JP6657911B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉タンク式の蒸発燃料処理装置に関する。
従来、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタに吸着させ、その吸着燃料をエンジンの運転中に吸気系へとパージさせる蒸発燃料処理装置が知られている。すなわち、蒸発燃料を一時的にキャニスタで捕集しつつエンジンに吸引させて、蒸発燃料の大気中への放出を防止するものである。このような蒸発燃料処理装置が搭載されたエンジンでは、キャニスタから脱離する蒸発燃料量を考慮して、燃料噴射量や吸入空気量が制御される。
一方、近年では、走行用モータを主体的に使用して走行し、エンジンを補助的に使用するハイブリッド車両(PHEV,PHV)が開発されている。このようなハイブリッド車両は、エンジンのみを動力源とする車両と比較してエンジンの作動時間が短く、キャニスタに吸着された蒸発燃料をパージする機会が少ない。そこで、燃料タンクとキャニスタとを接続する通路上に密閉弁を設け、燃料タンクの密閉状態をできるだけ長く維持することで、燃料の蒸発やキャニスタへの吸着を抑制する技術(密閉タンクシステム)が提案されている(特許文献1,2参照)。
特開2015−081528号公報 特開2014−092069号公報
上記の密閉タンクシステムでは、キャニスタに吸着している蒸発燃料を取り除くためのキャニスタパージ制御と、燃料タンク内に存在する蒸発燃料をパージして燃料タンクを減圧するためのタンクパージ制御とがエンジンの作動中に実施される。前者の制御では、キャニスタを速やかに浄化するために比較的多くのガスがパージされるのに対し、後者の制御では、ガスに含まれる蒸発燃料量が多いため、前者の制御に比べてパージされるガス流量が少なくされる。これらのパージ流量は、エンジンの空燃比が適切なものとなるようにフィードバック制御することで調節される。
しかしながら、キャニスタパージ制御を実施しているときに、燃料タンク側から蒸発燃料を含むガスが流れ出てきた場合には、上記のフィードバック制御では間に合わず、空燃比が突然変化しうる。
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、密閉式の燃料タンクを備えた蒸発燃料処理装置に関し、空燃比の突然の変化を防止することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する蒸発燃料処理装置は、燃料タンクとエンジンの吸気系とを接続するタンク通路と、前記タンク通路から、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタに向かって分岐形成されたキャニスタ通路と、前記タンク通路における分岐点よりも前記燃料タンクに近い位置に介装された密閉弁と、前記分岐点又は前記キャニスタ通路上に介装されたバイパス弁と、前記タンク通路における前記分岐点よりも前記吸気系に近い位置に介装されたパージ弁と、前記密閉弁を迂回して前記密閉弁の上流側と下流側とを接続した迂回通路上に介装され、前記密閉弁よりも前記燃料タンク側における前記タンク通路の圧力が所定の上限値を超えると開放されるリリーフ弁と、を備える。また、前記エンジンの作動中に前記バイパス弁を開放し、前記キャニスタに吸着した前記蒸発燃料を含むキャニスタパージガスを前記吸気系に吸入させるキャニスタパージ制御を実施する制御装置を備える。
さらに、前記制御装置は、前記エンジンの作動中に前記密閉弁を開放し、前記燃料タンク内の前記蒸発燃料を含むタンクガスを前記吸気系に吸入させるタンクパージ制御を実施するものであり、前記キャニスタパージ制御中に、前記燃料タンクから前記タンクガスが流出すると予測した場合には、前記キャニスタパージガスの導入割合に相当するキャニスタパージ率を下げ、前記キャニスタパージ制御中に前記リリーフ弁が開放される可能性のある場合に、前記タンクガスが流出すると予測し、前記リリーフ弁の開放可能性がある場合には、前記キャニスタパージ率を、前記タンクパージ制御において設定される前記タンクガスの導入割合に相当するタンクパージ率以下に設定する。ここでいう導入割合とは、吸気量全体に対するパージガス量の割合、又は、スロットル弁側から流入した吸気(新気)量に対するパージガス量の割合を意味する。
)前記制御装置は、前記密閉弁の故障判定を実施するとともに、前記故障判定の結果に基づいて前記リリーフ弁の開放可能性の有無を判断することが好ましい
)前記制御装置は、前記エンジンの作動中であって前記燃料タンクの内部圧力が所定の開始圧力以上のときに前記密閉弁を開放し、前記燃料タンク内の前記タンクガスを前記吸気系に吸入させる前記タンクパージ制御を実施するものであることが好ましい。この場合、前記制御装置は、前記キャニスタパージ制御中において前記開始圧力と前記内部圧力との差圧が所定値以下であるときに前記タンクガスが流出すると予測することが好ましい。
)さらに、前記制御装置は、前記差圧が前記所定値以下である場合には、前記キャニスタパージ率を、前記タンクパージ制御において設定される前記タンクガスの導入割合に相当するタンクパージ率に設定することが好ましい。
キャニスタパージ制御中にタンクガスが燃料タンクから流出すると予測された場合には、キャニスタパージ率が下げられる。このため、実際にタンクガスが流れ出てきた場合であっても、空燃比が突然変化することを防ぐことができる。これにより、エンジンの燃焼安定性を維持することができ、失火や排ガス性能の低下を回避することができる。
