以下、本発明を適用した実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、下記説明において、電磁誘導加熱調理器の平面に平行な方向をX方向及びY方向とし、X方向及びY方向と交わる方向をZ方向とする。
(第1実施形態:電磁誘導加熱用器具1)
図1(a)及び図1(b)を参照して、第1実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。図1(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具1の構成の一例を示す模式斜視図であり、図1(b)は、本実施形態における加熱部10の構成の一例を示す模式平面図である。
<加熱部10>
図1(a)及び図1(b)に示すように、電磁誘導加熱用器具1は、加熱部10を備える。加熱部10は、第1金属部11と、第1金属部11とは異なる材料を有する第2金属部12とを有する。電磁誘導加熱用器具1は、例えば加熱部10を支持する支持部材15を備える。
加熱部10は、電磁誘導加熱調理器90により加熱され、食材を載置する載置部20に熱を伝達するものである。加熱部10は、例えば載置部20の底面に接触させて(図1(a)の矢印)熱を伝達することで、載置部20に載置された食材の調理又は保温を実現する。
加熱部10の中央部10cには、第2金属部12が設けられ、加熱部10の端部10sには、第1金属部11が設けられる。第2金属部12は、第1金属部11の端部と離間し、第1金属部11の中央側に接して設けられる。加熱部10の主面(XY面)において、第1金属部11の面積は、第2金属部12の面積よりも大きい。
各金属部11、12の形状は、例えば円状であり、平面視において、第2金属部12は、第1金属部11に囲まれている。第2金属部12の直径は、例えば80mm以上130mm以下である。なお、第1金属部11及び第2金属部12の少なくとも何れかは、例えば図1(c)に示すように、第2金属部12よりも小さい孔10dを有してもよい。第1金属部11及び第2金属部12の少なくとも何れかが孔10dを有することで、加熱部10の加熱に伴う形状変化を抑制することが可能である。例えば、第1金属部11の端部は、曲面を有してもよい。
第2金属部12の発熱効率は、第1金属部11の発熱効率よりも高いため、加熱部10の発熱効率は、端部10sよりも中央部10cが高い。このため、電磁誘導加熱調理器90により加熱部10を加熱したとき、加熱部10の中央部10cは、端部10sに比べて加熱され易い。これにより、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。従って、電磁誘導加熱用器具1の加熱効率の向上を図ることができる。
なお、上述した「発熱効率」とは、例えば電磁誘導加熱調理器90に用いた電力に対する器具の温度上昇の割合を示し、発熱効率が高いほど加熱され易いことを示す。例えば、電気抵抗の高い材料は、電磁誘導加熱調理器90に起因する電磁誘導によりジュール熱を発生し易い。このため、電気抵抗の低い材料に比べて、電気抵抗の高い材料は、加熱され易く、「発熱効率」が高いと判断することができる。また、発熱効率に関わるパラメータとして、例えば渦電流、ヒステリシス損、非透磁率等が挙げられ、この値が大きいほど「比透磁率」が高くなる可能性があると判断することができる。
第1金属部11は、例えば非磁性体の金属を有し、第2金属部12は、例えば磁性体(強磁性体)の金属を有する。第1金属部11として、例えば第2金属部12よりも電気抵抗の低い材料が用いられ、例えばアルミニウム、銅、非磁性ステンレス鋼材(SUS:例えばオーステナイト系の金属組織、JIS300番台)、炭化ケイ素等が選択される。第2金属部12として、例えば鉄、亜鉛、アルミニウム、磁性ステンレス鋼材(SUS:例えばマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト系(二相系、亜鉛、アルミニウム)の金属組織、JIS400番台、JIS329番台)等が選択される。このとき、第1金属部11の熱伝導率は、第2金属部12の熱伝導率よりも高い。このため、誘導加熱の表皮効果により、第2金属部12で加熱された熱が、第1金属部11を介して端部10s側に伝わり易い。これにより、加熱部10と接触する載置部20の面に対して、熱が均一に伝達され、載置部20上の温度バラつきを抑制することができる。例えば第2金属部12として、アルミニウムや銅等が用いられた場合、第1金属部11として、第2金属部12よりも発熱効率が低く、電気抵抗の低い材料を用いられる。これにより、上記と同様に、載置部20上の温度バラつきを抑制することができる。なお、第1金属部11の材料及び第2金属部12の材料は、使用する電磁誘導加熱調理器の特徴に対応するように任意に選択できる。
第2金属部12は、例えば第1金属部11と、載置部20との間に設けられる。この場合、第2金属部12が載置部20側に設けられるため、載置部20の温度を短時間で上昇させることができる。また、例えば第1金属部11は、第2金属部12と、載置部20との間に設けられてもよい。この場合、第2金属部12の熱は、第1金属部11を介して載置部20に伝わるため、載置部20の温度が過剰に上昇することを抑制できる。これらより、各金属部11、12を積層する構成を変えることで、載置部20の用途に伴う最適な加熱、保温状態を制御することができる。
加熱部10は、例えば金属繊維状、箔状、及びスクリーン金属(例えば網状、パンチングシート、パンチングメタル)の少なくとも何れかで構成される。これらの構成を用いることで、加熱部10の材料コストを削減することができる。また、加熱部10を薄く形成できるため、載置部20のデザイン性の向上や、電磁誘導加熱用器具1の軽量化を図ることができる。また、上記構成を用いることで、加熱部10の一部に曲面等を形成することができ、加熱部10の形状を自由にレイアウトすることが可能である。
加熱部10の密度は、例えば端部10sに比べて中央部10cのほうが高い。例えば、中央部10cの密度は、端部10sに対して1.5倍以上2.0倍以下である。
加熱部10の膜厚は、例えば端部10sに比べて中央部10cのほうが厚い。例えば、中央部10cの膜厚は、端部10sに対して1.5倍以上2.0倍以下である。加熱部10の膜厚は、例えば500μm以下である。
加熱部10の形状として網状が用いられたとき、中央部10cには端部10sよりも高密度の形状が用いられる。このとき、第2金属部12として、例えば200メッシュ(線径0.05mm、目開き0.077mm、開口率36.8%)の形状が用いられ、第1金属部11として、例えば100メッシュ(線形0.11mm、目開き0.144mm、開口率32.1%)の形状が用いられる。
上述した密度、膜厚、又は形状を有する加熱部10を用いることで、載置部20の中央部における温度上昇を促進させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具1の加熱効率の向上を図ることができる。また、上述した密度、膜厚、又は形状を制御することにより、載置部20の過剰な温度上昇や、温度バラつきを抑制できる。
特に、図1(d)に示すように、第1金属部11の形状は網状であり、第2金属部12の形状は溶射粒子が結合した膜状又は粒子状であることが望ましい。第2金属部12は、金属溶射法を用いて第1金属部11上に形成される。例えば、第1金属部11として網状の銅、鉄、上述したSUS等を含む材料が用いられ、第2金属部12として膜状の亜鉛、上述したSUS、アルミニウム等を含む材料が用いられる。これにより、第1金属部11と第2金属部12との接触面積を大きくすることができ、熱伝導の効率化を図ることが可能となる。また、第1金属部11を網状にすることで、加熱部10の加熱時における金属膨張に伴う加熱部10全体の形状変化を抑制することができ、電磁誘導加熱用器具の劣化を抑制することが可能となる。また、第2金属部12を膜状にすることで、第2金属部12の厚さを最小限に抑えることができ、加熱部10の薄型化を実現することが可能となる。なお、例えば第2金属部12の厚さは、50〜300μm程度である。
図2は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具1の構成の一例を示す模式斜視図であり、図3(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具1の構成の一例を示す模式断面図である。
<支持部材15、接続部材16>
図2に示すように、電磁誘導加熱用器具1は、例えば、複数の接続部材16を備える。加熱部10は、複数の接続部材16と接するように配置され、支持部材15は、複数の接続部材16を介して加熱部10を支持する。
支持部材15は、加熱部10を囲む側面15sを有する。支持部材15は、例えば矩形に配置された4つの側面15sを有し、各側面15sは、接続部材16と接する。側面15sは、例えばZ軸方向から見て8角形等の多角形状の他、円筒状に形成されてもよい。
支持部材15として、非磁性体の材料が用いられる。支持部材15として、例えば天然無垢木、中密度繊維板(MDF: medium density fiberboard)、合板、化粧板等が用いられてもよく、又は、天然無垢木、中密度繊維版、合板、及び化粧板の少なくとも何れかを含む積層材が用いられてもよい。このため、従来の天然無垢木が用いられた場合に比べて、安価かつ軽量に支持部材15を形成することができる。これにより、材料コストの削減及び持ち運び易さを向上させることができる。また、天然無垢木に比べて、環境への悪影響を抑制できる。上記に加え、中密度繊維板は、天然無垢木に比べて、耐熱性に優れ、保温性が高い。このため、支持部材15として中密度繊維板を用いることで、加熱部10及び載置部20を支持したときの耐熱性を高めることができるとともに、長時間の温度維持が可能である。
接続部材16は、側面15sから突出する。接続部材16の形状は、例えば円柱状である。接続部材16は、例えば円筒状、角柱等の多面体の形状を有してもよく、例えば球状でもよい。このほか、接続部材16は、例えば円柱空状、角柱状、角柱空状、円錐柱状、及び円錐柱空状の何れかの形状を有し、材料として炭素繊維、炭化ケイ素、セルロースナノファイバー等を含んでもよい。
