JP6653283B2 - 生体試料輸送容器 - Google Patents
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Description
また、凍結保存された生体試料を室内移動させる方法として、液体窒素を入れたトレーに、バイアルを立てて収容可能な熱伝導ブロックを置いて、バイアルを移動させる方法を採られることもある。
また、断熱箱内の位置、例えば液体窒素にバイアルが触れているかいないか等によって、バイアルごとに冷却温度が異なることがあるため、試料の品質にばらつきがでるおそれもある。
さらに、液体窒素にバイアルが直接接触すると、バイアルのキャップと容器本体の隙間から内部に液体窒素が侵入することがあり、コンタミネーションやバイアルの破裂を招くおそれがある。
特許文献1の凍結保存器は、「上部に開閉自在な試料出入口を有する断熱容器と、試料出入口から断熱容器内に格納される試料収納ケースと、断熱容器内に装填された極低温液化ガスの含浸材とを具備して、含浸材に含浸された液化ガスにより断熱容器内を極低温の気相雰囲気に保持するように構成したことを特徴とする」(特許文献1の請求項1参照)ものである。
そのため、仮にキャップが試料出入り口を密封するようなものであれば、気化した窒素ガスによって内圧が上昇するおそれがある。
前記容器口部は外周面に雄ネジ部を有し、前記蓋体は内周面に前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有してなり、前記容器口部の外周面及び/又は前記蓋体の内周面には通気用の凹部が形成されていることを特徴とするものである。
前記容器口部は、周面に係止部を有し、
前記蓋体の内周面は、前記蓋体が前記容器口部に装着された状態で内周面と前記容器口部の外周面との間を気化した極低温液化ガスが通流できる隙間が形成されるように設定され、
前記蓋体は、前記容器口部への装着状態の固定と該固定の解除を操作する一対の操作片を有し、
一対の操作片は前記蓋体の外周面に対向して配置され、各操作片は、前記蓋体の上面から上方に突出する操作部と、該操作部の下方に設けられて各操作片を傾動可能に支持する傾動軸と、前記各操作片の下部を内側に移動させる方向に常時付勢する付勢手段と、前記各操作片の下部に設けられて前記容器口部の係止部に係合する係合部とを備えたことを特徴とするものである。
また、対向配置された操作部を引き寄せるようにすることで、係合を解除して蓋体を外すことができるので、片手での操作が可能であるため、蓋体の取り外しと装着を素早く行うことができ、容器内を外気に曝す時間を短くすることができる。
なお、上記の順は特許請求の範囲に記載の発明の順序と必ずしも一致していない。
[実施の形態1]
本実施の形態に係る生体試料輸送容器1は、図1、図2に示すように、液化窒素等の極低温液化ガスを吸着保持させた極低温液化ガス吸着保持材3と生体試料を入れた試料容器5等を収納する収納部7と上部が開口する筒状の容器口部9とを有する有底筒状の容器本体部11と、容器本体部11の容器口部9に着脱可能に設けられ容器口部9を覆う有底筒状の蓋体13とを備えている。
容器本体部11と蓋体13の構造を以下詳細に説明する。
容器本体部11は、有底筒状の断熱性の容器であり、その収納部7には液体窒素等の極低温液化ガスを吸着保持させた極低温液化ガス吸着保持材3、生体試料を入れた試料容器5を固定する試料容器固定具15、及び極低温液化ガス吸着保持材3及び試料容器固定具15等の内容物を固定する内容物固定具17が収納され、その上部には蓋体13が装着される筒状の容器口部9が形成されている。
極低温液化ガス吸着保持材3は、容器本体部11の収納部7内に入れた液体窒素等の極低温液化ガスを吸着保持し、試料を保冷状態に保つためのシートである(図2、図3、図4参照)。
極低温液化ガス吸着保持材3の材質として、例えばオイルソーベント、グラスウール等の非極性分子を吸着するシート状のもの(厚み4〜5mm)であるが、これに限定されるものではない。
また、容器本体部11の上部には図2、図4に示すような試料容器挿入穴3aがある極低温液化ガス吸着保持材3を設置することで、バイアル等の試料容器5を差し込む深さを調整することが可能となり、様々な長さのバイアル等の試料容器5に対応することができる。
試料容器固定具15は、容器本体部11内に収容してバイアル等の試料容器5を固定することで、生体試料輸送容器1の転倒時にバイアルの飛び出しや落下を防止するものである。
試料容器固定具15は、外形が容器内水平断面形状と同形状で、試料容器5を挿入して保持する試料容器保持穴15aが複数設けられている(図5、図6参照)。
試料容器保持穴15aの各穴近傍には、図5に示すように番号を表示することで、挿入する試料容器5の位置を特定することができる。
また、突起部15bの頂上を丸くすることで(図5参照)、試料容器5の抜き差しによる摩耗を抑えることができるので、長期間使用しても試料容器5を固定する能力が落ちない。