蒸発燃料処理装置が適用された車両の構成及び制御装置を示す図である。 エバポレーティブリークチェックモジュールの概略構成を示す図である。 エンジン停止中の制御手順を例示するフローチャートである。 エンジン作動中の制御手順を例示するフローチャートである。 制御内容を説明するためのタイムチャートであり、(a)は燃料タンクのタンク圧、(b)は故障の有無、(c)〜(e)はそれぞれ密閉弁,バイパス弁,パージ弁の開閉状態、(f)はパージ率を示す。 制御内容を説明するためのタイムチャートであり、(a)は燃料タンクのタンク圧、(b)は故障の有無、(c)〜(e)はそれぞれ密閉弁,バイパス弁,パージ弁の開閉状態、(f)はパージ率を示す。
図面を参照して、実施形態としての蒸発燃料処理装置について説明する。以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の各実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.装置構成]
本実施形態の蒸発燃料処理装置が適用された車両の構成を図1に例示する。この車両は、走行用モータの駆動力で走行するEV(Electric Vehicle)モードと、エンジン20の駆動力を使用(又は併用)して走行するHEV(Hybrid Electric Vehicle)モードとを備えたハイブリッド車両である。エンジン20の作動時には、燃料タンク5の内部から燃料がポンプで吸い上げられ、車両の走行状態に応じた量の燃料がインジェクタ21から噴射される。また、吸入空気量は、吸気通路22(吸気系)に介装されたスロットルバルブ23で制御される。
このエンジン20には、燃料タンク5で発生する蒸発燃料をキャニスタ6で回収して吸気系に導入するためのパージ用通路10が装備される。パージ用通路10には、燃料タンク5とエンジン20の吸気系とを接続するタンク通路7と、タンク通路7からキャニスタ6に向かって分岐形成されたキャニスタ通路8とが設けられる。タンク通路7の一端は、燃料タンク5の例えば天井面付近や側面上部に接続され、他端は吸気通路22に接続される。タンク通路7の接続位置は、スロットルバルブ23よりも下流側(エンジン20のシリンダに近い側)に設定される。また、キャニスタ通路8の一端は、キャニスタ6の上面に接続され、他端はタンク通路7に対して三叉路を形成するように接続される。
パージ用通路10には、通路内におけるガスの流れを制御するための弁として、密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3が介装される。
密閉弁1は、燃料タンク5を密閉するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点よりも燃料タンク5に近い位置に配置される。密閉弁1は、基本的には常にタンク通路7を閉鎖して、燃料タンク5の密閉状態を維持するように機能する。密閉弁1は、給油時には開放されて、燃料タンク5を圧抜きする。また、密閉弁1は、エンジン20の作動中に燃料タンク5の内部圧力が上昇し過ぎた場合にも一時的に開放される。本実施形態の密閉弁1は、制御信号に応じてオン・オフ作動(開作動又は閉作動)する二位置切替弁である。
バイパス弁2は、キャニスタ通路8を開放又は遮断するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点に配置される。バイパス弁2は、キャニスタ6に蒸発燃料を吸着させるときや、キャニスタ6で吸着された蒸発燃料をパージさせるときに開放される。本実施形態のバイパス弁2は、密閉弁1と同様に、制御信号に応じてオン・オフ作動する二位置切替弁である。
パージ弁3は、吸気通路22に対してタンク通路7を開放又は遮断するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点よりも吸気通路22に近い位置に配置される。パージ弁3は、基本的にはエンジン20の作動中に、吸気通路22に対してタンク通路7を開放するように制御される。また、エンジン20の停止中は、タンク通路7を閉鎖するように制御される。本実施形態のパージ弁3は、制御信号の大きさに応じた開度でタンク通路7を開放する可変開度制御弁である。パージ弁3の開度は、エンジン20の運転状態やキャニスタ6に吸着されている蒸発燃料量,燃料タンク5に残留する燃料量などに応じて設定可能である。
キャニスタ6の上面には、キャニスタ6と外部とを接続する大気開放通路9が取り付けられる。大気開放通路9は、蒸発燃料をキャニスタ6に吸着させる際の圧抜き通路として機能するとともに、キャニスタ6に吸着している蒸発燃料を吸気通路22へと流出させる際の外気取り込み通路として機能する。また、大気開放通路9にはエバポレーティブリークチェックモジュール(ELCM)29が介装される。ELCM29は、燃料タンク5及びキャニスタ6や、これらに繋がるタンク通路7及びキャニスタ通路8からのリークを検出するものである。
図2に示すように、ELCM29は、キャニスタ6に連通する第一流路16Aと、大気開放通路9を介して大気開放される第二流路16Bと、第一流路16A及び第二流路16Bの途中に接続される第三流路16Cと、を備える。第一流路16Aと、第二流路16B及び第三流路16Cとの間には、切替弁17が設けられる。第一流路16Aと、第二流路16B又は第三流路16Cとの接続は、この切替弁17によって切替可能に構成されている。切替弁17は、例えば、電磁ソレノイドに通電されていない状態では第一流路16Aと第二流路16Bとを連通させ、電磁ソレノイドに通電されると第一流路16Aと第三流路16Cとを連通させる。また、第三流路16Cには、キャニスタ6内に負圧を生じさせる負圧ポンプ18が設けられている。第一流路16Aと第三流路16Cとは、切替弁17を跨いで設けられる第四流路16Dを備える。この第四流路16Dには、例えば、0.5[mm]径の基準オリフィス19が設けられる。
