写ベルト11の外周面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト11の外周面に一次転写されたカラートナー像はレジストローラ対84により同期をとって送られてきた用紙Pに、中間転写ベルト11と二次転写ローラ15とが接触して形成される二次転写ニップ部にて転写される。
二次転写ニップ部の上方には定着ユニット100が備えられる。二次転写ニップ部にて未定着トナー像が転写された用紙Pは定着ユニット100へと送られて定着ローラ及び加圧ローラに挟まれ、トナー像が加熱、加圧されて用紙Pに定着される。定着ユニット100を通過した用紙Pは中間転写ベルト11の上方に設けられた用紙排出部86に排出される。
操作部4は画像読取部2の正面側に設けられる。操作部4は、例えばユーザーによる印刷に使用する用紙Pの種類やサイズ、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などの設定の入力や、ファクシミリ送信におけるファックス番号や送信者名などの設定の入力を受け付ける。また、操作部4は、例えば装置の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示部4wに表示することによって、それらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
また、画像形成装置1にはその全体の動作制御のため、不図示のCPUや画像処理部、その他の図示しない電子部品で構成された主制御部5が設けられる。主制御部5は中央演算処理装置であるCPUと画像処理部とを利用し、メモリーに記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部2や印刷部3などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作、印刷動作を実現する。
続いて、画像形成装置1の定着ユニット100とその用紙搬送方向上流部の構成について、図2〜図4を用いて説明する。図2は定着ユニット100及びその用紙搬送方向上流部を示す部分垂直断面正面図である。図3及び図4は画像形成装置1の搬送経路切替部周辺を示す垂直断面正面図及び斜視図である。なお、図2及び図3の上下方向、左右方向及び紙面奥行き方向が画像形成装置1及び定着ユニット100の上下方向、左右方向及び奥行き方向である。
定着ユニット100は、図2に示すように支持フレーム101、定着ローラ102、加圧ローラ103及び加熱源104を備える。
支持フレーム101は定着ローラ102、加圧ローラ103及び加熱源104を支持する。支持フレーム101は画像形成装置1の本体筐体1aに対して着脱可能に設置される。すなわち、定着ユニット100は画像形成装置1の本体筐体1aに対して着脱可能である。
定着ローラ102及び加圧ローラ103は互いに円筒形状を成し、各々の周面が用紙搬送路Qを挟んで対向するように左右方向に並べて配置される。定着ローラ102及び加圧ローラ103は互いの回転軸線が用紙搬送方向に対して交差する方向である用紙幅方向、すなわち画像形成装置1の前後方向に沿って延びる。定着ローラ102及び加圧ローラ103は用紙搬送路Q1の用紙幅方向の全域に対応する長さを有する。定着ローラ102及び加圧ローラ103は各々の回転軸が支持フレーム101に設けられた不図示の軸受部により回転可能に支持される。
定着ローラ102は例えば回転中心に設けられた芯金の外側に、外周面側に向かって径方向に順に断熱層、弾性層、発熱層及び離型層などが設けられた積層構造を成す。定着ローラ102の表面が加熱源104の作用によって発熱し、未定着トナー像が転写された用紙Pを加熱してトナーを用紙に定着させる。
加圧ローラ103はばね部材等を用いた不図示の加圧機構によって所定の圧力が付与され、その周面が定着ローラ102の周面に圧して接触して定着ニップ部Nfを形成する。加圧ローラ103は不図示の駆動源から動力を得て図2において時計回りに回転する。定着ローラ102は互いの周面が接触する加圧ローラ103の回転に従って図2において反時計回りに回転する。なお、定着ローラ102を駆動回転させて、加圧ローラ103を従動回転させても良い。
