JP6658399B2 - 蓋材用無延伸共押出フィルムおよび包装体 - Google Patents

蓋材用無延伸共押出フィルムおよび包装体 Download PDF

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Description

本発明の技術は、ガスバリア性、ヒートシール性、防曇性を有する共押出多層プラスチックフィルムに関し、特にガス置換包装体のトップシール蓋材用フィルムに関する。
近年、食品業界では、環境負荷の削減やコスト削減、資源の有効活用として、食品の廃棄ロス削減に取り組む動きが活発化している。
包装材の点では、食品の賞味期限を延長する包装材及び包装方法を提供することで、それらの取り組みに寄与しており、食品の劣化の要因となる酸素流入や雑菌繁殖を抑制する手段が活用されている。
例えば、酸素流入や雑菌繁殖の抑制方法としては、密封包装での加熱殺菌や無菌室での密封包装が行われており、その効果をさらに高める方法として、ガスバリア性包材での真空パックや不活性ガスを用いたガス置換包装が用いられている。
特に、精肉や鮮魚、惣菜等の賞味期限の短い食品は、従来、発泡ポリスチレンやポリプロピレンのシートを成形した樹脂トレーにラップフィルムを巻き付けたものや、樹脂トレーに嵌め合わせの蓋をしただけのものが主流であり、これらの包装食品は、賞味期限が短い上に販売量が多いため、廃棄ロス削減が喫緊の課題となっている。
そこで、食品の樹脂トレーのガスバリア性向上と、包装体の内部を不活性ガス等で充填し、更にガスバリア性蓋材で密封するガス置換包装体が求められている。
その形態は、図1のような、樹脂トレーの縁に蓋材フィルムをヒートシールで溶融密着させるものである。このような形態は、トップシールと呼称されることがある。
しかしながら、従来のガス置換包装体(ガスパック)用蓋材は、例えば、特許文献1や特許文献2に技術開示されているような、ポリアミド樹脂層とエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂層とヒートシール性ポリオレフィン樹脂層を有する共押出多層フィルムと、二軸延伸ポリエステルフィルム、無定形ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルムなどの基材とをドライラミネートした、総厚およそ100〜300μmの厚い積層体であり、既存のラップフィルムのような柔軟性と張りが求められるトレー蓋材には用いることができない。また、生鮮食品や惣菜からの水分により蓋材内面が曇ることを防ぎ、包装体の内容物視認性を維持するための防曇性が不十分である。
ガスバリア性と防曇性を付与した蓋材として、特許文献3や特許文献4が挙げられ、ポリビニルアルコール樹脂フィルムと防曇剤を塗布したポリオレフィン樹脂フィルムを積層したものであるが、防曇剤塗布層が内容物に接触して部分的に欠落することにより、防曇性が不十分になったり外観が損なわれたり、また、防曇剤層によりフィルムが固着してしまう問題がある。
また、上記の何れの開示技術においても、フィルム同士を二次加工で積層する工程が含まれるため、製造費用と時間を削減する課題を有している。
また、トレー容器包装体用として特許文献5等により技術開示されている、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物/ポリオレフィン系樹脂といった層構成の熱収縮(シュリンク)フィルムがあるが、これらは安価で透明性が良いものの、包装や保管の条件によってフィルム自身の寸法変化が大きいことや、蓋材に使用されると、当該フィルムの収縮によって包装体全体が変形することにより製品価値を損ねてしまい、問題となっている。
これに対して、フィルムを積層する二次加工を必要とせず、且つ寸法変化の小さく包装体を変形させないフィルムとして、無延伸フィルムを単独で使用することが考えられる。
しかしながら、ガスバリア性フィルムとして多用されている、ポリプロピレン樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物/直鎖状低密度ポリエチレン樹脂といった層構成の30μm厚程度の無延伸フィルムでは、剛性が低いため、包装体を段積みした際に底材のリブ形状やプラマーク表示等が下に置かれた包装体の蓋材に残る(転写と呼称されることがある)問題が生じる。
また、高剛性や熱板非融着を検討した蓋材用共押出無延伸フィルムとして特許文献6,7に技術開示されているプロピレン単独重合体/プロピレン系単独重合体/イージーピールといった層構成や、ポリエステル樹脂/プロピレン系樹脂/イージーピールといった層構成の30〜80μm厚程度の無延伸フィルムにおいても、包装体段積みの際の上段底材のリブ形状やプラマーク表示等が下段蓋材に残る問題は、発生してしまう。
特開平10−095075号公報 特開平11−227125号公報 特開平7−060919号公報 特開平7−060922号公報 特開平5−294357号公報 特開2012−45884号公報 特開2012−45885号公報
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであり、包装体の蓋材として、ガスバリア性が高く、密封シール性と防曇性とを兼備し、更に、包装体を変形させることなく、また、包装体を段積みして重ねて運送、保管、陳列しても底材の成形形状が蓋材に痕残り(転写)しないフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記問題を解決すべく、フィルムの層構成および各層の組成につき鋭意検討した結果、以下の本発明を完成するに至った。
すなわち、ポリブチレンテレフタレート樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層、ガスバリア層、防曇剤含有ヒートシール層の順に層を有し、ポリブチレンテレフタレート樹脂層厚が1μm以上5μm以下、かつフィルム総厚が20μm以上40μm以下である請求項1に記載の蓋材用無延伸共押出フィルムに存する。
