JP6641971B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉タンク式の蒸発燃料処理装置に関する。
従来、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタに吸着させ、その吸着燃料をエンジンの運転中に吸気系へとパージさせる蒸発燃料処理装置が知られている。すなわち、蒸発燃料を一時的にキャニスタで捕集しつつエンジンに吸引させて、蒸発燃料の大気中への放出を防止するものである。このような蒸発燃料処理装置が搭載されたエンジンでは、キャニスタから脱離する蒸発燃料量を考慮して、燃料噴射量や吸入空気量が制御される。
一方、近年では、走行用モータを主体的に使用して走行し、エンジンを補助的に使用するハイブリッド車両(PHEV,PHV)が開発されている。このようなハイブリッド車両は、エンジンのみを動力源とする車両と比較してエンジンの作動時間が短く、キャニスタに吸着された蒸発燃料をパージする機会が少ない。そこで、燃料タンクとキャニスタとを接続する通路上に密閉弁を設け、燃料タンクの密閉状態をできるだけ長く維持することで、燃料の蒸発やキャニスタへの吸着を抑制する技術が提案されている。
例えば、燃料タンクの内部圧力は、タンク内の温度が高くなるほど上昇し、燃料量が減少するにつれて低下する傾向を持つ。そこで、燃料タンクの内部圧力が所定圧力を超えない限り、密閉弁を常に閉鎖しておくことが考えられる。また、燃料タンクへの給油時に内部圧力が大気圧よりも高くなっていると、フィラーキャップの開放時に給油口から燃料が吹き返すおそれがある。そこで、給油の直前に密閉弁を開放して、燃料タンクの圧抜きをすることも考えられる(特許文献1,2参照)。これらの制御を実施することで、燃料の蒸発やキャニスタへの吸着を抑制することができる。
特開2015−081528号公報 特開2014−092069号公報
しかしながら、密閉式の燃料タンクでは、燃料の貯留量や気温といった様々な要因で蒸発燃料量が増減すると内部圧力が変動するため、燃圧補正が正しく行われず、インジェクタから噴射される燃料量が車両の走行状態に応じた適切な量とならないおそれがある。すなわち、密閉式の燃料タンクを備えた車両では、燃料タンク内の圧力を適切に認識,把握しなければ正しい燃圧補正を行うことが難しいという課題がある。
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、密閉式の燃料タンクを備えた蒸発燃料処理装置に関し、燃圧補正を正しく行うことを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
(1)ここで開示する蒸発燃料処理装置は、燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタと前記燃料タンクとを接続する通路上に密閉弁が介装された密閉タンク式の蒸発燃料処理装置である。本装置は、前記燃料タンク内の絶対圧をタンク圧として検出する絶対圧センサと、前記絶対圧センサからの出力に基づいて、前記絶対圧センサが正常であるか否かを判定する判定部と、前記判定部で前記絶対圧センサが正常でないと判定された場合に、その判定結果に基づいて前記タンク圧を所定の圧力範囲内の値に制限する補正部と、を備える。
(2)前記判定部は、前記タンク圧が第一閾値以上かつ前記第一閾値よりも高い第二閾値未満のときに前記絶対圧センサが異常であると判定し、前記補正部は、前記判定部で異常と判定された場合には前記タンク圧を前記圧力範囲内の値に制限するものであることが好ましい。この場合、前記第一閾値は、前記燃料タンクの内部圧力が到達しうる高圧側の限界値以上の値に設定されることが好ましい。
(3)前記判定部は、前記タンク圧が前記第二閾値以上のときに前記絶対圧センサが異常であるとは判定せず、故障していると判定し、前記補正部は、前記判定部で故障と判定された場合には、前記タンク圧を大気圧の変動範囲内の値に制限することが好ましい。すなわち、「故障」と判定された場合には、前記補正部は、前記圧力範囲を大気圧が変動し得る範囲(大気圧範囲)とすることが好ましい。なお、ここでいう「故障」とは、「異常」よりも異常度合い(レベル)が高い状態を意味する。
(4)前記蒸発燃料処理装置は、大気圧を検出する大気圧センサを備えることが好ましい。この場合、前記判定部は、前記第一閾値を前記大気圧に基づいて設定することが好ましい。
(5)前記判定部は、前記タンク圧が第三閾値未満かつ前記第三閾値よりも低い第四閾値以上のときに前記絶対圧センサが異常であると判定し、前記補正部は、前記判定部で異常と判定された場合には前記タンク圧を前記圧力範囲内の値に制限するものであることが好ましい。この場合、前記第三閾値は、前記燃料タンクの内部圧力が到達しうる低圧側の限界値以下の値に設定されることが好ましい。
(6)前記判定部は、前記タンク圧が前記第四閾値未満のときに前記絶対圧センサが異常であるとは判定せず、故障していると判定し、前記補正部は、前記判定部で故障と判定された場合には、前記タンク圧を大気圧の変動範囲内の値に制限することが好ましい。
(7)前記判定部は、前記絶対圧センサからの出力がないときに前記絶対圧センサが故障していると判定し、前記補正部は、前記判定部で故障と判定された場合には、前記タンク圧を大気圧の変動範囲内の値に制限することが好ましい。
(8)前記圧力範囲は、前記燃料タンクの内部圧力が到達しうる最大範囲に設定されていることが好ましい。
(9)前記蒸発燃料処理装置は、前記絶対圧センサで検出された前記タンク圧、又は、前記補正部で制限された補正タンク圧を加味して、ポート噴射弁を有するエンジンの空燃比を制御する制御部を備えることが好ましい。この場合、前記制御部は、前記タンク圧又は前記補正タンク圧と前記エンジンのインマニ圧との差圧を用いて燃圧補正を実施することが好ましい。