接続部材16として、例えば非磁性体の材料が用いられ、例えばジルコン、ジルコニア、炭化物、窒化物、ホウ化物等を含むセラミック、ジルコニウム、及び炭素の少なくとも何れかが含まれる。このため、加熱部10を電磁誘導加熱調理器90により加熱した場合、載置部20に比べて、加熱部10からの熱が接続部材16に伝達され難い。すなわち、支持部材15上に加熱部10及び載置部20を載せた状態で、電磁誘導加熱調理器90を用いた加熱調理等を実施することができる。これにより、加熱された載置部20を受け皿等に載せ変える工程を省略でき、調理時間の短縮を図ることが可能である。
支持部材15は、例えば貫通孔15dを有する。貫通孔15dは、側面15sの下端に設けられる。このため、支持部材15を電磁誘導加熱調理器90上に配置した場合においても、加熱部10の熱を外部に放熱することができる。これにより、支持部材15に囲まれた空間の温度が過剰に上昇した場合においても、支持部材15の過剰な温度上昇を抑制することができる。
支持部材15は、例えば取手15eを有する。取手15eは、支持部材15の外側に設けられる。このため、配膳時の利便性を向上させることが可能である。
図3(a)に示すように、例えば接続部材16は、第1接続部材16aと、第2接続部材16bとを有し、それぞれ異なる高さ方向Zに配置される。第1接続部材16aは、第2接続部材16b上に設けられる。加熱部10は、第1接続部材16aの先端と接し、第2接続部材16bの上面と接する。このとき、支持部材15の側面15sに囲まれる形状の載置部20を用いることで、加熱部10及び載置部20は、支持部材15内に固定される。これにより、加熱部10及び載置部20が支持部材15の外側へ飛び出すことを抑制することができる。また、加熱部10が支持部材15に接しない。このため、加熱された加熱部10から支持部材15への熱の伝達を抑制することができる。これにより、支持部材15の温度上昇に伴う劣化を抑制することが可能である。
例えば図3(b)及び図3(c)に示すように、第1接続部材16aの先端は、加熱部10と離間し、載置部20と接してもよい。この場合、第2接続部材16bの一部の上面を欠けた形状とすることで、加熱部10を固定することができる。これにより、上述した構成と同様に、加熱部10及び載置部20が支持部材15の外側へ飛び出すことを抑制できる。また、加熱された載置部20から支持部材15への熱の伝達を抑制することができる。これにより、支持部材15の温度上昇に伴う劣化を抑制することが可能である。
例えば図4に示すように、第2接続部材16bは、向かい合った側面15sの間を連続して設けてもよい。この場合、第2接続部材16bは、2つ以上設けることで、加熱部10を固定することができる。これにより、上述した構成と同様に、加熱部10及び載置部20が支持部材15の外側へ飛び出すことを抑制できる。また、支持部材15の温度上昇に伴う劣化を抑制することが可能である。
本実施形態によれば、第2金属部12の発熱効率は、第1金属部11の発熱効率よりも高い。この構成により、加熱部10の中央部10cは、端部10sに比べて加熱され易い。このため、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具1の加熱効率の向上を図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、加熱部10から載置部20に熱を伝達するとき以外は、加熱部10を載置部20から離間することができる。このため、載置部20と加熱部10とを一体に形成する必要がない。これにより、載置部20の形状や材質に関わりなく電磁誘導加熱用器具1を用いることが可能である。
なお、各金属部11、12の形状は、円形の他、例えばオーバル形状や、図5(a)及び図5(b)に示すように、矩形を含む辺と角とを有する形状でもよい。この他、例えば図5(c)に示すように、各金属部11、12の形状は、円形の一部が欠けた形状でもよい。この場合、載置部20に熱が伝わり易い場所と、熱が伝わり難い場所とを任意に設けることができる。これにより、載置部20に載置する食材の盛り付けの自由度を向上させることができる。
また、図5(d)に示すように、加熱部10は、加熱部10の少なくとも一部を覆う保護膜10rを有してもよい。保護膜10rとして、例えばフッ素ゴム又はシリコーンゴムが用いられる。このため、加熱部10は、保護膜10rを介して載置部20に熱を伝達することができる。これにより、加熱部10及び載置部20の接触に伴う劣化を抑制することが可能である。なお、保護膜10rは、例えば加熱部10にフッ素コーティング、耐熱塗料の焼付塗装により形成されてもよい。
また、複数の接続部材16は、例えば図6に示すように、加熱部10及び支持部材15と接する筒状部材16cと、筒状部材内に設けられた熱検知部16dとを有してもよい。熱検知部16dは、第1金属部11と接し、第2金属部12と離間する。熱検知部16dは、非磁性体の金属を有する。この構成により、熱検知部16dを介して第1金属部11の温度を検知することができる。また、例えば図3(b)及び図3(c)に示した構成を用いて、熱検知部16dを載置部20に接するようにしてもよい。この構成により、熱検知部16dを介して載置部20の温度を検知することができる。上述した構成により、加熱部10及び載置部20を固定した状態を保持して、加熱部10又は載置部20の温度をモニタリングすることができる。従って、熱検知部16dを用いることで、加熱部10又は載置部20の温度管理を実現することが可能である。
例えば図7に示すように、支持部材15は、底板15aを有してもよい。このため、支持部材15上に加熱部10及び載置部20を設置したとき、加熱部10下の熱を外部に放熱することを抑制することができる。これにより、載置部20の保温を持続させることができる。なお、電磁誘導加熱用器具1を用いる状況に応じて、支持部材15に底板15a及び貫通孔15dの何れかを選択できる。すなわち、載置部20の保温を優先させるときは、底板15aを設け、支持部材15から外部への放熱を優先させるときは、貫通孔15dを設けることができる。
底板15aは、例えば発光部を有する衝撃センサ15tを有してもよい。この構成により、加熱部10及び載置部20を設置した支持部材15を顧客に提供するとき、支持部材15をテーブル上に置いたときに衝撃センサ15tが衝撃を検知し、発光部を発光させることができる。これにより、載置部20が鍋等の場合に、載置部20を炎で加熱する演出を実現することができ、顧客の食欲を向上させることが可能となる。
なお、図7に示すように、取手15eは例えば支持部材15の角に切込を加えることにより形成されてもよい。
(第2実施形態:電磁誘導加熱用器具2)
次に、図8〜図9(b)を参照して、第2実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第2実施形態と、第1実施形態との違いは、接続部材16が、加熱部10から突出する点である。なお、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図8に示すように、接続部材16は、第1金属部11の端部から突出する。支持部材15は、凹部15rを有する。凹部15rは、側面15sの上端からZ方向に延び、下端と離間する。このとき、接続部材16が設けられる数は、凹部15rが設けられる数と等しい。
図9(a)に示すように、接続部材16の端部は、凹部15rの底面と接する。このとき、支持部材15は、接続部材16を介して加熱部10を支持する。このため、加熱部10及び載置部20は、支持部材15内に固定される。これにより、加熱部10及び載置部20が、支持部材15の外側へ飛び出すことを抑制することができる。また、加熱部10は、支持部材15と離間する。このため、加熱された加熱部10から支持部材15への熱の伝達を抑制することができる。これにより、支持部材15の温度上昇に伴う劣化を抑制することが可能である。
例えば図9(b)に示すように、加熱部10の端部10sは、Z方向の上側に曲がる形状を有してもよい。この場合、接続部材16は、端部10sからXY平面と平行な方向に突出する。このため、載置部20は、加熱部10の端部10sにより固定される。これにより、載置部20が支持部材15の外側へ飛び出すことを抑制することができる。また、加熱された載置部20から支持部材15への熱の伝達を抑制することができる。これにより、支持部材15の温度上昇に伴う劣化を抑制することが可能である。なお、上述した加熱部10の形状は、他の実施形態においても同様に用いることができる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具2の加熱効率の向上を図ることが可能である。
(第3実施形態:電磁誘導加熱用器具3)
次に、図10〜図12(d)を参照して、第3実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第3実施形態と、第1実施形態との違いは、支持部材15が、上板15bを有する点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図10に示すように、支持部材15は、底板15aと、上板15bとを有する。加熱部10は、底板15aと、上板15bとの間に設けられる。底板15a及び上板15bの少なくとも何れかは、例えば支持部材15と脱着可能であり、異なる材料で形成されてもよい。
図11(a)は、接続部材16が支持部材15から突出する場合(図3(a)に対応)を示した模式断面図であり、図11(b)は、接続部材16が加熱部10から突出する場合(図9(a)に対応)を示した模式断面図である。図11(a)及び図11(b)に示すように、加熱部10は、底板15a及び上板15bと離間し、支持部材15に閉塞される。このため、加熱部10の周囲には、支持部材15に閉塞された空間が形成される。このとき、加熱された加熱部10の熱は、周囲の空気に伝達され、外部へ放出され難い。また、周囲の空気に伝達された熱は、支持部材15に伝達され難い。これにより、支持部材15に過剰な熱を伝達することなく、電磁誘導加熱用器具3を長時間安定した温度で維持するこができる。
例えば、支持部材15の厚さを調整することで、電磁誘導加熱用器具3上に載置する載置部20の温度を制御することができる。このため、食材に適した保温状態を維持することができる。なお、支持部材15の形状は、上述した実施形態と同様に、円形等でもよく、加熱部10を挟める形状であれば任意である。すなわち、電磁誘導加熱用器具3は、食材を保温する状況に応じて形状を変えることができる。
