JP6634810B2 - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉タンク式の蒸発燃料処理装置に関する。
従来、燃料タンクで発生する蒸発燃料をキャニスタに吸着させ、その吸着燃料をエンジンの運転中に吸気系へとパージさせる蒸発燃料処理装置が知られている。すなわち、蒸発燃料を一時的にキャニスタで捕集しつつエンジンに吸引させて、蒸発燃料の大気中への放出を防止するものである。このような蒸発燃料処理装置が搭載されたエンジンでは、キャニスタから脱離する蒸発燃料量を考慮して、燃料噴射量や吸入空気量が制御される。
一方、近年では、走行用モータを主体的に使用して走行し、エンジンを補助的に使用するハイブリッド車両(PHEV,PHV)が開発されている。このようなハイブリッド車両は、エンジンのみを動力源とする車両と比較してエンジンの作動時間が短く、キャニスタに吸着された蒸発燃料をパージする機会が少ない。そこで、燃料タンクとキャニスタとを接続する通路上に密閉弁を設け、燃料タンクの密閉状態をできるだけ長く維持することで、燃料の蒸発やキャニスタへの吸着を抑制する技術が提案されている(特許文献1,2参照)。
特開2015−081528号公報 特開2014−092069号公報
上記の密閉タンクシステムでは、基本的には燃料タンクが密閉されているため、燃料タンクの内部圧力は高圧になりうる。この場合には、燃料タンク内に存在する蒸発燃料を吸気系にパージして燃料タンクを減圧するための制御が実施される。しかしながら、この制御を実施できない場合やこの制御を実施しているにもかかわらず外気温や燃料の貯留量等によって内部圧力が適切に低下しないことがある。そのため、燃料タンクの保護性という観点から更なる改良が望まれる。
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、密閉式の燃料タンクを備えた蒸発燃料処理装置に関し、燃料タンクの保護性を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示する蒸発燃料処理装置は、燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するとともに大気開放されたキャニスタと、前記燃料タンクとエンジンの吸気系とを接続するタンク通路と、前記タンク通路から前記キャニスタに向かって分岐形成されたキャニスタ通路と、前記タンク通路における分岐点よりも前記燃料タンクに近い位置に介装された密閉弁と、前記分岐点又は前記キャニスタ通路上に介装されたバイパス弁と、前記燃料タンクの内部圧力に応じて前記密閉弁及び前記バイパス弁を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記内部圧力が所定の開放圧以上となった場合には、前記密閉弁及び前記バイパス弁を開放状態に制御して前記燃料タンクを大気開放し、前記エンジンの作動中であって前記内部圧力が前記開放圧よりも低いパージ圧以上のときに前記密閉弁を開放するとともに前記バイパス弁を閉鎖し、前記燃料タンク内の前記蒸発燃料を前記吸気系に吸入させる高圧パージ制御を実施するとともに、前記高圧パージ制御中に前記内部圧力が前記開放圧以上となった場合には、前記バイパス弁を開放して前記燃料タンクを大気開放し、前記燃料タンクの大気開放前に前記密閉弁を一旦閉鎖して前記高圧パージ制御を中止し、前記バイパス弁と前記密閉弁とを開放する。
(2)前記タンク通路における前記分岐点よりも前記吸気系に近い位置に介装されたパージ弁を備えることが好ましい。この場合に、前記制御装置は、前記大気開放前であって前記密閉弁を一旦閉鎖したときに前記エンジンが作動中であれば、前記パージ弁を開放状態に制御することが好ましい。
)前記制御装置は、前記密閉弁を一旦閉鎖したのちに前記吸気系に吸入されたパージガス量に基づいて、前記バイパス弁の開放タイミングを決定することが好ましい。
)また、前記制御装置は、前記密閉弁を一旦閉鎖してから所定時間が経過した場合に、前記密閉弁及び前記バイパス弁を開放することが好ましい。
)前記タンク通路における前記分岐点よりも前記吸気系に近い位置に介装されたパージ弁を備えることが好ましい。この場合に、前記制御装置は、前記燃料タンクの大気開放時に前記パージ弁を閉鎖することが好ましい。
)前記制御装置は、前記エンジンの作動中に前記密閉弁を閉鎖するとともに前記バイパス弁を開放し、前記キャニスタに吸着した前記蒸発燃料を前記吸気系に吸入させるキャニスタパージ制御を実施するものであって、前記大気開放後には、前記キャニスタパージ制御を強制的に実施することが好ましい。
燃料タンクの内部圧力が開放圧以上となった場合には、密閉弁及びバイパス弁が開放されて、燃料タンクが大気開放されるため、燃料タンクの内部圧力を確実に下げることができる。これにより、燃料タンクを保護することができ、安全性を高めることができる。
蒸発燃料処理装置が適用された車両の構成及び制御装置を示す図である。 エンジン停止中の制御手順を例示するフローチャートである。 エンジン作動中の制御手順を例示するフローチャートである。 制御内容を説明するためのタイムチャートであり、(a)は燃料タンクのタンク圧、(b)〜(d)はそれぞれ密閉弁,バイパス弁,パージ弁の開閉状態を示す。
