JP6667217B2 - ファウリング抑制剤、水処理用多孔質濾過膜、およびその製造方法 - Google Patents

ファウリング抑制剤、水処理用多孔質濾過膜、およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、多孔質濾過膜に付着させることによりファウリングを効果的に抑制できるファウリング抑制剤、該ファウリング抑制剤が付着している水処理用多孔質濾過膜、およびその製造方法に関する。
最近、限外濾過膜、精密濾過膜、逆浸透膜などの多孔質濾過膜は、飲料水製造、上下水道処理、あるいは廃液処理など、水処理用として多くの産業分野で利用されている。特に、限外濾過膜や精密濾過膜は水質の浄化などに多用されており、ポリフッ化ビニリデンを主材とする多孔質濾過膜が多用されている。ポリフッ化ビニリデン多孔質濾過膜は、透水性や機械的・化学的耐久性に優れるが、疎水性が高いためにファウリングし易いことが問題となっている。
ファウリングとは、原水に含まれるファウラントと呼ばれる原因物質、例えば、難溶性成分や、蛋白質、多糖類などの高分子の溶質、コロイド、微小固形物、微生物などが膜に沈着して透過流速を低下させる現象であり、膜性能低下の主要原因として知られている。
血液浄化の分野においても多孔質濾過膜は使用され、やはり、ファウリングによる膜性能低下の問題が存在し、親水性ポリマーを、多孔質濾過膜に吸着させる方法によって対策が図られている。例えば、特許文献1は、ポリエチレンテレフタレート製不織布等のフィルター材表面に、強疎水性モノマー単位と繰返し単位数2〜4のエチレンオキサイド鎖を有するモノマー単位とを含有するポリマーが存在する白血球選択除去フィルターを開示している。
血液浄化の分野では、濾過膜は、血液粘性のため単位処理膜面当たりの処理量が圧倒的に少ないこと、医療的安全性の点から単回使用(ディスポーザル)を大前提としていることから、使用膜材の耐久性に要求される水準はさほど高くない。つまり、血液の場合、その濾過処理量が、水処理の場合と比較して全く次元の異なった極めて少ない量であり、濾過膜に対する負荷は非常に小さいものと考えられる。
一方、水処理分野の場合は、経済性の点で多孔質濾過膜の繰り返し使用は必須であり、水処理の現場では、ファウリング発生時に次亜塩素酸ナトリウムなどの薬品による洗浄を実施して膜性能の回復を図っている。すなわち、濾過膜に対する負荷が大きいだけでなく、多孔質濾過膜に付着させたポリマーが薬品洗浄によって溶出せず、ファウリング抑制効果が継続して発揮されることが必要という、血液浄化には想定されない異なる課題の解決が必要となる。
よって、血液浄化分野での知見が水処理分野に適用できるか否かについてはこれまで何ら注目も検討もなされていない。
特開2003−164521号公報
本発明の課題は、多孔質濾過膜に付着させることにより、水処理時のファウリングを効果的に抑制することが可能であり、かつ、ファウリング発生時の薬品洗浄に対する耐性の高いファウリング抑制剤を提供することにある。すなわち、薬品洗浄による多孔質濾過膜からの脱離が抑制され、薬品洗浄後も十分なファウリング抑制効果を有するファウリング抑制剤を提供することにある。特に、水処理分野において多用されている、疎水性の高いポリフッ化ビニリデン製多孔質濾過膜への付着性に優れ、上記性能を付与できるファウリング抑制剤を提供することを課題とする。
さらに、ファウリング抑制および耐薬品洗浄性に優れ、繰返しの薬品洗浄後も十分なファウリング抑制効果を有する水処理用多孔質濾過膜、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ファウリング抑制剤として、特定構造及び分子量の共重合体を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔5〕である。
〔1〕下記式(1)の構成単位[A]を10〜80モル%と、下記式(2)の構成単位[B]を20〜90モル%と、を有する重量平均分子量が20,000〜150,000の共重合体からなる水処理用多孔質濾過膜用のファウリング抑制剤。
[式(1)中、R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基、nは〜25の整数である。]
〔2〕前記共重合体が、下記式(3)のアルコキシポリ(オキシエチレン)(メタ)アクリレート10〜80モル%と、n−ブチルメタクリレート20〜90モル%とを含むモノマー組成物を共重合させた共重合体である前記の〔1〕に記載のファウリング抑制剤。
