本願で開示する電気加熱調理器は、本体ケースと、前記本体ケース内に配置された誘導加熱コイルと、前記本体ケースの上面に位置して前記誘導加熱コイルを覆うカバー部材と、前記カバー部材上に載置される陶器製調理器具と、前記陶器製調理器具の下面側に固着され、前記誘導加熱コイルによって発熱して前記陶器製調理器具を加熱する板状の発熱体と、前記陶器製調理器具の温度を検出する温度センサと、前記温度センサが検出する温度情報に基づいて前記誘導加熱コイルに印加する電力を調整し前記陶器製調理器具の温度制御を行う制御部とを備え、ユーザが選択可能な加熱モード以外に、前記ユーザが選択可能な加熱モードのいずれよりも大きな電力を前記誘導加熱コイルに印加する加速加熱モードを備えた。
本願で開示する電気加熱調理器は、上記構成を備えることで、温度センサが検出した温度情報に基づいて推定した陶器製調理器具の状態に応じて、誘導加熱コイルに印加される電力を調整することができる。特に、ユーザが選択可能な加熱モードよりも大きな電力を誘導加熱コイルに印加する加速加熱モードを備えることで、陶器製調理器具を用いるが故に生じるさまざまな課題に対処することができる。
上記構成において、前記制御部は、調理開始後の所定の期間、前記加速加熱モードでの調理を行うことが好ましい。このようにすることで、調理開始時に温度が上がりにくい陶器製調理器具を短い時間で所定の温度に到達させることができる。
また、前記陶器製調理器具の温度が調理開始後所定時間内に警告温度以上となったことを検出すると、前記制御部が、前記誘導加熱コイルへの投入電力を低下させることが好ましい。このようにすることで、被調理物が載置されていない空焼きが生じた場合に対処することができる。
このとき、前記警告温度として第1警告温度と前記第1警告温度よりも高い第2警告温度とが設定され、調理開始後所定時間経過した際に前記陶器製調理器具の温度が前記第1警告温度に到達しなかった場合、さらに所定時間が経過した後に前記陶器製調理器具の温度が前記第2警告温度に到達したことを検出すると、前記制御部が、前記誘導加熱コイルへの投入電力を低下させることが好ましい。このようにすることで、環境温度にかかわらずに空焼きなどの異常時への対応を行うことができる。
また、前記陶器製調理器具の温度が設定上限温度以上となった場合に、前記制御部が、前記誘導加熱コイルへの投入電力を低下させることが好ましい。このようにすることで、過大な熱による陶器製調理器具の破損を防止することができる。
さらに、ユーザが選択した加熱モードでの調理中に、所定時間を隔てて検出された前記陶器製調理器具の温度が設定された値以上に低下したことを検出すると、前記制御部が、所定の時間前記誘導加熱コイルへの投入電力を増大させることが好ましい。このようにすることで、被調理物が新たに載置された際の火力不足を補うことができる。
さらにまた、ユーザが選択した加熱モードでの調理中に、調理開始から所定の時間が経過しても前記陶器製調理器具の温度が下限温度に到達していないことを検出すると、前記制御部が、所定の時間前記誘導加熱コイルへの投入電力を増大させることが好ましい。このようにすることで、いわゆる汁物の調理時の火力不足に対応することができる。
この場合において、前記制御部が所定の時間前記誘導加熱コイルへの投入電力を増大させたにもかかわらず、前記陶器製調理器具の温度が前記下限温度より高い設定温度である要加熱温度に到達しない場合に、前記制御部は、所定の時間前記誘導加熱コイルへの投入電力を増大させる動作をさらに行うことが好ましい。
また、前記制御部が、前記誘導加熱コイルへの投入電力を増大させる操作が、前記加速加熱モードでの加熱を行うこととすることが好ましい。
前記陶器製調理器具が、平板状の調理面と前記調理面の周囲に形成されたフランジ部とを有する陶板プレートとすることができる。
また、前記陶器製調理器具の調理面を覆う陶器製の蓋をさらに備えたものとすることができる。
以下、本願で開示する陶器製調理器具を用いる電気加熱調理器として、調理プレートとして陶板プレートを備えたホットプレートについて、その実施形態の詳細な構成を、図面を参照して説明する。
(発明の実施の形態)
図1は、本実施形態にかかるホットプレートの全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のホットプレートは、本体ケース30と、本体ケース30上に載置された陶器製の調理プレートである陶板プレート20、さらに、陶板プレート20の上に載置可能な蓋10とを有している。本実施形態のホットプレートでは、蓋10も調理プレート同様に陶器製である。また、本体ケース30、陶板プレート20、蓋10は全て平面視したときに円形状となっている。
本実施形態のホットプレートでは、本体ケース30の側面部分にユーザがホットプレートの操作を行うためのスイッチ31と操作ボタン32とが配置されている。これらスイッチ31と操作ボタン32は、ホットプレートの動作状態を示す図示しないランプなどと共に操作部を構成する。
次に、本実施形態のホットプレートのより詳細な構成について、図2の分解斜視図と図3の断面図とを用いて説明する。
