JP6661191B2 - 半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体基板の製造方法に関する。詳しくは、結晶欠陥の少ない高耐圧素子用半導体基板を低コストで製造する半導体基板の製造方法に関する。
高電圧用途の半導体素子の基板として、バンドギャップ幅が大きい炭化ケイ素(以下、「SiC」ともいう。)半導体基板が着目されている。図13は、SiCからなる一般的な縦型構造のMOSFET素子(200)の断面構造を示している。支持基板210上に能動層220がエピタキシャル成長により形成されており、その能動層220の領域にソース201、ドレイン202及びゲート203が形成されている。ソース201、ドレイン202間の電流の導通と遮断はゲート203により制御される。導通時のドレイン電流iは、ドレイン202と支持基板210の底面に形成されているドレイン電極204との間で流れる。
支持基板210は、電流が縦方向(図の上下方向)に流れる領域であり、20mΩ・cm以下の低い抵抗率とされる。一方、能動層220は、高電圧の耐圧が必要であるため、支持基板210と比べて2〜3桁高い抵抗率とされている。SiCを用いる半導体素子はバンドギャップ幅が大きいため、能動層220の厚さを5〜10μm程度と薄くできることが特徴である。能動層220は、支持基板210の上にエピタキシャル成長によって形成されるため、その結晶性は下地となる支持基板210に依存する。このため、支持基板210のSiCの結晶品質が重要となる。
SiCは格子定数の異なる炭素とシリコンとからなる化合物であるので、素子基板には結晶欠陥が多く発生する。特にパワー素子用途では結晶欠陥は致命的となるため、結晶欠陥の低減に種々の工夫がなされているが、そのため素子基板のコストが高くなっている。このため、エピタキシャル成長される能動層220の下地である支持基板210の結晶欠陥の低減とコストの低減とを両立させることが課題となっている。また、図13に示したような縦型構造の場合には、電流を縦方向に流すために支持基板210は抵抗率を低くする必要があり、そのため高濃度の窒素が添加されてN型半導体とされている。しかし、高濃度の窒素のために、さらに結晶欠陥が増えるという問題がある。
結晶欠陥の低減とコストの低減のために、比較的安価な多結晶基板の上に結晶性の良い単結晶層を接合する方法が知られている。例えば、非晶質シリコンを多結晶SiC支持体上に蒸着し、その多結晶SiC支持体と単結晶SiC基板とを接合し、直接ボンディングにより一体化する基板製造方法がある(特許文献1を参照)。また、FABガン(Fast Atomic Gun)を用いた表面活性化手法により基板の貼り合せを行う例もある(非特許文献1を参照)。また、2枚の半導体層を貼り合せるのに、各半導体層の表面にアルゴン等の不活性な不純物を照射して一旦非晶質化し、2枚を接合した後の熱処理により再結晶化させる方法がある。この方法によって、2枚の貼り合せ界面において原子レベルで連続性があることが確認されている(非特許文献1、2を参照)。
また、最終的に接合界面を有しない半導体基板の製造方法が提案されている(特許文献2を参照)。単結晶薄膜層を暫定基板に貼り合せ、その後単結晶薄膜層上に支持層を形成し、その段階で暫定基板を除去する手法である。
特表2004−503942号 特開2002−280531号
S.Essig 他、Fast atom beam-activated n-Si/n-GaAs wafer bonding with high interfacial transparency and electrical conductivity、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 113、203512 (2013) J.Suda 他、Characterization of 4H-SiC Homoepitaxial Layers Grown on 100-mm-Diameter 4H-SiC/Poly-SiC Bonded Substrates、ICSCRM 2013 by Suda Kyoto University、Author corrected paper:Th-P-62
従来、高電圧用途の半導体素子の基板は、一定の厚さの素子用支持基板の表層に、単結晶からなる薄膜層をエピタキシャル成長させることにより製造されている。本来この素子用支持基板の結晶性は問わないため、安価な多結晶半導体基板を用いることも考えられる。しかし、一般に結晶性を問わない半導体基板上に結晶性のよい単結晶半導体層を成長させることは困難である。結晶性を問わない厚い層の上に成長させることができるのは、結晶性を問わない層になってしまうからである。一方、素子用支持基板を単結晶半導体とするのは、高価となり無駄が多い。
この問題を解決するため、結晶性を問わない安価な厚い基板と結晶性の良い基板の薄膜層とを貼り合わせることにより、安価で且つ結晶性の良い素子基板を形成する種々の手法が提案されてきた。しかし、そのような基板は接合界面を有するため、部分的にも接合欠陥があると素子の歩留まりの低下を招く。欠陥のない接合をするために両基板の表面の平坦度を上げる研磨をすれば、研磨コストが高価になってしまうという問題がある。また、接合界面に存在する各種の原子成分や貼り合せ装置等により発生するパーティクルの巻き込みを無くすことは困難である。接合によって素子基板を形成する手法の最大の問題は、接合界面が最終的な半導体基板に存在することである。このように多結晶基板と単結晶基板とを接合する従来の製造手法では接合界面が存在するため、接合界面に欠陥の無い高品質な半導体基板を得ることが困難である。