電磁誘導加熱用器具3は、例えばピザ等の食品を運ぶデリバリー時に用いられてもよい。この場合、電磁誘導加熱用器具3を電磁誘導加熱調理器90により予め加熱しておき、宅配時に食材を入れた容器と共に電磁誘導加熱用器具3を保温バック等に入れて、持ち運ぶことができる。このため、宅配中においても容器内の食材の保温状態を長時間維持することができる。また、電子レンジやヒータを用いた従来の保温用プレートを加熱する方法に比べて、短時間で加熱することができるため、作業性の向上を図ることができる。さらに、従来用いられるガスによって保温する構造に比べて、持ち運び時の安全性、材料コスト等の面で優れている。上記に加え、電磁誘導加熱用器具3は、従来用いられる保温用のプレート等に比べて、加熱部分の体積を少なくできる。このため、持ち運び時の軽量化ができ、人が食品を運ぶデリバリーの容易化に加えて、重量規制を有するドローン等を用いて食品を運ぶデリバリーも容易に実施することが可能である。
電磁誘導加熱用器具3は、例えば上板15b上に直接食材を載せてもよい。このため、セルフサービスのピザ、パン、トルティーヤ等を保温する場合にも用いることができる。これにより、従来の保温器具に比べて、セルフサービスを提供する場所におけるレイアウトの自由度を向上させることができる。
なお、例えば図11(c)に示すように、球状の接続部材16が、支持部材15上に設けられ、加熱部10を支えてもよい。このとき、接続部材16の一部は、支持部材15に埋め込まれてもよい。この構成により、加熱部10の位置ずれを抑制することが可能である。また、例えば図11(b)に示すように、加熱部10の中央部15c付近に孔10dが設けられてもよい。例えば、図11(b)では加熱部10に磁性体金属板が使用された場合、急激な熱膨張によって引き起こされる加熱部10の歪みや変形を防ぐために、中央部15c付近に孔10dが設けられている。更に、内部空気の必要以上の加熱によって、支持部材15の急激な膨張を抑制するために、支持部材15の側面に小さな側孔15ssを設けて空気抜きを形成してもよい。この側孔15ssは、支持部材15の外側に向けて径を小さく形成される。これにより、外部から支持部材15内への水分の侵入を抑制することができる。この側孔15ssについては、図11(a)、図11(b)および図11(c)いずれにも適応できる。
また、例えば加熱部10の端部10sは、Z方向の下側に曲がる形状を有してもよい。この構成により、加熱部10の熱膨張に伴う変形を抑制することが可能である。
また、支持部材15の底板15a側には、例えば底支持部15hが設けられてもよい。底支持部15hは、支持部材15を支持できれば形状は任意であり、例えば支持部材15と脱着可能である。
支持部材15は、例えば図12(a)に示すように、断熱材15aa、耐熱フィルム15ab、及び蓄熱材15baの少なくとも何れかを有してもよい。断熱材15aaは、加熱部10と底板15aとの間に設けられ、例えば底板15aに接して加熱部10と離間する他、加熱部10と接してもよい。断熱材15aaとして、例えば断熱性を有する塗料、耐熱性(例えば150度以上)を有する塗料、耐熱性を有する樹脂、ガラス繊維、セラミック繊維、薄型断熱材(例えばファインフレックスBIO(登録商標)等のペーパー状断熱材)等が用いられる。耐熱フィルム15abは、加熱部10と断熱材15aaとの間、及び加熱部10と蓄熱材15baとの間の少なくとも何れかに設けられ、例えば断熱材15aaと接して加熱部10と離間する。耐熱フィルム15abとして、例えばアルミ膜等が用いられる。蓄熱材15baは、加熱部10と上板15bとの間に設けられ、例えば上板15bと接して加熱部10と離間する。蓄熱材15baとして、例えば赤外線を発生する材料が用いられ、徐放型蓄熱セラミックス、金属酸化物、アルミニウム陽極酸化被膜(例えばスーパーレイ(商標登録))、のほか、耐熱性、放射性の高い材料(例えばタフクレースト(商標登録))等が用いられてもよい。これらを設けることで、支持部材15に囲まれた空間の熱が外部に放出することを抑制でき、保温効果をより高めることが可能となる。
支持部材15は、例えば図12(b)に示すように、上板15b上に表面層15fを有してもよい。表面層15fとして、例えば、耐熱性、放熱性の高い材料(例えばタフクレースト(商標登録))が用いられる。この他、表面層15fとして、赤外線を発生する材料が用いられ、例えばセラミックス、金属酸化物、アルミニウム陽極酸化被膜(例えばスーパーレイ(商標登録))を含む。これにより、支持部材15上に載せた食材の保温効率を向上させることができる。なお、表面層15fは、支持部材15の底板15a及び側面15sに設けられてもよく、支持部材15の一部のみに設けられてもよい。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具3の加熱効率の向上を図ることが可能である。
なお、例えば図12(c)に示すように、加熱部10は、支持部材15の側面15s、底板15a、及び上板15bの少なくとも何れかと接してもよい。このとき、例えば金属溶射法を用いて、支持部材15上に加熱部10を形成してもよい。また、接続部材16が設けられなくてもよい。この場合においても、電磁誘導加熱用器具3の加熱効率の向上を図ることが可能である。
また、例えば図12(d)に示すように、支持部材15は、中間部15gを有してもよい。中間部15gは、底板15aと上板15bとの間に設けられ、加熱部10の側面を覆う。中間部15gは、加熱部10と離間してもよい。中間部15gとして、例えば樹脂等の絶縁性を有する材料が用いられ、例えば底板15aと上板15bとを接着する粘着性を有する材料が用いられる。
(第4実施形態:電磁誘導加熱用器具4)
次に、図13(a)〜図15(b)を参照して、第4実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第4実施形態と、第1実施形態との違いは、支持部材15の代わりに基板17と、伸縮部18とを備える点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図13(a)〜図14(b)に示すように、電磁誘導加熱用器具4は、基板17と、伸縮部18とをさらに備える。基板17は、加熱部10と離間し、伸縮部18を介して加熱部10を支持する。
<基板17>
基板17として、例えばフッ素ゴム又はシリコーンゴムが用いられる。基板17の面積は、加熱部10の面積よりも大きい。基板17の形状は、例えば中空円形であり、基板17の外径は、200mm以上400mm以下であり、基板17の内径は、加熱部10の外径よりも大きい。基板17の厚さは、例えば10mm以下である。基板17の上面及び下面の少なくとも何れかは、例えば耐摩耗性又は追従性を有する薄膜が形成されてもよい。
<伸縮部18>
伸縮部18として、例えばフッ素ゴム又はシリコーンゴムが用いられる。伸縮部18は、基板17と加熱部10との間に設けられ、例えば加熱部10を囲む。伸縮部18は、例えば蛇腹(ベローズ)状の円筒状構造又は多角形構造を有する。加熱部10と電磁誘導加熱調理器90との間には、スペースが形成される。
伸縮部18は、加熱部10と、電磁誘導加熱調理器90との間の距離を制御する。加熱部10と、電磁誘導加熱調理器90との間の距離は、伸縮部18が伸びた状態(図13(a)及び図14(a))における距離D1と、伸縮部18が縮んだ状態(図13(b)及び図14(b))における距離D2とを有し、距離D1は、距離D2よりも大きい。伸縮部18は、例えば加熱部10上に載置部20を載置したときに縮んだ状態を示し、加熱部10から載置部20を離間させたときに伸びた状態を示す。
ここで、加熱部10と電磁誘導加熱調理器90との間の距離が近くなるにつれて、加熱部10は加熱され易くなる。このため、伸縮部18の縮んだ状態では、伸縮部18の伸びた状態に比べて、加熱部10が加熱され易い。すなわち、伸縮部18を用いることで、加熱部10の温度を上昇させる程度を調整することができる。例えば、加熱部10上に載置部20を載置したときのみ、加熱部10を加熱させることができる。これにより、調理時の作業効率を向上させることが可能である。なお、加熱部10上に載置部20を載置する前に、予め加熱部10を加熱してもよい(プレヒート)。これにより、載置部20を加熱部10上に載置したときにおける温度上昇のバラつきを抑制することができる。
<保護膜19>
図14(a)及び図14(b)に示すように、電磁誘導加熱用器具4は、例えば保護膜19をさらに備えてもよい。保護膜19は、加熱部10を覆う。保護膜19は、例えば加熱部10、伸縮部18、及び基板17を一体に覆ってもよい。
保護膜19は、フッ素ゴム又はシリコーンゴムが用いられる。保護膜19の厚さは、例えば500μm以上である。保護膜19は、加熱部10と載置部20との間に設けられ、加熱部10と載置部20との接触を防ぐ。これにより、加熱部10及び載置部20の劣化を抑制することが可能である。
<空隙部18a>
伸縮部18は、例えば図15(a)に示すように、空隙部18aを有する。空隙部18aの体積は、温度に依存する。このため、空隙部18aの温度が所定温度以上に上昇したとき、伸縮部18を縮んだ状態から伸びた状態に変化させることができる。これにより、加熱部10の加熱状況に応じて、加熱部10と電磁誘導加熱調理器90との間の距離を変化させることが可能である。
<報知部17a>
基板17は、例えば図15(b)に示すように、報知部17aを有する。報知部17aは、例えばROM(Read Only Memory)等を含む制御回路を有し、加熱部10や載置部20の状態に応じて報知する。報知部17aは、例えば温度センサを有する。温度センサとして、例えば赤外線センサ等の非接触式温度センサ17abが用いられた場合、加熱部10の下側の空間から加熱部10をモニタリングする。温度センサとして、例えば熱電対等の接触式温度センサ17aaが用いられた場合、伸縮部18を介して加熱部10又は載置部20に温度センサを接触させ、加熱部10又は載置部20をモニタリングする。報知部17aは、例えば発光部を有し、加熱部10又は載置部20の温度が必要以上に高くなった場合に、発光部を発光させることで報知してもよい。また、報知部17aは、例えば衝撃センサを有し、加熱部10上に載置部20が載置されたときの衝撃を感知して、発光部等(例えばLED)を発光させてもよい。なお、報知部17aは、上述した図7の衝撃センサ15tの代わりに設けられてもよい。
報知部17aは、基板17内に設けられる。このため、加熱部10からの熱が伝達され難い。これにより、報知部17aの機能を活かした状態を維持した上で、報知部17aの劣化を抑制することができる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具4の加熱効率の向上を図ることが可能である。