図2に示すように、本実施形態のホットプレートでは、本体ケース30は深皿状の下部筐体34と、下部筐体34の外周部分の上面を覆う環状の上部筐体33とで構成されている。上部筐体33の内側には、本体ケース30の内部に配置された図2では図示しない誘導加熱コイルの上面を覆って配置された円板状のカバー部材35が配置されている。本実施形態のホットプレートは、カバー部材35として耐熱性の高い結晶化ガラス製のものを用いているが、カバー部材35としては、上記結晶化ガラスの他にも、他の各種強化ガラス材料、または、PPS樹脂(ポリフェニレン サルファイド樹脂)などの耐熱性の高い樹脂材料のものを用いることができる。
上部筐体33には、互いに対向する部分に一対の凹み部36が形成されていて、カバー部材35上への陶板プレート20の載置と取り外しを容易にしている。
陶板プレート20は、その上面に被調理物を載せて調理する調理面となる平坦部分21と、この平坦部分21を取り囲むように形成されて、斜め外方へと延出するフランジ部22を有している。本実施形態のホットプレートでは、陶板プレート20にフランジ部22が形成されていることで、焼き肉やお好み焼きなどの焼き料理の他にも、いわゆる汁物料理にも対応している。
陶板プレート20のフランジ部22には、その上端部から鉛直上方へと向かって突出する立壁部23が形成されている。
なお、平坦部分21の裏側面である陶板プレート20の下面には、銀ペーストなど微細な金属粉が含まれた層状形成物である発熱体24(図3、図4参照)が配置されている。発熱体24の構成については、後に詳述する。
本実施形態のホットプレートにおける蓋10は、中央部分11が上方に湾曲して突出したドーム状となっている。蓋10の上部中央には、その先端部分が環状に形成された取っ手12が形成されている。また、ドーム状の中央部分には、蓋10を使用した調理時に発生する水蒸気や煙などを外部に逃がす蒸気孔13が形成されている。
図3は、本実施形態にかかるホットプレートの内部構成を説明するための断面図である。図3は、本実施形態にかかるホットプレートを操作ボタン32の配置位置を含む面で切断した断面構成を示している。
図3に示すように、本体ケース30の内部には、上述したカバー部材35に覆われて、誘導加熱コイル41が配置されている。本実施形態のホットプレートでは、誘導加熱コイル41は、いずれも円環状の外側環状コイル41aと内側環状コイル41bとで形成され、外側環状コイル41aと内側環状コイル41bは、支持プレート42で支持されて誘導加熱コイル41の上側表面がカバー部材35の本体ケース30内面側の表面に近接した状態で配置されている。また、支持プレート42は、それぞれの環状コイル41a、41bの中心がカバー部材35の中心と重なる位置になるように支持していて、カバー部材35上に陶板プレート20が載置された際に、陶板プレート20の中心と環状コイル41a、41bとの中心が鉛直方向の共通軸50上で一致し、陶板プレート20と誘導加熱コイル41とが互いに同軸上に配置されるようになっている。
また、支持プレート42は、共通軸50上に位置するカバー部材35の中心部分における本体ケース30内面側の位置に、カバー部材35の温度を検出する温度センサ43を支持している。本実施形態のホットプレートでは、温度センサ43が直接カバー部材35に接触してその温度を測定できるため、温度センサ43として熱電変換素子や熱電対などの周知の温度検出素子を用いることができる。温度センサ43は、カバー部材35を介してカバー部材35上に載置される陶板プレート20の下面側に配置された発熱体25の共通軸50部分の温度を検出することができる。
本体ケース30内の支持プレート42の下側には、ホットプレートを駆動する電源回路や制御回路などの電気回路素子が配置された電気回路基板44が配置されている。また、本体ケース30の上部筐体33に配置された操作ボタン32の裏側には、操作ボタン32を含む操作部でのスイッチ操作を検出して電気信号に変換すると共に、操作部に配置されている動作ランプを点灯させるなどするための各種電気回路部品が搭載されたスイッチ回路基板45が配置されている。スイッチ回路基板45は、図示しない電気配線部材で電気回路基板44と接続されていて、電気回路基板44に配置された図示しないマイコンなどのホットプレートにおける特に誘導加熱コイル41への電力投入を制御する制御部へと、操作部におけるユーザの操作を伝達する。なお、制御部は、スイッチ回路基板45に配置することができ、また、電気回路基板44、スイッチ回路基板45以外に制御回路基板を設けて、本体ケース30内の所望の位置に配置することができる。
支持プレート42下方には、空冷ファン46が配置されている。空冷ファン46は、ホットプレートの動作時に動作して、本体ケース30の下部筐体34の底面部分に形成されている空気孔36から外気を取り込んで、動作時に高温となる誘導加熱コイル41と、電気回路基板44上の回路部品を冷却する。
なお、下部筐体34の底面には、3つもしくは4つの脚部37が配置されていて、ホットプレートをテーブルなどの載置台上にガタツキ無く配置することを可能とすると共に、下部筐体34の底面と載置台の上面との間に所定の間隙を確保して、空気孔36から確実に外気が取り入れることができるようにしている。