また、密閉弁1を迂回して密閉弁1の上流側と下流側とを接続するように形成された迂回通路上には、リリーフ弁4が介装される。リリーフ弁4は、燃料タンク5の内部圧力の上限値PMAXを規定する安全弁である。密閉弁1よりも燃料タンク5側におけるタンク通路7の圧力が所定の上限値PMAX以下のときには、リリーフ弁4が閉鎖状態とされる。一方、密閉弁1よりも燃料タンク5側におけるタンク通路7の圧力が上限値PMAXを超えるとリリーフ弁4が開放され、燃料タンク5が圧抜きされる。これにより、燃料タンク5の内部圧力が上限値PMAXを越えて上昇することが防止される。
また、燃料タンク5には給油用の給油通路25が設けられ、その先端の給油口がフィラーキャップ26で閉塞されるとともに、フィラードア28の内側まで延設される。燃料の給油時には、フィラードア28が開放された後にフィラーキャップ26が回動操作されて取り外される。また、給油通路25には、燃料の逆流や蒸発燃料を含んだガス(以下「燃料蒸気」という)の流出を防止するための逆止弁27が設けられる。逆止弁27は、車両の外部から燃料タンク5に向かう方向への流体の流入を許容し、逆方向への流体の流出を阻止するように機能する。
上述の密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3,切替弁17の開閉状態(開度)及び負圧ポンプ18の作動状態は、コンピュータとして機能する制御装置30で制御される。制御装置30は、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリ等を集積した電子デバイスである。ここでいうプロセッサとは、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ)等を内蔵する処理装置(プロセッサ)である。また、ROM,RAM及び不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。制御装置30で実施される制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてROM,RAM,不揮発メモリ,リムーバブルメディア内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAM内のメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
この制御装置30には、キャニスタ圧センサ11,インマニ圧センサ12,タンク圧センサ13,エンジン回転数センサ14,ドアセンサ15が接続される。キャニスタ圧センサ11は、ELCM29内における基準オリフィス19よりも第二流路16B側に設けられ、キャニスタ6の内圧を「キャニスタ圧C」として検出する。また、インマニ圧センサ12は、吸気通路22においてスロットルバルブ23よりも下流側に設けられたサージタンク24の内部圧力を「インマニ圧PIM(吸気系圧力)」として検出するものである。ここでは、吸気通路22とタンク通路7との接続箇所近傍における圧力(負圧の大きさ)が検出される。
タンク圧センサ13は、燃料タンク5の内部圧力(気体部分の圧力)を「タンク圧P」として検出するものである。タンク圧センサ13は、燃料液面よりも上方となる位置に取り付けられる。また、エンジン回転数センサ14は、エンジン20の回転速度(エンジン回転数Ne)を検出するものである。ドアセンサ15は、フィラードア28が開放されたことを検出するものである。これらの各種センサ類11〜15で検出された情報は、制御装置30に伝達される。なお、キャニスタ圧センサ11,インマニ圧センサ12,タンク圧センサ13のそれぞれで検出される圧力は、絶対圧であってもよいし、大気圧PATMを基準としたゲージ圧であってもよい。
[2.制御の内容]
本実施形態の制御装置30は、密閉制御,圧抜き制御,タンクパージ制御,キャニスタパージ制御という四種類の制御を実施する。密閉制御及び圧抜き制御はエンジン20の作動状態にかかわらず実施可能であり、タンクパージ制御及びキャニスタパージ制御はエンジン20の作動中に実施可能である。本実施形態では、エンジン20の停止中に密閉制御又は圧抜き制御が実施されるものとし、エンジン20の作動中であってその運転状態が安定している場合に、タンクパージ制御又はキャニスタパージ制御が実施されるものとする。
また、制御装置30は、キャニスタパージ制御中に、蒸発燃料を含んだ燃料蒸気(以下「タンクガス」という)が燃料タンク5から流出するか否かを予測し、その予測結果に応じてキャニスタパージ制御を実施する。本実施形態の制御装置30は、二つの方法を使ってタンクガスの流出を予測する。第一の方法は、リリーフ弁4が開放される可能性があるか否かを判断して、その結果から予測する方法である。第二の方法は、キャニスタパージ制御中におけるタンク圧Pに基づき、キャニスタパージ制御からタンクパージ制御へ移行するか否かを判断して、その結果から予測する方法である。
[2−1.密閉制御]
密閉制御は、エンジン20の停止中に密閉弁1を閉鎖することで、燃料タンク5で発生したタンクガスの流出を防止する制御である。このとき、パージ弁3も閉鎖状態に制御される。これにより、燃料タンク5は、エンジン20の吸気通路22に対して密閉弁1とパージ弁3とで二重に遮断される。なお、バイパス弁2の開閉状態は任意であり、本実施形態では開放状態に制御される。
[2−2.圧抜き制御]
圧抜き制御は、燃料タンク5の内部圧力が大気圧PATMに比して過剰に大きくならないように、密閉弁1とバイパス弁2を開放して燃料タンク5を圧抜きする制御である。圧抜き制御は、燃料タンク5への給油の直前に実施される。このとき、パージ弁3は閉鎖状態に制御される。密閉弁1とバイパス弁2とを開放することで、燃料タンク5からキャニスタ6の大気開放通路9を介して、外部へと向かうガスの流れが生じる。これにより、燃料タンク5のタンク圧Pが低下するとともに、燃料タンク5内に存在するタンクガスとパージ用通路10内に存在する燃料蒸気とがキャニスタ6で回収される。
[2−3.タンクパージ制御]
