JP3830859B2 - 圧力検出装置の故障判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を、一時的に貯蔵し、内燃機関に供給する蒸発燃料処理系内の圧力を検出する圧力検出装置の故障を判定する圧力検出装置の故障判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の故障判定装置として、例えば特開平8−74678号公報に記載されたものが知られている。この蒸発燃料処理系は、キャニスタ、燃料タンク、チャージ通路、バイパス通路およびパージ通路などで構成されており、キャニスタは、ベントシャット弁の開閉により、大気側に連通・遮断される。また、パージ通路には、パージ制御弁が設けられており、このパージ制御弁により、キャニスタから内燃機関に送られる蒸発燃料量すなわちパージ量が制御される。
【0003】
さらに、チャージ通路には、2方向弁、切換電磁弁および圧力センサが設けられている。この圧力センサは、切換電磁弁の作動により、2方向弁よりも上流側または下流側のチャージ通路に選択的に切り換えて接続され、それにより、2方向弁よりも上流側および下流側のチャージ通路内の圧力を検出する。この圧力センサの検出信号は、電子制御ユニットに送られる。また、バイパス通路は、2方向弁をバイパスするためのものであり、バイパス通路の途中には、これを開閉するバイパス弁が設けられている。以上のパージ制御弁、ベントシャット弁、切換電磁弁およびバイパス弁は、電子制御ユニットに電気的に接続されており、この電子制御ユニットにより動作が制御される。
【0004】
以上の故障判定装置では、蒸発燃料処理系における所定の圧力状態を得るために、電子制御ユニットにより、パージ制御弁、ベントシャット弁、切換電磁弁およびバイパス弁が所定の動作状態に制御されるとともに、その制御中における圧力センサの検出信号に基づき、圧力センサの故障の有無が判定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の故障判定装置によれば、圧力センサの故障判定が、上記各種の弁を所定の動作状態に制御している状態での圧力センサの検出信号に基づいて行われる。すなわち、各種の弁が正常に動作していることを前提条件としている。そのため、この前提条件が崩れ、各種の弁が正常に動作していない場合には、圧力センサが正常であるにもかかわらず故障していると誤判定されるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、圧力検出装置が正常であるにもかかわらず故障していると誤判定されるのを回避でき、判定精度を向上させることができる圧力検出装置の故障判定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、燃料タンク20内で発生した蒸発燃料を、貯蔵部(例えば実施形態における(以下、この項において同じ)キャニスタ22)に一時的に貯蔵し、内燃機関3の吸気系(吸気管5)に供給するとともに、圧力制御弁(ベントシャット弁31、パージ制御弁32)の開閉状態に応じて内部圧力(タンク内圧PTANK)が制御される蒸発燃料処理系2の当該内部圧力を検出する圧力検出装置(圧力センサ14)の故障を判定する圧力検出装置の故障判定装置1であって、圧力制御弁を駆動する弁駆動手段(ECU4)と、蒸発燃料処理系2の所定の内部圧力状態を得るために、弁駆動手段により圧力制御弁が所定の開閉状態に駆動されている状態において圧力検出装置により検出された内部圧力に基づいて、圧力検出装置の故障を暫定的に判定する故障暫定判定手段(ECU4、ステップ26,33,34,36)と、故障暫定判定手段の判定結果にかかわらず、圧力制御弁の故障を判定する弁故障判定手段(ECU4、ステップ2,8)と、弁故障判定手段および故障暫定判定手段の判定結果に応じて、圧力検出装置の故障の有無を確定する確定手段(ECU4、ステップ24,42〜47)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この圧力検出装置の故障判定装置によれば、弁駆動手段により圧力制御弁が所定の開閉状態に駆動されている状態において圧力検出装置により検出された内部圧力に基づいて、故障暫定判定手段により圧力検出装置の故障が暫定的に判定され、弁故障判定手段により、故障暫定判定手段の判定結果にかかわらず、圧力制御弁の故障が判定されるとともに、確定手段により、弁故障判定手段および故障暫定判定手段の判定結果に応じて、圧力検出装置の故障の有無が確定される。