[式(3)中、R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基、nは〜25の整数である。]
〔3〕前記の〔1〕又は〔2〕に記載のファウリング抑制剤および水を含有する液状ファウリング抑制剤組成物。
〔4〕前記の〔1〕又は〔2〕に記載のファウリング抑制剤が多孔質濾過膜に付着している水処理用多孔質濾過膜。
〔5〕前記の〔3〕に記載の液状ファウリング抑制剤組成物と多孔質濾過膜とを接触させて、ファウリング抑制剤を前記多孔質濾過膜に付着させる工程と、
前記接触の後、前記ファウリング抑制剤が付着した多孔質濾過膜を乾燥させる工程と、を含む、
前記ファウリング抑制剤が付着している水処理用多孔質濾過膜の製造方法。
本発明のファウリング抑制剤は、上記特定構造及び分子量を有する共重合体からなり、多孔質濾過膜に付着させることにより、水処理時のファウリングを効果的に抑制することができる。また、ファウリング発生時のアルカリ等の薬品洗浄に対する耐性が高く、薬品洗浄時に多孔質濾過膜から脱離し難いので、薬品洗浄後も十分なファウリング抑制効果を発揮する。
さらに、本発明の水処理用多孔質濾過膜は、付着したファウリング抑制剤が長期間脱離し難いので、繰り返しの薬品洗浄にも耐性が高く、長期にわたって高いファウリング抑制効果を維持することができる。また、本発明の製造方法により、ファウリングを効果的に抑制することが可能であり、ファウリングが生じた時に使用するアルカリ等の薬品に対する耐薬品性が付与された水処理用多孔質濾過膜を製造することができる。
実施例1〜7および比較例1〜5においてファウリング効果確認試験を行ったラボ試験装置の概略を示す概略図である。 実施例8および比較例7、8においてファウリング効果確認試験を行ったMBR試験装置の概略を示す概略図である。 実施例8および比較例7のファウリング効果確認試験を行った結果のグラフ図である。 実施例8および比較例8のファウリング効果確認試験を行った結果のグラフ図である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のファウリング抑制剤は、上記式(1)および(2)に示す構成単位[A]および[B]を有する共重合体であり、例えば、アルコキシポリ(オキシエチレン)(メタ)アクリレート(以後、PEGモノマーと称する場合がある)10〜80モル%と、n−ブチルメタクリレート(以後、BMAと略称する場合がある)20〜90モル%とを含むモノマー組成物を共重合させた、重量平均分子量(Mw)が20,000〜150,000の共重合体である。好ましくは、PEGモノマーおよびBMAからなる共重合体である。
PEGモノマーは、共重合体に親水性を付与するモノマーであり、上記式(3)に示すモノマーである。ここで、R2はC1〜C4のアルキル基が好ましい。また、nは2〜25の整数である。好ましくはnが5〜25である。共重合体の親水性がより好ましい範囲となるからである。nが25を超えると、PEGモノマー部分による共重合体の側鎖が長くなるために、多孔質濾過膜と親和性の高いBMAと膜との相互作用が抑制され、膜に付着しにくくなる。なお、n=1であると共重合体の親水性が不十分となる。
BMAは共重合体の疎水性部を形成し、多孔質濾過膜との親和性が高く、共重合体中のBMA部分で多孔質濾過膜に付着する。
なお、共重合体を形成した後の構成単位[A]および[B]はもはやモノマーではないが、便宜上、各構成単位を各モノマー名で称することとする。
共重合体において、PEGモノマーの共重合モル比が10モル%未満で、BMAの共重合モル比が90モル%を超える場合には、共重合体の親水性が低くなるために、多孔質濾過膜に付着させても十分なファウリング抑制効果を示さないおそれがある。
一方、PEGモノマーの共重合モル比が80モル%を超え、BMAの共重合モル比が20モル%未満の場合には、多孔質濾過膜に吸着し得るBMAが少なくなるために、やはり十分なファウリング抑制効果を示さないおそれがある。
共重合体のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による、標準ポリエチレングリコールを用いて換算した値として、20,000以上150,000以下である。Mwが20,000未満の場合には、水処理中に多孔質濾過から脱離して処理液中に溶出するおそれがあり、150,000を超える場合は水に難溶で、多孔質濾過膜への付着処理を実施できないおそれがある。