図面を参照して、実施形態としての蒸発燃料処理装置について説明する。以下に示す各実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の各実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.装置構成]
本実施形態の蒸発燃料処理装置が適用された車両の構成を図1に例示する。この車両は、走行用モータの駆動力で走行するEV(Electric Vehicle)モードと、エンジン20の駆動力を使用(又は併用)して走行するHEV(Hybrid Electric Vehicle)モードとを備えたハイブリッド車両である。エンジン20の作動時には、燃料タンク5の内部から燃料がポンプで吸い上げられ、車両の走行状態に応じた量の燃料がインジェクタ21から噴射される。また、吸入空気量は、吸気通路22(吸気系)に介装されたスロットルバルブ23で制御される。
このエンジン20には、燃料タンク5で発生する蒸発燃料をキャニスタ6で回収して吸気系に導入するためのパージ用通路10が装備される。パージ用通路10には、燃料タンク5とエンジン20の吸気系とを接続するタンク通路7と、タンク通路7からキャニスタ6に向かって分岐形成されたキャニスタ通路8とが設けられる。タンク通路7の一端は、燃料タンク5の例えば天井面付近や側面上部に接続され、他端は吸気通路22に接続される。タンク通路7の接続位置は、スロットルバルブ23よりも下流側(エンジン20のシリンダに近い側)に設定される。また、キャニスタ通路8の一端は、キャニスタ6の上面に接続され、他端はタンク通路7に対して三叉路を形成するように接続される。
パージ用通路10には、通路内におけるガスの流れを制御するための弁として、密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3が介装される。
密閉弁1は、燃料タンク5を密閉するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点よりも燃料タンク5に近い位置に配置される。密閉弁1は、基本的には常にタンク通路7を閉鎖して、燃料タンク5の密閉状態を維持するように機能する。密閉弁1は、給油時には開放されて、燃料タンク5を圧抜きする。また、密閉弁1は、エンジン20の作動中に燃料タンク5の内部圧力が上昇し過ぎた場合にも一時的に開放される。本実施形態の密閉弁1は、制御信号に応じてオン・オフ作動(開作動又は閉作動)する二位置切替弁である。
バイパス弁2は、キャニスタ通路8を開放又は遮断するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点に配置される。バイパス弁2は、キャニスタ6に蒸発燃料を吸着させるときや、キャニスタ6で吸着された蒸発燃料をパージさせるときに開放される。本実施形態のバイパス弁2は、密閉弁1と同様に、制御信号に応じてオン・オフ作動する二位置切替弁である。
パージ弁3は、吸気通路22に対してタンク通路7を開放又は遮断するための電磁制御弁であり、タンク通路7とキャニスタ通路8との分岐点よりも吸気通路22に近い位置に配置される。パージ弁3は、基本的にはエンジン20の作動中に、吸気通路22に対してタンク通路7を開放するように制御される。また、エンジン20の停止中は、タンク通路7を閉鎖するように制御される。本実施形態のパージ弁3は、制御信号の大きさに応じた開度でタンク通路7を開放する可変開度制御弁である。パージ弁3の開度は、エンジン20の運転状態やキャニスタ6に吸着されている蒸発燃料量,燃料タンク5に残留する燃料量などに応じて設定可能である。
キャニスタ6の上面には、キャニスタ6と外部とを接続する大気開放通路9が取り付けられる。大気開放通路9は、蒸発燃料をキャニスタ6に吸着させる際の圧抜き通路として機能するとともに、キャニスタ6に吸着している蒸発燃料を吸気通路22へと流出させる際の外気取り込み通路として機能する。また、大気開放通路9にはエアフィルタ19が介装され、ここで外気中の異物が除去される。
また、密閉弁1を迂回して密閉弁1の上流側と下流側とを接続するように形成された迂回通路上には、リリーフ弁4が介装される。リリーフ弁4は、燃料タンク5の内部圧力の上限値PMAXを規定する安全弁である。密閉弁1よりも燃料タンク5側におけるタンク通路7の圧力が所定の上限値PMAX以下のときには、リリーフ弁4が閉鎖状態とされる。一方、密閉弁1よりも燃料タンク5側におけるタンク通路7の圧力が上限値PMAXを超えるとリリーフ弁4が開放され、燃料タンク5が圧抜きされる。これにより、燃料タンク5の内部圧力が上限値PMAXを越えて上昇することが防止される。
また、燃料タンク5には給油用の給油通路25が設けられ、その先端の給油口がフィラーキャップ26で閉塞されるとともに、フィラードア28の内側まで延設される。燃料の給油時には、フィラードア28が開放された後にフィラーキャップ26が回動操作されて取り外される。また、給油通路25には、燃料の逆流や蒸発燃料を含んだガス(以下「燃料蒸気」という)の流出を防止するための逆止弁27が設けられる。逆止弁27は、車両の外部から燃料タンク5に向かう方向への流体の流入を許容し、逆方向への流体の流出を阻止するように機能する。