(第5実施形態:電磁誘導加熱用器具5)
次に、図16(a)〜図16(c)を参照して、第5実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第5実施形態と、第1実施形態との違いは、加熱部10が、載置部20と一体に設けられる点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
<載置部20>
載置部20は、例えば断熱材料を含み、例えば陶磁器又は樹脂で形成される。このため、載置部20は、加熱部10に比べて熱伝導率が悪い。図16(a)では、載置部20は皿であり、縁22と、高台23と、高台裏23uとを有する。加熱部10は、高台裏23uに接して設けられ、縁22と離間する。この構成において、例えば加熱部10を加熱させた場合、縁22に比べて高台23側に熱が伝わり易い。このため、縁22の温度上昇を抑制することができ、盛付部21の保温効果を維持した状態で、載置部20の持ち運びを容易にすることができる。また、高台23及び縁22の形状に関わらず加熱部10を設けることができ、載置部20のデザイン性を向上させることができる。
高台23の高さは、電磁誘導加熱調理器90と加熱部10との間の距離を制御でき、好ましくは3.0mm以上6.0mm以下である。この高さを制御することで、加熱部10の加熱される程度を調整することができる。これにより、載置部20を適切な温度で加熱又は保温することができる。
また、載置部20は、例えば図16(b)、図16(c)に示すように、高台を有しない構成でもよい。載置部20として、例えば鉄等の磁性体の材料が用いられてもよい。このとき、電磁誘導加熱調理器90を用いて載置部20のみを加熱すると、載置部20の中央部に比べて、端部が加熱され易い。このため、載置部20下に加熱部10を接して設けることで、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。
なお、加熱部10は、例えば耐熱性接着剤、セラミック溶射、ポリウレア樹脂等を用いて載置部20に固定される。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具5の加熱効率の向上を図ることが可能である。
(第6実施形態:電磁誘導加熱用器具6)
次に、図17(a)〜図19(b)を参照して、第6実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第6実施形態と、第5実施形態との違いは、基板40と、接合部とをさらに備え、接合部を介して加熱部10が載置部20と脱着できる点である。なお、本実施形態では、載置部20にも接合部が設けられる。また、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図17(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具6の構成の一例を示す模式断面図であり、図17(b)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具6の構成の一例を示す模式平面図である。
図17(a)に示すように、電磁誘導加熱用器具6は、基板40と、接合部とをさらに備える。電磁誘導加熱用器具6の接合部は、磁気部60を有する。このとき、合部としての磁気部24が設けられた載置部20が用いられる。磁気部24は、例えば載置部20の高台裏23uに接して設けられる。
<基板40>
基板40は、加熱部10と接して設けられ、加熱部10は、基板40と、載置部20との間に設けられる。基板40として、例えば耐熱樹脂、クーパー繊維(メタ系アラミド)等が用いられる。基板40の厚さは、例えば300μm以上1000μm以下である。
<耐熱部41>
基板40は、例えば耐熱部41を有する。耐熱部41は、基板40と、加熱部10との間に設けられる。耐熱部41は、加熱部10から基板40への熱の拡散を抑制する。耐熱部41として、例えば基板40よりも耐熱性に優れた材料が用いられる。この構成により、基板40の外側に熱が伝わり難い。このため、基板40の表面の過剰な温度上昇を抑制できる。
<側孔40s>
基板40は、例えば側孔40sを有する。側孔40sは、基板40の一部を貫通している。このため、加熱部10で発生した熱を、大気に放熱し易くなる。これにより、加熱部10及び載置部20の過剰な温度上昇を抑制することができる。なお、図17(a)及び図17(b)に示した側孔40sの位置及び数は一例であり、側孔40sを形成する位置及び数は任意である。
<中間部50>
基板40は、例えば中間部50を有する。中間部50は、加熱部10と、載置部20との間に設けられる。中間部50として、例えばセラミック、又は樹脂が用いられ、中間部50の厚さは、例えば100μm以下である。中間部50は、加熱部10と載置部20との間の緩衝材として用いることができる。これにより、加熱部10の取り付けに伴う劣化を抑制することができる。
図17(b)に示すように、平面視において、載置部20に取り付ける各構成の面積Sは、基板40の面積S(40)、中間部50の面積S(50)、耐熱部41の面積S(41)、加熱部10の面積S(10)の順に大きい。このため、加熱部10は、中間部50に覆われており、取り付け時に載置部20等への接触を防ぐ。これにより、加熱部10の劣化を抑制することができる。
<磁気部24、60>
磁気部60は、基板40に接して設けられる。磁気部60は、磁気部24と接触及び離間することができるものである。すなわち、磁気部60は、磁気部24を用いて加熱部10と載置部20との脱着を制御するものである。このため、各磁気部24、60を形成するだけで、加熱部10を載置部20にから脱着させることができる。これにより、あらゆる載置部20に後付けができ、利便性が向上する。また、加熱部10が不要な場合は、容易に外すことができ、加熱部10の耐久性の向上や、載置部20の利用範囲の拡大を図ることができる。
なお、図17(a)及び図17(b)に示した各磁気部24、60の位置は一例であり、各磁気部24、60を形成する位置は任意である。各磁気部24、60の厚さは、例えば50μm以上100μm以下である。磁気部60は、例えば加熱部10を囲み、幅3mm以上でもよい。この形状により、より安定した加熱部10の取り付けが可能である。
各磁気部24、60として、非磁性体の金属が含まれ、例えば樹脂の中に磁気粉末が分散した構造が用いられ、例えば磁性シートや磁気塗料が用いられる。このため、各磁気部24、60の発熱効率は、加熱部10に比べて低い。これにより、各磁気部24、60及びその周辺の過剰加熱を抑制することができる。
<接合スペース13、接合部材25>
図18(a)及び図18(b)に示すように、電磁誘導加熱用器具6の接合部は、例えば磁気部60の代わりに、加熱部10内に接合スペース13を有してもよい。このとき、載置部20の接合部は、磁気部24の代わりに、載置部20下に接合部材25を有する。
接合スペース13は、内表面にねじ山を有する(雌ねじ)。接合部材25は、例えば表面にねじ山を有する(雄ねじ)。接合スペース13は、接合部材25を螺設することができるものである。すなわち、上述した各磁気部24、60と同様に、接合スペース13は、接合部材25を用いて加熱部10と載置部20との脱着を制御するものである。これにより、あらゆる載置部20に後付けができ、利便性が向上する。また、加熱部10が不要な場合は、容易に外すことができ、加熱部10の耐久性の向上や、載置部20の利用範囲の拡大を図ることができる。
接合部材25として、例えば耐熱樹脂等の非磁性の材料が用いられる。これにより、接合部材25の設置に伴う加熱を抑制することができる。なお、接合部材25を加熱部10上に設け、接合スペース13を載置部20内に設けてもよい。
<凹状切込部40h、凸状支持部26>
図19(a)及び図19(b)に示すように、電磁誘導加熱用器具6の接合部は、例えば磁気部60の代わりに、基板40の端部に凹状切込部40hを有してもよい。このとき、載置部20の接合部は、磁気部24の代わりに、載置部20下に凸状支持部26を有する。
凹状切込部40hは、凸状支持部26をはめ込むことができるものである。すなわち、上述した各磁気部24、60合と同様に、凹状切込部40hは、凸状支持部26を用いて加熱部10と載置部20との脱着を制御するものである。これにより、あらゆる載置部20に後付けができ、利便性が向上する。また、加熱部10が不要な場合は、容易に外すことができ、加熱部10の耐久性の向上や、載置部20の利用範囲の拡大を図ることができる。なお、凸状支持部26を基板40上に設け、凹状切込部40hを載置部20(例えば高台23)に設けてもよい。
<脱着用つまみ70>
例えば、基板40下に脱着用つまみ70を有してもよい。これにより、加熱部10の取り付け及び取り外しを容易に実施することが可能である。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具6の加熱効率の向上を図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、接合部を備えることで、加熱部10は、載置部20からの取り付け及び取り外しが可能である。これにより、あらゆる載置部20に後付けができ、利便性が向上する。また、加熱部10が不要な場合は、容易に外すことができ、加熱部10の耐久性の向上や、載置部20の利用範囲の拡大を図ることができる。
(第7実施形態:電磁誘導加熱用器具7)
次に、図20(a)及び図20(b)を参照して、第7実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第7実施形態と、第5実施形態との違いは、加熱部10が載置部20下における所定の部分のみに設けられている点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図20(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具7の構成の一例を示す模式斜視図であり、図20(b)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具7の構成の一例を示す模式断面図である。
