JP6662036B2 - 振動溶着成形体および振動溶着用ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

振動溶着成形体および振動溶着用ポリアミド樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は振動溶着成形体とそれに好適に用いられる振動溶着用ポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、その優れた成形性、耐熱性、強靱性、耐オイル性、耐ガソリン性、耐摩耗性などを利用して、自動車、機械部品などの分野で広範に利用されている。これらの分野においては、従来は主に金属材料が使用されていたが、軽量化による自動車の燃費向上などを目的として、金属材料からポリアミド樹脂などの樹脂材料への代替が進められてきた。さらに最近では、ポリアミド樹脂の高性能化および成形加工技術の進展に伴って、従来は樹脂化が困難であると考えられていた複雑形状の部品への適用が検討されている。このような複雑形状の部品を樹脂化するためには、射出成形や押し出し成形、ブロー成形などの成形技術だけでは不十分であり、切削、接着、溶着などの後加工技術を組み合わせることが必要となる。
樹脂部材の溶着方法として、例えば、振動溶着、超音波溶着、熱板溶着、レーザー溶着などが挙げられる。これらの溶着方法の中で、振動溶着は、適応可能な材料や形状が広範にわたることから、多くの分野において使用されている。
ポリアミド樹脂の振動溶着強度を向上させる方法として、例えば、ナイロン樹脂、ポリアミドエラストマーおよびガラス繊維からなる振動溶着用樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、ナイロン樹脂、ポリアルキレングリコールのビス不飽和酸エステルおよびガラス繊維を配合してなる振動溶着用樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、上記の方法により溶着強度の向上は認められるものの、溶着強度の安定性が不十分である課題があった。
特開平11−5898号公報 特開2001−72864号公報
本発明は、上記背景技術の課題に鑑み、溶着強度が高く、溶着条件の変化に対する溶着強度安定性に優れた振動溶着成形体と、かかる振動溶着成形体を得るために好適な振動溶着用ポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、主として下記[1]〜[10]に示す構成を有する。
[1]少なくとも第1の樹脂部材と第2の樹脂部材を振動溶着してなる成形体であって、
溶融再固化層中に球晶を有し、球晶サイズが1.0〜2.5μmである振動溶着成形体であって、
前記第1の樹脂部材および第2の樹脂部材がポリアミド樹脂組成物を含み、
前記ポリアミド樹脂組成物のTm−Tcが50℃以下であり、
かつポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、結晶核剤(B)を0.01〜1重量部含有するポリアミド樹脂組成物からなり、
さらに、前記ポリアミド樹脂はポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610およびポリアミド6/66共重合体から選ばれる少なくとも一種を含む、振動溶着成形体。
]前記結晶核剤(B)が、脂肪酸金属塩および/または含水珪酸マグネシウムを含む[]に記載の振動溶着成形体。
]前記振動溶着成形体が、自動車の吸排気部品、燃料装置部品または冷却装置部品である[1]または[2]のいずれかに記載の振動溶着成形体。
]ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、結晶核剤(B)を0.01〜1重量部含有する振動溶着用ポリアミド樹脂組成物であって、
前記ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610およびポリアミド6/66共重合体から選ばれる少なくとも一種を含み、
前記ポリアミド樹脂組成物のTm−Tcが50℃以下であって、
前記ポリアミド樹脂組成物を含む樹脂部材を振動溶着してなる振動溶着成形体の球晶サイズが1.0〜2.5μmである、
振動溶着用ポリアミド樹脂組成物。
]前記結晶核剤(B)が、脂肪酸金属塩および/または含水珪酸マグネシウムを含む[]に記載の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物。
]シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で、長さ5cm、幅5cm、厚み1cm、掴み代3cmの半ダンベル型試験片を射出成形した後、振動溶着機の上部と下部に固定し、幅3cm、厚み1cmの圧接面同士を圧接させ、周波数240Hz、振幅1.5mmの条件で、溶着深さが1.5mmとなるように加圧力を変化させ、幅方向と平行に振動させて溶着したとき、溶着時間4秒〜5秒における溶着強度Aと、溶着時間1〜2秒における溶着強度Bとの変化率が5%以下である[または]のいずれかに記載の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物。
本発明によれば、溶着強度が高く、溶着条件の変化に対する溶着強度安定性に優れた振動溶着成形体を得ることができる。
実施例1により得られた振動溶着成形体の溶融再固化層付近の拡大図である。 比較例1により得られた振動溶着成形体の溶融再固化層付近の拡大図である。 実施例において用いた溶着強度測定用溶着試験片を構成する試験片形状を示す概略図である。 実施例において用いた溶着強度および溶融再固化層中の球晶サイズ測定用溶着試験片と切削部位を示す概略図である。 図4に示す振動溶着強度および球晶サイズ測定用溶着試験片の切削部位における溶融再固化層中の球晶サイズの測定部位を示す概略図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明における振動溶着成形体は、少なくとも第1の樹脂部材と第2の樹脂部材を振動溶着してなる成形体である。振動溶着とは、少なくとも第1の樹脂部材と第2の樹脂部材を圧接させた状態で、所定の振動周波数、振幅、加圧力により、圧接面同士が接する摩擦方向に振動して溶着する溶着方法である。溶着条件は特に限定されないが、圧接面の加圧力は0.1〜25MPaが好ましく、振幅は0.5〜2.0mmが好ましく、周波数は200〜300Hzが好ましい。
本発明の振動溶着成形体は、溶融再固化層中に球晶を有し、球晶サイズが1.0〜2.5μmであることを特徴とする。ここで、溶融再固化層とは、2以上の樹脂部材を溶着させた境界に生成される層を指し、例えば、図1に示す実施例1により得られた振動溶着成形体の溶融再固化層付近の拡大図において、符号12で表される。また、球晶とは、溶融した高分子の冷却過程で生じる分子鎖の折りたたみ構造(ラメラ構造)を指し、成形時の冷却過程や、振動による再溶融後の冷却過程において生じる。例えば、図1に示す実施例1により得られた振動溶着成形体の溶融再固化層付近の拡大図において、符号10は、成形時の冷却過程において生じる第1の樹脂部材または第2の樹脂部材中の球晶を示し、符号11は、振動による再溶融後の冷却過程において生じる、溶融再固化層中の球晶を示す。溶融再固化層中の球晶サイズは、振動によって溶融され、再固化される樹脂の結晶性や結晶化速度を表す指標である。溶融再固化層中の球晶サイズが大きいほど、振動による再溶融後の冷却過程において樹脂が結晶化しやすいことを表し、振動溶着条件による影響を受けやすい。本発明においては、溶融再固化層中の球晶サイズを1.0〜2.5μmとすることにより、溶融再固化層中の樹脂を微細結晶化させ、振動溶着強度および振動溶着強度の安定性を向上させることができる。溶融再固化層中の球晶サイズが2.5μmを超えると、振動溶着条件の影響を受けやすく、振動溶着強度の安定性が低下する。球晶サイズは2.0μm以下が好ましい。一方、溶融再固化層中の球晶サイズが1.0μm未満であると、溶融再固化層中の樹脂の結晶化の安定性が低下することから、振動溶着強度の安定性が低下する。球晶サイズは1.2μm以上が好ましく、溶着強度をより向上させることができる。
ここで、本発明における溶融再固化層中の球晶サイズは、偏光顕微鏡を用いて倍率40倍に拡大して溶融再固化層を拡大観察することにより測定することができる。より具体的には、以下の方法により測定することができる。まず、溶着成形体から溶融再固化層を含む短冊状試験片を切削加工する。例えば、図4に示す形状の溶着試験片の場合、溶融再固化層(12)を含む球晶サイズ測定用溶着試験片の切削部位(14)に示す短冊状試験片を切削加工する。得られたた短冊状試験片の中心から、ロータリーミクロトームを用いて、図5に示す溶融再固化層中の球晶サイズの測定部位(15)を含むように厚み方向に100μm切削した後、厚さ15〜25μmの薄膜を切削する。得られた薄膜中の溶融再固化層(12)の断面を、偏光顕微鏡を用いて倍率40倍に拡大して、縦235μm×横310μmの領域を観察する。観察領域の中央部から長さ0.1μmの垂直線を引き、線分上に存在する1.0μm以上の球晶の大きさを測定し、その数平均値を算出することにより、球晶サイズを求めることができる。なお、球晶の大きさとは、球晶が円形または楕円形の場合は最も長い直径を指し、球晶が多角形の場合は最も長い対角線を指す。