陶板プレート20は、その中心が共通軸50に重なる状態でカバー部材35上に載置されている。発熱体24が形成されている陶板プレート20の下面側は、周辺部に下に凸の環状のリブ25が形成されていて、陶板プレート20がカバー部材35上に載置された状態で発熱体24の表面とカバー部材35との間にはごくわずかの隙間が形成されて発熱体24の熱がカバー部材35に直接伝わらないようになっている。
本実施形態のホットプレートでは、発熱体24としてシート状の銀ペーストを陶板プレート20の下面に貼着している。発熱体24は平面視円形状に形成されていて、発熱体24の中心は、陶板プレート20の中心と重なる共通軸50上に位置するようになっている。このため、陶板プレート20を下面側から平面視した場合には、発熱体24は陶板プレート20に対して同心円状に配置されていることとなる。また、発熱体24の中心が共通軸50上に位置することで、同じく共通軸50を中心となるように配置されている誘導加熱コイル41と発熱体24とを同心円状に配置することができ、誘導加熱コイル41からの誘導起電力をロス無く用いて発熱体24を発熱させることができる。
本実施形態のホットプレートでは、発熱体24としてシート状の部材を用いることで、発熱体24の形状、形成位置を正確に規定することができ、また、シート状の発熱体24を複数枚積層することによって、発熱体24の厚さも制御することができ、所定部分の厚さが他の部分の厚さよりも厚い発熱体24を容易に形成することができる。このようなシート状の部材は、例えば転写シート上に銀ペーストなどを塗布、印刷することにより容易に作成することができる。
なお、発熱体24を陶板プレート20の下面側に固着形成する方法としては、シート状の発熱体部材を貼着する方法に限られず、ペースト状の発熱体部材を塗付した後に乾燥させる方法や、印刷法などのペースト状部材を所定形状で陶板プレートの下面に直接形成する方法など、各種の方法を採用することができる。
また、発熱体24としては、上記した銀ペースト以外にも誘導加熱コイル41によって渦電流が生じて熱を発生する部材であればよく、アルミペーストや鉄ペースト等の他の金属粉末によるペースト材を用いる方法、さらに銀、アルミ、鉄などの部材を蒸着法などによって直接層状に形成する方法、銀、アルミ、鉄などの金属板を貼着する方法などによって、陶板プレート20の下面に形成することができる。
本実施形態のホットプレートでは、陶板プレート20の周辺部に形成されたフランジ部22の上面側に蓋10が載置される。フランジ部22の上端部に鉛直上方へと向かって突出する立壁部23が形成されていることで、フランジ部22上に蓋10を載せる際の位置決め部材の役割を果たし、蓋10が滑り落ちてしまうことを防止することができる。この結果、本実施形態のホットプレートでは、陶板プレート上に載置された蓋10の中心位置も共通軸50上に位置することとなる。
また、フランジ部22先端部の立壁部23は、蓋10を使用して調理する際に蓋10の内部空間に生じる水蒸気などが蓋10の載置部分から外部空間に放出される際に、水蒸気などの放出方向を上方に向けるガイドの役割を果たす。このため、調理時にホットプレートから高温の水蒸気が周辺方向へと飛び出すような事態を防止することかできる。
図4は、陶板プレート20の断面図である。
陶板プレート20の下面には、上記したように平面視円形状の発熱体24が陶板プレート20と同心円状となるように形成されている。なお、陶板プレート20の下面は、その周辺部分に下側へと突出する環状のリブ25が形成されている。プレートが陶板製であるため、例えば金属や樹脂のプレートのように垂直下方へ向かうリブを周辺部のみに形成することができず、陶板プレート20下面の周辺部分は、リブ25に向かってなだらかにその厚みを増す形状となっている。
本実施形態のホットプレートでは、陶板プレート20の下面側の平坦部分、ちょうど、上面が平坦部分21となっている領域全体にわたって、発熱体24が貼着されている。発熱体24は、中心部分の厚さが周辺部分の厚さよりも厚くなるように、大径部分24aに小径部分24bが積層された形状となっている。発熱体24の大径部分24aと小径部分24bは、ともにその中心が陶板プレート20の中心を通る共通軸50上に配置され、互いに、また、陶板プレート20に対しても、同心円状に配置されている。このように、大径部分24aに小径部分24bが積層された形状とすることで、陶板プレート20の主面方向において中央の小径部分24bが他の部分より肉厚の厚い厚肉部分となる発熱体24を実現することができる。
以下、本実施形態のホットプレートにおける、制御部によるさまざまな温度制御動作について説明する。
[調理開始時の加熱加速モード]
図5は、本実施形態のホットプレートにおいて行われる、加速加熱モードでの温度制御の内容を説明するフローチャートである。
本実施形態のホットプレートは、ユーザが調理目的や材料によって適宜選択することができる加熱モードとして、「強」「中」「弱」「保温」の4つのモードを備えている。これら3つのモードは、安定した状態での陶板プレートの設定温度によって区別されるもので、一例として、「強」モードでの設定温度が250℃、「中」モードでの設定温度が200℃、「弱」モードでの設定温度が160℃、「保温」モードでの設定温度が80℃となっている。