該共重合体は交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体等いずれの構造であってもよく、これらの共重合体の混合物でもよい。
また、その重合方法としては、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等公知の方法を用いることができる。
本発明の共重合体の共重合反応に用いる溶媒としては、上記重合方法を実施できるものであれば特に制限はない。例えば、溶液重合の場合はPEGモノマーおよびBMAが溶解又は懸濁すればよく、具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、クロロホルムまたはこれら2種以上の混合液等を例示できる。
また、重合反応に用いる開始剤としては、通常の開始剤ならばいずれを用いてもよく、例えば、ラジカル重合の場合は脂肪族アゾ化合物や有機過酸化物を用いることができる。
本発明のファウリング抑制剤は、水溶性である前記共重合体からなるので、水で希釈し、所望により下記各種添加剤を加えて液状ファウリング抑制剤組成物として用いることができる。該液状ファウリング抑制剤組成物は、輸送上できる限り高濃度であることが望ましい。ただし、高濃度になるにつれ高粘度となり、ハンドリング性や水での希釈性が悪くなる傾向があるので、全固形分濃度として1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。なお、共重合反応に水溶媒を使用した場合は、当該水溶媒をそのまま希釈水としてもよい。
希釈用の水は、通常、水道水や精製水等を用いることができる。また、本発明の効果を損なわない程度で有機溶媒を混合してもよい。用いられる有機溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類がある。
液状ファウリング抑制剤組成物には、必要に応じて各種添加成分を含有させることができる。例えば、pHを安定させるためのリン酸塩などの緩衝液成分、あるいは多孔質濾過膜への浸透性を向上するための活性剤成分や次亜塩素酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウムなどの洗浄・抗菌成分が挙げられる。
つづいて、本発明の水処理用多孔質濾過膜について説明する。
本発明の水処理用多孔質濾過膜は、多孔質濾過膜に本発明のファウリング抑制剤が付着されているものである。本発明に用いる多孔質濾過膜としては、ポリフッ化ビニリデン製多孔質濾過膜、ポリスルホン製多孔質濾過膜、ポリエーテルスルホン製多孔質濾過膜などを挙げることができる。
これら多孔質濾過膜は、親水性ポリマーなどの親水化剤があらかじめコートされていても良い。また、多孔質濾過膜の形態は、中空糸状、チューブ状、フィルム(膜)状等どのような形態でも良い。このような形態の多孔質濾過膜の製造は、公知の方法により行うことができる。
本発明のファウリング抑制剤は、未使用の多孔質濾過膜に付着処理させる以外に、水処理場で使用中の多孔質濾過膜に付着処理させることもできる。ただし、水処理場で使用中の多孔質濾過膜に付着処理させる場合は、濾過膜を予め公知の方法で洗浄し、ファウラントをできるだけ除去しておくことが望ましい。
本発明の水処理用多孔質濾過膜の製造方法は、前記液状ファウリング抑制剤組成物と多孔質濾過膜とを接触させて、ファウリング抑制剤を前記多孔質膜に付着させる工程と、前記接触後、前記ファウリング抑制剤が付着した多孔質濾過膜を乾燥させる工程と、を含む。
前記接触によってファウリング抑制剤を前記多孔質膜に付着させる方法としては、例えば、液状ファウリング抑制剤組成物もしくはその水希釈物に多孔質濾過膜を浸漬する方法、または多孔質濾過膜を濾過機に固定し、液状ファウリング抑制剤組成物もしくはその水希釈物を多孔質濾過膜に通液して濾過する方法が挙げられる。あるいは、水処理場の設備を使用して液状ファウリング抑制剤組成物もしくはその水希釈物を接触させてもよい。以後、特に断らない限り、液状ファウリング抑制剤組成物と称した場合、必要に応じてその水希釈物も含むものとする。