図20(a)及び図20(b)に示すように、加熱部10は、載置部20の有するペレット27下に設けられる。ペレット27は、例えば盛付部21に埋め込まれてもよく、盛付部21上に設けられてもよい。このため、加熱部10は、ペレット27の加熱を促進できる。これにより、ペレット27の加熱時間を短縮でき、作業効率を向上させることができる。また、加熱部10は、ペレット27下側からの放熱を抑制することができる。これにより、ペレット27の保温効率の向上を図ることができる。
ペレット27として、例えば磁性体の金属を有する。載置部20として、例えば陶磁器の皿が用いられる。このとき、盛付部21は、ペレット27に比べて温度が上昇しない。これにより、盛付部21に載せる食材の自由度が向上する。載置部20として、例えば磁性体を有する金属の皿(例えばステーキ皿)が用いられてもよい。このとき、盛付部21は、ペレット27とは異なる温度で加熱、保温される。このため、ユーザの好みに応じて食材をペレット27に接触させることで、食材の温度を高めた状態で食べることができる。これにより、ユーザの好みに応じた温度の食材を提供することができる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具7の加熱効率の向上を図ることが可能である。
(第8実施形態:電磁誘導加熱用器具8)
次に、図21(a)及び図21(b)を参照して、第8実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第8実施形態と、第5実施形態との違いは、受け皿30をさらに備える点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図21(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具8の構成の一例を示す模式斜視図である。なお、本実施形態における載置部20は、図16(b)に示す載置部20と同様の形状として説明するが、例えば図16(a)又は図16(c)に示す載置部20と同様の形状でもよく、載置部20の形状は任意である。
図21(a)に示すように、電磁誘導加熱用器具8は、受け皿30をさらに備える。受け皿30は加熱部10下に設けられ、加熱部10は、載置部20と、受け皿30との間に設けられる。
受け皿30として、非磁性体の材料が用いられる。このため、受け皿30に載置部20を載せた状態で、電磁誘導加熱調理器90を用いて加熱することができ、載置部20を加熱後に他の受け皿に乗せ換える必要がない。これにより、作業効率の向上を図ることができる。
受け皿30として、従来の天然無垢木が用いられるほか、例えば中密度繊維板(MDF: medium density fiberboard)、合板、化粧板等が用いられてもよく、又は、天然無垢木、中密度繊維版、合板、及び化粧板の少なくとも何れかを含む積層材が用いられてもよい。中密度繊維版が用いられた場合、天然無垢木が用いられた場合に比べて、安価かつ軽量に受け皿30を形成することができる。これにより、材料コストの削減及び持ち運び易さを向上させることができる。また、天然無垢木に比べて、森林伐採等の資源保護の観点から、環境への悪影響を抑制できる。上記に加え、中密度繊維板は、天然無垢木に比べて、耐熱性に優れ、保温性が高い。このため、受け皿30として中密度繊維板を用いることで、載置部20を載せたときの耐熱性を高めることができるとともに、長時間の温度維持が可能である。
受け皿30は、例えば縁31を有する。載置部20を受け皿30に載せたとき、載置部20の縁22が、受け皿30の縁31に接触する。このとき、例えば加熱部10及び盛付部21は、受け皿30と離間した状態を維持する。このため、加熱部10が加熱された場合においても、受け皿30への熱の伝わりを抑制することができる。これにより、受け皿30の加熱に伴う劣化を抑制することができる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具8の加熱効率の向上を図ることができる。
なお、図21(b)に示すように、受け皿30は、例えば段差32を有する。この場合、載置部20を受け皿30に載せたとき、受け皿の縁31は、段差32に接触する。このため、載置部20は、受け皿30に囲まれた状態となる。これにより、持ち運び時に載置部20が受け皿30から外れることを抑制できる。
(第9実施形態:電磁誘導加熱用器具9)
次に、図22(a)〜図23参照して、第9実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第9実施形態と、第8実施形態との違いは、載置部20が、突部28を有する点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図22(a)及び図23は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具9の構成の一例を示す模式斜視図であり、図22(b)及び図22(c)は、本実施形態に用いられる載置部20の構成の一例を示す模式平面図である。
図22(a)〜図22(c)に示すように、載置部20は、例えば炭素等の材料を含む突部28を有する。突部28は、縁22から外周側に突出している。突部28の形状は任意であり、例えば柱状である。図22(b)に示すように、例えばそれぞれ離間した突部28が3つ以上設けられてもよく、図22(c)に示すように、載置部20に重なる部分を有する突部28が2つ以上設けられてもよい。
載置部20を受け皿30に載せたとき、突部28は、受け皿30の縁31に接触する。このとき、突部28以外の載置部20は、受け皿30と離間した状態を維持する。このため、加熱部10が加熱された場合においても、受け皿30への熱の伝わりを抑制することができる。これにより、受け皿30の加熱に伴う劣化を抑制することができる。
図23に示すように、受け皿30は、例えば段差32を有する。この場合、載置部20を受け皿30に載せたとき、突部28は、段差32に接触する。このため、載置部20は、受け皿30に囲まれた状態となる。これにより、持ち運び時に載置部20が受け皿30から外れることを抑制できる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具9の加熱効率の向上を図ることが可能である。
(第10実施形態:電磁誘導加熱用器具100)
次に、図24(a)〜図31(b)を参照して、第10実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第10実施形態と、第8実施形態との違いは、受け皿131の形状及び支持部120を有する点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図24(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具100の備える受け皿131の構成の第1例を示す模式平面図であり、図24(b)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具100の備える受け皿131の構成の第1例を示す模式下面図である。
<受け皿131>
図24(a)及び図24(b)に示すように、受け皿131は、縁111と、底面112と、側面113と、支持部120とを有する。縁111は、例えば掴み部111aを有する。掴み部111aの厚さは、他の縁111よりも薄く、持ち運び易い形状で形成される。底面112は、例えば円状、オーバル状、角丸長方形、多角形等に形成され、器具の形状に対応して形成される。側面113は、縁111と、底面112との間に設けられており、側面113を境界として底面112が縁111よりも低い位置に設けられる。
図25(a)〜図25(c)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具100の備える受け皿131の構成の第1例を示す模式断面図である。図25(a)は、図24(a)の25A−25A線の模式断面図であり、図25(b)は、図24(a)の25B−25B線の模式断面図であり、図25(c)は、図24(a)の25C−25C線の模式断面図である。
<支持部120>
図25(a)〜図25(c)に示すように、支持部120は、底面112上に設けられ、縁111の高さ以下の高さに設けられる。支持部120は、第1部分120aと、第1部分120aに対向する第2部分120bとを有する。第1部分120aは、底面112又は側面113と接する。第2部分120bは、底面112及び側面113と離間する。上記構造により、載置部20(図の点線部)を受け皿131上に置いたとき、支持部120は、載置部20を支える。このとき、縁111、底面112、及び側面113は、載置部20と離間する。また、底面112と載置部20との間、及び側面113と載置部20との間には、空間が形成され、熱が蓄積され難い。このため、加熱部10及び載置部20が高温の場合においても、上記空間における熱の蓄積を抑制し、受け皿131の温度上昇を抑制することができる。これにより受け皿131の劣化を抑制することができる。
また、載置部20は、側面113に囲まれる。このため、配膳時に載置部20が動いた場合においても、側面113に載置部20が接触するため、受け皿131からの飛び出しを抑制することができる。これにより、配膳時における安全性の向上を図ることができる。
支持部120は、底面112及び側面113とは異なる材料を有する。例えば支持部120として、底面112及び側面113よりも熱伝導率の高い材料が用いられる。このため、載置部20から支持部120に伝わった熱が、空間に放出され易くなる。これにより、底面112又は側面113への熱の伝わりを抑制することができる。従って、受け皿131の劣化を抑制することができる。
支持部120は、例えば底面112及び側面113よりも耐熱性に優れた材料を含む。このため、加熱された載置部20からの熱に耐えうる構造となり、受け皿131の劣化を抑制することができる。
支持部120として、例えば非磁性体の材料が用いられ、例えばジルコン、ジルコニア、炭化物、窒化物、ホウ化物等を含むセラミック、ジルコニウム、及び炭素の少なくとも何れかが含まれる。このため、受け皿131を電磁誘導加熱調理器90により加熱した場合、載置部20に比べて加熱され難い。すなわち、支持部120を有する受け皿131上に加熱部10及び載置部20を載せた状態で、電磁誘導加熱調理器90を用いた食材の加熱調理を実施することができる。これにより、加熱された載置部20を受け皿131に載せる工程を省略でき、調理時間の短縮を図ることができる。