振動溶着成形体の溶融再固化層の球晶サイズを1.0〜2.5μmにする手段としては、例えば、振動溶着成形体を構成する樹脂として、後述する樹脂を用いる方法などが挙げられる。特に、第1の樹脂部材および第2の樹脂部材がポリアミド樹脂を含み、第1の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTm−Tcおよび第2の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTm−Tcが、いずれも50℃以下であることが好ましい。
本発明の振動溶着成形体を構成する第1の樹脂部材および第2の樹脂部材は、熱可塑性を有し、振動により溶着する樹脂を含むことが好ましい。第1の樹脂部材と第2の樹脂部材は、同種の材料から構成されてもよいし、異種材料から構成されてもよい。
第1の樹脂部材または第2の樹脂部材に含まれる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの結晶性汎用プラスチック、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニルなどの非晶性汎用プラスチック、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテルなどの汎用エンジニアリングプラスチック、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミドなどのスーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。ここで、「/」は共重合体を示し、以下同様とする。これらの樹脂を2種以上含んでもよい。これらの樹脂の中でも、溶着成形体の耐薬品性や溶着強度をより向上させる観点から、ポリアミド樹脂を含むことが好ましく、第1の樹脂部材および第2の樹脂部材がともにポリアミド樹脂を含むことがより好ましい。
ポリアミド樹脂は、アミド結合を有する高分子からなる樹脂であり、アミノ酸、ラクタムおよび/またはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とするものである。その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーおよび/またはコポリマーを用いることができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミド(ポリアミド66/6I/6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリデカンアミド(ポリアミド6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ポリアミドXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T/M5T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T/5T)、ポリペンタメチレンテレフタルアミド/ポリペンタメチレンアジパミド(5T/56)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。成形性や表面性などの必要特性に応じて、これらを2種以上含んでもよい。
これらの中でも、射出成形性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6/66、ポリアミド66/6I、ポリアミド66/6I/6が好ましく、溶融再固化層中の球晶サイズをより小さくして溶着強度および溶着強度安定性をより向上させる観点から、ポリアミド6、ポリアミド66がより好ましく、ポリアミド6がさらに好ましい。
前記振動溶着成形体を構成する第1の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTm−Tcおよび第2の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTm−Tcは、いずれも50℃以下が好ましく、溶着強度および振動溶着強度の安定性をより向上させることができる。48℃以下がより好ましい。
ここで、第1の樹脂部材および第2の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTmは融点、Tcは降温結晶化温度を指し、Tm−Tcはポリアミド樹脂の固化速度を表す指標である。Tm−Tcは、振動溶着成形体の第1の樹脂部材および第2の樹脂部材から、それぞれ溶融再固化層以外を一部切削して、DSC法によりポリアミド樹脂のTmとTcを測定することにより算出することができる。ここで、Tmは、サンプルを40℃から20℃/minの昇温速度で昇温させたときに得られるポリアミド樹脂の発熱ピークの頂点を示す温度のことで、Tcは、サンプルを260〜300℃から20℃/minの降温速度で降温させたときに得られるポリアミド樹脂の吸熱ピークの頂点を示す温度のことである。
