(本発明の概念図)
図1は、本発明に係る温度検出回路を含む回路装置の概念図である。以下、本発明の回路装置200の概念図について図面を参照しながら説明する。なお、同一機能を有するものについては同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1の本発明に係る回路装置200は、温度検出回路100、出力段30及び負荷90を含む。温度検出回路100は、温度検出用のリーク素子1、負荷素子2、電流増幅回路10及び検出回路20を含む。
リーク素子1は、電源端子(高電位端子)VCCと電流増幅回路10の入力ノードN1との間に接続される。リーク素子1は、電流増幅回路10の電流源として用いられる。リーク素子1としては、例えば、PMOSトランジスタ(Pチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、NMOSトランジスタ(Nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)、等が用いられる。
負荷素子2は、電源端子(高電位端子)VCCと電流増幅回路10の出力ノードN2との間に接続される。負荷素子2は、電流増幅回路10の負荷として用いられる。負荷素子2としては、例えば、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタ等が用いられる。
電流増幅回路10は、リーク素子1によるリーク電流Ileakを増幅し、リーク電流Ileak以上の電流I1を出力ノードN2に流す。電流増幅回路10は、例えば、ウィルソン形のカレントミラー回路、ベース電流補償形のカレントミラー回路(3トランジスタ形のカレントミラー回路)、カスコード形のカレントミラー回路等で構成される。なお、ウィルソン形のカレントミラー回路、電流補償形のカレントミラー回路(3トランジスタ形のカレントミラー回路)、及びカスコード形のカレントミラー回路については後述する。また、本明細書において、リーク電流Ileakは、サブスレッショルドリーク電流を指している。
検出回路20は、出力ノードN2と温度検出回路100の外部の出力段30の制御端子との間に接続される。検出回路20は、電流I1に基づいて動作し、駆動電圧E20を出力する。検出回路20としては、例えば、PNPトランジスタが用いられる。
出力段30の入力端子には入力電圧Vinが印加される。出力段30の出力端子は、出力端子OUTに接続される。出力段30は、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成し、出力電圧Voutを出力端子OUTに出力する。入力電圧Vinは、例えば、2.5Vから100Vである。出力電圧Voutは、例えば、0.6Vから40Vである。なお、電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccと入力電圧Vinとが異なる場合には、検出回路20と出力段30との間にレベルシフト回路が設けられる場合がある。例えば、入力電圧Vinが電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccよりも高い場合には、出力段30の動作を確実に停止させるためにレベルシフト回路が設けられる。出力段30は、例えば、シリーズレギュレータ、シャントレギュレータ、降圧型同期整流方式DC/DCコンバータ等で構成される。なお、検出回路20と出力段30との間に、検出回路20による信号を受けて動作し、出力段30の動作を停止させる図示しない停止回路が設けられても良い。停止回路としては、出力段30の動作の停止後一定の温度まで低下すると停止動作を解除するヒステリシスタイプ、出力段30の動作の停止後も停止動作を解除しないラッチオフタイプ、及び出力段30の動作の停止後一定期間後に停止動作を解除するヒカップタイプ等が用いられる。なお、シリーズレギュレータ、シャントレギュレータ、降圧型同期整流方式DC/DCコンバータについては後述する。
負荷90は、出力端子OUTに接続される。負荷90は、例えば、CPU、MPU、センサ、モータ等である。
常温時には、リーク素子1から電流増幅回路10にリーク電流Ileakが流れない。そのため、電流増幅回路10で電流I1が生成されず、出力ノードN2に電流I1が流れない。その結果、検出回路20が駆動電圧E20を出力しないため、出力段30は、図示しない制御回路により正規状態で動作する。そのため、出力段30は、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成し、出力電圧Voutを出力端子OUTに接続された負荷90に供給する。
一方、高温時には、リーク素子1から電流増幅回路10にリーク電流Ileakが流れる。そのため、電流増幅回路10でリーク電流Ileak以上の電流I1が生成され、出力ノードN2に電流I1が流れる。その結果、検出回路20は、駆動電圧E20を出力し、出力段30の動作を停止させる。そのため、出力電圧Voutが出力端子OUTに接続された負荷90に供給されなくなり、負荷90の劣化等、自己発熱によるICの劣化等が防止される。
次に、図1の本発明に係る温度検出回路を含む回路装置200の具体的な回路構成について説明する。
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るシリーズレギュレータの回路図である。以下、本発明の第1の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200aについて図面を参照しながら説明する。
図2の本発明の第1の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200aは、温度検出回路100a、出力段30a、負荷90を含む。温度検出回路100aは、温度検出用のリーク素子1a、負荷素子2a、カレンミラー回路からなる電流増幅回路10a、及び検出回路20aを含む。
リーク素子1aは、PMOSトランジスタQ1を含む。負荷素子2aは、PMOSトランジスタQ2を含む。電流増幅回路10aは、NMOSトランジスタQ11a及びNMOSトランジスタQ12aを含む。検出回路20aは、PNPトランジスタQ20を含む。出力段30aは、PMOSトランジスタQ30を含む。
リーク素子1aのPMOSトランジスタQ1のゲートG、及びPMOSトランジスタQ1のソースSは、共通に接続され、電源端子(高電位端子)VCCに接続される。PMOSトランジスタQ1のドレインDは、電流増幅回路10aの入力ノードN1に接続される。PMOSトランジスタQ1は、電流増幅回路10aの電流源を構成する。なお、PMOSトランジスタQ1の代わりに、例えば、NMOSトランジスタが用いられてもよい。
負荷素子2aのPMOSトランジスタQ2のソースSは、電源端子(高電位端子)VCCに接続される。PMOSトランジスタQ2のゲートGは、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。また、PMOSトランジスタQ2のドレインDは、電流増幅回路10aの出力ノードN2に接続される。PMOSトランジスタQ2は、カレントミラー回路の能動負荷を構成する。負荷素子2aのPMOSトランジスタQ2の抵抗値は、例えば、1kΩから数十kΩである。なお、PMOSトランジスタQ2のゲートGは、必ずしも接地端子GNDに接続される必要はなく、PMOSトランジスタQ2のゲートG−ソースS間電圧Vgsがしきい値電圧Vth以上になるように、電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccよりも十分に低い電位の低電位端子に接続されればよい。
電流増幅回路10aのNMOSトランジスタQ11aのドレインD、NMOSトランジスタQ11aのゲートG、及びNMOSトランジスタQ12aのゲートGは共通に接続され、電流増幅回路10aの入力ノードN1に接続される。NMOSトランジスタQ12aのドレインDは、電流増幅回路10aの出力ノードN2に接続される。また、NMOSトランジスタQ11aのソースS、及びNMOSトランジスタQ12aのソースSは、共通に接続され、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。NMOSトランジスタQ11a及びNMOSトランジスタQ12aによりカレントミラー回路が構成される。