したがって、圧力検出装置が故障していると暫定的に判定された場合において、圧力制御弁が故障していると判定されたときには、圧力検出装置が正常であると確定できる一方、圧力制御弁が正常であると判定されたときには、圧力検出装置が故障していると確定できる。その結果、圧力検出装置が正常であるにもかかわらず故障していると誤判定されるのを回避でき、判定精度を向上させることができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の圧力検出装置(圧力センサ14)の故障判定装置1において、圧力制御弁は、蒸発燃料処理系2から吸気系(吸気管5)に供給される蒸発燃料の量を制御するためのパージ制御弁32を含み、弁故障判定手段(ECU4)は、パージ制御弁32の故障を判定することを特徴とする。
【0010】
一般に、蒸発燃料処理系では、パージ制御弁が正常である場合、パージ制御弁により、蒸発燃料を蒸発燃料処理系から吸気系に供給すると、吸気系の負圧の影響により蒸発燃料処理系の内部圧力が低下するように変化する。したがって、この圧力検出装置の故障判定装置によれば、弁故障判定手段より、パージ制御弁が正常であると判定されている場合、圧力検出装置により検出された内部圧力がそのような傾向を示すか否かを判定することにより、圧力検出装置が故障しているか否かを確定することができる。また、一般に、パージ制御弁は、蒸発燃料処理系に設けられているものであるので、そのようなパージ制御弁を利用しながら、格別の判定用の機器を付加することなく、圧力検出装置の故障判定を実行することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の圧力検出装置(圧力センサ14)の故障判定装置1において、圧力制御弁は、貯蔵部の内部を大気側に開放する状態と遮断する状態とに切換可能なベントシャット弁31を含み、弁故障判定手段(ECU4)は、ベントシャット弁31の故障を判定することを特徴とする。
【0012】
一般に、蒸発燃料処理系では、ベントシャット弁が正常である場合、ベントシャット弁により、貯蔵部の内部を大気側に開放すると、蒸発燃料処理系の内部圧力が大気圧に近づくように変化する。したがって、この圧力検出装置の故障判定装置によれば、弁故障判定手段より、ベントシャット弁が正常であると判定されている場合、圧力検出装置により検出された内部圧力がそのような傾向を示すか否かを判定することにより、圧力検出装置が故障しているか否かを確定することができる。また、一般に、ベントシャット弁は、蒸発燃料処理系に設けられているものであるので、そのようなベントシャット弁を利用しながら、格別の判定用の機器を付加することなく、圧力検出装置の故障判定を実行することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る圧力検出装置の故障判定装置について説明する。本実施形態の故障判定装置は、内燃機関(以下「エンジン」という)の蒸発燃料処理系に設けられた圧力検出装置の故障判定を行うものであり、図1は、本実施形態の故障判定装置1が適用された圧力検出装置としての圧力センサ14、およびこれを備えたエンジン3の蒸発燃料処理系2の概略構成を示している。この故障判定装置1は、ECU4を備えており、このECU4の詳細については後述する。
【0014】
エンジン3は、ガソリンエンジンであり、図示しない車両に搭載されている。このエンジン3の本体には、エンジン水温センサ10およびクランク角センサ11が取り付けられている。エンジン水温センサ10は、エンジン3の冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出し、その検出信号を後述するECU4に送る。一方、クランク角センサ11は、エンジン3のクランクシャフト(図示せず)の回転に伴い、所定のクランク角ごとに、パルス信号であるCRK信号をECU4に出力する。ECU4は、このCRK信号に基づき、エンジン回転数NEを算出する。
【0015】
エンジン3の吸気管5(吸気系)には、スロットル弁6が設けられ、その下流側には、吸気管内絶対圧センサ12が取り付けられている。吸気管内絶対圧センサ12は、吸気管5内の吸気管内絶対圧PBAを検出し、その検出信号をECU4に送る。また、スロットル弁6の開度THは、スロットル弁開度センサ13によって検出され、その検出信号はECU4に出力される。
【0016】