本発明の溶着成形体を構成する第1の樹脂部材および/または第2の樹脂部材は、ポリアミド樹脂(A)と結晶核剤(B)を含有するポリアミド樹脂組成物から形成されることが好ましい。かかるポリアミド樹脂組成物を用いることにより、第1の樹脂部材および第2の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTm−Tcを50℃以下に容易に調整することができる。
ポリアミド樹脂(A)としては、先に例示したものを挙げることができる。ポリアミド樹脂(A)の重合度には特に制限がなく、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が1.8〜3.7の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.8以上であれば、第1及び第2の樹脂部材の靭性を向上させることができる。2.0以上がより好ましい。一方、相対粘度が3.7以下であれば、ポリアミド樹脂組成物の射出成形性を向上させることができる。3.2以下がより好ましい。
結晶核剤(B)は、ポリアミド樹脂の結晶核の生成を高める作用を有するものであれば特に限定されない。結晶核剤(B)としては、例えば、脂肪酸金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルーなどの有機系結晶核剤、タルク、クレイ、シリカ、グラファイトなどの無機系結晶核剤、高融点ポリエチレンテレフタレートなどの高分子系結晶核剤などが挙げられる。これらを2種以上配合してもよい。これらの中でも、溶着成形体の溶着強度をより向上させる観点から、脂肪酸金属塩および/または含水珪酸マグネシウムを含むことが好ましい。
前記脂肪酸金属塩とは、脂肪酸と金属からなる塩化合物である。脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、ステアリン酸、ラウリン酸、モンタン酸、ベヘン酸、オクチル酸、セバシン酸、ウンデシレン酸、リシノール酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸等が挙げられる。これらを2種以上含んでもよい。ポリアミド樹脂(A)との相溶性の観点から、ステアリン酸、モンタン酸が好ましい。金属としては、例えば、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウムおよび銀等が挙げられる。ポリアミド樹脂(A)への配位の強さの観点から、カルシウム、アルミニウム、バリウムが好ましい。これらを2種以上含んでもよい。特に、ステアリン酸バリウムが好ましく用いられる。
前記含水珪酸マグネシウムとは、Mg(SiO10)(OH)で表される化合物である。針状、葉状、鱗片状、粉末状、粒状等、いずれの形状でもよいが、鱗片状、粉末状のものが好ましい。また、天然に存在するステアタイトや石鹸石でも、あるいは化学的に合成したものであってもかまわない。
前記ポリアミド樹脂組成物における結晶核剤(B)の含有量は、溶融再固化層中の球晶サイズを適度に小さくし、溶着成形体の溶着強度および溶着強度の安定性をより向上させる観点から、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。一方、溶着成形体の溶着強度および溶着強度の安定性をより向上させる観点から、結晶核剤(B)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して1重量部以下が好ましく、0.5重量部以下がより好ましい。
前記ポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド樹脂(A)、結晶核剤(B)に加えて、本発明の効果を失わない範囲で、ヨウ化銅、ジペンタエリスリトールなどの熱安定剤、耐候剤、無機顔料、有機顔料や無機染料、有機染料などの着色剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維、マイカ、ワラステナイトなどの強化材、摺動剤、ハロゲン化合物やリン酸エステルなどの難燃剤などを含有してもよい。
