JP6665535B2 - レーザレーダ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザレーダ装置に関する。
従来、レーザレーダ装置は、予め設定された周期で定期的にパルス光を装置外部に投光するとともに、そのパルス光が装置外部の物体(以降、ターゲット)で反射された光である反射光を受光する。そして、パルス光を投光してから反射光を受光するまでの時間である飛行時間に基づいて、ターゲットまでの距離を計算する。
このようなレーザレーダ装置には通常、測定可能な距離範囲の上限に対応する測距対象時間が設定されており、パルス光を投光してから所定の測距対象時間以上経過している場合に受光した光に対しては距離の算出を実施しないように構成されている。これは、パルス光を投光してから測距対象時間以上経過している状態において受光した光は、自分自身が投光したパルス光の反射光ではなく、他の光源から投光された光(以降、干渉光)である可能性が高いためである。
また、干渉光に起因してターゲットとの距離を誤判定してしまう恐れを低減するための方法も種々提案されている。例えば特許文献1には、受光した光(以降、入射光)の強度を検出し、入射光の受光強度を、予め定められた距離に対応する所定値と比較することで、入射光は自装置が投光したパルス光の反射光であるのか、他の光源が投光した光(以降、干渉光)であるかを識別するレーザレーダ装置が開示されている。
具体的には、入射光がこの所定値以上の強度を示している場合には、その入射光は干渉光と判定し、その入射光に対して算出した距離データを破棄する。ここでの自装置とは、レーザレーダ装置自分自身を指す。なお、この種のレーザレーダ装置は、車両等の移動体において、移動体周辺に存在する物体との距離を監視するシステム(以降、周辺監視システム)において、車両周辺に存在する物体との距離を検出するために用いられることがある。
特許第3185547号公報
特許文献1の構成では、干渉光の受光強度が、距離に応じた適正値として設定されている範囲(以降、適正範囲)に収まっている場合には、干渉光として認識することができない。特に、反射率のばらつきが大きい物体を検出対象物として想定している場合には、距離毎の受光強度の適正範囲もまた大きくなるため、受光強度に基づいて干渉光と反射光とを識別することが困難となってしまう。
また、仮に特許文献1の構成において距離に応じた受光強度の適正範囲を小さくし過ぎると、反射光を干渉光であると誤判定し、検出対象とする物体(以降、検出対象物)を検出できなくなる場合が生じる。つまり、検出漏れを抑制するためには適正範囲は、或る程度の幅を持たせておく必要がある。なお、反射率のばらつきが大きい物体としては、例えば、車両が挙げられる。車両のボデーやタイヤ等は、リフレクタに比べて反射率が小さい。
以上を鑑みると、特許文献1の構成では、検出対象物とするターゲットの形状や材質、干渉光の投光源(以降、干渉光源)の投光タイミング等によっては、干渉光を反射光と見なしてしまう場合もありうる。
ところで、反射光との識別が困難となる干渉光を発生させる干渉光源としては、他のレーザレーダ装置(以降、他装置)や、自装置の測距を妨害しようとする、第三者が備える妨害装置などが想定される。そのような干渉光源は、自装置と類似する周期で干渉光を投光することが想定される。
仮に或る時点において、干渉光源が干渉光を投光するタイミングと自装置の投光タイミングとが重なっており、かつ、それぞれの投光周期が一致している場合には、自装置と干渉光源との位置関係が、自装置が干渉光源からの干渉光を受光しない位置関係となるまで、干渉を受け続ける可能性がある。なお、ここでの干渉を受けている状態とは、観測対象時間内に干渉光が到来している状態を指す。
また、観測対象時間内に到来した干渉光の受光強度が、距離に応じた適正範囲となっている場合には、特許文献1の構成を援用したとしても干渉光を受光していることを検出できず、その結果、ターゲットとの距離を誤った値に算出してしまう恐れが生じる。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、他のレーザレーダ装置又は妨害装置の存在に起因して、ターゲットとの実際の距離を測定できない状態が継続してしまう恐れを低減可能なレーザレーダ装置を提供することにある。
その目的を達成するためのレーザレーダ装置の第1の発明は、パルス光を投光する投光ユニット(120)と、パルス光に対応する波長域の光を入射光として受光する受光ユニット(150)と、投光ユニットがパルス光を投光した時点から受光ユニットが入射光を受光するまでの時間である飛行時間を計測し、飛行時間に基づいてターゲットとの距離を測定する測距処理部(160)と、投光ユニットによるパルス光の投光タイミングを制御する投光制御部(140)と、を備え、投光制御部は、予め設定されている測距周期毎に、投光ユニットに、測距用のパルス光を投光させ、かつ、測距周期に対応する測距期間内のランダムなタイミングで、投光ユニットに、距離の測定に用いないダミーパルス光を投光させ測距処理部は、ダミーパルス光の投光に対しては距離を測定するための処理を実施しないことを特徴とする。