支持部120は、例えば多面体の角柱状、球状、円柱状、及び中空円筒状の少なくとも何れかを有する。このため、支持部120と、載置部20との接する面積を小さくすることができる。これにより、載置部20から底面112及び側面113に伝わる熱を抑制することができ、受け皿131の劣化を抑制することができる。また、支持部120の体積を小さくすることで、汚れが溜まり易い部分(例えば支持部120と底面112との間の隙間)を少なくなる。これにより、受け皿131を容易に洗浄することができる。また、支持部120の体積を小さくすることで、材料コストの低減が可能である。
支持部120は、少なくとも3つ設けられる。このため、支持部120は、載置部20と接する面積を小さくし、且つ、載置部20を支えることができる。これにより、載置部20から底面112及び側面113に伝わる熱を抑制することができ、受け皿131の劣化を抑制することができる。
<第1支持体121、第2支持体122>
支持部120は、例えば第1支持体121と、第2支持体122とを有する。このとき、各支持体121、122は、それぞれ離間して設けられる。支持部120は、例えば第1支持体121及び第2支持体122の少なくとも何れかを有してもよい。
第1支持体121は、底面112上に設けられる。第1支持体121は、第1部分121aと、第1部分121aに対向する第2部分121bとを有する。第1部分121aは、底面112と接する。第2部分121bは、底面112及び側面113と離間する。なお、第1支持体121の一部は、底面112に埋め込まれてもよい。
第2支持体122は、側面113に接して設けられる。第2支持体122は、第1部分122a(一端)と、第1部分122aに対向する第2部分122b(他端)とを有する。第1部分122aは、側面113と接する。第2部分122bは、底面112及び側面113と離間する。なお、第2支持体122の一部は、底面112及び側面113の少なくとも何れかに埋め込まれてもよい。
第2支持体122は、例えば図25(c)に示すように、底面112から突出した柱状のほか、例えば他の一例として図25(d)に示すように、側面113から突出した2つの柱状を有してもよく、例えば図25(b)に示した第1支持体121と同様の球状を有してもよい。このほか、第2支持体122は、例えば円柱空状、角柱状、角柱空状、円錐柱状、及び円錐柱空状の何れかの形状を有し、材料として炭素繊維、炭化ケイ素、セルロースナノファイバー等を含んでもよい。
第1支持体121として、例えばジルコン、ジルコニア、炭化物(例えば炭化ケイ素等)、窒化物、ホウ化物等を含むセラミック、及びジルコニウムの少なくとも何れかを含み、第2支持体122として、例えばジルコン、ジルコニア、炭化物、窒化物、ホウ化物等を含むセラミック、ジルコニウム、及び炭素の少なくとも何れかを含む。このほか、第1支持体121は、例えば円柱空状、角柱状、角柱空状、円錐柱状、及び円錐柱空状の何れかの形状を有し、材料として炭素繊維、炭化ケイ素、セルロースナノファイバー等を含んでもよい。
<貫通部115>
受け皿131は、例えば貫通部115を有する。貫通部115は、底面112を貫通する。このため、載置部20の熱を底面112下に放熱することができ、受け皿131の温度上昇を抑制することができる。
貫通部115は、例えばスリット115aを有する。スリット115aは、例えば掴み部111aと平行に延び、掴み部111aに近い位置に2つ設けられる。このため、掴み部111a側に伝わる熱を抑制することができる。これにより、配膳時の安全性を向上させることができる。
なお、各支持体121、122は、スリット115aに挟まれた領域に設けられる他、スリット115aと、掴み部111aとの間の領域に設けられてもよい。
<高台116>
受け皿131は、例えば高台116をさらに備える。高台116は、縁111と対向する面(裏面)に設けられ、例えば底面112と、掴み部111aとの間に設けられる。このため、底面112下には、貫通部115とつながる空間が形成される。これにより、受け皿131を置いた状態においても、効率良く熱を放出することができる。
<固定部117>
受け皿131は、例えば固定部117をさらに備える。固定部117は、裏面に設けられ、例えば高台116下に設けられる。固定部117は、例えば少なくとも2つ設けられる。
固定部117は、例えば磁気マグネットを有する。磁気マグネットは、非磁性体の材料を含む。磁気マグネットは、例えば樹脂の中に磁気粉末が分散した構造が用いられ、例えば磁性シートや磁気塗料が用いられる。この構成により、例えば受け皿131を運ぶトレイ200(図35参照)に磁気マグネットを有する固定部217を設けることで、受け皿131を固定することができる。これにより、配膳時の安全性を向上させることができる。
固定部117は、例えば磁気マグネットの代わりに、吸盤を有してもよい。吸盤は、例えばトレイ等との間の空気を減圧することで、受け皿131を固定することができる。これにより、配膳時の安全性を向上させることができる。この場合、トレイ200に固定部217を設ける必要がない。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具100の加熱効率の向上を図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、載置部20が高温の場合においても、上記空間における熱の蓄積を抑制し、受け皿131の温度上昇を抑制することができる。これにより、受け皿131の劣化を抑制することができる。
なお、例えば第2例として図26(a)〜図26(d)に示すように、側面113は、例えば底面112との間に段差113dを有してもよい。このとき、例えば第1支持体121は、段差113dと離間し、第2支持体122は、段差113d上及び段差113d側面の少なくとも何れかに設けられる。段差113dを設けることで、載置部20と、受け皿131との間の距離を制御することができる。この場合においても、受け皿131の劣化を抑制することができる。
また、例えば第3例として図27(a)〜図27(c)に示すように、第1支持体121が、第2支持体122に隣接した段差113d付近と、底面112の中心側とにそれぞれ複数設けられ、図27(a)では、段差113d付近に4つ及び底面112の中心側に4つの合計8つ配置される。また、第2支持体122は、例えば側面113から突出した円柱空状、角柱状、角柱空状、円錐柱状、及び円錐柱空状の何れかの形状を有し、材料として炭素繊維、炭化ケイ素、セルロースナノファイバー等を含む。第2支持体122は、図27(c)に示すように、図2で示した接続部材16と同様に、それぞれ異なる高さ方向Zに2つ配置され、図27(a)では、合計8つ配置される。このとき、第1支持体121及び第2支持体122が載置部20を支持する。このため、受け皿131上に載置される載置部20及び加熱部10は、支持部120により確実に支持された状態を保つことができる。これにより、載置部20の受け皿131からの飛び出しを抑制でき、配膳時の安全性を向上させることができる。
また、例えば第4例として図28(a)〜図28(c)に示すように、第1支持体121を設けずに、第2支持体122は、側面113から突出した円柱空状、角柱状、角柱空状、円錐柱状、及び円錐柱空状の何れかの形状を有し、材料として炭素繊維、炭化ケイ素、セルロースナノファイバー等を含む。第2支持体122は、図28(c)に示すように、図27(c)及び図2で示した接続部材16と同様に、それぞれ異なる高さ方向Zに2つ配置され、図28(a)では、合計8つ配置される。このとき、第1支持体121を設けずに、第2支持体122が載置部20を支持する。このため、受け皿131上に載置される載置部20及び加熱部10は、支持部120により確実に支持された状態を保つことができる。これにより、載置部20の受け皿131からの飛び出しを抑制でき、配膳時の安全性を向上させることができる。
また、例えば第5例として図29(a)〜図29(c)に示すように、第1支持体121が、第2支持体122に隣接した段差113d付近と、底面112の中心側とにそれぞれ複数設けられ、図29(a)では、段差113d付近に4つ及び底面112の中心側に4つの合計8つ配置される。このとき、第2支持体122を設けずに、第1支持体121が載置部20を支持する。このため、受け皿131上に載置される載置部20及び加熱部10は、支持部120により確実に支持された状態を保つことができる。これにより、載置部20の受け皿131からの飛び出しを抑制でき、配膳時の安全性を向上させることができる。
また、例えば第6例として図30(a)に示すように、縁111は、例えば底面112と同心円の円状でもよい。この場合、例えば第1支持体121は、底面112の中心付近に1つ設けられ、第2支持体122は、段差113d上及び段差113d側面の少なくとも何れかに少なくとも3つ(図30(a)では4つ)設けられる。この場合においても、受け皿131の劣化を抑制することができる。
また、図30(b)及び図30(c)に示すように、貫通部115は、貫通孔115bを有してもよい。貫通孔115bは、例えば中心付近に設けられる。この場合、支持部120は、第2支持体122のみを有する。貫通部115は、スリット115a及び貫通孔115bの少なくとも何れかを有してもよい。貫通孔115bは、底面112よりも一回り小さい円状、オーバル状、角丸長方形、四角形等で形成される。例えば、第7例として図31(a)及び図31(b)に示すように、縁111及び底面112が角を有する形状の場合、貫通孔115bは四角形状に形成されてもよい。
上記に加え、本実施形態によれば、例えば縁111、底面112、及び側面113は、天然無垢木に比べて軽量、高強度であるセルロース系樹脂や、セルロースナノファイバー、炭化ケイ素等を含む材料を用いることができる。縁111、底面112、及び側面113として、セルロース系樹脂、セルロースナノファイバー等を含む場合、溶融成形することが可能である。このため、切削加工により形成される天然無垢木や中空度繊維板を用いた場合と比較して、受け皿131のデザイン性の向上、カラーリングの多様化、軽量化を図ることができ、複雑な構造に対しても容易に形成することが可能である。また、製造時における良品率の向上、製造工程の減縮、材料コストの減縮ができるため、量産化で大幅なコストダウンを図ることが可能である。上記に加え、森林伐採等の資源保護の観点から環境への悪影響を抑制できる。
