JP7470550B2 - 生体試料搬送容器 - Google Patents
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Description
また、凍結保存容器からストロー状収納具を取り出す際も液体窒素入りの発泡スチロールを用意し、融解作業場所まで搬送している。
しかしながら、ストロー状収納具の搬送時に液体窒素入りの発泡スチロールを用いるのでは、利便性が悪いという問題がある。
この「生体試料輸送容器」は、バイアルやアンプルといった円筒状の試料容器を搬送することを想定して内部構造が構成されている。
しかしながら、特許文献1の生体試料輸送容器は、容器内部に積層して配設したシート状の液体窒素吸収材に円筒状の試料容器を挿入するための穴を設けた構造であるため、バイアルやアンプルよりも径の細いストロー状収納具に適用するには以下のような問題がある。
また、繰り返しの使用により、液体窒素吸収材の屑が発生し、液体窒素を生体試料輸送容器に充填する際、上部に浮上した余剰の液体窒素を容器に戻すときに屑が混入して容器内の液体窒素を汚染するという問題もある。
さらに、ストロー状収納具の破損等を気にして収納操作がスムーズに行えず、生体試料の昇温を招き生体試料にダメージを与えることも懸念される。
各構成及びそれに付随する構成について詳細に説明する。
容器本体3は、有底筒状の断熱性の容器であり、図2の矢視A-A断面である図1に示すように、その内部には円筒状の防熱パイプ11(図3参照)、液体窒素等の極低温液化ガスを吸着保持させた極低温液化ガス吸着保持材9、生体試料を入れたストロー状収納具13が挿入される複数の鞘管7、鞘管7を固定するための鞘管固定具15等が収容され、その上部には蓋体5が装着されている。
容器本体3の内周面には、図1に示すように、材料として発泡ポリエチレン、ポリウレタン等で形成された筒状の防熱パイプ11が設置されており、これにより断熱性が向上している。
蓋体5は、図1に示すように、容器本体3の容器口部に着脱可能に設けられ容器口部を覆うものであって、下部が開口した有底筒形状で、その中央には温度センサ取付部17が形成されている。蓋体5の材質はポリカーボネートやポリプロピレン、テフロン(登録商標)が好ましい。
蓋体5の内側には発泡ポリエチレン等の断熱素材19が収納され、蓋体5から熱が逃げるのを防止している。
温度センサ取付部17には、センサ本体部21と、センサ本体部21から延出して温度測定を行う温度センサ23が取り付けられている。
なお、ストロー状収納具13は、極めて細く温度変化に敏感であるため、温度センサ23としては、ある一定の温度以上になるとアラーム等で警告する機能や、温度ロガー機能を有するものが好ましい。
鞘管7は、容器本体3内に配設されて生体試料が収納されるストロー状収納具13が挿入可能な細い管部材である。鞘管7の内径は、ストロー状収納具13が抜き差しできる程度の径であればよく、例えばストロー状収納具13の外径(2mm~4mm)より1mm程度内径が大きいものであればよい。
管部材の形状としては、両先端が空いている形状、又は片方の先端のみ空いている形状のどちらでもよい。
ストロー状収納具13には鞘管7を介して熱伝達が行われるため、鞘管7の材質は、熱伝導率の良い材質であり極低温にも耐えられる材質、例えばアルミ等の金属が好ましい。
本実施の形態の鞘管7は、図4に示すように、8本の例が示されているが、鞘管7の本数は限定されるものではなく、1本であってもよい。
もっとも、本実施の形態のように、複数本の鞘管7を設置する場合、鞘管7の位置は容器中心と内壁の中間距離を半径とする同心円上に等間隔で並べるのが好ましい。
また、鞘管7を複数本とすることで、シート状の極低温液化ガス吸着保持材9を設置する際のガイドとして機能するので、好ましい。この点については後述する。
なお、鞘管7の下端部は、円板25に溶接等で固定してもよい。
鞘管保持具29は、図6に示すように、鞘管7の上端部が挿通可能な鞘管保持孔29aを有し、外周部には極低温液化ガス吸着保持材9を露出させるための円弧状の切欠き29bが複数設けられている。