第1の樹脂部材および/または第2の樹脂部材に用いられるポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、ポリアミド樹脂(A)、結晶核剤(B)および必要に応じてその他添加剤を溶融混練する方法や、結晶核剤(B)および必要によりその他添加剤の存在下でポリアミド樹脂(A)を重合する方法などが挙げられる。溶融混練装置としては、例えば、2軸押出機などが挙げられ、ポリアミド樹脂(A)の重合装置としては、例えば、オートクレーブなどが挙げられる。得られたポリアミド樹脂組成物をストランド状に引き取り、水冷バスで冷却した後、カッターでペレット化することが好ましい。結晶核剤(B)として脂肪酸金属塩を使用する場合は、結晶核剤(B)および必要によりその他添加剤の存在下、オートクレーブでポリアミド樹脂(A)を重合する方法が好ましく、第1の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTm−Tcおよび第2の樹脂部材におけるポリアミド樹脂のTm−Tcを適度に低減することができる。
本発明の溶着成形体を構成する第1の樹脂部材および第2の樹脂部材の製造方法は特に限定されず、例えば、前記ポリアミド樹脂組成物を射出成形する方法や、ブロー成形する方法、押出成形する方法などが挙げられる。ポリアミド樹脂組成物を射出成形することにより第1の樹脂部材および第2の樹脂部材を製造することが一般的である。
本発明の溶着成形体の製造方法としては、例えば、これらの樹脂部材を別の溶着機械を用いて振動溶着する方法や、複数の樹脂部材を成形機内で射出成形した後に、金型をスライドさせてそのまま振動溶着のプロセスに移行して振動溶着する方法などが挙げられる。
次に、本発明の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物について説明する。本発明の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、結晶核剤(B)を0.01〜1重量部含有する。ポリアミド樹脂(A)および結晶核剤(B)としては、それぞれ、第1の樹脂部材および第2の樹脂部材を構成するポリアミド樹脂組成物におけるポリアミド樹脂(A)および結晶核剤(B)として例示したものを挙げることができる。
本発明の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物における結晶核剤(B)の含有量は、溶融再固化層中の球晶サイズを適度に小さくし、溶着成形体の溶着強度および溶着強度の安定性をより向上させる観点から、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。一方、溶着成形体の溶着強度および溶着強度の安定性をより向上させる観点から、結晶核剤(B)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して1重量部以下が好ましく、0.5重量部以下がより好ましい。
本発明の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物は、シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で、図3に示す形状に射出成形した後、圧接面(13)同士を圧接させ、周波数240Hz、振幅1.5mmの条件で、溶着深さが1.5mmとなるように加圧力を変化させ、図4に示す振動方向(16)に振動させて溶着したとき、溶着時間4秒〜5秒における溶着強度Aと、溶着時間1〜2秒における溶着強度Bとの変化率が5%以下であることが好ましく、溶着強度の安定性を向上させることができる。2%以下がより好ましい。かかる溶着強度の変化率が小さいほど、溶着強度安定性が高いことを意味する。
本発明における溶着強度Aおよび溶着強度Bの測定について、図面を参照してより詳細に説明する。ポリアミド樹脂組成物から、図3に示す形状の試験片を射出成形し、圧接面(13)同士を圧接させて前記条件下振動溶着することにより、図4に示す溶着強度測定用溶着試験片を得る。溶着強度測定用溶着試験片から図4に示す切削部位(14)を切削し、図5に示す短冊状試験片を得る。引張試験機(インストロン5581)を用いて、チャック間50mm、引張速度1mm/minの条件で、得られた短冊状試験片を長手方向に引っ張り、引張強度を測定する。5本の短冊状試験片について引張強度を測定し、その数平均値を溶着強度とする。
ここで、本発明における溶着強度の変化率は、下記式により算出することができる。
溶着強度の変化率[%]={|(振動溶着強度A−振動溶着強度B)|/振動溶着強度A}×100。
振動溶着強度の変化率が上記範囲にある振動溶着用ポリアミド樹脂組成物としては、例えば、前述のポリアミド樹脂(A)および結晶核剤(B)を配合してなる本発明のポリアミド樹脂組成物が挙げられる。