前記接触させる際の条件は、本発明の効果が得られるように、ファウリング抑制剤の付着により多孔質濾過膜表面を改質しうる範囲で適宜選択することができる。該接触条件としては、液状ファウリング抑制剤組成物を温度20〜60℃で1〜120分間、多孔質濾過膜に接触させる条件が挙げられる。また、液状ファウリング抑制剤組成物のpHは、2.0〜9.0の範囲に保持することが好ましい。
液状ファウリング抑制剤組成物と多孔質濾過膜とを接触させる際、液状ファウリング抑制剤組成物中の共重合体の濃度が0.0001〜1質量%、好ましくは0.001〜0.5質量%となるように濃度調整して使用することが好ましい。0.0001質量%未満の場合は、十分なファウリング抑制効果を示さないおそれがある。1質量%を超える場合は、多孔質濾過膜の孔がファウリング抑制剤である共重合体で閉塞し、透水量が低くなるおそれがある。
上記接触処理後のファウリング抑制剤が付着した多孔質濾過膜を、例えば、通風下、40〜70℃で1〜18時間乾燥させることにより、本発明の水処理用多孔質濾過膜を製造することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明する。
まず、ファウリング抑制剤である共重合体の合成例を以下に示す。
合成例1;共重合体P1
PEGモノマーとして、nが約9である、メトキシポリ(オキシエチレン)メタクリレート[ブレンマー(登録商標)PME−400、日油(株)製]16.78g(0.0338モル)、およびn−ブチルメタクリレート(BMA)11.22g(0.0789モル)をエタノール252.00gに溶解し、4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ。続いて、重合開始剤としてパーブチル(登録商標)−ND[日油(株)製]0.01gを添加し、60℃で3時間、70℃で2時間重合した。重合終了後、エタノールを良溶媒として、アセトンを貧溶媒として再沈精製し、加熱乾燥させ、共重合体P1を得た。P1のMwを以下に示す方法で測定した。
PEGモノマーおよびP1の構成、重合条件、並びにP1のMwを表1に示す。
<分子量測定>
合成によって得られた共重合体水溶液を1.0w/v%になるよう20mMリン酸バッファー(pH7.4)で希釈し、この溶液を0.45μmのメンブランフィルターで濾過して試験溶液とし、GPCによりMwを測定・算出した。なお、GPC分析の測定条件は次のとおりである。
<GPC分析の測定条件>
カラム;G3000PWXLおよびG6000PWXLを直列に配列(東ソー(株)製)、溶離溶媒;20mMリン酸バッファー(pH7.4)、標準物質;ポリ(オキシエチレン)(Polymer Laboratories Ltd.製)、検出;示差屈折計RI−8020(東ソー(株)製)、流速;0.5mL/分、試料溶液使用量;10μL、カラム温度;45℃。
合成例2〜7;共重合体P2〜P7
表1に示すPEGモノマー、PEGモノマー/BMA共重合比、および重合条件とした以外は、合成例1と同様にして共重合反応を行い、共重合体P2〜P7を得た。また、P1と同様にしてMwを測定した。結果を表1に示す。
なお、表1中のPEGモノマーにおいて、ブレンマー(登録商標)シリーズは日油(株)製、ライトエステルBCおよびライトアクリレートEC−Aは共栄社化学(株)製である。
比較合成例1〜5;共重合体Q1〜Q5
表2に示すPEGモノマー、PEGモノマー/BMA共重合比、および重合条件とした以外は、合成例1と同様にして共重合反応を行い、共重合体Q1〜Q5を得た。また、P1と同様にしてMwを測定した。結果を表2に示す。
なお、表2中のPEGモノマーにおいて、ブレンマー(登録商標)シリーズは日油(株)製、ライトエステル 041MAは共栄社化学(株)製である。
実施例1
液状ファウリング抑制剤組成物として、共重合体P1を精製水に0.5質量%濃度で溶解したP1水溶液(pH6.80)を調製した。このP1水溶液に、自製したポリフッ化ビニリデン製の中空糸状多孔質濾過膜(内径/外径:0.8/1.2mm、空孔率70%)を室温で1時間浸漬した。余剰の共重合体を除去するために、浸漬後の多孔質濾過膜を10分間純水で洗浄し、通風下、50℃で1時間乾燥させ、P1が付着した中空糸状水処理用多孔質濾過膜(以後、単に水処理用多孔質濾過膜と称する。)を調製した。得られた水処理用多孔質濾過膜を用いて以下に示す2つのファウリング抑制試験を行った。
(1)ラボ評価装置での薬品洗浄前のファウリング抑制試験