さらに、吸気管5の吸気管内絶対圧センサ12よりも下流側には、インジェクタ7が吸気ポート(図示せず)に臨むように取り付けられている。このインジェクタ7の開弁時間である燃料噴射時間TOUTは、ECU4によって制御される。また、インジェクタ7は、燃料供給管8を介して燃料タンク20に接続されており、この燃料供給管8の途中には、インジェクタ7に燃料を圧送する燃料ポンプ9が設けられている。
【0017】
蒸発燃料処理系2は、燃料タンク20、チャージ通路21、キャニスタ22およびパージ通路23などを備えており、燃料タンク20内で発生した蒸発燃料を、キャニスタ22(貯蔵部)に一時的に貯留し、吸気管5内に適宜、放出するものである。
【0018】
燃料タンク20は、チャージ通路21を介して、キャニスタ22に接続されており、燃料タンク20内で発生した蒸発燃料は、チャージ通路21を介してキャニスタ22に送られる。燃料タンク20には、フロート弁20aが設けられている。このフロート弁20aは、チャージ通路21の燃料タンク20側のポートを開閉するものであり、通常はポートを開放しており、燃料タンク20が満タン状態のときや燃料タンク20内の燃料が揺れたときなどには、ポートを閉鎖することにより、燃料がチャージ通路21側に流れ込むのを阻止する。
【0019】
チャージ通路21の燃料タンク20側には、前記圧力センサ14が配置されている。この圧力センサ14は、例えば圧電素子で構成され、チャージ通路21内の圧力を検出し、その検出信号をECU4に出力する。このチャージ通路21内の圧力は、通常は燃料タンク20内の圧力にほぼ等しいので、以下、タンク内圧PTANKという。なお、本実施形態では、圧力センサ14の零点ずれ量を算出するとともに、その零点ずれ量に基づいて圧力センサ14の検出値を補正した値を、「タンク内圧PTANK」という。
【0020】
また、チャージ通路21の圧力センサ14とキャニスタ22の間には、2方向弁25が設けられている。この2方向弁25は、いずれもダイアフラム式の正圧弁および負圧弁を組み合わせた機械式弁で構成されている。この正圧弁は、タンク内圧PTANKが上限圧、すなわち大気圧よりも所定圧分高い所定圧力に達したときに開弁するように構成されており、その開弁により、燃料タンク20内の蒸発燃料がキャニスタ22に送られる。また、負圧弁は、タンク内圧PTANKが下限圧、すなわちキャニスタ22側の圧力よりも所定圧分低い所定圧力に達したときに開弁するように構成されており、その開弁により、キャニスタ22に貯えられていた蒸発燃料が燃料タンク20に戻される。
【0021】
さらに、チャージ通路21には、2方向弁25をバイパスするようにバイパス通路26が設けられている。このバイパス通路26には、バイパス弁30が設けられている。このバイパス弁30は、常閉タイプの電磁弁で構成されており、通常はバイパス通路26を閉鎖し、ECU4の制御によって励磁されたときに開弁することにより、バイパス通路26を開放する。
【0022】
キャニスタ22は、活性炭を内蔵しており、この活性炭によって蒸発燃料が吸着される。このキャニスタ22には、大気側に開口する大気通路27が接続されており、大気通路27には、これを開閉するベントシャット弁31が設けられている。このベントシャット弁31(圧力制御弁)は、常開タイプの電磁弁で構成されており、通常は大気通路27を開放し、ECU4の制御により励磁されたときに大気通路27を閉鎖する。
【0023】
パージ通路23は、キャニスタ22と吸気管5を連結しており、パージ通路23の途中には、これを開閉するパージ制御弁32が設けられている。このパージ制御弁32(圧力制御弁)は、電磁弁で構成されており、その開度は、ECU4からの駆動信号のデューティ比に応じて連続的に変化するように制御される。上記ベントシャット弁31が開弁状態のときに、パージ制御弁32が開弁することによって、キャニスタ22に貯えられた蒸発燃料が、吸気管5内の負圧により吸気管5内に送り込まれる(パージされる)。ECU4は、パージ制御弁32の開度をデューティ制御することにより、キャニスタ22から吸気管5に送り込まれる蒸発燃料の流量、すなわちパージ流量を制御する。
【0024】
ECU4は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述した各種センサ10〜14からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
【0025】