これに対して、特許文献2には、最終的には接合界面が存しない半導体基板を貼り合わせによって製造する方法が開示されている。特許文献2に記載された製造方法では、泥弱層を形成した単結晶SiC基板に暫定基板を貼り付けた後、熱処理をして泥弱層で単結晶SiC基板を剥離させることによって、暫定基板上に単結晶SiC層が積層された堆積用基板が形成される。そして、その単結晶SiC層上に支持体を堆積させた後、暫定基板が除去される。これによって、素子の活性領域となる単結晶SiC層の上に支持体が堆積された半導体基板が得られるとされている。この手法によれば、単結晶層が支持層の上に接合界面を持たず形成されるため接合による発生する諸課題は無い。しかしこの手法は暫定基板上にさらに堆積用基板が形成され、その後暫定基板が除去されるため、無駄が多いという問題がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、結晶欠陥の少ない高耐圧素子用半導体基板を低コストで製造する半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の通りである。
1.第1の半導体材料の単結晶からなる第1基板の上面に第2の半導体材料を堆積させることにより支持層を形成する支持層形成工程と、前記支持層形成工程において前記第2の半導体材料が付着することによって前記第1基板の側壁面に形成された側壁膜を除去する側壁膜除去工程と、前記第1基板を前記上面から所定の深さで分離させることにより、分離された前記第1基板の前記上面側が第1薄膜層として前記支持層上に積層された複層基板を形成する分離工程と、を備え、前記支持層形成工程により形成された前記支持層を下地として、前記支持層上に第3の半導体材料を堆積させることにより厚膜支持層を形成する増膜工程を備え、前記側壁膜除去工程は、前記第2の半導体材料及び前記第3の半導体材料が付着することによって前記第1基板の側壁面に形成された側壁膜を除去することを特徴とする半導体基板の製造方法。
2.前記支持層形成工程を行う前に、前記第1基板の前記上面から所定の深さに水素イオンを注入して水素層を形成する水素層形成工程を備え、前記分離工程は、前記第1基板を所定の分離温度とすることにより前記水素層を境界として分離させ、前記支持層形成工程は、前記分離温度よりも低い温度において前記支持層を形成する、前記1.記載の半導体基板の製造方法。
3.前記分離工程は、前記第1基板の前記上面側又は下面側からレーザ光を照射し、前記第1基板の前記上面から所定の深さに集光させることにより前記第1基板を切断する、前記1.記載の半導体基板の製造方法。
.前記増膜工程は、前記分離温度よりも高い温度において前記厚膜支持層を形成する、前記.記載の半導体基板の製造方法。
.前記支持層形成工程を行う前の前記第1基板の前記上面に、又は前記支持層形成工程もしくは前記分離工程を行った後の前記第1基板と前記支持層との界面に、高濃度不純物層を形成する高濃度N型層形成工程を備える、前記1.乃至.のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
.前記第2の半導体材料はSiCであり、前記支持層はプラズマCVD法又はスパッタ法により形成される、前記1.乃至.のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
.前記増膜工程において前記厚膜支持層は熱CVD法により形成される、前記.乃至.のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
.前記第1の半導体材料はSiC、GaN及び酸化ガリウムのうちの1つであり、前記支持層及び前記厚膜支持層は多結晶又は非晶質からなる、前記1.乃至.のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
.前記第1の半導体材料はSiC、GaN及び酸化ガリウムのうちの1つであり、前記第2の半導体材料及び第3の半導体材料はSiCであり、前記支持層及び前記厚膜支持層は高濃度N型層からなる多結晶又は非晶質である、前記1.乃至.のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
10.前記分離工程より後に、前記複層基板の周縁部を一定の幅で除去する周縁部除去工程を備える、前記1.乃至.のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
本発明の半導体基板の製造方法によれば、第1の半導体材料の単結晶からなる第1基板の上面に第2の半導体材料を堆積させることにより支持層を形成する支持層形成工程と、前記支持層形成工程において前記第2の半導体材料が付着することによって前記第1基板の側壁面に形成された側壁膜を除去する側壁膜除去工程と、前記第1基板を前記上面から所定の深さで分離させることにより、分離された前記第1基板の前記上面側が第1薄膜層として前記支持層上に積層された複層基板を形成する分離工程と、を備えるため、結晶性を問わない安価な支持層上に単結晶の第1薄膜層が積層された複層基板(半導体基板)を形成することができる。この複層基板を用いれば、高品質な単結晶である第1薄膜層上に、半導体素子用の高品質な能動層をエピタキシャル成長させることが可能になる。第1薄膜層は極めて薄くてよいので(例えば、0.5μm)、母材とする単結晶(第1基板)が高価であっても、その一部を使用するのみで済み、低価格な半導体基板を得ることができる。また、第1薄膜層と分離された第1基板の母材側は、新たな第1基板として利用することができる。