三者が自装置としてのレーザレーダ装置の測距を妨害するためには、自装置の投光周期を学習する必要があるが、以上の構成によれば、ダミーパルス光の投光タイミングをランダムにするので、ダミーパルス光と測距用のパルス光とを含めた全体のパルス光の投光間隔が一定ではなくなる。したがって、以上の構成によれば、自装置の次の投光タイミングを第三者が予測しにくくできる。その結果、妨害装置の存在に起因して、ターゲットとの実際の距離を測定できない状態が継続してしまう恐れを低減できる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
レーザレーダ装置100の概略的な構成を示すブロック図である。 測距周期、投光時間帯、及び投光タイミングの関係を説明するための図である。 変形例1の作動を説明するための図である。 変形例2の作動を説明するための図である。 変形例4の作動を説明するための図である。 変形例5の作動を説明するための図である。 変形例6の作動を説明するための図である。 変形例7の構成を説明するための図である。 変形例7の作動を説明するための図である。 変形例8の構成を説明するための図である。 変形例8による効果を説明するための図である。 変形例8による効果を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本実施形態におけるレーザレーダ装置100の概略的な構成の一例を示す図である。レーザレーダ装置100は、パルス光を投光するとともに、パルス光を投光してからその反射波を受光するまでに要した時間(以降、飛行時間)に基づいて、パルス光を反射した物体(以降、ターゲット)との距離を特定するものである。
ここでは一例として、レーザレーダ装置100は、車両において、車両前方の所定範囲に向けてパルス光を投光するように搭載されているものとする。車両における搭載位置及び取り付け姿勢は適宜設計されればよく、例えば車両のフロントバンパやウインドシールドの上端部付近に設けられれば良い。以下、このレーザレーダ装置100の構成及び作動について説明する。
レーザレーダ装置100は、図1に示すように主制御部110、投光ユニット120、パルス生成部130、投光制御部140、受光ユニット150、及び測距処理部160を備える。主制御部110は、パルス生成部130、投光制御部140、及び測距処理部160のそれぞれと相互通信可能に接続されている。また、主制御部110は、レーザレーダ装置100の外部に設けられてあって、レーザレーダ装置100の測距結果を利用する外部デバイス200と相互通信可能に接続されている。
外部デバイス200は、例えば、レーザレーダ装置100の測距結果に基づいて、障害物の存在をドライバに知らせるための警報出力や、先行車両との車間距離を所定の目標値に維持するための制御を行うECU(Electronic Control Unit)等とすればよい。外部デバイス200は、レーザレーダ装置100の測距結果を利用するアプリケーションに相当するデバイスである。
主制御部110は、CPU、ROM、RAM、IC等を備えている。主制御部110はレーザレーダ装置100が備える各部の起動/停止、測距結果の保存、外部デバイス200への出力など、装置全体の制御と上位層とのデータ入出力を行う。上述した種々の機能は、例えばCPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに記憶されているプログラムを実行することで提供されれば良い。もちろん、上述した種々の機能の一部又は全部は、1つ又は複数のICを用いて実現しても良いし、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせて実現しても良い。
また、主制御部110は、所定の周期でクロック信号を逐次出力するクロック生成器111を備える。クロック生成器111が生成するクロック信号は、パルス生成部130や、投光制御部140、測距処理部160等に提供される。
投光ユニット120は、パルス生成部130から入力されるパルス信号に対応して、図示しないパルス光源からパルス光を出力させる。パルス光源から出力されたパルス光は、レンズで整形されて所定の角度範囲でレーザレーダ装置100の外部へ投光される。パルス光源としては、レーザダイオードを用いることができる。パルス生成部130は、投光制御部140から入力される投光指示に従って投光ユニット120に対して電気的なパルス信号を出力する。