上述の密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態(開度)は、コンピュータとして機能する制御装置30で制御される。制御装置30は、CPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリ等を集積した電子デバイスである。ここでいうプロセッサとは、例えば制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ)等を内蔵する処理装置(プロセッサ)である。また、ROM,RAM及び不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。制御装置30で実施される制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてROM,RAM,不揮発メモリ,リムーバブルメディア内に記録される。また、プログラムの実行時には、プログラムの内容がRAM内のメモリ空間内に展開され、プロセッサによって実行される。
この制御装置30には、キャニスタ圧センサ11,インマニ圧センサ12,タンク圧センサ13,エンジン回転数センサ14,ドアセンサ15,エアフローセンサ16が接続される。キャニスタ圧センサ11は、キャニスタ6の内圧に対応する大気開放通路9の内部圧力を「キャニスタ圧C」として検出するものである。ここでは、キャニスタ6に内蔵される活性炭フィルタとエアフィルタ19との間の圧力が検出される。また、インマニ圧センサ12は、吸気通路22においてスロットルバルブ23よりも下流側に設けられたサージタンク24の内部圧力を「インマニ圧PIM(吸気系圧力)」として検出するものである。ここでは、吸気通路22とタンク通路7との接続箇所近傍における圧力(負圧の大きさ)が検出される。
タンク圧センサ13は、燃料タンク5の内部圧力(気体部分の圧力)を「タンク圧P」として検出するものである。タンク圧センサ13は、燃料液面よりも上方となる位置に取り付けられる。また、エンジン回転数センサ14は、エンジン20の回転速度(エンジン回転数Ne)を検出するものである。ドアセンサ15は、フィラードア28が開放されたことを検出するものである。エアフローセンサ16は、エンジン20に流入する吸気(新気)の流量(吸気流量Q)を検出するものである。これらの各種センサ類11〜16で検出された情報は、制御装置30に伝達される。なお、キャニスタ圧センサ11,インマニ圧センサ12,タンク圧センサ13のそれぞれで検出される圧力は、絶対圧であってもよいし、大気圧PATMを基準としたゲージ圧であってもよい。
[2.制御の内容]
本実施形態の制御装置30は、密閉制御,圧抜き制御,高圧パージ制御,キャニスタパージ制御,大気開放制御という五種類の制御を実施する。エンジン20が作動していない状態では、密閉制御,圧抜き制御,大気開放制御が実施可能であり、エンジン20の作動中では、五種類の制御が実施可能である。
[2−1.密閉制御]
密閉制御は、エンジン20の停止中に密閉弁1を閉鎖することで、燃料タンク5で発生した燃料蒸気の流出を防止する制御である。このとき、パージ弁3も閉鎖状態に制御される。これにより、燃料タンク5は、エンジン20の吸気通路22に対して密閉弁1とパージ弁3とで二重に遮断される。なお、バイパス弁2の開閉状態は任意であり、本実施形態では開放状態に制御される。
[2−2.圧抜き制御]
圧抜き制御は、燃料タンク5の内部圧力が大気圧PATMに比して過剰に大きくならないように、密閉弁1とバイパス弁2を開放して燃料タンク5を圧抜きする制御である。圧抜き制御は、燃料タンク5への給油の直前に実施される。このとき、パージ弁3は閉鎖状態に制御される。密閉弁1とバイパス弁2とを開放することで、燃料タンク5からキャニスタ6の大気開放通路9を介して、外部へと向かうガスの流れが生じる。これにより、燃料タンク5のタンク圧Pが低下するとともに、燃料タンク5及びパージ用通路10内に存在する燃料蒸気がキャニスタ6で回収される。
[2−3.キャニスタパージ制御]
キャニスタパージ制御は、エンジン20の作動中にバイパス弁2を開放し、キャニスタ6に吸着している蒸発燃料を吸気通路22へと吸い込ませることで、キャニスタ6を浄化(パージ)する制御である。キャニスタパージ制御は、エンジン20の作動中、かつ、運転状態が安定している場合であって、高圧パージ制御及び大気開放制御が実施されていないときに実施される。
この制御は、蒸発燃料をエンジン20に消費させる制御であることから、パージ弁3が開放状態に制御されるとともに、密閉弁1は閉鎖状態に制御される。つまり、吸気通路22に対してキャニスタ6が連通した状態となり、燃料タンク5は遮断される。これにより、パージ用通路10から吸気通路22へと導入される燃料蒸気は、キャニスタ6からの燃料蒸気のみとなる。なお、以下の説明では、パージ用通路10から吸気通路22へと導入される燃料蒸気を「パージガス」と呼ぶ。キャニスタパージ制御では、空燃比に基づいてパージ弁3の開度が制御される。
本実施形態のキャニスタパージ制御は、大気開放制御が終了すると強制的に実施される。ここでいう強制的とは、大気開放制御の終了時点でエンジン20が停止している場合、又は、エンジン20が作動しているがその運転状態が安定していない場合には、キャニスタパージ制御を実施しうる状態にエンジン20が制御されることを意味する。つまり、大気開放制御中にエンジン20が停止した場合には、大気開放制御の終了とともにエンジン20を作動させ、さらにその運転状態が安定するように制御した上で、キャニスタパージ制御が実施される。