NMOSトランジスタQ12aには、NMOSトランジスタQ11aと物理的なサイズが同じ大きさのNMOSトランジスタが複数個用いられる。これにより、電流増幅回路10aは、電流増幅度がN倍になるように構成される。このように、電流増幅回路10aは、リーク電流Ileakを電流増幅度N倍(N≧1)に増幅して、リーク電流Ileak以上の電流I1を出力ノードN2に流す。なお、NMOSトランジスタQ12aの物理的なサイズは、NMOSトランジスタQ11aの物理的なサイズ以上のNMOSトランジスタ1個で構成されてもよい。
NMOSトランジスタQ12aとしてNMOSトランジスタQ11aと物理的なサイズが同じ大きさのNMOSトランジスタが複数個用いられる場合において、リーク電流をIleak、電流増幅度をN、出力ノードN2に流れる電流をI1とすると、電流I1は、I1=Ileak×Nにより求められる。
また、NMOSトランジスタQ12aの物理的なサイズをNMOSトランジスタQ11aの物理的なサイズよりも大きくする場合において、NMOSトランジスタQ11aのチャネル幅W11aとチャネル長L12aとの比をa1=L11a/W11aとし、NMOSトランジスタQ12aのチャネル幅W12aとチャネル長L12aとの比をa2=L12a/W12aとすると、電流増幅回路10aの電流増幅度Nは、N=a2/a1となる。したがって、NMOSトランジスタQ11a及びNMOSトランジスタQ12aのチャネル幅及びチャネル長の比を適宜設定することにより電流増幅度Nを所望する値に設定することが可能である。
検出回路20aのPNPトランジスタQ20のエミッタEは、電源端子(高電位端子)VCCに接続される。検出回路20aのPNPトランジスタQ20のベースBは、電流増幅回路10aの出力ノードN2に接続される。PNPトランジスタQ20のコレクタCは、温度検出回路100aの出力端子T1に接続される。検出回路20aは、電流I1に基づいて動作し、駆動電圧E20を出力端子T1に出力する。
出力段30aのPMOSトランジスタQ30のゲートGは、温度検出回路100aの出力端子T1に接続される。PMOSトランジスタQ30のソースSには、入力電圧Vinが印加される。PMOSトランジスタQ30のドレインDは、出力端子OUTに接続される。PMOSトランジスタQ30は、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成し、出力電圧Voutを出力端子OUTに出力する。入力電圧Vinは、例えば、2.5Vから100Vである。出力電圧Voutは、例えば、0.6Vから40Vである。なお、電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccと入力電圧Vinとが異なる場合には、検出回路20aと出力段30aとの間にレベルシフト回路が設けられる場合がある。例えば、入力電圧Vinが電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccよりも高い場合には、出力段30の動作を確実に停止させるためにレベルシフト回路が設けられる。
出力端子OUTには、負荷90が接続される。負荷90は、例えば、CPU、MPU、センサ、モータ等である。
例えば、25℃程度の常温時には、リーク素子1aであるPMOSトランジスタQ1から電流増幅回路10aにリーク電流Ileakが流れない。そのため、電流増幅回路10aで電流I1が生成されず、出力ノードN2に電流I1が流れない。また、PMOSトランジスタQ2のゲートGが接地端子(低電位端子)GNDに接続されているため、PMOSトランジスタQ2のソースS−ドレインD間にチャネルが形成されている。その結果、出力ノードN2の電位が電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccとなり、検出回路20aのPNPトランジスタQ20のベースB及びエミッタEがほぼ同じ電位となる。PNPトランジスタQ20のエミッタE−ベースB間電圧VebがPNPトランジスタQ20のエミッタE−ベースB間順方向電圧Vfを下回っているため、検出回路20aであるPNPトランジスタQ20はオフ状態となり、駆動電圧E20を出力しないため、出力段30aのPMOSトランジスタQ30は、図示しない制御回路により正規状態で動作する。そのため、出力段30aのPMOSトランジスタQ30は、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成し、出力電圧Voutを出力端子OUTに接続された負荷90に供給する。このように、通常動作時には、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ等の能動素子が電流を流さないため、温度検出回路100aの消費電力はほぼ0になる。
一方、例えば、125℃〜175℃程度の高温時には、リーク素子1aであるPMOSトランジスタQ1から電流増幅回路10aにリーク電流Ileakが流れる。そのため、電流増幅回路10aでリーク電流Ileak以上の電流I1(=Ileak×N)(N≧1)が生成され、出力ノードN2に電流I1が流れる。電流I1とPMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronにより、出力ノードN2の電位Vn2が低下し、検出回路20aのPNPトランジスタQ20のベースBの電位Vn2が低下する。PNPトランジスタQ20のエミッタE−ベースB間電圧VebがPNPトランジスタQ20のエミッタE−ベースB間順方向電圧Vfを上回ると、PNPトランジスタQ20は、オン状態となり、駆動電圧E20を出力し、出力段30aのPMOSトランジスタQ30の動作を停止させる。そのため、出力段30aのPMOSトランジスタQ30から出力端子OUTに接続された負荷90に出力電圧Voutが供給されなくなり、負荷90の劣化等、自己発熱によるICの劣化等が防止される。
ここで、PNPトランジスタQ20のエミッタE−ベースB間順方向電圧をVf、電流増幅回路10aの電流増幅度をN、リーク電流Ileakの電流値をIleak、PMOSトランジスタQ2のオン抵抗をRonとすると、PNPトランジスタQ20がオン状態になるための条件は、Vf<N・Ileak・Ronとなる。
例えば、175℃で温度検出回路100aを動作させる場合において、175℃におけるPMOSトランジスタQ1のリーク電流Ileak=1μA、PNPトランジスタQ20のエミッタE−ベースB間順方向電圧Vf=0.4V、PMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ron=15kΩとすると、PNPトランジスタQ20をオンさせるために必要な電流I1は、I1=27μAとなる。ここで、Ileak=1μAであり、I1=27μAであるため、PNPトランジスタQ20をオンさせるために必要な電流増幅度Nは、N=27となる。したがって、PMOSトランジスタQ12aは、PMOSトランジスタQ11aの27倍の電流増幅度Nが要求される。
本発明では、リーク素子1aとしてPMOSトランジスタQ1を用い、負荷素子2aとしてPMOSトランジスタQ2を用いている。IC毎のMOSトランジスタのしきい値電圧Vthは、製造上ばらつきが生じる。それにより、PMOSトランジスタQ1によるリーク電流Ileak及びPMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronは、PMOSトランジスタQ1及びPMOSトランジスタQ2のしきい値電圧Vthのばらつきに依存してばらつく。PMOSトランジスタQ1及びPMOSトランジスタQ2のしきい値電圧Vthが低い場合には、PMOSトランジスタQ1によるリーク電流Ileakは大きくなり、PMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronは低くなる。一方、PMOSトランジスタQ1及びPMOSトランジスタQ2のしきい値電圧Vthが高い場合には、PMOSトランジスタQ1によるリーク電流Ileakは小さくなり、PMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronは高くなる。そのため、PMOSトランジスタQ1によるリーク電流Ileakを増幅した電流I1がPMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronに流れることにより発生する電源端子(高電位端子)VCC−ノードN2間の電圧(Ileak×N×Ron)のばらつきは抑えられる。そのため、所定の温度でのIC毎のノードN2の電位Vn2のばらつきは抑えられる。これにより、リーク電流Ileakがばらついても周囲温度毎のノードN2の電位Vn2の変動が抑えられるため、検出温度のばらつきを抑えることができる。