絶対圧センサによって燃料タンクの内部圧力(絶対圧)をタンク圧として検出することから、タンク圧を適切に認識,把握して正しい燃圧補正を実施することができる。さらに、絶対圧センサが正常でないと判定された場合には絶対圧センサで検出されたタンク圧を所定の圧力範囲内に制限するため、空燃比制御に用いられるタンク圧が異常な値となることを防ぐことができる。
ここで、タンク圧を「所定の圧力値」に制限(設定)するのではなく、「所定の圧力範囲内」に制限するため、例えばタンク圧が高圧側に異常になっている場合には、圧力範囲の高圧側の値に制限するように補正し、反対にタンク圧が低圧側に異常になっている場合には圧力範囲の低圧側の値に制限するように補正するといったことが可能となる。すなわち、タンク圧の傾向(高圧側に異常なのか、低圧側に異常なのか)を燃圧補正に反映させることができるため、絶対圧センサが正常でない場合の空燃比の制御性を維持することができる。
蒸発燃料処理装置が適用された車両の構成及び制御装置を示す図である。 圧力の関係を説明するための図である。 絶対圧センサの正常判定及びタンク圧補正の手順を例示するフローチャートである。
図面を参照して、実施形態としての蒸発燃料処理装置について説明する。以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の各実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.装置構成]
本実施形態の蒸発燃料処理装置が適用された車両の構成を図1に例示する。この車両は、走行用モータの駆動力で走行するEV(Electric Vehicle)モードと、エンジン20の駆動力を使用(又は併用)して走行するHEV(Hybrid Electric Vehicle)モードとを備えたハイブリッド車両である。
エンジン20の作動時には、燃料タンク5の内部から燃料がポンプで吸い上げられ、車両の走行状態に応じた量の燃料がインジェクタ21から噴射される。インジェクタ21は、エンジン20の吸気ポート内に燃料を噴射するポート噴射弁である。インジェクタ21から噴射される燃料量及びその噴射時期は、後述する制御装置50で制御される。例えば、制御装置50からインジェクタ21に制御パルス信号が伝達され、その制御パルス信号の大きさに対応する期間だけ、インジェクタ21の噴射口が開放される。これにより、燃料噴射量は制御パルス信号の大きさ(駆動パルス幅)に応じた量となり、噴射開始時刻は制御パルス信号が伝達された時刻に対応したものとなる。
エンジン20の吸気通路22(吸気系)には、電子制御式のスロットルバルブ23が設けられる。インマニ24(インテークマニホールド)へと流れる空気量は、スロットルバルブ23の開度(スロットル開度)に応じて調節される。スロットル開度は、制御装置50によって制御される。また、吸気ポートと排気ポートとの間には、点火プラグ25がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられる。点火プラグ25での着火のタイミングは、制御装置50で制御される。
このエンジン20には、燃料タンク5で発生する蒸発燃料をキャニスタ6で回収して吸気系に導入するためのパージ用通路10が装備される。パージ用通路10には、燃料タンク5とエンジン20の吸気系とを接続するタンク通路7と、タンク通路7からキャニスタ6に向かって分岐形成されたキャニスタ通路8とが設けられる。タンク通路7の一端は、燃料タンク5の例えば天井面付近や側面上部に接続され、他端は吸気通路22に接続される。タンク通路7の接続位置は、スロットルバルブ23よりも下流側(エンジン20のシリンダに近い側)に設定される。また、キャニスタ通路8の一端は、キャニスタ6の上面に接続され、他端はタンク通路7に対して三叉路を形成するように接続される。
パージ用通路10には、通路内におけるガスの流れを制御するための弁として、密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3が介装される。
密閉弁1は、燃料タンク5を密閉するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点よりも燃料タンク5に近い位置に配置される。密閉弁1は、基本的には常にタンク通路7を閉鎖するように制御され、燃料タンク5の密閉状態を維持するように機能する。すなわち、燃料タンク5は密閉弁1によって密閉式タンクとされる。密閉弁1は、燃料タンク5の内部圧力を低下させる必要があるときに限り、タンク通路7を開放するように制御される。本実施形態の密閉弁1は、給油の直前に開放されるとともに給油終了までその状態が維持される。また、密閉弁1は、エンジン20の作動中に燃料タンク5の内部圧力が上昇し過ぎた場合にも一時的に開放される。本実施形態の密閉弁1は、制御信号に応じてオン・オフ作動(開作動又は閉作動)する二位置切替弁である。
バイパス弁2は、キャニスタ通路8を開放又は遮断するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点に配置される。バイパス弁2は、キャニスタ6に蒸発燃料を吸着させるときや、キャニスタ6で吸着された蒸発燃料をパージさせるとき(キャニスタパージの実施中)に開放される。本実施形態のバイパス弁2は、エンジン20の停止中に開放状態とされる。この状態で密閉弁1が開放されると、燃料タンク5内の蒸発燃料がキャニスタ6に吸着する。また、バイパス弁2は、基本的にはエンジン20の作動中に密閉弁1が閉鎖されていれば開放され、キャニスタ6で吸着された蒸発燃料をパージさせる。本実施形態のバイパス弁2は、密閉弁1と同様に、制御信号に応じてオン・オフ作動する二位置切替弁である。
パージ弁3は、吸気通路22に対してタンク通路7を開放又は遮断するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点よりも吸気通路22に近い位置に配置される。パージ弁3は、基本的にはエンジン20の作動中に、吸気通路22に対してタンク通路7を開放するように制御される。また、エンジン20の停止中は、タンク通路7を閉鎖するように制御される。本実施形態のパージ弁3は、制御信号の大きさに応じた開度でタンク通路7を開放する可変開度制御弁である。パージ弁3の開度は、エンジン20の運転状態やキャニスタ6に吸着されている蒸発燃料量,燃料タンク5に残留する燃料量などに応じて設定可能である。