加熱源104は定着ローラ102に対して加圧ローラ103が配置された側とは反対側の領域の定着ローラ102の外部に定着ローラ102に隣接して配置される。加熱源104は定着ローラ102と同様に用紙幅方向に沿って延びる。加熱源104は例えば不図示の励磁コイル、磁性体コア、シールド部材などを備え、誘導加熱により定着ローラ102の表面を発熱させる誘導加熱源から成る。定着ローラ102の表面の温度が不図示のサーミスタ等から成る温度検出部によって検出され、主制御部5(図1に図示)はその温度に基づいて加熱源104を制御する。
定着ユニット100の用紙搬送方向上流側には搬送経路切替部50が設けられる。搬送経路切替部50は、図2及び図3に示すように正面から見て、定着ユニット100に向かって上下方向に延びる用紙搬送経路Q1の右側であって、定着ニップ部Nfに対して加圧ローラ103が配置された側に配置される。搬送経路切替部50は、図3及び図4に示すようにガイド基部51と、段差部52とを備える。
ガイド基部51は用紙搬送方向及び用紙幅方向に延びる用紙のガイド面51aを有する。ガイド面51aには用紙搬送経路Q1を通過する用紙が接触することがある。
段差部52は用紙搬送経路Q1を通過する用紙の表面の略法線方向に関して、ガイド基部51のガイド面51aに対して用紙搬送経路Q1から離隔する向きに段状を成して構成される。段差部52の用紙幅方向の中央部には用紙検知部52aが設けられる。
ガイド基部51の段差部52との境界部であるガイド面51aの用紙搬送方向の下流端にはガイド角部51bが設けられる。ガイド角部51bの用紙搬送経路Q1に対する位置は、予め定めた所定の定着ユニット100の構成要素の形態に対応して設定される。すなわち、第1実施形態における搬送経路切替部50のガイド基部51の用紙搬送方向の下流端であるガイド角部51bの用紙搬送経路Q1に対する位置は、互いが圧して接触する2個のローラである定着ローラ102と加圧ローラ103との間に用紙を挟んでトナーを定着させる構成を成す定着ユニット100に対応して設定される。このようなガイド基部51の構成によって、定着ユニット100の定着ニップ部Nfに向かって延びる用紙搬送経路Q1が好適な経路となるように設定される。
続いて、第1実施形態の定着ユニットの構成の変形例について、図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6は定着ユニットの構成の変形例1及び変形例2を示す概略垂直断面正面図である。
図5に示す変形例1の定着ユニット110は支持フレーム111、定着ローラ112、加圧ローラ113、加熱源114及び反射板115を備える。
加熱源114は定着ローラ112の内部に配置される。加熱源114は定着ローラ112と同様に用紙幅方向に沿って延びる。加熱源114としては例えば誘導加熱源やヒーターから成るものが利用され、定着ローラ112の内部から定着ローラ112の表面を加熱する。
反射板115は定着ローラ112に対して加圧ローラ113が配置された側とは反対側の領域の定着ローラ112の外部に定着ローラ112に近接して配置される。反射板115は定着ローラ112と同様に用紙幅方向に沿って延びる。反射板115はその垂直断面が定着ローラ112の軸線を中心とした定着ローラ112の半径よりも大きい半径を有する円弧形状を成し、定着ローラ112が加圧ローラ113と対向する領域を除いて定着ローラ112の周囲を覆う。反射板115は定着ローラ112の表面から生じる輻射熱が意図しない箇所に拡散することを抑制するために設けられる。
このような変形例1の定着ユニット110に対して、その用紙搬送方向上流側に先に説明した搬送経路切替部50が設けられる。
図6に示す変形例2の定着ユニット120は支持フレーム121、定着ローラ122、加圧ローラ123、加熱源124及び反射板125を備える。
加熱源124は定着ローラ122に対して加圧ローラ123が配置された側とは反対側の領域の定着ローラ122の外部に定着ローラ122に隣接して配置される。加熱源124は定着ローラ122と同様に用紙幅方向に沿って延びる。加熱源124としては例えば誘導加熱源やヒーターから成るものが利用され、定着ローラ122の外部から定着ローラ122の表面を加熱する。