投光制御部140は、所定のタイミングでパルス生成部130に投光指示を出力し、投光ユニット120にパルス光を投光させる。パルス光を投光させるタイミング(以降、投光タイミング)を決定する際の投光制御部140の詳細な作動については別途後述する。
投光タイミングは、投光制御部140がパルス生成部130に投光指示を出力するタイミングに対応する。もちろん、パルス生成部130において投光指示が入力されてからパルス信号の出力するまでに所定の時間が要する場合であっても、その所要時間は試験等によって予め特定しておくことができる。したがって、投光制御部140や測距処理部160は、投光指示を出力したタイミングからパルス光が投光されたタイミングを特定できる。
投光制御部140は、投光指示をパルス生成部130に出力する場合、同じタイミングで、投光指示を出力したことを示す信号を測距処理部160に出力する。これにより、測距処理部160は、投光ユニット120が投光したタイミングを認識する。投光制御部140は、CPUが所定のプログラムを実行することで実現されても良いし、1つ又は複数のICを用いてハードウェア的に実現されても良い。
受光ユニット150は、投光ユニット120が投光したパルス光が、物体で反射されて返ってきた光(以降、反射光)を受光するためのユニットである。受光ユニット150は、受光対象とする所定の波長域の光を受光レンズで集光し、電気信号に変換して測距処理部160へ出力する。便宜上、受光ユニット150が受光した光を入射光と記載する。
受光ユニット150は、入射光の強度に応じた大きさの電気信号を出力する。受光対象とする波長域は、投光ユニット120が投光するパルス光の波長を含む範囲である。光から電気への変換は、フォトダイオードなどの光電変換素子を用いて実現すればよい。
測距処理部160は、受光ユニット150から電気信号をもとに、受光ユニット150が所定の閾値以上の強度を有する光を受光したことを検出する。ここで用いる閾値は、光を受光したか否かを判定するための閾値であり、具体的ない値は適宜設計されれば良い。そして、投光ユニット120がパルス光を投光してから、受光ユニット150が所定の閾値以上の強度の光を受光するまでの経過時間(つまり飛行時間)に基づいて、ターゲットまでの距離を算出する。
例えば、測距処理部160は、投光制御部140から入力される信号に基づいて、パルス光が投光されたことを検出し、飛行時間を計測するためのタイマーを起動する。そして、所定の閾値以上の電気信号が受光ユニット150から入力された場合に受光ユニット150が光を受光したと判定し、その時点でのタイマーのカウント値を飛行時間として採用する。なお、タイマーは、クロック生成器111から入力されるクロック信号をカウントするものとすればよい。そして、飛行時間に光速(3.0×10^8[m/秒])を乗算した値を2で除算することで、ターゲットまでの距離を特定する。
なお、測距処理部160は、投光ユニット120がパルス光を投光してから所定の測距対象時間Ton以上経過している場合に受光した光に対しては距離の算出を実施しないように構成されている。測距対象時間以上経過している状態において受光した光は、自分自身が投光したパルス光の反射波ではなく、他の光源から照射されたパルス光であるためである。
測距対象時間Tonは、レーザレーダ装置100が測定可能な距離(以降、測定可能距離)の最大値に対応する時間である。測定可能距離は、測距対象時間Tonに光速に乗じた値を2で除算した距離となる。以降では、パルス光を投光してから測距対象時間Ton経過するまでの期間のことを測距対象期間と記載する。
<投光タイミングの決定方法について>
次に投光制御部140の作動について説明する。なお、前提としてレーザレーダ装置100には、測距処理部160による測距処理が実行される間隔の上限の目標値(以降、測距周期)Tsが予め設定されている。測距処理には、パルス光の投光及び入射光の検出が必要となるため、投光制御部140は、その測距周期Tsに対応する期間(以降、測距期間)内に少なくとも1回はパルス光を投光させることが好ましい。
本実施形態における投光制御部140は、クロック生成器111から入力されるクロック信号に基づいて、測距期間が始まるタイミングと、終了するタイミングを特定する。図2中のT1は或る測距期間が始まるタイミングを表しており、T2はその測距期間が終了するタイミングを表している。なお、或る測距期間が終了するタイミングとは次の測距期間が始まるタイミングである。測距期間が開始(換言すれば終了)するタイミングは、測距周期Tsで発生する。
また、投光制御部140は、測距期間内の所定の時間帯を投光時間帯Wnに設定する。本実施形態では一例として、測距期間の開始時点から一定時間Twn経過するまでの時間帯を、投光時間帯Wnに設定する。Twnは適宜設計されればよく、例えば、測距周期Tsの10分の1程度とすればよい。