また、本製造方法によって形成された半導体基板には、第1基板と支持層との接合界面が存しない。本製造方法においては基板の接合を行わないため、接合に必要な高度の平坦化工程が不要であり、接合時に混入する各種パーティクルによる接合欠陥を排除することができ、接合界面で発生する各種の金属の存在を無くすことができる。
前記支持層形成工程を行う前に、前記第1基板の前記上面から所定の深さに水素イオンを注入して水素層を形成する水素層形成工程を備え、前記分離工程は、前記第1基板を所定の分離温度とすることにより前記水素層を境界として分離させ、前記支持層形成工程は、前記分離温度よりも低い温度において前記支持層を形成する場合には、前記支持層形成後に第1基板を水素層において容易に分離させることができる。例えば、前記第1の半導体材料及び前記第2の半導体材料がSiCである場合、水素層で分離するには900℃から1000℃の高温度(分離温度)とする必要がある。その分離温度で水素層に発生するブリスタ(泡状態)を横方向(前記上面と平行な方向)に伝搬させるには、前記上面に抑え機能を有する膜が必要である。本製造方法においては、分離温度より低い温度で前記支持層が成膜されているため、この支持層が抑え機能を果たし、分離を可能にすることができる。
前記分離工程は、前記第1基板の前記上面から所定の深さにレーザ光を集光することにより前記第1基板を切断する場合には、前記水素層を形成する必要がなく、温度を気にすることなく前記支持層を高速に成膜することができる。
前記支持層形成工程により形成された前記支持層を下地として、前記支持層上に第3の半導体材料を堆積させることにより厚膜支持層を形成する増膜工程を備え、前記側壁膜除去工程は、前記第2の半導体材料及び前記第3の半導体材料が付着することによって前記第1基板の側壁面に形成された側壁膜を除去するため、数百μmの厚さの支持層が必要であっても、厚膜支持層を高速に成膜することが可能になる。また、前記水素層の分離温度よりも高い温度において厚膜支持層を形成するようにすることが可能である。支持層形成工程において第1基板の側壁に付着した側壁膜が、第1基板の分離を妨げる作用を奏するからである。
前記支持層形成工程を行う前の前記第1基板の前記上面に、又は前記支持層形成工程もしくは前記分離工程を行った後の前記第1基板と前記支持層との界面に、高濃度不純物層を形成する高濃度N型層形成工程を備える場合には、単結晶である前記第1薄膜層と多結晶又は非晶質である支持層との界面に生じる電位障壁に対して、トンネル現象を誘発して界面抵抗を解消することが可能となる。
前記第2の半導体材料はSiCであり、前記支持層はプラズマCVD法又はスパッタ法により形成される場合には、前記前記水素層の分離温度よりも低い温度において緻密な支持層を成膜することができる。
また、前記増膜工程においては、前記厚膜支持層を熱CVD法により高速に成膜することができる。
前記第1の半導体材料はSiC、GaN及び酸化ガリウムのうちの1つであり、前記支持層及び前記厚膜支持層は多結晶又は非晶質からなる場合には、300μm程度の厚さが必要とされる厚膜支持層を結晶欠陥の密度に配慮することなく高速に成長させ、半導体基板を低コストで製造することができる。また、前記第2の半導体材料及び第3の半導体材料はSiCとすることができる。結晶性を問わないSiCからなる支持層及び厚膜支持層は、窒素等を高濃度に添加することにより低抵抗とすることができる。また、結晶性を問わないSiC層は単結晶SiCと比較して強靭にすることができるため、支持層及び厚膜支持層の厚さを300μmより薄くすることが可能となり、SiC半導体基板の更なる低コスト化を図ることができる。
前記第1の半導体材料は単結晶SiC、単結晶GaN、単結晶酸化ガリウム等のワイドバンドギャップ材料であり、前記支持層の半導体材料は非晶質或いは多結晶SiCである場合には、結晶性の良い単結晶からなる第1薄膜層と、結晶性を問わないSiC支持層とが積層されたパワー半導体基板として好適な複合基板を形成することができる。これにより、高品質な単結晶である第1薄膜層上に、半導体素子用の高品質な同じ単結晶能動層をエピタキシャル成長させることができる。
また、SiCからなる支持層の結晶性は問わないため、300μm程度の厚さが必要とされる支持層を結晶欠陥の密度に配慮することなく高速に成長させ、単結晶薄膜を有する複合基板を低コストで製造することができる。また、パワー半導体において、電気的特性上は支持層の厚さが300μmである必要はなく、例えば100μm以下とすることもできる。その場合には、支持層の形成をさらに短時間で行うことができ、製造コストの低減が可能になる。
半導体基板の製造方法において、前記分離工程より後に、前記複層基板の周縁部を一定の幅で除去する周縁部除去工程を備える場合には、内部応力が不均一となる周縁部が除去されるため、反りのより小さい半導体基板を得ることができる。
第1基板の模式的な上面図及び側面図 半導体基板の製造方法を示す模式的断面図 水素層で分離させる半導体基板の製造方法を示す模式的断面図 厚い支持層を備える半導体基板の製造方法を示す模式的断面図 高濃度N型層を備える半導体基板の製造方法を示す模式的断面図 周縁部を除去する半導体基板の製造方法を示す模式的断面図 水素による破砕層における分離を説明するための模式的断面図 分離された薄膜層表面部の断面のSEM画像 半導体基板の製造方法の変形例を示す模式的断面図 結晶界面に高濃度N型層を形成する前及び後の電気特性を示すグラフ 周縁部として除去する範囲と半導体基板の反りの大きさとの関係を示すグラフ 能動層の形成工程を示す模式的断面図 一般的な縦型構造の半導体素子(MOSFET)の構造を示す概念的な断面図
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る半導体基板の製造方法を説明する。