試料容器保持穴15aの穴径は、極低温液化ガスを注いだ際の低温による収縮を考えて、試料容器径+0.6mm程度が望ましいがこれに限定されるものではない。
本例では試料容器5としてバイアルを用いており、バイアルの径が12.9mmであるので、試料容器固定具15の試料容器保持穴15aは13.5mmとなっている。
なお、試料容器保持穴15aの穴形状は図示したものに限らず、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形状とし、角部で作られる隙間をガス抜き孔としてもよい。
内容物固定具17は、試料容器5に対して極低温液化ガス吸着保持材3との密着性を確保し、試料容器固定具15による保持と相まって生体試料を固定し、振動や衝撃による試料へのダメージを小さくするものである。
内容物固定具17は、試料容器固定具15及び極低温液化ガス吸着保持材3を外周から保持するために、図7、図8に示すような円筒形をしている。
容器口部9には、その周面に凸形状又は凹形状の係止部19が形成されている。本例では、図9に示すように、ビード状の凸形状部が容器口部9の周壁に沿ってねじ状に2条設けられている。したがって、2条の凸形状部間に蓋体13の操作片21の係合部21dを係合させることができる。
なお、係止部19の形状は、凸形状又は凹形状に限定されるものではなく、後述する蓋体13に設ける係合部21dが係合できるものであればよい。なお、係止部19を凸形状として、容器口部9の周方向の一部に設ける場合には、凸形状の高さを調整することで、蓋体13と容器口部9の隙間の調整をすることができる。
蓋体13は、容器本体部11の容器口部9に着脱可能に設けられ容器口部9を覆うものである。
蓋体13の内周面は、蓋体13が容器口部9に装着された状態で内周面と容器口部9の外周面との間に気化した極低温液化ガスが通流できる隙間が形成されるように設定されている(図10の太線の矢印はガス流れを模式的に示したものである。)。
隙間を形成する目的は、容器本体部11で気化した極低温液化ガスを外部に逃すことで、蓋体13を装着した状態で内圧が上昇するのを防止するためである。
この目的を達成できる程度の隙間であればよく、隙間が大きすぎると、気化したガスが逃げ出す量が多くなり、冷却能力が低下するので好ましくない。
一対の操作片21は蓋体13の外周面に対向して設けられた開口窓部13aに配置され、各操作片21は、蓋体13の上面から上方に突出する操作部21aと、操作部21aの下方に設けられた傾動軸21bと、操作片21の下部を内側に移動させる方向に常時付勢する付勢手段としてのバネ21cと、容器口部9に設けられた係止部19に係合する係合部21dとを備えている(図11参照)。
蓋体13の材質は、ポリプロピレンやポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
生体試料輸送容器1は、内部に極低温液化ガス吸着保持材3を収容し、バイアル等の試料容器5を試料容器固定具15で保持し、さらに内容物固定具17を設けたことで、バイアル等の試料容器5を安定して容器内に収容することができる。
また、蓋体13と容器本体部11の出入り口との間に、蓋体13を装着した状態でガスが通過できる隙間が形成されているので、内圧が上昇するという危険がない。
さらに、蓋体13を出入り口に固定するために、一対の操作片21を対向配置し、一対の操作片を互いに近づけるようにすることで、係合を解除できるようにしているので、片手で簡単に蓋体13の開閉作業ができる。
本実施の形態に係る生体試料輸送容器を図14〜図20に基づいて説明する。
なお、図14〜図20において、実施の形態1と同一部分については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態は容器口部35及び蓋体39の構造、温度センサ41を設けた点が実施の形態1と異なるのでこの点について以下詳細に説明する。
容器口部35の外周面には、図16、図17に示されるように、雄ネジ部43が形成されている。
ねじ山の数は特に限定されるものではないが、本実施の形態では2山である。山数が増えると蓋体39の開閉の際の回転数が増えるので2山程度が好ましい。
蓋体39は、図14、図16、図17に示すように、下部が開口した有底筒形状で、その中央には温度センサ取付部45が形成されている。蓋体39の材質はポリカーボネートやポリプロピレン、テフロン(登録商標)が好ましい。
蓋体39の肉厚は例えば3mm程度あるが、蓋体39の開口縁部には厚さ1mm程度の厚肉部51が設けられており(図16、図17参照)、蓋体39を容器口部35にねじ込んだ時に、蓋体39が締め付ける力に負けて広がってしまうことを防止している。
また、蓋体39の表面には開閉時に力がかけやすくなるようにグリップ強化用の溝53が形成されている(図14参照)。