CPUは、これらの入力信号に応じて、エンジン3の運転状態を判別するとともに、判別した運転状態に応じ、ROMに記憶された制御プログラムおよびデータや、RAMに記憶されたデータなどに従って、上述した各種の弁30〜32の動作を制御する。これにより、蒸発燃料処理系2の動作を制御するとともに、ベントシャット弁31およびパージ制御弁32の故障と、蒸発燃料処理系2のリークとを判定する処理、および圧力センサ14の故障判定処理などを実行する。
【0026】
以下、ベントシャット弁31およびパージ制御弁32の故障と、蒸発燃料処理系2のリークとを判定する処理について、図2〜図4を参照しながら説明する。図2は、そのメインルーチンを示し、図3は、それにより得られる蒸発燃料処理系2の動作例を示している。この処理は、エンジン3の始動後を含むエンジン運転中に実行される。
【0027】
まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)で、大気開放処理を実行する。この処理では、バイパス弁(「BSV」と図示。以下同じ)30およびベントシャット弁(「VSV」と図示。以下同じ)31を開放するとともに、パージ制御弁(「PCS」と図示。以下同じ)32を閉鎖することにより、蒸発燃料処理系2が大気側に開放される(図3参照)。これにより、この大気開放処理中、圧力センサ14、ベントシャット弁31およびパージ制御弁32がいずれも正常に動作している場合には、図3に示すように、タンク内圧PTANKが大気圧(1atm)付近の値に近づくように制御される。
【0028】
次に、ステップ2に進み、PCS故障判定処理を実行する。この処理は、パージ制御弁32の故障の有無を判定するものであり、具体的には、以下のように実行される。まず、大気開放処理の終了後、所定の待機時間が経過するまで、バイパス弁30、ベントシャット弁31およびパージ制御弁32を大気開放処理と同じ動作状態に保持する。その後、待機時間が経過したときに、バイパス弁30を開放状態に、パージ制御弁32を閉鎖状態にそれぞれ保持するとともに、ベントシャット弁31を閉鎖状態に切り替える(図3参照)。すなわち、パージ制御弁32を閉鎖したままでベントシャット弁31を閉鎖することによって、蒸発燃料処理系2内を大気圧および吸気管5内の負圧の影響を受けない状態にする。
【0029】
その状態で所定の判定時間が経過するまでの間において、タンク内圧PTANKの所定サンプリング時間ごとの変化量の絶対値が所定のしきい値を超えた回数が、所定値を上回った場合には、パージ制御弁32が実際には完全に閉鎖していないために、蒸発燃料処理系2内の圧力が吸気管5側に漏れているとして、パージ制御弁32が故障していると判定し、それを表すためにPCS故障判定フラグF_PCSNGを「1」にセットする。
【0030】
一方、所定の判定時間が経過するまでの間において、上記変化量の絶対値が所定のしきい値以下であった回数が、所定値を上回った場合には、パージ制御弁32が正常であると判定し、それを表すためにPCS正常判定フラグF_PCSOKを「1」にセットする。以上のように、このPCS故障判定処理では、パージ制御弁32の故障の有無が判定されるとともに、その判定結果に応じて、2つのフラグF_PCSNG,F_PCSOKのいずれか一方が「1」にセットされる。なお、これらのフラグF_PCSNG,F_PCSNGはいずれも、エンジン始動時に「0」にリセットされる。
【0031】
次いで、ステップ3に進み、上記ステップ2の実行により、PCS故障判定フラグF_PCSNGが「1」に、かつPCS正常判定フラグF_PCSOKが「0」にそれぞれ設定されているか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、後述するステップ6のリーク判定処理やステップ8のVSV故障判定処理などを実行することなく、そのまま本処理を終了する。これは、パージ制御弁32が故障していると判定されたことによって、リーク判定処理については、その判定が適切に行えない可能性があり、VSV故障判定処理については、その故障を判定する必要がないためである。
【0032】
一方、ステップ3の判別結果がNOで、パージ制御弁32が正常であると判定されているときには、ステップ4に進み、故障暫定判定フラグF_KNGが「1」であるか否かを判別する。この故障暫定判定フラグF_KNGは、後述する圧力センサ14の故障判定処理において、圧力センサ14が故障していると暫定的に判定されたときに「1」に、それ以外のときに「0」にそれぞれセットされる。
【0033】