ユーザは、操作部の電源スイッチ31をONにした後(ステップS001)、調理内容に応じて所望の火力が得られる加熱モードを選択して操作ボタン32を操作し、制御部がそれぞれのモードに応じた調理を開始する(ステップS002)。
このとき制御部は、ユーザの設定した加熱モードに関わりなく、誘導加熱コイルに「強」モードよりもさらに大きな電力が投入される加速加熱モードでの加熱をスタートする(ステップS003)。なお、誘導加熱コイルに投入される電力は一例として、「加速加熱モード」が700W、「強モード」が410W、「中モード」が250W、「弱モード」が175Wである。このように、調理開始時に通常調理時の加熱モードにおける設定よりもより多くの電力を誘導加熱コイルに印加することで、常温であった陶板プレートの温度を短時間で上昇させることができる。
加速加熱モードは、低温の初期状態にある陶板プレートの温度を所定の温度まで引き上げることを目的とするものであるため、所定の期間が経過した場合、例えば、加速加熱モードでの加熱時間tが一定時間t0以上となるまで継続し(ステップS004でNoの場合)、温度もしくは動作時間が所定の条件を満たした場合、または、温度センサがカバー部材の温度から間接的に検知する陶板プレートの温度Tが所定の温度T0以上となった場合、すなわちステップS004でYesの場合に終了し、以降はユーザが選択した加熱モードでの調理に移行する(ステップS005)。
この場合、T0としては、ユーザが選択した各モードに対応付けて設定された所定温度そのものを用いることができる。また、加速加熱モードを終了して、誘導加熱コイルへの投入電力を低減した場合に、発熱体の温度がすぐには低下しないために陶板プレートの温度が設定温度よりも高くなってしまう、いわゆるオーバーシュートが予測される場合には、これを見込んでT0を各モードでの設定温度から5〜20度ほど低い温度と設定することもできる。
なお、上記の説明では、ユーザが選択した加熱モードが、「強」「中」「弱」いずれのモードでも加速加熱モードでの加熱を行うことを説明したが、より高い設定温度である「強モード」の場合のみ、もしくは、「強モード」と「中モード」の場合にのみ加速加熱モードでの加熱を行うようにすることができる。さらに、室温等環境温度に応じて、加速加熱モードでの加熱を行うように設定することもできる。
また、金属製のプレートを用いる従来のホットプレートの場合と比較して、本実施形態にかかるホットプレートでは陶板プレートを用いるため、誘導加熱コイルへの投入電力をこまめに制御しても陶板プレートの温度を正確に追従させるという効果は低い。このため、本実施形態のホットプレートでは、ユーザの設定した加熱モードそれぞれに対応して、誘導加熱コイルに印加する電力量を決定し、各動作モードでの調理時には、継続して設定された電力を誘導加熱コイルに印加し続ける形での温度制御を行っている。なお、それぞれの加熱モードでの電力量は、誘導加熱コイルと発熱体の形状や陶板プレートの大きさや厚さなどによって、適宜決定すべきものである。また、陶板プレート温度の印加電力への追従性が高い場合には、従来の金属製の調理プレートでの温度制御のように、陶器プレートの温度を看視しながら所定の設定温度近傍の温度を維持できるように、誘導加熱コイルへの印加電力量をこまめに制御することも考えられる。
本実施形態のホットプレートでは、図5のフローチャートに示したように、加速加熱モードを有することで、陶器製であるために調理開始時の暖まっていない状態から所定の設定温度への温度上昇が遅いという陶板プレートの欠点をカバーすることができ、ユーザに、金属製のホットプレートとの比較から来る「暖まりが遅い」という強い違和感を抱かせることなく、陶板プレートの高い蓄熱性を活かした調理を行うことができる。
なお、ユーザが選択した加熱モードでの調理を終了する場合としては、ユーザが選択するモードを変更した場合や電源をOFFした場合などのユーザから操作部を介した指示があった場合に加えて、例えば、一定時間何らの指示に有力もなされなかった際に所定の警告の後に動作モードをより低い設定温度のモードに変更する場合や、ホットプレートの動作自体を停止させる設定とした場合などが考えられる。
[空焼き検出の制御動作]
図6は、蓋10を用いて調理している場合の空焼き防止のためのフローチャートである。
本実施形態のホットプレートは、温度センサによって検出された陶板プレートの温度情報に基づいて、ユーザが調理プレート上に被調理物を置かない状態で蓋をして調理を開始してしまったいわゆる空焼きの場合を検出して、これに対応することができる。
なお、本実施形態のホットプレートでは、蓋をした空焼き状態が危険となる場合がより高温での制御が行われる強モードの場合であることから、一例として、ユーザが強モードでの加熱調理を開始した場合にのみ図6に示す空焼き検出のフローチャートがスタートすることとしている。