図1は、第1基板の例を示す模式的な上面図及び側面図である。第1基板1の形状は問わないが、好ましくは、図1に示されるような円板状又は円柱状の基板である。第1基板1の一方の平坦な表面を上面101、その側面全体を側壁面102とする。
第1基板1を構成する前記第1の半導体材料は特に限定されず、例えば、SiC、GaN、酸化ガリウム等が挙げられる。第1基板1は第1の半導体材料の単結晶からなり、結晶性の良い基板である。
本発明に係る半導体基板の製造方法は、第1の半導体材料の単結晶からなる第1基板1の上面101に第2の半導体材料を堆積させることにより支持層(2)を形成する支持層形成工程と、前記支持層形成工程において前記第2の半導体材料が付着することによって第1基板1の側壁面102に形成された側壁膜(22)を除去する側壁膜除去工程と、第1基板1を上面101から所定の深さで分離させることにより、分離された第1基板1の上面101側が第1薄膜層(12)として支持層(2)上に積層された複層基板(7)を形成する分離工程と、を備えることを特徴としている。この複層基板(7)が半導体素子用の支持基板となり、第1薄膜層(12)上に能動層となる単結晶層をエピタキシャル成長させることができる。
図2は、半導体基板の製造工程の概略を示している。
(支持層形成工程)
図2(a)は、支持層形成工程において、第1基板1の上面101に第2の半導体材料を堆積させることにより支持層2を形成した基板を表している。前記第2の半導体材料は特に限定されず、例えばSiCを用いることができる。また、支持層2の結晶性は問わず、単結晶であっても、多結晶や非晶質(例えば、多結晶SiCや非晶質SiC)であってもよい。支持層2の形成方法も特に限定されず、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法等を適用することができる。
また、支持層2の厚さは、分離工程後に支持層2上に積層されることとなる第1の半導体材料からなる第1薄膜層(12)を支持する基板となる限り、特に限定されない。全体として厚い支持層が必要な場合には、支持層2を下地として厚い支持層(3)を形成することが可能である。支持層(2、3)全体の厚さは、例えば数百μmとすることができるが、薄いウエーハ加工を適用する場合には、100μm以下と薄くすることもできる。
(側壁膜除去工程)
支持層形成工程において支持層2を形成する過程で、第2の半導体材料が第1基板1の側壁面102にも付着して、側壁膜22が形成される場合がある。この側壁膜22は、後の分離工程において第1基板1を分離することの妨げとなるため、予め研磨等により除去することが好ましい。ただし、後の分離工程において加熱等の分離処理を行った後に、側壁膜22を研磨して除去することにより、第1基板1を分離させるようにすることも可能である。
図2(b)は、側壁膜除去工程により、前記支持層形成工程において第2の半導体材料が付着することによって第1基板1の側壁面102に形成された側壁膜22が、分離工程前に除去された基板を表している。
(分離工程)
図2(c)は、第1基板1を上面101から所定の深さを境界5として分離させる分離工程を表している。これにより、同図(d)に示すように、第1基板1は第1薄膜層12と母材層13とに分離され、分離された第1基板1の上面101側が第1薄膜層12として支持層2上に積層された、複層基板7が形成される。
分離工程において第1基板1を第1薄膜層12と母材層13とに分離させる手法として、境界5となる部分に予め水素イオンを注入することにより水素層を形成し、その水素層により分離する方法が挙げられる。
また、第1基板1の上面101から一定の深さの面(境界5となる面)に集光するように、レーザ光を第1基板1の上面101側又は下面103側から照射することにより、境界5を断面として第1基板1を切断する手法を適用することも可能である。このレーザ光を一定の深さの面に集光させ、その集光面に於いて切断する工法は、SiC基板にも適用することができる。
いずれの分離方法であっても、分離された母材層13は、第1基板1として再利用することが可能である。
(水素層形成工程)
図3は、前記分離工程における分離を容易とするため、前記境界5として水素層を形成する場合の製造工程を表している。
同図(a)に示すように、前記支持層形成工程を行う前に、水素層形成工程において、単結晶からなる第1基板1の上面101から所定の深さ(例えば、0.5μmの深さ)に水素イオンを注入することにより、水素層51を形成することができる。
同図(b)は、支持層形成工程において、水素層51が形成された第1基板1の上面101に第2の半導体材料を堆積させることにより支持層2をした基板を表す。その後、同図(c)に示すように、側壁膜除去工程により、第2の半導体材料が付着することによって第1基板1の側壁面102に形成された側壁膜22が除去される。
同図(d)は、分離工程において、支持層2が形成されている第1基板1を高温(所定の分離温度T)とすることにより、水素層51を境界として分離させた状態を表す。分離温度Tは、水素層51にてブリスタ(き裂)が発生する温度(SiCの場合には900〜1000℃)である。分離工程により複層基板7が形成される。この場合、上記支持層形成工程においては、分離温度Tよりも低い温度(T)において第2の半導体からなる支持層2(及び側壁膜22)を形成する必要がある。
(増膜工程)
前記支持層形成工程において形成される支持層2の結晶性は問わないが、緻密な膜とすることが求められる場合がある。また、支持層2は、第1薄膜層12を支持するために必要な厚さに形成する必要がある。ところが、例えば第1基板1に水素層51が形成されている場合、支持層2は前記分離温度Tよりも低い温度において形成する必要がある。このため、支持層形成工程において支持層2を形成した後、その支持層2を下地層として、より高速に支持層を増膜する増膜工程を備えることができる。支持層の増膜は、分離温度T以上の高温において行うこともできる。