図1に示すように、キャニスタ6の上面には、キャニスタ6と外部とを接続する大気開放通路9が取り付けられる。大気開放通路9は、蒸発燃料をキャニスタ6に吸着させる際の圧抜き通路として機能するとともに、キャニスタ6に吸着している蒸発燃料を吸気通路22へと流出させる際の外気取り込み通路として機能する。また、大気開放通路9にはエアフィルタ28が介装され、ここで外気中の異物が除去される。
また、密閉弁1を迂回して密閉弁1の上流側と下流側とを接続するように形成された迂回通路上には、リリーフ弁4が介装される。リリーフ弁4は、燃料タンク5の内部圧力の上限値PMAXを規定する安全弁である。密閉弁1よりも燃料タンク5側におけるタンク通路7の圧力が所定の上限値PMAX以下のときには、リリーフ弁4が閉鎖状態とされる。一方、密閉弁1よりも燃料タンク5側におけるタンク通路7の圧力が上限値PMAXを超えるとリリーフ弁4が開放され、燃料タンク5が圧抜きされる。これにより、燃料タンク5の内部圧力が上限値PMAXを越えて上昇することが防止される。
また、燃料タンク5には給油用の給油通路29が設けられ、その先端の給油口がフィラーキャップ26で閉塞されるとともに、フィラードア30の内側まで延設される。燃料の給油時には、フィラードア30が開放された後にフィラーキャップ26が回動操作されて取り外される。また、給油通路29には、燃料の逆流や蒸発燃料を含んだガス(以下「燃料蒸気」という)の流出を防止するための逆止弁27が設けられる。逆止弁27は、車両の外部から燃料タンク5に向かう方向への流体の流入を許容し、逆方向への流体の流出を阻止するように機能する。
上述の密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態(開度)は、コンピュータとして機能する制御装置50で制御される。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリ等を集積した電子デバイスである。ここでいうプロセッサとは、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ)等を内蔵する処理装置(プロセッサ)である。また、ROM,RAM及び不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。制御装置50で実施される制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてROM,RAM,不揮発メモリ,リムーバブルメディア内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAM内のメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
この制御装置50には、絶対圧センサ11,ゲージ圧センサ12,大気圧センサ13,キャニスタ圧センサ14,インマニ圧センサ15,エンジン回転数センサ16,空燃比センサ17,ドアセンサ18が接続される。絶対圧センサ11は、燃料タンク5の内部圧力(気体部分の絶対圧)を「タンク圧P」として検出するものである。本実施形態の絶対圧センサ11は、密閉弁1よりも燃料タンク5側の通路上に設けられているが、燃料タンク5に直接的に設けてもよい。絶対圧センサ11で検出されたタンク圧Pは、エンジン制御に用いられる。絶対圧センサ11は、ゲージ圧センサ12に比べて広い検出範囲Rdを有する。図2に示すように、絶対圧センサ11の検出範囲Rdは、リリーフ弁4が開放される上限値PMAXよりも十分に高い検出上限圧PDMAXから、インマニ24の内部圧力が到達しうる負圧よりも低い検出下限圧PDMINまでの広範囲に亘る。
ゲージ圧センサ12は、燃料タンク5の内部圧力(気体部分のゲージ圧)を検出するものであり、燃料タンク5の燃料液面よりも上方となる位置に取り付けられる。ゲージ圧センサ12は、絶対圧センサ11に比べて検出範囲は狭いが、大気圧付近の圧力の検出精度は絶対圧センサ11よりも高い。そのため、ゲージ圧センサ12は、給油時に燃料タンク5内の圧力が大気圧付近となったか否かを判定するために用いられる。なお、ゲージ圧センサ12を省略し、絶対圧センサ11のみを設けてタンク圧Pを検出してもよい。
大気圧センサ13は、大気圧PATMを検出するものであり、キャニスタ圧センサ14は、キャニスタ6の内圧に対応する大気開放通路9の内部圧力を「キャニスタ圧C」として検出するものである。ここでは、キャニスタ6に内蔵される活性炭フィルタとエアフィルタ28との間の圧力が検出される。また、インマニ圧センサ15は、インマニ24の内部圧力を「インマニ圧PIM(吸気系圧力)」として検出するものである。ここでは、吸気通路22とタンク通路7との接続箇所近傍における圧力(負圧の大きさ)が検出される。
エンジン回転数センサ16は、エンジン20の回転速度(エンジン回転数Ne)を検出するものである。空燃比センサ17は、排気の空燃比(実空燃比AF)を検出するものである。ドアセンサ18は、フィラードア30が開放されたことを検出するものである。これらの各種センサ類11〜18で検出された情報は、制御装置50に伝達される。なお、キャニスタ圧センサ14,インマニ圧センサ15のそれぞれで検出される圧力は、絶対圧であってもよいし、大気圧PATMを基準としたゲージ圧であってもよい。
制御装置50は、エンジン20に関する点火系,燃料系,吸排気系といった広汎なシステムを総合的に制御するものであり、エンジン20の各気筒に対して供給される空気量や燃料噴射量,各気筒の燃料噴射時期や点火時期等を制御する。本実施形態では、特にエンジン20の空燃比制御において実施される絶対圧センサ11の正常判定及びタンク圧補正について説明する。また、制御装置50は、燃料タンク5内で発生した燃料蒸気を処理するために、上述の密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態を制御する。ここでは特に、燃料タンク5の内部圧力を低下させるための制御(圧抜き制御,高圧パージ制御)について説明する。