本発明のフィルムによれば、20〜40μmという薄いフィルムでありながら、十分なガスバリア性、密封シール性、防曇性を兼備することから、特にガス置換包装体用の蓋材フィルムとして使用することにより、包装された食品の賞味期限の長期化を可能とし、また、包装体の変形が起き難く、段積み痕が残り難いことから、食品包装体商品の付加価値が高まり、食品廃棄量の削減に貢献できる。
は、ガス置換(ガスパック)トレー包装体の断面を例示したものである。
以下に本発明のフィルムについて詳細に説明するが、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
説明において、本発明のフィルムの「外層」とは包装体の蓋材に使用した場合に、外気側に位置する層であり、「内層」とは収容物側に位置する層であり、「中層」とは外層と内層の間に位置する層である。すなわち、包装体の外気側からのフィルム層構成順は、例えば、最外層/外層/中間層/内層と表記される。
<最外層:ポリブチレンテレフタレート樹脂層>
本発明のフィルムの最外層には、ポリブチレンテレフタレート単独重合体および/またはポリブチレンテレフタレート共重合体(以下、PBTと略記することがある)を用いる。
ポリブチレンテレフタレート単独重合体は、ジカルボン酸成分にテレフタル酸、ジオール成分に1,4−ブタンジオールを用いて重合する。共重合体としては、ジカルボン酸成分にドデカンジオン酸やポリテトラメチレングリコール、ジオール成分にテトラメチレンオキシドグリコールを用いたもの等が例示できる。
PBTは、その融点は220〜230℃程度であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)より低いが、PBTの熱変形温度(0.455MPa)は130〜150℃程度とPETより高く、実質的な耐熱性に優れる。
また、ポリエステル樹脂は、一般に、延伸により耐熱性、強度、剛性が高まる性質であるが、PBTは、PETに比べ結晶化速度が速く、延伸せずとも優れた耐熱性が得られる特徴がある。
このような特徴から、無延伸共押出フィルムの最外層にPBT層を配設することによって、ヒートシール工程におけるヒートシール熱板へのフィルムの熱融着の防止ができるようになる。
また、後述の最外層に隣接するポリエチレンテレフタレート層との親和性も高く、両層間の密着力を良好に保つこともできるので、フィルム全体の機能の総合的かつ効果的な発現が可能となる。
使用するPBTは特に制限されないが、PBT層は、ヒートシール熱板との融着を防ぎ、またフィルムの剛性向上にも寄与する点から、荷重たわみ温度80℃以上(条件:1.80MPa荷重、たわみ量0.25mm)を示す品種が好ましい。
また、PBTの極限粘度(IV)は、0.65〜0.85が好ましく、0.70〜0.80がより好ましい。極限粘度(IV)は、試料の樹脂300mgを溶媒(フェノールと1,1,2,2−テトラクロルエタンの質量比1:1混合溶媒)30mlに溶解させ、ウベローゼ型粘度計を用いて、試料落下時間を計測し、算出することができる。
PBT層の厚みは、ヒートシール熱板に接してフィルムが融着しない視点で有効な耐熱性を示す点から、下限は1μm以上であり、1.5μm以上がより好ましい。また、経済性や質感の点からフィルム総厚を20μm以上40μm以下の薄さに設計する中で、後述の剛性に寄与するポリエチレンテレフタレート樹脂層と、防曇性を発現するヒートシール層とを、より厚く設計するためには、PBT層をより薄くすることが必要であり、上限は5μm以下であり、4μm以下がより好ましい。
<外層:ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)層>
本発明のフィルムは、最外層のPBT層に隣接した中間層寄りの外層として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと略記することがある)層を有する。
ポリエステル樹脂は、一般に剛性が高い樹脂種であるが、例えば、材料の靱性を示す指標の一つであるアイゾット衝撃強さで比較すると、PBTが50J/mに対し、PETは55J/mとより高い。
このような点から、PBT層に隣接させてPET層を配設することで、フィルムの剛性を効果的に向上させることができ、包装体を段積みして保管、運送、陳列などした際に、上に載せた包装体のリブやプラマーク等の底材形状がその下に置いた包装体の蓋材に痕残り(転写)し難くなり、商品形状ひいては商品価値を損ねないことに貢献する。
PET層樹脂は、以下に記載の多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とにより作製され得る。
多価カルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸の他、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれも用いられる。
芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸類;2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸類;44−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4 ’−ジカルボン酸などのジカルボキシビフェニル類; 1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸およびその置換体;1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸およびその置換体などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシリン酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸などが挙げられる。さらに、上記脂環式ジカルボン酸としては、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールの他、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールのいずれも用いることができる。
