JP6660679B2 - ガラス基板の製造方法、および浮上搬送装置 - Google Patents
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Description
ところで、近年のフラットパネルディスプレイ(FPD)の大型化に伴って、サイズの大きいガラス基板がFPD用ガラス基板として用いられている。これに対して、多孔質な部材からなるフロートパネルは、セラミックス材料を焼結させるための設備に課される制約によって、製造可能なサイズに限界があり、大型化することが困難である。そこで、複数のフロートパネルを、ガラス板の搬送方向および搬送方向と直交する幅方向に並べて平面状にし、並べられたフロートパネル上でガラス板を浮上搬送することが行われている。このような浮上搬送装置では、幅方向に隣り合ったフロートパネルは、フロートパネルの搬送方向に沿った辺同士が、例えば搬送方向に延びる形状の金属製部材を用いて接続されることで連結される。この装置によれば、多孔質な複数のフロートパネルを用いて、大型化したFPD用ガラス基板を搬送させることができる。
(1)成形されたガラス板を浮上させながら搬送する浮上搬送装置を用いて前記ガラス板を搬送する搬送工程を備えるガラス板の製造方法であって、
前記浮上搬送装置は、
前記ガラス板の主表面に向けて気体を吹き出す多孔質な材料からなる複数のパネル部材であって、搬送される前記ガラス板の主表面と対向するパネル平面を形成するよう、面方向に並べて配置された複数のパネル部材と、
前記ガラス板を浮上させる力が小さい前記パネル平面上の位置に配置され、前記ガラス板を下方から支持し、かつ、前記ガラス板の主表面に当接して回転する回転体と、を有し、
前記パネル部材は、前記ガラス板の搬送方向および前記搬送方向と直交する幅方向に並べて配置され、前記搬送方向に並ぶ前記パネル部材の列のうち前記幅方向に隣り合う列の間で、前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置は異なっており、
前記回転体は、前記幅方向に隣り合うパネル部材の間に配置され、前記回転体の前記搬送方向の位置は、前記回転体を挟んで前記幅方向に隣り合う前記列内の前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置と重なっておらず、
前記搬送工程では、前記回転体を用いて前記ガラス板の浮上高さが低くなるのを防止することを特徴とするガラス板の製造方法。
前記第1の回転体および前記第2の回転体は、
前記幅方向に隣り合うパネル部材の間に、互いに異なる幅方向位置に配置され、
前記パネル平面からの突出高さは同じ高さに調整されている、前記(1)から前記(3)のいずれか1つに記載のガラス板の製造方法。
前記ガラス板の主表面に向けて気体を吹き出す多孔質な材料からなる複数のパネル部材であって、前記搬送されるガラス板の前記主表面と対向するパネル平面を形成するよう、面方向に並べて配置された複数のパネル部材と、
前記幅方向に隣り合うパネル部材の間の位置に配置され、前記ガラス板を下方から支持し、かつ、前記ガラス板の主表面に当接して回転する回転体と、を有し、
前記パネル部材は、前記ガラス板の搬送方向および前記搬送方向と直交する幅方向に並べて配置され、前記搬送方向に並ぶ前記パネル部材の列のうち前記幅方向に隣り合う前記列の間で、前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置は異なっており、
前記回転体は、前記ガラス板の浮上高さが低くなることが防止されるよう、前記幅方向に隣り合うパネル部材の間に配置され、前記回転体の前記搬送方向の位置は、前記回転体を挟んで前記幅方向に隣り合う前記列内の前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置と重なっていない、ことを特徴とする浮上搬送装置。
本実施形態のガラス板の製造装置は、成形されたガラス板を浮上させながら搬送する浮上搬送装置を用いてガラス板を搬送する搬送工程を備え、搬送工程では、浮上搬送装置の回転体を用いてガラス板の浮上高さが低くなるのを防止することを特徴とする。回転体は、ガラス板を浮上させる力が小さいパネル平面上の位置に配置され、ガラス板を下方から支持し、かつ、ガラス板の主表面に当接して回転する。パネル平面は、ガラス板の主表面に向けて気体を吹き出す多孔質な材料からなる複数のパネル部材によって、搬送されるガラス板の主表面と対向する平面として、面方向に並べて配置されることにより形成される。