[2−4.高圧パージ制御]
高圧パージ制御は、エンジン20の作動中に密閉弁1を開放し、燃料タンク5内の燃料蒸気を吸気通路22へと吸い込ませることで、燃料タンク5をパージ(浄化)する制御である。この制御では、パージ弁3が開放状態に制御されるとともに、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。つまり、吸気通路22に対して燃料タンク5が連通した状態となり、キャニスタ6は遮断される。これにより、パージ用通路10から吸気通路22へと導入されるパージガスは、燃料タンク5からの燃料蒸気のみとなる。高圧パージ制御においても、空燃比に基づいてパージ弁3の開度が制御される。
本実施形態における高圧パージ制御の開始条件,終了条件を以下に例示する。高圧パージ制御は、条件A,Bがともに成立した場合に開始され、条件C,Dの何れかが成立した場合に終了する。なお、条件Aは、例えばエンジン20の冷却水温が所定値以上であり、エンジン回転数Neが安定している場合に成立するものとする。ただし、燃料噴射量の学習中には、条件Aが成立しないものとする。
=高圧パージ制御の開始条件=
A.エンジン20が作動中、かつ、運転状態が安定している
B.タンク圧Pが第一圧力P1(パージ圧)以上である(ただしP1<PMAX
=高圧パージ制御の終了条件=
C.エンジン20が停止、又は、運転状態が安定していない
D.タンク圧Pが第三圧力P3未満である(ただしP3<P1
[2−5.大気開放制御]
大気開放制御は、タンク圧Pが異常に高圧となった場合にバイパス弁2を開放し、燃料タンク5を大気開放させることで内部圧力を低下させる制御である。この制御では、大気開放時(すなわちバイパス弁2の開放時)に密閉弁1が開放状態に制御されるとともに、パージ弁3が閉鎖状態に制御される。これにより、燃料タンク5からキャニスタ6の大気開放通路9を介して、外部へと向かうガスの流れが生じ、タンク圧Pが低下するとともに燃料タンク5及びパージ用通路10内に存在する燃料蒸気がキャニスタ6で回収される。なお、大気開放制御中のエンジン20の作動状態は任意であり、本実施形態では大気開放前には作動状態に制御される。
本実施形態の大気開放制御では、密閉弁1及びバイパス弁2が開放されて燃料タンク5が大気開放されるときには、パージ弁3が閉鎖状態に制御される。これは、大気開放時にエンジン20が作動している場合には、パージ弁3を閉鎖しないと燃料タンク5及びキャニスタ6から吸気系に向かうガスの流れが生じ、空燃比が過度にリッチになるおそれがあるからである。なお、大気開放時にエンジン20が停止している場合には、パージ弁3を閉鎖しないとキャニスタ6を通過しない燃料蒸気が大気中に流出するおそれがあるため、この場合であってもパージ弁3は閉鎖状態に制御される。
大気開放制御の開始条件,終了条件を以下に例示する。大気開放制御は、条件aが成立した場合に開始され、条件bが成立した場合に終了する。
=大気開放制御の開始条件=
a.タンク圧Pが第二圧力P2(開放圧)以上である(ただし、P1<PMAX<P2
=大気開放制御の終了条件=
b.タンク圧Pが第四圧力P4未満である(ただし、P1<P4<P2
本実施形態では、高圧パージ制御中に上記の開始条件が成立して大気開放制御が開始された場合には、大気開放制御の開始と同時に高圧パージ制御が中止される。すなわち、高圧パージ制御中にタンク圧Pが第二圧力P2以上になると(条件aが成立すると)、密閉弁1が一旦閉鎖される。これにより、燃料タンク5が一旦密閉状態とされるため、燃料タンク5からの圧力(タンク圧P)がバイパス弁2に直接的に作用しなくなり、バイパス弁2が開放されやすくなる。
さらに本実施形態の大気開放制御では、大気開放前に密閉弁1が一旦閉鎖されると、パージ弁3は開放状態に制御される。これにより、タンク通路7内に存在する燃料蒸気が吸気系へと吸い込まれ、タンク通路7内の圧力が低下することから、バイパス弁2がより開放されやすくなる。なお、高圧パージ制御中に条件aが成立した場合には、パージ弁3はすでに開放されていることから、大気開放制御の開始とともに改めて開放されるのではなく、その開放状態が維持される。このとき、パージ弁3の開度を増大方向に変更してもよい。このような構成であれば、タンク通路7内の燃料蒸気を速やかに吸気系へパージすることが可能となる。
したがって、本実施形態の大気開放制御は、高圧パージ制御中に上記の条件aが成立すると密閉弁1が一旦閉鎖されるとともにパージ弁3が一旦開放状態に維持される。このとき、バイパス弁2は高圧パージ制御での状態(すなわち閉鎖状態)が維持される。そして、以下の条件c,dの何れかが成立すると、密閉弁1及びバイパス弁2が同時に開放されるとともに、パージ弁3がこれらの開放と同時に閉鎖されて、燃料タンク5が大気開放される。なお、バイパス弁2を密閉弁1よりも先に開放し、パージ弁3をバイパス弁2の開放と同時に閉鎖してもよい。この場合には、燃料タンク5からの圧力(タンク圧P)がバイパス弁2に直接的に作用しない状態でバイパス弁2を開放することになるため、バイパス弁2をより開放しやすくなる。
=燃料タンクの大気開放条件=
