JP6657911B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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Description
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、密閉式の燃料タンクを備えた蒸発燃料処理装置に関し、空燃比の突然の変化を防止することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(4)さらに、前記制御装置は、前記差圧が前記所定値以下である場合には、前記キャニスタパージ率を、前記タンクパージ制御において設定される前記タンクガスの導入割合に相当するタンクパージ率に設定することが好ましい。
本実施形態の蒸発燃料処理装置が適用された車両の構成を図1に例示する。この車両は、走行用モータの駆動力で走行するEV(Electric Vehicle)モードと、エンジン20の駆動力を使用(又は併用)して走行するHEV(Hybrid Electric Vehicle)モードとを備えたハイブリッド車両である。エンジン20の作動時には、燃料タンク5の内部から燃料がポンプで吸い上げられ、車両の走行状態に応じた量の燃料がインジェクタ21から噴射される。また、吸入空気量は、吸気通路22(吸気系)に介装されたスロットルバルブ23で制御される。
密閉弁1は、燃料タンク5を密閉するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点よりも燃料タンク5に近い位置に配置される。密閉弁1は、基本的には常にタンク通路7を閉鎖して、燃料タンク5の密閉状態を維持するように機能する。密閉弁1は、給油時には開放されて、燃料タンク5を圧抜きする。また、密閉弁1は、エンジン20の作動中に燃料タンク5の内部圧力が上昇し過ぎた場合にも一時的に開放される。本実施形態の密閉弁1は、制御信号に応じてオン・オフ作動(開作動又は閉作動)する二位置切替弁である。
本実施形態の制御装置30は、密閉制御,圧抜き制御,タンクパージ制御,キャニスタパージ制御という四種類の制御を実施する。密閉制御及び圧抜き制御はエンジン20の作動状態にかかわらず実施可能であり、タンクパージ制御及びキャニスタパージ制御はエンジン20の作動中に実施可能である。本実施形態では、エンジン20の停止中に密閉制御又は圧抜き制御が実施されるものとし、エンジン20の作動中であってその運転状態が安定している場合に、タンクパージ制御又はキャニスタパージ制御が実施されるものとする。
密閉制御は、エンジン20の停止中に密閉弁1を閉鎖することで、燃料タンク5で発生したタンクガスの流出を防止する制御である。このとき、パージ弁3も閉鎖状態に制御される。これにより、燃料タンク5は、エンジン20の吸気通路22に対して密閉弁1とパージ弁3とで二重に遮断される。なお、バイパス弁2の開閉状態は任意であり、本実施形態では開放状態に制御される。
圧抜き制御は、燃料タンク5の内部圧力が大気圧PATMに比して過剰に大きくならないように、密閉弁1とバイパス弁2を開放して燃料タンク5を圧抜きする制御である。圧抜き制御は、燃料タンク5への給油の直前に実施される。このとき、パージ弁3は閉鎖状態に制御される。密閉弁1とバイパス弁2とを開放することで、燃料タンク5からキャニスタ6の大気開放通路9を介して、外部へと向かうガスの流れが生じる。これにより、燃料タンク5のタンク圧Pが低下するとともに、燃料タンク5内に存在するタンクガスとパージ用通路10内に存在する燃料蒸気とがキャニスタ6で回収される。
タンクパージ制御は、エンジン20の作動中に密閉弁1を開放し、燃料タンク5内のタンクガスを吸気通路22へと吸い込ませることで、高圧となった燃料タンク5をパージ(浄化)して減圧する制御である。この制御では、パージ弁3が開放状態に制御されるとともに、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。つまり、吸気通路22に対しては燃料タンク5のみが連通した状態となり、キャニスタ6は遮断される。これにより、パージ用通路10から吸気通路22へと導入される燃料蒸気は、燃料タンク5からのタンクガスのみとなる。また、キャニスタ6には燃料蒸気が吸着しない。
A.エンジン20が作動中、かつ、運転状態が安定している
B.タンク圧Pが開始圧力PS以上である(ただしPS<PMAX)
=タンクパージ制御の終了条件=
C.エンジン20が停止、又は、運転状態が安定していない
D.タンク圧Pが終了圧力PF未満である(ただしPF<PS)
キャニスタパージ制御は、エンジン20の作動中にバイパス弁2を開放し、キャニスタ6に吸着している蒸発燃料を吸気通路22へと吸い込ませることで、キャニスタ6を浄化(パージ)する制御である。キャニスタパージ制御は、エンジン20の作動中、かつ、運転状態が安定している場合(上記の条件Aの成立中)であって、タンクパージ制御が実施されていないとき(上記の条件Bの不成立中)に実施される。
流出予測では、キャニスタパージ制御中に、燃料タンク5からタンクガスがパージ用通路10へ流出するか否かが予測される。ここでいう流出とは、密閉状態の燃料タンク5からタンクガスがパージ用通路10へと放出されることを意味する。例えば、リリーフ弁4が開放されてタンクガスが突然にパージ用通路10へと放出される状態も、燃料タンク5を密閉できずに燃料タンク5から常にタンクガスが漏れている状態も、ここでいう「流出」に該当する。本実施形態では、上記した二つの方法、すなわち、リリーフ弁4が開放される可能性があるか否かの判断結果を利用した方法(第一の方法)と、キャニスタパージ制御中のタンク圧Pを利用した方法(第二の方法)とから流出予測を実施する。流出予測の結果は、キャニスタパージ制御におけるキャニスタパージ率Rcに反映される。