なお、上述した材料は、例えば、縁111、底面112、及び側面113の全てに用いられる他、各部分の少なくとも何れかに形成されてもよく、それぞれ異なる材料が用いられてもよい。
また、本実施形態によれば、例えば、縁111、底面112、及び側面113の表面に、保護膜(例えばポリウエア樹脂やウレタン系樹脂を材料とした膜)を形成することができる。本実施形態の受け皿131では、支持部120が設けられており、縁111、底面112、及び側面113の温度上昇を抑制することができる。このため、耐熱性が比較的低い特性を有する保護膜を形成する場合においても、保護膜の温度上昇を抑制し、熱による劣化を防ぐことができる。
従来、天然無垢木等を用いた受け皿は、例えば、水や洗剤を吸収し易い。このため、自動食器洗浄機等を用いて受け皿を洗浄した場合、内部に浸透した水や洗剤が完全に除去される前に、載置部等を載せる場合がある。このとき、内部に浸透した水や洗剤の加熱に伴い、受け皿の劣化を促進させる懸念がある。この点、本実施形態の受け皿131は、特に、保護膜として防水性、耐薬品性に優れたポリウエア樹脂を形成することができる。このため、受け皿131の内部に、水や洗剤の侵入を抑制することができる。これにより、自動食器洗浄機等を用いて受け皿131を洗浄した場合においても、劣化を抑制することが可能である。
なお、保護膜は、例えば、縁111、底面112、及び側面113の全ての表面に形成される他、各表面の少なくとも何れかに形成されてもよい。
また、第1支持体121及び第2支持体122の配置される合計数は、例えば丸い形状の載置部20であれば3つ配置される等、載置部20の形状や状況に応じて変更することができる。
(第11実施形態:電磁誘導加熱用器具101)
次に、図32(a)〜図32(c)を参照して、第11実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第11実施形態と、第10実施形態との違いは、突起部125をさらに有する点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図32(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具101の備える受け皿132の構成の一例を示す模式平面図であり、図32(b)は、図32(a)の32B−32B線の模式断面図であり、図32(c)は、図32(b)の拡大模式断面図である。
<突起部125>
図32(a)〜図32(c)に示すように、受け皿132は、突起部125をさらに有する。突起部125は、側面113から突出する。突起部125は、例えば側面113の対向する位置に2つ設けられる。なお、突起部125の設けられる位置及び数は、任意である。
突起部125は、ハウジング125aと、素子部125bと、支え部125cとを有する。ハウジング125aは、側面113内に設けられ、例えば一端に底を有する筒状である。素子部125bは、ハウジング125a内に設けられる。支え部125cは、素子部125b内から底面112側に突出する。
ハウジング125aとして、非磁性体の材料が用いられ、例えば炭素繊維が用いられる。素子部125bとして、縁111、底面112、支持部120、ハウジング125a、及び支え部125cに比べて線膨張率の高い材料が用いられ、例えばシリコーンゴムが用いられる。支え部125cとして、非磁性体の金属が用いられ、例えば真鍮が用いられる。この構成により、受け皿132に加熱された載置部20を載せる際、支え部125cは載置部20に接する。このとき、載置部20の熱が支え部125cを介して素子部125bに伝わり、素子部125bの温度が上昇する。これに伴い、温度が上昇した素子部125bの体積が膨張する。このため、支え部125cは載置部20側に押し出され、載置部20は、押し出された支え部125cにより加圧され、受け皿132内に固定される。これにより、載置部20の受け皿132からの飛び出しを抑制でき、配膳時の安全性を向上させることができる。
また、素子部125bの温度が下がると、素子部125bの体積がリニアに収縮する。これにより、支え部125cはハウジング125a側に引き戻り、載置部20は、受け皿132から容易に取り外せる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具101の加熱効率の向上を図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、載置部20が高温の場合においても、上記空間における熱の蓄積を抑制し、受け皿132の温度上昇を抑制することができる。これにより、受け皿132の劣化を抑制することができる。
(第12実施形態:電磁誘導加熱用器具102)
次に、図33(a)及び図33(b)を参照して、第12実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第12実施形態と、第10実施形態との違いは、報知部126をさらに有する点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図33(a)は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具102の備える受け皿133の構成の一例を示す模式平面図であり、図33(b)は、図33(a)の33B−33B線の模式断面図である。
<報知部126>
図33(a)及び図33(b)に示すように、受け皿133は、報知部126をさらに有する。報知部126は、例えば受け皿133上又は内部に設けられる。なお、報知部126の設けられる数及び位置は、任意である。
報知部126は、例えばROM等を含む制御回路を有し、受け皿133や載置部20の状態に応じて報知する。報知部126は、例えばスピーカを有する。このとき、制御回路は、スピーカを介して音を発する制御を実行する。例えば、食材(例えばステーキ等)の出来立てを演出するために、スピーカを介して食材の加熱音(焼きたての音)を発してもよい。これにより、ユーザの食欲を引き立てることができる。また、報知部126が温度センサをさらに有する場合、載置部20又は受け皿133の温度が基準よりも高いと感知したときに、スピーカを介して警報を発してもよい。これにより、配膳時又は食事をとる時の火傷等を防ぎ、安全性を向上させることができる。上記に加え、報知部126は、例えばLEDを有してもよい。この場合、上述した音の出力と同様に、光を発することができる。また、報知部126は、例えば衝撃センサを有し、受け皿133をテーブル上に置いたときに、衝撃センサが衝撃を検知し、発光部等(例えばLED)を発光させてもよい。
報知部126は、例えば制御回路の実行するタイミングを伝達する衝撃センサ等を有してもよい。このとき、受け皿133をテーブル等に置いたタイミングで衝撃センサが反応し、報知部126の制御が実行されるようにしてもよい。
本実施形態の受け皿133では、支持部120が設けられており、縁111、底面112、及び側面113の温度上昇を抑制することができる。このため、本実施形態の受け皿133では、通常の受け皿と比較して、制御回路、スピーカ等を有する報知部126の温度上昇を抑制することができる。
なお、図34(a)及び図34(b)に示すように、例えば報知部126として、縁111上に感温材料(例えば感温塗料)が用いられても良い。この構成により、受け皿133の温度を可視化できる。これにより、配膳時の安全性の向上や、ユーザの食欲を引き立てることができる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具102の加熱効率の向上を図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、載置部20が高温の場合においても、上記空間における熱の蓄積を抑制し、受け皿133の温度上昇を抑制することができる。これにより、受け皿133の劣化を抑制することができる。
上記に加え、上述した第8実施形態〜第12実施形態における受け皿30、131〜133は、例えばバーコード、タグ、ICタグ等のRFID(Radio frequency identification)、識別コード等を有してもよい。これにより、受け皿30、131〜133上の食材の情報提供、情報管理、顧客のオーダー管理等を行うことができる。
以下、第8実施形態〜第12実施形態における受け皿30、131〜133の使用用途の一例について説明する。
通常、調理後における供食温度及び喫食時の温度変化では、喫食時の美味しかったという満足感は、味、ボリューム、サービス、衛生、経済、栄養等の要因が関わり合って生じるといわれている。特に美味しさを評価する具体的な要因に、調理法、食べやすさ、味付け、盛り付け、温度等が挙げられる。
また、食物の嗜好温度は、体温を中心に+25℃〜30℃の範囲にあり、一般的に温かい物は60℃〜65℃前後のものが好まれる。しかしながら、食事環境、食習慣、嗜好によって美味しさを感じる温度には個人差があり、料理の種類によって適温といわれる温度は異なる。すなわち、温度と料理の関係は非常に重要であり、違う角度から見ると温度と味に関する感覚は、人間のみが感じえるものであり、世界的地理条件、料理方法、素材、人種、風習、宗教その他で、料理と温度の感覚は全く違うものと推定される。代表的料理で美味しさを素材から考察すると、素材による温度変化の影響の大きいものは、肉と魚が挙げられる。
例えば、食品素材では、肉、魚等の脂質酸化が起こる温度は約120℃であり、野菜、根菜類のデンプン粘度低下、メイラード反応も約120℃前後で起きることが知られている。コラーゲンがゼラチン化、ペクチンの水溶化、デンプンの糊化は、80℃〜100℃領域にある。肉の筋肉細胞離水、脂質溶解等を考慮すると調理された保温は、60℃前後が良いと考える。
また、人間が熱いと感じる温度は60℃前後でもある。ここで、人間の平均体温を36℃とすると、調理後の食材を口に入れた場合、体温からの影響は10℃前後に下がると推定される。味覚的には30℃前後が甘味、塩味、酸味、苦味の感度が最高に感じられることが知られている。温度が上がると、香揮成分の揮発が推進され、同時に油脂の流動性が高まる。逆に温度が下がると香揮成分の揮発性が抑えられ、油脂の流動性が落ちるとされている。このような事情から、例えば外食産業においては、食材の温度管理を実現することで、顧客満足度の向上につながり得る。