[2.制御の内容]
[2−1.圧抜き制御,高圧パージ制御]
圧抜き制御は、燃料タンク5の内部圧力が大気圧PATMに比して過剰に大きくならないように、密閉弁1とバイパス弁2とを開放して燃料タンク5を圧抜きする制御である。圧抜き制御は、エンジン20の停止中に給油要求があった場合、燃料タンク5への給油の直前に実施される。このとき、パージ弁3は閉鎖状態に制御される。密閉弁1とバイパス弁2とを開放することで、燃料タンク5からキャニスタ6の大気開放通路9を介して、外部へと向かうガスの流れが生じる。これにより、燃料タンク5のタンク圧Pがほぼ大気圧PATMまで低下するとともに、燃料タンク5及びパージ用通路10内に存在する燃料蒸気がキャニスタ6で回収される。なお、圧抜き制御は給油完了とともに終了する。
高圧パージ制御は、エンジン20の作動中に密閉弁1を開放し、燃料タンク5内の燃料蒸気を吸気通路22へと吸い込ませることで、高圧となった燃料タンク5をパージ(浄化)して減圧する制御である。この制御では、パージ弁3が開放状態に制御されるとともに、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。つまり、吸気通路22に対しては燃料タンク5のみが連通した状態となり、キャニスタ6は遮断される。これにより、パージ用通路10から吸気通路22へと導入される燃料蒸気は、燃料タンク5からの燃料蒸気のみとなる。また、キャニスタ6には燃料蒸気が吸着しない。
高圧パージ制御は、エンジン20の運転状態が安定している場合であって、タンク圧Pが所定のパージ開始圧PPS以上(P≧PPS)であるときに開始される。このパージ開始圧PPSは、大気圧PATMに対するゲージ圧(ゲージ圧センサ12で検出されたタンク内圧力)に応じて決まる値であり、大気圧に応じて変動する。図2には、パージ開始圧PPSの一例を示している。
タンク圧Pは高圧パージ制御の進行に伴い低下する。そして、タンク圧Pがパージ終了圧PPF未満(P<PPF)になると高圧パージ制御が終了する。なお、高圧パージ制御中に、エンジン20が停止した場合やその運転状態が不安定になった場合にも、高圧パージ制御は終了する。エンジン20の運転状態が安定している場合とは、例えばエンジン20の冷却水温が所定値以上であり、エンジン回転数Neが安定している場合である。ただし、燃料噴射量の学習中には、運転状態が安定していない(不安定である)とする。
[2−2.空燃比制御]
空燃比制御では、エンジン20に要求される負荷等に応じて目標空燃比が設定されるとともに、実空燃比AFが目標空燃比に一致,収束するように燃料噴射量,空気量及びパージ量が制御される。パージ量は、吸気通路22へと導入される燃料蒸気の流量であり、パージ弁3の開度が制御されることで調節される。
本実施形態の空燃比制御では、絶対圧センサ11で検出されたタンク圧Pが考慮される。これは、タンク圧Pが高いほど、インジェクタ21から噴射される燃料量が増大するからである。すなわち、所望の燃料量を噴射するために設定した制御パルス信号をそのままインジェクタ21に伝達したのでは、タンク圧Pの影響により実際に噴射される燃料量が所望の燃料量からずれることがあるからである。特に、密閉式の燃料タンク5は、密閉状態の継続時間,燃料タンク5内の燃料残量,外気温等の要因によって、密閉式でない燃料タンク(すなわち大気開放された燃料タンク)に比べてタンク圧Pが高くなりやすい。また、高圧パージ制御によってインマニ24の負圧が導入された場合には、タンク圧Pが大気圧PATMより低くなることもある。つまり、密閉式の燃料タンク5は、密閉式でない燃料タンクに比べてタンク圧Pの変動幅が大きいため、タンク圧Pを適切に考慮した空燃比制御が必要となる。
本実施形態では、タンク圧Pとインマニ圧PIMとの差圧ΔP(=P−PIM)を用いて燃圧補正を実施し、適切な空燃比となるように燃料噴射量が制御される。燃圧補正の具体的な手法としては、例えば、目標空燃比,実空燃比AF,空気量等から所望の燃料量を算出し、この燃料量に対応する制御パルス信号の大きさ(すなわちインジェクタ21の噴射口の開放時間T)を求める。そして、この開放時間Tを補正するための係数(以下「燃圧補正係数K」という)を差圧ΔPに基づいて取得し、開放時間Tと燃圧補正係数Kとを乗算することで最終的な開放時間T′を設定する手法が挙げられる。このような手法によれば、タンク圧Pが変動した場合であっても、目標空燃比を実現しうる燃料量がインジェクタ21から噴射される。なお、燃圧補正係数Kは、例えば差圧ΔPと燃圧補正係数Kとの関係を設定したマップを予め用意しておき、このマップに差圧ΔPを適用することで取得可能である。
[2−3.正常判定,タンク圧補正]
上述した空燃比制御ではタンク圧Pが考慮されることから、空燃比を適切に制御するためには、タンク圧Pが適切に検出されている必要がある。そこで、燃圧補正係数Kの取得に際し、絶対圧センサ11が正常に機能しているか否かについての判定(以下「正常判定」という)が実施される。正常判定は、絶対圧センサ11からの出力に基づいて実施される。
この判定において絶対圧センサ11が正常でないと判定された場合は、絶対圧センサ11からの出力の信頼性が低いと判断されて、タンク圧Pが補正される。この補正を「タンク圧補正」と呼ぶ。すなわち、タンク圧補正は、正常判定の結果、絶対圧センサ11が正常でないと判定された場合に実施される。この補正で得られたタンク圧(以下「補正タンク圧P′」という)は燃圧補正係数Kを取得するときに用いられる。