なお、図2では視認性の観点から、Tsに対するTonやTwnを、実際の比率よりも誇張して大きく図示している。実際にはTonは、Tsに対して十分に(例えば100分の1よりも)小さい値となっている。以降の図面においても同様であり、図で示すTsに対するTonやTwnの比率は実際の比率とは異なるものとなっている。
そして、投光制御部140は、投光時間帯Wnにおいてランダムなタイミングで投光指示をパルス生成部130に出力し、投光ユニット120にパルス光を投光させる。投光時間帯Wnにおける投光タイミングをランダムとする方法は種々考えられる。
例えば、図示しないメモリに記憶されている乱数表の数値を一つ読み取り、この読み取った値を投光時間帯Wnでの投光タイミングとして採用する。乱数表において参照する数値は、前回参照した数値とは異なる数値とする。仮に乱数表が配列構造によって記述されている場合には、配列構造によって表されている要素を順番に参照して行く態様とすればよい。
乱数表が備える各要素は、例えば三桁程度の数値とし、最小値としての0が投光時間帯Wnの開始時点に対応し、最大値としての999が投光時間帯Wnの終了時点に対応するものとして、読み取った数値に対応するタイミングを投光タイミングとして採用する態様とすればよい。
乱数表は予め設計されていても良いし、レーザレーダ装置100の起動する毎(あるいは一定時間毎)に動的に生成されてもよい。乱数表が備える個々の数値は、周知の乱数生成アルゴリズムによって算出された値とすればよい。例えばrand関数等を用いて演算されればよい。
また、他の態様として、乱数表を用いずに、パルス光を投光する度にrand関数等を用いて乱数を生成し、その生成した乱数に基づいて次の投光時間帯Wnにおける投光タイミングを決定してもよい。
なお、投光時間帯Wnにおける投光タイミングをランダムとする方法は以上で上述した方法に限らない。次回の投光時間帯Wnにおける投光タイミングが、前回の投光時間帯Wnにおける投光タイミングと一致する確率が、所定の閾値(例えば1%)以下となるように決定されればよい。投光タイミングの決定は、例えば前回のパルス光の投光に伴う測距対象期間が満了してから次の測距期間が開始するまでの間に実施されれば良い。
<本実施形態のまとめ>
以上の構成では、投光制御部140は、投光時間帯Wnにおいてパルス光を投光させるタイミングをランダムとする。このような構成によれば、パルス光を投光する間隔(換言すれば投光周期)も、毎回ランダムな値となる。
そのため、仮に、レーザレーダ装置100に設定されている測距周期Tsと類似する周期で投光を実施する干渉光源が存在する場合であっても、自分自身が投光するタイミングと、当該干渉光源による投光タイミングとが重なり続けることを抑制することができる。さらに、本実施形態の構成によれば、投光時間帯Wnは測距周期Ts毎に開始されることになる。そのため、以上の構成によれば、測距周期Ts毎の測距を保ちながら干渉確率を低減することができる。
なお、レーザレーダ装置100の測距周期Tsと類似する周期で投光を実施する干渉光源としては、他車両に搭載されているレーザレーダ装置(以降、他装置)の他に、自装置による測距を妨害しようとする、第三者が備える妨害装置が想定される。妨害装置は、レーザレーダ装置によるパルス光の投光周期を学習し、レーザレーダ装置がターゲットとの距離を誤認識してしまうタイミングで、パルス光を投光するものである。
そのような妨害装置の存在を想定した場合、所定の投光周期で定期的にパルス光を投光する構成(以降、従来構成)においては、妨害装置によって次回の投光タイミングが推定されやすい。
一方、上述した実施形態によれば投光間隔がランダムとなる。そのため、他装置との継続的な干渉を抑制するだけでなく、妨害装置による妨害を受ける可能性も抑制することができる。投光間隔がランダムとなれば、レーザレーダ装置100が次にパルス光を投光するタイミングを妨害装置が予測することが困難となるためである。
なお、レーザレーダ装置100は、測距対象期間中に、偶然発生した単発の干渉光を受光する可能性もあるが、偶然発生した単発の干渉光に対しては、別の方法で対応すればよい。偶然発生した単発の干渉光に由来して算出した距離は、それまでの測距結果に対して乖離した値となることが期待できるため、過去の測距結果からの連続性に基づいてノイズと判定することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
なお、前述の実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
[変形例1]
上述した実施形態では、測距期間の一部を投光時間帯Wnに設定し、投光時間帯Wnにおいてランダムにパルス光を投光させる態様を例示したが、これに限らない。