ステップ4の判別結果がYESのときには、圧力センサ14またはベントシャット弁31が正常に動作していないために、やはりリーク判定を適切に行えないおそれがあるとして、ステップ5〜7をスキップし、ステップ8に進み、VSV故障判定処理を実行する。
【0034】
一方、ステップ4の答がNOのとき、すなわち圧力センサ14が暫定的に故障していると判定されておらず、かつステップ2でパージ制御弁32が正常であると判定されているときには、リーク判定を実行するために、ステップ5において、パージ制御弁32を閉鎖状態に保持するとともに、バイパス弁30を閉鎖状態に、ベントシャット弁31を開放状態にそれぞれ切り替える(図3参照)。そして、その状態でリーク判定の実行条件が成立するまで待機する。
【0035】
次に、ステップ6において、リーク判定処理を実行する。図4は、このリーク判定処理のサブルーチンを示しており、同図に示すように、この処理では、まず、ステップ11において、大気開放モードを実行する。この処理は、ベントシャット弁31を開放状態に、パージ制御弁32を閉鎖状態にそれぞれ保持するとともに、バイパス弁30を開放状態に切り替えることによって、タンク内圧PTANKを大気圧にほぼ等しい状態になるように制御するものである(図3参照)。
【0036】
この大気開放モードの終了後、オープン減圧モードに移行する(ステップ12)。このオープン減圧モードでは、バイパス弁30を開放状態に保持し、ベントシャット弁31を閉鎖状態に切り替えるとともに、パージ制御弁32をデューティ制御することにより、吸気管5内の負圧を蒸発燃料処理系2内に導入する。これにより、タンク内圧PTANKが、大気圧とほぼ等しい基準圧PATMTKMから減圧され(図3参照)、その後、タンク内圧PTANKが所定の下限圧DPTOBJLOを下回ったときに、フィードバック(「F/B」と図示。以下同じ)減圧モードに移行する(ステップ13)。
【0037】
このフィードバック減圧モードでは、タンク内圧PTANKが減圧目標値PTGROSLKに収束するように、パージ制御弁32がフィードバック制御される(図3参照)。この減圧目標値PTGROSLKは、前記下限圧DPTOBJLOと所定の上限圧DPTOBJHIの間の値として設定されている。
【0038】
次に、タンク内圧PTANKが減圧目標値PTGROSLKに収束したときに、リークチェックモードに移行する(ステップ14)。このリークチェックモードでは、バイパス弁30を開放状態に、ベントシャット弁31を閉鎖状態にそれぞれ保持するとともに、パージ制御弁32を閉鎖状態に切り替える(図3参照)。そして、それ以降のタンク内圧PTANKの推移に基づいて、蒸発燃料処理系2内のリークの有無を判定し、本処理を終了する。具体的には、リークチェックモードへの移行後、所定時間内におけるタンク内圧PTANKの変化量をその所定の判定値と比較することによってリークの有無を判定する。
【0039】
図2に戻り、前記ステップ6のリーク判定処理に続いて、安定待ち処理を実行する(ステップ7)。この処理では、図3に示すように、バイパス弁30を閉鎖状態に、ベントシャット弁31を開放状態にそれぞれ切り替えるとともに、パージ制御弁32の開度をデューティ制御する。それにより、リーク判定処理のために大気圧よりも低い状態に制御されたタンク内圧PTANKを、大気圧とほぼ等しい状態になるように制御する。
【0040】
前記ステップ4または上記ステップ7に続くステップ8では、VSV故障判定処理を実行する。この処理は、ベントシャット弁31の故障の有無を判定するものであり、具体的には、図3に示すように、ベントシャット弁31を開放状態に保持し、バイパス弁30を開放状態に切り替えるとともに、パージ制御弁32の開度をデューティ制御する。その状態で所定の判定時間が経過するまでの間において、タンク内圧PTANKの所定サンプリング時間ごとの変化量の絶対値が所定のしきい値を超えた回数が、所定値を上回った場合には、ベントシャット弁31が実際には適切に開弁していないために、吸気管5内の負圧の影響によりタンク内圧PTANKが低下している状態にあるとして、ベントシャット弁31が故障していると判定し、それを表すためにVSV故障判定フラグF_VSVNGを「1」にセットする。
【0041】