本発明の溶着成形体および振動溶着用ポリアミド樹脂組成物は、あらゆる用途に適用可能である。例えば、自動車用途としては、シリンダーヘッドカバーなどのエンジン部品、インテークマニホールド、ターボチャージャー、エアクリーナー、ターボダクト、EGRバルブなどの吸排気部品、フューエルタンク、フューエルポンプ、インレットチェックバルブ、アウトレットチェックバルブ、燃料ホース用継手、フェールインジェクターなどの燃料装置部品、オイルストレーナ、オイルフィルター、オイルポンプなどの潤滑装置部品、サーモスタットハウジング、ウォータポンプ、リザーバータンクなどの冷却装置部品、トランスミッション周り部品、パワーステアリング周り部品、外装部品、内装部品および電装部品などが挙げられる。また、自動車以外の用途として、パソコン、液晶プロジェクターモバイル機器、携帯電話などの筐体、内燃機関用途、電動工具ハウジング類、医療部品、食品容器、家庭・事務用品、建材関係部品および家具用部品などが挙げられる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂の優れた成形加工性や耐久性を生かし、吸排気部品、燃料装置部品、冷却装置部品、トランスミッション周り部品、パワーステアリング周り部品に好ましく用いられ、吸排気部品、燃料装置部品、冷却装置部品により好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。実施例および比較例における各評価は、次の方法により実施した。
(1)ポリアミド樹脂の相対粘度の測定
各実施例および比較例に用いたポリアミド樹脂について、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液を調製し、オストワルド式粘度計を用いて25℃で相対粘度を測定した。
(2)第1の樹脂部材および第2の樹脂部材におけるポリアミド樹脂の融点および結晶化温度の測定
各実施例および比較例により得られた、第1の樹脂部材および第2の樹脂部材を構成するポリアミド樹脂組成物について、(株)パーキンエルマー製結晶化温度測定機Diamond−DSCを用いて、40℃から20℃/minの昇温速度で、実施例1〜5、8および比較例1、2、4、5は260℃まで、実施例6、7および比較例3は300℃まで昇温させ、ポリアミド樹脂の発熱ピークの頂点を示す温度(融点)を測定した。
また、各実施例および比較例により得られた、第1の樹脂部材および第2の樹脂部材を構成するポリアミド樹脂組成物について、(株)パーキンエルマー製結晶化温度測定機Diamond−DSCを用いて、40℃から20℃/minの昇温速度で、実施例1〜5、8および比較例1、2、4、5は260℃まで昇温し、実施例6、7および比較例3は300℃まで昇温し、それぞれ昇温後の温度で5分間保持した後、20℃/minの降温速度で降温させ、ポリアミド樹脂の吸熱ピークの頂点を示す温度(結晶化温度)を測定した。
得られた融点および結晶化温度から、その差を算出した。
(3)溶着強度Aおよび溶着強度Bの測定
各実施例および比較例により得られた図4に示す形状の溶着試験片から、図4に示す切削部位(14)を切削し、図5に示す短冊状試験片を得た。引張試験機(インストロン5581)を用いて、チャック間50mm、引張速度1mm/minの条件で、短冊状試験片を長手方向に引っ張り、引張強度を測定した。5本の短冊状試験片について引張強度を測定し、その数平均値を溶着強度とした。
(4)溶着強度の変化率の算出
前記(3)により得られた振動溶着強度Aおよび振動溶着強度Bから、下記式より変化率を算出した。
溶着強度の変化率[%]={|(振動溶着強度A−振動溶着強度B)|/振動溶着強度A}×100。
(5)溶融再固化層中の球晶サイズの測定
各実施例および比較例により得られた図4に示す形状の溶着試験片から、溶融再固化層(12)を含む球晶サイズ測定用溶着試験片の切削部位(14)に示す短冊状試験片を切削加工し、図5に示す短冊状試験片を得た。得られた短冊状試験片の中心から、ロータリーミクロトームを用いて、溶融再固化層中の球晶サイズの測定部位(15)を含むように、厚み方向に100μm切削した後、厚さ15〜25μmの薄膜を切削した。得られた薄膜中の溶融再固化層(12)の断面を、偏光顕微鏡を用いて倍率40倍に拡大して、縦235μm×横310μmの領域を観察した。観察領域の中央部から長さ0.1μmの垂直線を引き、線分上に存在する1.0μm以上の球晶の大きさを測定し、その数平均値を算出することにより、球晶サイズを求めた。なお、球晶が円形または楕円形の場合は最も長い直径を球晶の大きさとして測定し、球晶が多角形の場合は最も長い対角線を球晶の大きさとして測定した。
実施例1
30Lのステンレス製オートクレーブに、ε−カプロラクタム10kg、安息香酸2.16g、ステアリン酸バリウム(和光純薬工業(株)製)32.4g、イオン交換水200gを仕込み、窒素置換した後、密閉して250℃で12時間加熱・撹拌することにより、相対粘度2.7、融点225℃のポリアミド6樹脂を調製した。得られたポリアミド6樹脂を含むポリアミド樹脂組成物をオートクレーブの下部よりストランド状に引き取り、カッティングしてペレットとした。このペレットを沸騰水中で15時間抽出した後、80℃で24時間真空乾燥した。なお、得られたポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド6樹脂100重量部に対してステアリン酸バリウム0.36重量部を含有していた。