図3は、一般的なMOSトランジスタのしきい値電圧Vthとドレイン電流Idとの関係を定性的に示す模式的特性図である。以下、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthとドレイン電流Idとの関係について図面を参照しながら説明する。
横軸は、MOSトランジスタのゲートG−ソースS間電圧Vgsを示す。縦軸は、MOSトランジスタのドレイン電流Idを示す。縦軸に示す電流Id1は、MOSトランジスタにドレイン電流Idが流れ始める点を示す。
図3に示すように、MOSトランジスタで構成された半導体集積回路(IC)においては、製造上各種パラメータにばらつきが生じる。各種パラメータの中1つにMOSトランジスタのしきい値電圧Vthがある。
サンプルSa1は、標準的なしきい値電圧Vttypを有する。そのため、サンプルSa1では、ゲートG−ソースS間電圧Vgsがしきい値電圧Vttypを上回るとドレイン電流Id1が流れ始める。
サンプルSa2は、サンプルSa1の標準的なしきい値電圧Vttypよりも低い製造上許容されるしきい値電圧Vtminを有する。そのため、サンプルSa2では、ゲートG−ソースS間電圧Vgsがしきい値電圧Vtminを上回ると電流Id1が流れ始める。
サンプルSa3は、サンプルSa1の標準的なしきい値電圧Vttypよりも高い製造上許容できるしきい値電圧Vtmaxを有する。そのため、サンプルSa3では、しきい値電圧Vtmaxで電流Id1が流れ始める。
サブスレッショルドオフリーク電流(リーク電流)は、MOSトランジスタのゲートG−ソースS間電圧VgsがVgs=0VのときにドレインDとソースSとの間に流れる電流である。したがって、サンプルSa1のリーク電流は電流値Ileak1となる。サンプルSa2のリーク電流は、サンプルSa1のリーク電流の電流値Ileak1よりも大きい電流値Ileak2となる。サンプルSa3のリーク電流は、サンプルSa1のリーク電流の電流値Ileak1よりも小さい電流値Ileak3となる。
以上のように、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthの高さとリーク電流Ileakの大きさとは反比例の関係にある。
図4は、本発明の第1の実施の形態の温度検出回路100aのPMOSトランジスタQ1及びPMOSトランジスタQ2の特性を示す模式的特性図である。しきい値電圧Vthとリーク電流Ileakとの関係、しきい値電圧Vthとオン抵抗Ronとの関係、及びリーク電流Ileakとオン抵抗Ronとの関係について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明に関わらず一般的な、しきい値電圧Vthとリーク電流Ileakとの関係について説明する。MOSトランジスタQ1のリーク電流Ileakとしきい値電圧Vthとの関係は、リーク流をIleak、しきい値電圧をVth、サブスレッショルド係数をSとすると、以下の関係式で表される。
Ileak∝exp(−Vth(S/In10))・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
また、サブスレッショルド係数Sは、ゲートG−ソースS間電圧をVgs、ドレイン電流をIdとすると、以下の関係式で表される。
S=ΔVgs/ΔlogId・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
なお、サブスレッショルド係数Sは、直線領域(サブスレッショルド領域)で、ドレイン電流Idを1桁変化させるのに必要なゲートG−ソースS間電圧Vgsの高さを表す。
例えば、サブスレッショルド係数S=80mv/decadeとし、しきい値電圧Vthが製造上のばらつきで±80mV変動したとすると、標準値のリーク電流Ileakよりも1桁大きい値のリーク電流Ileak、及び1桁小さい値のリーク電流Ileakが存在する。そのため、例えば、標準のしきい値電圧Vthでのリーク電流Ileakが1nAであるとすると、1桁大きい値のリーク電流Ileakは10nAとなる。1桁小さい値のリーク電流Ileakは0.1nAとなる。
このように、しきい値電圧Vthのばらつきとリーク電流Ileakには、指数関数的な関係がある。したがって、しきい値電圧Vthが高くなるにつれてリーク電流Ileakは小さくなる。
次に、一般的な、しきい値電圧Vthとオン抵抗Ronとの関係について説明する。直線領域(サブスレッショルド領域)でドレイン電流Idは、MOSトランジスタのチャネル長をL、MOSトランジスタのチャネル幅をW、MOSトランジスタの表面移動度をμ、MOSトランジスタの単位面積あたりのゲート容量をCoxとすると、
以下の関係式で表される。
Id=(W/L)μCox[(Vgs−Vth)Vds−(1/2)Vds2]・・・・(3)
オン抵抗Ronは、(2)式をドレインD−ソースS間電圧Vdsを微分することにより求められる。そのため、オン抵抗Ronは、以下の関係式で表される。
Ron=1/[(W/L)μCox(Vgs−Vth)]・・・・・・・・・・・・・(4)
ここで、(W/L)μCoxをkとおくと、オン抵抗Ronは、以下の関係式で表される。
Ron=1/[k(Vgs−Vth)]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
このように、MOSトランジスタのオン抵抗Ronの高さは、ゲートG−ソースS間電圧Vgsとしきい値電圧Vthとの差に反比例する。そのため、しきい値電圧Vthが高くなるにつれてオン抵抗Ronは低くなる。また、しきい値電圧Vthが低くなるにつれてオン抵抗Ronは高くなる。
以上のように、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが低い場合には、MOSトランジスタのリーク電流Ileakは大きくなり、オン抵抗Ronは低くなる。一方、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthが高い場合には、MOSトランジスタのリーク電流Ileakは小さくなり、オン抵抗Ronは高くなる。そのため、本発明においては、所定の温度でのIC毎のノードN2の電位Vn2のばらつきは抑えられる。これにより、リーク電流Ileakがばらついても周囲温度毎のノードN2の電位Vn2の変動が抑えられるため、検出温度のばらつきを抑えることができる。なお、ゲートG−ソースS間電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも十分に高い場合、しきい値電圧Vthのばらつきによるオン抵抗Ronの変化はあまり期待できない。そのため、しきい値電圧Vthのばらつきによるオン抵抗Ronの変化を大きくしたい場合には、ゲートG−ソースS間電圧Vgsをしきい値電圧Vthの近傍に設定する必要がある。
したがって、図2において、PMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronをしきい値電圧Vthの変化に追随させるためには、PMOSトランジスタQ2のゲートGを接地端子に接続せず、PMOSトランジスタQ2のゲートGの電位を電源端子VCCの電位Vccよりもしきい値電圧Vthだけ低い電位に保持するとよい。以上のように、PMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronは、リーク電流Ileakの大きさ、電流増幅回路10aの電流増幅度N、及び電流検出回路20aの回路構成に応じて設定される設計事項の1つである。