鞘管保持具29に設けられている鞘管保持孔29aは、鞘管固定具15の円板25に設けられた鞘管固定孔25aと上下方向で対応した位置に設けられており、鞘管7は設置状態で、下端が鞘管固定具15に固定され、上端が鞘管保持具29に挿通されて、直立するようになっている。
また、各鞘管保持孔29aには、図5に示すように、数字が付してあり、鞘管7の種別化を可能とし、当該鞘管7に挿入されたストロー状収納具13の種類特定が可能になっている。
なお、鞘管保持具29に設ける極低温液化ガスの通過路は、切欠きに限らず、孔でもよく、その形状は問わない。
もっとも、本実施の形態の鞘管保持具29のように、円板の外周部に円弧上の切欠きを所定間隔で設けた歯車状にすることで、鞘管保持具29における切欠き29b以外の部分は、図1、図7に示すように、設置状態で容器本体3の内周面に当接する。そのため、鞘管保持具29を容器本体3に設置することで、挿通孔29bの径方向の位置は自動的に位置決めされる。したがって、鞘管固定具15に立設された鞘管7の上端部を鞘管保持具29の挿通孔29bに挿通して鞘管固定具15を容器本体3に設置すれば、鞘管7は直立状態となる。
鞘管7の長さは、図1、図7に示すように、容器本体3に配設した状態で、その上端が鞘管保持具29よりも上方に延出する程度である。また、挿入したストロー状収納具13の取り出しが容易に行えるように、挿入したストロー状収納具13の上部30mm程度が鞘管7から延出するようにするのが好ましい(図7参照)。
極低温液化ガス吸着保持材9は、容器本体3内に入れた液体窒素等の極低温液化ガスを吸着保持し、試料を保冷状態に保つためのシート状のものである。
極低温液化ガス吸着保持材9の材質としては、金型等で成型や加工がしやすく液体窒素の吸収能力が高い材質、例えば、ポリプロピレン等が好ましい。
鞘管7の下端をアルミ製の円板25の鞘管固定孔25aに挿入して立設し、スプリングピン27で抜け止めする(図4参照)。
立設された鞘管7に、複数枚の極低温液化ガス吸着保持材9を装着する。極低温液化ガス吸着保持材9の装着に際しては、極低温液化ガス吸着保持材9に設けた鞘管挿通孔9aに鞘管7を挿入して、順に下方に移動させることで、鞘管7がガイドとなって容易に積層させることができる。
この状態で、液体窒素等の極低温液化ガスを容器本体3に充填する。充填に際しては、切欠き29b部分から極低温液化ガスを容易に極低温液化ガス吸着保持材9に浸み込ませることができる。
そして、生体試料を入れたストロー状収納具13を鞘管7に差し入れて、蓋体5を容器本体3に装着する。
さらに、ストロー状収納具13の破損等を気にする必要がないので、収納操作をスムーズに行うことができ、生体試料の昇温による生体試料へのダメージを防止できる。
3 容器本体
5 蓋体
7 鞘管
7a 貫通孔
9 極低温液化ガス吸着保持材
9a 鞘管挿通孔
9b 温度センサ挿入孔
11 防熱パイプ
13 ストロー状収納具
15 鞘管固定具
17 温度センサ取付部
19 断熱素材
21 センサ本体部
23 温度センサ
25 円板
25a 鞘管固定孔
27 スプリングピン
29 鞘管保持具
29a 鞘管保持孔
29b 切欠き
29c 温度センサ挿通孔
Claims (2)
- 容器本体と、該容器本体内に配設されて生体試料が収納されるストロー状収納具が挿入可能な鞘管と、該鞘管の周囲に配設されて極低温液化ガスを吸着保持する極低温液化ガス吸着保持材と、前記容器本体の底部に設けられて前記鞘管の下端部を固定する鞘管固定具と、を備え、
前記鞘管は複数本で、かつ下端が固定されており、前記極低温液化ガス吸着保持材は、前記鞘管が挿入可能な複数の孔を有するシート状のものが複数枚積層されていることを特徴とする生体試料搬送容器。 - 前記極低温液化ガス吸着保持材の上面に配置されると共に前記鞘管の上端部を保持する鞘管保持具を有し、該鞘管保持具は、前記極低温液化ガス吸着保持材を露出させるための切欠き又は孔を有することを特徴とする請求項1に記載の生体試料搬送容器。
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