図3に示すように、投光時間帯Wnを設定せずに測距期間内においてランダムにパルス光を投光する態様としてもよい。ただし、パルス光の投光タイミングは、前回のパルス光の投光に伴う測距対象期間が満了してからとする。これにより自装置が前回投光したパルス光の反射波が、次回の測距処理におけるノイとなる可能性を低減する。なお、この変形例1として言及した態様は、測距期間全域を投光時間帯Wnとして用いる態様に相当する。
[変形例2]
投光制御部140は、1つの測距期間内に投光指示を複数回出力してもよい。つまり、レーザレーダ装置100は、1つの測距期間内にパルス光を複数回投光してもよい。
測距期間内における複数回の投光タイミングはそれぞれランダムに決定されればよい。例えば、乱数表を参照することで取得した乱数に応じた時間を、前回パルス光を投光してから次に投光するまでの間隔として採用することで、投光タイミングをランダムとすればよい。そのような態様によっても、投光間隔がランダムとなり、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
また、1つの測距期間内に投光する回数自体もランダムに決定されてもよい。ただし、本変形例2においては少なくとも1回はパルス光を投光するように制御するものとする。
なお、1つの測距期間内に複数回パルス光を投光する場合には、測距期間内に収集した複数の測定結果に基づいて当該測距期間内での測距結果(換言すればターゲットとの距離)を決定する態様としてもよい。それにより、より信頼度の高い測定結果を得ることができる。
例えば、測距期間内に取得した複数回の測距結果の平均値や中央値などを、その測距期間内における測距結果として採用すればよい。なお、測距期間内に収集した複数の測定結果に基づいた最終的な測距結果の決定は、測距処理部160が実施してもよいし、主制御部110が実施してもよい。便宜上、測距期間内に収集した複数の測定結果に基づいて当該測距期間における測距結果を決定する機能モジュールを測距結果確定部と称する。
[変形例3]
変形例2として言及した、1つの測距期間内に複数回パルス光を投光させる態様は、1つの測距期間を複数の時間帯に分割し、それぞれの時間帯において1回ずつパルス光を投光させることで実現してもよい。換言すれば、1つの測距期間に複数の投光時間帯Wnを設けてもよい。
図4は、1つの測距期間を3等分してなる3つの時間帯のそれぞれを前述の投光時間帯Wnとして用いる態様を表している。図4に示す投光時間帯Wnの継続時間Twnは、測距周期Tsを3で割った値となる。投光制御部140はそれぞれの投光時間帯Wnにおいてランダムなタイミングで投光指示を出力し、パルス光を投光させる。
なお、ここでは一例として、1つの測距期間において複数の投光時間帯Wnを互いに離間させることなく設ける態様としたがこれに限らない。例えば、或る投光時間帯Wnと、次の投光時間帯Wnとの間には所定のインターバルを挿入する態様としてもよい。
[変形例4]
以上では、測距に用いるパルス光を投光するタイミングをランダムとすることで、妨害装置によってレーザレーダ装置100が次にパルス光を投光するタイミングを予測されにくくする態様を例示したが、これに限らない。
図5に示すように、測距用のパルス光の他に、測距には用いないパルス光(以降、ダミーパルス光)を投光する態様としてもよい。図5に示すP1〜P3は、測距用のパルス光であり、Q1,Q2はダミーパルス光である。
このように測距用のパルス光の間にダミーパルス光を投光することで、見かけ上の投光周期が真の投光周期(ここではTs)と異なる値となるため、レーザレーダ装置100が次にパルス光を投光するタイミングを妨害装置が予測することを困難にすることができる。その結果、妨害装置による妨害を受ける可能性を低減できる。
なお、図5においては、測距用のパルス光を測距周期Tsで定期的に投光する態様を例示しているが、これに限らない。測距期間内において測距用のパルス光を投光するタイミングは、上述したように、ランダムとしてもよい。換言すれば、測距用のパルス光を投光する間隔はランダムとしてもよい。
また、図5では、1つの測距期間毎にダミーパルス光を投光するとともに、その投光タイミングをランダムとする態様としたが、これに限らない。ダミーパルス光を測距周期Tsで定期的に投光し、測距用のパルス光を投光するタイミングをランダムとしてもよい。もちろん、測距用のパルス光を投光するタイミングと、ダミーパルス光を投光するタイミングの両方をランダムとしてもよい。
さらに、ダミーパルス光は必ずしも測距期間毎に投光する必要はなく、ダミーパルス光を投光しない測距期間を設けても良い。また、1つの測距期間内においてダミーパルス光を投光する回数は1回に限らず、予め定められた複数回でもよいし、ランダムに決定されても良い。
[変形例5]
以上では、パルス光を投光するタイミングをランダムとしたり、ダミーパルス光を投光したりすることで、妨害装置によってレーザレーダ装置100が次にパルス光を投光するタイミングを予測されにくくする態様を例示したが、これに限らない。