ユーザが強モードでの加熱を開始すると(ステップS101)、制御部は、温度センサの温度が、所定の設定温度T1を超えたか否かを検出する(ステップS102)。温度センサの検出温度Tが設定温度T1を超えた場合には(ステップS102でYESの場合)、制御部は、警告音や動作表示ランプの点滅などによって異常が発生している可能性をユーザに知らせ(ステップS106)、安全のため加熱モードを自動的に中モードへと移行させる(ステップS107)。
制御部は、温度センサによる検知温度Tが設定温度T1を超えるか否かの看視を所定の設定時間t1を経過するまで行い(ステップS103でNOの場合)、所定の設定時間t1を超えた場合(ステップS103でYESの場合)には、設定温度をより高い温度であるT2に引き上げて、検知温度Tが設定温度T2を超えるか否かの監視を行う(ステップS104)。
このようにすることで、強モードでの加熱開始から、所定の時間t1内に第1警告温度である設定温度T1を超えるか否かの検出が行われる。
さらに、制御部は、温度センサで検知された温度Tが、第2の設定温度T2を超えたか否かを検出する(ステップS104)。温度センサの検知温度Tが第2の設定温度T2を超えた場合には(ステップS104でYESの場合)、制御部は、警告音や動作表示ランプの点滅などによって異常が発生している可能性をユーザに知らせ(ステップS106)、安全のため動作モードを自動的に中モードへと移行させる(ステップS107)。
制御部は、この検知温度Tが第2の設定温度T2を超えるか否かの看視を所定の設定時間t2を経過するまで行い(ステップS105でNOの場合)、所定の設定時間t2が超えた場合(YESの場合)には、設定温度をさらに高い温度T3へと引き上げて、検知温度TがT3を超えるか否かの監視を行う(ステップS108)。
このようにすることで、所定の時間t1以内に第1警告温度T1を超えなかった場合でも、所定の時間t2までに第2警告温度である設定温度T2を超えないかを観視することができる。以上の動作を行うことで、調理開始時からの急激な温度上昇を検知することができる。
制御部は、第2の設定時間t2までに検知温度Tが第2警告温度T2を超えなかった場合には、空焼きなどの異常が生じていないと判断する。
この場合には、検知温度が上限温度T3に到達していないかを看視しながら、強モードでの加熱調理を継続する。上限温度T3を超える状態は、異常が生じている状態であると判断できるため、警告を発した後(ステップS110)ホットプレートを待機状態に戻すリセット動作を行う(ステップS111)。
なお、それぞれの設定時間と設定温度は、温度センサでの検知温度と実際の陶板プレートの温度との差異などの温度検知状況や、陶板プレートの厚みや形状などの割れやすさに影響する条件を踏まえて適宜決定することとなる。一例として、本実施形態にかかるホットプレートでは、空焼きを検出するための条件として、所定の時間t1を10分、第1警告温度T1を140℃、時間t2を15分、第2警告温度T2を165℃とそれぞれ設定している。また、陶板プレートが割れるおそれが生じる条件としての上限温度T3は、陶板プレートが300℃を超えることが想定される検知温度である200℃を設定している。
図7は、陶板プレート上に陶器製の蓋を載置した状態と載置していない状態での、強モードで加熱したときの陶板プレートの温度上昇の経緯を確認したものである。
図7中、61a、61b、61cとして示したものが蓋ありの状態で、61aが環境温度5℃の場合、61bが環境温度24℃の場合、61cが環境温度35℃の場合である。また、62a、62b、62cとして示したものが、蓋なしの状態で、62aが環境温度5℃の場合、62bが環境温度24℃の場合、62cが環境温度35℃の場合である。
図7に示すように、明らかに蓋ありの場合の方が陶板プレートの温度上昇が早く、上記した所定時間と警告温度との組合せとしてのt1とT1、t2とT2という条件を用いることで、蓋ありの空焼き状態を検出することができることがわかる。
なお、環境温度が35℃と高い場合には、蓋がない状態(62c)でも10分経過後に検知温度が147℃となって第1警告温度に到達してしまうため、制御部からの警告がなされて強制的に中モードに切り替わってしまう。しかし、環境温度35℃での実使用は実際の条件としてはあまり考えられず、また、警告がなされたことでユーザが認識して、強モードに戻すことができるので実害は生じないと考えられる。
このことを考慮して、本実施形態のホットプレートでは、制御部の保護動作によって加熱モードが強モードから中モードに切り替わった後に、ユーザが強モードに設定し直した場合は、ユーザが調理状況を十分確認できていると判断して、以降はこの空焼き検出モードの生技を行わないように設定している。また、上記実施形態では、空焼き検出の設定温度条件として、第1警告温度と第2警告温度との2種類の温度設定の例を説明したが、警告温度を1種類の設定とすることも、3種類以上の設定とすることもいずれも可能であることは言うまでもない。
以上のように、本実施形態のホットプレートでは、陶板プレートの温度制御を行う制御部が、温度センサが検知した温度から内部が見えない不透明な陶器製の蓋を用いた状態での空焼きなどの調理状態の異常を早期に検出することができ、陶板プレートの異常な温度上昇を回避することができる。この結果、陶板プレートの過大な温度上昇に伴って生じるおそれがある、フッ素コーティングの剥がれや陶板自体の高温による破損という不所望な事態を回避することができる。