得られたポリアミド樹脂組成物から、日精樹脂工業(株)製射出成形機NEX1000を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で、図3に示す形状の試験片を射出成形した。得られた試験片の圧接面13同士を対向させ、ブランソン社製2850型振動溶着装置を用いて、以下の条件で振動溶着することにより、図4に示す形状の溶着試験片を得た。
振動数:240Hz
加圧力:溶着強度A測定用溶着試験片の場合3MPa、溶着強度B測定用溶着試験片の場合20MPa
振幅:1.5mm
溶着深さ:1.5mm
振動方向:図4に示す振動方向(16)の方向
溶着時間:溶着強度A測定用溶着試験片の場合4〜5秒、溶着強度B測定用溶着試験片の場合1〜2秒
実施例2、3、8
相対粘度(98%硫酸)2.70、融点225℃のポリアミド6樹脂と含水珪酸マグネシウム(林化成(株)製“ミクロンホワイト”(登録商標)#5000A 粉末状)を表1に記載の重量比でドライブレンドし、Werner−Pfleidere社製2軸押出機ZSK57の第1の供給口からを供給して、バレル温度260℃、吐出量60kg/hr、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
実施例4
30Lのステンレス製オートクレーブに、ε−カプロラクタムとヘキサメチレンジアミン−アジピン酸の等モル塩を95/5重量部の割合で配合したポリアミド6/66塩の80重量%水溶液と、ポリアミド6/66塩10kgに対して41.73gのステアリン酸バリウム(和光純薬工業(株)製)と、ポリアミド6/66塩10kgに対して1.86gの安息香酸を投入し、内温250℃、内圧1.5〜2.0MPaに保って3時間重合した。その後、徐々に放圧しながら内圧を常圧に戻し、内温を270〜280℃に上げてさらに1時間重合させることにより、相対粘度2.70、融点215℃のポリアミド6/66共重合樹脂を得た。得られたポリアミド6/66共重合樹脂を含むポリアミド樹脂組成物をオートクレーブの下部からストランド状に引き取り、カッティングしてペレットとした。このペレットを80℃で24時間真空乾燥した。なお、得られたポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100重量部に対してステアリン酸バリウム0.36重量部を含有していた。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして、図5に示す溶着試験片を得た。
実施例5
相対粘度2.70、融点215℃であるポリアミド6/66共重合体樹脂と含水珪酸マグネシウム(林化成(株)製“ミクロンホワイト”(登録商標)#5000A 粉末状)を表1に記載の重量比でドライブレンドし、Werner−Pfleidere社製2軸押出機ZSK57の第1の供給口から供給して、バレル温度250℃、吐出量60kg/hr、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
実施例6
30Lのステンレス製オートクレーブに、ポリアミド66塩(ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸の等モル塩)の80重量%水溶液と、ポリアミド66塩10kgに対して41.73gのステアリン酸バリウム和光純薬工業(株)製)と、ポリアミド66塩10kgに対して1.86gの安息香酸を投入し、内温250℃、内圧1.5〜2.0MPaに保って3時間重合した。その後、徐々に放圧しながら内圧を常圧に戻し、内温を270〜280℃に上げてさらに1時間重合させることにより、相対粘度2.80、融点265℃のポリアミド66樹脂を得た。得られたポリアミド66樹脂をオートクレーブの下部からストランド状に引き取り、カッティングしてペレットとした。このペレットを80℃で24時間真空乾燥した。なお、得られたポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100重量部に対してステアリン酸バリウム0.36重量部を含有していた。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
実施例7
相対粘度2.80、融点265℃であるポリアミド66樹脂と含水珪酸マグネシウム(林化成(株)製“ミクロンホワイト”(登録商標)#5000A 粉末状)を表1に記載の重量比でドライブレンドし、Werner−Pfleidere社製2軸押出機ZSK57の第1の供給口から供給して、バレル温度280℃、吐出量60kg/hr、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