反射板125は加熱源124に対して定着ローラ122が配置された側とは反対側の領域の加熱源124の外部に加熱源124に近接して配置される。反射板125は定着ローラ122と同様に用紙幅方向に沿って延びる。反射板125は加熱源124が定着ローラ122と対向する領域を除いて加熱源124の周囲を覆う湾曲した曲面を有する。反射板125は定着ローラ122の表面から生じる輻射熱が意図しない箇所に拡散することを抑制するために設けられる。
このような変形例2の定着ユニット120に対して、その用紙搬送方向上流側に先に説明した搬送経路切替部50が設けられる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置について、図7〜図12を用いて説明する。図7は画像形成装置の定着ユニット及びその用紙搬送方向上流部を示す部分垂直断面正面図である。図8及び図9は画像形成装置の搬送経路切替部周辺を示す垂直断面図及び斜視図である。図10及び図11は搬送経路切替部の切替部材の斜視図及び切替部材の搬送ガイドへの取り付けを説明するための斜視図である。図12は搬送経路切替部と切替部材との係合箇所を示す水平断面上面図である。なお、この実施形態の基本的な構成は先に説明した第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
第2実施形態の画像形成装置1は、図7に示す定着ユニット200を備える。定着ユニット200は支持フレーム201、定着ローラ202、加圧ローラ203、加熱源204、テンションローラ205及び定着ベルト206を備える。
テンションローラ205は円筒形状を成し、その周面が定着ローラ202の周面と離隔して対向するように定着ローラ202の下方に配置される。テンションローラ205はその回転軸線が定着ローラ202の回転軸線と平行を成し、用紙幅方向に沿って延びる。テンションローラ205は用紙搬送路Q2の用紙幅方向の全域に対応する長さを有する。テンションローラ205は定着ローラ202よりも直径が小さい。テンションローラ205は定着ローラ202及び加圧ローラ203及びと同様に支持フレーム201に回転可能に支持される。
定着ベルト206は無端状に形成され、その用紙幅方向の長さが定着ローラ202及びテンションローラ205と同じである。定着ベルト206は例えばポリイミドフィルムなどから成る基材層に弾性層、離型層などが設けられた積層構造を成す。定着ベルト206は定着ローラ202及びテンションローラ205に巻き掛けられ、定着ニップ部Nfにおいて定着ローラ202と加圧ローラ203との間に挟持される。不図示の付勢機構がテンションローラ205を定着ローラ202に対して離隔する方向(図7における下方)に付勢することで、定着ベルト206に所定の張力が付与される。
定着ユニット200の用紙搬送方向上流側には、図7及び図8に示す搬送経路切替部50が設けられる。搬送経路切替部50は、図7及び図8に示すように正面から見て、定着ユニット200に向かって延びる用紙搬送経路Q2の右方であって、定着ニップ部Nfに対して加圧ローラ203が配置された側に配置される。搬送経路切替部50は、図8及び図9に示すようにガイド基部51、段差部52、切替部材53及び突起部54を備える。
切替部材53はガイド基部51のガイド面51aを覆うようにガイド基部51に取り付けられる。切替部材53は用紙搬送方向及び用紙幅方向に延びる平板状を成し、特に用紙幅方向に比較的長く延びる長手状を成す。切替部材53は用紙搬送経路Q2側の一面として用紙のガイド面53aを有する。ガイド基部51に取り付けられた切替部材53のガイド面53aには用紙搬送経路Q2を通過する用紙が接触することがある。
切替部材53はガイド面53aに対する裏面に、図10〜図12に示す係止片53cを2箇所に備える。2箇所の係止片53cは用紙幅方向に並置される。係止片53cは切替部材53のガイド面53aに対する裏面の略法線方向に向かって突出し、先端に鉤状部を有する。