絶対圧センサ11が正常な場合とは、絶対圧センサ11から伝達されたタンク圧Pが正常な範囲内の値であるときである。これに対し、絶対圧センサ11が正常でない場合とは、絶対圧センサ11からの出力がない(情報が伝達されない,センサ出力が上限電圧又は下限電圧に張り付いている)場合、又は、出力はあるもののその値が正常な範囲内の値ではない場合である。前者は、例えば絶対圧センサ11の回路が断線している場合に該当する。この場合には、絶対圧センサ11は故障していると判断される。一方、後者は、何らかの要因(例えば外部からのノイズ)により一時的に正常な範囲から外れているといった可能性が考えられることから、「故障」と断定することが困難な場合がある。そこで、高圧側,低圧側のそれぞれに判定閾値として大小二つの値を設けて、「故障」と断定はできないが正常でもない状態を「異常」と判定することとする。
高圧側では、絶対圧センサ11は、タンク圧Pが第一閾値P1以上(P≧P1)である場合には「異常」と判定され、第一閾値P1よりも高い第二閾値P2以上(P≧P2)の場合には「故障」と判定される。また、低圧側では、絶対圧センサ11は、タンク圧Pが第三閾値P3未満(P<P3)である場合には「異常」と判定され、第三閾値P3よりも低い第四閾値P4未満(P<P4)の場合には「故障」と判定される。なお、タンク圧Pが第三閾値P3以上、かつ、第一閾値P1未満(P3≦P<P1)の正常な範囲内である場合は、絶対圧センサ11は「正常」と判定される。
図2に示すように、上記の四つの閾値P1〜P4は何れも絶対圧センサ11の検出範囲Rd内に設定された値であって、何れも固定値である。第一閾値P1は、燃料タンク5の内部圧力が到達しうる範囲(以下「最大範囲Rp」という)の高圧側の限界値(高圧限界PH)以上の値である。また、第三閾値P3は、最大範囲Rpの低圧側の限界値(低圧限界PL)以下の値である。
通常範囲Rnは、通常の使用状態における燃料タンク5の内部圧力の変動幅であり、その上限は高圧パージ制御のパージ開始圧PPSである。また、通常範囲Rnの下限PMINは、例えば高圧パージ制御のパージ終了圧PPFやリリーフ弁4の開弁によって到達しうる圧力値となる。一方、最大範囲Rpは、通常範囲Rnよりも広く、燃料タンク5の内部圧力が到達する可能性のある高圧限界PH及び低圧限界PLの間の範囲である。そのため、タンク圧Pがこの最大範囲Rpから逸脱している場合には、絶対圧センサ11に何らかの異常が発生している可能性が高いと判断できる。
正常判定において、絶対圧センサ11が正常でないと判定された場合には、タンク圧Pが所定の圧力範囲内に制限される。圧力範囲としては、例えば最大範囲Rpや通常範囲Rnや大気圧範囲Raが挙げられる。ここでいう大気圧範囲Raとは、車両が存在する環境(標高や気候等)の影響を受けて大気圧PATMが変動しうる範囲である。本実施形態では、絶対圧センサ11が異常であると判定された場合には、タンク圧Pが最大範囲Rp内に制限され、絶対圧センサ11が故障していると判定された場合には、タンク圧Pが大気圧範囲Raに制限される。
具体的には、タンク圧Pが第一閾値P1以上で「異常」と判定されたときは、タンク圧Pが高圧限界PHに補正され、タンク圧Pが第三閾値P3未満で「異常」と判定されたときは、タンク圧Pが低圧限界PLに補正される。また、正常判定において「故障」と判定されたときは、タンク圧Pが大気圧PATMに補正される。
本実施形態におけるタンク圧Pと判定結果と補正タンク圧P′との関係をまとめると、以下の通りである。
Figure 0006641971
[3.制御構成]
上記の各種制御を実施するための制御構成として、制御装置50には、判定部51と補正部52と制御部53とが設けられる。これらは、制御装置50で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子制御回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
判定部51は、上述の正常判定を実施するものである。本実施形態の判定部51は、以下の条件1,2がともに成立する場合に絶対圧センサ11が正常であると判定し、条件1が不成立の場合に「故障」と判定する。また、条件2のみが不成立の場合には、さらに条件3,4の成否を判定する。条件3,4の何れか一方が成立する場合には「異常」と判定し、何れも不成立の場合には「故障」と判定する。判定部51は、判定結果を補正部52に伝達する。
=絶対圧センサの正常判定条件=
1.絶対圧センサ11からの出力がある
2.タンク圧Pが第三閾値P3以上、かつ、第一閾値P1未満である(P3≦P<P1)
=絶対圧センサの異常判定条件=
3.タンク圧Pが第一閾値P1以上、かつ、第二閾値P2未満である(P1≦P<P2)
4.タンク圧Pが第四閾値P4以上、かつ、第三閾値P3未満である(P4≦P<P3)
補正部52は、上述のタンク圧補正を実施するものである。すなわち、判定部51による判定結果に基づいて、タンク圧Pを所定の圧力範囲内に制限する。本実施形態の補正部52は、判定結果が「故障」の場合には、タンク圧Pを大気圧PATMに補正する。言い換えると、補正部52は、判定部51により「故障」と判定された場合には、補正タンク圧P′を大気圧PATMに設定する。
また、補正部52は、上記の条件3の成立により判定結果が「異常」となった場合には、タンク圧Pを高圧限界PHに補正し、上記の条件4の成立により判定結果が「異常」となった場合には、タンク圧Pを低圧限界PLに補正する。言い換えると、補正部52は、判定部51により「異常」と判定された場合には、タンク圧Pの傾向(すなわち高圧側に異常なのか、低圧側に異常なのか)を反映させて、補正タンク圧P′を設定する。補正部52は、補正タンク圧P′を制御部53に伝達する。
制御部53は、上述の圧抜き制御,高圧パージ制御,空燃比制御を実施するものである。制御部53は、圧抜き制御及び高圧パージ制御の開始条件,終了条件を判定し、制御の種類に応じて密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態を制御する。
また、制御部53は、エンジン20の作動中に、エンジン20に要求される負荷に応じて目標空燃比を設定するとともに、実空燃比AFが目標空燃比に一致,収束するように燃料噴射量,空気量及びパージ量を制御する。