図4は、前記支持層形成工程を行った後に、支持層の厚さを増すための増膜工程を備える場合の製造工程を表している。
同図(a)は、図2(a)と同様に、支持層形成工程により第1基板1上に薄い支持層2が形成された状態を表す。支持層2の結晶性は問わず、非晶質でも多結晶でも単結晶でもよく、例えば非晶質SiC又は多結晶SiCからなるようにすることができる。支持層2の厚さは問わず、例えば数μmの厚さで、緻密な膜を形成することが好ましい。
第1基板1の上面101から所定の深さに水素層51が形成されている場合には、前記のとおり、この工程においては前記分離温度Tよりも低い温度(T)において第2の半導体からなる支持層2(及び側壁膜22)を形成する必要がある。その手段として、プラズマCVD法や高速スパッタ法等を適用することができる。
図4(b)は、支持層2を下地として、その支持層2上に第3の半導体材料を堆積させることにより厚膜支持層3を形成する増膜工程を表している。第3の半導体材料は特に限定されず、前記第2の半導体材料と同じであっても異なっていてもよいが、界面における電位障壁を考えると下地となる支持層2と同一材料であることが好ましい。厚膜支持層3の結晶性は問わず、多結晶であってもよいし非晶質であってもよく、例えば多結晶SiC又は非晶質SiCとすることができる。
増膜工程における厚膜支持層3の形成方法は特に限定されない。第1基板1に水素層51が形成されている場合であっても、水素層51にて分離が発生する分離温度Tよりも低い温度で行う必要はなく、分離温度Tよりも高い温度において厚膜支持層3を形成することによって、緻密な膜を形成することができる。例えば、厚膜支持層3は、熱CVD(高温度CVD)法等を適用することにより、高速に数百μmの厚さに形成することが可能である。増膜工程において、分離温度Tよりも高い温度において厚膜支持層3を形成すると、水素層51ではブリスタが発生し、水素層51を挟む第1薄膜層12と母材層13とが剥離している状態となる。しかし、第1基板1の側壁面102には少なくとも側壁膜22が形成されているため、第1薄膜層12と母材層13とが分離はしない状態で、増膜を進行させることができる。また、この過程で、通常は第1基板1の側壁面102側にも第3の半導体材料が付着し、側壁膜32が形成される。
図4(c)に示すように、図2(b)と同様に、側壁膜除去工程において、前記第2の半導体材料及び前記第3の半導体材料が付着することによって第1基板1の側壁面102に形成された側壁膜22及び32が除去される。後の分離工程において加熱等の分離処理を行った後に、側壁膜22及び32を研磨して除去するようにすることも可能である。その場合には、側壁膜22及び32の除去により第1基板1が分離される。
分離工程により、図4(d)に示すように、第1基板1は第1薄膜層12と母材層13とに分離され、分離された第1基板1の上面101側が、第1薄膜層12として厚膜支持層3及び支持層2上に積層された複層基板71が形成される。第1薄膜層12の支持層は、厚膜支持層3と薄い支持層2とから構成されることになる。
(高濃度N型層形成工程)
単結晶と多結晶との界面にはバンドギャップの差により電位障壁ができることが知られている(非特許文献1を参照)。この電位障壁に対しては、理論的には、界面に高濃度不純物層を形成し、トンネル現象を誘発して界面抵抗を解消することが可能である。
上記電位障壁の対策として、前記支持層形成工程を行う前の第1基板1の上面101(すなわち、後の第1薄膜層12と支持層2との界面)近傍に、高濃度不純物層を形成する高濃度N型層形成工程を備えることができる。
例えば、第1基板1が単結晶SiCであり、支持層2を非晶質SiCとする場合には、支持層形成工程を行う前に、第1基板1の上面101近傍に高濃度N型層を形成すればよい。この高濃度N型層形成工程においては、第1の半導体材料の単結晶からなる第1基板1の上面101から所定の深さの範囲に高濃度の窒素イオンを注入することにより、高濃度N型層を形成する。高濃度N型層は、例えば、N型不純物となるリン等を体積濃度1020/cm程度で、第1基板1の上面101から深さ0.1μm程度までの範囲にイオン注入することにより形成することができる。高濃度N型層を形成するために用いる元素は窒素に限らず、リン等、N型になる元素であればよい。本例では、この高濃度N型層形成工程の後に、前記の支持層形成工程、増膜工程、側壁膜除去工程及び分離工程を行う。これによって、図5に示すように、第1薄膜層12と支持層2との界面に高濃度N型層6が形成される。
また、前記支持層形成工程もしくは前記分離工程を行った後の第1薄膜層12と支持層2との界面に高濃度不純物層を形成するように、高濃度N型層形成工程を備えることもできる。分離工程によって、支持層2上に単結晶からなる第1薄膜層12が形成されている複層基板7(71)が得られる。高濃度N型層形成工程においては、先ず、必要に応じて複層基板7(71)の第1薄膜層12側の表面を研磨により平坦化する。そしてその表面から、第1薄膜層12と支持層2との界面にイオン注入により高濃度窒素層を形成する。これは、例えば、N型不純物となる窒素を体積濃度1020/cm程度で、前記界面から深さ方向に0.1μm程度の範囲にイオン注入することにより可能である。高濃度N型層を形成するために用いる元素は窒素に限らず、リン等、N型になる元素であればよい。
(周縁部除去工程)