脂肪族ジオールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどのビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物; キシリレングリコールなどが挙げられる。
また、多価アルコール成分として、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールなどを用いることもできる。
PET樹脂には、単一の共重合レジンを用いてもよいし、2種類以上の共重合またはホモポリエステルの混合物を用いることも可能である。
本発明のPET層樹脂には、剛性の観点から、エチレンテレフタレートユニットの含有率が80モル%以上の樹脂の使用が好ましく、83モル%以上がより好ましく、85モル%以上が更に好ましい。中でも、ホモのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートコポリマーなどは経済性の点からも好適である。
PET層の厚みは、フィルムの剛性を高めるため、フィルム総厚に対し、下限は30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。上限は50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。30%以上により、フィルムの剛性を高め易く、包装体段積み時の底材のリブやプラマーク表示等の形状が蓋材に付き難い。50%以下により、防曇剤含有ヒートシール層を十分な厚みで設定し易い。
<中間層:ガスバリア層>
本発明のフィルムは、内容物の食品の腐敗を防ぐ目的で、酸素ガスバリア性を中間層に配することが望ましい。
ガスバリア層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(以下、EVOHと略記することがある)層、またはポリメタキシレンとアジピン酸からなるポリメタキシリレンアジパミド樹脂(以下、MXDと略記することがある)層を少なくとも1層備えることで、賞味期限の延長に必要な酸素バリア性を付与し易い。より高いガスバリア性の効果の点では、EVOH層を配することがより好ましく、耐熱性・耐水性を兼ね備える点においては、MXD層を配することが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合けん化物のエチレン含有率は、特に限定されるものではないが、フィルム製膜安定性の観点から、下限は27モル%以上が好ましく、32モル%以上がより好ましく、上限は47モル%以下が好ましく、44モル%以下がより好ましい。
本発明のフィルムの酸素ガス透過率は、食品の劣化抑制の点から低いことが望ましく、10cc/(m2・day・atm)以下が好ましく、8cc/(m2・day・atm)以下がより好ましい。
ガスバリア層の厚みは、下限は2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。また、上限は10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。
2μm以上とすることにより、本発明の目的に十分な酸素バリア性を付与することができ、且つ安定した製膜が可能となる。また、10μm以下とすることにより、経済性に優れる他、耐ピンホール性の低下が避けられる。
<内層:防曇剤含有ヒートシール層>
本発明のフィルムは、内層に防曇剤を含有したポリオレフィン樹脂からなるヒートシール層を少なくとも1層有することで、収容物の食品等からの水分による蓋材内面の曇り抑制と、底材等の被着体とのヒートシール性の機能を付与できる。
ポリオレフィン樹脂としては、ヒートシール性を付与できれば特に限定されないが、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン―アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン―アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン―メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン―メタクリル酸共重合体(EMAA)、ポリプロピレン(PP)の群から選ばれる少なくとも1種から構成されることが好ましい。
中でも、EVAは、透明性や柔軟性を付与する観点で好ましい。また、LLDPEは、ヒートシール可能温度域が広く、表面の強度、滑り性が良好である観点で好ましい。
本発明のフィルムの内層の防曇剤は、ポリオレフィン樹脂と混合して含有される。?防曇剤と樹脂との混合は、マスターバッチで混練ペレットを作製する方法、樹脂と防曇剤をフィルム製膜押出機へ供給し押出機内で混合する方法、等が挙げられる。マスターバッチの防曇剤濃度は特に限定されず、フィルム内層における防曇剤含有濃度が後述の濃度範囲となるよう調整すればよい。