一方、ガイド基部51は切替部材53の2箇所の係止片53cに対応する箇所各々に開口部51c及び係合部51dを備える。開口部51cはガイド面51aに設けられる。係合部51dは開口部51cの奥側に設けられたリブ構造を成し、切替部材53をガイド基部51に取り付ける際に係止片53cの鉤状部が係合する。切替部材53の係止片53cと、ガイド基部51の開口部51c及び係合部51dとの各々形状は切替部材53がガイド基部51にほぼ密着するように構成される。
また、ガイド基部51及び切替部材53には切替部材53をガイド基部51に固定するための締結部55が設けられる。締結部55は2箇所の係止片53cの箇所を挟むようにして3箇所が用紙幅方向に並置される。締結部55では不図示のねじ等が用いられる。
突起部54はガイド基部51のガイド面51aの用紙搬送方向上流側に設けられる。また、突起部54は切替部材53の用紙搬送方向上流端のさらに上流側に切替部材53に隣接して設けられる。突起部54は用紙幅方向に延び、ガイド基部51のガイド面51aから用紙搬送経路Q2に向かって突出する。そして、突起部54は切替部材53の用紙のガイド面53aに対して予め定めた所定の突出長さを有して用紙搬送経路Q2に向かって突出する。なお、この突起部54の突出長さは用紙搬送経路Q2を通過する用紙の搬送に悪影響を及ぼさない程度の長さを有する。
切替部材53のガイド面53aの用紙搬送方向の下流端にはガイド角部53bが設けられる。ガイド角部53bの用紙搬送経路Q2に対する位置は、予め定めた所定の定着ユニット200の構成要素の形態に対応して設定される。すなわち、第2実施形態における搬送経路切替部50の切替部材53の用紙搬送方向の下流端であるガイド角部53bの用紙搬送経路Q2に対する位置は、一方がベルト状を成して互いが圧して接触する2個の回転部材である定着ベルト206と加圧ローラ203との間に用紙を挟んでトナーを定着させる構成を成す定着ユニット200に対応して設定される。このようにして、切替部材53を利用することで、定着ユニット200の定着ニップ部Nfに向かって延びる用紙搬送経路Q2が好適な経路となるように設定される。
続いて、第2実施形態の定着ユニットの構成の変形例について、図13及び図14を用いて説明する。図13及び図14は定着ユニットの構成の変形例3及び変形例4を示す概略垂直断面正面図である。
図13に示す変形例3の定着ユニット210は支持フレーム211、定着ローラ212、加圧ローラ213、加熱源214、反射板215、テンションローラ216及び定着ベルト217を備える。
加熱源214はテンションローラ216の内部に配置される。加熱源214はテンションローラ216の内部からテンションローラ216の表面を加熱する。
反射板215はテンションローラ216に対して定着ローラ212が配置された側とは反対側の領域のテンションローラ216の外部にテンションローラ216に近接して配置される。反射板215はテンションローラ216と同様に用紙幅方向に沿って延びる。反射板215はその垂直断面がテンションローラ216の軸線を中心としたテンションローラ216の半径よりも大きい半径を有する円弧形状を成し、テンションローラ216が定着ローラ212と対向する領域を除いてテンションローラ216の周囲を覆う。
テンションローラ216はその周面が定着ローラ212の周面と離隔して対向するように、定着ローラ212に対して加圧ローラ213が配置された側とは反対側の領域に配置される。テンションローラ216はその回転軸線が定着ローラ212の回転軸線と平行を成し、用紙搬送路の用紙幅方向の全域に対応する長さを有する。
このような変形例3の定着ユニット210に対して、その用紙搬送方向上流側に先に説明した切替部材53を有する搬送経路切替部50が設けられる。
図14に示す変形例4の定着ユニット220は支持フレーム221、定着ローラ222、加圧ベルト223、加熱源224及び反射板225を備える。