この方法によれば、パネル部材上を浮上搬送されるガラス板は、ガラス板を浮上させる力(浮上力)が小さい位置であっても、回転体によって下方から支持されることによって、浮上高さが低くなることが防止され、パネル部材と接触して主表面に傷が生じることが抑制される。
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示す図である。
ガラス板の製造方法は、成形工程(S1)と、徐冷工程(S2)と、採板工程(S3)と、熱処理工程(S4)と、切断工程(S5)と、端面加工工程(S6)と、洗浄工程(S7)と、検査工程(S8)と、梱包工程(S9)と、を備える。
徐冷工程(S2)では、成形されて搬送されるシートガラスを、所望の厚さにし、内部歪および反りが生じないよう冷却する。
採板工程(S3)では、徐冷されたシートガラスを所定の長さごとに採板して複数のガラス板を得る。ガラス板は、矩形形状に採板されることが好ましく、サイズは、特に制限されないが、例えば、縦長さおよび横長さがそれぞれ500mm〜2500mmである。ガラス板の板厚は、例えば、0.1〜1.1mmである。
熱処理工程(S4)では、ガラス板に対し熱処理を行う。
切断工程(S5)では、熱処理を行ったガラス板を所定のサイズに切断して複数のガラス基板を得る。ガラス基板は、矩形形状に切断されることが好ましく、サイズは、特に制限されないが、例えば、縦長さおよび横長さがそれぞれ500mm〜2500mmである。
端面加工工程(S6)では、ガラス基板に対し、端面の研削、研磨およびコーナーカットを含む端面加工を行う。
洗浄工程(S7)では、ガラス基板を洗浄する。
検査工程(S8)では、洗浄されたガラス基板に対し、表面に傷、塵、汚れがないか、あるいは、気泡、異物等の内部欠陥がないか、光学的検査を行う。なお、検査工程(S8)は、ガラス板を搬送する搬送工程を行う間に行われる。搬送工程は、後で説明する浮上搬送装置を用いて行われる。
梱包工程(S9)では、検査の結果、所望の品質に適合するガラス基板を梱包する。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
本実施形態で製造されるガラス板は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に好ましく用いられる。また、本実施形態で製造されるガラス板は、高精細なディスプレイに用いられる、LTPS(低温ポリシリコン)・TFTディスプレイ、酸化物半導体・TFTディスプレイに好ましく用いられる。
SiO2 55〜80モル%、
Al2O3 8〜20モル%、
B2O3 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜10モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
本実施形態の搬送工程は、図2に示される浮上搬送装置を用いて行われる。図2は、本実施形態の浮上搬送装置1を示す平面図である。浮上搬送装置1は、ガラス板Gを浮上させながら搬送する装置であって、複数のパネル部材3と、パネル部材3同士を連結する接続部材5と、回転体付き部材7と、を備える。
パネル部材3は、ガラス板Gの主表面に向けて気体を吹き出す多孔質な材料からなる部材である。気体には、例えば、空気、窒素ガス、または希ガスが用いられる。気体は、図示されない気体供給装置によって、パネル部材3の底面(図2の紙面奥行方向の奥側の面)から、パネル部材3を厚み方向に通過して、パネル部材3の上面(図2の紙面奥行方向の手前側の面)から吹き出されるよう吹きつけられる。パネル部材3の上面から吹き出された気体は、パネル部材3の上面と対向するよう搬送されるガラス板Gの下方の主表面に吹き付けられることにより、ガラス板Gをパネル部材3の表面から浮上させる。本明細書において、ガラス板Gの主表面とは、ガラス板Gの板厚方向の両端においてガラス板Gの板厚方向と直交するよう延在する表面をいう。