前記分離工程より後に、複層基板7(71)の周縁部を一定の幅で除去する周縁部除去工程を備えることができる。周縁部除去工程においては、図6に示すように、複層基板7(71)の周縁部8が一定の幅Lで切断除去される。これによって、目的とする半導体基板(複層基板75)を完成させることができる。切除する範囲は、支持層2(2、3)上に単結晶の第1薄膜層12が形成されている複層基板7(71)に生じる反りの大きさとの関係で、適宜設定することができる(後述)。半導体基板の反りが許容される用途である場合には、周縁部除去工程は不要である。
以上の半導体基板の製造方法について、より具体的な例を説明する。
本例において、単結晶からなる第1基板1は4H−SiCであり、外径6インチ、厚さ500μmである(図1、2参照)。
水素層形成工程において、第1基板1の上面101から0.5μmの深さに1020/cm程度の水素イオンを注入することによって、水素層51が形成される。水素層51を境界として、第1基板1の上面101側が第1薄膜層12となる。
支持層形成工程においては、プラズマCVD法或いは高速スパッタ法により、300℃から800℃の温度Tにて非晶質又は多結晶のSiC層が支持層2として形成される。この温度Tは、後の分離工程で採用される分離温度T(約950℃)より低い。支持層2が低抵抗であることを要する場合には、高濃度の窒素などの不純物を加える。
側壁膜除去工程においては、支持層形成工程の過程で第1基板1の側壁102部に付着した側壁膜22を、研磨により除去する。
分離工程においては、支持層2が形成された第1基板1を約1000℃の高温にすることにより、水素層51で水素がバブル(泡)状態となる。これにより、破砕層(ブリスタ層)が水素層51に沿って伸長し、第1基板1は水素層51にて劈開して分離される。これにより、第1薄膜層12が支持層2上に残される。分離された第1基板1の母材層13は、再び第1基板1として利用可能である。例えば、最初に第1基板1の厚さが500μmである場合、水素層51を境とする一度の分離で厚さが0.5μm程度減少するだけなので、第1基板1として百回以上の再利用が可能となる。
図7は、上記分離工程における第1基板1の分離を説明する図である。同図(a)に示すように、単結晶からなる第1基板1に水素層51が形成されている。SiCの場合、水素の注入層で分離させるには、900℃から1000℃の高温とする必要がある。その程度の高温とすると、同図(b)に示すように、水素層51において水素によりバブル状態が発生する。それが水素層51の存在する深さで横方向(上面101と平行な面方向)に伝搬することにより、横方向にき裂が連鎖して破砕層511となり、第1基板1が分離される。しかし、ブリスタが発生する状態で、SiC薄膜(12)側が解放されている場合、すなわち上面101から抑える力が弱い場合には、第1基板1の縦方向(上面101と垂直な方向)に破壊が進行してしまう。同図(b)のように、第1基板1に形成された水素層51の上面101側に第1薄膜層(12)だけが存在する状態では、水素層51から上面101方向へブリスタが伸長してしまう。このため、ブリスタが発生する時、ブリスタによる破壊を横方向に伝搬させるためには、上面101を抑える作用が必要となる。同図(c)に示すように、上面101上に形成された支持層2はそのような抑制作用を果たすため、支持層2が形成されていれば破砕層511を横方向に伸長させることができる。支持層形成工程においては、ブリスタによる剥離が生じる温度より低い温度で支持層2が形成されるため、水素層51で剥離が生じることはない。
支持層を主として高温度CVDにより形成した膜で構成したい場合には、先ず分離温度Tより低い温度で一定の厚さまで支持層2を成膜する。この支持層2によりブリスタが上面101方向に進行することを防ぐことができるため、分離温度T以上の高温で必要な厚さの厚膜支持層4を積層することができる。この高温における成膜過程ではブリスタが発生するが、破砕層511では横方向にき裂が進み、縦方向へは進行しない。また、この状態おいて、支持層2を成膜する過程で付着した側壁膜22が、第1基板1が分離することを防いでいる。
図8は、水素層51でブリスタが発生し、分離された第1薄膜層12側の断面部のSEM画像である。ブリスタによる破砕層511は0.05μm程度の厚さであり、その表面方向には均一な剥離面が観察される。この表面部にある破砕層511を研磨により除去することにより、第1薄膜層12の表面には高品質な単結晶層が現われる。そして、高品質なSiC単結晶である第1薄膜層12上に、半導体素子の能動層として高品質なSiC層をエピタキシャル成長させることができる。
上例と同様の4H−SiCの単結晶からなり、外径6インチ、厚さ500μmの第1基板1を使用して、半導体基板を製造する変形例を説明する。図9にこの製造工程を示す。
図9(a)に示すように、本例においては、支持層形成工程において、熱CVD法により多結晶のSiC層が支持層2として形成される。支持層2が低抵抗であることを要する場合には、高濃度の窒素などの不純物を加える。
同図(b)に示すように、側壁膜除去工程においては、支持層形成工程の過程で第1基板1の側壁102部に付着した側壁膜22を、研磨により除去する。
分離工程においては、同図(c)に示すように、第1基板1の上面101から一定の深さの面52上で集光するようにレーザ光を照射する。レーザ光は、第1基板1の上面101側から、又は下面103側から照射する。これにより破砕層52が形成され、破砕層52によって第1基板1は分離される。同図(d)に示すように、分離された第1基板1の上面101側が、第1薄膜層12として支持層2上に積層された複層基板72が形成される。分離された第1基板1の母材層13は、再び第1基板1として利用可能である。例えば、最初に第1基板1の厚さが2mmである場合、1度のレーザ光照射による分離で、第1薄膜層12の厚さを30μm程度とすることができ、破砕層52の厚さは50μm程度であるので、母材層13は、第1基板1として複数回の再利用が可能となる。