c.密閉弁1を閉鎖してからのパージガス量Qpが所定量Qp0以上である
d.密閉弁1を閉鎖してから所定時間が経過した
条件cは、エンジン20の作動中にのみ成立しうる条件である。密閉弁1が一旦閉鎖されたのちに吸気系に吸入されたパージガス量Qpは、エアフローセンサ16で検出された吸気流量Qとパージ率Rとから求められるパージガス流量を積算することで算出,推定される。パージ率Rは、吸気通路22へ導入されるパージガスの導入割合を意味し、空燃比に基づいて設定される。なお、導入割合とは、吸気量全体に対するパージガス量の割合、又は、スロットルバルブ23側から流入した吸気量に対するパージガス量の割合を意味する。また、所定量Qp0は、タンク通路7のうち密閉弁1よりも吸気通路22側の部分の容量と同程度かやや小さい値に設定される。
一方、条件dは、燃料タンク5を保護するための条件である。例えば、エンジン20の吸気通路22の負圧が小さくパージガス量Qpがなかなか所定量Qp0以上にならないとすると、密閉弁1を閉鎖している時間が長くなってしまい、タンク圧Pがどんどん高くなるおそれがある。そのため、時間に関する条件dを条件cとは別に設けておくことで、タンク圧Pの更なる上昇が抑制される。
本実施形態における制御の名称と密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態との関係をまとめると、以下の通りである。
Figure 0006634810
[3.制御構成]
上記の各種制御を実施するための制御構成として、制御装置30には、高圧パージ制御部31,大気開放制御部32,キャニスタパージ制御部33が設けられる。これらは、制御装置30で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子制御回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
高圧パージ制御部31は、高圧パージ制御を司るものであり、高圧パージ制御の開始条件,終了条件はここで判定される。高圧パージ制御部31は、タンク圧Pが第一圧力P1以上である場合に密閉弁1を開放することで、タンク圧Pを減圧する機能を持つ。また、高圧パージ制御部31は、タンク圧Pが第一圧力P1以上である場合に、そのタンク圧Pが第三圧力P3未満になるまで密閉弁1を開放する機能を持つ。なお、パージ弁3の開度は、エンジン20の運転状態や燃料タンク5に残留する燃料量などに応じて設定可能である。
大気開放制御部32は、大気開放制御を司るものであり、大気開放制御の開始条件,終了条件はここで判定される。大気開放制御部32は、タンク圧Pが第二圧力P2以上になると、密閉弁1を一旦閉鎖することでバイパス弁2にタンク圧Pが直接的に作用しないようにする。さらに、パージ弁3を開放状態に維持し、タンク通路7内の燃料蒸気を吸気系にパージすることでタンク通路7内の圧力を低下させる。このとき、大気開放制御部32は、密閉弁1を閉鎖したのちにパージされたパージガス量Qpを推定する。
大気開放制御部32は、パージガス量Qpが所定値Qp0以上になると、密閉弁1及びバイパス弁2を開放状態に制御するとともにパージ弁3を閉鎖することで、燃料タンク5を大気開放する。また、大気開放制御部32は、燃料タンク5を大気開放した場合に、タンク圧Pが第四圧力P4未満になるまで密閉弁1,バイパス弁2,パージ弁3の開閉状態を維持する機能を持つ。
キャニスタパージ制御部33は、キャニスタパージ制御を司るものであり、キャニスタパージ制御の開始条件,終了条件はここで判定される。キャニスタパージ制御部33は、エンジン20の作動中にバイパス弁2を開放することで、キャニスタ6に吸着した蒸発燃料を吸気通路22に吸入させる機能を持つ。なお、パージ弁3の開度は、エンジン20の運転状態やキャニスタ6に吸着されている蒸発燃料量などに応じて設定可能である。
キャニスタパージ制御部33は、大気開放制御が実施された場合には、大気開放制御の終了とともにキャニスタパージ制御を強制的に実施する。すなわち、エンジン20が作動していない場合や、作動していてもその運転状態が安定していない場合には、エンジン20を作動させるとともにその運転状態を安定させ、キャニスタパージ制御を実施する。これにより、大気開放制御によってキャニスタ6に吸着した蒸発燃料が吸気系にパージされる。
[4.フローチャート]
図2,図3は、上記の各種制御を実施するための制御手順を例示するフローチャートである。図2はおもにエンジン20の停止中の制御内容に対応し、図3はおもにエンジン20の安定作動中の制御内容に対応する。これらのフロー中の制御フラグFは、高圧パージ制御の実施状況を示すものであり、制御の実施中にはF=1に設定される。また、制御フラグGはキャニスタパージ制御を強制実施するか否かをチェックするためのものであり、強制実施する場合にはG=1に設定される。
図2に示すように、まず各種センサ11〜16で検出された情報が制御装置30に入力され(ステップS1)、エンジン20が作動中であるか否かが判定される(ステップS2)。ここで、エンジン20が作動中であればステップS8に進み、停止中ならばステップS3に進む。エンジン20の作動状態は、エンジン回転数Neやインマニ圧PIMなどに基づき、公知の手法を用いて判定される。