図6に示すように、パルス光の投光周期として測距周期Tsを採用し、パルス光を測距周期Tsで定期的に投光する構成において、測距周期TsのL倍の長さを有する周期でパルス光を投光しない場合を設ける態様としてもよい。換言すれば、パルス光を所定の投光周期で定期的に投光する構成において、複数回(つまりL回)に1回、パルス光を投光しない態様としてもよい。このような態様によっても、妨害装置が投光間隔を特定しにくくできる。その結果、前述の変形例4と同様に、妨害装置による妨害を受ける可能性を低減できる。
なお、Lは予め設定された3以上の整数であっても良いし、パルス光を投光しない制御を実施するたびにランダムに決定されても良い。ランダムに決定する場合であっても、最小値は3以上とすることが好ましい。L=2では2回に1回投光しないことになり、測距周期Tsが実質的に2倍となるためである。Lの下限値は、一定時間当りのパルス光を投光した回数に対する、パルス光を投光しなかった回数の比率が、測距処理の基づいたアプリケーション処理に不都合を及ぼさない程度の比率となるように決定すれば良い。
なお、L回分の投光契機のうち、何番目の投光契機において投光をキャンセルするかはランダムに決定されることが好ましい。もちろん、何番目の投光契機において投光をキャンセルするかは予め設定されていても良い。ここでの投光契機とは、前回パルス光を投光してからの経過時間がパルス光の投光周期(ここでは測距周期Ts)となるタイミングを指す。なお、複数回に1回投光しないタイミングを設けることは、複数回パルス光を投光する毎に、パルス光を投光しないタイミングを設けることに相当する。
[変形例6]
変形例5では、パルス光を測距周期Tsで定期的に投光する構成をベースとしたが、これに限らない。例えば、測距周期Tsを所定の分割数Mで割った時間Tmをパルス光の投光周期として採用し、パルス光を投光周期Tmで定期的に投光する構成において、L回に1回、パルス光を投光しない場合を設ける態様としてもよい。
このような態様によれば、測距周期Ts毎の測距処理の実行を実現しつつ、第三者による妨害を受ける可能性を抑制することができる。なお、図7は、M=4、L=4の場合を表している。また、3番目の投光契機において、パルス光の投光をキャンセルした態様を例示している。
[変形例7]
以上では、投光制御部140の制御対象とする投光ユニット120が1つである態様を例示したが、これに限らない。図8に示すように、レーザレーダ装置100は、複数の投光ユニット120を備える態様となっていてもよい。複数の投光ユニット120を組み合わせて用いることで、より大きな検出角度範囲を形成することができる。
また、レーザレーダ装置100が複数の投光ユニット120を備える場合、投光制御部140は、複数の投光ユニット120からパルス光を投光させる順番をランダムとする。なお、或る投光ユニット120からパルス光を投光させてから他の投光ユニット120から投光させるまでの間隔は一定としてもよいし、ランダムな時間としてもよい。
図9は、車両の左側方に存在する物体との距離を検出するために用いられるレーザレーダ装置100が、それぞれの検出角度範囲が異なるように配置された4つの投光ユニット120を備える場合の、各投光ユニット120の検出角度範囲A〜Dを概念的に表している。なお、或る投光ユニット120の検出角度範囲とは、パルス光を照射する角度範囲に相当する。
このような構成において投光制御部140は、或る測距期間においてはA→B→C→Dの順で投光した場合、次の測距期間では、例えばC→A→D→Bなど、前回とは異なる順番で投光させればよい。
このように、複数の投光ユニット120の投光順をランダムとすることで、間接的に複数の投光ユニット120の投光タイミングもランダムとなり、上述した実施形態や種々の変形例と同様の効果を奏する。
なお、レーザレーダ装置100は、投光ユニット120の数に応じた数の(つまりの複数の)受光ユニット150を備える態様としてもよい。もちろん、1つの受光ユニット150によって複数の投光ユニット120のそれぞれの検出角度範囲に対応できる場合には、1つの受光ユニット150を備える態様としてもよい。
なお、1つの投光ユニット120がパルス光を照射する範囲が、シャッター等の機械的な構造を用いて複数に分割されている場合にも同様に、パルス光を照射する範囲の順番をランダムとすればよい。
[変形例8]
次に上述したレーザレーダ装置100を複数用いて実現される周辺監視システム1000について述べる。周辺監視システム1000は、図10に示すように、車両V1に搭載されており、上述したレーザレーダ装置100と同様に構成された、前方用レーザレーダ装置100A、後方用レーザレーダ装置100B、右側方用レーザレーダ装置100C、左側方用レーザレーダ装置100D、及び周辺監視ECU200Xを備える。