タンクパージ制御は、エンジン20の作動中に密閉弁1を開放し、燃料タンク5内のタンクガスを吸気通路22へと吸い込ませることで、高圧となった燃料タンク5をパージ(浄化)して減圧する制御である。この制御では、パージ弁3が開放状態に制御されるとともに、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。つまり、吸気通路22に対しては燃料タンク5のみが連通した状態となり、キャニスタ6は遮断される。これにより、パージ用通路10から吸気通路22へと導入される燃料蒸気は、燃料タンク5からのタンクガスのみとなる。また、キャニスタ6には燃料蒸気が吸着しない。
なお、以下の説明では、パージ用通路10から吸気通路22へと導入される燃料蒸気を「パージガス」と呼ぶ。パージガスには、燃料タンク5から吸気通路22へと直接的に導入されるタンクガスのほか、キャニスタパージ制御中に吸気通路22へと導入される燃料蒸気(すなわち、キャニスタ6に吸着した蒸発燃料を含むキャニスタパージガス)とが含まれる。タンクガスは、キャニスタパージガスよりも単位体積当たりの蒸発燃料の含有量が多くなりうる(燃料濃度がキャニスタパージガスよりも高くなりうる)。
タンクパージ制御中に吸気通路22へと導入されるパージガス(タンクガス)の割合は、空燃比に基づいて設定される。以下、吸気通路22へ導入されるパージガスの導入割合を「パージ率R」と呼ぶ。ここでいう導入割合とは、吸気量全体に対するパージガス量の割合、又は、スロットルバルブ23側から流入した吸気(新気)量に対するパージガス量の割合を意味する。本実施形態では、後者をパージ率Rとして設定する。なお、エンジン20の空燃比は、エンジン20の運転状態やエンジン20に要求される負荷等に基づいて設定される目標空燃比に収束,一致するようにフィードバック制御される。つまり、パージ率Rは、空燃比のフィードバック制御において、エンジン20の運転状態等に基づいて設定される。
以下の説明では、タンクパージ制御中に設定されるパージ率R(すなわち、タンクガスの導入割合に相当する値)を「タンクパージ率Rt」と呼ぶ。同様に、キャニスタパージ制御中に設定されるパージ率R(すなわち、キャニスタパージガスの導入割合に相当する値)を「キャニスタパージ率Rc」と呼ぶ。
本実施形態におけるタンクパージ制御の開始条件,終了条件を以下に例示する。タンクパージ制御は、条件A,Bがともに成立した場合に開始され、条件C,Dの何れかが成立した場合に終了する。なお、条件Aは、例えばエンジン20の冷却水温が所定値以上であり、エンジン回転数Neが安定している場合に成立するものとする。ただし、燃料噴射量の学習中には、条件Aが成立しないものとする。
=タンクパージ制御の開始条件=
A.エンジン20が作動中、かつ、運転状態が安定している
B.タンク圧Pが開始圧力PS以上である(ただしPS<PMAX
=タンクパージ制御の終了条件=
C.エンジン20が停止、又は、運転状態が安定していない
D.タンク圧Pが終了圧力PF未満である(ただしPF<PS
[2−4.キャニスタパージ制御]
キャニスタパージ制御は、エンジン20の作動中にバイパス弁2を開放し、キャニスタ6に吸着している蒸発燃料を吸気通路22へと吸い込ませることで、キャニスタ6を浄化(パージ)する制御である。キャニスタパージ制御は、エンジン20の作動中、かつ、運転状態が安定している場合(上記の条件Aの成立中)であって、タンクパージ制御が実施されていないとき(上記の条件Bの不成立中)に実施される。
この制御では、パージ弁3が開放状態に制御されるとともに、密閉弁1は閉鎖状態に制御される。つまり、吸気通路22に対してキャニスタ6のみが連通した状態となり、燃料タンク5は遮断される。これにより、パージ用通路10から吸気通路22へと導入されるパージガスは、キャニスタ6からの燃料蒸気(キャニスタパージガス)のみとなるため、パージガス量の推定精度が向上し、エンジン20の制御性が向上する。
キャニスタパージ率Rcは、基本的には空燃比に基づいて(すなわちエンジン20の運転状態等に基づいて)設定される。ただし、後述する流出予測において、キャニスタパージ制御中に燃料タンク5からタンクガスが流出すると予測された場合には、空燃比に基づき設定されたキャニスタパージ率Rcが減少方向に変更される。これにより、キャニスタパージ制御中に燃料タンク5からタンクガスが流出することによって急に空燃比(パージ濃度)が変化(変動)することが防止される。また、キャニスタパージ率Rcは、タンクガスが流出すると予測された(流出可能性があると判断された)ときに下げられるため、実際にタンクガスが流出し始めたのちに空燃比のフィードバック制御によって調節される場合と比較して、空燃比の変動量が抑制される。なお、タンクガスがキャニスタガスよりも多くの蒸発燃料を含んでいる(高濃度である)場合には、上記の予測時にキャニスタパージ率Rcを減少方向に変更することで過度なリッチ化が防止される。
本実施形態における制御の名称と密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態との関係をまとめると、以下の通りである。
Figure 0006657911
[2−5.流出予測]
流出予測では、キャニスタパージ制御中に、燃料タンク5からタンクガスがパージ用通路10へ流出するか否かが予測される。ここでいう流出とは、密閉状態の燃料タンク5からタンクガスがパージ用通路10へと放出されることを意味する。例えば、リリーフ弁4が開放されてタンクガスが突然にパージ用通路10へと放出される状態も、燃料タンク5を密閉できずに燃料タンク5から常にタンクガスが漏れている状態も、ここでいう「流出」に該当する。本実施形態では、上記した二つの方法、すなわち、リリーフ弁4が開放される可能性があるか否かの判断結果を利用した方法(第一の方法)と、キャニスタパージ制御中のタンク圧Pを利用した方法(第二の方法)とから流出予測を実施する。流出予測の結果は、キャニスタパージ制御におけるキャニスタパージ率Rcに反映される。