このとき、制御部53は、タンク圧Pとインマニ圧PIMとの差圧ΔPを用いて燃圧補正を実施する。すなわち、制御部53は、差圧ΔPから燃圧補正係数Kを取得するとともに、所望の燃料量に対応する開放時間Tを求め、これらを乗算して最終的な開放時間T′を設定する。ただし、制御部53は、補正部52から補正タンク圧P′が伝達された場合には、燃圧補正にタンク圧Pの代わりに補正タンク圧P′を燃圧補正に使用する。すなわち、補正タンク圧P′とインマニ圧PIMとの差圧ΔP′から燃圧補正係数Kを取得する。これにより、絶対圧センサ11が正常でない場合に、空燃比が過度にリッチやリーンになることが防止される。
[4.フローチャート]
図3は、上述の正常判定及びタンク圧補正を実施するための制御手順を例示するフローチャートである。このフローは、例えば車両のイグニッションキースイッチ(メインスイッチ)がオンである状態で、所定周期で繰り返し実施される。
ステップS1では、絶対圧センサ11及び大気圧センサ13で検出された情報(タンク圧P,大気圧PATM)が制御装置50に入力される。ステップS2では、ステップS1において絶対圧センサ11から情報が入力されたか否か(絶対圧センサ11の出力の有無)が判定される。
絶対圧センサ11の出力があれば、タンク圧Pと各閾値P1〜P4との大小関係が判定される(ステップS4〜S7)。まず、ステップS4でタンク圧Pが第一閾値P1未満であるか否かが判定され、P<P1である場合にはタンク圧Pが第三閾値P3以上であるか否かが判定される(ステップS5)。タンク圧Pが第三閾値P3以上(P3≦P<P1)であれば、ステップS12において絶対圧センサ11は正常であると判定される。この場合、タンク圧補正は実施されず、この周期での制御を終了する。
ステップS5において、タンク圧Pが第三閾値P3未満(P<P3)であると判定されると、さらにステップS7においてタンク圧Pが第四閾値P4以上であるか否かが判定される。タンク圧Pが第四閾値P4以上(P4≦P<P3)であれば、ステップS10において絶対圧センサ11は異常であると判定される。この場合は、タンク圧Pが最大範囲Rp内に制限される(ステップS11)。本実施形態では、補正タンク圧P′が低圧限界PLに設定され、この周期での制御を終了する。ステップS7において、タンク圧Pが第四閾値P4未満(P<P4)であると判定されると、絶対圧センサ11は故障していると判定される(ステップS8)。この場合は、タンク圧Pが大気圧範囲Ra内に制限される(ステップS9)。本実施形態では、補正タンク圧P′が大気圧PATMに設定され、この周期での制御を終了する。
ステップS4において、タンク圧Pが第一閾値P1以上(P1≦P)であると判定されると、さらにステップS6においてタンク圧Pが第二閾値P2未満であるか否かが判定される。タンク圧Pが第二閾値P2未満(P1≦P<P2)であれば、ステップS13において絶対圧センサ11は異常であると判定される。この場合は、タンク圧Pが最大範囲Rp内に制限される(ステップS14)。本実施形態では、補正タンク圧P′が高圧限界PHに設定され、この周期での制御を終了する。
ステップS6において、タンク圧Pが第二閾値P2以上(P2≦P)であると判定されると、絶対圧センサ11は故障していると判定される(ステップS15)。この場合は、タンク圧Pが大気圧範囲Ra内に制限される(ステップS16)。本実施形態では、補正タンク圧P′が大気圧PATMに設定され、この周期での制御を終了する。
また、ステップS2において、絶対圧センサ11の出力がないと判定された場合にもステップS15に進み、絶対圧センサ11は故障していると判定される。この場合にも、ステップS16において、補正タンク圧P′が大気圧PATMに設定され、この周期での制御を終了する。
[5.効果]
(1)上述の制御装置50では、絶対圧センサ11によって燃料タンク5の内部圧力(絶対圧)をタンク圧Pとして検出することから、タンク圧Pを認識,把握して正しい燃圧補正を実施することができる。これにより、空燃比制御も正しく実施することができる。
また、上述の制御装置50では、絶対圧センサ11の正常判定を実施し、正常でないと判定された場合には絶対圧センサ11で検出されたタンク圧Pを所定の圧力範囲内に制限する。このため、エンジン20の空燃比制御に用いられるタンク圧Pが異常な値となることを防ぐことができる。さらに、上述の制御装置50では、タンク圧Pを「所定の圧力値」に制限(設定)するのではなく、「所定の圧力範囲内」に制限する。このため、例えばタンク圧Pが高圧側に異常になっている場合には、圧力範囲の高圧側の値に制限するように補正し、反対にタンク圧が低圧側に異常になっている場合には圧力範囲の低圧側の値に制限するように補正するといったことが可能となる。すなわち、タンク圧Pの傾向(高圧側に異常なのか、低圧側に異常なのか)を燃圧補正に反映させることができるため、絶対圧センサ11が正常でなくても空燃比の制御性を維持することができる。
(2)上述の制御装置50では、絶対圧センサ11が異常であると判定される第一閾値P1が、燃料タンク5の内部圧力が到達しうる高圧限界PH以上の値に設定されている。このため、タンク圧Pが高圧限界PHを超えた第一閾値P1以上の値である場合には、絶対圧センサ11が「異常」と判定されて、タンク圧Pが圧力範囲内に制限される。例えば、図2中に黒丸で示すように、タンク圧Pが第一閾値P1よりも高い値Pyである場合には、タンク圧Pyが圧力範囲(図2では最大範囲Rp)内に制限される。これにより、エンジン20の制御に用いられるタンク圧Pを実際の内部圧力に近付けることができ、燃圧補正を正しく行えるとともに空燃比の制御性を維持することができる。