上記の各種制御を実施するための制御構成として、制御装置30には、判定部31と予測部32と制御部33とが設けられる。これらは、制御装置30で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子制御回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
図3,図4は、上記の各種制御を実施するための制御手順を例示するフローチャートである。図3はおもにエンジン20の停止中の制御内容に対応し、図4はおもにエンジン20の安定作動中の制御内容に対応する。これらのフロー中の制御フラグFは、タンクパージ制御の実施状況を示すものであり、制御フラグGはキャニスタパージ制御の実施状況を示すものである。各制御の実施中にはF=1,G=1に設定される。なお、これらのフローとは別に、判定部31による故障判定が実施されているものとする。
キャニスタパージ制御中のキャニスタパージ率Rcの変更について、図5,図6を用いて説明する。なお、これらの図では、説明の簡略化のために、パージ率Rc,Rtを何れも一定値としている。図5(a)〜(f)に示すように、時刻t0にキャニスタパージ制御の開始条件が成立すると、バイパス弁2,パージ弁3が開放状態に制御され、密閉弁1が閉鎖状態に制御される。このとき、パージ率Rは空燃比に基づいてキャニスタパージ率Rcに設定される。
上述の実施形態では、制御部33が、キャニスタパージ制御中に予測部32から予測結果が伝達された場合に、キャニスタパージ率Rcを下げている。予測部32から予測結果が伝達される場合とは、燃料タンク5からタンクガスが流出すると予測された場合であり、具体的には、リリーフ弁4の開放可能性があると判断した場合、及び、タンク圧Pと開始圧力PSとの差圧(P-PS)が所定値P0以下である場合である。また、判定部31での故障判定ではタンク圧Pが用いられる。これらの構成から、制御部33は、キャニスタパージ制御中に、タンク圧Pに基づいてキャニスタパージ率Rcを制御するものであるともいえる。
また、上述した蒸発燃料処理装置の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、タンク圧Pを減圧するための圧抜き通路をパージ用通路10とは別設し、圧抜き通路上に介装された第二密閉弁の開閉状態を制御することで圧抜き制御,密閉制御を実施してもよい。この場合、給油要求があったときに第二密閉弁を開放することで、燃料タンク5を減圧することができ、給油作業可能な状態とすることができる。また、上述の実施形態では、密閉弁1及びバイパス弁2が二位置切替弁であり、パージ弁3が可変開度制御弁となっているが、これらの弁の種類は任意に変更可能である。また、バイパス弁2は、キャニスタ通路8上に介装されていてもよい。
2 バイパス弁
3 パージ弁
5 燃料タンク
6 キャニスタ
7 タンク通路
8 キャニスタ通路
9 大気開放通路
10 パージ用通路
20 エンジン
22 吸気通路(吸気系)
30 制御装置
31 判定部
32 予測部
33 制御部
PS 開始圧力
PMAX 上限値
R パージ率
Rc キャニスタパージ率
Rt タンクパージ率
Claims (4)
- 燃料タンクとエンジンの吸気系とを接続するタンク通路と、
前記タンク通路から、前記燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタに向かって分岐形成されたキャニスタ通路と、
前記タンク通路における分岐点よりも前記燃料タンクに近い位置に介装された密閉弁と、
前記分岐点又は前記キャニスタ通路上に介装されたバイパス弁と、
前記タンク通路における前記分岐点よりも前記吸気系に近い位置に介装されたパージ弁と、
前記密閉弁を迂回して前記密閉弁の上流側と下流側とを接続した迂回通路上に介装され、前記密閉弁よりも前記燃料タンク側における前記タンク通路の圧力が所定の上限値を超えると開放されるリリーフ弁と、
前記エンジンの作動中に前記バイパス弁を開放し、前記キャニスタに吸着した前記蒸発燃料を含むキャニスタパージガスを前記吸気系に吸入させるキャニスタパージ制御を実施する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記エンジンの作動中に前記密閉弁を開放し、前記燃料タンク内の前記蒸発燃料を含むタンクガスを前記吸気系に吸入させるタンクパージ制御を実施するものであり、
前記キャニスタパージ制御中に、前記燃料タンクから前記タンクガスが流出すると予測した場合には、前記キャニスタパージガスの導入割合に相当するキャニスタパージ率を下げ、
前記キャニスタパージ制御中に前記リリーフ弁が開放される可能性のある場合に、前記タンクガスが流出すると予測し、
前記リリーフ弁の開放可能性がある場合には、前記キャニスタパージ率を、前記タンクパージ制御において設定される前記タンクガスの導入割合に相当するタンクパージ率以下に設定する
ことを特徴とする、蒸発燃料処理装置。 - 前記制御装置は、前記密閉弁の故障判定を実施するとともに、前記故障判定の結果に基づいて前記リリーフ弁の開放可能性の有無を判断する
ことを特徴とする、請求項1記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記制御装置は、
前記エンジンの作動中であって前記燃料タンクの内部圧力が所定の開始圧力以上のときに前記密閉弁を開放し、前記燃料タンク内の前記タンクガスを前記吸気系に吸入させる前記タンクパージ制御を実施するものであり、
前記キャニスタパージ制御中において前記開始圧力と前記内部圧力との差圧が所定値以下であるときに前記タンクガスが流出すると予測する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記制御装置は、前記差圧が前記所定値以下である場合には、前記キャニスタパージ率を、前記タンクパージ制御において設定される前記タンクガスの導入割合に相当するタンクパージ率に設定する
ことを特徴とする、請求項3記載の蒸発燃料処理装置。
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