第一の方法について説明する。キャニスタパージ制御中にリリーフ弁4が開放される可能性のある場合には、燃料タンク5からタンクガスが突然に流出する可能性がある。そのため、リリーフ弁4の開放可能性があるときには、「タンクガスが流出する」と予測され、開放可能性がないときには「タンクガスが流出しない」と予測される。リリーフ弁4の開放可能性は、例えば密閉弁1の故障判定の結果,タンク圧センサ13の故障判定等に基づいて判断される。
密閉弁1の故障形態には、密閉弁1を開放することができない閉故障と、密閉弁1を閉鎖することができない開故障とがあるが、いずれの故障形態であっても「リリーフ弁4の開放可能性あり」と判断される。例えば、密閉弁1が閉故障した場合には、圧抜き制御及びタンクパージ制御によって燃料タンク5を減圧することができないため、タンク圧Pが上昇し続け、上限値PMAXを超えてリリーフ弁4が開放されうる。また、密閉弁1が開故障した場合には、燃料タンク5を密閉状態とすることができず、燃料タンク5からタンクガスが常に漏れている状態となり、上記の「流出」に該当する。なお、燃料タンク5からタンクガスが常に漏れている状態を、上記の「流出」とみなさず、「リリーフ弁4の開放可能性なし」と判断するようにしてもよい。すなわち、密閉弁1の故障形態に応じてタンクガスの流出を予測してもよい。
本実施形態の密閉弁1の故障判定は、燃料タンク5内に大気圧PATMや負圧が導入されたときのタンク圧Pの変化や、ハーネスの断線,短絡による出力電圧の異常(電圧値異常)に基づいて実施される。例えば、圧抜き制御中及びタンクパージ制御中にタンク圧Pが低下しない場合には、密閉弁1が故障(閉故障)していると判定される。また、エンジン20の停止中に、切替弁17によって第一,第三通路16A,16Cが連通し、負圧ポンプ18によって燃料タンク5内に負圧が導入されたときにタンク圧Pが低下しない場合には、密閉弁1が故障(閉故障)していると判定される。また、密閉制御中にタンク圧Pが大気圧PATM付近から一向に上昇しない場合には、密閉弁1が故障(開故障)していると判定される。
また、タンク圧センサ13の故障判定は、例えばタンク圧センサ13から伝達される情報(信号)と燃料タンク5の状況(制御状況)とに応じて判定可能である。タンク圧センサ13が故障している場合には、タンクパージ制御が禁止されることから「リリーフ弁4の開放可能性あり」と判断される。
第二の方法について説明する。キャニスタパージ制御からタンクパージ制御へ移行した場合(上記の条件Aの成立中に条件Bも成立した場合)には、燃料タンク5からタンクガスが流出する。そのため、タンクパージ制御への移行のタイミングが近づいたときには、「タンクガスが流出する」と予測される。一方、タンクパージ制御への移行タイミングが近くないときには「タンクガスが流出しない」と予測される。本実施形態では、キャニスタパージ制御中のタンク圧Pとタンクパージ制御の開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下〔(P-PS)≦P0〕であるときに、移行タイミングが近づいたと判断されて、「タンクガスが流出する」と予測される。所定値P0は、予め設定された固定値であってもよいし、タンク圧Pの変化速度や外気温等に応じて設定,変更される可変値であってもよい。
[3.制御構成]
上記の各種制御を実施するための制御構成として、制御装置30には、判定部31と予測部32と制御部33とが設けられる。これらは、制御装置30で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子制御回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
判定部31は、上記した密閉弁1の故障判定,タンク圧センサ13の故障判定を実施するものである。判定部31は、例えば制御部33によって圧抜き制御又はタンクパージ制御が実施されているときに検出されたタンク圧Pの変化から、密閉弁1が故障しているか否かを判定する。また、エンジン20の停止中(例えば給油の直前)に、第一,第三通路16A,16Cを開放するように切替弁17を制御するとともに、負圧ポンプ18を作動させて、燃料タンク5内に負圧を導入する。このとき、バイパス弁2を開放状態に制御するとともに、パージ弁3を閉鎖状態に制御する。そして、タンク圧Pの変化から密閉弁1が故障しているか否かを判定する。また、密閉制御中におけるタンク圧Pの変化から密閉弁1が故障しているか否かを判定する。また、タンク圧センサ13からの情報に基づいて、タンク圧センサ13が故障しているか否かを判定する。本実施形態の判定部31は、密閉弁1が故障していると判定した場合又はタンク圧センサ13が故障していると判定した場合に、判定結果を予測部32に伝達する。すなわち、密閉弁1及びタンク圧センサ13がともに正常である場合には、判定部31は判定結果を伝達しない。
予測部32は、制御部33によりキャニスタパージ制御が実施されているときに上記の流出予測を実施するものである。すなわち、判定部31から判定結果が伝達された場合には、リリーフ弁4の開放可能性があると判断して「タンクガスが流出する」と予測する。一方、判定部31から判定結果が伝達されない場合には、リリーフ弁4の開放可能性はないと判断して「タンクガスが流出しない」と予測する。また、予測部32は、タンク圧Pと開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下である場合には「タンクガスが流出する」と予測する。一方、差圧(P-PS)が所定値P0よりも大きい場合には「タンクガスが流出しない」と予測する。本実施形態の予測部32は、「タンクガスが流出する」と予測した場合に限り、予測結果を制御部33に伝達する。