[被調理物載置時の火力不足への対応制御]
次に、本実施形態にかかるホットプレートにおける、被調理物との関係における温度制御動作について説明する。
図8は、温度センサが検知する陶板プレートの温度変化から、陶板プレート上への被調理物の載置を検出して、陶板プレートの温度低下による火力不足状態に対応する制御の内容を説明するフローチャートである。
なお、本実施形態のホットプレートでは、調理プレートである陶板プレートの温度が低下して調理スピードが遅くなったことをユーザが強く意識するのは、強モードでの加熱調理中であることを考慮して、図8にフローチャートを示す制御動作においても、強モードでの加熱調理時のみに適用されるように設定している。
ユーザが強モードでの加熱調理を開始したことを検出(ステップS201)すると、図8に示す制御動作が開始される。
制御部は、ある1時点での温度センサの検知温度Tを取得し、これをTAとして記憶する(ステップS202)。
その後、制御部は、強モードでの加熱調理中(ステップS203)において、所定時間t11(一例として60秒)経過する(ステップS204でYESの場合)と、改めて温度センサでの検知温度Tを取得し、これをTBとして記憶する(ステップS205)。
次に制御部は、「TA−TB」が0以上である否かを判断する(ステップS206)。
ステップS206で、「TA−TB」が0以上、すなわち、60秒経過して陶板プレート温度が下がっていると判断される場合には、陶板プレート上に低温の被調理物が載置されたと推定して(ステップS206でYESの場合)、所定時間、一例として60秒間の間、加熱モードを、設定中の加熱モードである強モードよりも大電力が印加される加速加熱モードとする(ステップS208)。
このようにすることで、一旦下がった陶板プレートの温度を速やかに回復することができる。
次に、制御部は、記憶していた温度TA、TBを共にリセットする(ステップS209)。その後ふたたびステップS202に戻り、その時点での温度センサの検知温度TをTAとして記憶する。
ステップS206で、「TA−TB」が0よりも小さく負の値の場合(NOの場合)は、陶板プレートの温度が低下していないと判断できるので、制御部は、記憶していた温度TBをリセットして(ステップS207)、強モードでの加熱調理を継続するステップS203に戻る。
そして、さらに所定時間である60秒経過後の温度を検知し、検知した温度TをTBとして記憶する(ステップS205)。さらに、新たに記憶した温度TBと以前から記憶していた温度TAとの比較「TA−TB」を行う(ステップS206)。
以下、この動作を繰り返す。
図8にフローチャートを示した制御の内容を説明する図が、図9である。
最初に検知されて記憶された検知温度TAをA1、その60秒後に検知され記憶された検知温度TBをB1とすると、「TA−TB」すなわち「A1−B1」が正の場合は、図9に示すようにこの間に陶板プレート温度が下がっているため、加速加熱モードに移行して所定時間としての60秒間、誘導加熱コイルへの印加電力を大きくする火力アップ動作を行う。その結果、図9に示すように陶板プレートの温度を上昇させることができる。
次に、再び測定され記憶された温度TAをA2と、その60秒後に記憶された温度B2を比較したとき、「A2−B2」が負、すなわち、B2がA2より高い温度である場合には、陶板プレート上に新たな被調理物が載置されたなどの条件変動が行われておらず、陶板プレート温度が低下していないと判断できるので、火力アップは行わない。
次に、TAであるA2はそのまま維持し、TBであるB2をリセットして、さらに所定時間60秒経過後の検知温度TBとして記憶された温度B2’をA2と比較する。図9に示すように、「A2−B2’」は負であるため、60秒間、加速加熱モードに移行して火力アップ動作を行う。
このようにすることで、陶板プレート上に温度の低い被調理物が載置された場合の陶板プレートの温度低下を検知して、これを補うために誘導加熱コイルに印加される電力を大きくすることができる。なお、図8のフローチャートに示したように、所定時間経過後の温度が下がっていない場合(ステップS206でNOの場合)に、TAは維持してTBのみをリセットして新たな検知温度に置き換える制御を行うように設定したことで、図9に示したように、火力投入の反動として強モードの設定温度70よりも高い温度状態になった後に、所定の温度70まで低下するような温度変化状態での火力アップは行われず、設定温度70より不所望に下がってしまった場合にのみ、火力アップ動作をおこなうことができる。
図10に、本実施形態のホットプレートにおける、被調理物による陶板プレートの温度変化を示す。なお、図10は、温度センサが検知したカバー部材の本体ケース内側中央部分の検知温度を示していて、この検知温度は、陶板プレートの温度よりも低く、また、温度変化もなだらかな状態で表れていると思われる。