ステップS3では、制御フラグGがG=0であるか否かが判定され、この条件が成立する場合にはステップS4に進み、成立しない場合にはステップS10に進む。ステップS10では、エンジン20の作動が開始され、図3のステップS20に進む。一方、ステップS4では、フィラードア28が開放されているか否かが判定され、開放されていれば圧抜き制御が実施される(ステップS5)。圧抜き制御では、密閉弁1とバイパス弁2とが開放され、燃料タンク5が圧抜きされる。一方、フィラードア28が開放されていなければ、密閉制御が実施される(ステップS6)。密閉制御では、密閉弁1とパージ弁3とが閉鎖され、燃料タンク5で発生した高濃度ガスの流出が防止される。ステップS5,S6に続くステップS7では制御フラグFがF=0に設定され、この演算周期での制御が終了する。
また、エンジン20が作動中ならば、その運転状態が安定しているか否かが判定され(ステップS8)、安定している場合には、図3中のステップS11に進む。一方、エンジン20の運転状態が安定していない場合には、ステップS9に進み、制御フラグGがG=0であるか否かが判定され、この条件が成立する場合にはステップS7に進み、成立しない場合には図3のステップS20に進む。なお、エンジン20の運転状態は、エンジン回転数Neやインマニ圧PIMなどに基づき、公知の手法を用いて判定される。
図3のステップS11では、制御フラグFがF=0であるか否かが判定され、この条件が成立する場合にはステップS12に進み、成立しない場合にはステップS15に進む。ステップS12では、タンク圧Pが高圧パージ制御の開始閾値である第一圧力P1以上であるか否かが判定される。タンク圧Pが第一圧力P1未満であれば、ステップS14においてキャニスタパージ制御が開始され、密閉弁1が閉鎖状態に制御されるとともに、バイパス弁2及びパージ弁3が開放状態に制御される。そして、制御フラグGがG=0に設定されて(ステップS19)、この演算周期での制御が終了する。
一方、タンク圧Pが第一圧力P1以上であれば、ステップS13において高圧パージ制御が開始され、密閉弁1及びパージ弁3が開放状態に制御されるとともに、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。そして、制御フラグFがF=1に設定されて(ステップS14)、ステップS15に進む。ステップS15では、タンク圧Pが大気開放制御の開始閾値である第二圧力P2以上であるか否かが判定される。
高圧パージ制御によってタンク圧Pが正常に低下していればこの条件は成立しないため、ステップS16に進み、タンク圧Pが高圧パージ制御の終了閾値である第三圧力P3を下回ったか否かが判定される。そして、タンク圧Pが第三圧力P3未満になると、高圧パージ制御が終了し、制御フラグFがF=0に設定されて(ステップS17)、この演算周期での制御が終了する。次の演算周期では、ステップS12からステップS18に進み、キャニスタパージ制御が実施される。すなわち、エンジン20が作動中であり、その運転状態が安定していれば、タンク圧Pに応じてキャニスタパージ制御又は高圧パージ制御が実施される。
しかしながら、高圧パージ制御を実施しているにもかかわらず、例えば燃料残量や外気温等の影響によってタンク圧Pが上昇して第二圧力P2以上となった場合には、ステップS21に進み、密閉弁1が閉鎖状態に制御される。このとき、高圧パージ制御において閉鎖されていたバイパス弁2はその閉鎖状態が維持されるとともに、高圧パージ制御において開放されていたパージ弁3はその開放状態が維持される。そして、ステップS22では、密閉弁1を閉鎖したのちに吸気系に吸入されたパージガス量Qpが推定される。
ステップS23では、パージガス量Qpが所定量Qp0以上であるか否かが判定され、この条件が成立しない場合には、ステップS24において密閉弁1を閉鎖してから所定時間が経過したか否かが判定される。この条件が成立しない場合には、ステップS22に戻る。そして、パージガス量Qpが所定量Qp0以上となるか、あるいは密閉弁1を閉鎖してから所定時間が経過すると、ステップS25において燃料タンク5が大気開放される。すなわち、密閉弁1及びバイパス弁2が開放状態に制御されるとともに、パージ弁3が閉鎖状態に制御される。なお、密閉弁1及びバイパス弁2の開放タイミングは、同時であってもよいし、密閉弁1よりもバイパス弁2を先に開放してもよい。ステップS26では、タンク圧Pが第四圧力P4を下回ったか否かが判定され、この条件が成立するまでステップS25,S26の処理が繰り返される。そして、タンク圧Pが第四圧力P4未満まで低下すると、ステップS27において制御フラグF,GがF=0,G=1に設定され、この演算周期での制御が終了する。
次の演算周期において、エンジン20が作動中であってその運転状態が安定していれば、図2のステップS8から図3のステップS11,S12を経てステップS18に進み、キャニスタパージ制御が実施される。これにより、大気開放によってキャニスタ6に吸着した蒸発燃料がパージされる。