パネル部材3の形状が、例えば、上記した四角形である場合、搬送方向Aに連続するパネル部材3の列は、搬送されるガラス板Gの寸法に応じて、幅方向Bに例えば2列以上並ぶよう形成される。このような配置態様において、浮上力が小さくなる箇所を分散させられる点で、幅方向Bに隣り合う列の間では、搬送方向Aに隣り合うパネル部材3の間の位置がずれてオフセットされていることが好ましい。
接続部材5は、隣り合ったパネル部材3を連結するための部材である。図2に示す例において、接続部材5は、搬送方向Aに延びる形状の部材であり、幅方向Bに隣り合うパネル部材3を連結する。具体的には、接続部材5は、図3に示されるように、幅方向Bに隣り合う2つのパネル部材3の、搬送方向Aに沿って延びる辺同士を接続する。図3は、浮上搬送装置の構成部材を説明する分解斜視図である。
なお、図2に示す例において、搬送方向Aに隣り合うパネル部材3は、接続部材5を介在させずに並べられているが、接続部材5を介在させてパネル同士を接続してもよい。
接続部材5は、回転体付き部材7が取り付けやすい点で、例えば金属または樹脂製の部材が用いられる。接続部材5の幅方向Bの長さは、回転体付き部材7の寸法を考慮して定められる。
回転体付き部材は、図4に示されるように、回転体11と、回転体11の回転中心に位置し回転体11と一体に回転する軸13と、軸13が取り付けられる支持台15と、を有している。図4は、回転体付き部材7の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は搬送方向に見た正面図、(c)は側面図である。
回転体11は、ガラス板Gを下方から支持する部材であり、ガラス板Gの下方の主表面に当接して回転する。回転体11は、ガラス板Gの主表面に当接して回転するものであれば特に限定されないが、例えばローラが用いられる。回転体11の構成材料は、表面が汚れにくく、摩耗しにくく、ガラス板Gより硬度が小さいものであることが好ましい。回転体11は、ガラス板Gに当接する部材であるためである。硬度は、例えばロックウェル硬度である。また、回転体11は、搬送工程内の雰囲気温度(例えば70〜80℃)で変性し、劣化しないものが好ましい。このような回転体11の好ましい材料としては、例えば、超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Polyethylene。UPEとも称される)が挙げられる。
軸13は、回転体付き部材7が、回転体11を幅方向Bの両側に備える、いわゆる両持ちである場合は、幅方向Bに沿った支持台15の両側に1本ずつ取り付けられる。また、回転体付き部材7が、図7に示されるように、回転体11を幅方向Bの片側にだけ備える、いわゆる片持ちの部材である場合は、支持台15の片側に1本だけ取り付けられる。
なお、両持ちの回転体付き部材7は、図4〜図6に示されるように、2つの回転体11が搬送方向Aの同じ位置に配置されていてもよく、図示されないが、搬送方向Aの異なる位置に配置されていてもよい。また、片持ちの回転体付き部材7は、同じ接続部材5に取り付けられた複数の回転体付き部材7の間で、図7に示されるように、回転体11が異なる幅方向位置に位置するよう配置されてもよい。このように、幅方向Bに隣り合うパネル部材3の間であって、かつ、幅方向Bの異なる位置に配置された回転体11(第1の回転体及び第2の回転体)同士は、ガラス板Gをパネル平面Pと平行に保ちやすい点で、パネル平面Pからの突出高さが等しいことが好ましく、互いに搬送方向Aに接近して(例えば、パネル部材3の搬送方向Aの長さよりも短い間隔で)配置されていることが好ましい。
一方、回転体11の突出高さが低すぎると、ガラス板Gがパネル部材3に接触して傷が生じるおそれがある。このため、回転体11の突出高さは、0mmを超えることが好ましい。
なお、搬送方向Aに隣り合って配置される回転体付き部材7の間隔は、搬送工程の間、ガラス板Gを安定して搬送する観点から、等間隔であることが好ましい。
以上、回転体として、ローラを例に説明したが、本実施形態の回転体は、例えば球状の回転体が用いられてもよい。球状の回転体の場合は、回転体付き部材は、球と、球の形状に合わせた形状の受け部である球保持部と、を備え、軸を備えなくてもよい。
以上説明した浮上搬送装置1を用いて、本実施形態の搬送工程を行うことができる。