制御部33は、上記の密閉制御,圧抜き制御,タンクパージ制御,キャニスタパージ制御を実施するものである。ここでは、各制御の開始条件,終了条件が判定され、制御の種類に応じて密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態が制御される。また、キャニスタパージ制御及びタンクパージ制御では、空燃比に基づいてキャニスタパージ率Rc,タンクパージ率Rtが設定される。本実施形態では、設定されたパージ率Rに応じてパージ弁3の開度が制御される。
本実施形態の制御部33は、キャニスタパージ制御の実施中に予測部32から予測結果が伝達された場合には、空燃比に基づいて設定されたキャニスタパージ率Rcを下げる。ここでは、その時点での空燃比に基づいて設定されうるタンクパージ率Rtを算出し、キャニスタパージ率Rcをそのタンクパージ率Rtに設定する(Rc=Rt)。これにより、キャニスタパージ制御中に燃料タンク5から突然にタンクガスが流れ出てきた場合であっても、空燃比(パージ濃度)の突然の変化(変動)が防止される。
[4.フローチャート]
図3,図4は、上記の各種制御を実施するための制御手順を例示するフローチャートである。図3はおもにエンジン20の停止中の制御内容に対応し、図4はおもにエンジン20の安定作動中の制御内容に対応する。これらのフロー中の制御フラグFは、タンクパージ制御の実施状況を示すものであり、制御フラグGはキャニスタパージ制御の実施状況を示すものである。各制御の実施中にはF=1,G=1に設定される。なお、これらのフローとは別に、判定部31による故障判定が実施されているものとする。
図3に示すように、まず各種センサ11〜15で検出された情報が制御装置30に入力され(ステップS1)、エンジン20が作動中であるか否かが判定される(ステップS2)。ここで、エンジン20が作動中であればステップS7に進み、停止中ならばステップS3に進む。エンジン20の作動状態は、エンジン回転数Neやインマニ圧PIMなどに基づき、公知の手法を用いて判定される。
ステップS3では、フィラードア28が開放されているか否かが判定され、開放されていれば圧抜き制御が実施される(ステップS4)。圧抜き制御では、密閉弁1とバイパス弁2とが開放され、燃料タンク5が圧抜きされる。一方、フィラードア28が開放されていなければ、密閉制御が実施される(ステップS5)。密閉制御では、密閉弁1とパージ弁3とが閉鎖され、燃料タンク5で発生したタンクガスの流出が防止される。ステップS4,S5に続くステップS6では制御フラグF,GがF=0,G=0に設定され、この演算周期での制御が終了する。
また、エンジン20が作動中ならば、その運転状態が安定しているか否かが判定され(ステップS7)、安定している場合には、図4中のステップS11に進む。一方、エンジン20の運転状態が安定していない場合には、ステップS6に進み、制御フラグF,GがF=0,G=0に設定されて、この演算周期での制御が終了する。なお、エンジン20の運転状態は、エンジン回転数Neやインマニ圧PIMなどに基づき、公知の手法を用いて判定される。
図4のステップS11では、制御フラグFがF=0であるか否かが判定され、この条件が成立する場合にはステップS12に進み、成立しない場合にはステップS23に進む。ステップS12では、タンク圧Pがタンクパージ制御の開始圧力PS以上であるか否かが判定される。タンク圧Pが開始圧力PS未満であれば、制御フラグGがG=0であるか否かが判定され(ステップS13)、この条件が成立する場合にはステップS14に進み、成立しない場合にはステップS16に進む。
ステップS14では、キャニスタパージ制御が開始され、密閉弁1が閉鎖状態に制御されるとともに、バイパス弁2及びパージ弁3が開放状態に制御される。このとき、キャニスタパージ率Rcは、通常の空燃比制御(フィードバック制御)によって設定される。そして、制御フラグGがG=1に設定されて(ステップS15)、この演算周期での制御が終了する。
次の演算周期においてタンク圧Pが開始圧力PS未満であれば、ステップS13からステップS16に進み、リリーフ弁4の開放可能性の有無が判定される。ここでは、判定部31において密閉弁1又はタンク圧センサ13のいずれかが故障していると判定されたか否かが判定され、故障していれば開放可能性があると判断されてステップS18に進み、故障していなければ開放可能性がないと判断されてステップS17に進む。
ステップS17では、タンク圧Pと開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下〔(P-PS)≦P0〕であるか否かが判定され、この条件が成立する場合にはステップS18に進み、成立しない場合にはステップS20においてキャニスタパージ率Rcが空燃比制御によって設定され、この演算周期での制御を終了する。ステップS18では、その時点での空燃比に基づいてタンクパージ率Rtが算出され、続くステップS19では、キャニスタパージ率Rcがそのタンクパージ率Rtに設定される。すなわち、キャニスタパージ制御において、ステップS14又はS20で設定されたキャニスタパージ率Rcが低い値に変更され、これに伴ってパージ弁3の開度が調節される。
また、タンク圧Pが開始圧力PS以上になると、ステップS12からステップS21に進み、キャニスタパージ制御からタンクパージ制御へと移行される。タンクパージ制御が開始され、密閉弁1が開放状態に制御されるとともに、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。また、パージ弁3は開放状態が維持される。このとき、パージ率Rはすでにタンクパージ率Rtに設定されていることから、燃料タンク5からタンクガスが流出してきたとしても、空燃比の突然の変動が抑制される。なお、タンクパージ制御でのタンクパージ率Rtは、通常の空燃比制御(フィードバック制御)によって設定される。そして、制御フラグFがF=1に設定されて(ステップS22)、この演算周期での制御が終了する。