ラボ評価装置の概略図を図1に示す。調製した水処理用多孔質濾過膜1にBOD500mg/Lの活性汚泥槽水(高負荷の汚染原水)2を、クロスフロー方式、圧力0.5atm、流速16mL/min、液温15℃で3時間送液して通過させ、透水開始時の透水量F0(L)と透水開始から3時間経過後の透水量F3(L)から透水量低下率(%)を算出した。
薬品洗浄前透水量低下率(%)=[(F0−F3)/F0]×100
結果を表3に示した。
(2)ラボ評価装置での薬品洗浄後のファウリング抑制試験
(1)の薬品洗浄前のファウリング抑制試験後、0.6%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に、該試験後の水処理用多孔質濾過膜1を浸漬させて18時間放置し、その後純水を30分間通水させることにより、薬品洗浄処理を行った。洗浄後の水処理用多孔質濾過膜1に、(1)と同様に汚染原水2を送液して通過させ、透水開始時の透水量F0(L)と透水開始から3時間経過後の透水量F3’(L)から、以下の式で薬品洗浄後透水量低下率(%)を算出した。
薬品洗浄後透水量低下率(%)=[(F0―F3’)/F0]×100
結果を表3に示した。
実施例2〜7
各々共重合体P2〜P7を使用した以外は実施例1と同様にして、それぞれP2〜P7が付着した水処理用多孔質濾過膜1を調製し、実施例1と同様に(1)および(2)のファウリング抑制試験を行った。
結果を表3に示した。
比較例1
ファウリング抑制剤が付着していない自製のポリフッ化ビニリデン製の中空糸状多孔質濾過膜を使用した以外は、実施例1と同様にして(1)および(2)のファウリング抑制試験を行った。
結果を表3に示した。
比較例2〜6
各々共重合体Q1〜Q5を使用した以外は実施例1と同様にして、それぞれQ1〜Q5が付着した比較例の水処理用多孔質濾過膜1を調製し、実施例1と同様に(1)および(2)のファウリング抑制試験を行った。
結果を表3に示した。
表3から明らかなように、実施例1〜7は、(1)薬品洗浄前のファウリング抑制試験、および(2)薬品洗浄後のファウリング抑制試験のいずれにおいても、透水量低下率が比較例1〜6よりも小さかった。即ち、本発明のファウリング抑制剤の例である共重合体P1〜P7が付着した水処理用多孔質濾過膜は、比較例で調製された多孔質濾過膜に比較して良好にファウリングを抑制することが認められた。さらに、薬品洗浄後もファウリングを良好に抑制することから耐薬品性にも優れていることが認められた。
一方で、比較例1においては、多孔質濾過膜が如何なる処理もされていないため、ファウラントの吸着防止及び除去が不十分であり、薬品洗浄前後ともに透水量低下率は実施例に比べて大きかった。また、比較例2〜6においては、比較例用の共重合体では実施例の共重合体と比較してファウリング抑制効果が低いものであった。
実施例8
液状ファウリング抑制剤組成物として、共重合体P1を精製水に0.5質量%濃度で溶解したP1水溶液(pH6.80)を調製した。このP1水溶液に、自製したポリフッ化ビニリデン製の平膜状多孔質濾過膜(孔径0.3μm)を室温で1時間浸漬した。余剰の共重合体を除去するために10分間純水で洗浄し、通風下、50℃で1時間乾燥させ、P1が付着した平膜状水処理用多孔質濾過膜を調製した。得られた平膜状水処理用多孔質濾過膜を用いて以下に示すMBR評価装置でのファウリング抑制試験を行った。
(3)膜分離活性汚泥法(MBR)評価装置でのファウリング抑制試験
MBR評価装置の概略図を図2に示す。調製した平膜状水処理用多孔質濾過膜を、塩化ビニル製の板の両面に貼り付け膜モジュール3を作製した。容量が0.05m3のMBR評価装置内に2枚の膜モジュール3を設置した。なお、図2では2枚の膜モジュールを簡略化して一つの直方体で表した。
次に、MBR評価装置内にMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)が10,000mg/L程度の汚泥を投入した。次いで、MBR評価装置下部よりブロワーを用いて50L/minの空気を送風させながら、BOD負荷500mg/Lの原水をMBR評価装置上部より容積負荷量0.9(kg/m3・日)で滴下した。続いて、膜モジュール3の膜処理流量が0.8m/日となるようクロスフロー式に吸引ポンプで吸引し、膜モジュールの膜間差圧の経時変化を60日間測定した。