防曇剤をポリオレフィン樹脂と混合してフィルム内層を形成することで、塗布法で防曇剤層を形成する場合に比べ、フィルム成形、包装体成形、収容物接触を経ても、フィルム表面の防曇剤量が低減することなく、防曇効果を安定して維持できる。また、ガスバリア層の存在により、防曇剤のフィルム外層側、包装体外側への移行拡散が抑制され、防曇剤がフィルム内層表面へ効果的に析出し、効率的に防曇性を発現し得る。更に、外層側への移行抑制により、蓋材フィルムの外層側が接触する包装機熱板への防曇剤付着汚れが発生することもない。
防曇剤としては、公知の成分を使用でき、例えば、グリセリン脂肪酸エステルモノグリセライド、グリセリン脂肪酸エステル有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。中でも、本発明のフィルムを食品接触用途に用いる場合は、内層を構成するポリオレフィン樹脂との混練適性と防曇性効果の点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
防曇剤含有濃度は、フィルム内層に対して、下限は0.020質量%以上が好ましく、0.025質量%以上がより好ましく、0.030質量%以上がさらに好ましい。上限は0.100質量%以下が好ましく、0.090質量%以下がより好ましく、0.080質量%以下がさらに好ましい。
0.020質量%以上により良好な防曇性効果を発現でき、0.100質量%以下により防曇剤の内層表面への過剰な析出を抑制し、フィルム表面のベタつきや粉末の発生を抑制することができる。
内層の厚みは、フィルム総厚に対して、下限は20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。上限は50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。20%以上により良好なヒートシール性と十分な防曇剤含有量が得られ、50%以下によりフィルムの剛性が好適となり易い。
<接着樹脂層>
本発明のフィルムは、各層の層間剥離強度を高める目的で、必要に応じて接着樹脂層を設けることができる。接着樹脂層は1層であっても良いし、複数であっても良いが、層間接着強度をより高める観点から、PET層とEVOH層との間と、ガスバリア層と内層との間に配設させることが好ましい。
接着樹脂は、各層を構成する各種樹脂層を必要な強度で接着できれば特に限定されない。好ましくは、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂である。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸のエステルや無水物も用いることができ、さらに誘導体としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等を用いることができる。
接着樹脂層の厚みは特に制限はないが、接着性、作業性、経済性、取扱い性の観点から、下限は1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。また上限は8μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。1μm以上により、十分な層間剥離強度を得易く、8μm以下により、フィルムの薄肉化、製造コスト低減、透明性に有効である。
<フィルム全体>
本発明のフィルムの層構成は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)層、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)層、ガスバリア層、及び防曇剤含有ヒートシール層をこの順に有する構成であれば、特に制限はなく、各層間に接着樹脂層等の他の層を配しても良い。
本発明のフィルムの総厚は、フィルム製膜性、フィルムの剛性や強度、ヒートシール性と熱板非融着性、ガスバリア性、経済性などを良好に兼ね備える観点からは、20μm以上40μm以下が好ましく、上限は30μm以下がより好ましい。
<包装体>
本発明のフィルムは、各種包装体への使用に好適である。中でも、包装体を変形させずに張りが良く、ガスバリア性が良く、包装体を段積みした梱包、運搬、保管、陳列の際の痕残り(転写)が起き難い特性から、ガス置換包装(ガスパック)等の深絞り包装体や、ブリスターパック、トレー(トレイ)包装体などの蓋材としての用途に有用である。
深絞り包装体の底材やトレー包装体の底材(トレー)については、材質、大きさ、形状などについて特に制限はなく、公知の包材を使用できる。深絞り包装体の底材としては、例えば、ポリアミド樹脂層/ヒートシール層、ポリオレフィン樹脂層/ポリアミド樹脂層/ヒートシール層、等の層構成や、それらの層間にガスバリア層を配した層構成、等の無延伸共押出フィルムを用いて成形される底材が挙げられる。トレー底材としては、例えば、発泡ポリスチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンテレフタレートシート、等を用いて成形したトレー底材や、それらシートにオレフィン系樹脂からなるシール層を有するフィルムを積層し当該フィルムが収容物側に位置するように成形したトレー底材、等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1〜3に示す層構成のフィルムを共押出Tダイ法により作製した。内層への防曇剤の含有は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)に対し防曇剤15質量%の比率で配合し混練したマスターバッチを用い、更に当該マスターバッチをLLDPEと混合し、内層における防曇剤含有濃度を6質量%とした。
次いで、深絞り包装機(MULTIVAC製R535)を用い、蓋材フィルムとして各例で得たフィルムを供し、底材フィルムとして、APET(270μm)/EVOH(10μm)/PE(20μm)の層構成の無延伸共押出フィルムを供した。