ステップS11でF=1である場合、タンク圧Pが終了圧力PF未満まで低下したか否かが判定され(ステップS23)、タンク圧Pが終了圧力PF以上であれば、ステップS24においてタンクパージ率Rtが空燃比制御によって設定され、この演算周期での制御を終了する。一方、タンク圧Pが終了圧力PF未満であれば、タンクパージ制御が終了し(ステップS25)、制御フラグF,GがF=0,G=0に設定されて、この演算周期での制御が終了する。
[5.作用,効果]
キャニスタパージ制御中のキャニスタパージ率Rcの変更について、図5,図6を用いて説明する。なお、これらの図では、説明の簡略化のために、パージ率Rc,Rtを何れも一定値としている。図5(a)〜(f)に示すように、時刻t0にキャニスタパージ制御の開始条件が成立すると、バイパス弁2,パージ弁3が開放状態に制御され、密閉弁1が閉鎖状態に制御される。このとき、パージ率Rは空燃比に基づいてキャニスタパージ率Rcに設定される。
図5(b)に示すように、時刻t1に密閉弁1の故障(例えば閉故障)が判定されると、パージ率R(キャニスタパージ率Rc)が低い値(本実施形態ではタンクパージ率Rt)に設定される。これにより、パージ弁3の開度が絞られる。そして、図5(a)に示すように、時刻t2にタンク圧Pが上限値PMAXに到達するとリリーフ弁4が開放されるが、この時点では既にキャニスタパージ率Rcが低い値に設定されているため、リリーフ弁4の開放によってタンクガスが流出しても、空燃比の突然の変化が防止される。
また、図6(a)〜(f)に示すように、時刻t10にキャニスタパージ制御の開始条件が成立すると、バイパス弁2,パージ弁3が開放状態に制御され、密閉弁1が閉鎖状態に制御される。このとき、パージ率Rは空燃比に基づいてキャニスタパージ率Rcに設定される。時刻t11にタンク圧Pと開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下になると、パージ率R(キャニスタパージ率Rc)が低い値(本実施形態ではタンクパージ率Rt)に設定される。これにより、パージ弁3の開度が絞られる。そして、時刻t12にタンク圧Pが開始圧力P0に到達すると、タンクパージ制御が開始される。すなわち、密閉弁1が開放状態に制御されるとともに、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。このとき、パージ率Rは既にタンクパージ率Rtに設定されているため、タンクパージ制御への移行時の空燃比の変動が抑制される。
(1)上述の蒸発燃料処理装置では、キャニスタパージ制御中にタンクガスが燃料タンク5から流出すると予測された場合にはキャニスタパージ率Rcが下げられることから、実際にタンクガスが流れ出てきた場合であっても、空燃比(パージ濃度)が突然変化することを防ぐことができる。これにより、エンジン20の燃焼安定性を維持することができ、失火や排ガス性能の低下を回避することができる。
(2)また、密閉弁1よりも燃料タンク5側のタンク通路7の圧力が上がり、リリーフ弁4が開放されると、燃料タンク5側からパージ用通路10へ一気にタンクガスが流出することになる。これに対し、上述の蒸発燃料処理装置では、リリーフ弁4が開放される可能性のある場合にはタンクガスが流出すると予測されるため、予めキャニスタパージ率Rcを下げておくことができ、空燃比の突然の変化にも対応することができ、燃焼安定性を維持することができる。
(3)上述の蒸発燃料処理装置では、密閉弁1の故障判定が実施され、その判定結果に基づいてリリーフ弁4の開放可能性の有無が判断されることから、タンクガスの流出予測を精度よく実施することができ、空燃比の突然の変化にも対応することができ、燃焼安定性を維持することができる。
(4)また、上述の蒸発燃料処理装置では、キャニスタパージ制御中においてタンク圧Pとタンクパージ制御の開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下であるときに、タンクパージ制御への移行タイミングが近づいたと判断されて、タンクガスが流出すると予測される。このため、キャニスタパージ制御からタンクパージ制御へと移行する前にキャニスタパージ率Rcを下げておくことができ、空燃比の突然の変化にも対応することができ、燃焼安定性を維持することができる。
(5)上述の蒸発燃料処理装置では、流出予測の方法によらず、タンクガスが流出すると予測された場合にはキャニスタパージ率Rcがタンクパージ率Rtに設定されるため、制御構成を簡素化することができる。また、タンクパージ制御への移行前に予めパージ率Rをタンクパージ率Rtに設定しておくことで、移行時における空燃比の変動をさらに抑制することができる。
[6.変形例]
上述の実施形態では、制御部33が、キャニスタパージ制御中に予測部32から予測結果が伝達された場合に、キャニスタパージ率Rcを下げている。予測部32から予測結果が伝達される場合とは、燃料タンク5からタンクガスが流出すると予測された場合であり、具体的には、リリーフ弁4の開放可能性があると判断した場合、及び、タンク圧Pと開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下である場合である。また、判定部31での故障判定ではタンク圧Pが用いられる。これらの構成から、制御部33は、キャニスタパージ制御中に、タンク圧Pに基づいてキャニスタパージ率Rcを制御するものであるともいえる。
上述の実施形態では、リリーフ弁4の開放可能性を密閉弁1の故障の有無やタンク圧センサ13の故障の有無から判断しているが、上述した以外の情報に基づいて開放可能性を判断してもよい。例えば、密閉弁1が故障しており、かつ、タンク圧Pが高圧である場合にリリーフ弁4の開放可能性があると判断してもよい。また、タンクガスの流出予測方法も上述した二つの方法に限られず、他の方法を用いてもよい。