(3)また、上述の制御装置50では、正常判定において、第一閾値P1よりも高い第二閾値P2が設けられる。そして、タンク圧Pが第二閾値P2以上のときには絶対圧センサ11が故障していると判定され、タンク圧Pが大気圧の変動範囲(すなわち大気圧範囲Ra)内に制限される。例えば、図2中に白抜きの丸で示すように、タンク圧Pが第二閾値P2よりも高い値Pxである場合には、タンク圧Pxが大気圧範囲Ra内(図2では大気圧PATM)に制限される。これにより、実際の内部圧力との乖離を小さくした圧力値を空燃比制御に用いることができるため、異常高圧値を用いることによる排ガス性能の低下や失火,エンストの発生を回避することができる。
(4)上述の制御装置50では、絶対圧センサ11が異常であると判定される第三閾値P3が、燃料タンク5の内部圧力が到達しうる低圧限界PL以下の値に設定されている。このため、タンク圧Pが低圧限界PLを下回った第三閾値P3未満である場合には、絶対圧センサ11が「異常」と判定されて、タンク圧Pが圧力範囲内に制限される。これにより、エンジン20の空燃比制御に用いられるタンク圧Pを実際の内部圧力に近付けることができ、燃圧補正を正しく行えるとともに空燃比の制御性を維持することができる。
(5)また、上述の制御装置50では、正常判定において、第三閾値P3よりも低い第四閾値P4が設けられる。そして、タンク圧Pが第四閾値P4未満のときには絶対圧センサ11が故障していると判定され、タンク圧Pが大気圧範囲Ra内に制限される。これにより、実際の内部圧力との乖離を小さくした圧力値を空燃比制御に用いることができるため、異常高圧値を用いることによる排ガス性能の低下や失火,エンストの発生を回避することができる。
(6)上述の制御装置50では、絶対圧センサ11からの出力がないときにも「故障」と判定され、タンク圧Pが大気圧範囲Ra内に制限される。これにより、実際の内部圧力との乖離を小さくした圧力値(補正タンク圧P′)を空燃比制御に用いることができるため、異常高圧値を用いることによる排ガス性能の低下や失火,エンストの発生を回避することができる。特に、上述の実施形態では、絶対圧センサ11が「故障」と判定された場合には、大気圧センサ13で検出された大気圧PATMが補正タンク圧P′として設定される。すなわち、絶対圧センサ11からの出力がない場合であっても大気圧センサ13からのセンサ出力値に置き換えることで、実際の内部圧力との乖離を一定範囲内に抑えることができる。
(7)上述の制御装置50では、絶対圧センサ11が正常でない場合には、タンク圧Pが最大範囲Rp内に制限されることから、エンジン制御に用いられる圧力値を燃料タンク5の内部圧力が到達しうる値に設定することができ、タンク圧Pの乖離を小さくすることができる。
特に、上述の実施形態では、タンク圧Pが第一閾値P1以上で「異常」と判定された場合には、最大範囲Rpの高圧限界PHが補正タンク圧P′として設定され、タンク圧Pが第三閾値P3未満で「異常」と判定された場合には、最大範囲Rpの低圧限界PLが補正タンク圧P′として設定される。このため、「異常」と判定された場合であっても、圧力値の傾向を補正に反映させながら、簡単に補正タンク圧P′を設定することができる。
(8)上述の制御装置50では、タンク圧Pとインマニ圧PIMとの差圧ΔPを用いて燃圧補正が実施されることから、インジェクタ21から噴射される燃料量を正確に制御することができる。
[6.変形例]
上述した正常判定における条件1〜4は一例であって、上述した条件に限定されない。上述した実施形態では四つの閾値P1〜P4が全て固定値である場合を例示したが、例えば、第一閾値P1及び第三閾値P3が、大気圧センサ13で検出された大気圧PATMに基づいて設定されるものであってもよい。これは、大気圧PATMの変化が燃料タンク5の内部圧力にも影響を及ぼすためである。第一閾値P1及び第三閾値P3は、大気圧PATMが高いほど高い値に設定され、大気圧PATMが低いほど低い値に設定される。なお、例えば、予め標準大気圧での第一閾値P1及び第三閾値P3を初期値として設定しておき、これらの初期値を大気圧PATMに応じて変更して第一閾値P1及び第三閾値P3を設定してもよい。なお、第二閾値P2,第四閾値P4も同様に大気圧PATMに応じて変更してもよいし、第一閾値P1又は第三閾値P3を可変値としてもよい。このように大気圧PATMに基づいて閾値P1〜P4を設定することで、正常,異常の判定精度を高めることができる。
また、上述した実施形態では、絶対圧センサ11が異常であると判定された場合にタンク圧Pを最大範囲Rp内に制限し、故障していると判定された場合にタンク圧Pを大気圧範囲Ra内に制限する場合を例示したが、タンク圧Pを制限する圧力範囲はこれらに限定されない。例えば、「異常」と判定された場合にタンク圧Pを通常範囲Rnや大気圧範囲Ra内に制限してもよいし、「故障」と判定された場合にタンク圧Pを最大範囲Rpや通常範囲Rn内に制限してもよい。あるいは、これら三つの範囲Rp,Rn,Ra以外の圧力範囲を設定し、その圧力範囲内にタンク圧Pを制限してもよい。なお、上述した最大範囲Rp,通常範囲Rn,大気圧範囲Raの各範囲は一例であり、これらの範囲の各上限値,各下限値は上述した値に限られない。
上述した実施形態では、タンク圧Pを最大範囲Rp内に制限する場合に、タンク圧Pを高圧限界PH又は低圧限界PLに設定する手法を例示したが、タンク圧Pは最大範囲Rp内の圧力値であればよく、境界値である高圧限界PH,低圧限界PLに設定しなくてもよい。反対に、タンク圧Pを大気圧範囲Ra内に制限する場合に、タンク圧Pを大気圧センサ13で検出された大気圧PATMに設定するのでなく、大気圧範囲Raの境界値(上限値,下限値)に設定してもよい。
また、上述した実施形態では、絶対圧センサ11の正常判定において、正常でない状態を「異常」と「故障」の二つの状態に分けて判定しているが、高圧側,低圧側のそれぞれに判定閾値を一つだけ設けて、正常であるか否かのみを判定してもよい。また、正常でない場合を「異常」と「故障」とに分けて判定する場合に、「異常」と判定された回数や時間をチェックし、最終的に「故障」と判定するようにしてもよい。