また、回転体11が、幅方向Bに隣り合うパネル部材3の間であって、かつ、搬送方向Aに隣り合うパネル部材3の間に配置されることによって、ガラス板Gの浮上高さが低くなるのをより効果的に防止することができる。
また、幅方向Bに隣り合うパネル部材3の間であって、かつ、幅方向Bの異なる位置に配置された回転体11同士は、パネル平面Pからの突出高さが同じ高さに調整されることで、ガラス板Gがパネル平面Pと平行に保たれやすくなる。
3 パネル部材
5 接続部材
7 回転体付き部材
11 回転体
13 軸
15 支持台
A 搬送方向
G ガラス板
P パネル平面
Claims (6)
- 成形されたガラス板を浮上させながら搬送する浮上搬送装置を用いて前記ガラス板を搬送する搬送工程を備えるガラス板の製造方法であって、
前記浮上搬送装置は、
前記ガラス板の主表面に向けて気体を吹き出す多孔質な材料からなる複数のパネル部材であって、搬送される前記ガラス板の主表面と対向するパネル平面を形成するよう、面方向に並べて配置された複数のパネル部材と、
前記ガラス板を浮上させる力が小さい前記パネル平面上の位置に配置され、前記ガラス板を下方から支持し、かつ、前記ガラス板の主表面に当接して回転する回転体と、を有し、
前記パネル部材は、前記ガラス板の搬送方向および前記搬送方向と直交する幅方向に並べて配置され、前記搬送方向に並ぶ前記パネル部材の列のうち前記幅方向に隣り合う列の間で、前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置は異なっており、
前記回転体は、前記幅方向に隣り合うパネル部材の間に配置され、前記回転体の前記搬送方向の位置は、前記回転体を挟んで前記幅方向に隣り合う前記列内の前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置と重なっておらず、
前記搬送工程では、前記回転体を用いて前記ガラス板の浮上高さが低くなるのを防止することを特徴とするガラス板の製造方法。 - 前記回転体の前記パネル平面からの突出高さは前記ガラス板の浮上高さ以下に調整されている、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
- 前記回転体は、前記ガラス板が搬送されるのに追従して回転するローラである、請求項1又は2に記載のガラス板の製造方法。
- 前記回転体を第1の回転体というとき、前記浮上搬送装置は、さらに、前記第1の回転体と対応する第2の回転体を有し、
前記第1の回転体および前記第2の回転体は、
前記幅方向に隣り合うパネル部材の間に、互いに異なる前記幅方向位置に配置され、
前記パネル平面からの突出高さは同じ高さに調整されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。 - 前記ガラス板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス板である、請求項1から4のいずれか1項に記載されたガラス板の製造方法。
- ガラス板を浮上させながら搬送する浮上搬送装置であって、
前記ガラス板の主表面に向けて気体を吹き出す多孔質な材料からなる複数のパネル部材であって、搬送される前記ガラス板の主表面と対向するパネル平面を形成するよう、面方向に並べて配置された複数のパネル部材と、
前記ガラス板を浮上させる力が小さい前記パネル平面上の位置に配置され、前記ガラス板を下方から支持し、かつ、前記ガラス板の主表面に当接して回転する回転体と、を有し、
前記パネル部材は、前記ガラス板の搬送方向および前記搬送方向と直交する幅方向に並べて配置され、前記搬送方向に並ぶ前記パネル部材の列のうち前記幅方向に隣り合う前記列の間で、前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置は異なっており、
前記回転体は、前記ガラス板の浮上高さが低くなることが防止されよう、前記幅方向に隣り合うパネル部材の間に配置され、前記回転体の前記搬送方向の位置は、前記回転体を挟んで前記幅方向に隣り合う前記列内の前記搬送方向に隣り合うパネル部材の間の位置と重なっていない、ことを特徴とする浮上搬送装置。
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