一方、大気開放中(ステップS25,S26の処理を繰り返している間)にエンジン20が停止した場合には、次の演算周期において、図2のステップS2からステップS3に進む。このとき、制御フラグGはG=1であることから、ステップS10においてエンジン20が始動され、図3のステップS20に進み、その運転状態が安定するように制御される。そして、ステップS18においてキャニスタパージ制御が実施される。また、大気開放中にエンジン20の運転状態が不安定になった場合には、図2のステップS8からステップS9に進む。この場合にも、制御フラグGはG=1であることから、図3のステップS20に進んで、エンジン20の運転状態が安定するように制御されるとともに、キャニスタパージ制御が実施される(ステップS18)。すなわち、大気開放が実施されたのちは、エンジン20が作動していない場合や運転状態が安定していない場合であっても、強制的にキャニスタパージ制御が実施される。
[5.作用,効果]
大気開放制御について、図4を用いて説明する。図4(a)〜(d)に示すように、キャニスタパージ制御中にタンク圧Pが上昇し、時刻t1にタンク圧Pが第一圧力P1以上になると、高圧パージ制御の開始条件が成立する。そのため、時刻t1に密閉弁1及びパージ弁3が開放状態に制御され、バイパス弁2が閉鎖状態に制御される。
図4(a)に示すように、高圧パージ制御中にもかかわらずタンク圧Pが上昇し続け、時刻t2に第二圧力P2以上になると、高圧パージ制御が中止され、大気開放制御が開始される。すなわち、図4(b)〜(d)に示すように、密閉弁1が一旦閉鎖状態に制御されるとともに、バイパス弁2及びパージ弁3の開閉状態が維持される。そして、上記の条件c,dの何れかが成立した時刻t3に、密閉弁1及びバイパス弁2が開放状態に制御されるとともにパージ弁3が閉鎖状態に制御されて、燃料タンク5の大気開放が開始される。これにより、燃料タンク5内の燃料蒸気がキャニスタ6を通過して大気に放出されることから、タンク圧Pが急速に低下する。そして、時刻t4にタンク圧Pが第四圧力P4未満となると、キャニスタパージ制御が再び実施され、キャニスタ6に吸着した蒸発燃料が吸気系にパージされる。
(1)上述の蒸発燃料処理装置では、タンク圧Pが第二圧力P2以上の異常な高圧状態となった場合には、密閉弁1及びバイパス弁2が開放されて、燃料タンク5が大気開放される。これにより、燃料タンク5の内部圧力を確実に下げることができるため、燃料タンク5を保護することができ、安全性を高めることができる。
(2)また、高圧パージ制御の実施中にタンク圧Pが第二圧力P2以上となった場合には、バイパス弁2が開放されて燃料タンク5が大気開放されることから、高圧パージ制御では減圧し切れなかった燃料タンク5の内部圧力を確実に低下させることができる。これにより、燃料タンク5の保護性を高めることができる。
(3)上述の蒸発燃料処理装置では、大気開放の前に密閉弁1が一旦閉鎖されて高圧パージ制御が中止されることから、燃料タンク5からの圧力が直接的にバイパス弁2に作用しないようにすることができる。これにより、バイパス弁2を開放させやすくすることができるため、バイパス弁2を開放できないといった事態を回避でき、燃料タンク5の保護性を高めることができる。
(4)上述の蒸発燃料処理装置では、大気開放前であって密閉弁1を一旦閉鎖したときに、パージ弁3が開放状態に制御されることから、タンク通路7内に存在する燃料蒸気を積極的に吸気系にパージすることができる。これにより、バイパス弁2をより開放させやすくすることができ、燃料タンク5の保護性をより高めることができる。
(5)また、上述の蒸発燃料処理装置では、密閉弁1を一旦閉鎖したのちに吸気系に吸入されたパージガス量Qpに基づいてバイパス弁2の開放タイミングが決定される。これにより、タンク通路7内に存在していた燃料蒸気が着実に減ってからバイパス弁2を開放させることができるため、バイパス弁2をより開放させやすくすることができ、燃料タンク5の保護性をより高めることができる。
(6)また、密閉弁1を一旦閉鎖してから所定時間が経過したら、パージガス量Qpにかかわらず密閉弁1及びバイパス弁2が開放される。すなわち、大気開放前に密閉弁1を閉鎖させておく最大の時間(所定時間)が設定されているため、タンク圧Pの更なる上昇を抑制することができ、燃料タンク5の保護性をより高めることができる。
(7)上述の蒸発燃料処理装置では、大気開放時にパージ弁3が閉鎖されることから、大気開放中に、燃料蒸気がキャニスタ6を通過せずに大気中に放出されることを防ぐことができる。
(8)また、大気開放制御を実施することでキャニスタ6に吸着する蒸発燃料量が増大するが、上述の蒸発燃料処理装置では、大気開放後に強制的にキャニスタパージ制御が実施されるため、キャニスタ6に吸着した蒸発燃料を吸気系にパージすることができ、キャニスタ6を浄化することができる。
[6.変形例]
上述の実施形態では、大気開放制御中であって大気開放前にエンジン20が作動している場合を例示したが、エンジン20の作動状態は特に限られず、例えば大気開放制御の開始条件が成立した場合にエンジン20を停止させてもよい。この場合は、密閉弁1に加えてパージ弁3も閉鎖状態に制御することが好ましい。密閉弁1を閉鎖することで、上述の実施形態と同様、燃料タンク5からの圧力が直接的にバイパス弁2に作用しないようにすることができる。また、パージ弁3も閉鎖することで、タンク通路7内の燃料蒸気がキャニスタ6を通過せずに大気中に放出されることを防ぐことができる。
上述の実施形態では、大気開放制御の開始条件が成立した場合に密閉弁1を一旦閉鎖して高圧パージ制御を中止しているが、密閉弁1を開放状態に維持したままバイパス弁2を開放して大気開放してもよい。また、大気開放制御は、上記の条件aが成立した場合(すなわちタンク圧P≧第二圧力P2のとき)に開始されればよく、高圧パージ制御中でなくてもよい。