上述した実施形態では、制御部53がタンク圧P又は補正タンク圧P′を加味して空燃比制御を実施するものであって、この空燃比制御において差圧ΔPを用いて燃圧補正を実施するものを例示したが、制御部53が実施する制御内容は上述したものに限られない。例えば、高圧パージ制御において、タンク圧P又は補正タンク圧P′を考慮してもよい。高圧パージ制御は、エンジン20の運転状態が安定しており、かつ、タンク圧Pがパージ開始圧PPS以上(P≧PPS)ときに開始される。言い換えると、タンク圧Pがパージ開始圧PPS以上であっても、エンジン20の停止中や運転状態が不安定な場合には高圧パージ制御が開始されず、タンク圧Pがパージ開始圧PPSよりも高まっていくことがある。また、パージ弁3の開度が一定の場合、タンク圧Pが高いほどパージ量が増大する。そこで、高圧パージ制御におけるパージ弁3の開度の設定においても、タンク圧P又は補正タンク圧P′を考慮して、パージ弁3の開度を補正する構成としてもよい。このような構成であれば、適切なパージ量に制御することができるため、エンジン20の空燃比の制御性を高めることができる。
なお、上述した蒸発燃料処理装置の構成は一例であって、上述したものに限られない。上述の実施形態では、密閉弁1及びバイパス弁2が二位置切替弁であり、パージ弁3が可変開度制御弁となっているが、これらの弁の種類は任意に変更可能である。また、ゲージ圧センサ12を省略し、絶対圧センサ11のみを用いて燃料タンク5の内部圧力を検出してもよい。また、上述の正常判定において、「異常」又は「故障」と判定した場合に、判定部51がその情報をダイアグ情報として制御装置50内に記録することで、車両の整備性を向上させるようにしてもよい。
1 密閉弁
2 バイパス弁
3 パージ弁
5 燃料タンク
6 キャニスタ
10 パージ用通路
11 絶対圧センサ
13 大気圧センサ
20 エンジン
21 インジェクタ(ポート噴射弁)
50 制御装置
51 判定部
52 補正部
53 制御部
P タンク圧
PATM 大気圧
PH 高圧限界
PL 低圧限界
P1 第一閾値
P2 第二閾値
P3 第三閾値
P4 第四閾値
Rp 最大範囲(圧力範囲)
Rn 通常範囲(圧力範囲)
Ra 大気圧範囲(圧力範囲)
Rd 検出範囲

Claims (9)

  1. 燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタと前記燃料タンクとを接続する通路上に密閉弁が介装された密閉タンク式の蒸発燃料処理装置において、
    前記燃料タンク内の絶対圧をタンク圧として検出する絶対圧センサと、
    前記絶対圧センサからの出力に基づいて、前記絶対圧センサが正常であるか否かを判定する判定部と、
    前記判定部で前記絶対圧センサが正常でないと判定された場合に、その判定結果に基づいて前記タンク圧を所定の圧力範囲内の値に制限する補正部と、を備える
    ことを特徴とする、蒸発燃料処理装置。
  2. 前記判定部は、前記タンク圧が第一閾値以上かつ前記第一閾値よりも高い第二閾値未満のときに前記絶対圧センサが異常であると判定し、
    前記補正部は、前記判定部で異常と判定された場合には前記タンク圧を前記圧力範囲内の値に制限するものであって、
    前記第一閾値は、前記燃料タンクの内部圧力が到達しうる高圧側の限界値以上の値に設定される
    ことを特徴とする、請求項1記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記判定部は、前記タンク圧が前記第二閾値以上のときに前記絶対圧センサが異常であるとは判定せず、故障していると判定し、
    前記補正部は、前記判定部で故障と判定された場合には、前記タンク圧を大気圧の変動範囲内の値に制限する
    ことを特徴とする、請求項2記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 大気圧を検出する大気圧センサを備え、
    前記判定部は、前記第一閾値を前記大気圧に基づいて設定する
    ことを特徴とする、請求項2又は3記載の蒸発燃料処理装置。
  5. 前記判定部は、前記タンク圧が第三閾値未満かつ前記第三閾値よりも低い第四閾値以上のときに前記絶対圧センサが異常であると判定し、
    前記補正部は、前記判定部で異常と判定された場合には前記タンク圧を前記圧力範囲内の値に制限するものであって、
    前記第三閾値は、前記燃料タンクの内部圧力が到達しうる低圧側の限界値以下の値に設定される
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
  6. 前記判定部は、前記タンク圧が前記四閾値未満のときに前記絶対圧センサが異常であるとは判定せず、故障していると判定し、
    前記補正部は、前記判定部で故障と判定された場合には、前記タンク圧を大気圧の変動範囲内の値に制限する
    ことを特徴とする、請求項5記載の蒸発燃料処理装置。
  7. 前記判定部は、前記絶対圧センサからの出力がないときに前記絶対圧センサが故障していると判定し、
    前記補正部は、前記判定部で故障と判定された場合には、前記タンク圧を大気圧の変動範囲内の値に制限する
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
  8. 前記圧力範囲は、前記燃料タンクの内部圧力が到達しうる最大範囲に設定されている
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
  9. 前記絶対圧センサで検出された前記タンク圧、又は、前記補正部で制限された補正タンク圧を加味して、ポート噴射弁を有するエンジンの空燃比を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、前記タンク圧又は前記補正タンク圧と前記エンジンのインマニ圧との差圧を用いて燃圧補正を実施する
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
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