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るシリーズレギュレータの回路図である。以下、本発明の第2の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200bについて図面を参照しながら説明する。
図5の本発明の第2の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200bは、温度検出回路100b、出力段30a、負荷90を含む。温度検出回路100bは、温度検出用のリーク素子1b、負荷素子2b、カレンミラー回路からなる電流増幅回路10b、及び検出回路20bを含む。
リーク素子1bは、NMOSトランジスタQ3を含む。負荷素子2bは、NMOSトランジスタQ4を含む。電流増幅回路10bは、PMOSトランジスタQ11b及びPMOSトランジスタQ12bを含む。検出回路20bは、NPNトランジスタQ21、抵抗R1、及びPMOSトランジスタQ22を含む。出力段30aは、PMOSトランジスタQ30を含む。
リーク素子1bのNMOSトランジスタQ3のゲートG、及びNMOSトランジスタQ3のソースSは、共通に接続され、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。NMOSトランジスタQ3のドレインDは、電流増幅回路10bの入力ノードN1に接続される。
負荷素子2bのNMOSトランジスタQ4のソースSは、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。NMOSトランジスタQ4のゲートGは、例えば、電源端子(高電位端子)VCCに接続される。また、NMOSトランジスタQ4のドレインDは、電流増幅回路10bの出力ノードN2に接続される。NMOSトランジスタQ4は、カレントミラー回路の能動負荷を構成する。負荷素子2bのNMOSトランジスタQ4のオン抵抗Ronは、例えば、1kΩから数十kΩである。なお、NMOSトランジスタQ4のゲートGは、必ずしも電源端子VCCに接続される必要はなく、NMOSトランジスタQ4のゲートG−ソースS間電圧Vgsがしきい値電圧Vth以上になるように、接地端子(低電位端子)GNDの電位よりも十分に高い電位の高電位端子に接続されればよい。
電流増幅回路10bのPMOSトランジスタQ11bのドレインD、PMOSトランジスタQ11bのゲートG、及びPMOSトランジスタQ12bのゲートGは共通に接続され、電流増幅回路10bの入力ノードN1に接続される。PMOSトランジスタQ12bのドレインDは、電流増幅回路10bの出力ノードN2に接続される。また、PMOSトランジスタQ11bのソースS、及びPMOSトランジスタQ12bのソースSは、共通に接続され、電源端子(高電位端子)VCCに接続される。PMOSトランジスタQ11b及びPMOSトランジスタQ12bからカレントミラー回路が構成される。
PMOSトランジスタQ12bには、PMOSトランジスタQ11bと物理的なサイズが同じ大きさのPMOSトランジスタが複数個用いられる。これにより、電流増幅回路10bは、電流増幅度がN倍(N≧1)になるように構成される。このように、電流増幅回路10bは、リーク電流Ileakを電流増幅度N倍に増幅して、リーク電流Ileak以上の電流I1を出力ノードN2に流す。なお、PMOSトランジスタQ12bの物理的なサイズは、PMOSトランジスタQ11bの物理的なサイズ以上のPMOSトランジスタ1個で構成されてもよい。また、電流増幅回路10bのカレントミラー回路は、ウィルソン形のカレントミラー回路、ベース電流補償形のカレントミラー回路(3トランジスタ形のカレントミラー回路)、カスコード形のカレントミラー回路等でもよい。
PMOSトランジスタQ12bとしてPMOSトランジスタQ11bと物理的なサイズが同じ大きさの複数個のPMOSトランジスタが用いられる場合において、リーク電流をIleak、電流増幅度をN、出力ノードN2に流れる電流をI1とすると、電流I1は、I1=Ileak×Nにより求められる。
また、PMOSトランジスタQ12bの物理的なサイズをPMOSトランジスタQ11bの物理的なサイズよりも大きくする場合において、PMOSトランジスタQ11bのチャネル幅W11bとチャネル長L12bとの比をb1=L11b/W11bとし、PMOSトランジスタQ12bのチャネル幅W12bとチャネル長L12bとの比をb2=L12b/W12bとすると、電流増幅回路10bの電流増幅度Nは、N=b2/b1となる。したがって、PMOSトランジスタQ11b及びPMOSトランジスタQ12bのチャネル幅及びチャネル長の比を適宜設定することにより電流増幅度Nを所望する値に設定することが可能である。
検出回路20bのNPNトランジスタQ21のエミッタEは、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。検出回路20bのNPNトランジスタQ21のベースBは、電流増幅回路10bの出力ノードN2に接続される。NPNトランジスタQ21のコレクタCは、抵抗R1を介して電源端子(高電位端子)VCCに接続される。PMOSトランジスタQ22のゲートGは、NPNトランジスタQ21のコレクタCと抵抗R1との共通接続点に接続される。PMOSトランジスタQ22のソースSは、電源端子(高電位端子)VCCに接続される。PMOSトランジスタQ22のドレインDは、温度検出回路100bの出力端子T2に接続される。検出回路20bは、電流I1に基づいて動作し、駆動電圧E20を出力端子T1に出力する。
出力段30aのPMOSトランジスタQ30のゲートGは、温度検出回路100bの出力端子T2に接続される。PMOSトランジスタQ30のソースSには、入力電圧Vinが印加される。PMOSトランジスタQ30のドレインDは、出力端子OUTに接続される。PMOSトランジスタQ30は、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成し、出力電圧Voutを出力端子OUTに出力する。入力電圧Vinは、例えば、2.5Vから100Vである。出力電圧Voutは、例えば、0.6Vから40Vである。なお、電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccと入力電圧Vinとが異なる場合には、検出回路20bと出力段30aとの間にレベルシフト回路が設けられる場合がある。例えば、入力電圧Vinが電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccよりも高い場合には、出力段30の動作を確実に停止させるためにレベルシフト回路が設けられる。
出力端子OUTには、負荷90が接続される。負荷90は、例えば、CPU、MPU、センサ、モータ等である。
例えば、25℃程度の常温時には、電流増幅回路10bからリーク素子1bであるNMOSトランジスタQ3にリーク電流Ileakが流れない。そのため、電流増幅回路10bで電流I1が生成されず、出力ノードN2に電流I1が流れない。また、NMOSトランジスタQ3のゲートGが電源端子(高電位端子)VCCに接続されているため、NMOSトランジスタQ3のドレインD−ソースS間にチャネルが形成されている。その結果、出力ノードN2の電位が接地端子(低電位端子)GNDの電位となり、検出回路20bのNPNトランジスタQ21のベースB及びエミッタEがほぼ同じ電位となる。NPNトランジスタQ21のベースB−エミッタE間電圧VbeがNPNトランジスタQ21のベースB−エミッタE間順方向電圧Vfを下回っているため、検出回路20bであるNPNトランジスタQ21はオフ状態となる。そのため、抵抗R1に電流が流れず、PMOSトランジスタQ22のゲートGの電位が電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccとなる。そのため、PMOSトランジスタQ22は、オフ状態となる。その結果、検出回路20bは、駆動電圧E20を出力しないため、出力段30aのPMOSトランジスタQ30は、図示しない制御回路により正規状態で動作する。そのため、出力段30aのPMOSトランジスタQ30は、入力電圧Vinから出力電圧Voutを生成し、出力電圧Voutを出力端子OUTに接続された負荷90に供給する。このように、通常動作時には、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ等の能動素子が電流を流さないため、温度検出回路100bの消費電力はほぼ0になる。