一方、所定の判定時間が経過するまでの間において、上記変化量の絶対値が所定のしきい値以下であった回数が、所定値を上回った場合には、ベントシャット弁31が正常であると判定し、それを表すためにVSV正常判定フラグF_VSVOKを「1」にセットする。以上のように、このVSV故障判定処理では、ベントシャット弁31の故障の有無が判定されるとともに、その判定結果に応じて、2つのフラグF_VSVNG,F_VSVOKのいずれか一方が「1」にセットされる。なお、これらのフラグF_VSVNG,F_VSVNGはいずれも、エンジン始動時に「0」にリセットされる。以上のようにVSV故障判定処理を実行した後、本処理を終了する。
【0042】
次に、図5および図6を参照しながら、圧力センサ14の故障判定処理について説明する。本処理は、エンジン3の始動後を含むエンジン運転中、前述した図2の判定処理に並行して、所定時間(例えば80msec)ごとに実行される。
【0043】
まず、本処理では、ステップ21において、判定許可フラグF_GOが「1」である否かを判別する。この判定許可フラグF_GOは、圧力センサ14、パージ制御弁32およびベントシャット弁31以外の他の機器の故障が検出されていないときには「1」に、検出されているときには「0」にそれぞれセットされる。この判別結果がNOで、他の機器の故障が検出されているときには、図6のステップ38,39において、正常判定カウンタの計数値CCOKおよび故障判定カウンタの計数値CCNGをそれぞれ値0にセットする。
【0044】
次に、ステップ40,41において、故障暫定判定フラグF_KNGおよびセンサモニタ実行中フラグF_FSCBPSをそれぞれ「0」にセットした後、本処理を終了する。
【0045】
図5に戻って、ステップ21の判別結果がYESで、他の機器の故障が検出されていないときには、ステップ22に進み、判定実行済みフラグF_DONEが「1」であるか否かを判別する。この判定実行済みフラグF_DONEは、エンジン3の始動時に「0」にセットされ、後述するように、本処理による圧力センサ14の故障の有無が判定されたときに「1」にセットされる(後述するステップ32,48参照)。この判別結果がYESで、圧力センサ14の故障判定を実行済みであるときには、前記ステップ38〜41を実行した後、本処理を終了する。
【0046】
一方、ステップ22の判別結果がNOで、圧力センサ14の故障判定を実行済みでないときには、ステップ23に進み、ホットスタートフラグF_DLKSOAKEが「1」であるか否かを判別する。このホットスタートフラグF_DLKSOAKEは、エンジン3がホットスタートされたときには「1」に、コールドスタートされたときには「0」にそれぞれセットされる。
【0047】
このステップ23の判別結果がYESで、今回の運転がエンジン3のホットスタート後であるときには、誤判定のおそれがあるとして、ステップ48に進み、判定実行済みフラグF_DONEを「1」にセットした後、本処理を終了する。これにより、今回の運転期間中、圧力センサ14の故障判定が禁止される。
【0048】
一方、ステップ23の判別結果がNOで、コールドスタート後であるときには、ステップ24に進み、故障暫定判定フラグF_KNGが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ25に進み、センサモニタ開始フラグF_PTANSTOKが「1」であるか否かを判別する。このセンサモニタ開始フラグF_PTANSTOKは、前記ステップ1の大気開放処理の開始後、所定時間が経過したときに「1」に、それ以外のときに「0」にそれぞれセットされる。
【0049】
この判別結果がNOのときには、前記ステップ38〜41を実行した後、本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、大気開放処理の開始後、所定時間が経過したときには、図6のステップ26に進み、圧力センサ14により検出されたタンク内圧PTANKが、下限値PTVENTL以上で上限値PTVENTH以下の範囲内にあるか否かを判別する。これらの下限値PTVENTLおよび上限値PTVENTHはそれぞれ、大気圧付近の所定値に予め設定される。
【0050】
この判別結果がYESで、タンク内圧PTANKが上記範囲内にあるときには、ステップ27に進み、正常判定カウンタの計数値CCOKをインクリメントする。
【0051】
次に、ステップ28に進み、正常判定カウンタの計数値CCOKが所定の判定値CTCJUD以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ29に進み、センサモニタ実行中フラグF_FSCBPSを「1」にセットした後、本処理を終了する。このセンサモニタ実行中フラグF_FSCBPSが「1」にセットされている場合、バイパス弁30およびベントシャット弁31がいずれも開放状態に保持されるとともに、パージ制御弁32が閉鎖状態に保持される。すなわち、前述した大気開放処理が継続して実行される。