本実施の形態の生体試料輸送容器31の蓋体39は、雌ネジ部47と凹部49に特徴があるので、以下これらについて詳細に説明する。
雌ネジ部47のねじ山は、蓋体39の内周面の全周に亘って形成されるのではなく、図19、20に示すように、周方向の一部に形成されている。本実施の形態の蓋体39の外形は約100mmであるが、この場合、雌ネジ部47の周方向の長さは50mm程度である。
また、雌ネジ部47は、周方向に凸凹して歯が連続する形状になっており、本実施の形態では歯の先端が尖った鋸歯状に形成されている。ねじ山の高さは、2.5mm程度である。
ねじ山を凸凹して歯が連続する形状にすることで、容器口部35との接触面積が小さくなり、蓋体39と容器口部35の雄ネジ部43との間が凍結しても抵抗が小さくなるため開閉しやすい。
さらに、ねじ山を凸凹して歯が連続する形状にすることで、蓋体39を容器口部35にねじ込んで締める際に、容器口部35に付いた霜や氷を削り取ることができる。
そして、ねじ山の先端を尖らせて鋸歯状にすることで、この機能をより高めることができる。
凹部49は、蓋体39の内周面に周方向に複数箇所設けられて内部の気体を逃すための通気口の機能を有している。すなわち、内部の液体窒素が気化しても凹部49から外部へ排気することが可能になっており、内圧の上昇が防止される(図17の矢印参照)。
凹部49の周方向の長さの合計を長くしすぎると熱が侵入して低温保持時間が減少し、短すぎると霜が付いて凹みが塞がれる恐れがある。そこで、凹部49の周方向の長さの合計は蓋体39の内周長に対して10〜40%とするのが好ましく、20〜30%とすることがより好ましい。
また、凹部49の数は特に限定されないが、凹部49の数が多いほど、蓋体39を容器口部35にねじ込んだ時に、蓋体39を締め付ける力に負けやすくなってしまうため、3〜5箇所程度が好ましい。
温度センサ41は、蓋体39の温度センサ取付部45に取り付けられるセンサ本体部55と、センサ本体部55から延出して温度測定を行う温度測定部57を備えている。
センサ本体部55にはディスプレイが設けられ、測定温度を表示するようになっている。
温度測定部57はステンレス製の金属保護管で覆われたK熱電対であり、先端が尖っているため、怪我防止の保護キャップ59が取り付けられている(図18参照)。
保護キャップ59は、温度センサ41の基部に形成したねじ部にねじ固定する。また、保護キャップ59の先端には温度測定部57まで切込み61が入っているため、樹脂の熱伝導ではなく、直接容器内部に侵入した空気の温度を測定できる。
また、蓋体39に設けた雌ネジ部47のねじ山を周方向に凸凹して歯が連続する形状にしたことにより、内部気体の排気の機能に加えて凍結時の抵抗の緩和、さらには蓋体39を容器口部35にねじ込んで締める際に、容器口部35に付いた霜や氷を削り取り蓋体39の装着を容易にしている。
また、上記の説明では、蓋体39の雌ねじ部のネジ山を鋸歯状に形成した例を示したが、容器口部35の雄ネジ部43のねじ山を周方向に凸凹して歯が連続する形状にしてもよい。
3 極低温液化ガス吸着保持材
3a 試料容器挿入穴
5 試料容器
7 収納部
9 容器口部
11 容器本体部
13 蓋体
13a 開口窓部
15 試料容器固定具
15a 試料容器保持穴
15b 突起部
15c 側溝
17 内容物固定具
19 係止部
21 操作片
21a 操作部
21b 傾動軸
21c バネ
21d 係合部
23 断熱材保持容器
25 固定ネジ
27 断熱素材
31 生体試料輸送容器(実施の形態2)
33 収納部
35 容器口部
37 容器本体部
39 蓋体
41 温度センサ
43 雄ネジ部
45 温度センサ取付部
47 雌ネジ部
49 凹部
51 厚肉部
53 溝
55 センサ本体部
57 温度測定部
59 保護キャップ
61 切込み
Claims (2)
- 極低温液化ガスを吸着保持する極低温液化ガス吸着保持材及び生体試料を入れた試料容器を収納する収納部と上部が開口する筒状の容器口部とを有する有底筒状の容器本体部と、該容器本体部の前記容器口部に着脱可能に設けられ該容器口部を覆う有底筒状の蓋体と、を備え、
前記容器口部は外周面に雄ネジ部を有し、前記蓋体は内周面に周方向の一部に前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有してなり、前記容器口部の外周面及び/又は前記蓋体の内周面には通気用の凹部が形成されており、
周方向の一部に形成された前記各雌ネジ部は、周方向に凸凹して先端が尖った鋸歯状の歯が連続する形状になっていることを特徴とする生体試料輸送容器。 - 前記収納部は、有底筒状の試料容器が挿入可能な試料容器保持穴を有し、該試料容器保持穴に挿入された試料容器を保持する試料容器固定具を備えたことを特徴とする請求項1記載の生体試料輸送容器。
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