この点、上述した第8実施形態〜第12実施形態における受け皿30、131〜133は、載置部20の加熱調理時(例えば120℃以上300℃以下)又は保温時(例えば120℃以下)の何れにおいても使用することができる。また、受け皿30、131〜133に載置部20を載せた状態で、電磁誘導加熱調理器90を用いて加熱することができる。このため、食材に適した温度の状態で、顧客への提供を実現することができる。
また、例えばレストラン等の飲食店では、ガス直火、電気ヒータ、電子レンジ等を用いて食材を加熱調理する場合や、電磁誘導加熱調理器90で、調理用鉄皿等を直接載せて加熱し、その後、調理器から鉄皿をハンドリングで移動させて、木板等を受け皿として使用する場合がある。これらの調理方法は、食材を調理後に皿に盛付けるか、調理皿と食材とを同時に加熱するか、の2つのパターンに分類することができる。
前者で説明した、加熱調理と、食材の盛付けとを別工程で行う場合、高温物を取り扱うので、狭い厨房内では非常に危険であり、煩わしいという懸念がある。他方、後者で説明した工程で行う場合、例えば電子レンジが用いられ、食材はもとより食器皿自体も高温になり、保持することが困難で且つ危険である。
この点、上述した受け皿30、131〜133は、受け皿30、131〜133に器具を載せた状態で、電磁誘導加熱調理器90を用いて加熱することができる。このため、加熱調理と、食材の盛付けとを別工程で行う場合と比較して、狭い厨房内においても円滑に作業を進めることができる。また、電子レンジを用いた場合と比較して、受け皿を保持することが容易であり、安全である。
また、従来の保温方法として、湯煎や電気ヒータ等が用いられている。湯煎を用いた方法では、相当の時間を要して温め、その後、湯煎より取り出した後、食器皿の水滴を拭き取る、等のわずらわしさが懸念として挙げられる。また、湯煎では湯温に左右され、温度の保温維持に限界があり、長時間の保温が難しい。また、電気ヒータを用いた方法では、装置を配置するための大きなスペースの確保、装置の維持や取扱い方法、メンテナンス方法の取得等が必要であり、また、必要消費電力も大きい、という事情がある。この他、ガスなどで加熱して蓄熱部材の上で保温させる方法も取られてきたが、ガスを利用できる場所に限定される等の事情がある。
これに対し、上述した受け皿30、131〜133では、受け皿30、131〜133に器具を載せた状態で、電磁誘導加熱調理器90を用いて電磁誘導加熱の直接加熱及び表皮効果による加熱で、対象部に限定して加熱し、保温することができる。この加熱処理は極めて短時間で出来、湯煎を用いる方法と比較して、作業性の大幅な短縮と、長時間の温度管理を実現できる。また、電気ヒータを用いる方法と比較して、小スペースで実施でき、装置の維持や取扱い方法、メンテナンス方法の取得等が容易という利点を含む。また、必要消費電力も抑制することができる。また、ガス等を用いる方法と比較して、場所を選ばずに実施するこができる。
(第13実施形態:電磁誘導加熱用器具103)
次に、図36を参照して、第13実施形態における電磁誘導加熱用器具の一例について説明する。第13実施形態と、第1実施形態との違いは、制御装置80をさらに備える点である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
図36は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具103の構成の一例を示すブロック図である。
図36に示すように、電磁誘導加熱用器具103は、制御装置80をさらに備える。制御装置80は、リレー部81と、検出部82と、演算増幅部83と、制御部84と、接続部85とを有する。リレー部81には、コンセント81aを介して電流が供給される。制御部84には、ACアダプタ84aを介して電流が供給される。
電磁誘導加熱調理器90は、接続部85を介して制御装置80と電気的に接続される。接続部85は、リレー部81及び検出部82と電気的に接続される。リレー部81は、検出部82及び制御部84と電気的に接続される。検出部82は、演算増幅部83と電気的に接続される。演算増幅部83は、制御部84と電気的に接続される。
制御部84は、制御装置80内の各構成を制御する。リレー部81は、制御部84からの制御信号に基づき、接続部85を介して電磁誘導加熱調理器90に供給される電流を制御する。検出部82は、電磁誘導加熱調理器90に供給される電流を検出する。演算増幅部83は、検出部82の検出した電流を増幅し、制御部84へ供給する。
制御装置80は、電磁誘導加熱調理器90に供給される電流を制御する。このため、制御装置80は、電磁誘導加熱調理器90の過剰な稼働を防ぐことができる。これにより、電磁誘導加熱調理器90上に載置された加熱部10の過剰な加熱を抑制することができる。
次に、本実施形態における電磁誘導加熱用器具103の動作の一例について説明する。
先ず、制御部84は、リレー部81にオン信号を送信する。これにより、リレー部81は、接続部85を介して電磁誘導加熱調理器90に電流を供給できる状態となる。このとき、検出部82は、電流を検出する。
その後、検出部82の検出する電流の値が、所定の値よりも大きくなった場合、制御部84は、時間計測を開始する。制御部84が所定の時間を計測した時、制御部84は、リレー部81にオフ信号を送信する。これにより、リレー部81は、接続部85を介して電磁誘導加熱調理器90に電流を供給しない状態となる。
制御部84がリレー部81にオフ信号を送信した時点から、制御部84が所定の時間を計測(例えば10秒)した時、制御部84はリレー部81にオン信号を送信する。これにより、リレー部81は、接続部85を介して電磁誘導加熱調理器90に電流を再び供給できる状態となる。
上記動作を繰り返し実施することにより、制御装置80は、電磁誘導加熱調理器90に供給される電流を制御できる。なお、上述した所定の時間は加熱部10及び載置部20の構成並びに電磁誘導加熱調理器90の性能に応じて任意に設定することができる。
本実施形態によれば、上述した実施形態と同様に、加熱部10から載置部20に熱が伝達されるとき、載置部20の中央部から温度を上昇させることができる。これにより、電磁誘導加熱用器具103の加熱効率の向上を図ることが可能である。
(電磁誘導加熱用器具の製造方法)
次に、図37を参照して、第5実施形態における電磁誘導加熱用器具の製造方法の一例について説明する。図37は、本実施形態における電磁誘導加熱用器具5の製造方法を示すフローチャートである。
先ず、載置部20を形成する(ステップS110)。載置部20は、例えば食材を載せる盛付部21を有する。載置部20として、例えば断熱材が選択され、例えば陶磁器又は樹脂が選択される。載置部20として、例えば鉄等の磁性体が選択されてもよい。
次に、第1金属部11を形成する(ステップS120)。第1金属部11は、盛付部21に対向する面(裏面)に直接形成される。第1金属部11は、例えば載置部20と離間して形成した後に、載置部20と接合してもよい。第1金属部11として、非磁性体の金属が用いられる。第1金属部11として、電気抵抗の低い材料が選択され、例えばアルミニウム、銅、非磁性SUS等が選択される。
次に、第2金属部12を形成する(ステップS130)。第2金属部12は、第1金属部11上に形成される。これにより、加熱部10が形成される。第2金属部12の面積は、第1金属部11の面積よりも小さい。第2金属部12は、磁性体の金属が用いられる。第2金属部12として、電気抵抗の高い材料が選択され、例えば鉄、磁性SUS等が選択される。
これにより、本実施形態における電磁誘導加熱用器具5が形成される。なお、上述では第5実施形態の電磁誘導加熱用器具5について説明したが、他の実施形態においても同様の方法により形成することができる。
ここで、上述した加熱部10(第1金属部11、第2金属部12)を盛付部21に対向する面に直接形成するとき、例えば、耐熱性接着剤、セラミック溶射、耐熱性樹脂、ポリウエア樹脂等が用いられる。
加熱部10は、例えば、真空環境において加熱部10を形成してもよい。この場合、例えば真空蒸着法及びスパッタリング法の少なくとも何れかにより加熱部10を形成する。これにより、他の製造方法に比べて緻密な膜の加熱部10を形成することができ、加熱効率の向上を図ることができる。
上記の他に、常圧環境において加熱部10を形成してもよい。この場合、例えば金属溶射法(アルミニウム、鉄、亜鉛等を防錆したもの)、エッチング法、及び印刷法の少なくとも何れかにより加熱部10を形成する。これにより、真空環境に比べて製造工程を削減でき、作業効率を向上させることができる。例えば載置部20として、磁気皿、樹脂皿、及び中密度繊維板の少なくとも何れかが用いられ、盛付部21に対向する面に、金属溶射により加熱部10が形成される。また、加熱部10を形成した後、加熱部10の表面に、断熱性を有する塗料、耐熱性(例えば150度以上)を有する塗料、耐熱性を有する樹脂、もしくはセラミックをコーティング、または、フッ素樹脂コーティング、耐熱塗料の焼付塗装により防水加工を行う。これにより、細菌やカビ、汚れ防止等の食品衛生上の環境配慮ができる。
上記の他に、導電塗料、磁性体塗料、及び電磁波シールド塗料の少なくとも何れかを用いて、加熱部10を形成してもよい。
また、加熱部10を形成する工程は、第2金属部12を先に形成してもよい。すなわち、図38に示すように、盛付部21に対向する面に第2金属部12を形成し(ステップS220)、その後、第2金属部12上に第1金属部11を形成(ステップS230)してもよい。
また、加熱部10を形成する工程は、コイル切削法、びびり振動切削法、及び金属溶融の少なくとも何れかにより、金属繊維を形成し、金属繊維をプレス加工及び圧延して、各金属部11、12を形成する工程を含む。これにより、材料コストの削減、加熱効率の向上を実現することができる。
上述した各実施形態によれば、電磁誘導加熱用器具の加熱効率の向上を図れる。
また、実施形態における電磁誘導加熱用器具を用いた場合、食材を損じることなく、適切に加温可能であるので美味しく喫食が可能であり、盛りつけ作業、配膳作業、運搬作業においても安全である。また、従来の鉄皿は、黒体の塗料で遠赤外線効果を狙っているが、実施形態における陶磁器を用いた載置部においても、更なる赤外線(遠赤外線・近赤外線)効果が期待できる。すなわち、電磁誘導加熱調理器90を用いた保温設定において、例えば加熱部が120℃前後に設定されると、ディレイした熱伝導により載置部に70℃前後が確保される。このため、調理後の食材の性質を壊すことなく、安全及び効率、衛生面(上)において優位性がある。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。