一方、例えば、125℃〜175℃程度の高温時には、電流増幅回路10bからリーク素子1bであるNMOSトランジスタQ3にリーク電流Ileakが流れる。そのため、電流増幅回路10bでリーク電流Ileak以上の電流I1(=Ileak×N)(N≧1)が生成され、出力ノードN2に電流I1が流れる。電流I1とNMOSトランジスタQ4のオン抵抗Ronにより、出力ノードN2の電位が上昇し、検出回路20bのNPNトランジスタQ21のベースBの電位が上昇する。NPNトランジスタQ21のベースB−エミッタE間電圧がNPNトランジスタQ21のベースB−エミッタE間順方向電圧Vfを上回ると、NPNトランジスタQ21はオン状態となる。そのため、抵抗R1に電流が流れ、PMOSトランジスタQ22のゲートGの電位が低下する。そのため、PMOSトランジスタQ22は、オン状態となる。その結果、検出回路20bは、駆動電圧E20を出力し、出力段30aのPMOSトランジスタQ30の動作を停止させる。そのため、出力段30aのPMOSトランジスタQ30から出力端子OUTに接続された負荷90に出力電圧Voutが供給されなくなり、負荷90の劣化等、自己発熱によるICの劣化等が防止される。
ここで、NPNトランジスタQ21のベースB−エミッタE間順方向電圧をVf、電流増幅回路10bの電流増幅度をN、リーク電流Ileakの電流値をIleak、NMOSトランジスタQ4のオン抵抗をRonとすると、NPNトランジスタQ21がオン状態になるための条件は、Vf<N・Ileak・Ronとなる。
本発明では、リーク素子1aとしてNMOSトランジスタQ3を用い、負荷素子2aとしてNMOSトランジスタQ4を用いている。NMOSトランジスタQ3及びNMOSトランジスタQ4のしきい値電圧Vthのばらつきに依存して、NMOSトランジスタQ3によるリーク電流Ileak及びNMOSトランジスタQ4のオン抵抗Ronはばらつく。NMOSトランジスタQ3及びNMOSトランジスタQ4のしきい値電圧Vthが低い場合には、NMOSトランジスタQ3によるリーク電流Ileakは大きくなり、NMOSトランジスタQ4のオン抵抗Ronは低くなる。一方、NMOSトランジスタQ3及びNMOSトランジスタQ4のしきい値電圧Vthが高い場合には、NMOSトランジスタQ3によるリーク電流Ileakは小さくなり、NMOSトランジスタQ4のオン抵抗Ronは高くなる。そのため、NMOSトランジスタQ4のオン抵抗RonにNMOSトランジスタQ3によるリーク電流Ileakを増幅した電流I1が流れることにより発生する電源端子(高電位端子)VCC−ノードN2間の電圧(Ileak×N×Ron)のばらつきは抑えられる。そのため、所定の温度でのチップ毎のノードN2の電位Vn2のばらつきが抑えられる。これにより、リーク電流Ileakがばらついても周囲温度毎のノードN2の電位Vn2の変動が抑えられるため、検出温度のばらつきを抑えることができる。
(第3の実施の形態)
図6は、本発明の第3の実施の形態に係るシリーズレギュレータの回路図である。以下、本発明の第3の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200cについて図面を参照しながら説明する。
図6のシリーズレギュレータ200cは、以下の点で図2のシリーズレギュレータ200aと異なる。図6のシリーズレギュレータ200cは、図2の電流増幅回路10aの代わりに電流増幅回路10cを含む。図2の電流増幅回路10aは、NMOSトランジスタQ11a及びNMOSトランジスタQ12aの2つのMOSトランジスタで構成されており、基本形のカレントミラー回路と称される。一方、図6の電流増幅回路10cは、NMOSトランジスタQ11c、NMOSトランジスタQ12c、及びNMOSトランジスタQ13cの3つのMOSトランジスタで構成されており、ウィルソン形のカレントミラー回路と称される。
電流増幅回路10cのNMOSトランジスタQ11cのドレインD、及びNMOSトランジスタQ13cのゲートGは、電流増幅回路10cの入力ノードN1に接続される。NMOSトランジスタQ13cのドレインDは、電流増幅回路10cの出力ノードN2に接続される。NMOSトランジスタQ11cのゲートG、及びNMOSトランジスタQ12cのゲートG、NMOSトランジスタQ12cのドレインD、及びNMOSトランジスタQ13cのソースSは共通に接続される。NMOSトランジスタQ11cのソースS、及びNMOSトランジスタQ12cのソースSは、共通に接続され、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。
NMOSトランジスタQ12cには、NMOSトランジスタQ11cと物理的なサイズが同じ大きさのNMOSトランジスタが複数個用いられる。これにより、電流増幅回路10cは、電流増幅度がN倍になるように構成される。このように、電流増幅回路10cは、リーク電流Ileakを電流増幅度N倍(N≧1)に増幅して、リーク電流Ileakよりも大きな電流I1を出力ノードN2に流す。なお、NMOSトランジスタQ12cの物理的なサイズは、NMOSトランジスタQ11cの物理的なサイズ以上のNMOSトランジスタ1個で構成されてもよい。
こうしたMOSトランジスタで構成されたウィルソン形のカレントミラー回路は、出力側のトランジスタを2段に段積みしている。これによって、出力ノードN2の出力インピーダンスが高くなる。すなわち、図6の電流増幅回路10cは、図2の電流増幅回路10aよりもチャネル長変調効果の影響を抑制することができるため、電流増幅度N(=I1/Ileak)の変動が抑えられる。
出力インピーダンスを高くするためには、NMOSトランジスタQ11c〜NMOSトランジスタQ13cの3つのNMOSトランジスタを飽和領域で動作させる必要ある。そのため、図6の電流増幅回路10cを使用する場合の入力ノードN1の電位、及び出力ノードN2の電位Vn2は、図2に示した電流増幅回路10aを使用する場合の入力ノードN1の電位、及び出力ノードN2の電位Vn2よりも高くする必要がある。ここで、電源端子(高電位端子)VCCの電位Vcc=5V、エミッタE−ベースB間順方向電圧Vfb=0.7Vとすると、出力ノードN2の電位Vn2=4.3Vとなる。この電位Vn2の高さは、NMOSトランジスタQ11c〜NMOSトランジスタQ13cを飽和領域で動作させるには十分である。そのため、検出回路20aは、電流増幅回路10cが飽和領域で動作するように回路構成されている。
ウィルソン形のカレントミラー回路は、チャネル長変調効果による電流ミラー比m(=I1/Ileak)の変動を抑制できるという特徴がある。ウィルソン形のカレントミラー回路は、電流増幅回路10c自体でチャネル長変調効果を抑制する。そのため、図6の電流増幅回路10cは、図2の電流増幅回路10aよりもチャネル長変調効果を抑制することができるため、電流増幅度Nの変動が抑えられる。これにより、温度検出の精度を向上させることが可能となる。
(第4の実施の形態)
図7は、本発明の第4の実施の形態に係るシリーズレギュレータの回路図である。以下、本発明の第4の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200dについて図面を参照しながら説明する。
図7のシリーズレギュレータ200dは、以下の点で図2のシリーズレギュレータ200aと異なる。図7のシリーズレギュレータ200dは、図2の電流増幅回路10aの代わりに電流増幅回路10dを含む。図2の電流増幅回路10aは、NMOSトランジスタQ11a及びNMOSトランジスタQ12aの2つのMOSトランジスタで構成されており、基本形のカレントミラー回路と称される。一方、図7の電流増幅回路10dは、NMOSトランジスタQ11d、NMOSトランジスタQ12d、NMOSトランジスタQ13d、及びNMOSトランジスタQ14dの4つのMOSトランジスタで構成されており、カスコード形のカレントミラー回路と称される。カスコード形のカレントミラー回路は、図2に示した基本形のカレントミラー回路を2つ段積みした回路構成である。なお、カスコード形のカレントミラー回路は、MOSトランジスタ又はバイポーラトランジスタで構成される。