また、膜間差圧が10kPa到達時に平膜状水処理用多孔質濾過膜をMBR評価装置から取り外し、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液で満たした薬品洗浄槽に設置した。次に、平膜状水処理用多孔質濾過膜に0.1%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2時間循環濾過し、次いで、次亜塩素酸ナトリウムを除くため純水を30分間循環濾過させることにより、薬品洗浄処理を行った。
このようにして薬品洗浄処理した平膜状水処理用多孔質濾過膜を、再びMBR評価装置に設置して上記試験を繰り返した。また、膜間差圧が10kPaに到達する毎に薬品洗浄処理を行った。
膜間差圧(膜モジュール2枚の平均値)の経時変化を図3と図4に示す。
比較例7
ファウリング抑制剤が付着していない自製のポリフッ化ビニリデン製の平膜状多孔質濾過膜を張り付けた膜モジュール4を使用した以外は、実施例8と同様にしてMBR評価装置でのファウリング抑制試験を行った。なお、図2に示すように比較例7及び次の比較例8は実施例8と同時に当該ファウリング抑制試験を行った。
比較例7の膜間差圧(膜モジュール2枚の平均値)の経時変化を図3に示す。
比較例8
共重合体Q3を使用した以外は実施例8と同様にして、Q3が付着した比較例の平膜状水処理用多孔質濾過膜、および膜モジュール5を調製し、実施例8と同様にしてMBR評価装置でのファウリング抑制試験を行った。
比較例8の膜間差圧(膜モジュール2枚の平均値)の経時変化を図4に示す。
図3から、実施例8の平膜状水処理用多孔質濾過膜を用いた膜モジュール3は薬品洗浄前、薬品洗浄後のいずれにおいても、比較例7の膜モジュール4と比べて膜間差圧の上昇が少なく、ファウリング抑制効果が高いことが判る。また、平膜状水処理用多孔質濾過膜を用いた膜モジュール3は、繰返しの薬品洗浄後もファウリング抑制効果が維持されることが認められた。
また、実施例8の平膜状水処理用多孔質濾過膜は、適切な薬品洗浄により、60日間にわたり膜間差圧の上昇を抑制できた。60日間の全濾過処理量から単位膜面積あたりの積算処理量を計算すると、48m3/m2となった。
なお、血液浄化の分野においては、濾過膜の濾過処理量は約0.02〜0.03m3/m2が一般的であることが知られており、当該量の処理後には廃棄されている。
よって、本発明の平膜状水処理用多孔質濾過膜3は、血液浄化の分野の標準的な単回処理量の約1600〜2400倍の処理に対する耐久性が証明された。
さらに、図4から、実施例8の平膜状水処理用多孔質濾過膜を用いた膜モジュール3は、比較例8の膜モジュール5と比べて薬品洗浄後の膜間差圧の上昇が少なく、耐薬品性に優れていることが認められた。
1 水処理用多孔質濾過膜または比較例用の多孔質濾過膜
2 活性汚泥槽水(汚染原水)
3 実施例8の膜モジュール
4 比較例7の膜モジュール
5 比較例8の膜モジュール

Claims (5)

  1. 下記式(1)の構成単位[A]を10〜80モル%と、下記式(2)の構成単位[B]を20〜90モル%と、を有する重量平均分子量が20,000〜150,000の共重合体からなる水処理用多孔質濾過膜用のファウリング抑制剤。
    [式(1)中、R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基、nは〜25の整数である。]
  2. 前記共重合体が、下記式(3)のアルコキシポリ(オキシエチレン)(メタ)アクリレート10〜80モル%と、n−ブチルメタクリレート20〜90モル%とを含むモノマー組成物を共重合させた共重合体である請求項1に記載のファウリング抑制剤。
    [式(3)中、R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基、nは〜25の整数である。]
  3. 請求項1又は2に記載のファウリング抑制剤および水を含有する液状ファウリング抑制剤組成物。
  4. 請求項1又は2に記載のファウリング抑制剤が多孔質濾過膜に付着している水処理用多孔質濾過膜。
  5. 請求項3に記載の液状ファウリング抑制剤組成物と多孔質濾過膜とを接触させて、ファウリング抑制剤を前記多孔質濾過膜に付着させる工程と、
    前記接触の後、前記ファウリング抑制剤が付着した多孔質濾過膜を乾燥させる工程と、を含む、
    前記ファウリング抑制剤が付着している水処理用多孔質濾過膜の製造方法。
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