また、上述の実施形態では、大気開放制御後に強制的にキャニスタパージ制御を実施しているが、強制的にキャニスタパージ制御を実施させるのではなく、キャニスタパージ制御が実施される機会を待ってもよい。
上述の各制御の実施条件(開始条件,終了条件)は一例であって、上述したものに限られない。
上述の実施形態では、大気開放制御の開始条件が成立して密閉弁1を閉鎖した場合に、条件c,dの何れかが成立したら密閉弁1及びバイパス弁2を開放しているが、条件c,dの代わりに、タンク通路7内の圧力やタンク圧Pに基づいて密閉弁1及びバイパス弁2を開放するタイミングを決定してもよい。例えば、条件cに代えて、密閉弁1を一旦閉鎖したのちのタンク通路7内の圧力が所定圧力まで低下することを条件としてもよい。また、条件dに代えて、密閉弁1を一旦閉鎖してからのタンク圧Pが所定圧力に達することを条件としてもよい。
上述の蒸発燃料処理装置の構成は一例であって、上述したものに限られない。上述の実施形態では、密閉弁1及びバイパス弁2が二位置切替弁であり、パージ弁3が可変開度制御弁となっているが、これらの弁の種類は任意に変更可能である。また、バイパス弁2が、キャニスタ通路8上に介装されていてもよいし、パージ弁3を省略し、密閉弁1及びバイパス弁2によってパージガス流量を制御できるようにしてもよい。
1 密閉弁
2 バイパス弁
3 パージ弁
5 燃料タンク
6 キャニスタ
7 タンク通路
8 キャニスタ通路
9 大気開放通路
10 パージ用通路
20 エンジン
22 吸気通路(吸気系)
30 制御装置
31 高圧パージ制御部
32 大気開放制御部
33 キャニスタパージ制御部
P タンク圧(内部圧力)
P1 第一圧力(パージ圧)
P2 第二圧力(開放圧)
P3 第三圧力
P4 第四圧力

Claims (6)

  1. 燃料タンクで発生する蒸発燃料を吸着するとともに大気開放されたキャニスタと、
    前記燃料タンクとエンジンの吸気系とを接続するタンク通路と、
    前記タンク通路から前記キャニスタに向かって分岐形成されたキャニスタ通路と、
    前記タンク通路における分岐点よりも前記燃料タンクに近い位置に介装された密閉弁と、
    前記分岐点又は前記キャニスタ通路上に介装されたバイパス弁と、
    前記燃料タンクの内部圧力に応じて前記密閉弁及び前記バイパス弁を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記内部圧力が所定の開放圧以上となった場合には、前記密閉弁及び前記バイパス弁を開放状態に制御して前記燃料タンクを大気開放し、
    前記エンジンの作動中であって前記内部圧力が前記開放圧よりも低いパージ圧以上のときに前記密閉弁を開放するとともに前記バイパス弁を閉鎖し、前記燃料タンク内の前記蒸発燃料を前記吸気系に吸入させる高圧パージ制御を実施するとともに、前記高圧パージ制御中に前記内部圧力が前記開放圧以上となった場合には、前記バイパス弁を開放して前記燃料タンクを大気開放し、
    前記燃料タンクの大気開放前に前記密閉弁を一旦閉鎖して前記高圧パージ制御を中止し、前記バイパス弁と前記密閉弁とを開放する
    ことを特徴とする、蒸発燃料処理装置
  2. 前記タンク通路における前記分岐点よりも前記吸気系に近い位置に介装されたパージ弁を備え、
    前記制御装置は、前記大気開放前であって前記密閉弁を一旦閉鎖したときに前記エンジンが作動中であれば、前記パージ弁を開放状態に制御する
    ことを特徴とする、請求項記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記制御装置は、前記密閉弁を一旦閉鎖したのちに前記吸気系に吸入されたパージガス量に基づいて、前記バイパス弁の開放タイミングを決定する
    ことを特徴とする、請求項又は記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記制御装置は、前記密閉弁を一旦閉鎖してから所定時間が経過した場合に、前記密閉弁及び前記バイパス弁を開放する
    ことを特徴とする、請求項の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
  5. 前記タンク通路における前記分岐点よりも前記吸気系に近い位置に介装されたパージ弁を備え、
    前記制御装置は、前記燃料タンクの大気開放時に前記パージ弁を閉鎖する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
  6. 前記制御装置は、
    前記エンジンの作動中に前記密閉弁を閉鎖するとともに前記バイパス弁を開放し、前記キャニスタに吸着した前記蒸発燃料を前記吸気系に吸入させるキャニスタパージ制御を実施するものであって、
    前記大気開放後には、前記キャニスタパージ制御を強制的に実施する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の蒸発燃料処理装置。
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