電流増幅回路10dのNMOSトランジスタQ14dのドレインD、NMOSトランジスタQ14dのゲートG、及びNMOSトランジスタQ13dのゲートGは、電流増幅回路10dの入力ノードN1に接続される。NMOSトランジスタQ13dのドレインDは、電流増幅回路10dの出力ノードN2に接続される。NMOSトランジスタQ14dのソースS、NMOSトランジスタQ11dのドレインD、NMOSトランジスタQ11dのゲートG、及びNMOSトランジスタQ12dのゲートGは共通に接続される。NMOSトランジスタQ13dのソースSは、NMOSトランジスタQ12dのドレインDに接続される。NMOSトランジスタQ11dのソースS、及びNMOSトランジスタQ12dのソースSは共通に接続され、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。
NMOSトランジスタQ12dには、NMOSトランジスタQ11dと物理的なサイズが同じ大きさのNMOSトランジスタが複数個用いられる。これにより、電流増幅回路10dは、電流増幅度がN倍(N≧1)になるように構成される。このように、電流増幅回路10dは、リーク電流Ileakを電流増幅度N倍に増幅してリーク電流Ileak以上の電流I1を出力ノードN2に流す。なお、NMOSトランジスタQ12dの物理的なサイズは、NMOSトランジスタQ11dの物理的なサイズ以上のNMOSトランジスタ1個で構成されてもよい。
こうしたMOSトランジスタで構成されたカスコード形のカレントミラー回路は、入力側及び出力側のトランジスタを2段に段積みしている。これによって、出力ノードN2の出力インピーダンスが高くなる。すなわち、図7の電流増幅回路10dは、図2の電流増幅回路10aよりもチャネル長変調効果の影響を抑制することができるため、電流増幅度N(=I1/Ileak)の変動が抑えられる。
出力インピーダンスを高くするためには、NMOSトランジスタQ11d〜NMOSトランジスタQ14dの4つのNMOSトランジスタを飽和領域で動作させる必要ある。そのため、図7の電流増幅回路10dを使用する場合の入力ノードN1の電位、及び出力ノードN2の電位Vn2は、図2に示した電流増幅回路10aを使用する場合の入力ノードN1の電位、及び出力ノードN2の電位Vn2よりも高くする必要がある。ここで、電源端子(高電位端子)VCCの電位Vcc=5V、エミッタE−ベースB間順方向電圧Vfb=0.7Vとすると、出力ノードN2の電位Vn2=4.3Vとなる。この電位Vn2高さは、NMOSトランジスタQ11c〜NMOSトランジスタQ14cを飽和領域で動作させるには十分である。そのため、検出回路20aは、電流増幅回路10dが飽和領域で動作するように回路構成されている。
カスコード形のカレントミラー回路は、チャネル長変調効果による電流ミラー比m(=I1/Ileak)の変動を抑制できるという特徴がある。カスコード形のカレントミラー回路は、電流増幅回路10d自体でチャネル長変調効果を抑制する。そのため、図7の電流増幅回路10dは、図2の電流増幅回路10a及び図6の電流増幅回路10cよりもチャネル長変調効果を抑制することができるため、電流増幅度Nの変動が抑えられる。これにより、温度検出の精度をさらに向上させることが可能となる。
図8は、図7の本発明の第4の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200dの電流増幅回路10d、及び図2の本発明の第1の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200aの電流増幅回路10aの電流ミラー比(I1/Ileak)と出力ノードN2の電位Vn2との特性を示す模式的特性図である。NMOSトランジスタQ11b〜NMOSトランジスタQ14bが直線領域(非飽和領域)Y1で動作する場合、及び飽和領域Y2で動作する場合の両方の特性を示している。カスコード形(10d)と記した特性は、図7のカスコード形のカレントミラー回路を用いた電流増幅回路10dの特性を示している。基本形(10a)と記した特性は、図2の基本形のカレントミラー回路を用いた電流増幅回路10aの特性を示す。
動作領域が直線領域Y1であるか飽和領域Y2であるかは、入力ノードN1の電位及び出力ノードN2の電位Vn2の高さに依存する。入力ノードN1の電位、及び出力ノードN2の電位Vn2がVn2aより低い場合には、4つのNMOSトランジスタは直線領域(非飽和領域)Y1で動作する。一方、入力ノードN1の電位、及び出力ノードN2の電位Vn2がVn2a以上である場合は、4つのNMOSトランジスタは飽和領域で動作する。なお、ノードN2の電位Vn2の高さの最大値は、電源端子(高電位端子)VCCの電位Vccである。そのため、検出回路20aが動作する際のノードN2の電位Vn2は、電位Vn2a〜電位Vccの間であることが好ましい。
基本形(10a)の場合、比較的低い出力ノードN2の電位Vn2で所定の電流ミラー比m1kになる。所定の電流ミラー比m1kは、例えば、m1k=1である。基本形(10a)が有する電流ミラー比m1は、図2に示したNMOSトランジスタQ12aのチャネル長変調効果により変動する。電流ミラー比m1の変動は、出力ノードN2の電位Vn2の変動につながり、後段の検出回路20aの回路動作点の変動につながる。このような基本形のカレントミラー回路は、比較的低い電源電圧での動作には向いているが、電流ミラー比m1の変動の抑制には向いていない。
一方、カスコード形(10d)は、基本形のカレントミラー回路を電源端子(高電位端子)VCCと接地端子(低電位端子)GNDとの間に2段に積み重ねた回路構成であるため、カスコード形(10d)において、所定の電流ミラー比m1kにするためには、出力ノードN2の電位Vn2を基本形(10a)より高くする必要がある。
基本形(10a)の場合には、出力ノードN2の電位Vn2が高くなるにつれ、MOSトランジスタのチャネル長変調効果により電流増幅度Nも大きくなる。一方、カスコード形(10d)の場合には、出力ノードN2の電位Vn2が所定の電位Vn2aよりも高くなっても電流ミラー比m1は、所定の電流ミラー比m1kを維持する。その結果、電流増幅度Nの電流増幅度N(=I1/Ileak)の変動を抑えることができる。これにより、温度検出の精度をさらに向上させることが可能となる。
(第5の実施の形態)
図9は、本発明の第5の実施の形態に係るシリーズレギュレータの回路図である。以下、本発明の第5の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200eについて図面を参照しながら説明する。
また、図9のシリーズレギュレータ200eは、以下の点で図2のシリーズレギュレータ200aと異なる。図9のシリーズレギュレータ200eは、図2の電流増幅回路10aの代わりに電流増幅回路10eを含む。図2の電流増幅回路10aは、NMOSトランジスタQ11a及びNMOSトランジスタQ12aの2つのMOSトランジスタで構成されており、基本形のカレントミラー回路と称される。一方、図9の電流増幅回路10eはNPNトランジスタQ11e、NPNトランジスタQ12e、及びNPNトランジスタQ13eの3つのバイポーラトランジスタで構成されており、ウィルソン形のカレントミラー回路と称される。これまで述べた図2の電流増幅回路10a〜図7の電流増幅回路10dは、MOSトランジスタで構成されているが、図9の電流増幅回路10eは、すべてバイポーラトランジスタで構成される。
電流増幅回路10eのNPNトランジスタQ11eのコレクタC、及びNPNトランジスタQ13eのベースBは、電流増幅回路10eの入力ノードN1に接続される。NPNトランジスタQ13eのコレクタCは、電流増幅回路10eの出力ノードN2に接続される。NPNトランジスタQ11eのベースB、NPNトランジスタQ12eのベースB、NPNトランジスタQ12eのコレクタC、及びNPNトランジスタQ13eのエミッタEは、共通に接続される。また、NPNトランジスタQ11eのエミッタE、及びNPNトランジスタQ12eのエミッタEは、共通に接続され、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。