以降、周辺監視システム1000が搭載されている車両V1を自車両とも記載する。また、前方用レーザレーダ装置100A、後方用レーザレーダ装置100B、右側方用レーザレーダ装置100C、及び左側方用レーザレーダ装置100Dを互いに区別しない場合、単にレーザレーダ装置100と記載する。各レーザレーダ装置100には、共通の測距周期Tsが設定されている。
前方用レーザレーダ装置100Aは、自車両前方の所定範囲にパルス光を投光するように設置されており、後方用レーザレーダ装置100Bは、自車両後方の所定範囲にパルス光を投光するように設置されている。また、右側方用レーザレーダ装置100Cは、自車両右側方の所定範囲にパルス光を投光するように設置されており、左側方用レーザレーダ装置100Dは、自車両左側方の所定範囲にパルス光を投光するように設置されている。
種々のレーザレーダ装置100は、自車両V1の適宜設計される位置に、所望の検出角度範囲を形成するように搭載されればよい。便宜上、複数のレーザレーダ装置100のそれぞれが備える投光制御部140を、投光制御部140A〜Dと記載する。投光制御部140A〜Dが順番に、請求項に記載の前方投光制御部、後方投光制御部、右側方投光制御部、左側方投光制御部に相当する。
周辺監視ECU200Xは、各レーザレーダ装置100での測距結果に基づいて、自車両V1周辺に存在する物体との距離等を認識する。その認識結果は、障害物の存在をドライバに知らせるための警報出力や、先行車両との車間距離を所定の目標値に維持するための制御に用いられれば良い。
このような構成において、投光制御部140A及び投光制御部140Cは、測距周期Tsよりも所定のスライド時間ΔTだけ短い時間Ts1を、パルス光の投光周期として採用し、Ts1毎にパルス光を投光させる。また、投光制御部140B及び投光制御部140Dは、測距周期Tsよりもスライド時間ΔTだけ長い時間Ts2を、パルス光の投光周期として採用し、Ts2毎にパルス光を投光させる。
ここで導入するスライド時間ΔTは、例えば測距周期Tsに対して十分に小さい時間であって、例えば測距周期Tsの数%程度とすれば良い。もちろん、スライド時間ΔTは測距周期Tsの1%以下の値であってもよく、例えば測距対象時間Ton程度の値としてもよい。
このような態様による効果を図11及び図12を用いて説明する。図11に示すV2は自車両の前方を走行している車両(つまり先行車両)であって、自車両V1は先行車両V2に追従して走行している。また、図11に示すV3は、自車両V1の右側方において、自車両V1と並走している他車両(以降、並走車両)である。先行車両V2及び並走車両V3のそれぞれにも、自車両と同一仕様又は類似する周辺監視システムが搭載されている。
この図11に示す状況では、自車両V1の前方用レーザレーダ装置100Aにとっては、先行車両V2が車両後方に投光したパルス光が干渉光として到来しうる。もちろん、先行車両V2にとっては、自車両V1の前方用レーザレーダ装置100Aが投光するパルス光が干渉光となりうる。
また、自車両V1の右側方用レーザレーダ装置100Cにとっては、並走車両V3が車両左側に投光したパルス光が干渉光として到来しうる。もちろん、並走車両V3にとっては、自車両V1の右側方用レーザレーダ装置100Cが投光するパルス光が干渉光となりうる。そして、各車両の走行速度が略同一である場合には上述した位置関係をある程度の時間保持して走行することになる。
このような状況において、仮に各車両の投光タイミングが一致している場合、従来の周辺監視システム(以降、従来システム)では、車両前後間、及び、左右間での干渉が、各車両の位置関係が変更されるまで継続してしまう。ここでの従来システムとは、各方向に対応するレーザレーダ装置の投光周期が共通した値に設定されているシステムを指す。従来システムにおいては共通した周期で各方向にパルス光を投光するため、或る時点での投光タイミングが一致している場合には、次回や次々回以降での投光タイミングも一致するためである。なお、ここでの一致とは、完全な一致に限らず、互いの測距対象期間が重なる範囲においてタイミングがずれている場合も含む。
そのような従来システムに対し、本変形例8の構成では、車両の前方にパルス光を投光する周期Ts1と、車両後方にパルス光を投光する周期Ts2とは、スライド時間ΔTの2倍ずれた時間に設定している。したがって、図12に示すように、或る時刻Taにおいて、自車両V1が車両前方にパルス光を投光するタイミングと、先行車両V2が車両後方に投光するタイミングとが一致してしまっても、それぞれの投光タイミングは、スライド時間ΔTの2倍だけずれていく。
したがって、本変形例8の構成によれば、車両前後間において干渉状態が継続することを抑制することができる。