底材フィルムを底面10cm角、深さ5cmの略直方体の深絞り形状に真空成型し、水50mlを収容し、底材のフランジ部と蓋材フィルムとを重ね、その周縁部を140℃、2秒間、0.5MPaの設定条件でヒートシールすると共に、窒素ガスを圧力300kPa、流量8Lの条件で封入し、ガス置換包装体(ガスパック)を作製した。尚、ヒートシール熱板は、蓋材の外層側に位置する。
各例に示す層構成は、外層側から内層側への順に記した。各層を構成する樹脂組成の表記には、次の略号を用いた。また、「+」の表記は、含有を意味する。
PBT; ポリブチレンテレフタレート単独重合体、融点225℃、荷重たわみ温度85℃(条件:たわみ量0.25mm、荷重1.80MPa)
PET; ポリエチレンテレフタレート単独重合体、融点250℃、ガラス転移温度80℃
PP; ポリプロピレン単独重合体、融点160℃
Ny; ナイロン6単独重合体
EVOH; エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物 、32モル%
MXD; ポリメタキシリレンジアジパミド樹脂
LL; 直鎖状低密度ポリエチレン樹脂
防曇; 防曇剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル
AD; 不飽和カルボン酸変性ポリエチレン系接着樹脂
<実施例1>
PBT(1μm)/PET(13μm)/AD(2μm)/EVOH(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<実施例2>
PBT(3μm)/PET(11μm)/AD(2μm)/EVOH(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<実施例3>
PBT(1μm)/PET(13μm)/AD(2μm)/MXD(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<比較例1>
PET(14μm)/AD(2μm)/EVOH(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<比較例2>
PBT(14μm)/AD(2μm)/EVOH(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<比較例3>
PBT(7μm)/PET(7μm)/AD(2μm)/EVOH(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<比較例4>
PP(14μm)/AD(2μm)/EVOH(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<比較例5>
Ny(14μm)/AD(2μm)/EVOH(4μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
<比較例6>
共押出フィルムを作製後、延伸倍率縦横各1.5倍、熱固定なしの延伸処理を行い、次の層構成の熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)を得た。
Ny(14μm)/EVOH(4μm)/AD(2μm)/LL+防曇(10μm)、総厚30μm
各例で得たフィルムを用い作製したガス置換包装体について、以下の評価を行い、表1に結果を記した。
<熱板融着>
ヒートシールの際に、蓋材フィルムが熱板に融着しなかったものを「○」、したものを「×」と評価した。
<防曇性>
ガス置換包装体を5℃、2時間静置保管し、蓋材が水滴で曇らなかったものを「○」、曇ったものを「×」と評価した。
<蓋材痕残り(転写)>
水平台上のガス置換包装体の蓋材の中央部に、8cm角、300gの金属板を載せ、5℃、24時間静置保管した。その後、包装体の蓋材を観察し、金属板を載せた箇所に凹み痕がつかなかったものを「○」、凹み痕がついたものを「×」とした。
<底材変形>
ガス置換包装体を作製直後に水平台上に静置し、水平面に対し、ヒートシール部(フランジ部)の反り返りが2mm未満だったのものを「○」、2mm以上だったものを「×」とした。
Figure 0006658399
本発明のフィルムを包装体の蓋材に使用した場合、包装体を変形させずに張りが良く、ガスバリア性、シール性、防曇性が良好で、加えて、包装体を段積みした際の痕残り(転写)が起きく難く且つシール熱板に融着し難い特性から、特にガス置換深絞り包装体(ガスパック)として有用性が高く、生鮮食品などの賞味期限長期化に役立ち、引いては食品および包装材の廃棄量削減に大いに貢献できると考えられる。
1; 蓋材
2; 底材、トレー
3; 蓋材と底材とのヒートシール密着部、トップシール部
4; 生鮮食品等の収容物
5; 不活性ガス
10; 深絞り包装体

Claims (4)

  1. ポリブチレンテレフタレート樹脂層、ポリエチレンテレフタレート樹脂層、ガスバリア層、及び防曇剤含有ヒートシール層をこの順に有し、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂層厚が1μm以上5μm以下であり、かつフィルム総厚が20μm以上40μm以下である蓋材用無延伸共押出フィルム。
  2. 前記ポリエチレンテレフタレート樹脂層の厚みが、フィルム総厚に対して30%以上50%である請求項1に記載の蓋材用無延伸共押出フィルム。
  3. 前記ガスバリア層が、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物またはポリメタキシリレンアジパミド樹脂からなる請求項1または2に記載の蓋材用無延伸共押出フィルム。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の無延伸共押出フィルムを蓋材として有する深絞り包装体。
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