NPNトランジスタQ12eには、NPNトランジスタQ11eと同じNPNトランジスタが複数個用いられる。これにより、電流増幅回路10eは、電流増幅度がN倍になるように構成される。このように、電流増幅回路10eは、リーク電流Ileakを電流増幅度N倍に増幅して、リーク電流Ileakよりも大きな電流I1を出力ノードN2に流す。なお、NPNトランジスタQ12eのエミッタの面積をNPNトランジスタQ11eのエミッタの面積よりも大きくすることにより、NPNトランジスタQ12eが1個でも所望の電流増幅度Nを得ることが可能である。
こうしたバイポーラトランジスタで構成されたウィルソン形のカレントミラー回路は、出力側のトランジスタを2段に段積みしている。これによって、出力ノードN2の出力インピーダンスが高くなる。すなわち、図9の電流増幅回路10eは、アーリー効果の影響を抑制することができるため、電流増幅度N(=I1/Ileak)の変動を抑えることができる。
アーリー効果の影響について説明する。バイポーラトランジスタにおいて、コレクタC−エミッタE間電圧Vceが高くなるほどベースB−コレクタC間の空乏層が大きくなり、ベースB側に空乏層が広がる。そのため、注入キャリアのベースBを拡散する領域が短くなり、電流増幅率が増加し、コレクタ電流Icが増加する。この事象をアーリー効果という。アーリー効果は、電流増幅回路10eの出力インピーダンスの影響を受ける。すなわち、アーリー効果は、出力ノードN2からみたNPNトランジスタQ13eのコレクタ抵抗の高さの影響を受ける。出力インピーダンスが高ければ高いほどアーリー効果の影響は小さくなる。出力インピーダンスが無限大∞に近いほど、アーリー効果の影響を無視することができる。
図9に示した電流増幅回路10eに用いられているウィルソン形のカレントミラー回路の出力インピーダンスZは、基本形のカレントミラー回路の出力インピーダンスZoのhFE/2倍になる。すなわち、ウィルソン形のカレントミラー回路の出力インピーダンスZは、Z=(hFE/2)Zoとして表すことができる。
カレントミラー回路を構成するNPNトランジスタQ11e〜NPNトランジスタQ13eの各電流増幅率hFEを、例えば、低く見積もり、hFE=50とすると、ウィルソン形のカレントミラー回路の出力インピーダンスは、基本形のカレントミラー回路の出力インピーダンスの25倍となる。また、カレントミラー回路を構成する各NPNトランジスタの電流増幅率hFEをhFE=100とすると、ウィルソン形のカレントミラー回路の出力インピーダンスは、基本形のカレントミラー回路の出力インピーダンスの50倍となる。
このように、ウィルソン形のカレントミラー回路では、アーリー効果の影響をより抑止する効果が得られる。このように、電流増幅回路10eは、電流増幅回路10e自体でアーリー効果の影響を抑制する。なお、電流増幅回路10eにおける電流ミラー比I1/IleakのノードN2の電位Vn2の依存性を抑制するにはNPNトランジスタQ11e、NPNトランジスタQ12e、及びNPNトランジスタQ13eを飽和領域ではない活性領域で動作させるとよい。
また、図9において、ノードN2に流れる電流の電流値をI1、リーク電流の電流値をIleak、NPNトランジスタQ11e〜NPNトランジスタQ13eの電流増幅率をhFE、電流増幅率hFEがすべて等しいとし、アーリー効果の影響を無視すると、電流ミラー比mAは、mA=I1/Ileak={1+(2/(hFE))/{(1+(2/hFE)(1+1/hFE))}として表すことができる。例えば、電流増幅率hFEを低く見積もり、hFE=50とすると、電流ミラー比mAは、mA=0.9992163となり、電流ミラー比の精度が99.92%となる。したがって、電流ミラー比の誤差は0.08%となる。
なお、基本形の電流増幅回路、すなわち、NPNトランジスタQ13eを設けない場合の電流ミラー比mBは、mB=1/(1+(2/hFE))で表すことができる。例えば、電流増幅率hFE=50のときの電流ミラー比mBは、mB=0.9615384となり、電流ミラー比の精度が96.15%となる。したがって、電流ミラー比の誤差は、3.85%となる。
このように、NPNトランジスタQ13eを設けた場合の電流ミラー比mBの精度は、NPNトランジスタQ13eを設けない場合より向上する。すなわち、ウィルソン形のカレントミラー回路の電流ミラー比の誤差は、基本形の電流ミラー回路の電流ミラー比の誤差のほぼ1/hFEまで低減される。なお、電流ミラー比の精度の差は、電流増幅率hFEが低くなるほど顕著に表れる。
以上のように、電流増幅回路10eでは、アーリー効果の影響を抑制することができるため、電流ミラー比の誤差を小さく抑えることができる。その結果、電流増幅度Nの電流増幅度N(=I1/Ileak)の変動を抑えることができる。これにより、温度検出の精度をさらに向上させることが可能となる。
(第6の実施の形態)
図10は、本発明の第6の実施の形態に係るシリーズレギュレータの回路図である。以下、本発明の第6の実施の形態に係るシリーズレギュレータ200fについて図面を参照しながら説明する。
図10のシリーズレギュレータ200fは、以下の点で図9のシリーズレギュレータ200eと異なる。図10のシリーズレギュレータ200fは、図9の電流増幅回路10eの代わりに電流増幅回路10fを含む。図9の電流増幅回路10eは、NPNトランジスタQ11e及びNPNトランジスタQ12e及びNPNトランジスタQ13eの3つのバイポーラトランジスタで構成されており、ウィルソン形のカレントミラー回路と称される。一方、図10の電流増幅回路10fは、NPNトランジスタQ11f、NPNトランジスタQ12f、及びNPNトランジスタQ13fの3つのバイポーラトランジスタで構成されており、ベース電流補償形のカレントミラー回路(3トランジスタ形のカレントミラー回路)と称される。図9の電流増幅回路10eのバイポーラトランジスタの個数と図10の電流増幅回路10fのバイポーラトランジスタの個数は同じであるが、回路接続は異なる。
電流増幅回路10fのNPNトランジスタQ11fのコレクタC、及びNPNトランジスタQ13fのベースBは、電流増幅回路10fの入力ノードN1に接続される。NPNトランジスタQ13fのコレクタCは、電源端子(高電位端子)VCCに接続される。NPNトランジスタQ12fのコレクタCは、電流増幅回路10fの出力ノードN2に接続される。NPNトランジスタQ11fのベースB、NPNトランジスタQ12fのベースB、及びNPNトランジスタQ13fのエミッタEは、共通に接続される。また、NPNトランジスタQ11fのエミッタE、及びNPNトランジスタQ12fのエミッタEは、共通に接続され、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。
こうしたバイポーラトランジスタで構成されたベース電流補償形のカレントミラー回路(3トランジスタ形のカレントミラー回路)は、アーリー効果の影響を抑制することができるため、電流増幅度N(=I1/Ileak)の変動を抑えることができる。
また、電流増幅回路10fは、電流増幅回路10f自体でアーリー効果の影響を抑制する。なお、電流増幅回路10fにおける電流ミラー比I1/IleakのノードN2の電位Vn2の依存性を抑制するにはNPNトランジスタQ11f、NPNトランジスタQ12f、及びNPNトランジスタQ13fを飽和領域ではない活性領域で動作させるとよい。
図10において、ノードN2に流れる電流の電流値をI1、リーク電流Ileakの電流値をIleak、NPNトランジスタQ11f〜NPNトランジスタQ13fの電流増幅率をhFE、電流増幅率hFEがすべて等しいとし、アーリー効果の影響を無視すると、電流ミラー比m1は、m1=I1/Ileak=1/{1+2/(hFE(1+hFE))}として表すことができる。例えば、電流増幅率hFEを低く見積もり、hFE=50とすると、電流ミラー比m1は、m1=0.9992163となり、電流ミラー比の精度が99.92%となる。したがって、電流ミラー比m1は、図9のウィルソン形のカレントミラー回路を採用した場合と同様に極めて高精度な電流ミラー比が実現できる。したがって、図10に示した電流増幅回路10fは、図9の電流増幅回路10eと同様に、電流増幅率hFEのばらつきに対する電流ミラー比の変動を抑制する効果が奏される。