上述の実施形態では、キャニスタパージ率Rcをタンクパージ率Rtに設定する場合に、空燃比に基づいてタンクパージ率Rtを算出する方法を例示したが、例えばタンクパージ制御中のタンクパージ率Rtを予め設定しておき、そのタンクパージ率Rtにキャニスタパージ率Rcを設定してもよい。つまり、キャニスタパージ率Rcを低い値に変更する場合に、必ずしもその時点での空燃比からタンクパージ率Rtを算出しなくてもよい。また、キャニスタパージ率Rcも空燃比から算出するのではなく、予め設定された固定値としてもよい。また、図6(f)中に一点鎖線で示すように、時刻t11にタンク圧Pと開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下になった場合に、キャニスタパージ率Rcを徐々にタンクパージ率Rtに近づけていくように設定してもよい。これにより、タンクパージ制御への移行時の空燃比の変動をより小さくすることができる。
また、キャニスタパージ率Rcを下げる場合に、キャニスタパージ率Rcをタンクパージ率Rt以外の値に設定してもよい。あるいは、タンクガスが流出すると予測した条件に応じてキャニスタパージ率Rcを変更する値を変えてもよい。例えば、密閉弁1が閉故障している場合には、タンク圧Pが上限値PMAX以上になるとリリーフ弁4が開放される。この時のタンク圧Pはタンクパージ制御の開始圧力PSよりも高いことから、密閉弁1が閉故障している場合のキャニスタパージ率Rcをタンクパージ率Rtよりも低い値に設定することが考えられる。これにより、リリーフ弁4が開放されたときの空燃比の変動をさらに抑制することができる。
上述した密閉制御,圧抜き制御,タンクパージ制御,キャニスタパージ制御の実施条件は一例であって、上述したものに限られない。
また、上述した蒸発燃料処理装置の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、タンク圧Pを減圧するための圧抜き通路をパージ用通路10とは別設し、圧抜き通路上に介装された第二密閉弁の開閉状態を制御することで圧抜き制御,密閉制御を実施してもよい。この場合、給油要求があったときに第二密閉弁を開放することで、燃料タンク5を減圧することができ、給油作業可能な状態とすることができる。また、上述の実施形態では、密閉弁1及びバイパス弁2が二位置切替弁であり、パージ弁3が可変開度制御弁となっているが、これらの弁の種類は任意に変更可能である。また、バイパス弁2は、キャニスタ通路8上に介装されていてもよい。
1 密閉弁
2 バイパス弁
3 パージ弁
5 燃料タンク
6 キャニスタ
7 タンク通路
8 キャニスタ通路
9 大気開放通路
10 パージ用通路
20 エンジン
22 吸気通路(吸気系)
30 制御装置
31 判定部
32 予測部
33 制御部
PS 開始圧力
PMAX 上限値
R パージ率
Rc キャニスタパージ率
Rt タンクパージ率

Claims (4)

  1. 燃料タンクとエンジンの吸気系とを接続するタンク通路と、
    前記タンク通路から、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタに向かって分岐形成されたキャニスタ通路と、
    前記タンク通路における分岐点よりも前記燃料タンクに近い位置に介装された密閉弁と、
    前記分岐点又は前記キャニスタ通路上に介装されたバイパス弁と、
    前記タンク通路における前記分岐点よりも前記吸気系に近い位置に介装されたパージ弁と、
    前記密閉弁を迂回して前記密閉弁の上流側と下流側とを接続した迂回通路上に介装され、前記密閉弁よりも前記燃料タンク側における前記タンク通路の圧力が所定の上限値を超えると開放されるリリーフ弁と、
    前記エンジンの作動中に前記バイパス弁を開放し、前記キャニスタに吸着した前記蒸発燃料を含むキャニスタパージガスを前記吸気系に吸入させるキャニスタパージ制御を実施する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記エンジンの作動中に前記密閉弁を開放し、前記燃料タンク内の前記蒸発燃料を含むタンクガスを前記吸気系に吸入させるタンクパージ制御を実施するものであり、
    前記キャニスタパージ制御中に、前記燃料タンクから前記タンクガスが流出すると予測した場合には、前記キャニスタパージガスの導入割合に相当するキャニスタパージ率を下げ
    前記キャニスタパージ制御中に前記リリーフ弁が開放される可能性のある場合に、前記タンクガスが流出すると予測し、
    前記リリーフ弁の開放可能性がある場合には、前記キャニスタパージ率を、前記タンクパージ制御において設定される前記タンクガスの導入割合に相当するタンクパージ率以下に設定す
    ことを特徴とする、蒸発燃料処理装置
  2. 前記制御装置は、前記密閉弁の故障判定を実施するとともに、前記故障判定の結果に基づいて前記リリーフ弁の開放可能性の有無を判断する
    ことを特徴とする、請求項記載の蒸発燃料処理装置
  3. 前記制御装置は、
    前記エンジンの作動中であって前記燃料タンクの内部圧力が所定の開始圧力以上のときに前記密閉弁を開放し、前記燃料タンク内の前記タンクガスを前記吸気系に吸入させる前記タンクパージ制御を実施するものであり、
    前記キャニスタパージ制御中において前記開始圧力と前記内部圧力との差圧が所定値以下であるときに前記タンクガスが流出すると予測する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記制御装置は、前記差圧が前記所定値以下である場合には、前記キャニスタパージ率を、前記タンクパージ制御において設定される前記タンクガスの導入割合に相当するタンクパージ率に設定する
    ことを特徴とする、請求項記載の蒸発燃料処理装置。
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