また、分離された複層基板72の第1薄膜層12と支持層2との界面に高濃度不純物層を形成するように、前記高濃度N型層形成工程を行う。高濃度N型層形成工程は、前記支持層形成工程を行う前に、第1薄膜層12と支持層2との界面となる第1基板1の上面101の近傍に、イオン注入により高濃度不純物層6を形成する。高濃度不純物層6は、例えば、支持層を形成する前に、N型不純物となるリン等を体積濃度1020/cm程度で、上面101から深さ方向に0.1μm程度の幅となるように形成することができる。これによって、図5に示したように高濃度不純物層6が形成される。
図10は、高濃度N型層形成工程を行う前の前記界面の電気的特性aと、行った後の電気的特性bとを比較した図である。単結晶からなる第1薄膜層12が4H−SiCのN型物理特性を有し、非晶質SiCからなる支持層2は3C−SiCのN型の物理特性を有するため、両半導体の界面にはバンドギャップが発生する。このため、高濃度N型層を形成する前には、界面の電気特性は図中aのように非オーミック特性を示す。それに対して、界面に高濃度N型層6を設けることによりトンネル現象を誘発し、図中bに示すようなオーミック特性を得ることができる。
次に前記周縁部除去工程により、複層基板72の外周から所定範囲の周縁部8を除去する(図6参照)。第1基板1上に支持層2が成長するときに、基板の中央部では均質となるが、周縁部においては成膜の不均一が生じる。このため、複層基板72の周縁部において応力の不均一が生じ、基板に反りが生じる場合がある。複層基板72の周縁部を除去することによって、この基板の反りを大幅に低減することができる。周縁部8は、複層基板72の外周からの距離Lを切断線として、サークルカット等により除去することが可能である。
図11は、非晶質又は多結晶のSiCからなる複層基板7(71、72)の反りの例を示すグラフである。図の横軸は上記切断線の基板外周からの距離L、縦軸はその切除後の反りの大きさDを表す。この複層基板7の径は6インチ(約150mm)である。図示されるように、周縁部を除去しない状態(L=0mm)においては、100μmを超える大きな反りDが生じてしまう。この反り量Dは、周縁部の切除により低減を図ることが可能であり、切断線の基板外周からの距離Lを大きくする程小さくすることができる。一般的には、半導体基板の反り量Dは50μm以下である必要がある。本例からは、外周からの距離Lを約2mm以上として周縁部を切除すれば、反り量Dは50μm程度に抑えられることが分かる。更に、距離Lを5mm程度とすれば反り量Dを大幅に小さくすることができ、半導体基板に求められる要件を十分に満たすことができる。
なお、支持層及び厚膜支持層が非晶質である場合には、多結晶や単結晶と比べ結晶による配向性が少ないため、反りの少ない支持基板とすることが可能となる。
(能動層形成工程)
以上のように形成された複層基板7(71、72、75)が、半導体素子用の支持基板(例えば、図13に示した素子用支持基板210)となる。よって、この複層基板7の上に、必要なN型濃度を持つ単結晶層を必要な厚さ(例えば、5〜10μm)形成することにより、パワー素子を形成するための基板とすることができる。そのためには、複層基板7上に半導体素子の能動層となる単結晶層をエピタキシャル成長させる。
図12は、複層基板7上に単結晶層9を形成する単結晶層形成工程を表している。同図(a)に示す複層基板7は、結晶性を問わないSiCからなる支持層2の上に、SiC単結晶からなる第1薄膜層12が形成されている。この第1薄膜層12の表面を平坦化した後、同図(b)に示すように、厚さ約5μmのSiC単結晶からなる単結晶層9が、エピタキシャル成長により形成される。単結晶層9は、SiC単結晶からなる第1薄膜層12上に形成されるため、下地となる第1薄膜層12の結晶性を継承して結晶性の良い単結晶となる。そして、この単結晶層9を能動層として、図13に示したような半導体素子を形成することができる。
図12(c)は、厚いSiC単結晶基板210の上に、能動層となるSiC単結晶層220をエピタキシャル成長させる従来の構造例を示している。この単結晶層220の結晶性は、下地である単結晶基板210の結晶品質を継承するものとなる。単結晶基板210は、その径が6インチの場合、厚さ300μm程度とするのが一般的である。
図12(a)に示したSiC単結晶層(第1薄膜層12)の厚さは0.5μm程度であり、従来の単結晶基板210に比べてはるかに薄くて済む。このように、第1薄膜層12は極めて薄くてよいので、母材とするSiC単結晶(第1基板)が高価であっても、その一部を使用するのみで済み、大幅なコスト低減が可能になる。また、SiC支持層(2、3)の結晶性は問わないため、300μm程度の厚さが必要とされる支持層を結晶欠陥の密度に配慮することなく高速に成長させ、SiC半導体基板を低コストで製造することが可能になる。
また、結晶性を問わないSiC支持層(2、3)は、窒素等を高濃度に添加することにより低抵抗とすることができる。従来、単結晶SiCでは窒素濃度を高めると結晶欠陥が増えるという背反事象のために窒素濃度を高めるには限度があり、抵抗率を20mΩ・cm程度とすることが限界であった。例えば、図13に示す単結晶基板210は、能動層220をエピタキシャル成長させるための下地となると共に、支持基板としての機能を有している。その支持基板の抵抗率を低く(20mΩ・cm程度)するために窒素濃度が極めて高い状態とされ、結晶欠陥の増加を招いている。これに対して、本発明における第1薄膜層12は、支持基板としての機能が不要であるため、窒素濃度を低くして結晶欠陥を低減することができる。一方、結晶性を問わないSiC支持層(2、3)は、窒素濃度を大幅に増やすことにより、抵抗率を単結晶基板の抵抗率以下とすることが可能である。更に、SiCに他の半導体材料を混ぜることにより抵抗率を低くすることも可能である。このように単結晶SiCを大幅に下回る低抵抗化が可能であることは、基板の縦方向に電流を流す構造の半導体素子の用途では大きなメリットとなる。また、結晶性を問わないSiC層は単結晶SiCと比較して強靭にすることができるため、支持層の厚さを300μmより薄くすることが可能となる。これによってSiC半導体基板の更なる低コスト化を図ることができる。