以上のように、電流増幅回路10fでは、アーリー効果の影響を抑制することができるため、電流ミラー比の誤差を小さく抑えることができる。その結果、電流増幅度Nの電流増幅度N(=I1/Ileak)の変動を抑えることができる。これにより、温度検出の精度をさらに向上させることが可能となる。
(第7の実施の形態)
図11は、本発明の第7の実施の形態に係るシャントレギュレータの回路図である。以下、本発明の第7の実施の形態に係るシャントレギュレータ200gについて図面を参照しながら説明する。
図11のシャントレギュレータ200gは、以下の点で図2のシリーズレギュレータ200aと異なる。図11のシャントレギュレータ200gは、図2の出力段30aの代わりに出力段30bを含む。図2の出力段30aはPMOSトランジスタQ30で構成されているが、図11の出力段30bはPMOSトランジスタQ31、及びシャント抵抗Rshで構成されている。なお、図11のシャントレギュレータ200gでは、図2のシリーズレギュレータ200aで用いられている温度検出回路100aが用いられている。
温度検出回路100aの出力端子T1は、出力段30bのPMOSトランジスタQ31のゲートGに接続される。PMOSトランジスタQ31のドレインDは、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。PMOSトランジスタQ31のソースSには、シャント抵抗Rshを介して入力電圧Vinが印加される。また、PMOSトランジスタQ31のソースSは、出力端子OUTにも接続される。出力端子OUTには負荷90が接続される。
このように、温度検出回路100aは、シャントレギュレータ200gにも適用することができる。なお、シャントレギュレータ200gの温度検出回路100aの代わりに、図5、図6、図7、図9、図10にそれぞれ示す温度検出回路100b〜温度検出回路100fが用いられてもよい。
(第8の実施の形態)
図12は、本発明の第8の実施の形態に係る降圧型同期整流方式DC/DCコンバータの回路図である。以下、本発明の第8の実施の形態に係る降圧型同期整流方式DC/DCコンバータ200hについて図面を参照しながら説明する。
図12の降圧型同期整流方式DC/DCコンバータ200hは、以下の点で図2のシリーズレギュレータ200aと異なる。図12の降圧型同期整流方式DC/DCコンバータ200hは、図2の出力段30aの代わりに出力段30cを含む。図2の出力段30aはPMOSトランジスタQ30で構成されているが、図12の出力段30cはPMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタQ32、NMOSトランジスタである同期整流トランジスタQ33、インダクタL、及びキャパシタC1で構成されている。なお、図12の降圧型同期整流方式DC/DCコンバータ200hでは、図2のシリーズレギュレータ200aで用いられている温度検出回路100aが用いられている。
温度検出回路100aの出力端子T1は、出力段30cのスイッチングトランジスタQ32のゲートGに接続される。スイッチングトランジスタQ32のソースSには、入力電圧Vinが印加される。スイッチングトランジスタQ32のドレインDは、ノードN3に接続される。同期整流トランジスタQ33のドレインDは、ノードN3に接続される。同期整流トランジスタQ33のゲートGは、例えば、図示しない制御回路に接続される。同期整流トランジスタQ33のソースSは、接地端子(低電位端子)GNDに接続される。すなわち、出力段30cのスイッチングトランジスタQ32及び同期整流トランジスタQ33は、入力端子(高電位端子)と接地端子(低電位端子)GNDとの間に直列に接続される。また、ノードN3とノードN4との間にインダクタLが接続される。ノードN4と接地端子(低電位端子)GNDとの間にキャパシタC1が接続される。インダクタL及びキャパシタC1により平滑回路が構成される。ノードN2は、出力端子OUTに接続される。出力端子OUTには負荷90が接続される。
スイッチングトランジスタQ32及び同期整流トランジスタQ33は、図示しない制御回路により相補的に駆動され、入力電圧Vinからスイッチング電圧VswをノードN3に生成する。ノードN3のスイッチング電圧Vswは、インダクタL及びキャパシタC1から構成される平滑回路により平滑され、出力電圧Voutとして出力端子OUTに出力される。出力電圧Voutは入力電圧Vinより低い。入力電圧Vinは、例えば、2.5Vから100Vである。出力電圧Voutは、例えば、0.6Vから40Vである。
なお、相補的とは、スイッチングトランジスタQ32及び同期整流トランジスタQ33のオンオフ状態が完全に逆転している場合のほか、貫通電流防止の観点からスイッチングトランジスタQ32及び同期整流トランジスタQ33のオンオフ状態の遷移タイミングに所定の遅延、すなわちデッドタイムが与えられている場合をも含むものとする。
なお、スイッチングトランジスタQ32はPMOSトランジスタで構成され、同期整流トランジスタQ33はNMOSトランジスタで構成されているが、スイッチングトランジスタQ32及び同期整流トランジスタQ33を共にNMOSトランジスタとしてもよい。この場合には、図示しないダイオード及び図示しないキャパシタを含むブートストラップ回路が用いられる。ブートストラップ回路によってスイッチングトランジスタQ32が確実にオンする。さらに、スイッチングトランジスタQ32及び同期整流トランジスタQ33には、バイポーラトランジスタが用いられてもよい。
このように、温度検出回路100aは、降圧型同期整流方式DC/DCコンバータ200hにも適用することができる。なお、降圧型同期整流方式DC/DCコンバータ200hの温度検出回路100aの代わりに、図5、図6、図7、図9、図10にそれぞれ示す温度検出回路100b〜温度検出回路100fが用いられてもよい。
なお、本発明の実施の形態に係る温度検出回路100a〜温度検出回路100fは、リニアレギュレータ、スイッチングレギュレータのどちらにも適用することができる。また、降圧型、昇圧型及び昇降圧型にも適用することができる。さらに、ロードスイッチIC、モータドライバIC等にも適用することができる。
本発明に係る温度検出回路100の特徴を総括すると次のとおりである。第1に、温度検出回路100のリーク素子1は、常温では実質的に電流が流れないが所定の高温になるとリーク電流Ileakが流れるMOSトランジスタが用いられる。第2に、電流増幅回路10は、MOSトランジスタ又はバイポーラトランジスタで構成されたカレントミラー回路が用いられる。バイポーラトランジスタで構成されるカレントミラー回路においては活性領域で動作させ、MOSトランジスタで構成されるカレントミラー回路においては飽和領域で動作させる。カレントミラー回路は、MOSトランジスタ又はバイポーラトランジスタが用いられる。また、2つのトランジスタで構成される基本形、3つのトランジスタで構成されるウィルソン形及びベース電流補償形(3トランジスタ形)、及び4つのトランジスタで構成されるカスコード形が用いられる。第3に、リーク素子1及び負荷素子2に同じ導電型のMOSトランジスタが用いられる。これにより、製造上、MOSトランジスタのしきい値電圧Vthのばらつきが生じても、PMOSトランジスタQ1によるリーク電流Ileakを増幅した電流I1がPMOSトランジスタQ2のオン抵抗Ronに流れることにより発生する電源端子(高電位端子)VCC−ノードN2間の電圧(Ileak×N×Ron)のばらつきは抑えられる。これにより、リーク電流Ileakがばらついても周囲温度毎のノードN2の電位Vn2の電位すなわち検出回路の入力側の電位の変動を抑制することができるため、検出温度のばらつきを抑えることができる。
(請求項の構成要素と実施の形態との対応関係)
実施の形態では、接地端子(低電位端子)GNDは、第1の端子に相当する。電源端子(高電位端子)VCCは、第2の端子に相当する。PMOSトランジスタQ11a、NMOSトランジスタQ11b、PMOSトランジスタQ11c〜PMOSトランジスタQ11fは、第1のトランジスタに相当する。PMOSトランジスタQ12a、NMOSトランジスタQ12b、PMOSトランジスタQ12c〜PMOSトランジスタQ12fは、第2のトランジスタに相当する。PMOSトランジスタQ13c〜PMOSトランジスタQ13fは、第3のトランジスタに相当する。PMOSトランジスタQ14dは、第4のトランジスタに相当する。