加圧ベルト223は無端状に形成され、その用紙幅方向の長さが定着ローラ222と同じである。加圧ベルト223は例えばポリイミドフィルムなどから成る基材層に弾性層、離型層などが設けられた積層構造を成す。加圧ベルト223は不図示の加圧部材及びテンション部材に巻き掛けられ、定着ニップ部において定着ローラ222と加圧部材との間に挟持される。加圧部材はばね部材等を用いた不図示の加圧機構によって所定の圧力が付与され、加圧ベルト223の周面を定着ローラ222の周面に圧して接触させて定着ニップ部を形成する。不図示の付勢機構がテンションローラ部材を定着ローラ222に対して離隔する方向に付勢することで、加圧ベルト223に所定の張力が付与される。なお、加圧機構が付与する圧力は付勢機構が付与する張力よりも大きい。
加熱源224は定着ローラ222の内部に配置され、内部から定着ローラ222の表面を加熱する。反射板225はその垂直断面が定着ローラ222の軸線を中心とした定着ローラ222の半径よりも大きい半径を有する円弧形状を成し、定着ローラ222が加圧ベルト223と対向する領域を除いて定着ローラ222の周囲を覆う。
このような変形例4の定着ユニット220に対して、その用紙搬送方向上流側に先に説明した切替部材53を有する搬送経路切替部50が設けられる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態の画像形成装置について、図15及び図16を用いて説明する。図15及び図16は画像形成装置の搬送経路切替部周辺を示す斜視図及び部分拡大斜視図である。なお、この実施形態の基本的な構成は先に説明した第2実施形態と同じであるので、第2実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号または同じ名称を付してその説明を省略する場合がある。
第3実施形態の画像形成装置1はその定着ユニット200の用紙搬送方向上流側に、図15及び図16に示す搬送経路切替部60を備える。搬送経路切替部60はガイド基部61、段差部62及び切替部材63を備える。
ガイド基部61のガイド面61aは用紙搬送方向に沿って、その用紙搬送方向の下流端であるガイド角部61bから切替部材63の用紙搬送方向上流側の領域までにわたって面一な平面状を成す。すなわち、搬送経路切替部60には第2実施形態で見られた突起部が形成されていない。
切替部材63は正面から見た垂直断面が、用紙搬送方向の上流側に向かって鋭角を成す楔形状(三角形状)に形成される。ガイド基部61に取り付けられた切替部材63のガイド面63aには、その用紙搬送方向の略中央部から下流側の領域に用紙搬送経路Q2を通過する用紙が接触することがある。
切替部材63のガイド面63aの用紙搬送方向の下流端にはガイド角部63bが設けられる。ガイド角部63bの用紙搬送経路Q2に対する位置は、予め定めた所定の定着ユニット200の構成要素の形態に対応して設定される。切替部材63を利用することで、定着ユニット200の定着ニップ部Nfに向かって延びる用紙搬送経路Q2が好適な経路となるように設定される。
上記の実施形態のように、画像形成装置1は、本体筐体1aと、本体筐体1aに対して着脱可能であるとともに用紙を加熱してトナーを定着させるための定着ユニット100(200)と、定着ユニット100(200)の用紙搬送方向上流側に設けられて定着ユニット100(200)の構成要素の形態に対応して定着ユニット100(200)の用紙搬送方向上流側における用紙搬送経路を変更するための搬送経路切替部50(60)とを備える。
この構成によれば、定着ユニット100(200)が画像形成装置1の本体筐体1aに対して着脱可能であり、搬送経路切替部50が定着ユニット100(200)の構成要素の形態に対応して定着ユニット100(200)の用紙搬送方向上流側における用紙搬送経路Q1(Q2)を変更することができる。したがって、定着ユニットの構成要素の形態が変わった場合であっても、用紙を適正に定着ニップ部Nfに送り込むことができる。これにより、簡便な構成で、適正に用紙を定着ニップ部Nfに送り込むことが可能な画像形成装置1を得ることができる。
また、搬送経路切替部50がその用紙搬送方向の下流端であるガイド角部51bの用紙搬送経路Q1に対する位置が予め定めた所定の定着ユニット100の構成要素の形態に対応して設定されるガイド基部51を備える。