【0052】
一方、ステップ28の判別結果がYESで、タンク内圧PTANKが前記範囲内にある状態の発生回数、すなわち大気圧付近にある状態の発生回数が判定値CTCJUD以上になったときには、圧力センサ14が正常であるとして、ステップ30に進み、それを表すために正常判定フラグF_OKを「1」にセットする。
【0053】
次に、ステップ31に進み、センサモニタ実行中フラグF_FSCBPSを「0」にセットする。これにより、前述した大気開放処理からPCS故障判定処理に移行する。次いで、ステップ32に進み、判定実行済みフラグF_DONEを「1」にセットした後、本処理を終了する。
【0054】
一方、ステップ26の判別結果がNOで、タンク内圧PTANKが前記範囲外にあるとき(すなわちPTANK<PTVENTLまたはPTVENTH<PTANKのとき)には、ステップ33に進み、故障判定カウンタの計数値CCNGをインクリメントする。
【0055】
次に、ステップ34に進み、故障判定カウンタの計数値CCNGが前記判定値CTCJUD以上であるか否かを判別する。この判別結果がNOのときには、ステップ35に進み、前記ステップ29と同様に、センサモニタ実行中フラグF_FSCBPSを「1」にセットした後、本処理を終了する。
【0056】
一方、ステップ34の判別結果がYESで、タンク内圧PTANKが前記範囲外にある状態の発生回数、すなわち大気圧付近にない状態の発生回数が判定値CTCJUD以上になったときには、圧力センサ14が暫定的に故障しているとして、ステップ36に進み、それを表すために故障暫定判定フラグF_KNGを「1」にセットする。
【0057】
次に、ステップ37に進み、前記ステップ31,41と同様に、センサモニタ実行中フラグF_FSCBPSを「0」にセットした後、本処理を終了する。
【0058】
一方、前記ステップ24の判別結果がYESで、圧力センサ14が暫定的に故障していると判定済みであるときには、ステップ42に進み、前述したPCS故障判定フラグF_PCSNGが「1」であるか否かを判別する。
【0059】
この判別結果がYESで、パージ制御弁32が故障していると判定済みであるときには、圧力センサ14が正常であるとして、ステップ45に進み、それを表すために正常判定フラグF_OKを「1」にセットする。次に、前記ステップ48を実行した後、本処理を終了する。
【0060】
一方、ステップ42の判別結果がNOのときには、ステップ43に進み、前述したPCS正常判定フラグF_PCSOKが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、パージ制御弁32の故障の有無が判定されていないときには、そのまま本処理を終了する。一方、この判別結果がYESで、パージ制御弁32が正常であると判定済みであるときには、ステップ44に進み、前述したVSV故障判定フラグF_VSVNGが「1」であるか否かを判別する。
【0061】
この判別結果がYESで、ベントシャット弁31が故障していると判定済みであるときには、圧力センサ14が正常であるとして、前記ステップ45を実行し、次に、前記ステップ48を実行した後、本処理を終了する。
【0062】
一方、ステップ44の判別結果がNOのときには、ステップ46に進み、VSV正常判定フラグF_VSVOKが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がNOで、ベントシャット弁31の故障の有無が判定されていないときには、そのまま本処理を終了する。
【0063】
一方、ステップ46の判別結果がYESで、ベントシャット弁31が正常であると判定済みであるときには、圧力センサ14が故障しているとして、ステップ47に進み、それを表すために故障確定フラグF_FSDを「1」にセットする。次いで、前記ステップ48を実行した後、本処理を終了する。
【0064】
以上の本実施形態の故障判定装置1によれば、大気開放処理中、これを開始してから所定時間が経過した以降、タンク内圧PTANKが大気圧付近にない状態(PTANK<PTVENTLまたはPTVENTH<PTANKの状態)の発生回数が判定値CTCJUD以上になったときには、圧力センサ14が故障していると暫定的に判定される。そして、そのように暫定的に判定された場合において、ベントシャット弁31およびパージ制御弁32がいずれも正常であると判定されたときには、圧力センサ14が故障していると確定される。一方、ベントシャット弁31またはパージ制御弁32が故障していると判定されたときには、圧力センサ14が正常であると確定される。したがって、圧力センサ14が正常であるにもかかわらず故障していると誤判定されるのを回避でき、判定精度を向上させることができる。