図10に示すように、強モードでの調理がスタートした後温度センサによる検知温度は上昇を続け、約12分経過後に、所定の検知温度135℃に到達している(符号71の部分)。
その状態で、肉や生地などの加熱していない被調理物を載置することで、検知温度は符号72の部分のように低下する。ここで、通常の調理状態を再現するために、肉や生地を複数回反転させたが温度の変化は小さく、徐々に135℃に上昇する(符号73の部分)。
ここで再び、肉や生地などの被調理物を投入すると、また検出温度は低下し(符号74の部分)、被調理物の反転動作を行っている間に徐々に温度が上昇する。
次に、符号75の部分で被調理物として餃子を載置し、水入れ後に蓋をした。蓋をしたことで温度は一旦上昇する(符号76の部分)が、被調理物を載置しさらに水を加えているため検知温度は比較的大きく低下し(符号77の部分)、その後時間が経つにつれて温度は上昇する。
このように、蓄熱性が高い陶板プレートの場合でも、加熱していない被調理物を載置することで陶板プレートの温度低下が生じることがわかる。また、一旦低下した温度はすぐには上昇せず、金属製のホットプレートの場合と比較すると被調理物に加わる火力が落ちた状態が長く続き、なかなか所定の温度に戻りにくいことがわかる。
本実施形態のホットプレートでは、このように被調理物の載置に伴う温度低下を検出したときに、通常の印加電力よりも大きな電力を誘導加熱コイルに印加する加速加熱モードでの加熱を所定時間行うことで、陶板プレートの温度低下からの回復を促進することができる。
前述のように本実施形態のホットプレートでは、陶板プレートに対する細かな温度制御の困難性を鑑みて、所定の加熱モードでの調理時には誘導加熱コイルへの電力量を一定にする制御を行っている。このような場合、陶板プレート上に被調理物が載置されたことによる陶板プレートの温度低下を放置すると、ユーザはなかなか調理ができないという不満を抱くことがある。本実施形態のホットプレートは、図8にフローチャートを示した火力低下を回復する制御動作を行うことで、制御部が自動的に火力不足を補う動作を行い、金属製プレートのホットプレートに近い感覚での調理を実現することができる。
[汁物調理時の制御動作]
次に、被調理物に応じて適切な温度制御を行う動作例として、多量の水分と共に調理されるいわゆる汁物調理時に対応した制御について説明する。
図11は、汁物調理時における、陶板プレートのより適切な温度制御を行う制御動作内容を説明するフローチャートである。
本実施形態のホットプレートでは、上述のように陶板プレートの周辺部分にフランジが形成されているため、いわゆる汁物を調理することができる。なお、大きな火力が必要であるとユーザが認識しているであろう汁物調理における制御であるため、図11に示すフローチャートにおいても、強モードでの加熱調理開始時に動作するものと設定している。
ユーザが強モードでの加熱調理を開始したことを認識すると(ステップS301)、調理開始から所定時間t21(一例として6分間)の経過を待って(ステップS302でYESの場合)、温度センサの検知温度を取得する。
この場合に検知温度Tが、所定の下限温度T21(一例として70℃)に達している場合(ステップS303でYESの場合)には、そのままタイマーカウントを継続する。
一方、検知温度Tが、下限温度T21に達していない場合(ステップS303でNOの場合)には、所定時間(例えば6分間)加熱加速モードでの加熱を行う(ステップS304)。
その後再び温度を検出して、下限温度T21よりも高い設定温度である、一例として120℃の要加熱温度T22を超えているか否かを判断する(ステップS305)。
要加熱温度T22を超えていない場合(ステップS305でNOの場合)には、改めて所定時間6分間、加速加熱モードでの加熱を行う(ステップS304)。
温度が要加熱温度T22を超えた場合(ステップS305でYESの場合)には、ステップS306へ移行して強モードでの加熱を行う(ステップS306)。
その後、強モードで調理を所定時間(一例として10分間継続し(ステップS307)、検知温度が要加熱温度T22以上であるかの確認を再び行う(ステップS308)。
ステップS308で要加熱温度T22に到達していることが確認できない場合(NOの場合)は、また所定時間(一例として6分間)加速加熱モードでの加熱を行う(ステップS309)。
温度が要加熱温度T22を超えたことが確認されると(ステップS308でYESの場合)、陶板プレート上の水分は無くなって、汁物料理から通常の陶板料理へと移行したと判断し、加速加熱モードを終了して以後は強モードでの加熱を継続する(ステップS310)。
このようにすることで、水分量が多く、陶板プレートの温度が上昇しにくい、または、陶板プレートの温度が急激に下がってしまうことが想定される、いわゆる汁物調理時の火力不足を早急に回復して、陶板プレートの温度を上昇させた状態での迫力ある汁物調理を行うことができる。同時に、汁物料理以外の場合には、このような大電力を誘導加熱コイルに印加する調理を行わないことで、陶板プレートの温度が上がりすぎて、肉などの被調理物が貼り付いたり焦げてしまったりする不都合を回避することができる。
図12は、本実施形態にかかるホットプレートにおける汁物調理時の温度センサーによる検知温度の実際の温度経過を示すものである。