同様に、本変形例8の構成では、車両の右側方にパルス光を投光する周期Ts1と、車両左側方にパルス光を投光する周期Ts2とは、スライド時間ΔTの2倍の時間ずれた時間に設定している。したがって、本変形例8の構成によれば、車両左右間において干渉状態が継続することを抑制することができる。
つまり、以上の構成によれば、車両の前後や左右などの、継続的な相互干渉が発生しやすいパターンにおいて、継続的な干渉が生じることを抑制することができる。
なお、パルス光の投光周期として、測距周期Tsよりもスライド時間ΔTだけ短い時間Ts1を採用するということは、測距期間中での投光タイミングをスライド時間ΔTだけ徐々に早めることに相当する。パルス光の投光周期として、測距周期Tsよりもスライド時間ΔTだけ長い時間Ts2を採用するということは、測距期間の開始タイミングに対して投光タイミングをスライド時間ΔTだけ徐々に遅くことに相当する。
また、以上では、車両前方にパルス光を投光する周期(つまり前方投光周期)を、車両後方にパルス光を投光する周期(つまり後方投光周期)よりも短くする態様としたが、これに限らない。車両後方にパルス光を投光する周期を、車両前方にパルス光を投光する周期よりも短くする態様としてもよい。同様に、車両左側方にパルス光を投光する周期(つまり左側方投光周期)を、車両右側方にパルス光を投光する周期(つまり右側方投光周期)よりも短くする態様としてもよい。
さらに車両前後でパルス光を投光する周期をずらす量と、車両左右でパルス光を投光する周期をずらす量とは一致している必要はなく、異なる値としてもよい。
[変形例9]
以上では、レーザレーダ装置100が車両に搭載されて用いられる態様を例示したが、これに限らない。例えば、船舶で用いられても良いし、店舗やビル、工場等の施設において利用されてもよい。また、以上で述べたレーザレーダ装置100はフラッシュ型のレーザレーダ装置とするが、他の態様として、スキャン型のレーザレーダ装置に上述した制御を適用してもよい。
100・100A〜D レーザレーダ装置、110 主制御部、111 クロック生成器、120 投光ユニット、130 パルス生成部、140・140A〜D 投光制御部、150 受光ユニット、160 測距処理部、1000 周辺監視システム、200 外部デバイス、200X 周辺監視ECU

Claims (8)

  1. パルス光を投光する投光ユニット(120)と、
    パルス光に対応する波長域の光を入射光として受光する受光ユニット(150)と、
    前記投光ユニットがパルス光を投光した時点から前記受光ユニットが前記入射光を受光するまでの時間である飛行時間を計測し、前記飛行時間に基づいてターゲットとの距離を測定する測距処理部(160)と、
    前記投光ユニットによるパルス光の投光タイミングを制御する投光制御部(140、140A〜D)と、を備え、
    前記投光制御部は、
    予め設定されている測距周期毎に、前記投光ユニットに、測距用の前記パルス光を投光させ、かつ、前記測距周期に対応する測距期間内のランダムなタイミングで、前記投光ユニットに、距離の測定に用いないダミーパルス光を投光させ、
    前記測距処理部は、前記ダミーパルス光の投光に対しては距離を測定するための処理を実施しないことを特徴とするレーザレーダ装置。
  2. 請求項1において、
    前記投光制御部は、測距用の前記パルス光を投光させるタイミングをランダムとするレーザレーダ装置。
  3. 請求項2において、
    前記投光制御部は、
    前記測距期間毎に、投光タイミングを設定するための投光時間帯を前記測距期間内に設定し、
    前記投光時間帯の中のランダムなタイミングで前記投光ユニットに、測距用の前記パルス光を投光させることを特徴とするレーザレーダ装置。
  4. 請求項又はにおいて、
    前記投光制御部は、1つの前記測距期間において、測距用の前記パルス光を複数回投光させることを特徴とするレーザレーダ装置。
  5. 請求項において、
    前記測距期間を複数に分割したそれぞれの時間帯において、ランダムなタイミングで前記投光ユニットに、測距用の前記パルス光を投光させることを特徴とするレーザレーダ装置。
  6. 請求項又はにおいて、
    前記測距期間に複数回実施した測距の結果から、当該測距期間における測距結果を決定することを特徴とするレーザレーダ装置。
  7. 請求項1において、
    前記投光制御部は、予め設定された投光周期に基づいて定まる投光タイミングであっても、複数回毎に測距用の前記パルス光を投光させないことを特徴とするレーザレーダ装置。
  8. 請求項1からの何れか1項において、
    複数の前記投光ユニットを備え、
    前記投光制御部は、複数の前記投光ユニットのそれぞれによる、測距用の前記パルス光の投光タイミングを制御することを特徴とするレーザレーダ装置。
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