この構成によれば、切替部材53を利用しない場合において、定着ユニット100の定着ニップ部Nfに向かって延びる用紙搬送経路Q1を好適な経路となるように設定することができる。したがって、用紙を適正に定着ニップ部Nfに送り込むことができる。
また、搬送経路切替部50(60)がガイド基部51(61)に対して着脱可能であるとともに搬送中の用紙が接触する切替部材53(63)を備える。
この構成によれば、切替部材53(63)のガイド角部53b(63b)の用紙搬送経路Q2に対する位置が予め定めた所定の定着ユニット200の構成要素の形態に対応して設定される。これにより、切替部材53を利用する場合において、定着ユニット200の定着ニップ部Nfに向かって延びる用紙搬送経路Q2を好適な経路となるように設定することができる。したがって、用紙を適正に定着ニップ部Nfに送り込むことができる。
また、搬送経路切替部50がガイド基部51の用紙搬送方向上流側に設けられて用紙搬送経路Q2に向かって突出する突起部54を備える。
この構成によれば、突起部54の用紙搬送方向下流側に隣接して切替部材53の装着領域が形成される。切替部材53のガイド基部51への取り付けが容易になる。
また、突起部54は切替部材53の用紙のガイド面53aに対して予め定めた所定の突出長さを有して用紙搬送経路Q2に向かって突出する。
この構成によれば、突起部54が切替部材53の用紙のガイド面53aに対して少なくとも用紙搬送経路Q2に向かって突出することで、切替部材53のガイド面53aの用紙搬送方向上流端で用紙が引っ掛かることを防止することができる。さらに、突起部54が予め定めた所定の突出長さを有することで、用紙搬送経路Q2を通過する用紙の搬送に悪影響を及ぼさないようにすることが可能である。
また、搬送経路切替部50は、互いが圧して接触する2個のローラである定着ローラ102と加圧ローラ103との間に用紙を挟んでトナーを定着させる構成を成す定着ユニット100の場合に切替部材53が取り付けられず、一方がベルト状を成して互いが圧して接触する2個の回転部材である定着ベルト206と加圧ローラ203との間に用紙を挟んでトナーを定着させる構成を成す定着ユニット200の場合に切替部材53が取り付けられる。
この構成によれば、定着ユニット100、200の各々の構成要素の形態に対応して定着ニップ部Nfに向かって延びる用紙搬送経路Q1、Q2が好適な経路となるように設定することができる。したがって、定着ユニットの各々のタイプにおいて、用紙を適正に定着ニップ部Nfに送り込むことができる。
また、定着ユニット100(200)の用紙搬送方向上流側における用紙搬送経路Q1(Q2)が上下方向に延びる。
この構成によれば、定着ユニット100(200)の用紙搬送方向上流側において用紙搬送経路Q1(Q2)が上下方向に延びる画像形成装置1において、定着ニップ部Nfに向かって延びる用紙搬送経路Q1(Q2)が好適な経路となるように設定することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、第1及び第2の実施形態、実施例1〜実施例4においてすべて、基礎となる搬送経路切替部50の構成(例えばガイド基部51)が同じであることとしたが、各々の定着ユニットの構成要素の形態に対応させて例えばガイド基部51の構成を変更しても良い。同様に、第2の実施形態、実施例3及び実施例4においてすべて、切替部材53及び突起部54の構成が同じであることとしたが、各々の定着ユニットの構成要素の形態に対応させて切替部材53及び突起部54の構成を変更しても良い。
また、上記実施形態では定着ユニットの用紙搬送方向上流側における用紙搬送経路が上下方向に延びることとしたが、当該領域における用紙搬送経路が横方向或いは斜め方向に延びる場合であっても本発明の構成を適用することが可能である。
また、上記実施形態では画像形成装置1が中間転写ベルト11を用いて複数色の画像を順次重ねて形成する所謂タンデム型のカラー印刷用画像形成装置であるが、このような機種に限定されるわけではなく、タンデム型ではないカラー印刷用画像形成装置やモノクロ印刷用の画像形成装置であっても構わない。