符号81は、陶板プレート上に水を張って強モードでの加熱を継続した状態での温度変化を示す。この場合には、陶板プレート温度は100℃強に到達した後その温度でほぼ一定となる。なお、加熱開始から1時間10分ほどで水か全て蒸発したため、その後陶板プレートの温度は急激に上昇している。
符号82は、陶板プレート上に水を張った状態で、かつ、加熱開始から6分間加速加熱モードでの加熱を行った場合である。10分経過後までの温度上昇は早いものの、やはり100℃ぐらいで温度は一定となる。
符号83は、陶板プレート上に何も載せない状態で、加速加熱モードでの6分間の加熱を行い、その後は強モードでの加熱を行った、いわゆる空焼き状態での温度変化を示している。陶板プレート温度は、水を張った状態の符号82の場合よりもさらに速い速度で温度上昇すると共に、陶板プレートの温度は200℃に近い高温に達している。
符号84は、野菜を載置して野菜蒸しを行った場合の温度変化を示している。この場合も、約10分程度で陶板プレートの温度は100℃を超えている。なお、符号84に示すものは、加熱開始から約15分後に加熱モードを強から中に切り替えたため、プレートの温度はその後に急激に低下している。
図12のデータから、陶板プレート上に水がある場合には、プレート温度は120℃を超えることはないことが確認できた。このため、図11にフローチャートを示す汁物調理の制御動作では、要加熱温度T22を120℃として、この温度を超えていない場合には、陶板プレート上に水がせ残っている汁物調理中であると判断して、所定の時間、加熱加速モードでの加熱を行って陶板プレートの温度上昇を促進するようにしている。
このようにすることで、本実施形態にかかるホットプレートとでは、ユーザが汁物調理などの調理種別を選択しなくしても、制御部が温度センサでの検知温度から調理内容を判定して、汁物料理の場合にはそれに適した温度状態での調理を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態のホットプレートでは、陶板プレートの温度を検出してさまざま温度制御パターンを適用することで、調理プレートとしての陶板プレートに応じた各種の調理を行うことができる。特に、ユーザが選択することかができる加熱モードよりもより多くの電力を誘導加熱コイルに印加する加速加熱モードでの加熱調理を行うことで、蓄熱性が高い陶板製の調理プレートを用いながら、ユーザの手を煩わせることなく金属製プレートを備えたホットプレートに近い感覚での調理を提供することができる。
なお、上記実施形態では、発熱体として、陶板プレートの主面方向において厚さが異なり、厚肉部が形成されたものを例示したが、本実施形態のホットプレートの発熱体として、その厚さが均等なものを用いることができる。
また、上記実施形態では、温度センサをカバー部材に接触させて、カバー部材の温度を直接測る構成としたが、温度センサとカバー部材との間に所定の間隙を設けて間接的にカバー部材の温度を検出することができる。また、カバー部材に開口部を設けるなどして、陶板プレートが載置された際に陶板プレート下面に固着された発熱体の温度を、直接に、もしくは間接的に測定するような温度センサを配置することができる。
さらに、上記実施形態では、本体ケース、陶板プレート、誘導加熱コイル全てを平面視が略円形状のものとして説明した。しかし、本実施形態にかかるホットプレートでは、これら全てを平面視円形状とすることは必須の要件ではなく、本体ケース、陶板プレート、誘導加熱コイルの少なくとも一つ以上の平面視形状を、略矩形状などの非円形形状とすることができる。仮に陶板プレートおよび誘導加熱コイルの少なくともいずれか一方を矩形状とした場合には、誘導加熱コイルによる発熱体における発熱効率や、発熱体から陶板プレートへの温度の伝搬形態を考慮して、発熱体も円形ではなく矩形状とすることが好ましい場合がある。当然ながら陶板プレートを矩形状とした場合には、中央部分を矩形状として、さらにフランジ部分を矩形枠状とすることができる。
また、特に陶板プレートの平面形状に合わせて、本体ケースや蓋の平面形状が適宜円形から変更されるべきことは言うまでもない。
また、上記実施形態では、ユーザが選択可能な加熱モードして、強、中、弱の3つのモードを備えたものを例示したが、本実施形態にかかるホットプレートはこれに限られず、1つ、2つ、または、4つ以上の加熱モードを備えるものとすることができる。また、加熱モードの選択に加えて、誘導加熱コイルへの電力印加を時間との関係で規定する調理プログラムを選択できるようにすることも可能である。
また、上記実施形態では、被調理物の載置や汁物調理を検知する制御動作において、強モードでのみ動作する例を示したが、これは一例であり、ユーザが選択する加熱モードの状態に応じて、他の加熱モードで動作するように設定することももちろん可能である。
さらに本開示は、例示して説明したホットプレートに限らず、平面視円形状で比較的深いプレートを備えたいわゆる電気鍋などの、誘導加熱コイルを用いて陶器製の調理器具内の被調理物を調理することができる各種の電気加熱調理器に適用することができる。