【0065】
また、一般に、パージ制御弁32およびベントシャット弁31は、蒸発燃料処理系2に設けられているものであるので、そのような2つの弁を利用しながら、格別の判定用の機器を付加することなく、圧力センサ14の故障判定を実行することができる。
【0066】
なお、本発明の故障判定装置は、実施形態の圧力センサ14に限らず、蒸発燃料処理系2内の圧力を検出する圧力検出装置であれば適用可能である。また、本発明の故障判定装置は、バイパス弁30および2方向弁25が省略された蒸発燃料処理系2内の圧力を検出する圧力検出装置に適用してもよい。さらに、圧力制御弁は、実施形態のベントシャット弁31およびパージ制御弁32のような電磁弁に限らず、電動弁などの開閉状態に応じて蒸発燃料処理系2内の圧力を制御可能なものであればよい。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明の圧力検出装置の故障判定装置によれば、圧力検出装置が正常であるにもかかわらず故障していると誤判定されるのを回避でき、判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る故障判定装置、およびこれが適用された圧力検出装置を備えた蒸発燃料処理系の概略構成を示す図である。
【図2】ベントシャット弁およびパージ制御弁の故障と、蒸発燃料処理系のリークとを判定する処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】蒸発燃料処理系の動作例を示すタイミングチャートである。
【図4】図2のステップ6のリーク判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】圧力センサの故障判定処理の一部を示すフローチャートである。
【図6】図5の続きを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 故障判定装置
2 蒸発燃料処理系
3 内燃機関
4 ECU(弁駆動手段、故障暫定判定手段、弁故障判定手段、確定手段)
5 吸気管(吸気系)
14 圧力センサ(圧力検出装置)
20 燃料タンク
22 キャニスタ(貯蔵部)
31 ベントシャット弁(圧力制御弁)
32 パージ制御弁(圧力制御弁)
PTANK タンク内圧(蒸発燃料処理系の内部圧力)
Claims (3)
- 燃料タンク内で発生した蒸発燃料を、貯蔵部に一時的に貯蔵し、内燃機関の吸気系に供給するとともに、圧力制御弁の開閉状態に応じて内部圧力が制御される蒸発燃料処理系の当該内部圧力を検出する圧力検出装置の故障を判定する圧力検出装置の故障判定装置であって、
前記圧力制御弁を駆動する弁駆動手段と、
前記蒸発燃料処理系の所定の内部圧力状態を得るために、前記弁駆動手段により前記圧力制御弁が所定の開閉状態に駆動されている状態において前記圧力検出装置により検出された内部圧力に基づいて、前記圧力検出装置の故障を暫定的に判定する故障暫定判定手段と、
当該故障暫定判定手段の判定結果にかかわらず、前記圧力制御弁の故障を判定する弁故障判定手段と、
当該弁故障判定手段および前記故障暫定判定手段の判定結果に応じて、前記圧力検出装置の故障の有無を確定する確定手段と、
を備えることを特徴とする圧力検出装置の故障判定装置。 - 前記圧力制御弁は、前記蒸発燃料処理系から前記吸気系に供給される前記蒸発燃料の量を制御するためのパージ制御弁を含み、
前記弁故障判定手段は、前記パージ制御弁の故障を判定することを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置の故障判定装置。 - 前記圧力制御弁は、前記貯蔵部の内部を大気側に開放する状態と遮断する状態とに切換可能なベントシャット弁を含み、
前記弁故障判定手段は、前記ベントシャット弁の故障を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の圧力検出装置の故障判定装置。
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