なお、以上においてはSiC素子用の半導体基板を例として製造方法を説明したが、本製造方法はSiC素子用基板に限られず、GaN素子用の基板、酸化ガリウム素子用の基板等にも適用することができる。GaN素子用の基板、酸化ガリウム素子用の支持層としては、同様に非晶質SiCや多結晶SiCを使用することができる。
尚、本発明は以上で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
SiC等を用いたパワー系化合物半導体素子は、車においてはハイブリッド車、電気自動車等の普及に伴ってますます重要度が増している。また、家庭においてはスマートグリッドの普及に伴って家電製品の制御やエネルギー管理のためにパワー系化合物半導体装置の役割が重要になってくる。本発明により、高価な材料であるSiC単結晶の使用量を大幅に減らすことができ、安価なSiC単結晶半導体基板を製造することが可能となる。
1;第1基板(SiC単結晶基板)、101;上面、102;側壁面、103;下面、12;第1薄膜層(SiC単結晶層)、13;母材層、2;支持層、22;第2の半導体材料による側壁膜、3;厚膜支持層、32;第3の半導体材料による側壁膜、5;境界、51;水素層、511;ブリスタによる破砕層、52;レーザによる破砕層、6;高濃度N型層、7、71、72、75;複層基板、8;周縁部、9;単結晶層、200;MOSFET素子、201;ソース、202;ドレイン、203;ゲート、204;ドレイン電極、210;素子用支持層、220;能動層(単結晶層)。

Claims (10)

  1. 第1の半導体材料の単結晶からなる第1基板の上面に第2の半導体材料を堆積させることにより支持層を形成する支持層形成工程と、
    前記支持層形成工程において前記第2の半導体材料が付着することによって前記第1基板の側壁面に形成された側壁膜を除去する側壁膜除去工程と、
    前記第1基板を前記上面から所定の深さで分離させることにより、分離された前記第1基板の前記上面側が第1薄膜層として前記支持層上に積層された複層基板を形成する分離工程と、
    を備え
    前記支持層形成工程により形成された前記支持層を下地として、前記支持層上に第3の半導体材料を堆積させることにより厚膜支持層を形成する増膜工程を備え、
    前記側壁膜除去工程は、前記第2の半導体材料及び前記第3の半導体材料が付着することによって前記第1基板の側壁面に形成された側壁膜を除去することを特徴とする半導体基板の製造方法。
  2. 前記支持層形成工程を行う前に、前記第1基板の前記上面から所定の深さに水素イオンを注入して水素層を形成する水素層形成工程を備え、
    前記分離工程は、前記第1基板を所定の分離温度とすることにより前記水素層を境界として分離させ、
    前記支持層形成工程は、前記分離温度よりも低い温度において前記支持層を形成する、請求項1記載の半導体基板の製造方法。
  3. 前記分離工程は、前記第1基板の前記上面側又は下面側からレーザ光を照射し、前記第1基板の前記上面から所定の深さに集光させることにより前記第1基板を切断する、請求項1記載の半導体基板の製造方法。
  4. 前記増膜工程は、前記分離温度よりも高い温度において前記厚膜支持層を形成する、請求項記載の半導体基板の製造方法。
  5. 前記支持層形成工程を行う前の前記第1基板の前記上面に、又は前記支持層形成工程もしくは前記分離工程を行った後の前記第1基板と前記支持層との界面に、高濃度不純物層を形成する高濃度N型層形成工程を備える、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  6. 前記第2の半導体材料はSiCであり、前記支持層はプラズマCVD法又はスパッタ法により形成される、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  7. 前記増膜工程において前記厚膜支持層は熱CVD法により形成される、請求項乃至のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  8. 前記第1の半導体材料はSiC、GaN及び酸化ガリウムのうちの1つであり、前記支持層及び前記厚膜支持層は多結晶又は非晶質からなる、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  9. 前記第1の半導体材料はSiC、GaN及び酸化ガリウムのうちの1つであり、前記第2の半導体材料及び第3の半導体材料はSiCであり、前記支持層及び前記厚膜支持層は高濃度N型層からなる多結晶又は非晶質である、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
  10. 前記分離工程より後に、前記複層基板の周縁部を一定の幅で除去する周縁部除去工程を備える、請求項1乃至のいずれかに記載の半導体基板の製造方法。
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