比較例1
含水珪酸マグネシウムを配合しないこと以外は実施例2、3、8同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
比較例2
含水珪酸マグネシウムを配合しないこと以外は実施例5と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
比較例3
含水珪酸マグネシウムを配合しないこと以外は実施例7と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
比較例4
実施例2、3、8で用いたポリアミド6樹脂を、Werner−Pfleidere社製2軸押出機ZSK57の第1の供給口から供給して、第2の供給口からガラス繊維(日本電気硝子(株)製 T−249)を表2に記載の重量比で供給して、バレル温度250℃、吐出量60kg/hr、スクリュー回転数200rpmの条件で溶融混練してポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
比較例5
相対粘度(98%硫酸)2.70、融点225℃のポリアミド6樹脂にかえて、相対粘度4.00、融点225℃のポリアミド6樹脂を用いたこと以外は比較例1と同様にして、図4に示す溶着試験片を得た。
前記方法により評価した結果を下表にまとめて示す。
10 第1の樹脂部材または第2の樹脂部材中の球晶
11 溶融再固化層中の球晶
12 溶融再固化層
13 圧接面
14 振動溶着強度および球晶サイズ測定用溶着試験片の切削部位
15 振動溶着強度および球晶サイズ測定用溶着試験片と溶融再固化層中の球晶サイズの測定部位
16 振動方向

Claims (6)

  1. 少なくとも第1の樹脂部材と第2の樹脂部材を振動溶着してなる成形体であって、
    溶融再固化層中に球晶を有し、球晶サイズが1.0〜2.5μmである振動溶着成形体であって、
    前記第1の樹脂部材および第2の樹脂部材がポリアミド樹脂組成物を含み、
    前記ポリアミド樹脂組成物のTm−Tcが50℃以下であり、
    かつ前記ポリアミド樹脂組成物はポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、結晶核剤(B)を0.01〜1重量部含有するポリアミド樹脂組成物からなり、
    さらに、前記ポリアミド樹脂はポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610およびポリアミド6/66共重合体から選ばれる少なくとも一種を含む、振動溶着成形体。
  2. 前記結晶核剤(B)が、脂肪酸金属塩および/または含水珪酸マグネシウムを含む請求項に記載の振動溶着成形体。
  3. 前記振動溶着成形体が、自動車の吸排気部品、燃料装置部品または冷却装置部品である請求項1または2のいずれかに記載の振動溶着成形体。
  4. ポリアミド樹脂(A)100重量部に対して、結晶核剤(B)を0.01〜1重量部含有する振動溶着用ポリアミド樹脂組成物であって、
    前記ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610およびポリアミド6/66共重合体から選ばれる少なくとも一種を含み、
    前記ポリアミド樹脂組成物のTm−Tcが50℃以下であって、
    前記ポリアミド樹脂組成物を含む樹脂部材を振動溶着してなる振動溶着成形体の球晶サイズが1.0〜2.5μmである、
    振動溶着用ポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記結晶核剤(B)が、脂肪酸金属塩および/または含水珪酸マグネシウムを含む請求項に記載の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物。
  6. シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で、長さ5cm、幅5cm、厚み1cm、掴み代3cmの半ダンベル型試験片を射出成形した後、振動溶着機の上部と下部に固定し、幅3cm、厚み1cmの圧接面同士を圧接させ、周波数240Hz、振幅1.5mmの条件で、溶着深さが1.5mmとなるように加圧力を変化させ、幅方向と平行に振動させて溶着したとき、溶着時間4秒〜5秒における溶着強度Aと、溶着時間1〜2秒における溶着強度Bとの変化率が5%以下である請求項4または5のいずれかに記載の振動溶着用ポリアミド樹脂組成物。
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